JP4354278B2 - フォトクロミック光学物品 - Google Patents

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Description

本出願は、仮特許出願第60/344,167号(2001年12月27日出願)に対する優先権を主張する。
(発明の詳述)
本発明は、光学的適用のために利用される有機的基材(例えば、可塑性基材)を含むフォトクロミック物品に関する。特に、本発明は、眼科用用途に利用されるフォトクロミック物品(例えば、レンズ)に関する。より詳細には、本発明は、透明なポリマー基材を含むフォトクロミック物品に関し、このポリマー基材は、少なくとも基材の一表面に付加される透明なフォトクロミック有機ポリマーコーティング、および上述のフォトクロミックコーティングに付加される透明な放射線硬化アクリレートベースフィルムを有する。本発明に従い、放射線硬化アクリレートベースフィルムは、水性無機腐食剤(caustic)に耐性で、フォトクロミックポリマーコーティングに堅く接着し、露出表面に塗布され得る耐摩耗性の有機シラン含有コーティングと適合し得、そしてそれ自体、フォトクロミックコーティングと比較して耐ひっかき性である。さらにより詳細には、本発明は、眼科用プラスチックレンズのようなフォトクロミック物品に関し、このフォトクロミック物品は、その少なくとも一表面上に、透明な(好ましくは光学的に透明な)フォトクロミックポリマーコーティングの第一層、および上述の透明な放射性硬化アクリレートベースフィルムの第二層が、連続で付加されている。本発明のさらなる実施形態において、第二層に付加される、少なくとも1つの耐摩耗性コーティングを含む第三層を有することが企図されるフォトクロミック物品が、存在する。またさらなる実施形態において、第四層(例えば、反射防止コーティング)が、耐摩耗性コーティング第三層に塗布される。追加の機能的層または追加の保護層を提供するために、追加の層が、第四層に塗布され得る。
眼への入射光の伝達が減少する時に良い画質を提供する、透明な可塑性眼科用物品は、種々の塗布(サングラス、ファッションレンズ、非処方レンズおよび処方レンズ、スポーツマスク(sport mask)、顔面シールド(face shield)およびゴーグルなど)に必要とされる。この必要に応えて、光学的塗布のために利用されるフォトクロミック可塑性物品は、少なからぬ注目を与えられている。特に、フォトクロミック眼科用プラスチックレンズは、ガラスレンズと比較して、プラスチックレンズが提供する質量的利点のために、注目されている。
フォトクロミズムは、紫外線照射光への曝露において、有機物質または無機物質(例えば、クロメンまたはハロゲン化銀塩、あるいはこのような物質を含む物品)の色の可逆的変化を含む現象である。紫外線を含む照射源としては、例えば、日光および水銀ランプの光が挙げられる。フォトクロミック物質が紫外線照射光に晒される場合、これは色の変化を示す。そして、紫外線照射光が中断されると、フォトクロミック物質は、その元の色状態または無色状態に戻る。フォトクロミック物質を有する眼科用物品は、この色の可逆的変化および光伝達の必然的な可逆的変化を示す物品に塗布されるか、またはその中に組み込まれる。
色の可逆的変化に応答すると考えられる機構(すなわち、可視光(400〜700nm)の電磁スペクトルにおける、吸収スペクトルの変化)(様々な型の有機フォトクロミック化合物の特性である)が、記載されている。例えば、John C.Crano,“Chromogenic Materials(Photochromic)”,Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,fourth Edition(1993)pp.321−332を、参照のこと。有機フォトクロミック化合物(インドリノスピロピラン(indolino spiropyran)およびインドリノスピロオキサジン(indolino spirooxazine)など)についての色の可逆的変化の応答機構は、電子環状機構(electrocyclic mechanism)に関与すると考えられる。活性化紫外線照射光に晒された場合、これらの有機フォトクロミック化合物は、無色の閉環形態から、有色の開環形態へと変形する。対照的に、フォトクロミックフルギド(fulgide)化合物の色の可逆的変化に反応し得る電子環状機構は、無色開環形態から有色閉環形態への変形に関与すると考えられる。
フォトクロミック可塑性物品は、フォトクロミック物質を可塑性基材に表面インビビション技術によって組み込むことにより、調製されている。例えば、米国特許第5,130,353号および同第5,185,390号を参照のこと。これらは、可塑性物品(レンズなど)の表面領域へのフォトクロミック色素の含有を記載する。この含有は、最初に1つ以上のフォトクロミック色素/化合物(ニートなフォトクロミック色素/化合物、またはポリマー溶媒キャリアもしくは他の有機溶媒キャリア中に溶解されたフォトクロミック色素/化合物のどちらか)を、可塑性物品の表面に塗布する工程、そして次に、コーティングされた表面に熱を加えてフォトクロミック色素/化合物をレンズの表面領域へ拡散させる工程(一般に「インビビション」と呼ばれるプロセス)による。フォトクロミック可塑性物品のような可塑性基材は、ポリマーマトリックス内部に、フォトクロミック化合物(上述のスピロオキサジン、スピロピランおよびフルギドなど)を無色形態から有色形態へ変形させ、そして次にその元の無色形態に戻すために、充分な空き容量を有すると考えられる。しかし、上述の電子環状機構を充分に起こすために充分な空き容量を有さないと考えられる、特定のポリマーマトリックスが、存在する。この電子環式機構は、インバイブされた(または内部に組み込まれた)フォトクロミック物質の基材としての、ポリマーマトリックスの(商業的に受容可能なフォトクロミック塗布のための)利用を許容する。このような基材としては、例えば、ポリオール(アリルカーボネート)モノマー(アリルジグリコールカーボネートモノマー(例えば、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート))など)およびそのコポリマーから調製される、熱硬化性ポリマーマトリックスが挙げられる。この熱硬化性ポリマーマトリックスは、一般に、熱塑性ビスフェノールAベースポリカーボネート(thermoplastic bisphenol A−based polycarbonate)として、そして高度に架橋された光学的ポリマーとして、公知である。
熱硬化性ポリマー、熱塑性ポリカーボネート、および高度架橋光学的ポリマー物質を、フォトクロミック物品のための可塑性基材として利用させるため、有機的フォトクロミックコーティングをこのような可塑性基材表面に塗布することが、提唱されている。例えば、米国特許第6,187,444B1号を参照のこと。これは、フォトクロミックポリウレタンコーティングの、可塑性基材への塗布を記載する。耐摩耗性コーティングを光受容性コーティングの露出表面に塗布し、光受容性コーティングの表面を、物理的な操作、洗浄、およびフォトクロミックコーティングの環境への露出から生じる、引っかき傷および他の類似の外見的欠陥から保護することも、また、提唱されている。例えば、米国特許6,268,055B1号を参照のこと。
フォトクロミックポリマーコーティングおよび耐摩耗性コーティングの重なりを有する眼科用プラスチックレンズを取り巻く特定の状況において、このようなレンズが激しく傷つけられた時に、傷ついたレンズをアルコール(例えば、イソプロピルアルコール)を含有する市販の洗浄溶液で洗浄することは、フォトクロミックコーティングの欠陥を生じ得ることが観察される。さらに、フォトクロミックコーティングに塗布される耐摩耗性コーティング、または耐摩耗性コーティングに塗布される反射防止コーティングが、製品要件を通らないと判定されること、または眼科用レンズの場合、眼科用レンズのための商業的受容可能な「化粧用標準(cosmetic standard)」を満たさないと判定されることは、珍しいことではない。コーティングされたレンズの外見的欠陥としては、しみ、引っかき傷、封入、割れ目およびひびが挙げられ得る。これが発生した場合、欠陥のあるコーティングを除去し(例えば、水性腐食性溶液の化学的処理により)、そしてその後、新しいコーティングを塗布することが、経済的に望ましい。受容不能コーティングの化学的除去の過程において、下にあるコーティング(例えば、フォトクロミックコーティング)が、損なわれ得、それによって物品(例えば、レンズ)の価値を破壊し得る。当業者に容易に明らかであるように、耐摩耗性コーティングおよび反射防止耐性コーティングの、眼科用レンズのフォトクロミックコーティングへの、続いて行われる塗布は、一連の多様な製造工程の最後の1つであり、そのどちらも、製造されるレンズに価値を付加し、その価格を上げる。付加されたコーティングが製造要件を満たさないので、製造過程のほぼ最後のこの段階でレンズを破砕することは、製造費用を増やし、そしてレンズ製品の最終価格を上げる。従って、このような製造ロスの回避は、経済的に望ましい。
さらに、幾らかのフォトクロミック眼科用レンズの製造業者は、別の製造業者により調製されているフォトクロミックコーティングレンズ上に、自らの専売の耐摩耗性コーティングおよび/または反射防止コーティングを置くことを所望する。このような耐摩耗性コーティングおよび/または反射防止コーティングの塗布の準備において、レンズの包装、輸送、開封、洗浄または他の物理的操作の結果として、フォトクロミックコーティングは、傷つけられ得、または損なわれ得ることが考えられる。従って、このような製造業者へ輸送されるレンズは、傷または他の外見的欠陥(フォトクロミックコーティングレンズの包装、開封、輸送、洗浄および/または操作の間に生じ得る)に耐性である(すなわち、耐ひっかき性である)ことが望ましい。
現在、フォトクロミックポリマーコーティングと耐摩耗性コーティングとの間の適切な有機性フィルムの提供が、実質的に上述の問題を減じ得ることが、発見されている。より詳細には、このような問題は、フォトクロミックコーティングに接着するアクリレートベースフィルムが、フォトクロミックコーティングと比較して耐ひっかき性であり、水性無機腐食剤での処理の結果としての除去に対して耐性であり、そして有機シラン物質を含有する耐摩耗性コーティングと適合性である放射線硬化アクリレートベースフィルムの、フォトクロミックコーティングへの塗布によって、実質的に減ぜられ得ることが発見されている。
本発明の一実施形態に従い、組み合わせにおいて以下を含むことを企図されるフォトクロミック物品(例えば、レンズ)が存在する:
(a)透明な有機性ポリマー基材;
(b)上述のポリマー基材の、少なくとも一表面の少なくとも一部に付加される、有機性ポリマーコーティング(上述のポリマーコーティングは少なくとも1つの有機性フォトクロミック物質を含む);および
(c)上述のフォトクロミックポリマーコーティングに密着して付加される、放射線硬化アクリレートベースフィルム。上述の放射線硬化アクリルフィルムの露出された表面は:
(1)水性無機腐食剤処理に耐性であり、
(2)有機性シラン含有耐摩耗性コーティングと適合性であり、そして
(3)耐ひっかき性である。
本発明の別の実施形態において、放射線硬化アクリレートベースフィルムの露出表面に付加される耐摩耗性コーティング(有機シランを含むハードコーティングなど)をさらに含むことを企図される、上述の透明なフォトクロミック物品が、存在する。この実施形態において、スチールウール摩擦試験またはBayer摩擦試験によって測定されるような、耐摩耗性コーティングの耐摩耗性の測定可能な増加が存在することが発見されており、これらの試験は、フォトクロミックコーティング上への直接的なコーティングのような配置と比較して、本開示中に実質的に記載される。本発明のさらなる実施形態において、耐摩耗性コーティングに塗布された反射防止コーティングを有することを企図されるフォトクロミック物品が、存在する。他のコーティング(抗静電気コーティングおよび/または防水コーティングなど)もまた、反射防止コーティングに塗布され得る。
本発明のまたさらなる実施形態において、組み合わせで以下を含むことを企図される眼科用フォトクロミック物品が、存在する:
(a)アリルジグリコールカーボネート(例えば、ジエチルグリコールビス(アリルカーボネート)など)、熱可撓性ポリカーボネートから調製される基材、ポリウレアウレタンから調製される基材、または多官能イソシアネートの反応産物およびポリチオールモノマーもしくはポリエピスルフィドモノマーを含む基材を含む重合可能組成物から調製される、熱硬化性基材のような、透明な有機性可塑性基材、
(b)上述の可塑性基材の少なくとも一表面に付加される、アクリルベース、ポリウレタンベースまたはポリエポキシベースのフォトクロミックコーティングなどの、光学的に透明な有機性ポリマーフォトクロミックコーティング。上述のポリマーフォトクロミックコーティングは、少なくとも1つの有機性フォトクロミック物質の光感受量を含む;
(c)上述のフォトクロミックコーティングに密着する、光学的に透明な放射線硬化性アクリレートベースフィルム;および
(d)上述のアクリレートベースフィルムに付着する有機性シラン含有ハードコートなどの、任意の耐摩耗性コーティング。上述の放射線硬化性アクリレートベースフィルムの表面は、(1)希釈された水性無機腐食性溶液(アルカリ金属水酸化物溶液など)での処理の結果としての除去に耐性であり、(2)有機性シランコーティング、耐摩耗性コーティングと両立し得、そしてフォトクロミックポリマーコーティングより耐ひっかき性である(すなわち、フォトクロミックポリマーコーティングより硬い)。なおさらに企図される実施形態において、耐摩耗性コーティングが存在するとすれば、反射防止コーティングは、上述の耐摩耗性コーティングに接着する。
留意されるように、可塑性基材に付着するフォトクロミックポリマーコーティングへの耐磨耗性コーティングの塗布は、記載されている。例えば、米国特許第6,187,444 B1号および同第6,268,055 B1号を参照のこと。米国特許第4,405,679号は、プライマーコーティングを有するポリカーボネート型樹脂の形成された物品を記載する。このプライマーコーティングは、ポリカーボネート表面および引き続くシリコン型樹脂のコーティングに接着する。米国特許第4,756,973号は、有機樹脂のレンズ部材およびこのレンズ部材の少なくとも片側に塗布されるフォトクロミック層を記載する。このフォトクロミック層は、フェノール樹脂および/またはフェノール性化合物を含み得る。フォトクロミック層において使用されるフォトクロミック化合物は、特定の式のスピロオキサジン化合物である。ハードコーティング層をフォトクロミック層の表面上に置くこともまた、973号特許に記載される。
米国特許第5,910,375号は、可塑性眼科用レンズの、着色可能な耐ひっかき性コーティングを記載する。375号特許は、着色されるべき材料の表面を覆って形成される色素レザバ層およびこの色素レザバ層を覆って形成されるハードコーティング層を含む、二重コーティングを記載する。米国特許第5,916,669号は、(1)可塑性基材、(2)可塑性基材の表面上に置かれたアクリル化オリゴマー樹脂またはアクリル化オリゴマー/アクリル化モノマー混合樹脂を含む摩滅増幅層、および(3)摩滅増幅層の上に置かれたポリアクリル化ウレタンを含むトップコーティング層の、耐磨耗性物品を記載する。
WO97/22894は、光学的レンズの前面または後面のウェハー、望ましい光学的特性(例えば、光分極物質、紫外線阻害剤、フォトクロミック物質ならびに他の顔料および色素により提供される特性)を有するポリマーフィルムの内層、および内層の保護コーティングを形成する外層の、層状光学的物品を記載する。日本国特許出願平3(1991)−269507号は、可塑性ベース材料のプラスチックレンズ、熱硬化性ポリウレタンを含むフォトクロミックプライマー層、およびプライマー層を覆うシリコーン樹脂からなるハードコート層を記載する。日本国特許出願平3(1991)−35236号および同昭64(1989)−30744号は、可塑性ベース材料および以下の一連のコーティングからなる層状フォトクロミック物品を記載する:フォトクロミック化合物を含む有機ポリマーのフィルム、ハードコーティングフィルム、抗静電気特性を有する反射防止フィルム層、および撥水有機フィルム。
(発明の詳細な記載)
本発明に従い、フォトクロミック物品が提供される。このフォトクロミック物品は、組み合わせで、ポリマー基材;基材の少なくとも一表面に付加されたフォトクロミックポリマーコーティング;およびフォトクロミックコーティングに接着された放射線硬化性アクリレートベースのフィルムを含む。この放射線硬化性アクリレートベースのフィルムは、(a)耐ひっかき性であり、(b)希釈された水性無機腐食剤溶液での処理に耐性であり、そして(c)耐磨耗性有機シラン含有コーティングと適合性である。本発明のさらなる実施形態において、耐磨耗性コーティング(例えば、有機シランハードコーティング)は、放射線硬化性アクリレートベースのフィルムに、塗布される。なおさらに企図される実施形態において、追加のコーティングが、耐磨耗性コーティングに塗布される。このような追加のコーティングとしては、反射防止コーティング、抗静電気性コーティング、撥水性コーティングおよびこのようなコーティングの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定はされない。
作業実施例以外において、または示されている以外において、全ての値および値の範囲(例えば、屈折率、波長、構成要素の量、種々の記載された成分の列挙された範囲、または反応条件を表す)(本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される)は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。
本発明のフォトクロミック物品の調製において使用され得るポリマー有機基材は、基材の表面に塗布されるフォトクロミックポリマーコーティングと化学的に適合性である、任意の公知の(または後に発見される)可塑性物質である。特に企図される基材は、光学的基材として有用である当該分野で認識されるポリマー(例えば、光学的適用のための、光学的に透明な成形物(例えば、眼科用レンズ)の調製に使用される、有機光学的樹脂)である。
ポリマー有機基材として使用され得る有機基材の非限定的な例は、ポリマー(すなわち、米国特許第5,962,617号および米国特許第5,658,501号(15欄28行目〜16欄17行目)(これらの米国特許の開示は、本明細書中で参考として援用される)において開示される、モノマーおよびモノマーの混合から調製される、ホモポリマーおよびコポリマー)である。このような有機基材は、熱可塑性ポリマー基材または熱硬化性ポリマー基材(例えば、好ましくは1.48〜1.74の範囲(例えば、1.50〜1.67)の屈折率を有する、透明な(transparent)(好ましくは光学的に透明な(clear))基材)であり得る。
このような開示されたモノマーまたはポリマーの例としては、以下が挙げられる:ポリオール(アリルカーボネート)モノマー(例えば、PPG Industries,Incにより、商標CR−39の下で市販されるモノマーである、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)のような、アリルジグリコールカーボネート);例えば、ポリウレタンプレポリマーおよびジアミン硬化剤の反応から調製されるポリウレア−ポリウレタン(ポリウレアウレタン)ポリマー(このようなポリマーの組成物の1つは、PPG Industries,Incにより、商標TRIVEXの下で市販される);ポリオール(メタ)アクリロイル終結カーボネートモノマー;ジエチレングリコールジメタクリレートモノマー;エトキシル化フェノールメタクリレートモノマー;ジイソプロペニルベンゼンモノマー;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー;エチレングリコールビスメタクリレートモノマー;ポリ(エチレングリコール)ビスメタクリレートモノマー;ウレタンアクリレートモノマー;ポリ(エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート);ポリ(ビニルアセテート);ポリ(ビニルアルコール);ポリ(塩化ビニル);ポリ(塩化ビニリデン);ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリウレタン;ポリチオウレタン;ビスフェノールAおよびホスゲンの由来のカーボネート結合樹脂のような、熱可塑性ポリカーボネート(このような物質の1つは、商標LEXANの下で市販される);ポリエステル(例えば、商標MYLARの下で市販される物質);ポリ(エチレンテレフタレート);ポリビニルブチラール;商標PLEXIGLASの下で市販されるようなポリ(メチルメタクリレート)、および多官能性イソシアネートとポリチオールモノマーまたはポリエピスルフィドモノマーとの反応によって調製されるポリマー(ポリチオール、ポリイソシアネート、ポリイソチオシアネートおよび任意のエチレン性不飽和モノマーまたはハロゲン化芳香族含有ビニルモノマーと、ホモポリマー化またはコポリマー化および/もしくはターポリマー化される)。例えば、相互貫通するネットワーク生成物を形成するための、このようなモノマーのコポリマーならびに記載されるポリマーおよび他のポリマーとのコポリマーの混合物もまた、企図される。有機基材の厳密な性質は、本発明に重要でない。しかし、有機ポリマー基材は、基材の表面に塗布されるフォトクロミックポリマーコーティングと、化学的に適合性であるべきである。光学的適用のために、基材は透明(transparent)(望ましくは、光学的に透明(clear))であるべきである。
