JP4353717B2 - 電動機の位置制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
発明の背景
本発明は電動機の回転位置の制御を行う位置制御装置に関するものであり、特に制御パラメータを調整する電動機の位置制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電動機の位置制御に関する従来の技術としては、日本の特許第2890529号公報(第1の従来技術)に記載されたものが知られている(特許文献1)。以下、この第1の従来技術について説明する。
【0003】
図30は第1の従来技術である電動機の位置制御装置における制御システムの構成を示すブロック図である。図30に示した位置制御装置における制御システムにおいては、電動機501の回転位置の位置フィードバックループの他に、電動機501の回転速度を制御するための速度フィードバックループと、電動機501の電流を制御するための電流フィードバックループとが設けられている。電流フィードバックループでは、速度制御部507の出力値をディジタルアナログ変換した値と、パワーアンプ509から電動機501へ供給されたモータ電流とが零になるように制御される。速度フィードバックループでは、位置制御部505の出力値と速度演算部506で算出されたモータ速度とが等しくなるよう制御される。そして、最終的に、位置フィードバックループにおいて、パルスエンコーダやリニアスケール等の位置検出器502で検出された位置と指令発生部503から与えられた位置指令値との差が零になるよう制御される。
【0004】
位置検出器502からの出力は位置カウンタ504に入力され電動機501の回転位置に変換している。速度演算部506は位置検出器502の出力から回転速度を算出する。図30に示すように、回転位置と指令発生部503から与えられた位置指令値との差が位置制御部505に入力され、位置制御部505は速度指令値を出力する。この速度指令値と速度演算部506からの回転速度の差が速度制御部507に入力され、速度制御部507は電動機501を駆動するための指令値を出力する。この指令値が、D/A変換器508を通してパワーアンプ509に入力される。パワーアンプ509はD/A変換器508からの入力に従って電動機501を駆動する。
【0005】
なお、図30において、符号510はパラメータ変更判定部であり、位置制御部505と速度制御部507の制御パラメータを変更する機能を有する。また、図30における太線矢印は、ディジタル量信号を示し、細線矢印はアナログ量信号を示し、そして破線矢印は指示信号示す。
【0006】
以下、図30に示したパラメータ変更判定部510の動作を説明する。
まず、速度制御部507を比例制御(P制御)とする。速度制御部507がP制御のときの制御系全体のブロック線図を図31に示す。図31は、電流フィードバックループが定数化できる程度に応答周波数が高く設定できており、速度フィードバックループを一次式で近似できるとした場合のブロック線図である。また、電流フィードバックループの定数化したゲイン、モータトルク定数、電動機と負荷を合計したイナーシャ、位置検出器502の分解能等を考慮に入れた制御対象のゲインを1/Jとする。
【0007】
図31に示した制御系全体の伝達関数G(S)は、下記式(1)となる。
【0008】
【数1】
Figure 0004353717
【0009】
制御対象の加工装置の固有振動数を無視できる値に速度制御部507の比例ゲインKvpを固定し、位置制御部505の比例ゲインKppを比例ゲインKvpより高めに設定すると、サーボ系では次第に振動的になる。振動周波数をfとすると、振動周波数fは比例ゲインKppと比例ゲインKvpに対して次式(2)の関係を有する。
【0010】
【数2】
Figure 0004353717
【0011】
このとき、指令発生部503から与えられた位置指令で電動機501を駆動させながら、振動周波数fiを測定する。そして、式(2)に基づいて、電動機501と負荷のイナーシャ等の定数を含む制御対象のゲイン1/Jを求める。
【0012】
その後、速度制御部507の動作を積分・比例制御(IP制御)に切り替える。速度制御部507の比例ゲインをKvp、積分ゲインをKVIとし、速度制御部507の積分ゲインKVIを非0の値(零でない値)とすると、このときのブロック線図は図32により示される。このときの制御系全体の伝達関数G(S)は次式(3)により示される。
【0013】
【数3】
Figure 0004353717
【0014】
上記のように構成された第1の従来技術の制御システムにおいて、速度制御部507の比例ゲインKvp、積分ゲインKVI、及び位置制御部505の比例ゲインKppの3つのゲイン関係を一定に保ちながら電動機501の応答周波数成分と制御対象である加工装置の固有周波数との間で共振状態になるまで前記の3つのゲインを徐々に上げていく。そして、共振状態となった後、前記の3つのゲインを反対に徐々に下げていき、共振が収まった時のゲインを最適ゲインと設定していた。
【0015】
また、電動機の位置制御に関する他の従来技術としては、日本の特開平10−56790号公報(第2の従来技術)に開示された技術がある(特許文献2)。以下、第2の従来技術である電動機の位置制御装置について図を用いて説明する。
図33は第2の従来技術の電動機の位置制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【0016】
図33において、電動機601は電動機トルクによって駆動され、負荷機械602は電動機601によって駆動される。電動機601の回転位置及び回転速度は回転検出器603により検出される。トルク制御回路604は電動機トルクをトルク指令信号に一致させる。位置指令信号発生回路605は電動機601及び負荷機械602に対する位置指令である位置指令信号を形成して、その位置指令信号をフィードフォワード回路608へ出力する。フィードフォワード回路608は位置指令信号が入力されて、フィードフォワード信号と応答目標位置信号と応答目標速度信号を出力する。
図33に示すように、第2の従来技術の位置制御装置には、速度補償回路606、位置補償回路607、スイッチ609、駆動試験用トルク指令信号発生回路610、及び自動調整回路611が設けられている。
【0017】
次に、上記のように構成された第2の従来技術の位置制御装置における動作を説明する。
まず、スイッチ609を接点(b)に切り替えて、駆動試験用トルク指令信号発生回路610が、例えば疑似ランダム信号などのトルク指令信号をトルク制御回路604へ出力する。駆動試験用トルク指令信号発生回路610がトルク指令信号をトルク制御回路604へ出力して、電動機601の駆動試験を行い、そのときのトルク指令信号と電動機601の回転速度を自動調整回路611に入力する。
【0018】
自動調整回路611では、内蔵している高次の伝達関数モデルのパラメータを、例えば最小2乗法を用いて計算することにより、制御対象のトルク指令信号から電動機の回転速度までの伝達関数の詳細な同定を行う。同定された伝達関数の最も小さい複素零点の絶対値を推定反共振周波数ωzeとして選ぶ。また、低周波領域のゲイン特性から総イナーシャJeを推定する。この推定反共振周波数ωzeと推定総イナーシャJeを用いて計算された二慣性系最適ゲインKoptと、伝達関数の周波数特性とゲイン余裕と位相余裕とを用いて求められた限界ゲインKmaxとのうち、小さい方のゲインを速度補償回路606の速度ゲインKvとして決定する。決定された速度ゲインKvを元に位置補償回路607の位置ゲインKpと位置積分ゲインKpIを所定の計算式を用いて決定する。またフィードフォワード回路608のゲインパラメータも推定反共振周波数ωzeと推定総イナーシャJeを用いて計算し決定する。
【0019】
【特許文献1】
特許第2890529号明細書(第2−4頁、第2図)
【特許文献2】
特開平10−56790号公報(第8−12頁、第1図)
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように、日本の特許第2890529号の第1の従来技術においては、複数のゲイン関係を一定に保ちながら電動機と制御対象との間で生じる共振状態を検知して最適な制御パラメータを決定していた。制御対象が共振周波数を持つ場合、共振周波数成分を抑圧するフィルタを挿入することにより制御パラメータの値をさらに大きくして応答性を上げることは可能であるが、このような調整方法では制御パラメータの調整として不十分であった。
【0021】
また、日本の特開平10−56790号公報に開示された第2の従来技術においては、共振特性を有する制御対象に対して、制御パラメータを安定した設定とするため、制御対象の反共振周波数の推定値及び制御対象の周波数応答値を測定する必要がある。これらの値を得るためには、試験信号を与えて測定するなどの動作が必要であった。
【0022】
本発明は、従来の技術における前述のように種々の問題を解決するものであり、共振周波数の存在する制御対象に対しても、制御対象の周波数特性を予め測定することなく、応答性の高い制御パラメータの調整を短時間で実現できる電動機の位置制御装置を提供することを目的とするものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電動機の位置制御装置は、少なくとも位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを予め複数有しており、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態の測定を順次行い、測定された応答状態に応じて好ましいセットを1つ選択して、選択されたセットの制御パラメータを装置に設定する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、制御パラメータをセットで変更するので、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0024】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、少なくとも位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを予め複数有しており、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態の測定を、速度制御部の比例ゲインの低いセットから順次行い、振動持続を検知した時点で応答状態の測定を中止し、それまでの応答結果に基づいてセットの1つを選択して、選択されたセットの制御パラメータを設定する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、振動持続を検知した時点で応答状態の測定を中止するので、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0025】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、少なくとも位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを予め複数有しており、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態の測定を順次行い、セットの選択として、振動持続を検知した場合は速度制御部の複数の比例ゲインにおける現在のセットより低いセットを次に選択し、持続発振を検知しない場合は速度制御部の複数の比例ゲインにおける現在のセットより高いセットを次に選択する。このようにセットの選択を繰り返すことにより、次に選択するセットがなくなった時点で、それまでの応答結果に基づいて好ましいセットを1つ選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、調整回数を減らすことができるので、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0026】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、少なくとも位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを予め複数有しており、セット選択し、選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態を測定し、この応答状態に応じて好ましい制御パラメータのセットを1つ選択している。そして、選択されたセットの制御パラメータを設定する場合に、外部から開始セットを指定できるよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、任意の開始セットを指定できるため、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0027】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、少なくとも位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインを含む制御パラメータのセットを予め複数有しており、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態を測定し、この応答状態に応じて好ましい制御パラメータのセットを1つ選択している。そして、選択されたセットの制御パラメータを設定する場合に、外部から入力された負荷構成パターンに関連づけられた開始セットから応答状態を測定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、入力された負荷構成パターンに最適な開始セットが決定されているため、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0028】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が第1の所定時間以上であることを検知したとき、直ちに現在のセットの速度制御部の比例ゲインより低い速度制御部の比例ゲインを持つセットの制御パラメータに設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、制御パラメータ調整中に振動が発生した場合でも、確実に短時間で振動を収束させることができ安全な制御パラメータの調整ができる。
【0029】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、位置指令値、速度指令値、検出位置、検出速度のうち少なくとも1つに基づいた、位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを少なくとも含む制御パラメータのセットを予め複数有している。そして、この位置制御装置は、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態を測定し、この応答状態に応じて好ましいセットを1つ選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、位置指令値、速度指令値、検出位置、検出速度のうち少なくとも1つに基づいて制御パラメータを調整しているため、位置指令に対し優れた応答性を有する制御を実現できるように制御パラメータを調整することができる。
【0030】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、少なくとも位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを予め複数有しており、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態を測定し、この応答状態に応じて好ましい制御パラメータのセットを1つ選択している。そして、選択されたセットの制御パラメータを設定した後、電動機を所定回数だけ制御して、振動しないかどうかを再確認するよう構成されているので、安定な制御パラメータを確実に設定できる。
【0031】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、少なくとも位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを予め複数有しており、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを用いて電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態を測定し、この応答状態に応じて好ましい制御パラメータのセットを1つ選択している。そして、選択されたセットの制御パラメータを設定し、次に現在設定されている制御パラメータのうち少なくとも1つを固定し、残りの制御パラメータを変化させて、電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態に応じて、変化させるパラメータを調整する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、セットで制御パラメータを調整した後、さらに個別に各制御パラメータを調整するよう構成されているため、応答性の高い調整ができる。
