JP4351471B2 - せり上げ式エレベータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、せり上げ式エレベータに関し、特にそのかご枠の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図18にエレベータの一般的な構造を簡略化して示す。通常のエレベータは、乗客の乗るかご1が釣合い重り2とロープ3でつながれており、そのロープ3を巻上機4で操作することにより、釣合い重り2でバランスさせた状態でかご1を上下させる。そしてかご1の上下動は、レール5によりガイドされるようになっている。
【0003】
このようなエレベータにおけるロープ3の引き回し方法には、図19と図20にそれぞれ模式化して示す方法がある。図19の方法は、かご1と釣合い重り2にロープ3を直接固定する、1:1ローピング法であり、図の例では釣合い重り2の側に中間プーリ6が設けられている。一方、図20の方法は、かご1にかご下プーリ7が、また釣合い重り2に釣合い重りプーリ8がそれぞれ設けられるとともに中間プーリ6が設けられ、これらのプーリで引き回したロープ3の両終端を建屋に固定する、2:1ローピング法である。この2:1ローピング法は巻上機4などが設置される機械室やかご1を比較的小さくすることができる。このためエレベータの省スペース化を重視する場合には、2:1ローピング法が多く用いられる。2:1ローピング法を採用した場合、かご1にプーリを設ける必要がある。そのかごに設けられるプーリは、かご1の下部に設けられる場合(図21)とかご1の上部に設けられる場合(図22)があり、前者はせり上げ式と呼ばれ、後者は釣り上げ式と呼ばれる。
【0004】
せり上げ式エレベータにおけるかご1の具体的な構造としては、例えば特許文献1に開示の例のような構造が従来の一般的なものとして知られている。図23と図24にその例を示す。かご1は、かご室9とこれを支持するかご枠10とから構成されている。かご室9は、四角な箱形に形成されており、下部に平らなかご床11を有する。一方、かご枠10は、かご枠ベース12、このかご枠ベース12の側端に接続されてかご室9の側面に沿うようにして左右2本で設けられる立て枠(スリング)13、左右の立て枠13をかご室9の上部でつないでかご枠10の左右方向のゆがみを支えるクロスヘッド14、かご扉(図示せず)を取り付ける前柱15、かご室9の上部で立て枠13と前柱15をつないでかご枠10の前後方向のゆがみを支える左右の取台16、2つのかご下プーリ7をかご枠ベース12に取り付けるためのかご下プーリ支持台17と、かご1の奥行き(前後方向距離)が大きい場合にかご枠ベース12の前後方向の変形を抑制するために取り付けられるタイロッド18を主な構成要素としている。またその立て枠13には、レール5によるガイドを受けるためのガイド装置19がかご枠10の上下で取り付けられるとともに、ロープ3が破断した際の緊急停止作動のための非常止め装置20が取り付けられている。そしてこのかご枠10のかご枠ベース12が防振ゴム21の介在の下でかご室9のかご床11を支持しており、かご下プーリ7などからの振動がご室9に伝わるのを防振ゴム21により遮断するようになっている。
【0005】
図25と図26に、かご枠ベース12についての従来の一般的な構造例を簡略化して示す。かご枠ベース12は、強度メンバーである複数の梁部材、具体的には左右の側辺を形成する左右一対の縦梁部材22a、22b、前後の側辺を形成する前後一対の横梁部材23a、23b、この横梁部材23a、23bに平行に設けられる一対の中間横梁部材24a、24bにより、全体として四角な枠構造に形成されている。そしてその中間横梁部材24a、24bの下面にかご下プーリ支持台17の支持台部材17a、17bが支持部材25を介してそれぞれ固定され、このかご下プーリ支持台17に左右でかご下プーリ7(7a、7b)が取り付けられている。
【0006】
せり上げ式のエレベータではロープ3がかご枠ベース12の左右の端部より外側を通る必要がある。そのためには、かご下プーリ7a、7bがそれぞれの端を縦梁部材22a、22bの外側に突出させるようになっていなければならない。そしてこれに伴って、かご下プーリ7a、7bと縦梁部材22a、22bが干渉し合うことのないように、かご下プーリ7a、7bはその全体をかご枠ベース12の下に突出させる状態にして取り付けられることになる。なお、かご枠ベース12とかご室9のかご床11(図23、図24)の間に介在する防振ゴム21は、図25に見られるように、かご枠ベース12の4隅に配置され、必要のある場合にはこの4隅配置の中間にも配置されるのが一般的である。すなわち、かご室9は防振ゴム21による4個ないし6個の支持点を介してかご枠ベース12に支持されることになる。このように防振ゴム21による点状の支持を受けるには、かご室9のかご床11に大きな剛性を与える必要がある。