本発明のフォトクロミック物品を調製するために使用されるポリマー有機基材は、その表面上に、保護コーティング(例えば、耐磨耗性コーティング)を有し得る。例えば、市販の熱可塑性ポリカーボネート光学レンズは、代表的に、既にその表面に塗布された、耐磨耗性コーティング(例えば、ハードコーティング)を備えて市販される。何故なら、この表面は、容易にひっかかれるか、磨耗されるか、または磨り減らされがちであるためである。このような物品の一例は、Gentexポリカーボネートレンズ(Gentex Opticsから入手可能)であり、これは、既にポリカーボネート表面に塗布されたハードコーティングを備えて市販されている。本開示および特許請求の範囲の中で使用される場合、用語「ポリマー有機基材」(または同様の意味の請求項)またはこのような基材の「表面」は、ポリマー有機基材自体または基材上にコーティングを有するこのような基材のいずれかを意味し、そして含むことを意図する。従って、本開示中または特許請求の範囲の中で、プライマーコーティングまたはフォトクロミックポリマーコーティングを基材表面へ塗布することに言及がなされた場合、このような言及は、このようなコーティングを、ポリマー有機基材それ自体または基材表面上のコーティング(例えば、耐磨耗性コーティング)に塗布することを含む。故に、用語「基材」は、その表面上にコーティングを有する基材を含む。コーティングは、任意の適切なコーティングであり得、耐磨耗性コーティング(ハードコーティング)に限らない(例えば、任意の保護コーティング、またはこの基材がその一部である物品にさらなる機能的特性を提供する任意のコーティング)。
可塑性基材上のフォトクロミック有機コーティング(特に熱可塑性ポリカーボネートのような可塑性基材)の使用は、記載されている。本発明に従い、選ばれた有機基材と共にコーティングとして使用され得、そして使用のために選択される有機フォトクロミック物質/化合物のホスト物質として機能する任意の有機ポリマー物質が、使用され得る。好ましくは、ホスト有機ポリマーコーティングは、例えば、無色形態から裸眼で見える有色形態へと、紫外線照射(UV)に応答して変化し、そしてUV照射が除かれた時に無色形態に戻るように、フォトクロミック物質が効率的に機能するために充分な、内部の空き容量を有する。それ以外は、フォトクロミック物質のためのホスト物質として使用される有機コーティングの正確な化学的特性は、重要でない。
有機ポリマー物質の非限定的な例としては、以下が挙げられる;米国特許第6,107,395号および同第6,187,444 B1号、ならびに国際公開WO01/55269号に記載されるようなポリウレタンベースのコーティング;米国特許第6,268,055 B1号に記載されるようなエポキシ樹脂ベースのコーティング;国際特許公開WO01/02449 A3号(米国特許出願番号第09/345,028、1999年7月2日出願)(「Poly(Meth)Acrylic Photochromic Coating」と題された)、国際特許公開WO96/37593号および同WO97/06944号、ならびに米国特許第5,621,017号および同第5,776,376号に記載されるようなアクリル/メタクリルモノマーベースのコーティング;国際特許公開WO00/36048号(米国特許出願番号第09/449,099号、1999年11月24日出願)(「Aminoplast Resin Photochromic Coating Composition and Photochromic Articles」と題された)に記載されるようなアミノプラスト(aminoplast)(例えば、メラミン型)樹脂;国際特許公開WO00/34410号(米国特許出願番号第09/209,731、1998年12月11日出願)(「Polyanhydride Photochromic Coating Composition and Photochromic Articles」と題された)に記載されるようなヒドロキシル官能性成分およびポリマー無水物官能性成分を含有するコーティング(すなわち、ポリ無水物コーティング);ならびに米国特許出願番号第09/211,249号(1998年12月14日出願)(現在の米国特許第6,060,001号)(「Alkoxyacrylamide Photochromic Coating Composition and Photochromic Articles」と題された)に記載されるようなN−アルコキシメチル(メタ)アクリルアミド官能性ポリマー含有コーティング。上述の、ポリマーフォトクロミックコーティングに関する特許および特許出願の各々の開示は、本明細書中に参考として援用される。
特に目的のものは、フォトクロミックポリウレタンベースのコーティング、フォトクロミックポリアクリルベースのコーティングまたはフォトクロミックポリメタクリルベースのコーティング(集合的に、ポリ(メタ)アクリルベースのコーティングと言及される)、およびフォトクロミックエポキシ樹脂ベースのコーティングである。特別に目的のものは、透明な(transparent)(例えば、光学的に透明な(clear))、眼科用適用(例えば、平面レンズおよび視力矯正レンズ))、太陽レンズ(sun lens)およびゴーグル、市販用および住宅用窓、自動車および飛行機の透明ガラス、ヘルメット、プラスチックシーティング、クリアフィルムなどのための可塑性基材の上に使用するための、光学的に透明なフォトクロミックのポリウレタン、エポキシおよびポリ(メタ)アクリルベースのコーティングである。用語「透明な(transparent)」は、本開示および特許請求の範囲で、基材、フィルムまたはコーティングに関係して使用される場合、示されるコーティング、フィルムまたは物質(例えば、可塑性基材、非活性化フォトクロミックコーティング、放射線硬化性アクリレートベースのフィルム、および放射線硬化性アクリレートベースのフィルム上に重ねられた(superimposeまたはsuperpose)コーティング)が、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、そしてより好ましくは少なくとも85%の光透過を有することを意味することを意図する。本開示および特許請求の範囲で使用される場合、用語「光学的に透明(clear)」により、その特定の品目が、光学(例えば、眼科用)物品について商業的に受容された値および調節値を満たす光透過を有することが、意味される。
フォトクロミックポリウレタンコーティングを調製するために使用され得るポリウレタンは、米国特許第6,187,444 B1号(この開示は、本明細書中に参考として援用される)の、3欄4行目から6欄22行目において、より完全に記載されるような、有機ポリオール成分とイソシアネート成分との反応から産生されるポリウレタンである。より詳細には、これらのポリウレタンは、有機ポリオールを産生する少なくとも1つのハードセグメントおよび、有機ポリオールを産生する少なくとも1つの軟質セグメントの組み合わせから、産生される。一般に、ハードセグメントは、イソシアネートと鎖延長剤(chain extender)(すなわち、低分子量のジオールおよびトリオールのような、短鎖ポリオール)との反応から生じる;そして、軟質セグメントは、イソシアネートとポリマー骨格成分(例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールまたはこのようなポリオールの混合物)との反応から生じる。ポリオール産生ハードセグメント対ポリオール産生軟質セグメントの重量比は、10:90から90:10まで変動し得る。
ポリウレタン反応混合物を含む成分の相対量は、反応性イソシアネート基の利用可能数対反応性ヒドロキシル基の利用可能数の比率(例えば、0.3:1.0〜3.0:1.0のNCO基:OH基の比率)として、示され得る。
イソシアネート成分は、脂肪族、芳香族、脂環式もしくはヘテロ環式のイソシアネート、またはこのようなイソシアネートの混合物であり得る。代表的には、イソシアネート成分は、ブロックされたまたはブロックされていない脂肪族または脂環式のイソシアネート、またはこのようなイソシアネートの混合物から選択される。
米国特許第6,107,395号(この開示は本明細書中で参考として援用される)にさらに記載されるように、フォトクロミックホスト材料として適切なポリウレタンは、以下を含むイソシアネート反応混合物から調製され得る:(i)40〜85重量%の、2〜4の名目上の官能基および500g/モル〜6000g/モルの分子量を有する、1つ以上のポリオール、(ii)15〜60重量%の、2〜3の官能基および62〜499の分子量を有する、1つ以上のジオールもしくはトリオールまたはこれらの混合物、および(iii)3未満(例えば、2)の官能基を有する脂肪族ポリイソシアネート。
上述の国際特許公表WO01/02449 A3号は、フォトクロミック物質のためのポリ(メト)アクリルホスト物質の反応混合物が、3より大きく15未満までのアルコキシ単位を有し得る、少なくとも2つの二官能性(メト)アクリレートモノマーを含むことを記載する。一実施形態において、二官能性(メト)アクリレートは、通常1〜8個までの炭素原子を含む直鎖状または分枝鎖アルキレン基に結合される反応性アクリレート基を有する;一方、第二の二官能性(メト)アクリレートは、エチレン酸化物、プロピレン酸化物、ブチレン酸化物またはこれらの酸化物基の混合物に、ランダムにまたはブロック順に、結合される反応性アクリレート基を有する。この開示は、本明細書中に参考として援用される。
米国特許第6,268,055 B1号に記載されるエポキシ樹脂ベースコーティングは、エポキシ樹脂またはポリエポキシド(例えば、脂肪アルコールおよび脂肪フェノールのポリグリシジルエーテル)、エポキシ含有アクリル重合体、ポリカルボン酸のポリグリシジルエステルおよびこれらのエポキシ含有物質の混合物を含む組成物、硬化剤(例えば、有機ポリオールと酸無水物との反応から形成される半エステルを含む多価酸)との反応により調製されるエポキシ樹脂ベースコーティングである。この開示は、本明細書中に参考として援用される。
可塑性基材の少なくとも一表面に適用されるフォトクロミックコーティングのレベルは、硬化されたコーティングが紫外線(UV)照射に晒された場合、光学密度(ΔOD)における望ましい変化を示すコーティングを作製する、充分な量の有機フォトクロミック材料を提供するのに、充分な量(すなわちフォトクロミック量(photochromatic amount))である。好ましくは、22℃(72°F)でUV露光の30秒後に測定される、光学密度における変化は、少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.15、そしてより好ましくは少なくとも0.20である。UV露光の15分後の光学密度における変化は、好ましくは少なくとも0.10、好ましくは0.50、そしてより好ましくは0.70である。
フォトクロミックコーティングの退色率(退色する半減期(T1/2)として報告される)は、好ましくは500秒以下であり、好ましくは190秒以下であり、そしてより好ましくは115秒以下である。半減期退色率は、フォトクロミックコーティングの活性化形態の光学密度(ΔOD)における変化が、活性化光源を除いた後、最高ΔODの半分に達するための秒における時間間隔である。光学密度における変化の上述の値および退色率は、22℃(72°F)で測定される。
異なって述べられた、フォトクロミックコーティングにおいて使用される活性フォトクロミック材料の量は、コーティングを作製するために使用される単量体/樹脂の総重量に基づき、0.5重量%〜40.0重量%までの範囲におよび得る。使用されるフォトクロミック材料の相対量は、変化し、そしてフォトクロミック化合物の活性化形態の色の相対的強さ、望ましい最終色、およびフォトクロミック材料の重合体コーティングにおける可溶性または分散性に一部依存する。コーティング内でフォトクロミック材料の結晶が形成されるような量のフォトクロミック材料を使用しないように、気をつけるべきである。好ましくは、活性フォトクロミック材料のフォトクロミックコーティングにおける濃度は、1.0重量%〜30重量%の範囲であり、より好ましくは、3重量%〜20重量%の範囲であり、そして最も好ましくは、3重量%〜10重量%の範囲である(コーティングを作製するのに使用された単量体の総重量に基づく)。コーティングにおけるフォトクロミック材料の量は、これらの値(列挙された値を含め)の、任意の組み合わせの間の範囲におよび得る。
可塑性基材の表面に適用されるフォトクロミックコーティングは、代表的に、少なくとも3ミクロン、好ましくは少なくとも5ミクロン、より好ましくは少なくとも10ミクロン(例えば、20ミクロンまたは30ミクロン)の厚みを有する。適用されるフォトクロミックコーティングは、通常、200ミクロン以下、好ましくは100ミクロン以下、そして最も好ましくは50ミクロン以下(例えば、40ミクロン)の厚みを有する。フォトクロミックコーティングの厚みは、これらの値(列挙された値を含め)の、任意の組み合わせの間の範囲におよび得る。例えば、フォトクロミックコーティングは、10ミクロン〜50ミクロンの範囲(例えば、20ミクロン〜40ミクロン)におよび得る。好ましくは、適用されるフォトクロミックコーティングは、外見的欠陥(例えば、ひっかき傷、穴、しみ、割れ目、ひびなど)を有さない。
代表的には、用語「コーティング」は、コーティングにおける当業者に、4ミル(約100ミクロン)以下の厚みを有する層である。しかし、本明細書および請求項において、フォトクロミックコーティングに関して使用される場合、コーティングという用語は、本明細書中上で定義されるような厚みを有すると、本明細書中で定義される。さらに、本明細書中および請求項で使用される場合、用語「可塑性基材の表面」また類似の用語(すなわち、フォトクロミックポリマーコーティングが適用される表面は、基材の表面の少なくとも一部だけが被膜される実施形態を含むことを意図する。故に、フォトクロミックコーティング(およびフォトクロミックコーティングに適用されるアクリレートベースフィルム)は、基材の表面の一部だけを覆い得るが、代表的には、少なくとも一表面の全体に適用される。
フォトクロミックコーティングの硬さは、重要ではないが、適用および硬化の後、好ましくは、コーティングにおける欠点(例えば、ひっかき傷)を生じずに、物理的/機械的に操作されるために、充分な硬さである。フォトクロミックコーティングの硬さは、好ましくは、フォトクロミックコーティングに適用される放射線硬化アクリレートベースフィルムより弱く、放射線硬化アクリルベースフィルムはまた、好ましくは、放射線硬化アクリレートベースフィルムに適用される耐摩耗性コーティング(硬質コート)より軟らかい。従って、可塑性基材に適用される重要なコーティング(基材に適用され得る任意のプライマー層を含まない)は、耐摩耗性コーティングの方向に向かって硬度が高まる。上述のコーティング/フィルムの硬度における変化は、Bayer摩耗試験(Bayer Abrasion Test)(本明細書中以下で記載される)の実行により、それぞれのコーティングにおいて定量され得る。Bayer Abrasion Testによって得られる値は、比率(Bayer ヘイズゲイン率(haze gain ratio))(コーティングにおいて発生したくもりの量を、標準と比較して示す)から得られる。硬度変化は、内側フォトクロミックコーティングに始まり外側の耐摩耗性コーティングに終わる、Bayer率の増加によって証明される。アクリレートベースフィルムのBayer率は、フォトクロミックコーティングのBayer率と耐摩耗性コーティングのBayer率との中間である。
有機性フォトクロミックコーティングのFischer 微少硬度(microhardness)は、公開特許文献において、代表的には、少なくとも1mmあたり40または50ニュートン、好ましくは少なくとも1mmあたり60または70ニュートン、そして代表的には、1mmあたり150ニュートン未満、好ましくは130未満、より好ましくは120未満(例えば、1mmあたり100ニュートン)であると、記載されている。本発明に従って、フォトクロミックコーティングのFischer 微少硬度は、40未満(例えば、15)であり得、そして上述より低い範囲(例えば、15〜80)であり得る。この、硬度におけるより低い範囲は、フォトクロミック材料との関連において上で議論した電子環式メカニズムに、より高い硬度値においてより高い効率を起こさせ、そしてより高い硬度値のフォトクロミックコーティングで観察された退色率と比較して、フォトクロミック材料に対し、より低い退色率値を生じる。有機性フォトクロミック漂白のFischer 微少硬度は、述べられた値(列挙された値を含め)の、任意の組み合わせの間の範囲におよび得る。Fischer 微少硬度値は、Fischerscope HCVモデルH−100(Fischer Technology,Incから入手可能)によって、試験サンプルの中央領域において100ミリニュートン負荷、30負荷工程、および負荷工程間に2μm(ミクロン)の深度でインテンダー(Vickersダイアモンド圧子)で、0.5秒間の静止の条件下で、3測定、測定される。
可塑性基材に適用され得るフォトクロミックコーティングに利用され得る、例えば、色素/化合物またはこのような色素/化合物を含有する組成物などのフォトクロミック材料は、フォトクロミック有機化合物および/またはこのようなフォトクロミック有機化合物を含有する組成物である。特定のフォトクロミック材料(例えば、化合物)の選択は、重要ではなく、そしてその選択は、最終的な適用および適用のための望ましい色または色合いに依存する。2つ以上のフォトクロミック化合物が組合わせて使用される場合、一般に、これらは望ましい色または色合いを呈するために互いに補足し合うように選ばれる。フォトクロミックコーティングに使用されるフォトクロミック有機化合物は、通常、少なくとも1つの活性化吸収最大値を、400nmと700nmの間の可視スペクトルの範囲内に有する。有機性フォトクロミック材料は、フォトクロミック材料に(たとえば、溶解または拡散によって)組み込まれ、そして、活性化したとき(すなわち、UV照射に晒したとき)、フォトクロミック材料は、このような物質の有色形態の特性である、色または色合いへと変化する
企図される一実施形態において、フォトクロミックコーティングのフォトクロミック有機化合物は、以下を含む;
(a)400nmから550nm未満まで(例えば、400nmから525nm)の可視λmaxを有する、少なくとも1つのフォトクロミック有機化合物;および
(b)525nmまたは550nmより高い(例えば、525nmまたは550nmから700nm)の可視λmaxを有する、少なくとも1つのフォトクロミック有機化合物。
フォトクロミックコーティングに使用され得るフォトクロミック化合物の非限定的な例としては、ベンゾピラン、ナフトピラン(例えば、ナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン、フェナントロピラン、キノピラン、およびインデノ融合ナフトピラン(indeno−fused naphthopyran))(米国特許第5,645,767号に記載される)、ベンゾオキサジン、ナフトオキサジン、およびスピロ(インドリン)ピリドベンゾオキサジンが、挙げられる。特定の例は、ナフトピランを含み、米国特許第5,658,501号に記載され、そしてこの特許において補足的有機性フォトクロミック物質が、11欄57行目から13欄36行目を通して、開示される。本明細書中で利用を企図される他のフォトクロミック物質は、フォトクロミック金属ジチゾネート(例えば、水銀ジチゾネート)(例えば、米国特許第3,361,706号に記載される);フルギドおよびフルギミド(例えば、3−フリルおよび3−チエニルのフルギドおよびフルギミド(例えば、米国特許第4,931,220号の、20欄5行目から21欄38行目に記載される));および任意の上述のフォトクロミック材料/化合物の混合物である。
加えて、フォトクロミック顔料のような有機性フォトクロミック材料および金属酸化物に内包されるフォトクロミック化合物が、フォトクロミックコーティングにおいて使用され得ることが企図される。例えば、米国特許第4,166,043号および同第4,367,170号に記載される物質を参照のこと。上述の特許における、フォトクロミックの化合物および物質に関するこの開示は、本明細書中に参考として完全に援用される。
本発明のフォトクロミックコーティングは、1つのフォトクロミック化合物または2つ以上のフォトクロミック化合物の混合物を、望まれるままに含み得る。フォトクロミック化合物の混合物は、特定の活性化色(中間灰色近くまたは中間茶色近くなど)を達するために使用され得る。例えば、米国特許第5,645,767号、12欄、66行目から13欄19行目までを参照のこと。この開示は本明細書中に参考として援用され、中間灰色および中間茶色を定義するパラメータを記載する。
