JP4342094B2 - 排熱吸収冷凍機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン、スターリングエンジン、ミラーサイクルガスエンジンなどのエンジンから発生する排熱を回収して冷凍用媒体を取り出すように構成した排熱吸収冷凍機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の排熱吸収冷凍機としては、図8の従来例の概略構成図に示すようなアンモニア吸収冷凍機があった。
この従来例によれば、エンジン01に、カップリング02を介して発電機03が連動連結されている。
【0003】
エンジン01のエンジン冷却部の出口と入口とにわたって、エンジン冷却水(ジャケット冷却水)を循環する第1のポンプ04を介装した循環配管05が接続され、この循環配管05に、単効用吸収冷凍機を構成する再生器06が設けられている。再生器06には、エンジン01からのエンジン冷却水(ジャケット冷却水)[温度85〜95℃]によって蒸発可能なアンモニアを冷媒とし、かつ、水を吸収剤とした非共沸混合媒体としてアンモニア−水系溶液が収容されている。
【0004】
再生器06には、精溜器07を介して水を分離したアンモニア蒸気を供給するように凝縮器08が連通接続され、かつ、再生器06に第1の配管09を介して吸収器010が接続されるとともに、凝縮器08に第2の配管011を介して蒸発器012が接続され、更に、吸収器010と蒸発器012とが連通接続され、単効用吸収冷凍機が構成されている。
【0005】
凝縮器08では、再生器06で蒸発したアンモニアを凝縮液化し、その液化したアンモニアを蒸発器012に噴霧供給により戻すようになっている。
また、蒸発器012では、吸収器010における水によるアンモニアの吸収に伴い、アンモニアが蒸発するようになっている。
【0006】
再生器06と吸収器010とにわたって、溶液ポンプ013を介装した第3の配管014が接続され、この第3の配管014と第1の配管09との間に熱交換器015が設けられ、再生器06に戻す液化したアンモニア−水系溶液を、再生器06から吸収器010に流すアンモニア−水系溶液によって加熱するようになっている。
【0007】
上記構成により、エンジン01からの排熱であるエンジン冷却水を利用して、蒸発器012でのアンモニアの蒸発に伴い、冷水を得るようになっている。
【0008】
ところが、アンモニアや、LiBr(リチウムブロマイド)などの吸収式冷凍機では、吸収プロセスや蒸発プロセスにたよっているために、電動型圧縮機によって冷媒を強制的に圧縮・膨張する冷媒回路を備えた冷凍機に比べ、成績係数が低くなる傾向にある。
【0009】
そのため、従来より、吸収式冷凍機の成績係数を高くする方法が種々検討され、その一つとして、蒸発器012と吸収器010との間に電動型圧縮機を設け、蒸発器012内の蒸気を吸引し、その吸引した蒸気を吸収器010に加圧供給するようなプロセスが提案されている。
【0010】
この構成によれば、吸収器010内での圧力は低下しないため、前述のような電動型圧縮機によって冷媒を強制的に圧縮・膨張する冷媒回路を備えた冷凍機の場合と同様に低温の温度を取り出すことができる。また、性能面においても、電動型圧縮機に使用する電力を除いた場合の成績係数を 1.2倍以上に高めることができる。また、従来の方法では、デューリング線図上、エンジン冷却水レベルの温度を加熱源として、−10℃以下の冷熱を取り出すことができないが、この電動型圧縮機を使用する構成によれば取り出すことができるようになる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電動型圧縮機の場合、電動モータと圧縮機とを連動連結し、伝動軸の軸受部に対して潤滑と漏洩に対するシールをしなければならず、例えば、アンモニア吸収冷凍機に適用した場合、潤滑油が系内に混入するとアンモニアの蒸発が阻害され、冷媒への伝熱に弊害を及ぼすなど、潤滑油と漏洩の問題が、開発を阻害する大きな要因になっていた。
【0012】