【0032】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、制御パラメータの調整過程で、外部から入力された目標指標を満足した時点で、制御パラメータの調整を停止し、その時点の制御パラメータを調整結果として設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、短時間で制御パラメータの調整ができる。
【0033】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置されノッチ周波数可変なノッチフィルタと、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分を減少させるようノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部を具備している。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、制御対象の共振周波数による発振を抑圧するノッチフィルタを自動的に生成するため、制御対象の周波数応答を測定することなく応答性の高い制御パラメータの調整が可能となる。
【0034】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、制御パラメータのセットが変化する時、変化直前のセットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、制御パラメータ調整部の出力である制御パラメータのセットが過去に選択されたセットに変化したとき、変化後のセットに関連づけて記憶されたノッチ周波数をノッチフィルタの周波数に設定し直すノッチ周波数記憶部が具備されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、制御パラメータ調整中に振動などでノッチフィルタのノッチ周波数が変化した場合でも、過去に選択されたセットで制御された時のノッチ周波数に確実に戻すことができる。
【0035】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、ノッチ周波数記憶部を具備している。このノッチ周波数記憶部は、制御パラメータのセットが変化する時、変化直前のセットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、制御パラメータ調整部の出力である制御パラメータのセットが過去に選択されたセットに変化したとき、変化後のセットに関連づけて記憶されたノッチ周波数をノッチフィルタのノッチ周波数に設定し直し、その後所定時間の間ノッチフィルタのノッチ周波数の変更を禁止する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、ノッチフィルタのノッチ周波数を過去に選択されたセットで制御された時点のノッチ周波数に戻した後、振動収束途中の振動によってノッチ周波数が変更されることを防ぐことができるため、ノッチ周波数を確実に戻すことができる。
【0036】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検出を指令に応じて検出期間を限定するように構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の誤検出がなくなり、応答性の高い制御パラメータの調整ができる。
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅が所定値以上であることを検知したとき、イナーシャ推定動作を一時停止するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、イナーシャ推定動作を安定化させることができ、安定性を持つ制御パラメータの調整ができる。
発明の新規な特徴は添付の請求の範囲に特に記載したものに他ならないが、構成及び内容の双方に関して本発明は、他の目的や特徴と合わせて図面と共に以下の詳細な説明を読むことにより、より良く理解され評価されるであろう。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電動機の位置制御装置の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
【0038】
《実施の形態1》
図1は本発明の実施の形態1に係る電動機の位置制御装置の制御システムの構成を示すブロック図である。図1において、速度検出部2から電動機1の検出速度ωmが出力される。検出速度ωmは積分器3に入力され、検出位置θmが算出される。位置制御部4には位置指令θm*と検出位置θmとの偏差が減算部で算出され入力される。位置制御部4は位置指令θm*と検出位置θmとの偏差を零に制御するための速度指令ωm*を出力する。位置制御部4の具体的動作としては、例えば次式(4)に表されるように、差分θm*−θmを比例制御した結果を速度指令ωm*として出力する。
【0039】
【数4】
Figure 0004353717
【0040】
式(4)において、Kppは位置制御部4における比例ゲインである。
速度制御部5には速度指令ωm*と検出速度ωmとの偏差が減算部で算出され入力される。速度制御部5は速度指令ωm*と検出速度ωmとの偏差を零に制御するためのトルク指令τ1*を電動機駆動部6に出力する。速度制御部5の具体的動作としては、例えば次式(5)に表されるように差分(ωm*−ωm)を比例積分制御した結果をトルク指令τ1*として出力する。
【0041】
【数5】
Figure 0004353717
【0042】
式(5)において、Kvpは速度制御部5の比例ゲインであり、Tviは速度制御部5の積分時定数である。
電動機駆動部6は速度制御部5からのトルク指令τ1*に応じて負荷7に連結された電動機1を駆動する。
第1の制御パラメータ調整部8には検出速度ωm、位置指令θm*、及び位置指令θm*と検出位置θmとの位置偏差(θm*−θm)が入力され、第1の制御パラメータ調整部8は位置制御部4及び速度制御部5の制御パラメータを設定する。
【0043】
以下、第1の制御パラメータ調整部8の構成と動作について図2から図10を参照しつつ詳細に説明する。
図2は第1の制御パラメータ調整部8の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、第1の制御パラメータ調整部8は、ハイパスフィルタ81、振動持続時間測定部82、指令開始/完了検出部83、コイン割れ回数/整定時間測定部84、及び第1のステップ処理部85を具備している。
【0044】
まず、ハイパスフィルタ81、振動持続時間測定部82、指令開始/完了検出部83、及びコイン割れ回数/整定時間測定部84の動作について説明する。
図3はハイパスフィルタ81と振動持続時間測定部82の動作を説明するための動作波形の一例を示す波形図である。
【0045】
ハイパスフィルタ81は検出速度ωmが入力され、検出速度ωmに含まれる所定周波数以上の振動成分dxを出力する。図3の(a)はハイパスフィルタ81に入力される検出速度ωmの時間変化を示す波形図であり、図3の(b)はハイパスフィルタ81の出力である振動成分dxの時間変化を示す波形図である。
【0046】
振動持続時間測定部82は、図3の(b)に示すように、振動成分dxの振幅が所定値d_th以上である継続時間(以後、振動持続時間t_vibと記す)を計測する。振動成分dxの振幅の所定値d_thは、例えば電動機1を位置制御したときに音が発生する時の速度検出値に含まれる振動成分の振幅値を予め求めておき、その振幅値を設定しておく。そして、計測された振動持続時間t_vibが第1の所定時間T_vib1以上であれば持続発振フラグを立てる。また、振動持続時間t_vibが第1の所定時間T_vib1より短い第2の所定時間T_vib2以上であれば短時間発振フラグを立てる。第2の所定時間T_vib2の値としては、発振時間として動作上許容できる程度の時間が望ましい。また、第1の所定時間T_vib1の値としては、完全に発振したと判断できる時間が望ましい。
【0047】
指令開始/完了検出部83は、入力された位置指令θm*から位置指令開始及び位置指令完了を検出する。位置指令θm*の位置指令開始の検出は、例えば位置指令θ*の時間変化を算出し、その算出値が0から非0(非0とは零でない値を言う)への変化を検知することにより可能である。また、位置指令θm*の位置指令完了の検出は、例えば位置指令θ*の時間変化を算出し、その算出値が非0から0への変化を検知することにより可能である。
【0048】
図4はコイン割れ回数/整定時間測定部84の動作を説明するための動作の一例を示す波形図である。図4は位置偏差(θm*−θm)の時間変化を示す波形図である。コイン割れ回数/整定時間測定部84は、図4に示すように、入力された位置偏差(θm*−θm)と、指令開始/完了検出部83からの検出信号に基づき、位置指令完了時から位置指令開始時までの期間において、位置偏差(θm*−θm)が予め設定された整定幅pe_thと交差する回数(以後、コイン交差回数n_crossと記す)を計測する。ここで交差するとは、図4のA点、B点、C点のように、位置偏差(θm*−θm)が、予め設定された整定幅pe_thと比べて大きい値から小さい値へと変化すること、もしくはその逆の変化をすることを意味する。コイン交差回数n_crossが所定回数Nc1を超えていたらコイン割れフラグを立てる。所定回数Nc1は2回が望ましい。また、位置指令完了時点から、位置偏差(θm*−θm)が最初に予め設定された整定幅pe_th以下になるまでの時間(以後、整定時間tcと記す)を計測する。
【0049】
次に、第1の制御パラメータ調整手段8における第1のステップ処理部85について説明する。
第1のステップ処理部85は、例えば図5に示すようなセット番号(セットNo.)が付けられた制御パラメータのセットを予め複数有している。図5において、Kpp1、Tvi1は検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時に設定する制御パラメータであり、Kpp1は位置制御部4の比例ゲイン、Tvi1は速度制御部5の積分時定数である。Kpp2、Tvi2は検出速度ωmが所定値ωm_th以上の時に設定する制御パラメータであり、Kpp2は位置制御部4の比例ゲイン、Tvi2は速度制御部5の積分時定数である。Kvpは速度制御部5の比例ゲインである。図5において、速度制御部5の比例ゲインKvpの値が低いセットからセット番号を付けている。即ち、図5においては、Kvp1<Kvp2<…<KvpNという関係を有している。
【0050】
第1のステップ処理部85は、例えば図6に示すような倍率設定表を有している。この表は後述する図8に示したフローチャートのステップ5a以降において使用する。図6において倍率設定値K1,K2,K3,・・・,KMの小さい順に倍率番号を付けている。即ち、図6においては、K1<K2<…<KMという関係を有している。
【0051】
以下、第1のステップ処理部85の調整処理動作について、図7及び図8に示したフローチャートを用いて説明する。図7における最下部の”A”は図8の最上部の”A”につながっていることを示している。
ステップ1aでは、セット番号=1のセットを選択し、選択されたセット番号=1の制御パラメータを位置制御部4及び速度制御部5に設定する。
ステップ1aに続くステップ2aには、図7に示すように、位置指令開始の検出結果に応じて2つの処理の流れを有する。
1つ目の処理の流れは、位置指令開始を検出した時の処理である。これは、図7のステップ2aにおける左側に示したフローチャートである。ステップ2a−1における位置指令開始検出は、前述の通り、指令開始/完了検出部83において行われる。位置指令開始を検出したとき、動作回数nを1増加させる。同時に振動持続時間測定部82の振動持続時間t_vibと、コイン割れ回数/整定時間測定部84のコイン交差回数n_crossを零にリセットする(ステップ2a−2)。
【0052】
次に、ステップ2a−3において、動作回数nが所定回数mv1を超えたか否かを判断する。この所定回数mv1は予め設定されている。超えていたら、ステップ2a−4において、現在のセット番号と、持続発振フラグ、短時間発振フラグ、コイン割れフラグの各フラグ状態を関連づけて記憶する。次に、ステップ2a−5において、セット番号の値を1増加したセットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定する。持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグをクリアして、動作回数nの初期化(n=1)を行う。ステップ2a−5においてセット番号の値を1増加すると、第1のステップ処理部85が有する最大セット番号(N)を超える場合には、その状態がステップ2a−6において検出され、ステップ3aへ移る。
【0053】
ステップ2aにおける2つ目の処理の流れは、図7のステップ2aにおける右側に示したフローチャートであり、位置指令開始を検出せず持続発振フラグが立ったことを検知した時の処理である。持続発振フラグが立つとは、前述のように、計測された振動持続時間t_vibが第1の所定時間T_vib1以上であるときである。持続発振フラグの状態は前述の振動持続時間測定部82から入力される。持続発振フラグが立ったことを検知したとき(ステップ2a−7)、現在のセット番号と、持続発振フラグ、短時間発振フラグ、及びコイン割れフラグの各フラグ状態とを関連づけて記憶する(ステップ2a−8)。次に、ステップ2a−9において、セット番号1を選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定する。また、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグをクリアし、動作回数nの初期化(n=1)を行い、振動持続時間測定部82の振動持続時間t_vibとコイン割れ回数/整定時間測定部84のコイン交差回数n_crossとを零にリセットする。そして、セット番号1を選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定する。選択されたセットの制御パラメータを設定するのは、振動持続を検知した直後であり、振動を素早く抑制するための処理である。セット番号1の速度制御部5の比例ゲインKvpは低く、この処理に最も適している。そして後述のステップ3aに移るまで、振動持続時間測定部82とコイン割れ回数/整定時間測定部84の動作を一時停止させる。これは、発振収束過程では持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグを立てる必要がないからである。その後、ステップ2a−10において、位置指令開始検出の動作回数nをカウントし、動作回数nが所定回数mv2を超えたと判断した場合、ステップ3aへ移る。
【0054】
図9は実施の形態1におけるセット番号と評価条件の結果の一例を示す表である。図9において、○がフラグが立っていないことを示しており、×はフラグが立っていることを示す。ステップ3aでは、図9に示すようなステップ2aで記憶された結果から、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグがすべて立っていないセットの中で、速度制御部5の比例ゲインが最も高いセットを、選択するセットと判断する。図9に示した例の場合には、セット番号3を選択するセットと判断し、ステップ4aに移る。
ステップ4aでは、選択されたセットの制御パラメータを設定し、所定回数mv3だけ動作させ安定動作を確認する。動作回数が所定回数mv3に到達するまでに短時間発振フラグが立ったことを検出した場合には、図9に示すようなステップ2aで記憶された評価条件の結果に基づき、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグがすべて立っていないセットから現在選択されているセットを除いて、速度制御部5の比例ゲインが最も高いセットを新たに選択するセットと判断する。このステップ4aにおける処理により、ステップ3aで選択されたセットが安定動作性に欠ける場合、最適セットの再選択が可能となる。
【0055】
続いて、ステップ5aでは、より応答性の高い制御パラメータを設定する。現在設定されている制御パラメータのうち、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時の位置制御部4の比例ゲインKpp1以外は固定する。そして、比例ゲインKpp1のみを変化させて電動機1の応答状態に基づいて調整する。比例ゲインKpp1の変化のさせ方は、図6に示すような倍率設定表から倍率設定値を選択し、ステップ4aの終了時点で選択されているセットの位置制御部4の比例ゲインKpp1と選択された倍率設定値との積Kpp1sを、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時の位置制御部4の比例ゲインKpp1とすることにより行われる。
まず、倍率番号=1とし、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時の位置制御部4の比例ゲインKpp1sを、Kpp1s=Kpp1×K1として設定する。
【0056】
ステップ4aに続くステップ5aには、図8に示すように、倍率番号=1を選択した後において、位置指令開始の検出結果に応じて2つの処理の流れを有する。