本明細書中に記載されるフォトクロミック化合物は、コーティング組成物への付加および/または硬化可能コーティング組成物への付加前の溶剤への溶解により、硬化可能コーティング組成物に組み込まれ得る。あるいは、あまり好ましくないが、フォトクロミック化合物は、浸染、浸透、拡散または他の移動方法(この方法はホスト物質への色素転移の当業者に公知である)により、硬化された重合体コーティングに組み込まれ得る。
フォトクロミック材料に加えて、フォトクロミックコーティング(または前駆体調製物)は、コーティングに望ましい特性または特徴を与える追加の従来のアジュバント、もしくは可塑性基材の表面上のフォトクロミックコーティングを適用しそして硬化するために使用される過程に要求される追加の従来のアジュバント、またはコーティングの性能を高める追加の従来のアジュバントを、含み得る。このようなアジュバントとしては、光安定剤、熱安定剤、レオロジー調節剤、平面化剤(例えば、界面活性剤)、フリーラジカル除去剤および接着促進剤(トリアルコキシシランなど(例えば、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、アミノエチルトリメトキシシラン、および3−(トリメトキシリル)プロピルメタクリレートを含む、1〜4個の炭素原子のアルコキシ基を有するシラン))が挙げられるが、これらに限定されない。
フォトクロミック材料の性能を増強するためにフォトクロミックコーティングに組み込まれ得るアジュバント物質としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:紫外線吸収剤、光安定化剤(例えば、ヒンダードアミン光安定化剤(HALS)、不斉ジアリールオキサルアミド(オキサニリド(oxanilide))化合物、一重項酸素クエンチャー(例えば、有機配位子とのニッケルイオン錯体)、抗酸化剤(例えば、ポリフェノール性酸化防止剤)、およびこれらのフォトクロミック性能増強アジュバント物質の混合物。例えば、米国特許第4,720,356号、同第5,391,327号および同第5,770,115号(これらの開示は、本明細書中で参考として援用される)に記載される材料を参照のこと。
適合性(化学的および色様式(color wise))色素(tint)(すなわち、色素)が、医療目的またはファッション目的(例えば、より魅力的な結果を達成すること)のために、そのコーティング処方物に添加されるか、またはそのプラスチック基材に塗布される。選択された特定の色素は変化し得、そして上述の必要性および達成するべき結果に依存する。一実施形態において、この色素は、使用される活性化されるフォトクロミック物質から得られる色を補完する(例えば、より自然な色相を達成するか、または特定の波長もしくは入射光を吸収する)ように選択され得る。別の企図される実施形態において、その色素は、そのフォトクロミックコーティングが不活性状態である場合に、所望の色相をその基材および/またはコーティングに提供するように選択され得る。
そのフォトクロミックコーティングは、重合可能処方物としてプラスチック基材の表面に塗布され、次いで、当該分野において周知の方法(これらの方法としては、光重合、熱重合、赤外線重合、および他の照射源が挙げられるがこれらに限定されない)によって硬化(重合)され得る。このような適用方法としては、スピンコーティング、カーテンコーティング、ディップコーティング、スプレイコーティング、またはオーバーレイを調製するのに使用される方法によるような、当該分野で認知された方法が挙げられる。このような方法は、米国特許第4,873,029号において記載される(これらの開示は、本明細書中で、参考として援用される)。
重合可能処方物として塗布する場合に、フォトクロミックコーティング処方物はまた、代表的には、その処方物中の重合可能モノマーの総重量に基づいて、0〜10重量%(例えば、0.01〜8重量%)、好ましくは、0.1〜5重量%の、少なくとも1つの触媒および/または重合開始剤(フォトイニシエーターを含む)を含む。触媒/開始剤の量は、上述した値(列挙した値を含む)の任意の組み合わせの間の範囲であり得る。この触媒/開始剤は、フォトクロミックホストとして選択される重合可能コーティングを生成するのに使用される特定のモノマーを重合するのに使用され得る物質、およびコーティング処方物中に含まれ得るフォトクロミック物質にとって有意に決定的なものとはならない物質から選択される。フォトクロミックコーティング処方物の重合可能成分を重合するために使用する触媒開始剤/重合開始剤の量は、変化し得、そして、使用される具体的な開始剤および重合可能モノマーに依存される。代表的には、その重合反応を開始(触媒)および維持するのに必要とされる量(すなわち、開始量または触媒量)のみが、必要とされる。
例えば、ポリウレタン反応混合物を硬化させるのに使用され得る触媒は、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(第5版)(1992)第A21巻 第673〜674に記載の、Lewis塩基およびLewis塩基ならびに挿入物触媒かあらなる群より選択され得る。通常、その触媒は、有機スズ触媒(例えば、オクチル酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、ジ酢酸ジブチルスズ、メルカプチドジブチルスズ、ジマレイン酸ジブチルスズ、ジ酢酸ジメチルスズ、ジラウリン酸ジメチルスズおよび1,4−ジアザシクロ[2.2.2]オクタン)である。スズ触媒の混合物が、使用され得る。当該分野において記載されているスズ触媒が、同様に使用され得る。
エポキシ樹脂コーティング組成物は、高度の酸機能性、すなわち、1分子あたり2以上の酸基を有する代表的には、ポリ酸硬化剤を含む。好ましくは、この酸基は、カルボキシル基である。ポリカルボン酸の例としては、ジカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フラル酸、イソフタル酸、テレフタル酸およびドデカンジオン酸(dodecanedioc acid);トリカルボン酸(例えば、クエン酸);ならびにテトラカルボン酸(例えば、1,2,3,4−ブタンテトラテトラカルボン酸)が挙げられる。
ポリ無水物コーティング組成物は、代表的には、硬化剤のようなアミン化合物を含む。アミン化合物の例としては、ジメチルココアミン(dimetyl cocoamine)、ジメチルドデシルミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、および少なくとも2つのジアルキルアミン基を含むフェノール化合物が挙げられえる。アミノプラスト樹脂およびアルコキシアクリルアミドポリマーコーティング組成物は、通常、触媒として酸性物質を含む。例としては、リン酸または置換リン酸(例えば、リン酸または置換リン酸(例えば、アルキル酸ホスフェート(alkyl acid phosphate)およびフェニル酸ホスフェート(phenyl acid phosphate)ならびにスルホン酸または置換スルホン酸(例えば、パラトルエンスルホ酸、ドデシルベンゼンスルホン酸およびジノニルナフタレンスルホン酸)が挙げられる。
アクリル/メタクリルモノマーベースのコーティング組成物は、熱開始剤(例えばフリーラジカルを生成する開始剤(例えば、有機ペルオキシ化合物またはアゾビス(有機ニトリル)化合物))、光開始剤またはこのような開始剤の混合物)を含み得る。
適切な有機ペルオキシ化合物の例としては、以下が挙げられる:ペルオキシモノカーボネートエステル(例えば、第三級ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート);ペルオキシジカーボネートエステル(例えば、ジ(2−エチルヘキシル)ペルオキシジカーボネート、ジ(第二級ブチル)ペルオキシジカーボネートおよびジイソプロピルペルオキシジカーボネート);ジアシルペルオキシド(diacyl peroxide)(例えば、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、イソブチリルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、プロピオニルペルオキシド、アセチルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシドおよびp−クロロベンゾイルペルオキシド);ペルオキシエステル(例えば、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシオクチレートおよびt−ブチルペルオキシイソブチレート);メチルエチルケトンペルオキシド、およびアセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド。
適切なアゾビス(有機ニトリル)化合物の非限定的な例としては、以下が挙げられる:アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)、1,1’−アゾビスシクロヘキサンカーボニトリルおよびアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)およびこのようなアゾ熱開始剤の混合物。好ましい熱開始剤は、得られたコーティングを変色しないかまたは重合可能なコーティング組成物内に取り込まれるフォトクロミック物質を分解しない熱開始剤である。
光重合は、紫外線および/または可視光を使用して、少なくとも1種の光開始剤の存在下で行われる。フリーラジカル開始剤である光開始剤は、作用のそれらの様式に起因して、2つの主要な群に分類される。切断型光開始剤としては、以下が挙げられる:アセトフェノン、α−アミノアルキルフェノン、ベンゾイエーテル、ベンゾイルオキシム、アシルホスフィンオキシドおよびビスアクリルホスフィンオキシド。抽出型光開始剤としては、以下が挙げられる:ベンゾフェノン、ミヒラーのケトン、チオキサントン、アントラキノン、カンファーキノン、フルオロンおよびケトクマリン。抽出型光開始剤は、アミンおよび抽出のための不安定な水素原子を提供するために添加される他の水素ドナー物質のような物質の存在下でより機能する。代表的な水素ドナーは、酸素または窒素に対してαに位置された活性水素(例えば、アルコール、エーテルおよび第三級アミン)または硫黄に直接結合した活性水素原子(例えば、チオール)を有する。このような添加物質の非存在下において、光開始剤は、モノマー、オリゴマーまたは系の他の構成成分から水素抽出を介して、なお起こり得る。
使用され得る光重合開始剤の例としては、以下が挙げられる:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノール、アセトフェノン、ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N’−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、フルオロン、(例えば、Spectra Group Limitedから入手可能なH−Nuシリーズの開始剤)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオキサントン(isopropylthixantone)、α−アミノアルキルフェノン(例えば、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン)、アシルホスフィンオキシド(例えば、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、および2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)、ビスアシルホスフィンオキシド(例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、およびビス(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド)、フェニル−4−オクチルオキシフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、ドデシルジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、(4−(2−テトラデカノール)オキシフェニル)−ヨードニウムヘキサフルオロアンチモナートおよびそれらの混合物。
光重合に使用される照射供給源は、好ましくは、紫外線および/または可視光を放射する供給源から選択される。照射の供給源は、水銀灯、FeIおよび/またはGaIを加えた水銀灯、殺菌灯、キセノン灯、タングステン電球、金属ハライドランプ、またはこのようなランプの組み合せであり得る。代表的に、光開始剤の抽出スペクトルは、最も高い硬化効果について、光源バルブ(例えば、Hバルブ、Dバルブ、Qバルブおよび/またはVバルブ)のスペクトル出力とマッチされる。光源に対する硬化可能なコーティングの曝露時間は、光源の波長および強度、光開始剤およびコーティングの厚さに依存して変化する。一般的に、曝露時間は、コーティングを実質的に硬化するのにか、または熱硬化後の物理的操作を可能にするのに十分に硬化されるコーティングを生成するのに十分である。フォトクロミックコーティングはまた、熱開始剤または光開始剤の存在を必要としない電子ビームプロセスを使用して硬化され得る。
溶媒はまた、コーティング処方物の構成成分を溶解し、そして/または分散するために、コーティング処方物中に存在し得る。代表的に、溶媒の溶媒和する量が使用され、すなわち、この量は、コーティング処方物中の固体構成成分を溶解/分散するのに十分である。一般的に、10〜80重量%の溶媒物質が、コーティング物質の全重量に基づいて、使用される。
適切な溶媒としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、エタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピルアルコール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリジノン、N−ビニルピロリジノン、N−アセチルピロリジノン、N−ヒドロキシメチルピロリジノン、N−ブチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−(N−オクチル)ピロリジノン、N−(N−ドデシル)ピロリジノン、2−メトキシエチルエーテル、キシレン、シクロヘキサン、3−メチルシクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドロフラン、メタノール、プロピオン酸アミル、プロピオン酸メチル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、エチレングリコールのモノアルカリエーテルおよびジアルキルエーテルならびにそれらの誘導体(これらは、CELLOSOLVE産業溶媒およびこのような溶媒の混合物として売られている)。
さらなる考慮された実施形態において、フォトクロミックポリマーコーティングは、有機溶媒の存在または非存在で、水上(water−borne)コーティング、すなわち、水性ポリマー分散剤(例えば、ラテックス)として適用され得る。この型の系は、水層および有機層を含む二層系であり、水層中に分散される。水上コーティングの使用は、当該分野で周知である。例えば、米国特許第5,728,769号(これは、水性ウレタン樹脂およびこのような樹脂から調製されたコーティングに関し、そしてこの特許は、‘769特許に参照される)を参照のこと。
フォトクロミックコーティング処方物をプラスチック基材の表面に塗布した後、(熱硬化の場合)熱および/または紫外線もしくは電子ビーム照射を適用することによって硬化(重合)させる。使用される特定の硬化条件は、プラスチック基材、処方物中の重合可能な成分、および使用される触媒/イニシエーターの型に、また、電子ビーム照射の場合は、電子ビームの強度に依存する。熱硬化は、室温から、プラスチック基材がこのような加熱に起因して損傷されない温度まで加熱する工程を含み得る。200℃までの温度が報告されている。このような硬化条件は、当該分野で周知である。例えば、代表的な熱硬化サイクルは、室温(22℃)から85〜125℃で処方物を2〜20分の時間にわたって加熱する工程を含む。紫外線または電子ビーム照射硬化に必要とされる時間は、一般的に、熱硬化より短く(例えば、5秒〜5分)、そして照射の強度(威力)に依存する。熱またはUV/電子ビーム硬化条件が物理的に取り扱わ得るが完全には硬化しないコーティングを生じる場合、さらなる後熱硬化工程がまた使用され、フォトクロミックコーティングを完全に硬化し得る。
プラスチック基材の表面にフォトクロミックコーティングを塗布する前に、基材の表面を洗浄して、処理し、きれいな表面、および基材へのフォトクロミックコーティングの接着を増強する表面を提供することは一般的である。効果的な処理としては、超音波洗浄、有機溶剤の水性混合物での洗浄(例えば、イソプロパノール:水またはエタノール:水の50:50混合物)、UV処理、活性ガス処理(例えば、低温プラズマまたはコロナ放電での処理)および基材表面を水酸化する化学処理(すなわち、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の水溶液で、また、蛍光界面活性剤を含有し得る溶液での表面のエッチング)が挙げられる。一般的に、アルカリ金属水酸化物溶液は希釈水溶液(例えば、5〜40重量%、より代表的には10〜15重量%(例えば12重量%)のアルカリ金属水酸化物)である。例えば、重合有機物質の表面処理を記載する、米国特許第3,971,872号、第3欄、第13〜25行;米国特許第4,904,525号、第6欄、第10〜48行;および米国特許第5,104,692号、第13欄、第10〜59行を参照のこと。このような記載される開示は全て、本明細書中に参考として援用される。
いくつかの場合において、フォトクロミックコーティングの塗布の前に、プライマーコーティングがプラスチック表面基材に塗布される。プライマーコーティングは、有機基材とフォトクロミック重合コーティングの間に挟まれ、バリアコーティングとして重合コーティング成分の基材との相互作用(そして、逆もまた真なり)を防ぎ、そして/または接着層としてフォトクロミックコーティングのプラスチック基材への接着を促進するのに役立つ。このプライマーは、フォトクロミックコーティングを塗布するのに使用される方法(例えば、スプレー、スピン、スプレッド、カーテン、ロールまたはディップコーティング)のいずれかによってプラスチック基材に塗布され得;そして、洗浄され、未処理であるかまたは洗浄され、処理された(例えば、化学処理)基材表面に塗布され得る。プライマーコーティングは当業者に周知である。適切なプライマーコーティングの選択は、使用されるプラスチック基材に依存し、特定のフォトクロミックコーティング(すわなち、プライマーコーティング)は、プライマーコーティングに所望される機能的特性(すなわち、バリアおよび接着特性)を提供する間、プラスチック基材表面およびフォトクロミックコーティングと化学的および物理的に適合性でなくてはならない。
プライマーコーティングは1またはいくつかの単分子層厚であり得、そして、0.1〜10ミクロン、より通常は、0.1〜2または3ミクロンで変化し得る。プライマーの厚さは、列挙した値を含む、上述の値の任意の組み合わせの間で変化し得る。適切なプライマーコーティングの1つの企図される実施形態は、米国特許第6,150,430号(この開示は本明細書中に参考として援用される)に記載されるように、有機官能性シラン(例えば、メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)、光活性化照射への曝露により酸を生じる物質の触媒(例えば、アヘン塩)および有機溶剤(例えば、ジグリムまたはイソプロピルアルコール)を含む。
プライマーコーティングのさらなる例は、米国特許第6,025,026号に記載され、これは、実質的に有機シルオキサンを含まず、少なくとも1つのエチレン結合を有する有機無水物およびイソシアネート含有物質を含む組成物を記載する。このような開示もまた本明細書中に参考として援用される。
本発明に従って、照射硬化アクリレートベースのフィルムが、フォトクロミック重合コーティングに付加される。アクリレートベースのフィルムは、眼への適用のために使用される場合、フォトクロミック機能を妨げないように、透明(例えば、肉眼的に透明)であるべきであり、フォトクロミックコーティングと堅固に接着し、水性無機苛性物(例えば、アルカリ金属水酸化物)による除去に対して耐性であり、フォトクロミックコーティングに関して耐ひっかき性であり、そして有機シランを含む耐磨耗性コーティングと適合性であるべきである。アクリレートベースのフィルムは、1つの単層もしくはフィルムからなるか、または同じかもしくは異なる組成物の2つ以上の層/フィルムを含み得る。
