JP3874262B2 - 吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置 - Google Patents

吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置に用いることができる冷凍装置に係り、特に、エンジン、タービン、各種プラント等からの排熱を熱源とする吸収冷凍機又は吸収冷温水機からの冷凍効果を、圧縮冷凍機と組合せて有効利用する冷凍装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コージェネレーションシステムでは、電気と共に、比較的温度の低い温水が供給される。この温水は、温度があまり高くなく、低ポテンシャルエネルギに分類され、給湯又は暖房に利用されることが多く、また最近は、吸収冷凍機の熱源として冷房に利用されることも多くなってきている。
コージェネレーションシステムの中で、この温水は、エンジンの冷却(ジャケット温水)あるいはエンジン排ガスからの熱回収、あるいはガスタービンの排ガスからの熱回収で得られる。なお、排ガスを温水に変換せず、直接吸収冷凍機の熱源とすることもある。低ポテンシャルエネルギ単独で、吸収冷凍機を運転する場合もあるが、複合冷房装置として、高ポテンシャルエネルギと共に用い、必要とする高ポテンシャルエネルギの量を減らそうという使い方も提案され採用され出している。
【0003】
低ポテンシャルエネルギ単独で吸収冷温水機を運転する場合、冷暖負荷に対応した負荷能力を取出すことは、排熱の供給量が少なかったり、不安定であったりして困難であり、また、これを解決するために、吸収冷凍機の冷熱を圧縮冷凍機の放熱源として用いて循環冷媒を冷却する冷凍装置が知られている(特開平11−223412号公報)。
しかし、この冷凍装置においては、圧縮冷凍機の熱源側熱交換器が空気による冷却と吸収冷凍機による冷却を直列に設けており、圧縮冷凍機の圧縮機を運転しない限り、吸収冷凍機の冷凍効果を利用することができなかった。また、冷媒液を冷却しているだけであるので、吸収冷凍機の熱源熱量(温水熱量など)が多くなっても、利用できる吸収冷凍効果の量を多くすることができず、排熱供給や冷房負荷の増減に対しての対応が不充分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、冷房負荷及び吸収冷凍効果の状態に応じて圧縮冷凍機の運転状態を調節でき、経済的で効率のよい運転ができる空気調和装置に用いることができる冷凍装置を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、蒸発器Eを有する吸収冷凍機と、1台以上の圧縮機、外気又は冷却水で冷却する第一疑縮器、前記吸収冷凍機の蒸発器Eと熱交換関係に接続した第二凝縮器及び冷凍効果を発揮する蒸発器Ecを有する圧縮冷凍機とを組合せた冷凍装置であって、前記圧縮冷凍機は、蒸発器Ecから圧縮機の吸込側の間に圧力センサー又は圧力に対応する物理量を検出するセンサーを設け、該センサーによる検出値が目標圧力になるように圧縮機の能力を調節する手段を具備し、第二疑縮器単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機を停止し、目標圧力以上であれば、圧縮機を運転する運転制御手段を有することを特徴とする吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置としたものである。
また、本発明では、蒸発器Eを有する吸収冷凍機と、1台以上の圧縮機、外気又は冷却水で冷却する第一凝縮器、前記吸収冷凍機の蒸発器Eと熱交換関係に接続した第二凝縮器及び冷凍効果を発揮する蒸発器Ecを有する圧縮冷凍機とを組合せた冷凍装置であって、前記圧縮冷凍機は、第一凝縮器が圧縮機の吐出側に接続され、第二凝縮器が圧縮機の吸込側に接続されており、圧縮機の内少なくとも1台に周波数可変で駆動するインバータを設け、前記蒸発器Ecから圧縮機の吸込側の間に圧力センサー又は圧力に対応する物理量を検出するセンサーを設け、該センサーによる検出圧力が目標値になるように前記インバータを調節する手段を具備し、第二疑縮器単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機を停止し、目標圧力以上であれば、圧縮機を運転する運転制御手段を有することを特徴とする吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置としたものである。