1つ目の処理の流れは、位置指令開始を検出した時の処理である。これは、図8のステップ5aにおける左側に示したフローチャートである。ステップ5a−2における位置指令開始検出は指令開始/完了検出部83において行われる。位置指令の開始が検出されたとき、動作回数nを1増加させる。同時に振動持続時間測定部82の振動持続時間t_vibと、コイン割れ回数/整定時間測定部84のコイン交差回数n_crossを零にリセットする。また、その時点で測定された整定時間tcが、同じ倍率番号を選択した状態で過去に測定された整定時間tcより長い場合は、その時点で測定された整定時間tcを同じ倍率番号での整定時間の最大値として更新する(ステップ5a−3)。
【0057】
次に、ステップ5a−4において動作回数nが所定回数mv4を超えたか否かを判断する。この所定回数mv4は予め設定されている。動作回数nが所定回数mv4を越えていないとき、ステップ5a−2に戻る。動作回数nが所定回数mv4を超えていたとき、現在の倍率番号及び、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグとの各フラグ状態と整定時間の最大値とを関連づけて記憶する(ステップ5a−5)。次に、ステップ5a−6において、倍率番号の値を1増加した倍率設定値を選択し、選択された倍率設定値を用いてKpp1sを計算して設定する。また、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグをクリアし、動作回数nを初期化し(n=1)、整定時間の最大値をクリアする。ステップ5a−7において、倍率番号の値を1増加すると第1のステップ処理部85が有する最大の倍率番号を超えると判断したときには、ステップ6aへ移る。
【0058】
ステップ5aにおける2つ目の処理の流れは、位置指令開始を検出せず、持続発振フラグ、短時間発振フラグ、コイン割れフラグのいずれかのフラグが立ったことを検知した時の処理である。これは、図8のステップ5aにおける右側に示したフローチャートである。
位置指令開始を検出せず、持続発振フラグ、短時間発振フラグ、コイン割れフラグのいずれかが立ったことが検知したとき、ステップ5a−9において、現在の倍率番号、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグの各フラグ状態、及び整定時間の最大値を関連づけて記憶する。
【0059】
次に、ステップ5a−10において、倍率番号1を選択し、選択された倍率設定値を用いてKpp1を設定し、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグをクリアし、動作回数nを初期化し(n=1)、振動持続時間測定部82の振動持続時間t_vibとコイン割れ回数/整定時間測定部84のコイン交差回数n_crossを零にリセットする。ここで、倍率番号1を選択するのは、持続発振フラグ、短時間発振フラグ、コイン割れフラグのいずれかが立っている不安定状態を素早く抑制するための処理である。
ステップ5a−11において、位置指令開始検出の動作回数nをカウントし、動作回数nが所定回数mv5を超えたと判断した場合、ステップ6aへ移る。
図10は実施の形態1における倍率設定値と評価条件の結果の一例を示す表である。図10において、○がフラグが立っていないことを示しており、×はフラグが立っていることを示す。
【0060】
ステップ6aでは、図10に示すようなステップ5aで記憶された結果から、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグがすべて立っていないセットの中で、整定時間の最も短い倍率番号を選択する。そして、ステップ3aの終了時に選択されたセットのKpp1と、ステップ6aで選択された倍率番号の倍率設定値の積Kpp1sを、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時に設定する位置制御部4の比例ゲインとして決定して、第1のステップ処理部85の調整処理動作が終了する。
【0061】
上記の第1のステップ処理部85の調整処理動作により、位置制御部4及び速度制御部5の制御パラメータが自動的に調整される。このように実施の形態1における第1の制御パラメータ調整部8が動作することにより、振動やコイン割れを生じさせることなく、整定時間の最も短い制御パラメータが設定されるため、優れた応答性を有する電動機の位置制御装置を提供することができる。
なお、実施の形態1における第1の制御パラメータ調整部8の調整動作において、図8に示したステップ5a以降のステップで、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時の位置制御部4の比例ゲイン設定値Kpp1sが、検出速度ωmが所定値ωm_th以上の時の位置制御部4の比例ゲインKpp2より大きくなる場合がある。この場合には、比例ゲインKpp2から比例ゲイン設定値Kpp1sへの切り替えを、所定時間かけて徐々に切り換える。比例ゲインKpp2と比例ゲイン設定値Kpp1sとの差が大きいと切り替え時に値の変化が急激になり振動成分が生じやすいからである。
【0062】
上記のように本発明の実施の形態1の電動機の位置制御装置は、位置制御部4の比例ゲインと速度制御部5の比例ゲイン等を含む制御パラメータをセットとして持ち、最適な制御パラメータのセットを選択するよう調整を行う構成である。このため、実施の形態1の電動機の位置制御装置においては、電動機の制御応答性を測定する回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータの調整が可能となる。
【0063】
また、本発明の実施の形態1の電動機の位置制御装置は、電動機の動作状態に応じて制御パラメータを切り替えるよう制御パラメータを調整するため、位置指令完了後、位置指令と検出位置との偏差をより短時間で零に近づける制御パラメータの調整が可能となる。
【0064】
《実施の形態2》
以下、本発明に係る実施の形態2の電動機の位置制御装置について図11から図14を用いて説明する。図11は本発明の実施の形態2に係る電動機の位置制御装置の制御システムの構成を示すブロック図である。実施の形態2の説明において、前述の実施の形態1における要素と同じ構成、機能を有するものには同じ番号を付して、その説明は省略する。実施の形態2の電動機の位置制御装置において、前述の実施の形態1の構成と異なるところは、第1の制御パラメータ調整部8の代わりに第2の制御パラメータ調整部9が設けられていることである。
【0065】
図12は第2の制御パラメータ調整部9の構成を示すブロック図である。図12に示すように、第2の制御パラメータ調整部9は実施の形態1における第1の制御パラメータ調整部8と同様に、ハイパスフィルタ81、振動持続時間測定部82、指令開始/完了検出部83、及びコイン割れ回数/整定時間測定部84を具備している。第2の制御パラメータ調整部9の構成において、前述の第1の制御パラメータ調整部8の構成と異なるところは、第1のステップ処理部85の代わりに、第2のステップ処理部95が設けられていることである。
【0066】
以下、実施の形態2における第2のステップ処理部95について説明する。
第2のステップ処理部95は、第1のステップ処理部85と同様、例えば図5に示したようなセット番号が付された制御パラメータのセットを予め複数有している。また、第2のステップ処理部95は、第1のステップ処理部85と同様、例えば図6に示したような倍率設定表を有している。
第2のステップ処理部95の調整処理動作を、図13及び図14に示したフローチャートを用いて説明する。図13における最下部の”A”は図14における最上部の”A”につながっている。
【0067】
第2のステップ処理部95の調整処理動作におけるステップ1b、ステップ3b、ステップ4b、ステップ5b、及びステップ6bは、それぞれ実施の形態1で説明したステップ1a、ステップ3a、ステップ4a、ステップ5a、及びステップ6aと同様の処理を行うため、それらの処理の説明は省略する。
ステップ1bに続くステップ2bには、図13に示すように、位置指令開始の検出結果に応じて2つの処理の流れを有する。
【0068】
1つ目の処理の流れは、位置指令開始を検出した時の処理である。これは、図13のステップ2bにおける左側に示したフローチャートである。ステップ2b−1における位置指令開始検出は、指令開始/完了検出部83において行われる。位置指令開始が検出されたとき、動作回数nを1増加させる。同時に振動持続時間測定部82の振動持続時間t_vibと、コイン割れ回数/整定時間測定部84のコイン交差回数n_crossを零にリセットする(ステップ2b−2)。
【0069】
次に、ステップ2b−3において、動作回数nが所定回数mv1を超えたか否かを判断する。この所定回数mv1は予め設定されている。動作回数nが所定回数mv1を超えていたとき、現在のセット番号及び、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグの各フラグ状態を関連づけて記憶する(ステップ2b−4)。ステップ2b−5において、次のセットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定し、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグをクリアし、動作回数nの初期化(n=1)を行う。
【0070】
ステップ2b−5における次のセットの選択は、以下の通り行われる。この1つ目の処理の流れは、持続発振フラグが立っていない時のみ行われる。持続発振フラグが立った時の処理については後述する。1つ目の処理の流れは持続発振フラグが立っていない時であるため、ステップ2b−5におけるセットの選択は、セット番号のより大きいセットを選択する。したがって、1つ目の処理の流れにおいては、応答性を高めることができる可能性がある。そこで、次のセットとして、現在のセット番号と、過去に選択したセットでかつ持続発振フラグが立ったと記憶しているセットの中で最も小さいセット番号との間にあるセット番号を選択する。次のセットとしては、特に、現在のセット番号と上記のように最も小さいセット番号の丁度真ん中に近いセット番号が望ましい。もし、過去に選択したセットでかつ持続発振フラグが立ったと記憶しているセットが存在しない場合には、現在のセット番号と最も大きいセット番号との間にあるセット番号を選択する。この場合も2つのセット番号の丁度真ん中に近いセット番号を選択することが望ましい。
【0071】
ステップ2bにおける2つ目の処理の流れは、図13のステップ2bにおける右側に示したフローチャートであり、位置指令開始を検出せず持続発振フラグが立ったことを検知した時の処理である。持続発振フラグの状態は前述の振動持続時間測定部82から入力される。持続発振フラグが立ったことを検知したとき(ステップ2b−6)、現在のセット番号と、持続発振フラグ、短時間発振フラグ、及びコイン割れフラグの各フラグ状態とを関連づけて記憶する(ステップ2b−7)。次に、ステップ2a−8において、セット番号1を選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定し、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグをクリアし、動作回数nの初期化し(n=1)、そして振動持続時間測定部82の振動持続時間t_vibとコイン割れ回数/整定時間測定部84のコイン交差回数n_crossとを零にリセットする。そして、セット番号1を選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定する。選択されたセットの制御パラメータを設定するのは、振動持続を検知した直後であり、振動を素早く抑制するための処理である。セット番号1の速度制御部5の比例ゲインKvpは低く、この処理に最も適している。そして、振動持続時間測定部82とコイン割れ回数/整定時間測定部84の動作を一時停止させる。これは、発振収束過程では持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグを立てる必要がないからである。その後、ステップ2b−9において、動作回数nが所定回数mv2を超えたか否かが判断される。ステップ2b−10において、動作回数nが所定回数mv2を超えたと判断した場合、次のセットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定し、持続発振フラグと短時間発振フラグとコイン割れフラグをクリアし、動作回数nの初期化(n=1)を行う。
【0072】
ステップ2b−10における次のセットの選択は、以下の通り行う。持続発振フラグが立ったのは、制御パラメータを高く設定しすぎたためと推測される。したがって、安定動作するセット番号はより小さいセットであると推測される。そこで、次のセットとしては、持続発振フラグが立ったことを検知したときのセット番号と、過去に選択したセットでかつ持続発振フラグが立っていないと記憶しているセットの中で最も大きいセット番号との間にあるセット番号を選択する。特に、上記の2つのセット番号の丁度真ん中に近いセット番号が望ましい。もし、過去に選択したセットでかつ持続発振フラグが立っていないと記憶しているセットが存在しない場合は、持続発振フラグが立ったのを検知したときのセット番号と、最も小さいセット番号との間にあるセット番号を選択する。この場合も2つのセット番号の丁度真ん中に近いセット番号を選択することが望ましい。
【0073】
上記のように、ステップ2bにおいて、位置指令開始を検出した時の処理と、持続発振フラグが立ったことを検知した特の処理を続けていくと、次に選択するセットが存在しない場合が起きる(ステップ2b−11)。この状態の時にステップ3bへ移る。
【0074】
実施の形態2におけるステップ3b以降の調整処理動作は、前述の実施の形態1におけるステップ3a以降の調整処理動作と同じである。すなわち、図14に示すように、ステップ3b→ステップ4b→ステップ5b→ステップ6bの順に、実施の形態1におけるステップ3a、ステップ4a、ステップ5a、ステップ6aと同じ処理を行い、第2のステップ処理部95の調整処理動作が終了する。
上記のように、実施の形態2においては、位置制御部4及び速度制御部5の制御パラメータが自動的に調整される。この結果、実施の形態2の電動機の位置制御装置においては、振動やコイン割れを生じることがなく、整定時間の最も短い制御パラメータが設定されるため、優れた応答性を得る調整を実現している。
【0075】
なお、実施の形態2における第2の制御パラメータ調整部9の調整処理動作において、図14に示したステップ5b以降のステップで、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時の位置制御部4の比例ゲイン設定値Kpp1sが、検出速度ωmが所定値ωm_th以上の時の位置制御部4の比例ゲインKpp2より大きくなる場合がある。この場合には、比例ゲインKpp2から比例ゲイン設定値Kpp1sへの切り替えを、所定時間かけて徐々に切り換える。比例ゲインKpp2と比例ゲイン設定値Kpp1sとの差が大きいと切り替え時の変化が急激になり振動成分が生じやすいからである。
【0076】
上記のように本発明の実施の形態2の電動機の位置制御装置は、位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲイン等を含む制御パラメータをセットとして持ち、最適な制御パラメータのセットを選択するよう調整を行うため、電動機の制御応答性を測定する回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータの調整が可能となる。
また、本発明の実施の形態2の電動機の位置制御装置は、選択されたセットのパラメータを用いて電動機1の応答状態を測定するステップ2bにおいて、次に選択するセットを効率よく選ぶことによって、選択するセットの数を少なくすることができる。この結果、実施の形態2においては、制御パラメータの調整を短時間で行うことができる。
【0077】
また、本発明の実施の形態2の電動機の位置制御装置は、電動機の動作状態に応じて制御パラメータを切り替えるよう制御パラメータを調整するため、位置指令完了後、位置指令と検出位置との偏差をより短時間で零に近づける制御パラメータの調整が可能となる。
【0078】
《実施の形態3》
以下、本発明に係る実施の形態3の電動機の位置制御装置について図15から図17を用いて説明する。図15は本発明の実施の形態3に係る電動機の位置制御装置の制御システムの構成を示すブロック図である。実施の形態3の説明において、前述の実施の形態1における要素と同じ構成、機能を有するものには同じ番号を付して、その説明は省略する。実施の形態3の電動機の位置制御装置において、前述の実施の形態1の構成と異なるところは、第1の制御パラメータ調整部8の代わりに第3の制御パラメータ調整部10が設けられていることである。
【0079】
図16は第3の制御パラメータ調整部10の構成を示すブロック図である。図16に示すように、第3の制御パラメータ調整部10は実施の形態1における第1の制御パラメータ調整部8と同様に、ハイパスフィルタ81、振動持続時間測定部82、指令開始/完了検出部83、及びコイン割れ回数/整定時間測定部84を具備している。第3の制御パラメータ調整部10の構成において、前述の第1の制御パラメータ調整部8の構成と異なるところは、第1のステップ処理部85の代わりに第3のステップ処理部105が設けられていることである。