また、同時に、電動型圧縮機の駆動に必要な電力が大きくてランニングコストが増大する問題があった。もちろん、潤滑油や漏洩の問題だけであれば、密閉式のキャンドモータを用いることも可能であるが、ランニングコストやイニシャルコストが増大する欠点があった。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1に係る発明は、ランニングコストおよびイニシャルコストのいずれも安価にして、エンジンの運転負荷の変動にかかわらず、所望温度の冷凍用媒体を安定して得られるようにすることを目的とし、請求項2に係る発明は、冷凍需要の変動にかかわらず、所望温度の冷凍用媒体を安定して得られるようにすることを目的とし、請求項3に係る発明は、蒸発温度を一定に維持して、所望温度の冷凍用媒体を安定して得られるようにすることを目的とし、請求項4に係る発明は、省エネルギー性を向上できるようにすることを目的とし、更に、請求項5に係る発明は、蒸気タービンの回転数を一定に維持して、冷凍用媒体の温度が必要以上に低下することを回避できるようにすることを目的する。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、上述のような目的を達成するために、再生器(8) と吸収器(12)と凝縮器(10)と蒸発器(14)とから成る単効用吸収冷凍機を、エンジン(1) からのエンジン冷却水によって蒸発可能な冷媒を含む非共沸混合媒体を作動媒体とするとともにエンジン冷却水を熱源として作動し、前記蒸発器(14)から冷凍用媒体を取り出すように構成した排熱吸収冷凍機において、
前記吸収器(12)から取り出される非共沸混合媒体を前記エンジン(1) からの排ガスにより加熱して蒸発させる熱交換器(20)と、
前記熱交換器(20)で蒸発した非共沸混合媒体の蒸気によって駆動する蒸気タービン(21)と、
前記蒸気タービン(21)に一体的に連動連結されて前記蒸発器(14)内の蒸気を吸引して前記吸収器(12)との間に圧力差を発生させる圧縮機(27)と、
前記蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体を加熱可能な補助加熱手段(34)と、
前記蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体の蒸気の温度が設定温度以下にならないように前記補助加熱手段(34)の加熱を制御する加熱制御手段(42)と、を備えて構成する。
【0015】
また、請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、
請求項1に記載の排熱吸収冷凍機における圧縮機(27)に吸引供給する非共沸混合媒体の蒸気の量を調整する吸引蒸気量調整手段(44)と、
前記蒸発器(14)内の圧力を計測する圧力計測手段(45)と、
前記圧力計測手段(45)で計測される圧力が一定になるように前記吸引蒸気量調整手段(44)を制御する吸引蒸気量制御手段(49)と、
を備えて構成する。
【0016】
また、請求項3に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、
請求項1または請求項2に記載の排熱吸収冷凍機における凝縮器(10)で凝縮した非共沸混合媒体の冷媒液を蒸発器(14)に供給する配管(13)に介装されて前記蒸発器(14)に供給する冷媒液の量を調整する分配機構(50)と、
吸収器(12)と熱交換器(20)とを接続する配管(19)に前記分配機構(50)を接続する合流配管(51)と、
前記蒸発器(14)から取り出される冷凍用媒体の温度を計測する温度計測手段(52)と、
前記温度計測手段(52)で計測される冷凍用媒体の温度が一定になるように前記分配機構(50)を制御して前記蒸発器(14)に供給する冷媒液の量を制御する分配制御手段(56)と、
を備えて構成する。
【0017】
また、請求項4に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、
請求項3に記載の排熱吸収冷凍機における合流配管(51)を通じて供給される非共沸混合媒体の冷媒液の量を測定する冷媒液量測定手段(57)と、
前記冷媒液量測定手段(57)で測定される冷媒液の量に基づいて、冷媒液の量が多いほど加熱制御手段(21)における設定温度が低くなるように設定温度を変更する設定温度変更手段(62)と、
を備えて構成する。
【0018】
また、請求項5に係る発明の排熱吸収冷凍機は、前述のような目的を達成するために、
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4のいずれかに記載の排熱吸収冷凍機における蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体の蒸気の量を調整する蒸気量調整手段(64)と、
前記蒸気タービン(21)の回転数を計測する回転数計測手段(65)と、
前記回転数計測手段(65)で計測される回転数が一定になるように前記蒸気量調整手段(64)を制御する蒸気量制御手段(70)と、
を備えて構成する。
【0019】
エンジンからのエンジン冷却水によって蒸発可能な冷媒を含む非共沸混合媒体としては、アンモニア−水系の混合溶液、メタノール−水系の混合溶液等が使用できる。この非共沸混合媒体は、冷媒と吸収剤以外に、腐食防止などのために若干の第三成分を含んでいてもよい。