【0007】
【特許文献1】
特開20001−80852号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、エレベータについては、そのかごのサイズ、特に上下方向のサイズをできるだけ小さくすることが望まれる。例えば、エレベータ設備ではその昇降路の下部に緩衝器の設置などのためのピットが設けられているが、このピットに必要な容積もかごのサイズに関係する。そしてピットの容積はエレベータ設備が設けられる建物の利用効率に影響する。つまり、ピットの容積をできるだけ小さくして建物の利用効率を高めるようにするには、かごの上下方向サイズをできるだけ小さくすることが求められるということである。
【0009】
上記のようにエレベータのかごは、かご室とこれを支持するかご枠から構成されており、その上下方向のサイズは、かご枠の上下方向のサイズで決まる。したがってかご室に必要なサイズを与えた条件の下でかごの上下方向サイズを小さくするには、かご枠の上下方向サイズを小さくすることが求められる。このかご枠の上下方向サイズの縮小については、せり上げ式エレベータの場合、かご枠ベースの下方に突出するかご下プーリの突出程度をできるだけ少なくすることが特に有効である。またかご室とかご枠の間に介在する防振ゴムの介在位置を変えることもかご枠の上下方向サイズの縮小に有効である。
【0010】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、せり上げ式エレベータについて、かご枠ベースの下方に突出するかご下プーリの突出程度を抑えるなどしてかご枠の上下方向サイズを小さくできるようにすることを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的のために本発明では、かご室とこれを支持するかご枠からなるかごを有するとともに、前記かご枠が前記かご室を下側から支持するかご枠ベースと、このかご枠ベースの側端に接続されて前記かご室の側面に沿うように設けられる立て枠とを少なくとも有しており、そして前記かご枠ベースにかご下プーリが取り付けられているせり上げ式エレベータにおいて、前記かご枠ベースを、前記かご室のかご床の対角線に沿うよう配置された互いに平行する2本のプーリ支持兼用梁部材と、前記プーリ支持兼用梁部材にそれぞれの端部を交差させるように配置された交差対角線配置梁部材と、前記かご床の側辺に沿うようにして前記プーリ支持兼用梁部材の端部と前記交差対角線配置梁部材の端部をつなぐように設けられた補助横梁部材及び補助縦梁部材とから構成し、かつ前記交差対角線配置梁部材の両端部に前記立て枠の下端を固定すると共に、前記立て枠の下端に設にかごの上下動をガイドするレールによるガイドを受けるためのレールガイド装置を設け、かつ前記2本のプーリ支持兼用梁部材に前記かご下プーリの軸受を直接固定することにより、前記プーリ支持兼用梁部材の間に前記かご下プーリの上側を挟み込ませるようにしたことを特徴としている。
【0013】
また本発明では上記のようなせり上げ式エレベータについて、前記かご下プーリの軸受と前記プーリ支持兼用梁部材との間に防振ゴムを介在させるようにしている。
【0014】
また本発明では上記のようなせり上げ式エレベータについて、前記かごの上下動をガイドするガイド装置を前記立て枠に防振ゴムの介在の下で取り付けるようにしている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1〜図4に第1の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごの構造を簡略化して示す。本発明では、かご枠ベースの主要な強度メンバーである梁部材の一部をプーリ支持兼用梁部材とし、このプーリ支持兼用梁部材にかご下プーリを挟み込むように支持させるようにすることでかご下プーリのかご枠ベース下方への突出程度を抑え、これによりかご枠の上下方向サイズを小さできるようにしている。これについては少なくとも二つのタイプが可能であり、一つはプーリ支持兼用梁部材をかご室の床の対角線に沿うように配置するタイプであり、他の一つはプーリ支持兼用梁部材をかご室の床の側辺に平行に配置するタイプである。第1の実施形態はプーリ支持兼用梁部材を対角線配置するタイプについての例である。以下その構成を具体的に説明する。
【0016】