【0080】
以下、実施の形態3における第3のステップ処理部105について説明する。
第3のステップ処理部105は、第1のステップ処理部85と同様、例えば図5に示したようなセット番号が付された制御パラメータのセットを予め複数有している。また、第3のステップ処理部105は、第1のステップ処理部85と同様、例えば図6に示したような倍率設定表を有している。
【0081】
第3のステップ処理部105の調整処理動作を、図17に示したフローチャートを用いて説明する。
図17に示すように、実施の形態3においては、ステップ1c→ステップ2c→ステップ3c→ステップ4c→ステップ5c→ステップ6cの順に調整処理が行われている。この調整処理において、ステップ2c、ステップ3c、ステップ4c、ステップ5c、及びステップ6cは、前述の実施の形態1で説明したステップ2a、ステップ3a、ステップ4a、ステップ5a、及びステップ6aと同じ処理が行われるため、これらの処理については説明を省略する。
【0082】
前述の実施の形態1における第1のステップ処理部85の動作において、ステップ1aで最初のセットの選択を、速度制御ゲインKvpの最も低いセット番号1としている。しかしながら、例えば電動機1及び電動機1によって駆動される負荷8が共に剛体であり、互いにバネ定数の大きいもので連結されているような場合には、低い共振周波数がないため、速度制御部5の比例ゲインを十分上げて設定して、高い応答性を得ることができる。したがって、このような場合には、最初のセットの選択時に、途中のセット番号を与えてやれば、応答性のよいセットの選択が短時間で可能となる。そこで、実施の形態3の電動機の位置制御装置では、調整処理動作のステップ1cにおいて、外部から指定された開始セット番号を最初のセットとして選択し、選択されたセットの制御パラメータを位置制御部4及び速度制御部5に設定する。
【0083】
このように実施の形態3の電動機の位置制御装置においては、位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインを含む制御パラメータをセットとして持ち、外部から指定された開始セット番号から調整処理動作を始めている。実施の形態3においては、このように制御パラメータの調整処理動作を行うため、電動機の制御応答性の測定回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータの調整が可能となる。
【0084】
また、本発明の実施の形態3の電動機の位置制御装置は、電動機の動作状態に応じて制御パラメータを切り替えるよう制御パラメータを調整するため、位置指令完了後、位置指令と検出位置との偏差をより短時間で零に近づける制御パラメータの調整が可能となる。
【0085】
《実施の形態4》
以下、本発明に係る実施の形態4の電動機の位置制御装置について図18から図20を用いて説明する。図18は本発明の実施の形態4に係る電動機の位置制御装置の制御システムの構成を示すブロック図である。実施の形態4の説明において、前述の実施の形態1から実施の形態3における要素と同じ構成、機能を有するものには同じ番号を付して、その説明は省略する。実施の形態4の電動機の位置制御装置において、前述の実施の形態3の構成と異なるところは、負荷構成パターン入力部11が設けられていることである。
【0086】
以下、実施の形態4における負荷構成パターン入力部11について図を用いて説明する。
負荷構成パターン入力部11は、例えば図19に示すような装置構成と開始セット番号とを関連づけた表を有している。装置構成とは、電動機1とこの電動機1によって駆動される負荷8とがどのように連結されているかを表すものである。例えば、図20に示すように、負荷7はボールねじ20に取り付けられており、電動機1はボールねじ20の軸にタイミングベルト21を介して連結されている。この場合の装置構成を、「ボールねじ+タイミングベルト」とする。図19に示す表は予め作成され記憶されている。このような表の作成方法としては、例えば該当する装置構成の場合の共振周波数の一般的な分布に基づいて、開始セット番号を決める。共振周波数が高いと判断される場合は開始セット番号を高くし、共振周波数が低いと判断される場合は開始セット番号を低くする。
【0087】
負荷構成パターン入力部11の動作は、外部から装置構成の情報が入力がされると、図19に示すような表に基づいて開始セット番号を第3の制御パラメータ調整部10kへ出力する。第3の制御パラメータ調整部10kは、前述の実施の形態3で説明した制御パラメータの調整処理動作を行う。
上記のように実施の形態4の電動機の位置制御装置においては、装置構成が入力されるよう構成されているため、制御パラメータの調整処理動作を関連づけられた開始セットから始められるため、電動機の制御応答性を測定する回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータの調整が可能となる。
【0088】
《実施の形態5》
以下、本発明に係る実施の形態5の電動機の位置制御装置について図21と図22を用いて説明する。図21は本発明の実施の形態5に係る電動機の位置制御装置の制御システムの構成を示すブロック図である。実施の形態5の説明において、前述の実施の形態1における要素と同じ構成、機能を有するものには同じ番号を付して、その説明は省略する。実施の形態5の電動機の位置制御装置において、前述の実施の形態1の構成と異なるところは、第1の制御パラメータ調整部8の代わりに第4の制御パラメータ調整部12が設けられていることである。
【0089】
図22は第4の制御パラメータ調整部12の構成を示すブロック図である。図22に示すように、第4の制御パラメータ調整部12は実施の形態1における第1の制御パラメータ調整部8と同様に、ハイパスフィルタ81、振動持続時間測定部82、指令開始/完了検出部83、及びコイン割れ回数/整定時間測定部84を具備している。第4の制御パラメータ調整部12の構成において、前述の第1の制御パラメータ調整部8の構成と異なるところは、第1のステップ処理部85の代わりに第4のステップ処理部115が設けられていることである。
【0090】
以下、実施の形態5における第4のステップ処理部115について説明する。
第4のステップ処理部115は、前述の実施の形態1における第1のステップ処理部85と同様の動作を行うとともに、電動機1の応答の測定過程において測定結果が外部から入力された目標仕様を満たした場合には、その時点で設定されている制御パラメータを調整結果として、調整処理動作を終了するよう構成されている。
このように、実施の形態5では、制御パラメータの調整処理動作の途中において、外部から入力された目標仕様を満たした時点で調整処理動作を終了するので調整処理時間の短縮を図ることが可能となる。
【0091】
《実施の形態6》
以下、本発明に係る実施の形態6の電動機の位置制御装置について図23から図25を用いて説明する。図23は本発明の実施の形態6に係る電動機の位置制御装置の制御システムの構成を示すブロック図である。実施の形態6の説明において、前述の実施の形態1における要素と同じ構成、機能を有するものには同じ番号を付して、その説明は省略する。実施の形態6の電動機の位置制御装置において、前述の実施の形態1の構成と異なるところは、ノッチフィルタ13、ノッチ周波数修正部14、及びノッチ周波数記憶部15が設けられていることである。
【0092】
ノッチフィルタ13には、速度制御部5の出力であるトルク指令τ1*が入力され、フィルタ処理した結果を新たなトルク指令τ2*として電動機駆動部6に出力する。電動機駆動部6はトルク指令τ2*に応じて電動機1を駆動する。
また、検出速度ωmがノッチ周波数修正部14に入力され、検出速度ωmに含まれる所定周波数以上の周波数成分が減少するようノッチフィルタ13のノッチ周波数fnを逐次修正する。ノッチ周波数記憶部15の動作については後述する。
【0093】
ノッチ周波数修正部14の具体的な動作の一例について図24を用いて説明する。図24はノッチ周波数修正部14の構成の一例を示すブロック図である。ノッチ周波数修正部14は、ハイパスフィルタ141、基準信号発生部142、ノッチフィルタ143、及び適応部144を具備している。ノッチ周波数修正部14のノッチフィルタ143はノッチフィルタ13と同じ構成を有している。
【0094】
以下、上記のように構成されたノッチ周波数修正部14の動作について説明する。
検出速度ωmがノッチ周波数修正部14に入力されると、検出速度ωmはハイパスフィルタ141に通され、ハイパスフィルタ141は検出速度ωmに含まれる振動成分dxを加算器145に出力する。基準信号生成部142は基準信号rを出力される。基準信号rと振動成分dxは、加算器145に入力されて加算値xがノッチフィルタ143に入力される。ノッチフィルタ143はフィルタ処理した信号yを出力する。そして、ノッチフィルタ143からの信号yと基準信号rとが減算器146に入力され、これらの偏差eが、適応部144に入力される。適応部144では、偏差eが減少するようノッチ周波数fnを逐次修正していく。ノッチ周波数fnの修正としては、たとえば公知の勾配法を用いて実現できる。勾配法を記載した文献としては、谷萩隆嗣著(Takashi Yahagi)、“ディジタル信号処理の理論3(Theory of Digital Signal Processing 3)”、初版、株式会社コロナ社、1986年12月10日発行、p165-p166 がある。
適応部144からのノッチ周波数fnは、ノッチ周波数修正部14のノッチフィルタ143に設定されると同時にノッチフィルタ13にも設定される。基準信号生成部142では、例えば振動成分dxが減少した結果である零を示す信号が出力される。
【0095】
実施の形態6において、第1の制御パラメータ調整部8の構成要素である振動持続時間測定部82(図2参照)が持続発振フラグを立てるための基準時間である所定時間T_vib1の設定方法について図25を用いて説明する。
【0096】
図25はノッチ周波数修正部14の動作時の波形を示している。図25の(a)は検出速度ωmの時間変化を示し、(b)は検出速度ωmに含まれる振動成分dxの時間変化を示し、(c)はノッチ周波数fnの時間変化を示す。ノッチ周波数修正部14は振動成分dxが生じてから修正動作を始めるため、修正動作完了までの期間には必ず振動成分dxが現れる。図25の(b)に示すように振動成分dxが生じた期間が振動持続時間t_vibである。ノッチ周波数修正部14の修正動作完了後は、ノッチフィルタ13によって振動成分dxが抑制されるため、第1の制御パラメータ調整部8の調整処理動作においてセット番号をさらに上げて応答性を上げることができる。しかし、前述の実施の形態1で説明したように、第1の制御パラメータ調整部8が測定している振動成分dxの振動持続時間t_vibが所定時間T_vib1を超えると持続発振フラグを立ててその時点のセットより応答性を上げられなくなる。このため、ノッチ周波数修正部14はノッチ周波数fnの修正中に発生する振動を無視する必要がある。したがって、ノッチ周波数修正部14の修正動作時間を予め調べておき、それよりも長い時間を所定時間T_vib1に設定するのが望ましい。
【0097】
また、ノッチ周波数修正部14がノッチ周波数を修正している最中は応答状態が振動的になるなど乱れが生じるため、そのセットにおける定常時の応答状態とは判断できない。したがって、短時間発振フラグを立てるかどうかの判断と、コイン割れフラグを立てるかどうかの判断は安定した動作中に判断する必要がある。ノッチ周波数修正部14がノッチ周波数修正動作するのは制御パラメータが変化した時である。第1の制御パラメータ調整部8はセットを変更してから所定回数mv1の動作後に次のセットを選択する。セット変更後から次のセットを選択するまでの間で、所定回数mv1より少ない所定回数mv6を動作させた後に、短時間発振フラグを立てるかどうかの判断と、コイン割れフラグを立てるかどうかの判断を行う。これによってそのセットにおける定常時の応答状態を測定することができる。
【0098】
次に、ノッチ周波数記憶部15の動作について説明する。ノッチ周波数記憶部15は、第1の制御パラメータ調整部8の構成要素である第1のステップ処理部85(図2参照)が、図7に示すステップ2aにおいて、セット番号とともに各フラグの状態を記憶する時に、その時点でノッチフィルタ13に設定されているノッチ周波数fnをセット番号に関連付けて記憶する。そして、第1の制御パラメータ調整部8の構成要素である第1のステップ処理部85が、ステップ2aにおいてセット選択時に、そのセットに関連づけられたノッチ周波数fnが記憶されている場合は、記憶されたノッチ周波数fnをノッチフィルタ13、ノッチ周波数修正部14のノッチフィルタ143、及び適応部144に設定する。このようにノッチ周波数fnを設定することにより、ノッチフィルタ13,143の状態をそのセットにおいて過去に記憶した状態に復元できる。
【0099】
また、実施の形態6においては、ノッチ周波数fnがノッチフィルタ13、ノッチ周波数修正部14のノッチフィルタ143、及び適応部144に設定された後、所定時間経過するまでノッチ周波数fnの変更を禁止している。第1の制御パラメータ調整部8は振動持続状態を検知して、一旦セット番号1の制御パラメータで駆動して振動を収束させる時、振動収束途中の振動成分に適応部144が反応し、ノッチフィルタ13、ノッチ周波数修正部14のノッチフィルタ143、及び適応部144に設定したノッチ周波数fnを再修正してしまうことが起こりうる。したがって、ノッチ周波数fnをノッチフィルタ13、ノッチ周波数修正部14のノッチフィルタ143、及び適応部144に設定した後、所定時間の間はノッチ周波数fnの変更を禁止することによって、ノッチ周波数fnの適正な修正を確実に行うことができる。
【0100】
上記のように本発明に係る実施の形態6の電動機の位置制御装置は、検出速度ωmに含まれる振動成分dxを減少させるノッチフィルタ13が自動的に機能するため、電動機1の制御系における共振周波数など周波数特性を予め測定することなく振動を抑えることができる。結果として第1の制御パラメータ調整部8は制御対象の共振を考慮した上での応答性よい制御パラメータの調整が可能となる。
なお、実施の形態6の電動機の位置制御装置においては、ノッチ周波数修正部14の入力を検出速度ωmとしたが、検出位置θm、トルク指令τ1*を入力としても同様の効果が得られる。
【0101】
《実施の形態7》
以下、本発明に係る実施の形態7の電動機の位置制御装置について図26から図28を用いて説明する。
実施の形態7の電動機の位置制御装置のシステム構成は、前述の図1に示した実施の形態1のシステム構成と同じである。実施の形態1においては、検出速度ωmに含まれる振動成分dxの振幅を常時測定する構成で説明したが、振動成分dxの振幅を所定期間は測定しないよう構成してもよい。
【0102】
以下、図26、図27及び図28を用いて説明する。実施の形態7の説明において、前述の実施の形態1における要素と同じ構成、機能を有するものには同じ番号を付して、その説明は省略する。
図26は実施の形態7における(a)位置指令値θm*、(b)位置指令値θm*の微分値、(c)検出速度ωm、(d)振動成分dx、及び(e)位置指令値θm*の加速度の変化の時間変化の第1の例を示す波形図である。図27は実施の形態7における(a)位置指令値θm*、(b)位置指令値θm*の微分値、(c)検出速度ωm、(d)振動成分dx、及び(e)位置指令値θm*の加速度の変化の例の時間変化の第2の例を示す波形図である。図28は実施の形態7における(a)位置指令値θm*、(b)位置指令値θm*の微分値、(c)検出速度ωm、(d)振動成分dx、及び(e)位置指令値θm*の加速度の変化の時間変化の第3の例を示す波形図である。
【0103】
図26の(a)に示すような位置指令値θm*において、制御される電動機がほぼ位置指令θm*に追従できていると仮定すると、図26の(b)に示される位置指令値θm*の微分値と、図26の(c)に示される検出速度ωmはほぼ同じ波形となる。
検出速度ωmの振動成分dxを抽出するために、検出速度ωmをハイパスフィルタに通した結果が図26の(d)に示した振動成分dxの波形である。図26の(c)には振動成分がないが、図26の(d)には振動成分dxが生じている。これは検出速度ωmの加速度の変化点に高調波成分が含まれており、これが抽出された結果である。図26の(a)に示されるような位置指令値θm*で電動機が制御されて、実施の形態1で説明した制御パラメータの調整処理動作を行う場合、常時検出速度ωmに含まれる振動成分dxが監視されている。このため、図26の(d)に示すような検出速度ωmの加速度の変化点に含まれる高調波成分を発振による振動と誤判断する可能性がある。
【0104】
図26の(d)と(e)に示すように、位置指令値θm*の加速度の変化が大きな値を示す時点からの所定期間と、振動成分dxが大きな振幅を生じる期間とが一致している。そこで、位置指令値θm*の加速度の変化点から所定期間を除いた期間における検出速度ωmに含まれる振動成分dxのみを監視することにより、誤判断を防止することが可能となる。
次に、図27の(a)に示すような位置指令値θm*において、図27の(b)に示すように位置指令値θm*の微分値が方形波でかつノイズが乗っている場合を考える。