【0020】
【作用】
請求項1に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、エンジン(1) からのエンジン冷却水を熱源として単効用吸収冷凍機を作動する。一方、エンジン(1) からの排ガスにより、吸収器(12)から取り出される非共沸混合媒体を熱交換器(20)を介して加熱して非共沸混合媒体の蒸気を発生させ、その蒸気によって蒸気タービン(21)を駆動し、蒸気タービン(21)に一体的に連動連結した圧縮機(27)を駆動する。この圧縮機(27)により、蒸発器(14)内の蒸気を吸引して蒸発器(14)内の圧力を吸収器(12)内の圧力よりも低下させ、蒸発器(14)での蒸発に伴い、低温の冷凍用媒体を取り出すことができる。
また、エンジン(1) からの排ガスに加えて、補助加熱手段(34)により蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体を加熱できるようにし、加熱制御手段(42)によって、蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体の蒸気の温度が設定温度以下にならないように加熱する。
【0021】
また、請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、冷凍需要が変動して、蒸発器(14)内の圧力が変化したときには、その変化を圧力計測手段(45)で検知して圧縮機(27)に吸引供給される蒸気の量を調整し、蒸発器(14)内の圧力を一定に維持する。
【0022】
また、請求項3に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、凝縮器(10)から蒸発器(14)に供給する非共沸混合媒体の冷媒液の量を調整して、蒸発器(14)から取り出される冷凍用媒体の温度を一定に維持する。
また、余った非共沸混合媒体の冷媒液は、吸収器(12)から取り出される非共沸混合媒体に合流して熱交換器(20)に供給することができる。
【0023】
また、請求項4に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、凝縮器(10)から蒸発器(14)に供給する非共沸混合媒体の冷媒液の量の調整に伴って、吸収器(12)から取り出される非共沸混合媒体に合流される非共沸混合媒体の冷媒液の量が変動する。この変動に伴い、合流状態での非共沸混合媒体の冷媒の濃度が変動し、濃度が高くなるほど非共沸混合媒体の蒸発飽和温度が低くなることに着目し、上述の冷媒液の量を冷媒液量測定手段(57)で測定し、合流される非共沸混合媒体の冷媒液の量が多いほど、すなわち、合流状態での非共沸混合媒体の冷媒の濃度が高いほど加熱制御手段(42)における設定温度が低くなるようにする。
【0024】
また、請求項5に係る発明の排熱吸収冷凍機の構成によれば、蒸気量制御手段(64)によって蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体の蒸気の量を制御し、蒸気タービン(21)の回転数を一定に維持し、圧縮機(27)の回転数を一定に維持する。
【0025】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る排熱吸収冷凍機の実施例を示す概略構成図であり、エンジン1に、カップリング2を介して発電機3が連動連結されている。
エンジン1の排気管にガス配管4が接続され、そのガス配管4に、NOx成分を除去する脱硝装置5が付設されている。
【0026】
エンジン1のエンジン冷却部1aの出口と入口とにわたって、エンジン冷却水(ジャケット冷却水)を循環する第1のポンプ6を介装した循環配管7が接続され、この循環配管7に、単効用吸収冷凍機を構成する再生器8が設けられている。再生器8には、エンジン1からのエンジン冷却水(温度85〜95℃)によって蒸発可能なアンモニアを冷媒とし、かつ、水を吸収剤とした非共沸混合媒体としてのアンモニア−水系溶液が収容されている。
【0027】
再生器8には、精溜器9を介して水を分離したアンモニア蒸気を供給するように凝縮器10が連通接続され、再生器8に第1の配管11を介して吸収器12が接続されるとともに、凝縮器10に第2の配管13を介して蒸発器14が接続され、更に、吸収器12と蒸発器14とが蒸気路Rを介して連通接続され、単効用吸収冷凍機が構成されている。
凝縮器10では、再生器8で蒸発した冷媒を凝縮液化し、その液化した冷媒を蒸発器14に噴霧供給により戻すようになっている。
【0028】