本実施形態におけるかご100は、従来と同様なかご室9と本発明に特有の構造を有したかご枠101からなる。かご室9は、従来と同様に四角な箱形に形成されており、下部に平らなかご床11を有している。かご枠101は、かご枠ベース102、このかご枠ベース102の角部に接続されてかご室9の側面に沿うようにして左右2本で設けられる立て枠103、左右の立て枠103をかご室9の上部でつないでかご枠101の左右方向のゆがみを支えるクロスヘッド104を主な構成要素としており、この他にも必要に応じていくつかの構成要素が加えられるが、それらの図示は省略している。なお、図1中の矢印は、その方向がかご100の前方であることを示している。
【0017】
かご枠ベース102は、プーリ支持兼用梁部材110、交差対角線配置梁部材111、補助横梁部材112、補助縦梁部材113により全体として四角な枠構造に形成されている。プーリ支持兼用梁部材110は、チャンネル型の型鋼を用いてかご床11の対角線とほぼ同じ長さに形成され、かご枠ベース102の構造強度を支える強度メンバーとしての機能に加えて、かご下プーリ7を支持する機能も負っている。このプーリ支持兼用梁部材110は、互いに平行な横並びで2本を一組にし、かつかご下プーリ7を挟み込むようにして支持するのに適した間隔にして設けられ、かご床11の対角線に沿うように配置されている。この2本のプーリ支持兼用梁部材110、110によるかご下プーリ7の支持は、かご下プーリ7の軸受7B(一つのかご下プーリ7に左右一つずつで合計4個)をそれぞれプーリ支持兼用梁部材110の下面に防振ゴム114の介在の下で直接固定することにより、2本のプーリ支持兼用梁部材110、110でかご下プーリ7の上側を挟み込むようにしてなされている。したがってかご下プーリ7は、かご枠ベース102の対角線つまりかご床11の対角線上に配置されることになる。
【0018】
交差対角線配置梁部材111は、I型鋼を用いて形成され、プーリ支持兼用梁部材110とともにかご枠ベース102の構造強度を支える強度メンバーとしての機能を負っており、対角線配置のプーリ支持兼用梁部材110、110にそれぞれの端部を交差させるようにした2本一組が縦並びで配置されている。この交差対角線配置梁部材111とプーリ支持兼用梁部材110の交差部位は、L型の締結金具115(図3)で締結されるとともに、上下に補強板116を固着することにより補強されている。補助横梁部材112と補助縦梁部材113は何れも、かご床11の側辺に沿うようにしてプーリ支持兼用梁部材110の端部と交差対角線配置梁部材111の端部をつなぐことでかご枠ベース102の構造強度を補強する機能を負っており、プーリ支持兼用梁部材110と同様なチャンネル型の型鋼を用いて形成されている。
【0019】
立て枠103は、アングル材のように断面がL型の立て枠部材103pを対に組み合わせて溝構造を有するように形成されている。この立て枠103は、交差対角線配置梁部材111の端部つまりかご枠ベース102の角部にその下端部が固定される一方で、その上端部がクロスヘッド104に固定されている。また立て枠103の上下各端部には、その溝部分に収まるようにして、上述のレールによるガイドを受けるためのガイド装置19が固定されている。そしてこのガイド装置19の固定には、図4に拡大して示すように、防振ゴム117が介在させられている。
【0020】
以上のような第1の実施形態においては、2本のプーリ支持兼用梁部材110により上側を挟み込むようにしてかご下プーリ7を支持するようにしている。このため、かご下プーリ7の上側部分がかご枠ベース102に入り込むようになり、その分だけかご下プーリ7のかご枠ベース102の下側への突出程度を小さくすることができ、したがって、その分についてかご枠101の上下方向サイズを縮小させることができる。また本実施形態においては、プーリ支持兼用梁部材110を対角線配置とするとともに、これに交差する交差対角線配置梁部材111を設けることにより、いわばX型構造にしてかご枠ベース102を構成している。このため、かご枠ベース102の剛性を高めることができ、その分だけかご枠ベース102の高さ(厚み)を減らすことができる。そしてこのこともかご枠101の上下方向サイズを縮小させるのに役立つ。またプーリ支持兼用梁部材110と交差対角線配置梁部材111によるX型構造は、かご床11の対角線上にかご下プーリ7を配置することができる。そしてこの配置の下で立て枠103をかご枠ベース102の角部に固定することにより、かご100の重心をかご100の幾何学的中心に位置させること容易となる。この結果、ゆれや倒れに対して、より強いかご構造を得やすくなる。