JP6786801B2 - ゴルフクラブ用シャフトの製造方法 - Google Patents
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Description
〔1〕複数の炭素繊維強化樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトの製造方法であっ
て、
マンドレルとして、前記ゴルフクラブ用シャフトに対応する外周面の所定の箇所に切欠部が形成されているテーパー状のマンドレルを使用し、
該切欠部は先端側底面及び後端側底面を有し、
該先端側底面の先端がマンドレルの外周面と連続し、かつ該先端側底面がマンドレルの中心軸線と平行であるか、先端側に向かうにしたがってマンドレルの中心軸線に近づくように傾斜し、かつ、該後端側底面がマンドレルの外周面と連続し、かつ該後端側底面がマンドレルの中心軸線の後端に向かうにしたがって中心軸線から離れていくように傾斜した該切欠部が周方向に沿って形成されており、該切欠部内にバランス調整材を充填して該充填後の該マンドレルがスムースなテーパー状をなすようにし、
さらに、該マンドレルにシャフト本体を形成するプリプレグを複数回巻き付けた後、該プリプレグを加熱硬化させることにより、ゴルフクラブ用シャフト内壁に該バランス調整材を一体化させる、
ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
〔2〕前記バランス調整材としてシート状の樹脂を切欠部内に積層するようにした、前記〔1〕記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
〔3〕前記バランス調整材の配置位置がゴルフクラブ用シャフトの太径端から200mm
〜500mmの範囲である、前記〔1〕又は〔2〕記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
〔4〕ゴルフクラブ用シャフトの全長をLs、ヘッド側端から前記ゴルフクラブ用シャフトの重心までの距離をLgとした際に、Lg/Lsが0.50〜0.58の範囲である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
〔5〕前記バランス調整材の目付けが500g/m2以上である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
〔6〕前記バランス調整材がタングステンを含む、前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
また、シャフト本体の内壁にバランス調整材を一体化させるので、シャフトの強度低下を防ぐことができるとともに、シャフトの長手方向に部分的な剛性(EI)の不規則変動部位の発生を防ぐことができ、スイング時のフィーリングに影響を与えることなく、シャフトのハイバランス化が実現できる。
本発明に係るゴルフクラブ用シャフトは、例えば、軸方向に垂直な面の外径が長さ方向の一端から他端に向かって大きくなり、途中の径切換部から他端まで外径が同一となるように形成されたものである。本発明において、外径が小さい側のシャフト端部を細径端部といい、外径が大きい側のシャフト端部を太径端部という。また、シャフトの長さ方向の細径端部側を細径部、太径端部側を太径部という。
「プリプレグ」
本発明においては、炭素繊維等の繊維がマトリックス樹脂中に配置された繊維強化樹脂をプリプレグと呼ぶことがある。
これにより、炭素繊維強化樹脂層中にバランス調整材を巻き込むことなくシャフト本体にバランス調整材を配設することができるため、炭素繊維強化樹脂層の蛇行や突出による品質低下、製品不良を防止することができる。
さらに、シャフト本体の内壁部分との接触面積を充分に確保することができるため、バランス調整材が剥離しにくくなり、シャフト本体との接着性に優れるとともに、バランス調整材を広範囲に設置する場合でも、バランス調整材の薄層化が可能であるため、スイング時のフィーリングが損なわれにくくすることができる。
このバランス調整材として用いるシート状の樹脂に使用される樹脂は、プリプレグの加熱硬化後にシャフト内壁部に充分に接着でき、マンドレルからの離形性に優れるものであれば特に限定されるものではなく、適宜選択して使用することができるが、プリプレグのマトリックス樹脂と同じ樹脂を使用するのが好ましい。
なお、ここで定義される比重は、対象物質の4℃における密度と4℃における水の密度との比である。