吸収器12から再生器8にわたって、第1の溶液ポンプ15を介装した第3の配管16が接続され、この第3の配管16と第1の配管11との間に第1の熱交換器17が設けられ、再生器8に戻す液化したアンモニア−水系溶液を、再生器8から吸収器12に流すアンモニア−水系溶液によって加熱するようになっている。
【0029】
第3の配管16の第1の溶液ポンプ15と第1の熱交換器17との間に、第2の溶液ポンプ18を介装した分岐配管19が接続され、この分岐配管19とガス配管4とにわたって第2の熱交換器20が設けられ、液化したアンモニア−水系溶液をエンジン1からの排ガスとの伝熱により加熱し、高温高圧の蒸気を発生させるように構成されている。
【0030】
分岐配管19に蒸気タービン21が接続されるとともに、その蒸気タービン21と吸収器12とが第4の配管22を介して接続され、単効用吸収冷凍機の作動媒体であるアンモニア−水系溶液の高温高圧の蒸気によって蒸気タービン21を駆動するとともに、蒸気タービン21から排出される蒸気を吸収器12に戻すように構成されている。
【0031】
第3の配管16において、開閉弁23を介装したバイパス配管24が第1の熱交換器17と並列に接続され、そのバイパス配管24と第4の配管22とにわたって第3の熱交換器25が設けられ、再生器8に戻す液化したアンモニア−水系溶液を、蒸気タービン21から排出されるアンモニア−水系溶液の蒸気によって加熱するようになっている。
【0032】
図2の断面図に示すように、蒸気タービン21に伝動軸26を介して圧縮機27が一体的に連動連結され、蒸気タービン21、伝動軸26および圧縮機27が、パッキング28を介してシールした状態で一体化されたケーシング29内に収容されるとともに、伝動軸26が気体軸受30を介して回転自在に支持されている。
【0033】
第2の配管13の途中箇所に第4の熱交換器31が設けられ、この第4の熱交換器31を介して熱交換するように蒸気路Rが接続されるとともにこの蒸気路Rに前述の圧縮機27が設けられている。圧縮機27と第4の配管22の途中箇所が接続されている。これらの構成により、圧縮機27によって蒸発器14内の蒸気を吸引し、第4の熱交換器31を経てから吸収器12に供給するようになっている。この蒸発器14と吸収器12とを接続する一連の配管を蒸気路Rと称する。
【0034】
蒸発器14に、冷凍用媒体としてのブラインを取り出す冷凍用媒体取り出し管32が付設されている。このブラインとの熱交換により、食品とか下水処理システムでの下水汚泥などの被冷却物を冷却・冷凍するのである。
凝縮器10および吸収器12には、クーリングタワーからの冷却水を供給する冷却管33が通されている。
【0035】
気体軸受30には、第2の熱交換器20で発生した高温高圧の蒸気が供給され、単効用吸収式冷凍機の作動媒体であるアンモニア−水系溶液の蒸気によって潤滑するように構成されている。この気体軸受30からの蒸気は、第4の配管22を通じて吸収器12に戻されるようになっている。
【0036】
ガス配管4の脱硝装置5と第2の熱交換器20との間に追い焚きバーナ34が設けられ、エンジン1からの排ガスを加熱するように構成されている。追い焚きバーナ34への燃料供給管35に、燃料供給量を調整する燃料調整弁36が設けられている。
【0037】
第2の熱交換器20と蒸気タービン21との間において、分岐配管19に、蒸気タービン21に供給するアンモニア−水系溶液の蒸気の温度を測定する第1の温度計37が設けられている。
【0038】
図3のブロック図に示すように、第1の温度計37がマイクロコンピュータ38に接続され、そのマイクロコンピュータ38に燃料調整弁36が接続されている。マイクロコンピュータ38には、第1の比較手段39と第2の比較手段40と第1の弁開度調整手段41とから成る加熱制御手段42が備えられている。
【0039】
第1の比較手段39では、例えば、1分毎など所定時間毎に、第1の温度計37で測定された温度と上限設定温度(例えば、205℃)とを比較し、上限設定温度よりも高いときに閉じ信号を出力するようになっている。
第2の比較手段40では、例えば、1分毎など所定時間毎に、第1の温度計37で測定された温度と下限設定温度(例えば、195℃)とを比較し、下限設定温度よりも低いときに開き信号を出力するようになっている。
【0040】
弁開度調整手段41では、第1の比較手段39からの閉じ信号に応答して、燃料調整弁36に設定開度だけ閉じる駆動信号を出力し、燃料供給量を設定量だけ減少させ、一方、第2の比較手段40からの開き信号に応答して、燃料調整弁36に設定開度だけ開く駆動信号を出力し、燃料供給量を設定量だけ増加させるようになっている。
【0041】