アクリレートベースのフィルムは、アクリルもしくはメタクリルモノマーまたはアクリルおよび/もしくはメタクリルモノマー(本明細書中でこれより後は(メタ)アクリルモノマーとして合わせていう)の混合物を使用して調製され得る。(メタ)アクリルモノマーの混合物としては、モノ−、ジ−、トリ−、テトラ−、およびペンタ−アクリル官能性モノマーが挙げられ得る。エポキシモノマー(例えば、エポキシ官能性を含む、アクリル官能性およびエポキシ官能性の両方を含むモノマーなど)のような、さらなる共重合可能なモノマー(例えば、エポキシモノマー)はまた、本明細書中に続けて記載されるアクリレートベースのフィルムを調製するのに使用される処方物中に存在し得る。アクリレートベースのフィルムを調製するのに使用されるモノマーは、多数(例えば、大部分の量)、すなわち、50重量%以上のアクリル官能性モノマーからなり;従って、「アクリレートベースのフィルム」と称される。アクリレートベースのフィルムを調製するのに使用される処方物はまた、イソシアネート官能性(例えば、有機モノイソシアネートおよび有機ジイソシアネート)を少なくとも1つ有する成分を含み得、それによってポリウレタン基をフィルムに組み入れる。本発明において使用されるアクリレートベースのフィルムは、上述の物理的特性を保有すべきである;すなわち、透明であり、フォトクロミックコーティングに接着し、水性アルカリ金属水酸化物による除去に耐性であり、その表面に塗布される、有機シランを含む耐磨耗性のコーティングと適合性であり、そして、フォトクロミックコーティングよりも耐ひっかき性(例えば、フォトクロミックコーティングよりも硬性である)である。当業者は、以下の実施例および本明細書中に記載される標準の試験プロトコルによって、アクリレートベースのフィルムがこれらの物理的要求を満たすかどうかを容易に決定し得る。
アクリレートベースのフィルムをフォトクロミックコーティングに適用する前に、フォトクロミックコーティングの表面を処理し、アクリレートベースのフィルムの、フォトクロミックコーティングの表面への接着を増強するのが一般的である。効果的な処理としては、活性ガス処理(例えば、低温プラズマまたはコロナ放電での処理)が挙げられる。特に望ましい表面処理は、低温プラズマ処理である。この方法は、表面処理を可能にして重ねられたフィルムまたはコーティングの接着を増強し、そして、この方法は、残りの物品に影響することなく、例えば、表面を粗くし、そして/または化学的に変化させることによって、物理表面を変化させる、きれいかつ効率良い方法である。不活性ガス(例えば、アルゴン)および反応性ガス(例えば、酸素)は、プラズマガスとして使用されている。不活性ガスは、表面を粗くする一方で、酸素のような反応性ガスは、例えば、表面にヒドロキシルまたはカルボキシル単位を生じることによって、プラズマに曝露した表面を少し粗くし、化学的にも若干変化させる。酸素が、好ましくはプラズマガスとして使用される。なぜならば、酸素が、表面上の少しだが効果的な化学修飾を伴って、表面の、少しだが効果的な物理的粗さを提供すると考えられるからである。当然、表面の粗さおよび/または化学修飾の程度は、使用されるプラズマの条件、プラズマガスおよびプラズマの操作条件(処理時間の長さを含む)の関数である。
従来のプラズマ処理は、表面の上部20〜200Å(2、3分子の層)を変化すると考えられる。プラズマ単位の操作条件は、設計、大きさ(例えば、プラズマチャンバーの容積、威力およびプラズマ単位の構築)の関数である。プラズマが作動する周波数は変化し得る(例えば、低周波数(例えば、40kHz)からマイクロ波周波数(例えば、2.45GHz))。同様に、プラズマ単位が作動する威力は、変化し得る(例えば、50〜1000ワット(例えば、50〜750(例えば、50〜150ワット)))。プラズマ単位が作動する圧力もまた変化し得る;しかし、低圧は、一般に好ましい処理表面の物理的破壊性が少ないことが観察されている。低圧(例えば、20〜65または70Pa)が有用であると考えられる。表面がプラズマに曝露される時間もまた変化し得、処理される表面(例えば、フォトクロミック重合コーティングのために使用されるポリマーの型)の関数である。しかし、長時間の処理が逆効果を招き得るため、表面はあまり長く処理されないように注意すべきである。当業者は、アクリレートベースのフィルムの接着を増強するプラズマ処理表面を提供するのに必要とされる最小時間を、容易に決定し得る。眼科用の物品(例えば、レンズ)について、プラズマ処理の長さは、一般的に1〜10分(例えば、1〜5分)で変化する。
プラズマ処理を施される物品の表面は、代表的には室温でであるが、所望される場合、表面は、少し余熱され得る。しかし、プラズマ処理は、処理される表面(および物品)の温度を上昇させることが多いことを注意すべきである。従って、処理の間の表面温度は、プラズマ処理の時間の直接関数である。プラズマ処理を施される表面の温度は、表面が有意に逆効果をもたらさない(粗くすることおよび少しの化学修飾によって、表面領域において増加すると企図されるもの以外)温度より下に維持されるべきである。当業者は、プラズマ処理表面上に重ねられるフィルム/コーティングの接着の改善を達成するために、処理されるプラスチック基材に対するプラズマ単位の操作条件を容易に選択し得る。処理表面の試験は、原子間力顕微鏡によって実施され得、表面における物理的変化の相対程度を決定する。一般的に、照射硬化アクリレートベースのフィルムが適用されるフォトクロミックコーティングの処理のために、低温、マイクロ波周波数、酸素、プラズマが使用され得る。
用語「アクリル」および 「アクリレート」は、本明細書中で使用される場合、交換可能に使用され、別にはっきりと示されない限り、アクリル酸誘導体および置換アクリル酸(例えば、メタクリル酸、エタクリル酸など)を含む。用語「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」は、示される物質(例えば、モノマー)のアクリル/アクリレート形態およびメタクリル/メタクリレート形態の両方を包含することが企図される。アクリレートベースのフィルムは、フォトクロミックコーティングと耐磨耗性のコーティングとの間に挟まれるため、これらのコーティングを互いに結びつけるのに役立ち、そして、フォトクロミックコーティングを保護するためのバリアとして役立つ。簡単に言うと、アクリレートベースのフィルムは、本明細書中で以下、ABF、ABフィルムまたはつなぎ層のいずれかとして称される。
アクリレートベースのポリマー系の放射線硬化は、電子ビーム硬化(EB)または紫外光(UV)照射を利用し得る。UV硬化は、少なくとも1つの光開始剤(その例は、この開示において他の部分で開示されている)の存在を必要とするが、EB技術による硬化は、光開始剤を必要としない。光開始剤の存在または非存在を除いて、UVまたはEB照射技術のいずれかにより硬化されるアクリレートベースの処方物は、それ以外は、同一である。
放射線硬化可能なアクリレートベースのポリマー系は、ポリマー分野において周知であり、そして任意のこのような系が、本発明のABフィルムを生成するために使用され得る(ただし、得られるフィルムが、本明細書の他の部分に記載されるフィルムの物理的要求を満足する限り)。ABフィルムについての硬化可能な組成の企図される実施形態は、1つ以上のフリーラジカル開始アクリレートモノマーおよび/またはアクリレートオリゴマー、ならびに1つ以上のカチオン開始エポキシモノマーの組み合わせまたはミセルブレンドを含む。このモノマーのブレンドが硬化される場合、ポリマー成分の互いに浸透し合うネットワークを含むポリマー化物(polymerizate)が生成される。
アクリレートモノマーの例としては、多官能性アクリレート(例えば、二官能性、三官能性、四官能性、および五官能性のアクリレート)、および単官能性アクリレート(例えば、単一のアクリル官能基を含むモノマー)、ヒドロキシ置換モノアクリレートおよびアルコキシシリルアルキルアクリレート(例えば、トリアルコキシシリルプロピルメタクリレート)が挙げられる。他の反応性モノマー/希釈剤(例えば、エチレン性官能基を含むモノマー(アクリル官能性物質以外))もまた存在し得る。
多くのアクリレートは、以下の一般式I
R−(OC(O)C(R’)=CH
により表され得、ここでRは、2〜20個の炭素原子、および必要に応じて1〜20個のアルキレンオキシ結合を含む、脂肪族基または芳香族基であり;R’は、水素、または1〜4個の炭素原子を含むアルキル基であり、そしてnは、1〜5の整数である。nが1より大きい場合、Rは、アクリル官能基を一緒に連結する連結基である。代表的には、R’は、水素またはメチルであり、そしてnは、1〜3の整数である。より詳細には、ジアクリレート(nが2である場合)は、一般式II
Figure 0004354278
によって表され得、ここでRおよびRは、同じでも異なってもよく、そしてそれぞれ、水素、または1〜4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、好ましくは水素またはメチルであり、そしてAは、例えば、1〜20個の炭素原子の、ヒドロカルビル連結基であり、例えば、アルキレン基、1つ以上のオキシアルキレン基[または異なるオキシアルキレン基の混合物];または以下の一般式III
Figure 0004354278
の基であり、ここで各Rは、水素原子、または1〜4個の炭素原子のアルキル基(例えば、メチル)であり;Xは、ハロゲン原子(例えば、塩素)であり;aは、0〜4(例えば、0〜1)の整数であって、ベンゼン環上に置換されたハロゲン原子の数を表し;そしてkおよびmは、0〜20(例えば、1〜15、または2〜10)の数である。kおよびmの値は、平均数であり、そして計算された場合、整数でも分数でもよい。
エポキシ基を有するアクリレートは、以下の一般式IV
Figure 0004354278
で表され得、ここでRおよびRは、同じでも異なってもよく、そしてそれぞれ、水素、または1〜4個の炭素原子のアルキル基(例えば、メチル)から選択され;RおよびRは、2〜3個の炭素原子を含むアルキレン基(例えば、エチレンオキシおよびプロピレンオキシ)であり、そしてmおよびnは、0〜20(例えば、0もしくは1〜15または2〜10)の数である。mおよびnの一方が0であり、かつ他方が1である場合、残りのR基は、以下の式V
Figure 0004354278
の芳香族基(例えば、2,2’−ジフェニレンプロパンラジカルから誘導される基)であり得、そのフェニル基は、C〜Cアルキル基またはハロゲン(例えば、メチルおよび/または塩素)で置換され得る。
硬化可能ABフィルム処方物を含む官能性アクリレートの量、数、および型は変化し、そしてそれは、最も所望のフィルムの物理的特性に依存する。なぜならば、例えば、三官能性アクリレートまたはABフィルム処方物において使用される他の架橋モノマーの量を変化させることによって、例えば、フィルムの架橋密度を変化させると、フィルムの最終的な特性が変化するからである。一般的に、硬化フィルムの架橋密度は、使用される単官能性アクリレートの量の関数であることが受け入れられている。多量の多官能性アクリレートは、高い硬度、引っ張り強さ、および化学的耐性を導くが、基材に対する接着性は乏しくなる。対照的に、多官能性アクリレートの量を減少させ、多官能性アクリレートの量を増加させると、結果としてより低い硬度、化学的耐性、および引っ張り強さを有する硬化フィルムの架橋密度がより低くなり、そして硬化速度がより遅くなる。従って、当業者は、使用される単官能性または多官能性のアクリレートモノマーの量を、ポリマーコーティングへの接着、硬度(耐ひっかき性)、化学的耐性(例えば、水性アルカリ金属水酸化物処理に対する耐性)、または他の特性を最適化することが望ましいか否か;あるいはその物理的特性の全てに平均的な利益を得るようにこれらの特性の1つ以上を妥協することが望ましいか否かに依存して、変化し得る。当業者は、特定の官能基が放射線硬化アクリレートフィルムに提供する当該分野で認識された利益、および所望の物理的特性を測定する本明細書中に記載される試験に基づいて、ABフィルムに使用されるモノマー材料の組み合わせを、容易に選択し得る。
アクリレートベースのタイ(tie)層の処方例としては、ジアクリレート材料が、その処方の、0〜80重量%、望ましくは0もしくは3〜60重量%、より望ましくは10もしくは15〜45もしくは50(例えば、20〜45(特に25〜35もしくは45))重量%を構成する、処方が挙げられる。望ましくは、このアクリレートベースのタイ層の配合は、少なくとも1種のジアクリレート材料を含む。この配合はまた、1種以上のトリアクリレート材料を含み得るが、トリアクリレート材料が使用されない場合、架橋は、処方中の別のモノマー材料により提供され得る。トリアクリレートは、その処方の、0〜25もしくは30重量%(例えば、0もしくは5〜15もしくは30、または10もしくは15〜25重量%)を構成し得る。より高度な官能性のアクリレート材料(例えば、テトラアクリレート、ペンタアクリレートおよびテトラアクリレートとペンタアクリレートとの混合物)もまた、例えば、3〜15重量%、特に5〜10重量%の量で(例えば、約5重量%の量で)、処方において使用され得る。モノアクリレート材料は、その処方の、0もしくは10〜75もしくは100重量%、望ましくは、その処方の、25〜85重量%、より望ましくは、35〜75(例えば、40〜70)重量%を構成し得る。特に、モノアクリレートがヒドロキシ官能性アクリレートである場合、そのモノアクリレートは、その処方の35〜75(例えば、40〜60)重量%を構成し得る。アルコキシシリルアクリレートが処方中で使用される場合、5〜15重量%のこのような材料が使用され得る。
官能性アクリレートモノマーの前記の割合は、硬化可能なABフィルム処方物を構成する重合可能なモノマー材料の全量に基づき、他の成分(例えば、重合不可能な有機希釈剤(例えば、溶媒)、光開始剤、安定化剤、可塑剤および他のこのような成分)を含まない。硬化可能なABフィルム処方物を構成する全ての種々の重合可能なモノマー材料の合計は、当然のことながら、100%に等しい。これまでに記載された官能性アクリレートモノマーのそれぞれの割合は、示した値を含めて、示した値の任意の組み合わせの間で変化し得る。
本発明のさらに企図される実施形態において、このアクリレートベースのフィルムは、フリーラジカルで開始されるアクリレートモノマーおよびカチオンで開始されるエポキシモノマーの混合物を含む組成物から調製される。この硬化可能な組成物は、10〜85重量%の少なくとも1種のエポキシモノマー、および90〜15重量%の少なくとも1種のアクリレートモノマー、より代表的には、30〜70重量%のエポキシモノマーおよび70〜30重量%のアクリレートモノマー、そして好ましくは、35〜50重量%のエポキシモノマーおよび65〜50重量%のアクリレートモノマーを含み得る。エポキシ官能基およびアクリル官能基の両方を含むモノマーは、本明細書中においてアクリレートモノマーとして分類される。これまでに記載された硬化可能な組成物中のアクリレートモノマーおよびエポキシモノマーの範囲は、示された値を含めて、示された値の任意の組み合わせの間で変化し得る。
ABフィルム処方物において使用されるエポキシモノマーは、カチオン性開始剤により開始されるモノマーである。好ましいエポキシモノマーは、エポキシ縮合ポリマー(例えば、アルコールおよびフェノールのポリグリシジルエーテル)、ならびに特定のポリエポキシモノマーおよびオリゴマーである。このエポキシモノマーは、フォトクロミックコーティングへの硬化ABフィルムの接着性を改善し、そして硬化ABフィルムの他の特性を増強する(例えば、耐摩耗性コーティング(例えば、シロキサンコーティング)の硬化ABフィルムへの接着性を改善する)。エポキシモノマーを用いて調製された硬化ABフィルムはまた、使用される場合、フォトクロミックコーティングに適用され、そして(ハードコート上で使用される場合)反射防止コーティングのひび割れの低下ももたらす耐摩耗性コーティング(ハードコート)の耐摩耗性を改善するようである。
同定されたアクリレートモノマー材料の以下の詳細な実施例において、用語「アクリレート」は、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を含む対応するアルキルアクリレート、特に、対応するメタクリレートを意味し、そして包含することを意図され;そしてアルキルアクリレート(例えば、メタクリレート)が、同定される場合、対応するアクリレートが企図される。例えば、実施例におけるヒドロキシエチルアクリレートへの言及は、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルエタクリレートなどを含み;そしてエチレングリコールジアクリレートへの言及は、例えば、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジエタクリレートなどを含む。このようなモノマー材料の非限定的な例としては、以下が挙げられる:
ヒドロキシエチルアクリレート、
ヒドロキシプロピルアクリレート、
ヒドロキシブチルアクリレート、
ヒドロキシ−ポリ(アルキレンオキシ)アルキルアクリレート、
カプロラクトンアクリレート、
エチレングリコールジアクリレート、
ブタンジオールジアクリレート、
ヘキサンジオールジアクリレート、
ヘキサメチレンジアクリレート、
ジエチレングリコールジアクリレート、
トリエチレングリコールジアクリレート、
テトラエチレングリコールジアクリレート、
ポリエチレングリコールジアクリレート、
ジプロピレングリコールジアクリレート、
トリプロピレングリコールジアクリレート、
テトラプロピレングリコールジアクリレート、
ポリプロピレングリコールジアクリレート、
グリセリルエトキシレートジアクリレート、
グリセリルプロポキシレートジアクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート
トリメチロールプロパンエトキシレートトリアクリレート、
トリメチロールプロパンプロポキシレートトリアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、
ネオペンチルグリコールエトキシレートジアクリレート、
ネオペンチルグリコールプロポキシレートジアクリレート、
モノメトキシトリメチロールプロパンエトキシレートジアクリレート、
ペンタエリスリトールエトキシレートテトラアクリレート、
ペンタエリスリトールプロポキシレートテトラアクリレート、
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、
ジペンタエリスリトールエトキシレートペンタアクリレート、
ジペンタエリスリトールプロポキシレートペンタアクリレート、
ジ−トリメチロールプロパンエトキシレートテトラアクリレート、
2〜20個のエトキシ基を含むビスフェノールAエトキシレートジアクリレート、
2〜20個のプロポキシ基を含むビスフェノールAプロポキシレートジアクリレート、
2〜20個の、エトキシ基およびプロポキシ基の混合物を含むビスフェノールAアルコキシル化ジアクリレート、
ビスフェノールAグリセロレートジメタクリレート、
ビスフェノールAグリセロレート(1グリセロール/1フェノール)ジメタクリレート、
グリシジルアクリレート、
β−メチルグリシジルアクリレート、
ビスフェノールA−モノグリシジルエーテルアクリレート、
4−グリシジルオキシブチルメタクリレート、
3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−(グルシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、
3−(グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、および
3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート。
エポキシモノマー(例えば、分子内に、少なくとも1つのエポキシ基を有するモノマー)は、以下の一般式VIによって表され得る。
Figure 0004354278
ここで、Yは、b価のアルコール性ヒドロキシル化合物の残基、b価のフェノール性ヒドロキシル基を含む化合物の残基、またはb価のカルボン酸の残基であって、R’’は、水素原子またはメチル基であって、bは、1〜4の整数(好ましくは1〜2)である。これらの物質としては、一価、二価または三価のアルコールのアルコール性ヒドロキシル基含有化合物、フェノール性ヒドロキシル化合物(例えば、フェノールおよびヒドロキノン)とエピクロロヒドリンとの間の反応生成物およびカルボン酸(例えば、安息香酸およびテレフタル酸)とエピクロロヒドリンとの間の反応生成物が挙げられる。
式VIによって表されるエポキシモノマーはまた、ラジカル重合可能基(アルリル以外)(例えば、ビニル基またはアリル基)を含み得る(Yの部分として)。アクリル性重合可能基およびエポキシ基を含むモノマーは、前述されるアクリレートモノマーとして本明細書中で分類される。
分子内に少なくとも1つのエポキシ基を有し、また重合可能基を有さないエポキシモノマー化合物の例としては、bが、1または2である式VIの化合物が挙げられる。bが、1の場合、Yは、ヒドロキシル基によって置換され得る2〜20の炭素原子を有するアルキル基、ヒドロキシル基によって置換され得る6〜7の炭素原子を有するシクロアルキル基、ヒドロキシル基によって置換され得るフェニル基、カルボキシル基によって置換され得るベンゾイル基、またはヒドロキシアルキレンオキシ基であり得る。bが、2である場合、Yは、ヒドロキシル基で置換され得る2〜20の炭素原子を含むアルキレン基、ヒドロキシル基で置換され得るシクロアルキレン基、ヒドロキシル基で置換され得るフェニレン基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、2,2’−ビスフェニレンプロピル基、およびアルキレンオキシ基である。アルキレンオキシ基は、1〜20のアルキレンオキシ基を有し得、アルキレン部分は、2〜4の炭素原子を有し得る。