これらは、単独又は二種類以上を適宜選択して使用することができるが、価格や人体への影響や法規制などの観点から鉄、タングステンが好ましく、特に好ましくはタングステンである。
さらに、バランス調整材の目付は、900g/m2以下とするのが好ましい。これは、この目付を900g/m2以下とすることによって、シャフトの高重量化を回避できる傾向にあるためである。より好ましくは800g/m2以下であり、さらに好ましくは750g/m2以下である。
バランス調整材の位置をシャフトの太径端から200mm以上とすることによって、ゴルファーがスイングする際に安定したスイングが得られ良好なフィーリングが得られる傾向にある。より好ましくは、250mm以上である。また、バランス調整材の位置をシャフトの太径端から500mm以下とすることによって、ゴルフシャフトの重心を十分にハイバランス化できる傾向にあるためである。より好ましくは、450mm以下である。
実施例および比較例で作製したゴルフクラブ用シャフトの材料を表1に示す。
<マンドレル>
図9に示す形状のマンドレル2を用意した。このマンドレル2は、鉄製の円筒体からなり、外径、長さ、テーパー度は以下のとおりである。P1の外径=4.75mm、P2の外径=6.45mm、P3の外径=8.05mm、P4およびP5の外径=12.85mm、P6およびP7の外径=14.05mm、P1〜P2の距離(L1)=200mm、P2〜P3の距離(L2)=100mm、P1〜P4の距離(L3)=900mm、P1〜P5の距離(L4)=950mm、P1〜P6の距離(L5)=1000mm、P1〜P7の距離(L6)=1500mm、P1〜P2のテーパー度=8.50/1000、P2〜P3のテーパー度=16.00/1000、P3〜P4のテーパー度=8.00/1000、P4〜P5のテーパー度=0.00/1000、P5〜P6のテーパー度=24.00/1000である。
図6のパターン1〜10に示す形状に各種プリプレグ(プリプレグA〜J)を裁断した。
パターン1では、プリプレグAのサイズをシャフト軸方向に炭素繊維が配向し、全長200mmであり、巻き回数が3回となるよう調整した。
パターン2では、プリプレグBをマンドレルの切欠部内に積層し、かつマンドレルがスムースなテーパー状をなすサイズ(巻き回数が3回、シャフト軸方向全長100mm)となるよう調整した。
パターン3では、シャフト長手軸方向に対し炭素繊維が+45°に配向したプリプレグCと−45°に配向したプリプレグCを裁断し実質的に半周ずれるようにずらして貼り合せた。そして、この2枚を貼り合せたプリプレグ全体のサイズを全長が1190mmで、細径端の巻き回数が1.7回、太径側の巻き回数が1.5回となるように調整した。
パターン5では、プリプレグFのサイズをシャフト軸方向に炭素繊維が配向し、全長400mmであり、巻き回数が1回となるよう調整した。
パターン6では、シャフト長手軸方向に対し炭素繊維が+45°に配向したプリプレグGと−45°に配向したプリプレグGを裁断し貼り合せた。そして、この2枚を貼り合せたプリプレグ全体のサイズを全長が1190mmで、細径端、太径側ともに巻き回数が1回となるように調整した。
パターン7〜8では、プリプレグH〜Iのサイズをシャフト軸方向に炭素繊維が配向し、全長が1190mmで巻き回数が1回となるように調整した。
パターン9では、プリプレグJのサイズをシャフト軸方向に炭素繊維が配向し、全長320mmであり、巻き回数が1回となるよう調整した。
パターン10では、プリプレグAのサイズをシャフト軸方向に炭素繊維が配向し、細径端の外径が8.80mm程度になるよう調整した。
続いて、その上に厚さ30μm、幅20mmの熱収縮性を有するポリプロピレン製テープを2mmピッチで巻き付けて固定し、マンドレル2に形成したシャフト素管を得た。
シャフト素管を硬化炉に入れ、145℃で2時間加熱してプリプレグの樹脂の硬化処理を行った後、ポリプロピレン製テープとマンドレル2とを取り除いた。
得られたゴルフクラブ用シャフト素管の両端を各10mmカットして、全長を1170mmとした。
研磨前のシャフトの片持ちフレックス(細径端から920mmの位置を固定して、シャフト細径端から10mmの位置に3kgの錘を掛けたときのシャフト細径端のたわみ量)は150mmであった。また研磨前のゴルフクラブ用シャフト素管の細径端の外径は8.79mm、太径端の外径は15.45mmであった。