制御される電動機1がほぼ位置指令値θm*に追従できていると仮定すると、図27の(b)に示した位置指令値θm*の微分値と、図27の(c)に示した検出速度ωmはほぼ同じ波形となる。検出速度ωmの振動成分dxを抽出するために検出速度ωmをハイパスフィルタに通した結果が、図27の(d)である。図27の(e)は位置指令値θm*の加速度の変化を算出したものである。ノイズの影響により、位置指令値θm*の加速度の変化と振動成分dとの相関をとることは困難である。
【0105】
図27の(b)と(d)から分かるように、位置指令開始時点及び位置指令終了時点からの所定期間と、振動成分dxが大きな振幅を生じる期間と一致している。図27の(a)に示されるような位置指令値θm*で電動機が制御され、実施の形態1で説明した制御パラメータの調整処理動作を行う場合、常時検出速度ωmに含まれる振動成分dxを監視している。このため、図27の(d)に示すような検出速度ωmの加速度の変化点に含まれる高調波成分を、発振による振動と誤判断する可能性がある。このような場合、位置指令開始時点及び位置指令終了時点からの所定期間を除いた期間の検出速度ωmに含まれる振動成分dxのみを監視することにより誤判断を防止することが可能となる。
【0106】
次に、図28の(a)に示すような位置指令値θm*において、図26の(a)と同じ位置指令値θm*にノイズが乗っている場合を考える。制御される電動機がほぼ位置指令θm*に追従できていると仮定すると、図28の(b)に示した位置指令値θm*の微分値と、図28の(c)に示した検出速度ωmはほぼ同じ波形となる。検出速度ωmの振動成分dxを抽出するために検出速度ωmをハイパスフィルタに通した結果が図28の(d)である。図28の(e)は位置指令値θm*の加速度の変化を算出したものである。ノイズの影響により、位置指令値θm*の加速度の変化と振動成分dxとの相関をとることは困難である。
【0107】
図28の(d)の波形から分かるように、位置指令がある期間及び位置指令終了時点からの所定期間に振動成分dxが大きな振幅を生じる期間がある。図28の(a)に示されるような位置指令値θm*で電動機が制御され、実施の形態1で示した制御パラメータの調整処理動作を行う場合、常時検出速度ωmに含まれる振動成分dxを監視している。このため、図28の(d)に示すような検出速度ωmの加速度の変化点に含まれる高調波成分を、発振による振動と誤判断する可能性がある。このような場合、位置指令がある期間及び位置指令終了時点からの所定期間を除く期間の検出速度ωmに含まれる振動成分dxのみを監視することにより誤判断を防止することが可能となる。
このように振動成分を検出する期間を指令に基づいて選択することにより、振動成分の誤検出がなくなり、優れた応答性を示す制御パラメータの調整が可能となる。
【0108】
なお、実施の形態7のシステム構成は、実施の形態1で説明した図1と同じ制御システムの構成として説明しているが、図23に示した実施の形態6の制御システムの構成としても同様の効果が得られる。
【0109】
《実施の形態8》
以下、本発明に係る実施の形態8の電動機の位置制御装置について図29を用いて説明する。図29は本発明の実施の形態8に係る電動機の位置制御装置の制御システムの構成を示すブロック図である。実施の形態8の説明において、前述の実施の形態1における要素と同じ構成、機能を有するものには同じ番号を付して、その説明は省略する。実施の形態8の電動機の位置制御装置において、前述の実施の形態1の構成と異なるところは、イナーシャ推定部16及びイナーシャ推定一時停止判断部17が設けられていることである。
【0110】
以下、実施の形態8におけるイナーシャ推定部16及びイナーシャ推定一時停止判断部17の動作について説明する。
イナーシャ推定部16は、検出速度ωmと電動機1を制御するトルク指令τ1*が入力され、電動機1及びこの電動機1で駆動される負荷7の総イナーシャを推定演算する。イナーシャ推定部16においてイナーシャ推定演算された総イナーシャは、速度制御部5に入力され、速度制御部5の制御パラメータの補正に使われる。
【0111】
イナーシャ推定一時停止判断部17は、検出速度ωmが入力され、検出速度ωmに含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅を監視している。そして、イナーシャ推定一時停止判断部17は、所定周波数以上の振動成分の振幅が所定値以上であることを検知すると、電動機1が振動状態であると判断し、イナーシャ推定部16のイナーシャ推定演算を所定時間停止させる。検出速度ωmに含まれる所定周波数以上の振動成分は、例えば検出速度ωmに対して所定周波数をカットオフ周波数とするハイパスフィルタへ通過させることによって得られる。
電動機1及びこの電動機1で駆動される負荷7の全体が剛体で構成されていると仮定すると、総イナーシャと印加トルクτと検出速度ωmは次式(6)の関係が成り立つ。
【0112】
【数6】
Figure 0004353717
【0113】
式(6)において、Jは電動機1及び電動機1で駆動される負荷7の総イナーシャである。また、(ωm)’は検出速度ωmの微分値であり、即ち加速度である。したがって、印加トルクτと加速度(ωm)’から総イナーシャJを計算することができる。このように算出された総イナーシャJを用いて速度制御部5の制御パラメータを補正することにより、応答周波数を一定に保つことができ、位置制御部4の制御パラメータとの関係を安定状態に保つことができる。
【0114】
振動状態の場合、その振動周波数が速度を検出するための制御周期の1/2以上であるとエイリアシング(aliasing)が起きてしまうため、式(6)で総イナーシャJが正しく算出できない。したがって、振動状態に算出された総イナーシャJの値を用いて速度制御部5の制御パラメータを補正すると、位置制御部4の制御パラメータとの関係が不安定になり、振動が抑制されない場合がある。
実施の形態8の電動機の位置制御装置においては、イナーシャ推定一時停止判断部17が検出速度ωmに含まれる振動成分の振幅を監視し、この振幅が所定値以上になったことを振動状態として検知している。この振動状態を検知した時点から所定時間において、イナーシャ推定部16の総イナーシャJのイナーシャ推定演算を停止させる。停止中の総イナーシャ値は停止直前の値を保持する。そして、所定時間経過した時点で振動状態を検知しなかった場合には、イナーシャ推定部16の総イナーシャJのイナーシャ推定演算を再開させる。
【0115】
このように、実施の形態8の電動機の位置制御装置は、振動状態を検知した時にイナーシャ推定演算を停止させることにより、イナーシャ推定部16は正しいイナーシャ推定演算値のみを出力する構成である。このため、実施の形態8の電動機の位置制御装置は、速度制御部5の制御パラメータと位置制御部4の制御パラメータとの関係を常に安定状態に保つことができる。
【0116】
なお、実施の形態8においては、図29に示したシステム構成を有する電動機の位置制御装置を一例として説明したが、図23に示した実施の形態6のシステム構成にイナーシャ推定部16とイナーシャ推定一時停止判断部17を付加した構成としても同様の効果が得られる。
【0117】
実施の形態1から8の位置制御装置においては、速度検出部2の出力である検出速度ωmを積分器3に通して検出位置θmを求める構成で説明したが、本発明はこのような構成に限定されるものではなく、速度検出部2の代わりに位置検出部を設け、この位置検出部の出力である検出位置θmから検出速度ωmを求める構成としても前述の各実施の形態と同様の効果が得られる。
【0118】
また、実施の形態1から8において、第1の制御パラメータ調整部8、第2の制御パラメータ調整部9、第3の制御パラメータ調整部10、及び第4の制御パラメータ調整部12は、図5に示すような、位置制御部4の比例ゲインKppと、速度制御部5の比例ゲインKvpと積分時定数Tviのセットを複数有し、電動機の応答状態に応じて制御パラメータのセットの1つを選択するよう調整する構成の例で説明した。本発明はこのような構成に限定されるものではなく、位置制御部4の比例ゲインKppと速度制御部5の比例ゲインKvpを含むセットであればどのような組み合わせのセットでもよい。
【0119】
また、実施の形態1から8において、第1の制御パラメータ調整部8、第2の制御パラメータ調整部9、第3の制御パラメータ調整部10、及び第4の制御パラメータ調整部12は、ステップ4a、ステップ4b、又はステップ4cの後、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時に、位置制御部4の比例ゲインを調整して制御パラメータを設定する構成として説明した。本発明はこのような構成に限定されるものではなく、検出速度ωmが所定値ωm_thより小さい時に、位置制御部4の比例ゲインと所定値ωm_thの両方を変化させて調整し、制御パラメータを設定する構成としても前述の各実施の形態と同様の効果が得られる。
【0120】
また、実施の形態1から8において、第1の制御パラメータ調整部8、第2の制御パラメータ調整部9、第3の制御パラメータ調整部10、及び第4の制御パラメータ調整部12は、ステップ1aからステップ6aまでの処理、ステップ1bからステップ6bまでの処理、又はステップ1cからステップ6cまでの処理を行う構成で説明した。しかし、ステップ1aからステップ4aまでの処理、ステップ1bからステップ4bまでの処理、又はステップ1cからステップ4cまでの処理であっても十分な応答性を得ることができる。このため、第1の制御パラメータ調整部8、第2の制御パラメータ調整部9、第3の制御パラメータ調整部10、及び第4の制御パラメータ調整部12においては、ステップ1aからステップ4aまでの処理、ステップ1bからステップ4bまでの処理、又はステップ1cからステップ4cまでの処理で終了する構成でもよい。
【0121】
また、実施の形態1から8において用いた電動機は、特定の種類に限定されるものではなく、例えば、直流電動機や永久磁石同期電動機を用いてもよい。また、本発明の電動機は回転型の電動機に限定されず、リニアモータを用いてもよい。
また、実施の形態3及び実施の形態4において、第3のパラメータ調整部10の構成要素である第3のステップ処理部105は、ステップ2cからステップ6cまでの処理を、実施の形態1で説明したステップ2aからステップ6aまでの処理と同様である説明した。しかし、本発明においては、ステップ2cからステップ6cまでの処理を、実施の形態2で説明したステップ2bからステップ6bまでの処理と同様の処理としても実施の形態3及び実施の形態4と同様の効果が得られる。
【0122】
また、実施の形態5において、第4のパラメータ調整部12の構成要素である第4のステップ処理部115は、実施の形態1で説明した第1のパラメータ調整部8の構成要素である第1のステップ処理部85と同様の動作を行う構成とした。本発明の実施の形態5の位置制御装置はこのような構成に限定されるものではなく、実施の形態2で説明した第2のパラメータ調整部9の構成要素である第1のステップ処理部95と同様の動作を行うよう構成してもよい。
【0123】
また、実施の形態5から8において、第1のパラメータ調整部8は、実施例2で説明した第2のパラメータ調整部9に置き換えても同様の効果が得られる。
また、実施の形態6から8において、第1のパラメータ調整部8は、実施例3から5で説明した第3のパラメータ調整部10、第3のパラメータ調整部10k、第4のパラメータ調整部12のいずれかに置き換えても同様の効果が得られる。
【0124】
以上、実施の形態において詳細に説明したところから明らかなように、本発明の電動機の位置制御装置は次の特徴を有する。
本発明の電動機の位置制御装置は、電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有し、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御したときの位置指令に対する前記電動機の応答状態の測定動作を順次行い、測定された応答結果に応じて1つのセットの制御パラメータを設定する制御パラメータ調整部とを具備する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、制御パラメータをセットで変更するので、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0125】
また、本発明の電動機の位置制御装置における制御パラメータ調整部は、
セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を、前記速度制御部の比例ゲインの低いセットから高いセットへ順次行うよう構成されており、
位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が第1の所定時間以上であることを検知したときまでの測定された応答結果において、
(1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1の所定時間未満である条件(1)、
(2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
(3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、振動持続を検知した時点で応答状態の測定を中止するので、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0126】
また、本発明の電動機の位置制御装置における制御パラメータ調整部は、
セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、
セットの選択において、
(A)位置指令の開始から次の指令開始までの期間において、振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が第1の所定時間以上であることを検知した場合、応答状態を既に測定したセットでかつ振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である時間が前記第1の所定時間以上であることを検知しなかったセットの中で最も高い速度制御部の比例ゲイン、あるいは前記条件に該当する速度制御部の比例ゲインがない場合は全セットの中で最も低い速度制御部の比例ゲインと、現時点で設定されている速度制御部の比例ゲインとの間の値を有する速度制御部の比例ゲインを持つセットを次に選択する第1の選択、
(B)位置指令の開始から次の指令開始までの期間において、振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が、前記第1の所定時間以上であることを検知しなかった場合、応答状態を既に測定したセットでかつ振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が、前記第1の所定時間以上であることを検知したセットの中で最も低い速度制御部の比例ゲイン、あるいは前記条件に該当する速度制御部の比例ゲインがない場合は全セットの中で最も高い速度制御部の比例ゲインと、現時点で設定されている速度制御部の比例ゲインとの間の値を有する速度制御部の比例ゲインを持つセットを次に選択する第2の選択、の2つの選択を繰り返し行い、
前記選択において、次に選択するセットが存在しなくなったとき、測定された応答結果において、
(1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である時間が前記第1の所定時間未満である条件(1)、
(2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
(3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、セットの選択を繰り返すことにより、次に選択するセットがなくなった時点で、それまでの応答結果に基づいて好ましいセットを1つ選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定しているので、短時間で好ましい制御パラメータに調整することができる。
【0127】
また、本発明の電動機の位置制御装置における制御パラメータ調整部は、外部から指定された開始セットを最初に選択するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、任意の開始セットを指定できるため、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置は、開始セットが関連づけられた複数の負荷構成パターンを有し、前記複数の負荷構成パターンの中の1つが外部から指定される負荷構成パターン入力部が設けられており、
前記制御パラメータ調整部は、前記負荷構成パターン入力部から入力された負荷構成パターンに関連づけられた開始セットを最初に選択するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、入力された負荷構成パターンに最適な開始セットが決定されているため、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
【0128】