また本実施形態においては、かご下プーリ7を介して伝わる振動を防振ゴム114により遮断し、ガイド装置19を介して伝わる振動を防振ゴム117により遮断するようにしている。このためかご枠ベース102とかご室9の間に防振ゴムを介在させなくとも済む。したがって、かご室9をかご枠ベース102の全体で支持することができる。この結果、上述した防振ゴムによる従来の点状支持に較べて、かご室9のかご床11に必要な剛性を小さくすることができる。そしてこのことも、かご床11を薄くできるということで、かご枠101の上下方向サイズを縮小させるのに役立つ。また本実施形態においては、立て枠13をかご枠ベース102の角部、つまりかご床11の対角線上に配置するようにしていることから、かご100の4辺の何れの辺にもかご扉を配置することができるようになる。
【0021】
図5と図6に、第2の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごの構造を簡略化して示す。本実施形態は、第1の実施形態に若干の変形を加えた例である。第1の実施形態との相違は、かご枠ベース102とかご床11の間に防振ゴム118を介在させる一方で、第1の実施形態における防振ゴム114(図1、図2)と防振ゴム117(図4)を省略していることである。このような構造は、かご床11を第1の実施形態における構造の場合よりも厚くしてその剛性を高める必要がある。このことはかご100の上下方向サイズを大きくする要因となる。しかしその一方で、第1の実施形態における防振ゴム114を省略でき、このことによりかご下プーリ7のかご枠ベース102からの突出程度が小さくなる。つまりかご100の上下方向サイズを縮めることができる。その他の構成や効果は第1の実施形態と同様なので、共通する構成要素について図中で同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0022】
図7に、第3の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごの構造を簡略化して示す。本実施形態は、第1の実施形態に若干の変形を加えた例である。本実施形態では、そのかご枠ベース102aがプーリ支持兼用梁部材110、交差対角線配置梁部材111、補助横梁部材112により形成されている。すなわち第1の実施形態における補助縦梁部材113が省略されている点で第1の実施形態と相違している。かご枠ベース102aに必要な強度を与えることができれば、このような構造としてもよい。その他の構成や効果は第1の実施形態と同様なので、共通する構成要素について図中で同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0023】
図8と図9に、第4の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごの構造を簡略化して示す。本実施形態は、第1の実施形態に若干の変形を加えた例で、立て枠103の向きに関して第1の実施形態と相違している。具体的には、第1の実施形態の場合、交差対角線配置梁部材111の端部に固定されている立て枠103がその溝部分をかご枠ベース102の対角線方向に向かせるように配置されていた(図1)。これに対し、本実施形態では交差対角線配置梁部材111の端部に固定の立て枠103がその溝部分103g(図9)をかご枠ベース102の側面に向かせるように配置されている。
【0024】
図10は、ガイド装置19、かご100、レール5、かご下プーリ7、ロープ3の平面配置関係を模式化して示したものである。(A)は第1の実施形態によるかごの構造の場合であり、(B)は本実施形態よるかごの構造の場合である。(A)では、両側のガイド装置19、19を結ぶ直線上にレール5の芯が位置することになる。一方、(B)では、両側のガイド装置19、19を結ぶ直線上にレール5の芯が位置していない。ところで、乗客がかご室内に偏って乗るとその偏荷重によりかご100が傾こうとする。このかご100が傾こうとする動きはレール5により支えることになるが、その際にガイド装置19にかかる傾き防止のための負荷がかかる。このガイド装置19にかかる傾き防止負荷に関しては、(A)の配置構造の方が(B)の配置構造よりも小さくて済むので有利である。その一方で、エレベータの昇降路にレール5を固定することに関しては、(B)の配置構造の方が(A)の配置構造よりも有利である。すなわち(B)の配置構造では、レール5の底面が昇降路の側面に平行になるのでレール5の固定が容易となるが、(A)の配置構造では、レール5の底面が昇降路の側面に平行にならないのでレール5を固定するための構造が複雑になる。