エポキシ化合物の例としては、エチレングリコールグリシジルエスール、プロピレングリコールグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、プロピレンカーボネート、ビスフェノールAまたは水素添加ビスフェノールAプロピレンオキシド付加体、テレフタル酸のジグリシジルエーテル、スピログリコールジグリシジルエーテル、ヒドロキノリンジグリシジルエーテルおよび3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートが挙げられる。
使用され得るエポキシ縮合ポリマーは、1より大きい(例えば、3までの)1,2−エポキシ当量を有するポリエポキシドである。そのようなエポキシの例として、多価フェノールおよび脂肪族(環式および脂環式)アルコールのポリグリシジルエステルが挙げられる。これらのポリエポキシドは、アルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)の存在下で、エピハロヒドリン(例えば、エピクロロヒドリン)での、多価フェノールまたは脂肪族アルコールのエーテル化によって産生され得る。適切なポリフェノールの例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(すなわち、ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンおよび2−メチルー1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが挙げられる。脂肪族アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよび水素添加ビスフェノールAが挙げられる。これらのエポキシは、Resolution Performance Productsから商標名EPONとして入手可能である。
ポリエポキシドモノマーおよびオリゴマーの例は、米国特許第4,102,942号に記載され(第3欄、1〜16行)、その開示は、参考として援用される。そのようなポリエポキシドの特定の例としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジピン酸エステルが挙げられる。脂肪族ポリエポキシドは、Dow Corporationから商標名CYRACUREとして入手可能である。
硬化可能ABフィルム処方物を構成するモノマー物質は、市販されており;および、市販されない場合、当業者に周知の手順によって調製され得る。市販のアクリレート物質の例は、米国特許第5,910,375号に認められ得、具体的には開示中の、第8欄、20〜55行、および第10欄、5〜36行に認められ、その開示は、参考として本明細書中に援用される。市販のアクリレート物質は、種々の製造業者から入手可能でありまた、商標SARTOMER、EBECRYLおよびPHOTOMERとして販売される物が挙げられる。
硬化可能ABフィルム処方物はまた、UV照射によって硬化される場合、少なくとも1つの遊離ラジカル光開始剤を含む。処方物が、陽イオンによって開始されるエポキシモノマーを含む場合、処方物はまた、少なくとも1つの陽イオン光開始剤を含む。好ましくは、光開始剤の組み合わせが、使用される。光開始剤は、樹脂処方物が、電子ビームプロセスによって硬化される場合、必要とされない。光開始剤は、処方物の硬化を開始、および維持するのに十分な量(すなわち、開始量)で存在する。光開始剤は、好ましくは硬化プロセスを開始するための必要最少量で使用される。一般的には、光開始剤は、硬化可能ABフィルム処方物中の光開始される重合可能成分の全重量に基づいて、0.5重量%〜10重量%の量、代表的には0.5重量%〜6重量%、より一般的には1重量%〜4重量%で存在する。遊離ラジカル光開始剤は、フォトクロミックポリマーコーティングに関連して上で考察され、また記載される。その考察はまた、硬化可能なABフィルムに関連して、本明細書中で適用可能であり、ここで本明細書中に援用される。市販の光開始剤のさらなる例は、米国特許第5,910,375号の第10欄、38−43行に認められ得、その開示は、本明細書中に参考として援用される。
カチオン性光開始剤は、遊離ラジカル光開始剤に関連して使用され得る。好ましくは、カチオン性イニシエーターは、引抜型の光開始剤、水素ドナー物質(例えば、ブチリルコリントリフェニルブチルボレート)またはそのような物質の組み合わせと共に使用される。好ましいカチオン性光開始剤は、オニウム塩であり、それは、米国特許第5,639,802号、第8欄、59行から第10欄46行に記載され、その開示は、本明細書中に参考として援用される。そのような開始剤の例としては、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、フェニル−4−オクチルフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ドデシルジフェニルヨードニウムへキサフルオロアンチモネート、[4−[(2−テトラデカノール)オキシ]フェニル]フェニルヨードニウムへキサフルオロアンチモネート、トリアリールスルホニウムへキサフルオロアンチモネート塩およびトリアリールスルホニウムへキサフルオロホスフェート塩(例えば、六フッ化リンのトリフェニルスルホニウム塩)が挙げられる。カチオン開始剤の混合物はまた、使用される。
上記の成分に加えて、ABフィルム処方物は、当業者に公知の他の添加剤を含み得る。これらの添加剤としては、流れ添加剤およびレベル添加剤、湿潤剤、消泡剤、UV吸収剤、レオロジー改変剤、界面活性剤(例えば、フルオロ界面活性剤(fluorosurfactant))、安定薬および抗酸化剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。そのような物質は、当業者に周知であり、いくつかの市販の界面活性剤および抗酸化剤/安定薬の例が、前述の‘375特許の第10欄、43−54行に認められ得、その開示は、本明細書中に参考として援用される。そのような添加剤の他の例としては、シリコーン、改変シリコーン、シリコーンアクリレート、炭化水素および他のフッ素含有化合物が挙げられる。
硬化可能ABフィルム処方物は、処方物の成分を、室温で混合することによって調製されるが、穏やかな加熱は、混合およびブレンドを容易にするために使用され得る。処方物は、プラスチック基材にフォトクロミックコーティングを適用することについて記載された手順(例えば、スピンコーティングおよびディップコーティング)と同様の手順によってフォトイクロミックコーティングに適用され得る。企図される実施形態において、フォトクロミックコーティングは、まずABフィルムの接着を増強するために処理される(例えば、プラズマ放電を用いた処理によって)。プラズマを用いた表面処理は、上述され、この考察はまた、ここに適用可能である。1つの企図されたプラズマ処理は、Plasmatechマシーンの真空チャンバーへ400ml/分の酸素を導入しながら、1〜10分(例えば、2〜5分)間、750ワットの電力レベルで操作するPlasmatechマシーンによって生成されるプラズマの使用を含む。
硬化可能ABフィルムは、実質的に均質の硬化フィルムを得るための様式において適用され、硬化可能ABフィルムは、厚さ2〜20ミクロン(例えば、2〜15ミクロン、より代表的には3〜10ミクロン(例えば、4〜8ミクロン)、より一般的には5ミクロンに近い)の範囲であり得る。フィルムの厚さは、それらの値の任意の組み合わせの間の範囲であり得、記載の値を含む。1つより多くのABフィルムをタイ層として使用し得、そのような複数のフィルムは、異なる組成および硬度値を有し得る。用語「フィルム」は、20ミル(500ミクロン)以下の厚さを有する層であると、一般的にコーティング分野において当業者に見なされている;しかし、この開示および特許請求の範囲において使用される場合、用語フィルムは、放射線硬化されるアクリレートベースのフィルムに関連してして使用される場合、本明細書中に記載される厚さを有すると定義される。
次いで、適用されるフィルムは、UV放射(またはUV放射が使用されない場合、EBプロセスに)曝露される。任意の適切なUVランプ(例えば、水銀蒸気またはパルスされたキセノン)が、使用され得る。光開始剤の吸光度スペクトルは、最も高い硬化効率のために、UVランプ(電球)(例えば、H 電球、D 電球、Q 電球またはV 電球)のスペクトル出力に一致されるべきである。この硬化プロセスは、一般的に、酸素(例えば、空気)が、硬化プロセスから除外される場合、より効率的である。これは、硬化プロセスの間、適用されるフィルムにわたって窒素ブランケットを使用することによって実現され得る。
UV硬化の後、熱後硬化は、ABフィルムを完全に硬化させるために使用され得る。オーブン中、212°F(100℃)で、0.5〜3時間加熱することは、ABフィルムを完全に硬化させるために常に最適である。フォトクロミックコーティングの放射線硬化に関する前の考察はまた、ABフィルムの硬化に関連してここに適用可能である。
さらに企図された実施形態において、耐摩耗性コーティングは、ABフィルムに適用される。そのような実施形態において、ABフィルムの後熱硬化は、耐摩耗性コーティングの適用の後までABフィルムコーティング産物の有意な物理的操作がない場合、耐摩耗性コーティングの適用の後まで、延期され得る。そのような操作が、必要とされる場合、ABフィルムの熱後硬化が、耐摩耗性コーティングの前に実施されることが好ましい。
硬化したABフィルムは、透明であるべきであり、例えば、光学適用(例えば、眼科用適用)のために使用される場合には、光学的にクリアであり、そしてフォトクロミックコーティングされた基材の光学特性を有意に損なわない。用語「透明」および「光学的にクリア」は、本開示において先に定義されている。硬化したABフィルムの表面は、好ましくは、これが塗布されるフォトクロミックコーティングより固く、そして通常、ABフィルムに通常塗布される耐摩耗性コーティングより軟らかい。記載されるように、硬化したABフィルムは、耐ひっかき性であるべきであり、フォトクロミックコーティングによく接着するべきであり、水性無機腐食性溶液での処理に耐性であり、そして有機シランを用いて調製される耐摩耗性コーティングと適合性であるべきである。
アクリレートベースのフィルムの耐ひっかき性は、従来のスチールウールひっかき試験によって測定され得る。この試験は、非常に微細なスチールウールによる摩耗に供される表面の、平均ヘイズゲインを測定する。本発明の好ましい実施形態によれば、平均ヘイズゲインは、20未満、好ましくは、15未満、より好ましくは、10未満、そしてなおより好ましくは、8未満であるべきである。Eberbach Steel Wool Abrasion Testerを使用して、表面耐ひっかき性を決定し得る。
スチールウールひっかき試験を実施する際に、000スチールウール(例えば、Rhodes極細スチールウール)が、1インチ(2.54cm)×1インチ(2.54cm)のマンドレルの端部に取り付けられる。試験されるべきサンプル(例えば、レンズ)が、微温石けん水で洗浄され、水でリンスされ、次いで風乾される。次いで、このレンズが、23±3℃および50%±10%の相対湿度で少なくとも2時間調整される。550nmでのサンプルの光透過を、Haze Gard Plus機器(これは、BYK−Gardnerによって製造される)を使用して測定される。調整されたサンプルを、Eberbach試験プラットフォームに取り付ける。レンズが試験される場合、これは、凹状の面を下に向けて、試験プラットフォーム上で中心合わせされる。マンドレルは、5ポンド(2.3kg)の重量であると秤量され、そしてサンプル上に下げられる。サンプルを、スチールウールの下で、このスチールウールに接触させて、1分間あたり100回の速度で2分間、前後に回転され、その結果、サンプルは、スチールウールの下を200回通過する。このサンプルを、再度微温石けん水で洗浄し、水でリンスし、そして乾燥させる。550nmでのサンプルの光透過を、再度測定する。試験の前後での光透過値の間の差異(すなわち、光透過のデルタ(Δ))が、ヘイズゲインである。
Bayer Abrasion Testerをまた使用して、表面耐摩耗性を決定し得る。摩耗に対する製品の耐性は、摩耗後の試験サンプルのヘーズを測定し、そしてその値を、コントロールサンプル(例えば、眼科用製品の場合には、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)から調製された平面レンズ)に対する測定値と比較することによって、定量される。通常、測定は、複数の対の試験サンプル/コントロール(例えば、5対)に対してなされる。試験されるサンプルおよびコントロールは、マイルドな石けん水で洗浄され、水でリンスされ、次いで風乾される。温度および湿度を制御された環境(23±3℃および50±10%相対湿度)で、試験サンプルおよびコントロールは、最低2時間調整され、一方で、摩耗材料は、最低24時間調整される。試験サンプルおよびコントロールの、550nmでの光透過を、Haze−Gard Plusデバイスを使用して測定する。試験サンプルおよびコントロールを、Bayer Abraderに取り付け、そして摩耗媒体(例えば、アルミナ(Norton ZF E−327グリット番号12))を、Abraderのパンに入れる。レンズが試験される場合、これらのレンズは、凸状の面を下向きにして取り付けられる。Abraderは、4分間、1分間あたり150サイクルの速度で、合計600サイクル作動される。試験サンプルとコントロールとの両方を、マイルドな石鹸水で洗浄し、リンスし、そして風乾する。試験サンプルおよびコントロールのヘーズを、再度、Haze Gard Plusデバイスを使用して、550nmで測定する。ヘーズの増加は、摩耗の前後での光透過値の差異から計算される。Bayer Haze Gain Ratioは、コントロールの測定ヘーズを試験サンプルの測定ヘーズで除算することによって、決定される(ヘイズゲイン比=ヘーズ(コントロール)/ヘーズ(試験サンプル))。放射線硬化したABフィルムについてのBayerヘイズゲイン比は、0.6より大きく、好ましくは、0.8より大きいべきである。
放射線硬化したABフィルムはまた、プラスチック基材に塗布されたフォトクロミックコーティングにしっかりと接着するべきである。接着は、当該分野で認識された従来のクロスハッチテープ剥離接着試験によって、そして沸騰水クロスハッチテープ剥離接着試験(こちらが、よりストリンジェントな試験である)によって決定され得る。前者はしばしば、一次(1°)試験または乾式試験と称される;一方で、後者はしばしば、二次(2°)試験または湿式試験と称される。一次試験において、(先端間が)約1mm離れた0.65mmの厚さの11の刃からなる切断道具が使用されて、第一の長さの切断がサンプルに対してなされ、次いで、第二の切断および第三の切断がなされ、これらの切断は、90°で、そして第一の切断を横切ってなされる。第二および第三の切断は、互いに離れており、別個のクロスハッチゾーンを提供する。Scotch 3Mマスキングテープの片(1インチ(2.54cm)幅および2〜2.5インチ(5〜6.3cm)の長さ)が、第一の切断の方向に適用され、そして全ての気泡を除去して平滑に、プレスされる。次いで、このテープが、鋭い、迅速な、均一な、かつ連続的な移動で、この表面から剥離される。この手順が、新しいテープ片を用いて繰り返される。テープの小片(1.5インチ、3.8cm)が、第二および第三の切断によって作製されるクロスハッチゾーンの各々に、第一のテープの方向に対して90°で適用され、そしてこれらのテープ片もまた、鋭い、迅速な、均一な、かつ連続的な移動で、この表面から剥離される。切断道具によって作製された、100の正方形の格子のうちの1つの正方形も、もはや基材(フォトクロミックコーティング)から剥れないことが見出される場合、このコーティングは、この接着試験に通ったとみなされる。本発明によれば、放射線硬化したABフィルムは、フォトクロミックコーティングに接着したとみなされるために、クロスハッチテープ剥離接着試験に通るべきである。換言すれば、放射線硬化したABフィルムがクロスハッチテープ剥離試験に通る場合、本明細書中で、粘着的に(coherently)付属した(すなわち粘着して(cohesively)付属した)、あるいはそれが付属する層(例えば、フォトクロミックコーティング)に付着したと称される。
さらにより厳しい接着試験(すなわち、二次試験または湿式接着試験)は、必要に応じて、フォトクロミックコーティングに対する放射線硬化したABフィルムの接着を評価するために、実施され得る。このさらなる試験(すなわち、沸騰水クロスハッチ接着試験)は、上記のようにクロスハッチでスコーリングされた試験サンプル(例えば、レンズ)を、沸騰脱イオン水に30分間入れる工程を包含する。この試験サンプルが室温まで冷却された後、上記のような、クロスハッチテープ剥離接着試験が、再度実施される。クロスハッチ接着試験に関して記載されたものと同じ通過/失敗の要件が、試験のこの沸騰水改変に対して使用される。
放射線硬化したABフィルムはまた、水性無機腐食性溶液(例えば、比較的希薄なアルカリ金属水酸化物溶液(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムの溶液))による除去に対して耐性であるべきである。フィルムは、12.5%の水性水酸化カリウムに140°F(60℃)で4分間曝露された後に、フィルムの厚さが、0.5ミクロン未満である場合に、このような溶液による除去に対して耐性であるとみなされる。好ましくは、フィルムの厚さは、水性水酸化カリウム溶液への2回の曝露の後、より好ましくは、3回の曝露の後に、0.5ミクロンより大きくは減少しない。
さらに、放射線硬化したABフィルムは、フォトクロミックコーティング中のフォトクロミック材料の、上に重なるABフィルム内への移動を実質的に阻止すること、およびさらに、フォトクロミックコーティングのためのバリアフィルムとして働くことによって、フォトクロミックコーティングを保護するように働くことが好ましい。フォトクロミック移動は、100℃のオーブンで3時間加熱された、本発明のフォトクロミック物品(すなわち、放射線硬化したABフィルムを用いる物品)の、飽和光学密度(OD)およびブリーチ半減期(T)を、ABフィルムを有さない類似のフォトクロミック物品(コントロール)と比較することによって、評価され得る。フォトクロミック移動が起こる場合、これは、飽和光学密度の低下およびブリーチ半減期の延長によって、観察される。ブリーチ半減期と飽和光学密度との両方のΔ値を考慮することは、フォトクロミック移動が起こったか否かを決定するために必要とされる。なぜなら、ABフィルムは、ABフィルムに当たり、そしてこのフォトクロミックコーティングを通過する入射光のフィルタとして働き得るからである。好ましくは、ブリーチ半減期の延長および飽和光学密度の低下は、コントロール値の20%より大きくは変化せず、好ましくは、16%以下、より好ましくは、10%以下、そしてなおより好ましくは、5%以下で変化する。
フォトクロミック物品の飽和光学密度およびブリーチ半減期は、従来の光学ベンチを使用して測定され、この装置は、当業者に周知である。試験サンプルは、光学ベンチ上で、通常はキセノンアークランプを使用して、UV照射に暴露される。ブリーチ状態から暗状態への光学密度の変化(ΔOD)は、サンプルの初期透過(ブリーチ状態)を確立し、このサンプルをキセノンアークランプに曝露してUV放射線を提供し、これによってフォトクロミック材料を活性化させて、暗状態を生じることによって、決定される。キセノンアークランプへの曝露は、フォトクロミック材料が飽和平衡状態に達するために十分な時間である。光学密度の変化は、以下の式によって計算される:ΔOD=log(%Tb/%Ta)、ここで、%Tbとは、ブリーチ状態での透過%であり、%Taとは、活性化(暗)状態での透過%であり、そして対数は、10を底とする。ブリーチ速度(T)は、物品におけるフォトクロミック材料の活性化形態が、活性化放射線減(すなわち、キセノンアークランプ)の除去後の最高ΔODの半分に達する、ΔODの時間間隔(秒)である。
本発明によれば、放射線硬化したABフィルムはまた、プラスチックの表面を摩耗、ひっかきなどから保護するために使用される、有機シラン耐摩耗性コーティングと適合性である。有機シラン耐摩耗性コーティング(しばしば、ハードコートまたはシリコーンベースのハードコーティングと称される)は、当該分野において周知であり、そして種々の製造業者(例えば、SDC Coatings,Inc.およびPPG Industries,Inc.)から市販されている。米国特許第4,756,976号の第5欄第1行〜第45行;ならびに米国特許第5,462,806号の第1欄第58行〜第2欄第8行、および第3欄第52行〜第5欄第50行が、参照される。これらの開示は、有機シランハードコーティングを記載し、そしてこれらの開示は、本明細書中に参考として援用される。有機シランハードコーティングの開示について、米国特許第4,731,264号、同第5,134,191号、同第5,231,156号、および国際特許公開WO94/20581もまた参照され、これらの開示もまた、本明細書中に参考として援用される。