また、本発明の電動機の位置制御装置における制御パラメータ調整部は、位置指令の開始から次の指令開始までの期間において、振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1の所定時間以上であることを検知したとき、直ちに、現在の速度制御部の比例ゲインよりも低い速度制御部の比例ゲインを持つセットの制御パラメータを設定して、前記電動機を第2の所定回数だけ制御した後、次のセットを選択するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、制御パラメータ調整中に振動が発生した場合でも、確実に短時間で振動を収束させることができ安全な制御パラメータの調整ができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置における制御パラメータ調整部は、少なくとも、前記位置指令値、前記速度指令値、前記検出位置、前記検出速度のうち少なくとも1つに基づいた位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有し、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態の測定動作を順次行い、測定された応答状態に応じて制御パラメータのセットの1つを選択して、選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、位置指令値、速度指令値、検出位置、及び検出速度のうち少なくとも1つに基づいて制御パラメータを調整しているため、位置指令に対し優れた応答性を有する制御を実現できるように制御パラメータを調整することができる。
【0129】
また、本発明の電動機の位置制御装置は、電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有する制御パラメータ調整部と、を具備し、
前記制御パラメータ調整部は、
セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、測定された結果において、
(1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が第1の所定時間未満である条件(1)、
(2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
(3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定した時から第3の所定回数だけ前記電動機を制御する間、位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1の所定時間以上であることを検知した時、前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットのうち現在のセットを除いたセットのなかで、前記速度制御部の比例ゲインが最も高いセットを新たに選択して、新たに選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、選択されたセットの制御パラメータを設定した後、電動機を所定回数だけ制御して、振動しないかどうかを再確認するよう構成されているので、安定な制御パラメータを確実に設定できる。
【0130】
本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインを含む制御パラメータのセットを複数有する制御パラメータ調整部と、を具備し、
前記制御パラメータ調整部は、
セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、測定された応答結果において、
(1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である時間が第1の所定時間未満である条件(1)、
(2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
(3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定し、
次に、現在設定されている制御パラメータのうち少なくとも前記速度制御部の比例ゲインを固定し、残りの制御パラメータを変化させ、前記電動機を制御したときの位置指令に対する前記電動機の応答状態に応じて、固定したパラメータ以外のパラメータを設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、セットで制御パラメータを調整した後、さらに個別に各制御パラメータを調整するよう構成されているため、応答性の高い調整が可能となる。
【0131】
また、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が予め設定された整定幅に入るまでの時間の目標値が外部から設定される制御パラメータ調整部と、を具備し、
前記制御パラメータ調整部は、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータで前記電動機の応答状態を測定する動作において、位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が整定幅に入るまでの時間が、外部から設定された前記目標値以下になった時、セットの選択を停止し、その時の制御パラメータを設定するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、制御パラメータの調整過程で、外部から入力された目標指標を満足した時に、制御パラメータの調整を停止し、その時点の制御パラメータを調整結果として設定するよう構成されているので、短時間で制御パラメータの調整ができる。
【0132】
また、本発明の電動機の位置制御装置は、位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ中心周波数が可変であるノッチフィルタと、
前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部とが設けられている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、制御対象の共振周波数による発振を抑圧するノッチフィルタを自動的に生成するため、制御対象の周波数応答を測定することなく応答性の高い制御パラメータの調整が可能となる。
【0133】
また、本発明の電動機の位置制御装置は、位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ中心周波数が可変であるノッチフィルタと、
前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部と、
選択されたセットが変化した時、変化直前の前記セットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、新たに選択されたセットが過去に選択されたセットと同じとき、過去に選択された前記セットに関連づけて記憶されたノッチ周波数を前記ノッチフィルタのノッチ周波数として設定し直すノッチ周波数記憶部と、が設けられている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、制御パラメータ調整中に振動などでノッチフィルタのノッチ周波数が変化した場合でも、過去に選択されたセットで制御された時のノッチ周波数に確実に戻すことができる。
【0134】
また、本発明の電動機の位置制御装置は、位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ周波数が可変であるノッチフィルタと、
前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部と、
選択されたセットが変化する時、変化直前のセットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、新たに選択されたセットが過去に選択されたセットと同じとき、過去に選択された前記セットに関連づけて記憶されたノッチ周波数を前記ノッチフィルタのノッチ周波数として設定し直し、その後、第4の所定時間の間は前記ノッチフィルタのノッチ周波数を変更を禁止するノッチ周波数記憶部と、が設けられている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、ノッチフィルタのノッチ周波数を過去に選択されたセットで制御された時点のノッチ周波数に戻した後、振動収束途中の振動によってノッチ周波数が変更されることを防ぐことができるため、ノッチ周波数を確実に戻すことができる。
【0135】
また、本発明の電動機の位置制御装置における制御パラメータ調整部は、
位置指令が所定条件を満たす期間のみ、電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分を検知するか、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を検知するよう構成されている。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置においては、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の誤検出がなくなり、応答性の高い制御パラメータの調整ができる。
【0136】
さらに、本発明の他の観点の電動機の位置制御装置は、電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
前記検出速度から算出される加速度と前記トルク指令値に基づいて前記電動機及び前記電動機で駆動される負荷の総イナーシャを推定するイナーシャ推定部と、
前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅、あるいは前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅が所定値以上であることを検知した時から、前記イナーシャ推定部のイナーシャ推定演算を所定時間停止させるイナーシャ推定一時停止判断部と、
少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインを含む制御パラメータのセットを複数有し、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御したときの位置指令に対する前記電動機の応答状態を測定し、この応答状態に応じて1つのセットの制御パラメータを設定する制御パラメータ調整部、を具備する。このように構成された本発明の電動機の位置制御装置は、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅が所定値以上であることを検知したとき、イナーシャ推定動作を一時停止するよう構成されているので、イナーシャ推定動作を安定化させることができ、安定性を持つ制御パラメータの調整ができる。
発明をある程度の詳細さをもって好適な形態について説明したが、この好適形態の現開示内容は構成の細部において変化してしかるべきものであり、各要素の組合せや順序の変化は請求された発明の範囲及び思想を逸脱することなく実現し得るものである。
【0137】
【発明の効果】
以上、実施の形態において詳細に説明したところから明らかなように、本発明の電動機の位置制御装置は次の効果を有する。
本発明の電動機の位置制御装置においては、制御パラメータをセットで変更するので、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置は、振動持続を検知した時点で応答状態の測定を中止するよう構成されているため、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、セットの選択を繰り返すことにより、次に選択するセットがなくなった時点で、それまでの応答結果に基づいて好ましいセットを1つ選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定しているので、短時間で好ましい制御パラメータに調整することができる。
【0138】
また、本発明の電動機の位置制御装置における制御パラメータ調整部が外部から指定された開始セットを最初に選択するよう構成されているので、任意の開始セットを指定できるため、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、入力された負荷構成パターンに最適な開始セットが決定されているため、調整回数を減らすことができ、短時間で制御パラメータを調整することができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、制御パラメータ調整中に振動が発生した場合でも、確実に短時間で振動を収束させることができ安全な制御パラメータの調整ができる。
【0139】
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、位置指令値、速度指令値、検出位置、及び検出速度のうち少なくとも1つに基づいて制御パラメータを調整しているため、位置指令に対し優れた応答性を有する制御を実現できるように制御パラメータを調整することができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置は、選択されたセットの制御パラメータを設定した後、電動機を所定回数だけ制御して、振動しないかどうかを再確認するよう構成されているので、安定な制御パラメータを確実に設定できる。
本発明の電動機の位置制御装置においては、セットで制御パラメータを調整した後、さらに個別に各制御パラメータを調整するよう構成されているため、応答性の高い調整が可能となる。
【0140】
また、本発明の電動機の位置制御装置は、制御パラメータの調整過程で、外部から入力された目標指標を満足した時に、制御パラメータの調整を停止し、その時点の制御パラメータを調整結果として設定するよう構成されているので、短時間で制御パラメータの調整ができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、制御対象の共振周波数による発振を抑圧するノッチフィルタを自動的に生成するため、制御対象の周波数応答を測定することなく応答性の高い制御パラメータの調整が可能となる。
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、制御パラメータ調整中に振動などでノッチフィルタのノッチ周波数が変化した場合でも、過去に選択されたセットで制御された時のノッチ周波数に確実に戻すことができる。
【0141】
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、ノッチフィルタのノッチ周波数を過去に選択されたセットで制御された時点のノッチ周波数に戻した後、振動収束途中の振動によってノッチ周波数が変更されることを防ぐことができるため、ノッチ周波数を確実に戻すことができる。
また、本発明の電動機の位置制御装置においては、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の誤検出がなくなり、応答性の高い制御パラメータの調整ができる。
【0142】
さらに、本発明の電動機の位置制御装置は、検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅が所定値以上であることを検知したとき、イナーシャ推定動作を一時停止するよう構成されているので、イナーシャ推定動作を安定化させることができ、安定性を持つ制御パラメータの調整ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態1における電動機の位置制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る実施の形態1における第1のパラメータ調整部の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る実施の形態1における振動持続時間測定部の動作を説明するための動作波形図である。
【図4】本発明に係る実施の形態1におけるコイン割れ回数/整定時間測定部の動作を説明するための動作波形図である。
【図5】本発明に係る実施の形態1における制御パラメータのセットの一覧の例を示す表である。
【図6】本発明に係る実施の形態1における倍率設定値の一覧の例を示す表である。
【図7】本発明に係る実施の形態1における第1の制御パラメータ調整部の動作を示す第1のフローチャートである。
【図8】本発明に係る実施の形態1における第1の制御パラメータ調整部の動作を示す第2のフローチャートである。
【図9】本発明に係る実施の形態1におけるセット番号と評価条件の結果の一例を示す表である。
【図10】本発明に係る実施の形態1における倍率設定値と評価条件の結果の一例を示す表である。
【図11】本発明に係る実施の形態2における電動機の位置制御装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る実施の形態2における第2の制御パラメータ調整部の構成の一例を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る実施の形態2における第2の制御パラメータ調整部の動作を示す第1のフローチャートである。
【図14】本発明に係る実施の形態2における第2の制御パラメータ調整部の動作を示す第2のフローチャートである。