上記構成により、蒸気タービン21に供給するアンモニア−水系溶液の蒸気の温度を設定範囲内に維持するように追い焚きバーナ34の加熱を制御し、所定温度の蒸気を蒸気タービン21に供給できるようになっている。
【0042】
上記追い焚きバーナ34に代えて電気ヒータなどを用いても良く、それらの追い焚きバーナ34や電気ヒータなどをして補助加熱手段と総称する。
また、上述実施例では、追い焚きバーナ34を、第2の熱交換器20に供給する排ガスを加熱するように設けているが、例えば、分岐配管19の第2の熱交換器20への入口箇所や出口箇所に設けても良く、要するに、蒸気タービン21に供給するアンモニア−水系溶液を加熱できるように構成するものであれば良い。
【0043】
蒸気路Rに、圧縮機27の前後を挟むように第1のバイパス配管43が設けられ、この第1のバイパス配管43に第1の流量調整弁44が設けられている。
蒸発器14に、その蒸発器14内の圧力を計測する圧力計測手段としての圧力計45が設けられている。
【0044】
図4のブロック図に示すように、圧力計45が前記マイクロコンピュータ38に接続されるとともに、マイクロコンピュータ38に第1の流量調整弁44が接続されている。マイクロコンピュータ38には、第3の比較手段46と第4の比較手段47と第2の弁開度調整手段48とから成る吸引蒸気量制御手段49が備えられている。
【0045】
第3の比較手段46では、例えば、1分毎など所定時間毎に、圧力計45で測定された圧力と上限設定圧力とを比較し、上限設定圧力よりも高いときに開き信号を出力するようになっている。
第4の比較手段47では、例えば、1分毎など所定時間毎に、圧力計45で測定された圧力と下限設定圧力とを比較し、下限設定圧力よりも低いときに閉じ信号を出力するようになっている。
【0046】
第2の弁開度調整手段48では、第3の比較手段46からの開き信号に応答して、第1の流量調整弁44に設定開度だけ開く駆動信号を出力し、圧縮機27の出口から入口側に戻す蒸気量を設定量だけ増加させ、蒸発器14からの吸引蒸気量を減少させるようになっている。一方、第4の比較手段47からの閉じ信号に応答して、第1の流量調整弁44に設定開度だけ閉じる駆動信号を出力し、圧縮機27の出口から入口側に戻す蒸気量を設定量だけ減少させ、蒸発器14からの吸引蒸気量を増加させるようになっている。
【0047】
これにより、蒸発器14内の圧力が一定になるように第1の流量調整弁44を制御し、蒸発器14内の圧力が低下しすぎて過冷却やサージングを発生したり、圧縮機27の動力が過大になって蒸気タービン21の回転数を一定に維持できなくなることを防止するようになっている。
上記実施例における第1のバイパス配管43と第1の流量調整弁44とから成る構成に代えて、蒸気路Rの圧縮機27への入口箇所に流量調整弁を設けるようにしても良く、それらをして吸引蒸気量調整手段と総称する。
【0048】
第2の配管13の途中箇所に三方弁50が設けられ、この三方弁50と、分岐配管19の第1の溶液ポンプ15と第2の溶液ポンプ18との間の箇所とが合流配管51を介して接続され、凝縮器10から蒸発器14に供給する非共沸混合媒体の冷媒液の量を調整できるように構成されている。上記三方弁50に代えて、第2の配管13および合流配管51それぞれに、互いに連動して所定量づつ分配可能に調整できるように個別の流量調整弁を設けるようにしても良く、それらの蒸発器14に供給する冷媒液の量を調整する構成をして分配機構と総称する。
【0049】
冷凍用媒体取り出し配管32に、蒸発器14から取り出される冷凍用媒体の温度を計測する温度計測手段としての第2の温度計52が設けられている。
【0050】
図5のブロック図に示すように、第2の温度計52が前記マイクロコンピュータ38に接続され、そのマイクロコンピュータ38に三方弁50が接続されている。マイクロコンピュータ38には、第5の比較手段53と第6の比較手段54と第3の弁開度調整手段55とから成る分配制御手段56が備えられている。
【0051】
第5の比較手段53では、例えば、1分毎など所定時間毎に、第2の温度計52で測定された温度と上限設定温度(例えば、−22℃)とを比較し、上限設定温度よりも高いときに開き信号を出力するようになっている。
第6の比較手段54では、例えば、1分毎など所定時間毎に、第2の温度計52で測定された温度と下限設定温度(例えば、−20℃)とを比較し、下限設定温度よりも低いときに閉じ信号を出力するようになっている。
【0052】
第3の弁開度調整手段53では、第5の比較手段53からの開き信号に応答して、三方弁50に設定開度だけ開く駆動信号を出力し、蒸発器14に供給する冷媒液の量を設定量だけ増加させ、一方、第6の比較手段54からの閉じ信号に応答して、三方弁50に設定開度だけ閉じる駆動信号を出力し、蒸発器14に供給する冷媒液の量を設定量だけ減少させるようになっている。