放射線硬化したABフィルムの記載される物理的特徴は、有機シランハードコーティングと適合性であることであるが、耐摩耗性および耐ひっかき性を提供する他のコーティング(例えば、多官能性アクリルハードコーティング、メラミンベースのハードコーティング、ウレタンベースのハードコーティング、アルキドベースのコーティング、シリカゾルベースのハードコーティング、または他の有機または無機/有機ハイブリッドハードコーティング)が、耐摩耗性コーティングとして使用され得る。当業者は、ABフィルムが、有機シランハードコーティングと適合性であるか否かを、有機シランハードコートをABフィルムに適用し、そしてABフィルムのそのハードコートに対する適合性を、クロスハッチテープ剥離接着試験(これは、ハードコートに対して実施される)により決定することによって、容易に決定し得る。好ましくは、ハードコーティングは、シリコーンベースの系である。
用語「有機シラン耐磨耗性コーティング(ハードコーティング)」の使用によって、ABフィルムが、クロスハッチテープピール接着性(adhesion)試験によって測定されるように、その表面上に置かれた有機シランハードコーティングを有し得ること、そして有機シランハードコーティングが、一般的な操作/擦り切れ条件の下で、ABフィルムに装着していることが意味される。通常は、有機シランハードコーティングが、濃縮された水性の腐食の磨耗または厳しい機構の磨耗での処置によって取り除かれ得る。さらに、耐磨耗性有機シラン含有コーティングとの用語(または他の類似の意味の用語)は、耐磨耗性コーティングが、少なくとも1つの有機シランを含む組成物から調製されることを意味する。
1つの実施形態において、ハードコーティングは、以下の経験的な式VIIによって表される少なくとも1つの有機シランモノマーの、計算された固体として、35重量パーセント〜95重量パーセントを含む組成物から調製され得る:
SiW VII
ここでRは、グリシドオキシ(C−C20)アルキル、好ましくはグリシドオキシ(C−C10)アルキル、そして最も好ましくは、グリシドオキシ(C−C)アルキルであり得;Wは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ(C−C)アルコキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、C−Cアルキルフェノキシ、またはC−Cアルコキシフェノキシであり得、このハロゲンは、ブロモ、クロロ、またはフルオロである。好ましくは、Wは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ(C−C)アルコキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、C−Cアルキルフェノキシ、またはC−Cアルコキシフェノキシであり、そしてハロゲンはクロロまたはフルオロである。より好ましくは、Wは、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ(C−C)アルコキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、C−Cアルキルフェノキシ、またはC−Cアルコキシフェノキシである。
ハードコーティング組成物における経験的な式VIIによって表されるシランモノマーの計算された個体としての重量パーセントは、好ましくは40〜90重量パーセント、より好ましくは45〜85重量パーセント、そして最も好ましくは50〜70重量パーセントの計算された固体である。計算された固体の重量パーセントは、オルトシリケートの加水分解の間理論上形成するシラノ−ルのパーセントとして決定される。
一般式VIIによって表される適切なシランモノマーとしては、
グリシドオキシメチルトリエトキシシラン、
グリシドオキシメチルトリメトキシシラン、
アルファ−グリシドオキシエチルトリメトキシシラン、
アルファ−グリシドオキシエチルトリエトキシシラン、
アルファ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、
アルファ−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、
アルファ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、
アルファ−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、
ベータ−グリシドオキシエチルトリメトキシシラン、
ベータ−グリシドオキシエチルトリエトキシシラン、
ベータ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、
ベータ−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、
ベータ−グリシドオキシブチルトリメトキシシラン、
ベータ−グリシドオキシブチルトリエトキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシプロピルトリプロポキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシプロピルトリブトキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシプロピルトリフェノキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシブチルトリメトキシシラン、
ガンマ−グリシドオキシブチルトリエトキシシラン、
デルタ−グリシドオキシブチルトリメトキシシラン、
デルタ−グリシドオキシブチルトリエトキシシラン、
このようなシランモノマーの加水分解物、ならびにこのようなシランモノマーとその加水分解物との混合物が挙げられる。
以前に記載された実施形態のハードコーティング組成物は、(a)経験的な式VIIIによって表されるシランモノマー;(b)経験的な式IXによって表される金属アルコキシド;または(c)1:100〜100:1の(a):(b)の重量比のその混合物5〜65重量パーセント(計算された固体として)をさらに含み得る。好ましくは、ハードコーティング組成物は、前述の物質(a)、(b)または(c)の10〜60重量パーセントの計算された固体、より好ましくは15〜55、そして最も好ましくは30〜50重量パーセントの計算された固体を含む。
ハードコーティング組成物は、以下の経験的な式VIIIによって表される少なくとも1つのシランモノマーを含み得る:
(RSiZ4−(b+c) VIII
ここでRは、C−C20アルキル、C−C20ハロアルキル、C−C20アルケニル、C−C20ハロアルケニル、フェニル、フェニル(C−C20)アルキル、C−C20アルキルフェニル、フェニル(C−C20)アルケニル、C−C20アルケニルフェニル、モルホリノ、アミノ(C−C20)アルキル、アミノ(C−C20)アルケニル、メルカプト(C−C20)アルキル、メルカプト(C−C20)アルケニル、シアノ(C−C20)アルキル、シアノ(C−C20)アルケニル、アクリルオキシ、メタクリルオキシ、またはハロゲンであり得る。ハロまたはハロゲンは、ブロモ、クロロ、またはフルオロであり得る。好ましくは、Rは、C−C10アルキル、C−C10ハロアルキル、C−C10アルケニル、フェニル、フェニル(C−C10)アルキル、C−C10アルキルフェニル、モルホリノ、アミノ(C−C10)アルキル、アミノ(C−C10)アルケニル、メルカプト(C−C10)アルキル、メルカプト(C−C10)アルケニル、シアノ(C−C10)アルキル、シアノ(C−C10)アルケニル、またはハロゲンであり得、そしてハロまたはハロゲンは、クロロ、またはフルオロである。
式VIIIにおいて、Rは、C−C20アルキレン、C−C20アルケニレン、フェニレン、C−C20アルキレンフェニレン、アミノ(C−C20)アルキレン、アミノ(C−C20)アルケニレンであり得;Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、(C−C)アルコキシ、C−Cアルコキシ(C−C)アルコキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、C−Cアルキルフェノキシ、またはC−Cアルコキシフェノキシ、このハロまたはハロゲンは、ブロモ、クロロまたはフルオロである;bおよびcは、各々0〜2の整数であり;そしてbおよびcの合計は0〜3の整数である。好ましくは、Rは、C−C10アルキレン、C−C10アルケニレン、フェニレン、C−C10アルキレンフェニレン、アミノ(C−C10)アルキレン、アミノ(C−C10)アルケニレンであり、Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシ(C−C)アルコキシ、C−Cアシルオキシ、フェノキシ、C−Cアルキルフェノキシ、またはC−Cアルキルフェノキシであり、そしてハロまたはハロゲンは、クロロ、またはフルオロである。
一般式VIIIで表される、適切なシランモノマーとしては、メチルトリメトキシシラン、メチル−トリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリ−アセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、およびγ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピル−メチルジエトキシシラン、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、このようなシランモノマーの加水分解物、ならびにこのようなシランモノマーとその加水分解物との混合物が挙げられる。
ハードコーティング組成物は、経験的な式IXで表される少なくとも1つの化合物を含み得る:
M(T) IX
ここでMは、アルミニウム、アンチモン、タンタル、チタニウムおよびジルコニウムからなる群から選択される金属である。Tは、C−C10のアルコキシであり、そしてqは、Mの価数と等しい整数である。好ましくは、Mは、アルミニウム、チタニウムおよびジルコニウムから選択され、Tは、C−Cのアルコキシ(例えば、プロポキシ)である。
ハードコーティング組成物はまた、二酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよびこのような金属酸化物の混合物からなる群から選択される金属酸化物の組成物の総重量に基づいて0〜20重量パーセントを含み得る。金属酸化物は、ゾルの形態であり得る。本明細書中で用いられる場合、用語ゾルは、水溶液または有機溶液中で細かく分けられた固体無機金属酸化物粒子のコロイド分散物を意味し、かつ含む。このような粒子の平均的な大きさは、1〜200ナノメートルにわたり得、好ましくは2〜100ナノメートルにわたり得、そしてより好ましくは、5〜50ナノメートルにわたり得る。
このような金属酸化物ゾルが、所望の粒子の大きさを形成するのに十分な時間、金属塩前駆体を加水分解することによって調製され得るか、またはこのようなゾルが、商業的に購入され得る。ハードコーティング組成物において用いられ得る市販されている金属酸化物ゾルの例としては、NALCO(登録商標)コロイド溶液(NALCO Chemical Co.から入手可能)REMASOL(登録商標)コロイド溶液(Remet Corp.から入手可能)およびLUDOX(登録商標)コロイド溶液(E.I.du Pont de Nemours Co.,Inc.から入手可能)が挙げられる。適切な酸性金属酸化物ゾルおよびアルカリ金属酸化物ゾルは、水性分散物として市販されている。好ましくは、金属酸化物は、酸安定化されたコロイダルシリカ、酸安定化されたコロイダルアルミナ(例えば、NALCO(登録商標)8676)、または酸安定化アルミナコーティングされたシリカゾル(例えば、NALCO(登録商標)1056)の形態で供給されるシリカまたはアルミナである。金属酸化物ゾルはまた、有機溶液(例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールおよび2プロポキシエタノール中での分散物として得られ得る。)
ハードコーティング組成物はまた、水溶性酸触媒の触媒量を含む。触媒量は、シランモノマーの重縮合を引き起こすのに十分な量である。代表的に、酸触媒の触媒量は、ハードコーティング組成物の総重量に基いて0.01〜10重量パーセントにわたる。水溶性酸触媒は、有機カルボン酸または無機酸であり得る。適切な触媒の例としては、酢酸、蟻酸、グルタル酸、マレイン酸、硝酸、スルホン酸および塩酸が挙げられる。
ハードコーティング組成物に存在する有機溶媒が、シランモノマーの加水分解によってインサイチュで加えられ得るか、または形成され得る。適切な有機溶媒は、コーティング組成物の固体成分を溶解または分散する有機溶媒である。コーティング組成物中に存在する溶媒の最小量は、溶媒和量、すなわち、コーティング組成物中の固体成分を溶解または分散するのに十分な量である。例えば、存在する溶媒量は、コーティング組成物の総重量に基づいて20〜90重量%にわたり得、そしてコーティング組成物中に存在するシランモノマーの量に一部依存する。適切な溶媒としては、以下:ベンゼン、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、エタノール、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピルアルコール、プロピレンカーボネート、N−メチルピロリジノン、N−ビニルピロリジノン、N−アセチルピロリジノン、N−ヒドロキシメチルピロリジノン、N−ブチル−ピロリジノン、N−エチルピロリジノン、N−(N−オクチル)−ピロリジノン、N−(n−ドデシル)ピロリジノン、2−メトキシエチルエーテル、キシレン、シクロヘキサン、3−メチルシクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、テトラヒドフラン、メタノール、プロピオン酸アミル、プロピオン酸メチル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、エチレングリコールのモノアルキルエーテルおよびジアルキルエーテルならびにそれらの誘導体(これらは、CELLOSOLVE産業用溶媒の商標の下で販売される)、プロピレングリコールメチルエーテルおよび酢酸プロピレングリコールメチルエーテル(これらは、DAWANOL(登録商標)PMおよびPMA溶媒の商標の下でそれぞれ販売される)ならびにこれらの溶媒の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
非イオン性界面活性剤の平坦化(leveling)量が、ハードコーティング組成物における成分として存在し得る。平坦化量は、コーティングを均一に広げることを可能にするか、またはそれが適用されるABフィルムの表面上のハードコーティング組成物を平坦化することを可能にするのに十分な量である。好ましくは、非イオン性界面活性剤は、使用の条件では溶液であり、シランモノマーの量に基づいて約0.05%〜約1.0%の量で用いられる。適切な非イオン性界面活性剤は、Kirk Othmer Encyclopedia of Chemical Technology,第3編,22巻,360頁〜377頁,に記載され、その開示は本明細書中に参考として援用される。他の可能性のある非イオン性界面活性剤としては、米国特許第5,580,819号、7欄、32行〜8欄、46行において記載される界面活性剤が挙げられ、その開示は本明細書中で参考として援用される。
ハードコーティング組成物において使用され得る非イオン性界面活性剤の例としては、エトキシル化アルキルフェノール(例えば、IGEPAL(登録商標)DM界面活性剤)またはオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(これは、TRITON(登録商標)X100として販売されている)、アセチレンジオール(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール(例えば、SURFINOL(登録商標)104シリーズとして販売されている)、エトキシル化アセチレンジオール(SURFYNOL(登録商標)400界面活性剤シリーズとして販売されている)、フッ素化界面活性剤(例えば、FLUORAD(登録商標)フッ素化学界面活性剤シリーズ)、およびキャップ非イオン性物質(例えば、ベンジルキャップオクチルフェノールエトキシレート)(これは、TRITON(登録商標)CF87として販売される)、プロピレンオキシドキャップアルキルエトキシレート(界面活性剤のPLURAFAC(登録商標)RAシリーズとして利用可能である)、オクチルフェノキシフェキサデシルエトキシベンジルエーテル、溶媒中のポリエーテル改変ジメチルポリシロキサンコポリマー、BYK(登録商標)−306添加物(Byk Chemie製)ならびにこのように列挙した界面活性剤の混合物が挙げられる。
水がまた、シランモノマー加水分解物を形成するのに十分な量でハードコーティング組成物中に存在する。選択的な金属酸化物ゾル中に存在する水は、必要とされる水の量を提供し得る。存在しない場合、さらなる水が、コーティング組成物に添加され、シランモノマーを加水分解するのに必要とされる添加量を提供し得る。
耐摩耗性コーティング(ハードコーティング)は、フォトクロミックコーティングおよびABフィルム(例えば、スピンコーティング)に関して記載されたものと同一の塗布技術を使用して、そのABフィルムに塗布され得る。耐摩耗性フィルムは、0.5〜10ミクロンの厚さで塗布され得る。そのハードコーティング(例えば、有機シランハードコーティング)を、ABフィルムに適用するのに先立って、そのABフィルムはそのハードコーティングの受容性および接着性を増強するために処理され得る。このような処理(例えば、プラズマ処理)は、ABフィルムに塗布される前にフォトクロミックコーティングの処理に関して上述されたように、使用され得る。
本発明のさらなる実施形態において、さらなるコーティング(例えば、反射防止コーティング)が、そのハードコーティング層に塗布され得る。反射防止コーティングの例が、米国特許第6,175,450号および国際特許公開WO00/33111(これらの開示は、本明細書中で参考として援用される)に記載される。
本発明が、以下の実施例においてより具体的に記載される。それらの実施例は、例示のみを意図するものであり、多くの改変およびバリエーションが、そこで、当業者にとって明らかである。これらの実施形態において、別段指定されない限り、パーセンテージは、重量パーセントで報告される。材料(例えば、モノマー、触媒、イニシエーターなど)は、括弧内の小文字により1実施例において同定され得、その後の実施例においても同様に同定され得る。
(実施例1)
以下の実施例において、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)6.25ベース、74mm半完成プラスチックレンズを使用した。この試験レンズを12%水酸化カリウムで4分間60℃にてエッチングして、その後に水でリンスした。次いで、レンズを、温石鹸水で洗浄し、脱イオン水でリンスして、そして、圧縮空気で乾燥した。極薄の、例えば、単一分子の、プライマー層は、スピンコーティングによってレンズの表面に分配した。このプライマー層組成物を、89.6%ジグリム(diglyme)溶媒、10%3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートおよびリン六フッ化物の0.4%のトリフェニルスルホニウム塩、カチオン性フォトイニシエーターであった。プライマー層は、4秒間に亘ってUV光線に曝露することによって硬化した。
フォトクロミックメタクリレートコーティング組成物を、7.4%のアルコキシシリルアルキルメタクリレートモノマー、7.4%のトリメタクリレートモノマー、59.4%のジメタクリレート機能性モノマー、2.97%の[1,2,−b]ナフトピランフォトクロミック化合物、18.6%の有機溶媒、3.7%の抗酸化剤Irganox I−245およびI−3114、0.37%
のIrgacure819およびLucirin TPOを使用して調製した。少量の固定色素(fixed tint)およびフッ素処理界面活性剤をまた、その組成物に添加する。その組成物の成分の全ての総量を、100%として合計した。
そのフォトクロミックメタクリルコーティングを、スピンコーティングによってそのプライマーコーティングの上層に塗布して約30ミクロンのコーティング厚を提供した。次いで、パルスキセノンバルブからのUV放射によってフォトクロミックコーティングを窒素ブランケットの存在下にて硬化させた。硬化後に、そのレンズを、176°F(80℃)のオーブンの中で1時間に亘って焼き、そのコーティングから残留した有機溶媒を除去した。
その試験レンズのフォトクロミックコーティングを、750ワット出力レベルで作動するPlasmatech機器を使用して5分間に亘ってプラズマで処理しつつ、そのPlasmatech機器の減圧チャンバに400ml/分の速度で酸素を導入した。次いで、この試験レンズを、洗浄および乾燥して、表1に報告した処方物から調製したアクリレートベースフィルム(ABフィルム)組成物を、スピンコーティングで塗布し、およそ5ミクロンのコーティングを取得した。次いで、このコーティングを、パルスキセノンバルブからのUV照射によって窒素ブランケットの存在下で硬化した。
(表1)
(処方物)
Armour 500樹脂(a) 50.0%
Cyracure UVR−6110(b) 48.1%