【0006】
さらに、本発明では、蒸発器Eを有する吸収冷凍機と、複数台の圧縮機、外気又は冷却水で冷却する第一凝縮器、前記吸収冷凍機の蒸発器Eと熱交換関係に接続した第二凝縮器及び冷凍効果を発揮する蒸発器Ecを有する圧縮冷凍機とを組合せた冷凍装置であって、前記圧縮冷凍機は、第一凝縮器が圧縮機の吐出側に接続され、第二凝縮器が圧縮機の吸込側に接続されており、前記蒸発器Ecから圧縮機の吸込側の間に圧力センサー又は圧力に対応する物理量を検出するセンサーを設け、該センサーによる検出値が目標圧力になるように前記複数台の圧縮機を台数制御する手段を具備し、第二疑縮器単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機を停止し、目標圧力以上であれば、圧縮機を運転する運転制御手段を有することを特徴とする吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置としたものである。
前記した本発明の冷凍装置において、圧縮冷凍機は、蒸発器Ecの要求能力に応じて目標値を設定する手段を備えることができ、また、前記圧縮冷凍機は、1台の吸収冷凍機に対し、複数台接続することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、圧縮冷凍機の圧縮機を運転せず、吸収冷凍効果単独でも圧縮冷凍機の冷凍能力を出すことができ、また、圧縮機を運転している時でも、吸収冷凍効果を充分に発揮でき、吸収冷凍効果を優先的に用いることができるようにしている。
次に、本発明を図面を用いて詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の冷凍装置の圧縮冷凍機側の構成機器の接続例を示すフロー構成図である。
図において、Mcは圧縮機、Ecは蒸発器、Cc1は第一凝縮器、Cc2は第二凝縮器、INVはインバータ、Pは圧力センサー、Scは過冷却器を示す。
【0008】
図1において、蒸発器Ecからの冷媒蒸気は、圧縮機Mc停止中は、第二凝縮器Cc2に吸引され、圧縮機Mc運転中は、圧縮機Mc又は圧縮機Mcと第二凝縮器Cc2に吸引される。
吸収式からの熱搬送媒体の温度が低く、第二凝縮器Cc2で冷媒蒸気が凝縮可能であれば、第二凝縮器Cc2に吸引され、第二凝縮器Cc2にて凝縮する。
吸収式からの熱搬送媒体の温度が高く、第二凝縮器Cc2で冷媒蒸気が凝縮不能であれば、冷媒蒸気の形で第二凝縮器Cc2に存在し、伝熱は殆ど生じない。
図中の過冷却器Scは、なくても差支えない。
図2では、圧縮機Mcを、複数台、ここでは3台で構成しており、このように構成するもできる。
【0009】
図3は、圧縮機Mcが複数台でインバータ制御する場合で、1台をインバータによる制御、他を台数制御(発停)による制御としてもよい。
図4は、圧縮機Mc1と第一凝縮器Cc1の系統と、圧縮機Mc2と第二凝縮器Cc2の系統とを持った構成を示す。
第二凝縮器Cc2の系統の圧縮機Mc2を停止している状態での制御に、本発明を適用する。
圧力調整を第一凝縮器Cc1の系統の圧縮機で行う。
運転モードにより、第二の系統も運転する。例えば、吸収冷凍機側から運転許可信号があり、さらに、吸収冷凍効果の搬送媒体温度が所定温度以上の時、圧縮機Mc2を運転する。
【0010】
次に、これらの冷凍装置の制御について説明する。
まず、圧縮冷凍機側の制御について、容量制御関係では、圧縮冷凍機の蒸発器Ecの要求能力は、たとえば、蒸発器Ecで冷却される媒体の温度を測る温度センサーと被冷却媒体の目標温度との差とする。
そして、要求能力(冷凍対象温度)にて、目標蒸発圧力(蒸発温度)を設定するが、要求能力(冷凍対象温度)にて、目標蒸発温度を求め、この温度に対する圧力を設定してもよいし、目標蒸発温度そのものを設定してもよい。
次いで、圧力センサーPによる検出値が目標圧力になるように、圧縮機制御(ON/OFF、回転数制御)、例えば圧縮機のON/OFF制御、複数圧縮機の台数制御又は圧縮機のインバータ制御をする。
また、目標設定値を目標温度としている場合、圧力センサーPによる検出値から冷媒の飽和温度を求め、比較して制御してもよい。
【0011】
次に、各蒸発器Ecの膨張弁V2は、蒸発器出口の過熱度が目標値になるように調整するか、あるいは、蒸発器Ecで冷却される媒体の温度を測る温度センサーと被冷却媒体の目標温度との差を基に開度を決め、さらに過熱度が下がり過ぎないように調整する。この場合、過熱度を優先する。
第一凝縮器Cc1では、第一凝縮器出口の過冷却度が目標値になるよう出口の膨張弁V1を調整あるいは液面制御で膨張弁V1を調節し、ガスバイパスを防止する。