【0025】
本実施形態における立て枠103の配置構造と第1の実施形態におけるそれとには以上のような長所と短所がある。したがって両構造はこれらを考慮して適宜に選択されることになる。その他の構成や効果は第1の実施形態と同様なので、共通する構成要素について図中で同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0026】
図11と図12に、第5の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごの構造を簡略化して示す。本実施形態は、第4の実施形態に若干の変形を加えた例である。本実施形態では、そのかご枠ベース102bにおけるプーリ支持兼用梁部材110と交差対角線配置梁部材111の関係が第4の実施形態におけるそれとは相違している。すなわち第4の実施形態におけるかご枠ベース102は、第1の実施形態におけるかご枠ベース102と同様であり、I型鋼を用いて形成された交差対角線配置梁部材111が2本に分けられ、その2本一組がプーリ支持兼用梁部材110、110にそれぞれの端部を交差させるようにして縦並びで配置されていた。これに対し本実施形態では、交差対角線配置梁部材111をかご枠ベース102の対角線に対して通しとなる1本にしている。その一方で、プーリ支持兼用梁部材110をかご床11の対角線長の半分より短くし、この短くしたプーリ支持兼用梁部材110を交差対角線配置梁部材111の両側に、かご下プーリ7を挟み込むようにして支持するのに適した間隔の横並びで、2本ずつ設けるようにしている。そしてこの交差対角線配置梁部材111の両側に2本ずつで設けたプーリ支持兼用梁部材110を、それぞれがその端部を通しの交差対角線配置梁部材111に交差させるように配置している。この交差部位においては、図12に示すように、L型の締結金具115によるプーリ支持兼用梁部材110と交差対角線配置梁部材111の締結がなされ、さらに補強部材119による補強がなされている。
【0027】
また本実施形態は、第4の実施形態における補助縦梁部材113が省略されている点でも第4の実施形態と相違している。これは第1の実施形態に対する第3の実施形態の関係と同様であり、かご枠ベース102bに必要な強度を与えることができれば、このような構造としてもよい。その他の構成や効果は第4の実施形態と同様なので、共通する構成要素について図中で同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0028】
図13〜図15に第6の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごの構造を簡略化して示す。本実施形態はプーリ支持兼用梁部材をかご室の床の側辺に平行に配置するタイプについての例である。以下その構成を具体的に説明する。なお、本実施形態には上記各実施形態に共通する構成もあるが、それらについては図中に同一の符号を付し、その説明を適宜省略している。
【0029】
本実施形態におけるかご200のかご枠201は、かご枠ベース202を有している。かご枠ベース202は、それぞれI型鋼が用いられている2本の縦梁部材210と4本の横梁部材211を組み合わせて形成された台枠部212にチャンネル型の型鋼が用いられるプーリ支持兼用梁部材213を組み合わせた構造とされている。台枠部212は、横サイズがかご200の横サイズより狭く、縦サイズがかご200の縦サイズとほぼ同じである長方形状に形成されている。つまり縦梁部材210はかご床11の側辺の長さとほぼ同じ長さに形成され、横梁部材211はかご床11の側辺の長さより短い長さに形成されている。そしてこの台枠部212は、その縦梁部材210や横梁部材211がかご200の側辺に平行になるように配置されている。
【0030】
プーリ支持兼用梁部材213は、台枠部212の左右の外側に、かご下プーリ7を挟み込むようにして支持するのに適した間隔の横並びで、2本ずつ、合計4本設けられ、それぞれの端部を台枠部212の縦梁部材210に直交させるように配置されている。つまりプーリ支持兼用梁部材213は、かご床11の横側辺に平行に並列するように配置されている。このプーリ支持兼用梁部材213がかご枠ベース202の構造強度を支える強度メンバーとしての機能に加えて、かご下プーリ7を支持する機能も負っていることは上記各実施形態の場合と同様である。プーリ支持兼用梁部材213によるかご下プーリ7の支持は、かご下プーリ7の軸受7Bをそれぞれプーリ支持兼用梁部材213の下面に防振ゴム114の介在の下で直接固定することにより、平行配置の2本のプーリ支持兼用梁部材213でかご下プーリ7の上側を挟み込むようにしてなされている。したがってかご下プーリ7は、かご200の横側辺に平行に並列するようにしてかご200の左右に配置されることになる。