CD−1011(c) 1.9%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(a)アクリレートベース樹脂を、Gerber Coburnから購入した。この樹脂は、フォトイニシエーターを含有する。
(b)Dow Chemicalより得た脂環式エポキシ樹脂
(c)トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェートカチオン性フォトイニシエーター。
次いで、数個のABフィルムコーティングレンズを、オーブン中で212°F(100℃)にて1時間に亘って焼いて、そしてABフィルムの特性を試験した。このようなABフィルムコーティングレンズを、ハードコーティング洗浄ライン中およそ15分間にわたって12%KOHの水溶液に供した。それらのレンズを視覚的に検査することによって、KOH溶液によるABフィルムの損傷がないことを示した。コーティングしたABレンズおよび焼かれた試験レンズを、クロスハッチピール接着性について試験を使用して試験して、そして、一次(乾燥)試験および二次(湿潤)試験の両方を通過することを確認した。Bayer磨耗試験およびスチールウールスクラッチ試験によるこのような試験レンズの磨耗性試験のより、約1のBayer比、およびそのスチールウール試験におけるおよそ6のヘイズゲイン(haze gain)を得た。このことは、ABフィルムの耐ひっかき性を実証する。
ABフィルムコーティングが適用される試験レンズを、以下のような様式の
耐摩耗性コーティングでさらにコーティングした。この試験レンズ上のABフィルムの表面を、750ワット出力レベルで作動するPlasmatech機器を使用して5分間に亘ってプラズマで処理しつつ、そのPlasmatech機器の減圧チャンバに400ml/分の速度で酸素ガスを導入した。シロキサンベース耐摩耗性コーティング(Essilor of Americaから利用可能なNTハードコーティング)をそのレンズに塗布し、そして、そのレンズを3時間にわたって212°F(100℃)で加熱することによって硬化した。サンプル試験レンズを、UV光線に曝露し、そして、色変化を観察した。そのレンズは、UV光線源が取り除かれたときに、そのもとの色に戻った。これらのサンプル試験レンズを、クロスハッチピール試験を使用して摩耗性に対して試験し、そして、一次(乾燥)試験および二次(湿潤)試験の両方を通過することを観察した。
ハードコーティング試験レンズおよびコントロールレンズ(ハードコーティングレンズと同じ様式で調製したが、アクリレートベースフィルム層を有さない)を、カセイアルカリに対する耐性に関して試験した。このハードコーティング層を、試験レンズおよびコントロールレンズの両方から取り除いた。試験レンズ層の下のアクリレートベースフィルム層を観察した。このハードコーティングレンズおよびコントロールレンズを、スチールウール試験およびBayer磨耗性試験を使用して試験した。そのスチールウールについてのヘイズゲインは、試験レンズに関して約0.2であり、そしてコントロールレンズに関して約1sであった。このBayer磨耗試験において、その試験レンズは、約1のByer比を有し、他方、コントロールレンズは、約3のBayer比を有していた。このデータは、ABフィルムの使用によって、そのレンズの耐ひっかき性が改善されたことを示している。
このハードコーティング試験レンズを、研磨媒体を有するタンブラーデバイス(Colts Laboratories(Prnellas Park,FL)製Tumble Mix)中でそのレンズを20分間タンブリングして、それらのレンズの表面上のひっかき傷を導入することによって試験した。この研磨媒体は、ハードコーティング上の2年間の磨耗を模擬実験するのに、通常使用される。このタンブラーデバイスはまた、Colts Laboratoryから利用可能である。次いで、このサンプルレンズを、1時間に亘ってイソプロパノール中に浸漬した。それらの浸漬したレンズを、空気中で送風乾燥して、ストリップライトで観察した。それらの浸漬したレンズを、膨張欠陥の数およびサイズに関して1〜4のスケール(1=膨張なし;2=軽度の膨張;3=中程度の膨張;4=重度の膨張;)で評価し、タンブリングの間にハードコーティング上に生じたひっかき傷の下のフォトクロニックコーティングの明確な膨張の程度を決定した。この試験を、Tumble/IPA試験として称する。この試験レンズは、膨張を示さなかった(ランク評価1)が、他方、コントロールレンズは、重度の膨張(ランク評価4)を示した。
反射防止(AR)コーティング適合性の測定として、ハードコーティング試験レンズ(およびハードコーティング下にABフィルムを有さないコントロールレンズ)を、Essilor of America製のReflection Free 反射防止コーティングでARコーティングした。これらのレンズを、オーブンソーク試験を使用してARコーティングに細かくひびがはいる温度について試験した。ARコーティングの後に、レンズを、そのARコーティングの亀裂およびひび割れについて検査した。ひび割れが見つからなかった場合、次いで、最小にして1サンプルレンズおよび1コントロールレンズを、対流式オーブン中で50℃にて1時間わたって加熱する。これらの試験レンズを、30分間で室温まで冷却し、そして、フォトクロミックコーティングおよび/またはABフィルムの亀裂および/またはひび割れについて再度検査する。なにも存在しない場合、次いで、オーブンの温度を10℃上昇させ、そして、そのプロセスが反復される。加熱、冷却および検査の周期は、フォトクロニックコーティングおよび/またはABフィルムの表面上にひびが入るまで繰り返される。このひび割れ温度は、観察されるひび割れ温度および10℃低い温度で新たなサンプルレンズを試験することによって確認され、それよりも低い温度にてひび割れが発生しないことが確認される。ABフィルムを有するサンプルレンズが80℃でひび割れし、他方、ABフィルムを有さない(フォトクロニックコーティングのみ)コントロールレンズが50℃でひび割れた。このデータは、ABフィルムの使用が、それらのレンズのひび割れ温度を実質的に上昇させることを示す。
(実施例2)
以下の実施例において、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)6.25ベース、74mm半完成プラスチックレンズを使用した。この試験レンズを12%水酸カリウムで4分間60℃にてエッチングして、その後に水でリンスした。それらにレンズを、温石鹸水で洗浄し、脱イオン水でリンスして、そして、圧縮空気で乾燥した。極薄の、例えば、単一分子の、プライマー層は、スピンコーティングによってレンズの表面に分配した。このプライマー層組成物を、89.6%ジグリム(diglyme)溶媒、10%3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートおよびリン六フッ化物の0.4%のトリフェニルスルホニウム塩、カチオン性フォトイニシエーターであった。プライマー層は、4秒間に亘ってUV光線に曝露することによって硬化した。
フォトクロミックメタクリル被覆組成物を、約7.8パーセントのアルコキシシリルアルキルメタクリレートモノマー、7.8パーセントのトリメタクリレートモノマー、62.7パーセントのジメタクリレート官能性モノマー、4.7パーセントの[1,2−b]ナフトピランフォトクロミック化合物、11.8パーセントの有機溶媒、1.7パーセントの抗酸化剤IrganoxI−245、3.1パーセントの重合可能HALS(Hitachi Chemical Co.から入手可能な干渉アミン(hindered amine)光安定剤FA−711MM)ならびに0.39パーセントの光開始剤Irgacure819およびLucirinTPOを使用して調製した。少量の不揮発性色素(fixed tiht)およびフッ化界面活性剤をまた、被覆組成物に加えた。被覆組成物成分の全ての合計は、100パーセントであった。
フォトクロミックメタクリレート被覆組成物を、スピン被覆によって下塗り被覆(primer coating)の頂点上に適用し、約30ミクロンの被覆の厚さおよびパルスXenonバルブからのUV照射によって窒素ブランケットの存在下で硬化されたフォトクロミック被覆を提供した。硬化の後、レンズを、176F(80℃)のオーブン中で1時間ベーキングし、被覆からいずれの残渣有機溶媒も除去した。
フォトクロミック被覆で被覆された試験レンズは、Plasmatechマシーンの真空チャンバーに400ml/分の速度で酸素を導入しながら、750ワット出力レベルで5分間、Plasmatechマシーンを使用してプラズマ処理した。次いで、レンズを、洗浄し、そしてベーキングし、そして表2に報告された処方物から調製されたアクリレートベースフィルム(ABフィルム)を、スピン被覆によって適用し、約10ミクロンの被覆を得た。次いで、被覆を、パルスXenonバルブからのUV照射によって窒素ブランケットの存在下で硬化した。
Figure 0004354278
(d)Sartomer Companyから得られるジペンタエリトリトールペンタアクリレート
(e)Sartomer Companyから得られるトリメチルオルプロパントリメタクリレート
(f)Sartomer Companyから得られるエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート
(g)Resolution Performance Productsから得られるビスフェノールA/エピクロロヒドリンベースエポキシ樹脂
(h)OSI Specialty Chemicalsから得られるγグリシドキシプロピルトリメトキシシランモノマー
(i)ビスアクリルホスフィンオキシド(Ciba−GeigyからのIrgacure819)光開始剤
次いで、ABフィルム被覆した試験レンズのいくつかを、オーブンで212F(100℃)で1時間ベーキングし、そしてABフィルムの特性を、試験した。このようなABフィルム被覆したレンズを、ハード被覆洗浄ライン中で約7分間60℃で12%KOHの水溶液に供した。レンズの視診は、KOH溶液からABフィルムへの損傷がないことを示した。ABフィルム被覆したそしてベーキングした試験レンズを、クロスハッチ剥離試験を使用して接着について試験し、そして第一(ベーキング)試験および第二(湿潤)試験の両方を通ることを観察した。Bayer剥離試験およびスチールウールスクラッチ試験によってこのような試験レンズの剥離試験は、約0.6のBayer速度および約16のスチールウール試験で混濁増加(haze gain)を生じ、そしてABフィルムスクラッチ抵抗を示した。
ABフィルム被覆が適用された試験レンズを、以下の様式で耐磨耗性被覆でさらに被覆した。試験レンズ上のABフィルムの表面は、酸素ガスをPlasmatechマシーンの真空チャンバー中に400ml/分の速度で導入しながら、600ワットの出力レベルでPlaxmatechマシーン操作を使用して、5分間プラズマ処理した。シロキサンベース耐磨耗性被覆(SDC Technologyから得られるSilvue124)を、Transition Optical、Ltdによって試験レンズに適用し、そして221F(105℃)で5時間加熱することによって硬化した。試験レンズを、UV光に曝し、そして色の変化を観察した。UV光源を除去すると、レンズは、それらの本来の色に戻った。試験レンズを、クロスハッチ剥離試験を使用して接着について試験し、そして第一(ベーキング)試験および第二(湿潤)試験の両方を通過することを観察した。
ハード被覆試験レンズと同じ様式で調製したが、アクリレートベースフィルム層を有さないハード被覆レンズおよびコントロールレンズを、スチールウールスクラッチ試験およびBayer剥離試験を使用して試験した。スチールウールスクラッチ試験を使用して試験レンズについての混濁利得は、約0.3およびコントロールレンズについて約2.4であった。Bayer剥離試験において、コントロールレンズが、約1.2のBayer速度を有する一方で、試験レンズは、約1.7のBayer速度を有した。このデータは、アクリレートベースフィルム層が、レンズのスクラッチ抵抗を改善したことを示す。
実施例1において記載されるような同様の手順を使用して、試験レンズを、レンズの表面上のスクラッチ(Tumble/IPA試験)を誘導するため、20分間スカーリング媒体(Colts Laboratories、Pinellas Park、FL由来のTumble Mix)を備えるタンブラーデバイス中でそれらをタンブリングすることによって試験した(Tumble/IPA試験)。試験レンズは、非膨張を示した(1の評点)が、コントロールレンズは、重度の膨張を示した(4の評点)。
反射防止(AR)被覆適合性の測定の場合、ハード被覆サンプルレンズ(およびハード被覆の下にABフィルムを有さないコントロールレンズ)は、AmericaのEssilorによるRerlection Free被覆で被覆されたARであった。これらのレンズを、オーブン浸漬試験によるAR被覆の割れが、実施例1に記載される温度に対して試験した。コントロールレンズが、60℃で割れる一方で、ABフィルムを有するサンプルレンズは、80℃で割れた。このデータは、ABフィルムの使用が、レンズの割れる温度を実質的に増加することを示す。
(実施例3)
以下の実施例において、眼科用品質有機ポリマー基材から調製された70mm半仕上げプラスチックレンズを、使用した。この試験レンズを、石鹸水で洗浄し、清潔な水ですすぎ洗いし、次いでイソプロピルアルコールで噴霧し、そしてベーキングした。この試験レンズは、Plasmatechマシーンの真空チャンバーに100ml/分の速度で酸素を導入しながら、100ワットの出力設定でPlasmatechマシーンを使用して1分間プラズマ処理した。フォトクロミックポリウレタン被覆(米国特許6,187,444B1に記載される型の)を、プラズマ処理に適用し、レンズを熱的に硬化した。フォトクロミックポリウレタン被覆は、約20ミクロンの厚さであった。次いで、被覆された試験レンズを、洗浄し、そしてベーキングし、そしてフォトクロミック被覆を、Plasmatechマシーンの真空チャンバー中に200ml/分の速度で酸素を導入しながら、400ワットの出力設定でPlasmatechマシーンを使用して5分間プラズマ処理した。3つのアクリレートベース処方物を、表3において報告された成分から調製し、そして各処方物を、スピン被覆によって別の試験レンズの表面に適用した。被覆を、VバルブからのUV光を用いて窒素雰囲気下で硬化した。得られたABフィルム被覆は、約5ミクロンの厚さであった。
Figure 0004354278
(j)エチレングリコールジメタクリレート(Sartomer)
(k)ビスフェノールAグリセロレート(1グリセロール/1フェノール)ジメタクリレート(Aldrich)
(l)ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(Aldrich)
(m)3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(Dow)
(n)3−(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート(Aldrich)
(o)ヒドロキシエチルメタクリレート(Aldrich)
ABフィルム被覆レンズを、UV光に曝し、そして可逆的に色を変化することを観察した。ABフィルムの耐磨耗性および耐腐食性を、以下に記載される方法によって試験した。耐腐食性について、試験レンズの最初の混濁を、BYK Gardner Haze Instrumentを使用して測定した。次いで、試験レンズを、5分間12%水酸化ナトリウム(NaOH)の60℃水溶液中に浸した。試験レンズを、ABフィルムがこのレンズから離層するか否かを確かめるために注意深く観察した。その後、試験レンズの混濁(最終)を、再測定し、そして混濁測定での差異(最初の混濁−最終の混濁)を、記録した。この方法を、混濁試験として本明細書中に言及する。表3における処方物A、BおよびCについてのABフィルムに対するΔ混濁値は、各々0.00、0.43および0.19であった。2より小さい、好ましくは、1より小さいΔ混濁値は、ABフィルムが腐食剤(例えば、水酸化ナトリウム)による除去に対して抵抗性であることを示す。被覆ABフィルムの耐磨耗性(耐ひっかき性)を、Bayer磨耗試験を使用して試験した。Bayer剥離試験の結果を、表4に作表する。処方物A,BおよびCから調製した前述のΔ混濁値は、このようなABフィルムが、水性無機腐食溶液による除去に耐性であることを示す。
各ABフィルム被覆試験レンズのいくつかを、100℃で3時間加熱し、そしてABフィルムの接着を、クロスハッチ剥離試験を使用して試験した。結果を、表4に作表する。
他のABフィルム被覆試験レンズは、Plasmatechマシーンの真空チャンバー中に100ml/分の速度で酸素を導入しながら、100ワットの出力設定でPlasmatechマシーンを使用して1分間プラズマ処理し、そしてシロキサンベースハード被覆(HC)を、スピン被覆によってレンズの表面に適用した。その後、レンズを、20分間60℃で加熱し、次いで3時間100℃で加熱した。シロキサンベースハード被覆は、約2ミクロンの厚さを有する。ハード被覆レンズを、クロスハッチ剥離試験を使用してハード被覆の接着について試験し、そして実施例1に記載されるTumble/IPA試験を使用して腫張(割れ)についても試験した。結果を、表4に作表する。
(実施例4)
以下の実施例において、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)から調製した70mmの半仕上げプラスチックレンズを使用した。この試験レンズを、石けん水で洗浄し、清浄な水ですすぎ、次いで、イソプロピルアルコールをスプレーし、乾燥した。
試験レンズの表面を、12重量%の水酸化ナトリウム水溶液で2分間処理し、次いで、清浄な水ですすいだ。実施例1に記載のプライマー組成物から調製した、例えば、一分子厚の非常に薄いプライマー層を、実施例1に記載された様式にて、処理表面に適用し、UV光で硬化した。実施例1に記載の型の20ミクロンのフォトクロミックメタアクリルコーティングを、スピンコーティングによりプライマー層に適用し、窒素雰囲気中でVバルブからUV光に曝すことにより、硬化した。メタアクリルフォトクロミックコーティングを、Plasmatech機械を使用して、400ワットの出力設定で、200ml/分の速度でPlasmatech機械の真空チャンバに酸素を導入しながら、5分間プラズマ処理した。SR−206(22.39%);BPA−DOH−DMA(22.39%);TPO(0.13%);BAPO(0.09%);UVR−6110(30.80%);CD−1011(4.20%);A−174(10.00%);およびHEMA(10.00%)[略語の定義については表3を参照のこと]を含むアクリレートベースの処方物を調製し、レンズのプラズマ処理表面に適用した。得られたABフィルムを、窒素雰囲気中でVバルブからUV光に曝すことによって硬化し、約5ミクロン厚であった。
ABフィルムコーティングした試験レンズを、UV光に曝し、色が可逆的に変化することを確認した。ABフィルムの腐食耐性を、Δヘイズ(delta haze)試験を使用して試験した。Δヘイズ値は、0.31であり、これは、無機機腐食による除去に対するABフィルムの耐性を示した。ABフィルムの耐摩耗性を、Bayer摩耗試験を使用して試験した。結果を、試験レンズDについての行で表4に報告する。
ABフィルムコーティング試験レンズを、100℃で3時間加熱し、このようなレンズの接着特性を、クロスハッチ剥離試験(crosshatch peel)を使用して試験した。結果を、試験レンズDについての行において表4に報告する。
他のABフィルムコーティングされた試験レンズを、Plasmatech機械を使用して、100ワットの出力設定で、100ml/分の速度でPlasmatech機械の真空チャンバに酸素を導入しながら、1分間プラズマ処理し、シロキサンベースのハードコートを、スピンコーティングにより、レンズのプラズマ処理表面に適用した。その後、レンズを、60℃で20分間加熱し、次いで、100℃で3時間加熱した。シロキサンベースのハードコートは、約2ミクロンの厚みを有した。ハードコートしたレンズを、クロスハッチ剥離試験を使用して接着について試験し、別のハードコートレンズを、上記のTumble/IPA試験を使用して膨潤について試験した。結果を、試験レンズDについての行において表4に報告する。
Figure 0004354278
表4に報告したデータは、試験レンズの全てを、耐ひっかき性(0.5を超えるBayer摩耗値を有する)であること、ABフィルムが、ABフィルムが適用されるフォトクロミックコーティングに粘着的に接着したこと、シロキサンベースのハードコートがまた、ABフィルムに接着したこと、そしてこのハードコートが、Tumble/IPA試験の結果として、いかなる膨潤も示さないことを示す。
(実施例5)