【0053】
上記構成により、凝縮器10から蒸発器14に供給する冷媒液の量を調整して、蒸発器14から取り出される冷凍用媒体の温度を一定に維持するようになっている。
【0054】
三方弁50には、その開度を測定する開度センサ57(図6参照)が付設され、図6のブロック図に示すように、開度センサ57が前記マイクロコンピュータ38に接続され、マイクロコンピュータ38に上限温度設定器58および下限温度設定器59が接続されている。
マイクロコンピュータ38には、冷媒液量算出手段60と変更温度算出手段61とから成る設定温度変更手段62が備えられている。
【0055】
冷媒液量算出手段60では、開度センサ57で測定される三方弁50の開度に基づき、合流配管51を介して第2の熱交換器20に供給される冷媒液の量を算出するようになっている。
【0056】
変更温度算出手段61では、冷媒液量算出手段60で算出された冷媒液の量に基づき、吸収器12から供給されるアンモニア−水系溶液との混合溶液、すなわち、第2の熱交換器20に供給されるアンモニア−水系溶液の飽和蒸気温度を演算し、その飽和蒸気温度から上限設定温度および下限設定温度それぞれを算出し、算出された上限設定温度および下限設定温度それぞれに変更するように上限温度設定器58および下限温度設定器59を調整し、この変更された上限設定温度および下限設定温度それぞれを、加熱制御手段42における第1および第2の比較手段39,40に出力させるようになっている。
【0057】
上記構成により、蒸気タービン21に供給するアンモニア−水系溶液の蒸気を得る上で必要な最低限またはそれに近い温度を設定し、追い焚きバーナ34による加熱量を極力少なくし、省エネルギー性を向上するようになっている。
【0058】
分岐配管19に、蒸気タービン21と並列になるように第2のバイパス配管63が接続されるとともに、この第2のバイパス配管63に第2の流量調整弁64が設けられ、蒸気タービン21に供給するアンモニア−水系溶液の蒸気の量を調整するように蒸気量調整手段が構成されている。この蒸気量調整手段としては、第2の流量調整弁64に代えて、分岐配管19と第2のバイパス配管63との接続箇所に分配量を調整可能な三方弁を設けるなどして構成するものでも良い。
【0059】
図2に示すように、ケーシング29に、投光器と受光器を内蔵したパルスカウンタ65が取り付けられ、一方、伝動軸26の周方向の1箇所に凹部66が形成され、投光器からの投射光が凹部66に照射して反射するに伴う投受光の時間差から、蒸気タービン21の回転数を計測するように回転数計測手段が構成されている。回転数計測手段としては、蒸気タービン21の特定のタービン翼の回転数を計測するとかタービン軸の回転数をロータリーエンコーダで計測するように構成したものなど各種の構成のものが採用可能である。
【0060】
図7のブロック図に示すように、パルスカウンタ65がマイクロコンピュータ38に接続されるとともに、マイクロコンピュータ38に第2の流量調整弁64が接続されている。マイクロコンピュータ38には、第7の比較手段67と第8の比較手段68と第4の弁開度調整手段69とから成る蒸気量制御手段70が備えられている。
【0061】
第7の比較手段67では、パルスカウンタ65で計測される蒸気タービン21の回転数と上限設定回転数とを比較し、計測回転数が上限設定回転数を越えたときには開き信号を出力するようになっている。
第8の比較手段68では、パルスカウンタ65で計測される蒸気タービン21の回転数と下限設定回転数とを比較し、計測回転数が下限設定回転数よりも低くなったときには閉じ信号を出力するようになっている。
【0062】
第4の弁開度調整手段69では、第7の比較手段67からの開き信号に応答して、第2の流量調整弁64に設定開度だけ開く駆動信号を出力し、蒸気タービン21に供給する蒸気の量を設定量だけ減少させ、一方、第8の比較手段68からの閉じ信号に応答して、第2の流量調整弁64に設定開度だけ閉じる駆動信号を出力し、蒸気タービン21に供給する蒸気の量を設定量だけ増加させるようになっている。
【0063】
上記構成により、蒸気タービン21の回転数が一定になるように制御し、冷凍需要の減少などにより圧縮機27の動力が減少しても、蒸気タービン21の回転数が上がることを回避し、冷凍用媒体の温度が必要以上に低下することを回避できる。
【0064】
上記実施例では、気体軸受30に、第2の熱交換器20で発生した高温高圧の蒸気を供給するように構成しているが、例えば、吸収器12からのアンモニア−水系溶液を供給するなど、要するに、単効用吸収式冷凍機の作動媒体であるアンモニア−水系溶液によって潤滑するものであれば、各種の構成が採用できる。