【0031】
以上のようにプーリ支持兼用梁部材213をかご床11の横側辺に並列になるように配置したことから本実施形態では、このかご床横側辺並列配置のプーリ支持兼用梁部材213を介して立て枠103をかご枠ベース202に固定するようにしている。プーリ支持兼用梁部材213を介して立て枠103をかご枠ベース202に固定するについては、立て枠103がかご下プーリ7と干渉しないように立て枠103を配置する必要がある。立て枠103のかご下プーリ7への干渉を避けるには、立て枠103をかご下プーリ7に対してその前側か後側にずらして配置する。本実施形態では立て枠103をかご下プーリ7の前側に配置している。そのために、かご下プーリ7に対して前側に位置するプーリ支持兼用梁部材213を介して立て枠103をかご枠ベース202に固定している。具体的には、図15に拡大して示すように、立て枠103を形成する一対の立て枠部材103p、103pの内の後側の立て枠部材103pについては、その下端部をプーリ支持兼用梁部材213に固定し、前側の立て枠部材103pについては、プーリ支持兼用梁部材213に沿って補助横梁部材214を設け、この補助横梁部材214にその下端部を固定するようにしている。なお、この立て枠103の上下各端部にガイド装置19が固定されており、その固定に防振ゴム117が介在させられていることは第1の実施形態の場合と同様である。
【0032】
以上のような第6の実施形態においては、2本のプーリ支持兼用梁部材213により上側を挟み込むようにしてかご下プーリ7を支持するようにおり、第1の実施形態の場合と同様に、かご枠201の上下方向サイズを縮小させることができる。また本実施形態においては、かご下プーリ7を介して伝わる振動を防振ゴム114により遮断し、ガイド装置19を介して伝わる振動を防振ゴム117により遮断するようにしているので、第1の実施形態に関して説明したのと同様な利点が得られる。また本実施形態においては、プーリ支持兼用梁部材213をかご床11の横側辺に並列するように配置し、このプーリ支持兼用梁部材213を介して立て枠103をかご枠ベース202に固定するようにしている。このため立て枠103がかご200の側面に沿って位置することになる。この配置は、上で説明した図23や図24のような従来のエレベータにおけるそれと同様であり、第4の実施形態に関して説明したレールの固定について、それが容易になるという利点をもたらす。ただその一方で、プーリ支持兼用梁部材213をかご床11の横側辺に並列に配置する構造では、プーリ支持兼用梁部材213が支持するかご下プーリ7に縦梁部材210が干渉しないようにするために、台枠部212のような構造にして縦梁部材210をかご枠ベース202の縦側辺から内側にオフセットして配置する必要がある。この結果、第1の実施形態の場合に比べて、ご枠ベース202によるかご室9の支持が不均等になり、その分だけかご床11の合成を高める必要を生じる場合がある。
【0033】
図16と〜図17に第7の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごの構造を簡略化して示す。本実施形態は第6の実施形態に若干の変形を加えた例である。第6の実施形態との相違は、かご枠ベース202とかご床11の間に防振ゴム118を介在させる一方で、第6の実施形態における防振ゴム114(図14)と防振ゴム117(図15)を省略していることである。これは第1の実施形態に対する第2の実施形態の相違と同様である。その他の構成や効果は第6の実施形態と同様なので、共通する構成要素について図中で同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、かご枠ベースの強度メンバーである梁部材の一部をプーリ支持兼用梁部材とし、このプーリ支持兼用梁部材により上側を挟み込むようにしてかご下プーリを支持させるようにし、これによりかご下プーリの上側部分をかご枠ベースに入り込ませるようにしている。この結果、かご下プーリのかご枠ベースの下側への突出程度を小さくすることができ、その分についてかご枠の上下方向サイズを縮小させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図2】図1のかごを斜め下方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図3】図1のかごにおける梁部材の交差部分を拡大して示す図である。