【図15】本発明に係る実施の形態3における電動機の位置制御装置の構成を示すブロック図である。
【図16】本発明に係る実施の形態3における第3の制御パラメータ調整部の構成の一例を示すブロック図である。
【図17】本発明に係る実施の形態3における第3の制御パラメータ調整部の動作を示すフローチャートである。
【図18】本発明に係る実施の形態4における電動機の位置制御装置の構成を示すブロック図である。
【図19】装置構成と開始セット番号とを関連づけた一覧の例を示す表である。
【図20】装置構成の一例を示す構成図である。
【図21】本発明に係る実施の形態5における電動機の位置制御装置の構成を示すブロック図である。
【図22】本発明に係る実施の形態5における第4の制御パラメータ調整部の構成の一例を示すブロック図である。
【図23】本発明に係る実施の形態6における電動機の位置制御装置の構成を示すブロック図である。
【図24】本発明に係る実施の形態6におけるノッチ周波数修正部の構成の一例を示すブロック図である。
【図25】本発明に係る実施の形態6におけるノッチ周波数修正部の動作時の検出速度、振動成分、及びノッチ周波数の時間変化の一例を示す波形図である。
【図26】本発明に係る実施の形態7において、位置指令値、位置指令値の微分値、検出速度、振動成分、及び位置指令値の加速度の変化における時間変化の第1の例を示す波形図である。
【図27】本発明に係る実施の形態7において、位置指令値、位置指令値の微分値、検出速度、振動成分、及び位置指令値の加速度の変化における時間変化の第2の例を示す波形図である。
【図28】本発明に係る実施の形態7において、位置指令値、位置指令値の微分値、検出速度、振動成分、及び位置指令値の加速度の変化における時間変化の第3の例を示す波形図である。
【図29】本発明に係る実施の形態8における電動機の位置制御装置の構成を示すブロック図である。
【図30】第1の従来技術に係る電動機の位置制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図31】第1の従来技術に係る電動機の位置制御装置における速度制御部をP制御にしたときの制御構成を示す図である。
【図32】第1の従来技術に係る電動機の位置制御装置における速度制御部の積分ゲインを非0にしたときの制御構成を示すブロック図である。
【図33】第2の従来技術に係る電動機の位置制御装置のシステム構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 電動機
2 速度検出部
3 積分器
4 位置制御部
5 速度制御部
6 電動機駆動部
7 負荷
8 第1の制御パラメータ調整部
9 第2の制御パラメータ調整部
10 第3の制御パラメータ調整部
11 負荷構成パターン入力部
12 第4の制御パラメータ調整部
13 ノッチフィルタ
14 ノッチ周波数修正部
15 ノッチ周波数記憶部
16 イナーシャ推定部
17 イナーシャ推定一時停止判断部
81 ハイパスフィルタ
82 振動持続時間測定部
83 指令開始/完了検出部
84 コイン割れ回数/整定時間測定部
85 第1のステップ処理部
95 第2のステップ処理部
105 第3のステップ処理部
115 第4のステップ処理部

Claims (33)

  1. 電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
    前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
    前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
    前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
    少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有し、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御したときの位置指令に対する前記電動機の応答状態の測定動作を順次行い、測定された応答結果に応じて1つのセットの制御パラメータを設定する制御パラメータ調整部と、
    を具備することを特徴とする電動機の位置制御装置。
  2. 前記制御パラメータ調整部は、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を、前記速度制御部の比例ゲインの低いセットから高いセットへ順次行うよう構成されており、
    測定された応答結果において、
    (1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である時間が第1の所定時間未満である条件(1)と、
    (2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成された請求項1記載の電動機の位置制御装置。
  3. 前記制御パラメータ調整部は、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を、前記速度制御部の比例ゲインの低いセットから高いセットへ順次行うよう構成されており、
    位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が第1の所定時間以上であることを検知したときまでの測定された応答結果において、
    (1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1の所定時間未満である条件(1)、
    (2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成された請求項1記載の電動機の位置制御装置。
  4. 前記制御パラメータ調整部は、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、
    セットの選択において、
    (A)位置指令の開始から次の指令開始までの期間において、振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が第1の所定時間以上であることを検知した場合、応答状態を既に測定したセットでかつ振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である時間が前記第1の所定時間以上であることを検知しなかったセットの中で最も高い速度制御部の比例ゲイン、あるいは前記条件に該当する速度制御部の比例ゲインがない場合は全セットの中で最も低い速度制御部の比例ゲインと、現時点で設定されている速度制御部の比例ゲインとの間の値を有する速度制御部の比例ゲインを持つセットを次に選択する第1の選択、
    (B)位置指令の開始から次の指令開始までの期間において、振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が、前記第1の所定時間以上であることを検知しなかった場合、応答状態を既に測定したセットでかつ振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が、前記第1の所定時間以上であることを検知したセットの中で最も低い速度制御部の比例ゲイン、あるいは前記条件に該当する速度制御部の比例ゲインがない場合は全セットの中で最も高い速度制御部の比例ゲインと、現時点で設定されている速度制御部の比例ゲインとの間の値を有する速度制御部の比例ゲインを持つセットを次に選択する第2の選択、の2つの選択を繰り返し行い、
    前記選択において、次に選択するセットが存在しなくなったとき、測定された応答結果において、
    (1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である時間が前記第1の所定時間未満である条件(1)、
    (2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成された請求項1記載の電動機の位置制御装置。
  5. 前記制御パラメータ調整部は、外部から指定された開始セットを最初に選択するよう構成された請求項2から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  6. 開始セットが関連づけられた複数の負荷構成パターンを有し、前記複数の負荷構成パターンの中の1つが外部から指定される負荷構成パターン入力部が設けられており、
    前記制御パラメータ調整部は、前記負荷構成パターン入力部から入力された負荷構成パターンに関連づけられた開始セットを最初に選択するよう構成された請求項2から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  7. 前記制御パラメータ調整部は、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態の測定動作を順次行い、
    前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットの中で速度制御部の比例ゲインが最も高いセットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成された請求項2から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  8. 前記制御パラメータ調整部は、位置指令の開始から次の指令開始までの期間において、振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1の所定時間以上であることを検知したとき、直ちに、現在の速度制御部の比例ゲインよりも低い速度制御部の比例ゲインを持つセットの制御パラメータを設定して、前記電動機を第2の所定回数だけ制御した後、次のセットを選択するよう構成された請求項2から4のいずれかに記載された電動機の位置制御装置。
  9. 前記制御パラメータ調整部は、少なくとも、前記位置指令値、前記速度指令値、前記検出位置、前記検出速度のうち少なくとも1つに基づいた位置制御部の比例ゲインと速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有し、セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御したときの位置指令に対する電動機の応答状態の測定動作を順次行い、測定された応答状態に応じて制御パラメータのセットの1つを選択して、選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成された請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  10. 前記制御パラメータ調整部は、前記速度制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が第2の所定値より大きい時の位置制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下の時の位置制御部の比例ゲインと、を少なくとも含む制御パラメータのセットを複数有する請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  11. 前記制御パラメータ調整部は、
    前記速度制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が第2の所定値より大きい時の位置制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下の時の位置制御部の比例ゲインと、を少なくとも含む制御パラメータのセットを複数有し、
    前記位置指令完了後、前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下になった時の前記位置制御部の比例ゲインの切り替えにおいて、
    前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が前記第2の所定値より大きい時の位置制御部の比例ゲインよりも、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下の時の位置制御部の比例ゲインの方が大きい場合、位置指令完了後、前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下になった時から第3の所定時間をかけて徐々に切り替えるよう構成された請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  12. 電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
    前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
    前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
    前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
    少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有する制御パラメータ調整部と、を具備し、
    前記制御パラメータ調整部は、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、測定された結果において、
    (1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が第1の所定時間未満である条件(1)、
    (2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定した時から第3の所定回数だけ前記電動機を制御する間、位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1の所定時間以上であることを検知した時、前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットのうち現在のセットを除いたセットのなかで、前記速度制御部の比例ゲインが最も高いセットを新たに選択して、新たに選択されたセットの制御パラメータを設定するよう構成された電動機の位置制御装置。
  13. 電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
    前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
    前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
    前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
    少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインを含む制御パラメータのセットを複数有する制御パラメータ調整部と、を具備し、
    前記制御パラメータ調整部は、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置指令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、測定された応答結果において、
    (1)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である時間が第1の所定時間未満である条件(1)、
    (2)位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記第1の所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)位置指令の完了時点から次の指令開始までの期間で、位置指令値と検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が第1の所定回数以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定し、
    次に、現在設定されている制御パラメータのうち少なくとも前記速度制御部の比例ゲインを固定し、残りの制御パラメータを変化させ、前記電動機を制御したときの位置指令に対する前記電動機の応答状態に応じて、固定したパラメータ以外のパラメータを設定するよう構成された電動機の位置制御装置。
  14. 前記制御パラメータ調整部は、
    少なくとも、前記速度制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が第2の所定値より大きい時の前記位置制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下の時の前記位置制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有し、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、測定された応答結果において、