【0065】
また、上記第1実施例では、エンジン1によって発電機3を駆動して電力を取り出す、いわゆるコジェネレーションシステムを示したが、エンジン1によって各種の機械装置を駆動する場合にも適用できる。
【0066】
上述実施例のエンジン1としては、ミラーサイクルエンジンやディーゼルエンジンやスターリングエンジンなど各種のエンジンを用いることができる。
【0067】
なお、わかりやすくするために、特許請求の範囲、ならびに、課題を解決するための手段および作用それぞれの欄において、構成部材に参照図番を付しているが、これに制限されるものでは無い。
【0068】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、エンジンからのエンジン冷却水を熱源として単効用吸収冷凍機を作動しながら、エンジンからの排ガスにより蒸気タービンを駆動して圧縮機を駆動し、蒸発器内の圧力を吸収器内の圧力よりも低下させて低温の冷凍用媒体を取り出すから、エンジン冷却水およびエンジンからの排ガスによって冷凍用媒体を取り出すことができ、ランニングコストおよびイニシャルコストのいずれも安価にして、低温の冷凍用媒体を得ることができる。
すなわち、例えば、上述の圧縮機として電動型圧縮機を用いれば、圧縮機の駆動に電力を要するためにランニングコストが増大する。本発明ではこのような駆動電力が不要である。
また、蒸気タービンを駆動する蒸気と、蒸発器内の圧力を吸収器内の圧力よりも低下させるために圧縮機によって吸引する蒸気とが、いずれも単効用吸収冷凍機の作動媒体である非共沸混合媒体の蒸気であり、また、軸受潤滑を同一媒体で行えることから、蒸気タービンと圧縮機ならびにそれらを連動連結する伝動軸を同じケーシング内に収容することができ、電動モータと圧縮機とを連動連結する伝動軸に対する軸受部の潤滑と漏洩に対するシールに複雑な構成を採用したり、密閉式のキャンドモータを用いたりする場合に比べてイニシャルコストを安価にできる。
しかも、補助加熱手段を設けて制御することにより、蒸気タービンに供給する非共沸混合媒体の蒸気の温度が設定温度以下にならないように加熱するから、エンジンの運転負荷が減少してエンジンからの排ガスの熱量が減少しても、蒸気タービンに確実に必要量の蒸気を供給することができ、全体として、ランニングコストおよびイニシャルコストのいずれも安価にして、エンジンの運転負荷の変動にかかわらず、所望温度の冷凍用媒体を安定して得ることができる。
【0069】
また、請求項2に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、冷凍需要の変動に伴う蒸発器内の圧力の変化を圧力計測手段で検知して圧縮機に吸引供給される蒸気の量を調整し、蒸発器内の圧力を一定に維持するから、冷凍需要の変動にかかわらず、過冷却を招くことを回避して冷凍用媒体の温度を一定に維持することができる。
【0070】
また、請求項3に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、凝縮器から蒸発器に供給する冷媒液の量を調整して、蒸発器から取り出される冷凍用媒体の温度を一定に維持するから、所望温度の冷凍用媒体を安定して得ることができる。
そのうえ、余った非共沸混合媒体の冷媒液を、吸収器から取り出される非共沸混合媒体に合流し、熱交換器に供給する非共沸混合媒体の冷媒の濃度を高くするから、熱交換器に対する加熱量を一定とした場合に、非共沸混合媒体の蒸気の発生量を増加できて蒸気タービンの出力を向上できる。
【0071】
また、請求項4に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、吸収器から取り出される非共沸混合媒体に対して凝縮器から合流される非共沸混合媒体の冷媒液の量が変動するに伴い、それに対応する非共沸混合媒体の蒸発飽和温度の変動に合わせて、加熱制御手段における設定温度を変更するから、補助加熱手段による加熱熱量を必要最小限にでき、省エネルギー性を向上できる。
【0072】
また、請求項5に係る発明の排熱吸収冷凍機によれば、蒸気タービンの回転数を一定に維持して、圧縮機の回転数を一定に維持するから、冷凍用媒体の温度が必要以上に低下することを回避できる。
すなわち、冷凍需要が減少して、蒸発器内の圧力が低下すると、圧縮機の動力が減少して回転負荷が減少するために、蒸気タービンの回転数が増加していき、それに連れて圧縮機の回転数も増加して一層蒸発器内の圧力が低下し、蒸発器から取り出される冷凍用媒体の温度が低下してしまう。このような冷凍用媒体の必要以上の温度低下を、蒸気タービンの回転数を一定に維持することによって回避できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排熱吸収冷凍機の実施例を示す概略構成図である。