【図4】図1のかごにおける立て枠にガイド装置が固定されている部分を拡大して示す図である。
【図5】第2の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図6】図5のかごを斜め下方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図7】第3の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図8】第4の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図9】図8のかごにおけるかご枠ベースの角部分を拡大して示す図である。
【図10】ガイド装置、かご、レール、かご下プーリ、ロープの平面配置関係を模式化して示す図である。
【図11】第5の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図12】図11のかごにおける梁部材の交差部分を拡大して示す図である。
【図13】第6の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図14】図13のかごを斜め下方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図15】図13のかごにおける立て枠のかご枠ベースへの固定部分を拡大して示す図である。
【図16】第7の実施形態によるせり上げ式エレベータにおけるかごを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図17】図16のかごを斜め下方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図18】エレベータの一般的な構造を簡略化して示す図である。
【図19】1:1ローピング法のエレベータにおけるロープの引き回し方法を模式化して示す図である。
【図20】2:1ローピング法のエレベータにおけるロープの引き回し方法を模式化して示す図である。
【図21】2:1ローピング法に関してプーリをかごの下に設ける場合を模式化して示す図である。
【図22】2:1ローピング法に関してプーリをかごの上に設ける場合を模式化して示す図である。
【図23】従来のせり上げ式エレベータにおける一般的な構造のかごを側方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図24】図23のかごを前方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図25】従来のせり上げ式エレベータにおける一般的な構造のかご枠ベースを斜め上方から見た状態を簡略化して示す図である。
【図26】図25のかご枠ベースを側方から見た状態を簡略化して示す図である。
【符号の説明】
7 かご下プーリ
7B 軸受
9 かご室
11 かご床
19 ガイド装置
100 かご
101 かご枠
102 かご枠ベース
103 立て枠
110 プーリ支持兼用梁部材
114 防振ゴム
117 防振ゴム

Claims (2)

  1. かご室とこれを支持するかご枠からなるかごを有するとともに、前記かご枠が前記かご室を下側から支持するかご枠ベースと、このかご枠ベースの側端に接続されて前記かご室の側面に沿うように設けられる立て枠とを少なくとも有しており、そして前記かご枠ベースにかご下プーリが取り付けられているせり上げ式エレベータにおいて、
    前記かご枠ベースを、前記かご室のかご床の対角線に沿うよう配置された互いに平行する2本のプーリ支持兼用梁部材と、前記プーリ支持兼用梁部材にそれぞれの端部を交差させるように配置された交差対角線配置梁部材と、前記かご床の側辺に沿うようにして前記プーリ支持兼用梁部材の端部と前記交差対角線配置梁部材の端部をつなぐように設けられた補助横梁部材及び補助縦梁部材とから構成し、かつ前記交差対角線配置梁部材の両端部に前記立て枠の下端を固定すると共に、前記立て枠の下端にかごの上下動をガイドするレールによるガイドを受けるためのレールガイド装置を設け、かつ前記2本のプーリ支持兼用梁部材に前記かご下プーリの軸受を直接固定することにより、前記プーリ支持兼用梁部材の間に前記かご下プーリの上側を挟み込ませるようにしたことを特徴とするせり上げ式エレベータ。
  2. 前記かご下プーリの軸受と前記プーリ支持兼用梁部材との間に防振ゴムが介在させられている請求項1に記載のせり上げ式エレベータ。
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