    (1)前記位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が第1の所定時間未満である条件(1)、
    (2)前記位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)前記位置指令の完了時点以後で、前記位置指令値と前記検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が所定値以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定し、
    次に、現在設定されている制御パラメータのうち、位置指令完了後で前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下の時の前記位置制御部の比例ゲインのみを所定範囲内で変化させて、前記電動機を制御した時の応答状態を測定し、測定された応答結果において、前記3つの条件のうち条件(2)と条件(3)を満たし、位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が予め設定された整定幅に入るまでの時間が最も短かった前記位置制御部の比例ゲインを設定するよう構成された請求項13記載の電動機の位置制御装置。
  15. 前記制御パラメータ調整部は、
    少なくとも、前記速度制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が所定値より大きい時の前記位置制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が第2の所定値以下の時の前記位置制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有し、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、測定された応答結果において、
    (1)前記位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である期間が第1の所定時間未満である条件(1)、
    (2)前記位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)前記位置指令の完了時点以後で、前記位置指令値と前記検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が所定値以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定し、
    次に、現在設定されている制御パラメータのうち、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が第2の所定値以下の時の前記位置制御部の比例ゲインのみを所定範囲内で値の小さい方から変化させ、前記電動機を制御した時の応答状態を測定し、
    位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が所定値以上になった時点で前記位置制御部の前記比例ゲインの変更を停止し、
    停止した時点で前記3つの条件のうち条件(2)と条件(3)を満たし、位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が予め設定された整定幅に入るまでの時間が最も短かった前記位置制御部の比例ゲインを設定するよう構成された請求項13記載の電動機の位置制御装置。
  16. 前記制御パラメータ調整部は、
    少なくとも、前記速度制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後、前記電動機の検出速度が第2の所定値より大きい時の前記位置制御部の比例ゲインと、前記位置指令完了後、前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下の時の前記位置制御部の比例ゲインと、を少なくとも含む制御パラメータのセットを複数有し、
    セットの選択及び選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御して前記電動機の応答状態の測定動作を順次行うとき、前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の検知、及び位置指令完了後の位置令値と検出位置との偏差の検知のうち少なくとも1つの振動成分の検知を含む測定動作を順次行うよう構成されており、測定された応答結果において、
    (1)前記位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が第1の所定値以上である時間が第1の所定時間未満である条件(1)、
    (2)前記位置指令の開始から次の指令開始までの期間で、前記振動成分の振幅が前記所定値以上である期間が前記第1所定時間よりも短い第2の所定時間未満である条件(2)、及び
    (3)前記位置指令の完了時点以後で、前記位置指令値と前記検出位置との偏差が予め設定された整定幅と交差する回数が所定値以下である条件(3)、
    の前記3つの条件のうち少なくとも条件(1)を含む1つ以上を満たしたセットから1つを選択して、その選択されたセットの制御パラメータを設定し、
    次に、前記位置指令完了後で前記電動機の検出速度が前記第2の所定値以下の時の前記位置制御部の比例ゲインと、前記位置制御部の比例ゲインを決める前記検出速度の所定値を変数として、各々異なる所定範囲内で変化させ、前記電動機を制御した時の応答状態を測定し、測定された応答結果において、前記3つの条件のうち条件(2)と条件(3)を満たし、位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が予め設定された整定幅に入るまでの時間が最も短かった前記位置制御部の比例ゲインと、前記位置制御部の比例ゲインを決める前記検出速度の所定値とを設定するよう構成された請求項13記載の電動機の位置制御装置。
  17. 電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
    前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
    前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
    前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
    少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインとを含む制御パラメータのセットを複数有し、位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が予め設定された整定幅に入るまでの時間の目標値が外部から設定される制御パラメータ調整部と、を具備し、
    前記制御パラメータ調整部は、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータで前記電動機の応答状態を測定する動作において、位置指令完了後、前記検出位置と前記位置指令値との偏差が整定幅に入るまでの時間が、外部から設定された前記目標値以下になった時、セットの選択を停止し、その時の制御パラメータを設定するよう構成された電動機の位置制御装置。
  18. 前記制御パラメータ調整部は、
    現在のセットの制御パラメータを設定して第3の所定回数電動機を制御した後、次に選択されたセットの制御パラメータを設定する機能を有し、
    選択されたセットの制御パラメータが設定されてから前記第3の所定回数よりも小さい第4の所定回数制御した後のみ、前記3つの条件のうち条件(2)と条件(3)を検知するよう構成された請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  19. 前記制御パラメータ調整部は、
    現在のセットの制御パラメータを設定して第3の所定回数電動機を制御した後、次に選択されたセットの制御パラメータを設定する機能を有し、
    選択されたセットの制御パラメータが設定されてから前記第3の所定回数よりも小さい第4の所定回数制御した後のみ、前記3つの条件のうち条件(2)と条件(3)を検知するよう構成された請求項11から16のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  20. 位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ中心周波数が可変であるノッチフィルタと、
    前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部とが設けられた請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  21. 位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ中心周波数が可変であるノッチフィルタと、
    前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部と、
    選択されたセットが変化した時、変化直前の前記セットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、新たに選択されたセットが過去に選択されたセットと同じとき、過去に選択された前記セットに関連づけて記憶されたノッチ周波数を前記ノッチフィルタのノッチ周波数として設定し直すノッチ周波数記憶部と、が設けられた請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  22. 位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ中心周波数が可変であるノッチフィルタと、
    前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部と、
    選択されたセットが変化する時、変化直前のセットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、新たに選択されたセットが過去に選択されたセットと同じとき、過去に選択された前記セットに関連づけて記憶されたノッチ周波数を前記ノッチフィルタのノッチ周波数として設定し直すノッチ周波数記憶部と、が設けられた請求項12から17のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  23. 位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ周波数が可変であるノッチフィルタと、
    前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部と、
    選択されたセットが変化する時、変化直前のセットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、新たに選択されたセットが過去に選択されたセットと同じとき、過去に選択された前記セットに関連づけて記憶されたノッチ周波数を前記ノッチフィルタのノッチ周波数として設定し直し、その後、第4の所定時間の間は前記ノッチフィルタのノッチ周波数変更を禁止するノッチ周波数記憶部と、が設けられた請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  24. 位置制御系内または速度制御系内のいずれかに配置され、ノッチ周波数が可変であるノッチフィルタと、
    前記検出位置または前記検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を、減少させるよう前記ノッチフィルタのノッチ周波数を逐次修正するノッチ周波数修正部と、
    選択されたセットが変化する時、変化直前のセットと変化直前のノッチ周波数を関連づけて記憶し、新たに選択されたセットが過去に選択されたセットと同じとき、過去に選択された前記セットに関連づけて記憶されたノッチ周波数を前記ノッチフィルタのノッチ周波数として設定し直し、その後、第4の所定時間の間は前記ノッチフィルタのノッチ周波数変更を禁止するノッチ周波数記憶部と、が設けられた請求項12から17のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  25. 前記制御パラメータ調整部は、
    位置指令が所定条件を満たす期間のみ、電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分を検知するか、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を検知するよう構成された請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  26. 前記制御パラメータ調整部は、
    位置指令が所定条件を満たす期間のみ、電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分を検知するか、あるいは電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分を検知するよう構成された請求項12から17のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  27. 前記位置指令が所定条件を満たす期間は、位置指令の加速度の変化が所定値以上の時点から所定時間の期間を除く期間であるよう構成された請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  28. 前記位置指令が所定条件を満たす期間は、位置指令の加速度の変化が所定値以上の時点から所定時間の期間を除く期間であるよう構成された請求項12から17のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  29. 前記位置指令が所定条件を満たす期間は、
    (1)位置指令に時間変化が0から非0になった時から所定時間経過するまでの期間、及び
    (2)位置指令に時間変化が非0から0になった時から所定時間経過するまでの期間を除く期間であるよう構成された請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  30. 前記位置指令が所定条件を満たす期間は、
    (1)位置指令に時間変化が0から非0になった時から所定時間経過するまでの期間、及び
    (2)位置指令に時間変化が非0から0になった時から所定時間経過するまでの期間を除く期間であるよう構成された請求項12から17のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  31. 前記位置指令が所定条件を満たす期間は、
    (1)位置指令に時間変化が非0である期間、及び
    (2)位置指令に時間変化が非0から0になった時から所定時間経過するまでの期間を除く期間であるよう構成された請求項1から4のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  32. 前記位置指令が所定条件を満たす期間は、
    (1)位置指令に時間変化が非0である期間、及び
    (2)位置指令に時間変化が非0から0になった時から所定時間経過するまでの期間を除く期間であるよう構成された請求項12から17のいずれかに記載の電動機の位置制御装置。
  33. 電動機の検出位置から前記電動機の速度を算出し、または電動機の検出速度から前記電動機の位置を算出する位置/速度演算部と、
    前記検出位置を位置指令値に追従させる位置制御部と、
    前記検出速度を前記位置制御部の出力に応じた速度指令値に追従させる速度制御部と、
    前記速度制御部の出力に応じたトルク指令値に基づいて前記電動機を駆動する電動機駆動部と、
    前記検出速度から算出される加速度と前記トルク指令値に基づいて前記電動機及び前記電動機で駆動される負荷の総イナーシャを推定するイナーシャ推定部と、
    前記電動機の検出位置または検出速度に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅、あるいは前記電動機駆動部への入力であるトルク指令に含まれる所定周波数以上の振動成分の振幅が所定値以上であることを検知した時から、前記イナーシャ推定部のイナーシャ推定演算を所定時間停止させるイナーシャ推定一時停止判断部と、
    少なくとも前記位置制御部の比例ゲインと前記速度制御部の比例ゲインを含む制御パラメータのセットを複数有し、セットを選択し、選択されたセットの制御パラメータを用いて前記電動機を制御したときの位置指令に対する前記電動機の応答状態を測定し、この応答状態に応じて1つのセットの制御パラメータを設定する制御パラメータ調整部、
    を具備することを特徴とする電動機の位置制御装置。
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