【図2】要部の断面図である。
【図3】ブロック図である。
【図4】ブロック図である。
【図5】ブロック図である。
【図6】ブロック図である。
【図7】ブロック図である。
【図8】従来例の概略構成図である。
【符号の説明】
1…エンジン
8…再生器
10…凝縮器
12…吸収器
13…第2の配管
14…蒸発器
19…分岐配管
20…第2の熱交換器
21…蒸気タービン
27…圧縮機
34…追い焚きバーナ(補助加熱手段)
42…加熱制御手段
44…第1の流量調整弁(蒸気量調整手段)
45…圧力計(圧力計測手段)
49…吸引蒸気量制御手段
50…三方弁(分配機構)
51…合流配管
52…第2の温度計(温度計測手段)
56…分配制御手段
57…開度センサ(冷媒液量測定手段)
62…設定温度変更手段
64…第2の流量調整弁(吸引蒸気量調整手段)
65…パルスカウンタ(回転数計測手段)
70…蒸気量制御手段

Claims (5)

  1. 再生器(8) と吸収器(12)と凝縮器(10)と蒸発器(14)とから成る単効用吸収冷凍機を、エンジン(1) からのエンジン冷却水によって蒸発可能な冷媒を含む非共沸混合媒体を作動媒体とするとともにエンジン冷却水を熱源として作動し、前記蒸発器(14)から冷凍用媒体を取り出すように構成した排熱吸収冷凍機において、
    前記吸収器(12)から取り出される非共沸混合媒体を前記エンジン(1) からの排ガスにより加熱して蒸発させる熱交換器(20)と、
    前記熱交換器(20)で蒸発した非共沸混合媒体の蒸気によって駆動する蒸気タービン(21)と、
    前記蒸気タービン(21)に一体的に連動連結されて前記蒸発器(14)内の蒸気を吸引して前記吸収器(12)との間に圧力差を発生させる圧縮機(27)と、
    前記蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体を加熱可能な補助加熱手段(34)と、
    前記蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体の蒸気の温度が設定温度以下にならないように前記補助加熱手段(34)の加熱を制御する加熱制御手段(42)と、を備えたことを特徴とする排熱吸収冷凍機。
  2. 請求項1に記載の圧縮機(27)に吸引供給する非共沸混合媒体の蒸気の量を調整する吸引蒸気量調整手段(44)と、
    前記蒸発器(14)内の圧力を計測する圧力計測手段(45)と、
    前記圧力計測手段(45)で計測される圧力が一定になるように前記吸引蒸気量調整手段(44)を制御する吸引蒸気量制御手段(49)と、
    を備えた排熱吸収冷凍機。
  3. 請求項1または請求項2に記載の凝縮器(10)で凝縮した非共沸混合媒体の冷媒液を蒸発器(14)に供給する配管(13)に介装されて前記蒸発器(14)に供給する冷媒液の量を調整する分配機構(50)と、
    吸収器(12)と熱交換器(20)とを接続する配管(19)に前記分配機構(50)を接続する合流配管(51)と、
    前記蒸発器(14)から取り出される冷凍用媒体の温度を計測する温度計測手段(52)と、
    前記温度計測手段(52)で計測される冷凍用媒体の温度が一定になるように前記分配機構(50)を制御して前記蒸発器(14)に供給する冷媒液の量を制御する分配制御手段(56)と、
    を備えた排熱吸収冷凍機。
  4. 請求項3に記載の合流配管(51)を通じて供給される非共沸混合媒体の冷媒液の量を測定する冷媒液量測定手段(57)と、
    前記冷媒液量測定手段(57)で測定される冷媒液の量に基づいて、冷媒液の量が多いほど加熱制御手段(42)における設定温度が低くなるように設定温度を変更する設定温度変更手段(62)と、
    を備えた排熱吸収冷凍機。
  5. 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4のいずれかに記載の蒸気タービン(21)に供給する非共沸混合媒体の蒸気の量を調整する蒸気量調整手段(64)と、
    前記蒸気タービン(21)の回転数を計測する回転数計測手段(65)と、
    前記回転数計測手段(65)で計測される回転数が一定になるように前記蒸気量調整手段(64)を制御する蒸気量制御手段(70)と、
    を備えた排熱吸収冷凍機。
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