このゴルフクラブ用シャフト素管を、細径端の外径が8.50mm、片持ちフレックスが170mmとなるよう、円筒研磨機で表面の研磨仕上げを行い、実施例1のゴルフクラブ用シャフトを得た。
また、得られたゴルフクラブ用シャフトの全長をLs、細径端からゴルフクラブ用シャフトの重心までの距離をLgとしたときのLg/Lsの値は0.55であった。
実施例1に使用したマンドレルに対し、切欠部をもたない図10に示すマンドレル3を用意した。切欠部が無い以外は全て実施例1と同様の形状の図10に示すマンドレルを使用し、プリプレグの裁断および巻き付けにおいては図7に示すとおり、図6のパターン2を無くした以外は全て実施例1と同様の工程を実施し、実施例1と同様の片持ちフレックスを有するゴルフクラブ用シャフトを得た。
比較例1と同様の図10に示すマンドレル3を使用し、プリプレグの裁断および巻き付けは図8に示すとおり、図6のパターン2をパターン5とパターン6の間に巻き付け順を変えた以外は全て実施例1と同様の工程を実施し、実施例1と同様の片持ちフレックスを有するゴルフクラブ用シャフトを得た。
実施例1、および比較例1〜2で製造したゴルフクラブ用シャフトに、市販のチタン製ドライバー用ゴルフクラブヘッド(195.7g、460ml、ロフト角9.5°)をエポキシ樹脂接着剤で細径端部に取り付けた。さらに、ゴルフクラブ長が45.5インチ(1156mm)になるよう太径端部をカットし、このシャフトに市販のゴム製グリップを両面テープにて取り付け、試験用のドライバーゴルフクラブを製作した。
実施例1で得られたゴルフクラブ用シャフトのLg/Lsの値0.55に対し、比較例1で得られたゴルフクラブ用シャフトのLg/Lsの値は0.51であった。この差におけるフィーリング評価を被験者3名で実施したところ、実施例1は、比較例1に比べて、スイング時に感じる重さが軽減されるとともに、ハイバランス化に伴うスイング時のフィーリングの変化がないことが被験者3名のコメントで立証できた。
3 比較例1および2に使用したマンドレル
4 切欠部
6 底面
8 底面の先端
10 マンドレルの外周面
11 底面
12 マンドレルの中心軸線
13 底面の後端
14 バランス調整材
16 プリプレグ
18 シャフト本体
20 シャフト材
Claims (6)
- 複数の炭素繊維強化樹脂層で構成されるゴルフクラブ用シャフトの製造方法であって、マンドレルとして、前記ゴルフクラブ用シャフトに対応する外周面の所定の箇所に切欠部が形成されているテーパー状のマンドレルを使用し、
該切欠部は先端側底面及び後端側底面を有し、
該先端側底面の先端がマンドレルの外周面と連続し、かつ該先端側底面がマンドレルの中心軸線と平行であるか、先端側に向かうにしたがってマンドレルの中心軸線に近づくように傾斜し、かつ、該後端側底面がマンドレルの外周面と連続し、かつ該後端側底面がマンドレルの中心軸線の後端に向かうにしたがって中心軸線から離れていくように傾斜した該切欠部が周方向に沿って形成されており、該切欠部内にバランス調整材を充填して該充填後の該マンドレルがスムースなテーパー状をなすようにし、
さらに、該マンドレルにシャフト本体を形成するプリプレグを複数回巻き付けた後、該プリプレグを加熱硬化させることにより、ゴルフクラブ用シャフト内壁に該バランス調整材を一体化させる、
ゴルフクラブ用シャフトの製造方法。 - 前記バランス調整材としてシート状の樹脂を切欠部内に積層するようにした、請求項1記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
- 前記バランス調整材の配置位置がゴルフクラブ用シャフトの太径端から200mm〜500mmの範囲である、請求項1又は2記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
- ゴルフクラブ用シャフトの全長をLs、ヘッド側端から前記ゴルフクラブ用シャフトの重心までの距離をLgとした際に、Lg/Lsが0.50〜0.58の範囲である、請求項1〜3のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
- 前記バランス調整材の目付けが500g/m2以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
- 前記バランス調整材がタングステンを含む、請求項1〜5のいずれかに記載のゴルフクラブ用シャフトの製造方法。
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