以下の実施例において、ジエチレングリコールビス(アリルカーボネート)から調製した70mm平面仕上げの単焦点レンズ(single vision lens)を使用した。これらのレンズを、SOLA Optical USAから得た。このレンズを、水性界面活性剤溶液で洗浄し、まず水ですすぎ、次いで、脱イオン水ですすいだ。その後、これらのレンズを、イソプロピルアルコールでスプレーし、次いで、温対流式オーブン中で乾燥した。これらのレンズを、Plasmatechマイクロ波機械を使用して、100ワットの出力設定で、100ml/分の速度で38パスカルのガス圧で酸素を導入しながら、1分間プラズマ処理した。国際特許公開WO01/55269に記載される型のフォトクロミックポリウレタン処方物を、調製した。このポリウレタン処方物は、Stahl.USAから市販される脂肪族ポリカーボネートジオール(PC 1122)を含んだ。これは、ポリヘキサメチレンジカーボネート、アクリルポリオール、メチルエチルケトキシムブロックした脂肪族ポリイソシアネート(Vestanat B1358A)(CreaNova,Incから市販される)、以下の混合物:ナフト[1,2−b]ピランフォトクロミック化合物、ジブチルスズジラウレート触媒、ヒンダードアミン光安定化剤(Tinuvin 144)(Ciba−Geigy Corpから市販される)、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン(Silquest A−187)(OSi Specialty Chemicalsから市販される)、BAYSILONE塗料添加剤PL(フェニルメチルポリシロキサン、Bayer Corporationから市販される)、およびN−メチルピロリドン溶媒、であることが報告された。フォトクロミック処方物を、スピンコーティングにより各レンズの表面に適用した。各レンズ上のコーティングの湿フィルム重量は、約200mgであった。コーティングされたレンズを、140℃の対流式オーブン中に75分間入れて、コーティングを硬化させた。硬化したフォトクロミックポリウレタンコーティングの最終的な厚みは、約20ミクロンであった。
一連の10個のアクリルベースのフィルム(ABフィルム)処方物を、表5において見いだされる成分を、開始剤が、完全に溶解するまで、シンチレーション測定したガラスバイアル中で1重量%のTPO開始剤[ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド]と混合し60℃の対流式オーブン中で、成分混合物を穏やかに加熱することによって調製した。表5のABフィルム処方物は、100%固体で10gスケールで調製した。
Figure 0004354278
(j)エチレングリコールジメタクリレート(Aldrich)
(p)ヒドロキシエチルアクリレート(Aldrich)
(q)ネオペンチルグリコールジアクリレート
(r)トリメチロールプロパントリアクリレート
このフォトクロミックポリウレタンコーティングレンズを、400ワットの出力設定で、Plasmatechユニットの真空チャンバに200ml/分の流速で64パスカルのガス圧で酸素を導入しながら、Plasmatechマイクロ波ガスプラズマユニットで5分間プラズマ処理した。表5のABフィルム処方物の各々約1mlを、別個のプラズマ処理フォトクロミックポリウレタンコーティングレンズの中心に、スピンコーティングによって適用した。スピン速度および経過スピン時間を、約0.025gの湿フィルム重量を得るために、調節した(フィルム処方物の粘度の変化に起因して)。このABフィルムコーティングレンズを、2つのVバルブ(ヨウ化ガリウム)を含むEYE UVライン中でUVに約40秒曝すことによって硬化した。このABフィルムコーティングレンズを、紫外線光に曝し、色が可逆的に変化することを観察した。処方物#10でコーティングしたレンズを、Bayer摩耗について試験し、1.06の評価が得られ、これは、改善した耐ひっかき性を示す。
表5において見いだされるABフィルム処方物の各々から調製したABフィルムコーティングレンズを、先に記載されたクロスハッチテープ剥離接着試験を使用して、接着について試験した。接着試験の結果を、表6にまとめる。表6において、接着を、一次(1)試験および二次(2)試験の両方について報告する。先に示したように、二次試験は、クロスハッチテープ剥離試験である。この試験を、沸騰脱イオン水中にレンズを30分間浸漬後に行う。処方物#10でコーティングしたサンプルレンズを、ハードコーティングラインを通してすすめ、ここでこのレンズを、35% KOHの水溶液に33秒間曝したが、ABフィルムの分解は観察されなかった。
ABフィルムコーティング試験レンズを、Plasmatechマイクロ波機械を使用して、400ワットの出力レベルで、Plasmatech機械の真空チャンバにガス圧64パスカルで、200ml/分の速度で酸素ガスを導入しながら、5分間プラズマ処理した。プラズマ処理したABフィルム処方物の各々から選択された2つの試験レンズを、有機シラン含有ハードコーティング溶液(PPG Industries,Inc.から市販されるHi−Gard(登録商標)1030)で、スピンコーティングによりコーティングした。約4mlのハードコーティング溶液を、レンズをスピンしているときに、ABフィルムの表面に分配した。その後、レンズを、60℃に20分加熱し、次いで、120℃で3時間加熱した。乾燥したハードコーティングの最終的な厚みは、約2ミクロンであった。ハードコーティング試験レンズをまた、一次および二次クロスハッチテープ剥離試験に供した。ABフィルムに対するハードコートの接着試験の結果をまた、表6に報告する。さらに、他のハードコーティング試験レンズを、二次クロスハッチテープ剥離試験試験前に、沸騰脱イオン水中に浸漬した後に、ハードコートのひびについて検査した。結果をまた、表6にまとめる。
実施例1で記載する方法と同じ方法を使用して、処方物♯10でコートした試験レンズを研磨媒体(Colts Laboratories,Pinellas Park,FLからのTumble Mix)を含むタンブラー装置において、レンズ(Tumble/IPA試験)の表面にスクラッチを誘導するために、20分間それらを転がすことによって試験した。試験レンズは、膨張を示さず、(1の評価);ここで、コントロールレンズは、激しい膨張を示した(4の評価)。
Figure 0004354278
表6のデータは、表5で示される各々の10個の処方物が、レンズに適用されるフォトクロミックポリウレタンコーティング上のABフィルムとして使用する場合、ABフィルムは、フォトクロミックポリウレタンコーティングに粘着して結合し、そしてABフィルムに適用される、有機シラン含有ハードコートもまた、ABフィルムに粘着して結合される。さらに、ハードコートにひびが入らないことは、沸騰して脱イオン化した水に30分間沈めた後に観察される。
(実施例6)
以下の実施例において、Gentex Opticsから得た、70mm半仕上げPDQハードコートポリカーボネートレンズを使用した。試験レンズは、石鹸水で洗い、精製水で濯ぎ、イソプロピルアルコールを吹きかけて乾燥した。試験レンズは、100ワット出力設定したPlasmatech機械を使用して1分間プラズマ処理し、一方、Plasmatech機械の真空チャンバ内に100ml/分の比率で酸素を導入した。フォトクロミックポリウレタンコーティング(米国特許出願第6,187,444号B1に記載の型)を、プラズマ処理レンズに塗布し、そして熱硬化させた。フォトクロミックポリウレタンコーティングは約20ミクロンの厚さであった。試験レンズ上のフォトクロミックポリウレタンコーティングは、100ワットで1分間プラズマ処理し、一方、Plasmatech機械の真空チャンバ内に40ml/分の速度で酸素を導入した。4つのアクリレートベースの処方物を、表7で報告した成分から調製し、そして、各々の処方物は、別々のサンプルのレンズの表面に、スピンコーティングによって塗布した。結果生じるフィルムは、約5ミクロンの厚さであった。コーティングは、窒素の存在中でVバルブからのUV光で硬化した。
Figure 0004354278
(s)HDIに基づくブロックしたポリイソシアネート生成物(ヘキサメチレンジイソシアネート)、これは、一官基性メタクリレート基を含むと報告される(商品コードXD−045323でBayer Corpから得られる)。
(t)ブロック化IPDI(Bayer Corpから得られるイソフォロンジイソシアネート)。
(u)ジラウリン酸ジブチルスズ
試験レンズをコートしたABフィルムを、UV光にさらし、そして、可逆的に色を変えることを観察した。このようなABフィルムの耐腐食性を、Δヘイズ試験を使用して試験した。表7における処方物A、処方物B、処方物Cおよび処方物Dから調製されたABフィルムに対するΔヘイズ値は、それぞれ0.29,0.26,0.07および0.43であり、これは、ABフィルムが水性無機腐食性溶液による除去に対して抵抗性であることを説明する。表7における処方物A、処方物B、処方物Cおよび処方物Dから調製された試験レンズ上のABフィルムは、また、Bayer摩擦試験を使用して耐ひっかき性に関して試験した。結果は、表8に集計し、このデータは、ABフィルムが耐ひっかき性であることを示す。
ABフィルムコート試験レンズは、100℃のオーブンで3時間加熱し、そしてこれらのレンズは、斜交平行線剥離試験(crosshatch peel test)を使用して接着に関して試験した。結果は、表8に集計した。
ABフィルムでコートしたレンズ上のABフィルムは、100ワット出力設定したPlasmatech機械を使用して1分間プラズマ処理し、一方、Plasmatech機械の真空チャンバ内に100ml/分の速度で酸素を導入し、そして、ABフィルムにシロキサンに基づくハードコートを適用した。その後、このレンズを、60℃で20分間、次いで、100℃で3時間加熱した。シロキサンに基づくハードコートは、約2ミクロンの厚さを有する。ハードコートされた試験レンズは、斜交平行線剥離試験を使用してアクリレートフィルムの接着に関して試験し、そしてTumble/IPA試験を使用して膨張に関して試験した。結果は、表8に集計した。
Figure 0004354278
表8のデータは、各々の表7に示される4つの処方物が、レンズに適用されるフォトクロミックポリウレタンコーティング上のABフィルムとして使用される場合、ABフィルムは、フォトクロミックポリウレタンコーティングに接着して結合し、そして、ABフィルムに適用したシロキサンに基づくハードコートもまた、ABフィルムに接着して結合する。さらに、Tumble/IPA試験によって示されるように、ハードコートの膨張は観察されなかった。
本発明は、その特定の実施形態自身の特定の詳細を参照して記載されているが、このような詳細は、それらが添付の特許請求の範囲に含まれるような範囲を除いて、本発明の範囲上の限定として考慮されることは、意図しない。

Claims (33)

  1. フォトクロミック物品であって、以下:
    (a)有機ポリマー基材、
    (b)該ポリマー基材の少なくとも1つの表面に付加されたフォトクロミック有機ポリマーコーティングであって、該フォトクロミック有機ポリマーコーティングは、フォトクロミック量の少なくとも1つの有機フォトクロミック材料を含む、フォトクロミック有機ポリマーコーティング、
    (c)該フォトクロミックポリマーコーティングに粘着的に付加された放射線硬化アクリレートベースフィルムであって、該放射線硬化アクリレートベースフィルムは、10〜85重量%のカチオン開始エポキシモノマーおよび90〜15重量%のフリーラジカル開始アクリレートモノマーの混合物を含む組成物から調製され、そして以下:
    (1)水性無機腐食剤による除去に対して耐性であり、
    (2)耐摩耗性有機シラン含有コーティングと適合性であり、そして
    (3)該フォトクロミックポリマーコーティングよりも、耐ひっかき性である、
    放射線硬化アクリレートベースフィルム、および
    (d)該アクリレートベースフィルムの表面に付着された有機シランベース耐摩耗性コーティング
    を組み合わせて含む、フォトクロミック物品。
  2. 請求項1に記載のフォトクロミック物品であって、前記ポリマー基材が、1.48〜1.74の屈折率を有する熱硬化性材料および熱可塑性材料から選択される、フォトクロミック物品。
  3. 請求項1または2に記載のフォトクロミック物品であって、前記ポリマー基材が、アリルジグリコールカーボネートモノマーを含む重合可能組成物から調製される熱硬化性基材、熱可塑性ポリカーボネートから調製される基材、ポリウレアウレタンから調製された基材、および多官能性イソシアネートとポリチオールまたはポリエピスルフィドモノマーとの反応生成物を含む組成物から調製される基材から選択される基材である、フォトクロミック物品。
  4. 請求項3に記載のフォトクロミック物品であって、前記アリルジグリコールカルボネートが、ジエチレングリコールビス(アリルカルボネート)である、フォトクロミック物品。
  5. 請求項3に記載のフォトクロミック物品であって、前記熱硬化性ポリマーは、アリルジグリコールカーボネートモノマーを含む重合可能組成物から調製されるポリマーであり、該ポリマーは、屈折率1.50〜1.67を有する、フォトクロミック物品。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミック有機ポリマーコーティングが、フォトクロミックポリウレタンベースコーティング、フォトクロミックポリ(メタ)アクリルベースコーティング、およびフォトクロミックエポキシ樹脂ベースコーティングから選択される、フォトクロミック物品。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミック材料が、フォトクロミックなスピロオキサジン、ベンゾピラン、ナフトピラン、フルギド、金属ジチゾネートおよびこのようなフォトクロミック材料の混合物から選択される、フォトクロミック物品。
  8. 請求項7に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミック材料が、フォトクロミックなスピロオキサジン、ナフトピラン、フルギドおよびこのようなフォトクロミック材料の混合物から選択される、フォトクロミック物品。
  9. 請求項7に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミックナフトピランが、ナフト[1,2−b]ピラン、ナフト[2,1−b]ピラン、スピロ−9−フルオレノ[1,2−b]ピラン、フェナントロピラン、キノピラン、およびインデノ縮合ナフトピランから選択され、そして前記スピロオキサジンが、ナフトオキサジンおよびスピロ(インドリン)ピリドベンズオキサジンから選択される、フォトクロミック物品。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミックコーティングのフォトクロミック材料が、(a)400ナノメートルから550ナノメートル未満までの可視スペクトルλmaxの範囲内の活性化吸収最大値を有する少なくとも1つのフォトクロミック有機材料、および(b)550〜700ナノメートルの可視スペクトルλmaxの範囲内の活性化吸収最大値を有する少なくとも1つのフォトクロミック有機材料を含む、フォトクロミック物品。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミックコーティング中の活性フォトクロミック材料が、0.5〜40重量%の量で存在する、フォトクロミック物品。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミックコーティング中の活性フォトクロミック材料が、1〜30重量%の量で存在する、フォトクロミック物品。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミックコーティングが、5〜200ミクロンの厚みを有する、フォトクロミック物品。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミックコーティングが、10〜100ミクロンの厚みを有する、フォトクロミック物品。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記フォトクロミックコーティングが、10〜50ミクロンの厚みを有する、フォトクロミック物品。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムが、30〜70重量%のカチオン開始エポキシモノマーおよび70〜30重量%のフリーラジカル開始アクリレートモノマーの混合物を含む組成物から調製される、フォトクロミック物品。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムが、35〜50重量%のカチオン開始エポキシモノマーおよび65〜50重量%のフリーラジカル開始アクリレートモノマーの混合物を含む組成物から調製される、フォトクロミック物品。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムが、0〜85重量%の単官能性アクリレートと、3〜60重量%の二官能性アクリレートとを含む、重合可能組成物から調製される、フォトクロミック物品。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムが、10〜75重量%の単官能性アクリレートと、3〜60重量%の二官能性アクリレートとを含む、重合可能組成物から調製される、フォトクロミック物品。
  20. 請求項18または19に記載のフォトクロミック物品であって、前記重合可能組成物が、5〜30重量%の三官能性アクリレートをさらに含む、フォトクロミック物品。
  21. 請求項18〜20のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記重合可能組成物が、テトラアクリレート、ペンタアクリレート、およびテトラアクリレートとペンタアクリレートとの混合物からなる群より選択される、3〜15重量%の官能性アクリレートをさらに含む、フォトクロミック物品。
  22. 請求項1〜21のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムが、2〜20ミクロンの厚みを有する、フォトクロミック物品。
  23. 請求項1〜22のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムが、2〜15ミクロンの厚みを有する、フォトクロミック物品。
  24. 請求項1〜23のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記アクリルベースフィルムが、1つより多くのアクリレートベース樹脂層を含む、フォトクロミック物品。
  25. 請求項1に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムの平均ヘイズゲインが、スチールウールひっかき試験によって測定される場合、20未満である、フォトクロミック物品。
  26. 請求項1に記載のフォトクロミック物品であって、前記放射線硬化アクリレートベースフィルムの平均ヘイズゲインが、スチールウールひっかき試験によって測定される場合、8未満である、フォトクロミック物品。
  27. 60℃で12.5重量%の水性水酸化カリウムへの2回の曝露の後、前記アクリルベースのフィルムの厚みが、0.5ミクロン未満減少し、各曝露は、4分間である、請求項1〜26のいずれか一項に記載のフォトクロミック眼科用物品。
  28. 前記耐磨耗性コーティングが、0.5〜10ミクロンの厚みを有する、請求項1に記載のフォトクロミック物品。
  29. 前記耐磨耗性フィルムの表面に付けられた反射防止コーティングをさらに含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品。
  30. 請求項1〜29のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品であって、前記有機ポリマー基材と前記フォトクロミック有機ポリマーコーティングとの間に、プライマーコーティングが挿入されている、フォトクロミック物品。
  31. 前記物品が、眼科用物品である、請求項1〜30のいずれか一項に記載のフォトクロミック物品。
  32. 前記眼科用物品が、レンズである、請求項31に記載のフォトクロミック物品。
  33. フォトクロミック物品中での放射線硬化アクリレートベースフィルムの使用であって、
    該放射線硬化アクリレートベースフィルムが、10〜85重量%のカチオン開始エポキシモノマーおよび90〜15重量%のフリーラジカル開始アクリレートモノマーの混合物を含む組成物から調製され、そして以下:
    (1)水性無機腐食剤による除去に対して耐性であり、
    (2)耐摩耗性有機シラン含有コーティングと適合性であり、そして
    (3)該フォトクロミックポリマーコーティングよりも、耐ひっかき性であり、
    該フォトクロミック物品が、
    (a)有機ポリマー基材、
    (b)該ポリマー基材の少なくとも1つの表面に付加されたフォトクロミック有機ポリマーコーティングであって、該ポリマーコーティングは、フォトクロミック量の少なくとも1つの有機フォトクロミック材料を含む、フォトクロミック有機ポリマーコーティング、
    を含み、
    該アクリレートベースフィルムが、該フォトクロミックポリマーコーティングに粘着的に付加し、
    該アクリレートベースフィルムの表面に付加される、後に塗布される有機シランベース耐摩耗性コーティングと組み合わせて使用される、使用。
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