第二凝縮器Cc2では、第二凝縮器出口の過冷却度が目標値になるよう冷媒ポンプRPの回転数調整又は冷媒ポンプ後に弁を設けて弁開度を調節するか、あるいは液面制御で冷媒ポンプ回転数又は弁開度調節により、ガスバイパスを防止する。
【0012】
圧縮機Mc1台でインバータ制御する場合、第二凝縮器Cc2単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機Mcは停止しているが、圧力が上昇(目標値比較)し、これを越える場合は、圧縮機Mcを起動して、運転開始する。圧縮機運転中は、圧力が目標値になるよう圧縮機の回転数制御し、圧縮機が最小回転数で運転中に、圧力が降下(目標値比較)したとき圧縮機を停止する。
圧縮機停止中でも圧力低下のままのとき、蒸発器の容量制御に過熱度を利用する場合、蒸発器出口の過熱度目標値を大きくなるよう変更してもよい。
圧縮機複数台で台数制御する場合、第二凝縮器Cc2単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機は停止しているが、圧力が上昇(目標値比較)して、これを越える場合は、圧縮機を起動して1台目を運転開始する。圧縮機運転中は、圧力が目標値になるよう圧縮機の運転台数を増減し、圧縮機1台の運転中に、圧力が降下(目標値比較)すれば、圧縮機は停止とする。
【0013】
また、圧縮機複数台の台数制御だけであると、圧力が段階的に変化するので、少なくとも1台をインバータ制御として圧力変化を小さくする。この場合の制御は、インバータ最大回転数で運転中に、圧力上昇で、圧縮機1台を追加運転し、インバータ最小回転数で運転中に、圧力降下で、圧縮機1台を停止することによる。この場合、インバータ制御以外の圧縮機を優先停止する。
次に、吸収冷凍機側の制御については、排熱を総て生かしきるように運転し、蒸発器冷媒凍結回避又は吸収溶液結晶回避のときは、熱源からの入熱量を制限して運転するが、この場合は、圧縮式とは無関係に、吸収式側だけで制御をしてもよい。
吸収冷凍機への負荷が、多すぎて、あるいは吸収式への熱源熱量による能力よりも多すぎて、吸収式の蒸発温度あるいは冷凍出力温度が高くなり過ぎる場合、過冷却器Scへの熱媒流量等を減少、あるいは第二凝縮器Cc2への熱媒流量等を減少させる。これらの制御は、吸収式側から一方的に行っても差支えない。
【0014】
複数台の圧縮冷凍機と1台の吸収冷凍機を組合せる場合、熱媒体循環量を全体として制御してもよいし、個別に制御してもよい。
圧縮冷凍機側は、利用できる吸収冷凍機出力を用い、その範囲内で制御している。圧縮式側と吸収式側とを関連付けて制御しても差支えないが、制御系が複雑になり過ぎる欠点がでる。
吸収冷凍機は、単効用、二重効用、一二重効用等、特に限定はなく、また吸収冷凍機の作動媒体による限定もない。
熱源の形態も、温水、水蒸気、燃料あるいは排ガスなど特に限定はないし、排熱以外に、安価な燃料などを熱源とする吸収冷凍機であってもよい。
1台の圧縮冷凍機を構成する各機器は、複数器であっても差支えない。
圧縮冷凍機として説明しているが、配管切替でヒートポンプによる暖房運転とする形態をとってもよい。そのとき、吸収冷凍機を冷温水機として、温熱をヒートポンプに与え、あるいは、排熱源を直接ヒートポンプに与えても良い。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、圧縮冷凍機の圧縮機を運転せず、吸収冷凍効果単独でも冷媒回路の冷凍能力(圧縮冷凍機の冷凍能力)を出すことができ、また、圧縮機を運転している時でも、吸収冷凍効果を充分に発揮できるようにしている。
また、吸収冷凍効果を優先的に用い、吸収冷凍効果単独での運転を可能とし、冷房負荷及び吸収冷凍機の状態に応じて圧縮冷凍機の運転状態を調節でき、経済的で効率のよい空気調和装置として用いることができる冷凍装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の冷凍装置の圧縮冷凍機の一例を示すフロー構成図。
【図2】本発明の冷凍装置の圧縮冷凍機の他の例を示すフロー構成図。
【図3】本発明の冷凍装置の圧縮冷凍機の他の例を示すフロー構成図。
【図4】本発明の冷凍装置の圧縮冷凍機の他の例を示すフロー構成図。
【符号の説明】
Mc、Mc1、Mc2:圧縮機、Ec:蒸発器、Cc1:第一凝縮器、Cc2:第二凝縮器、Sc:過冷却器、P:圧力センサー、INV:インバータ、RP:冷媒ポンプ、V1、V2:膨張弁

Claims (5)

  1. 蒸発器Eを有する吸収冷凍機と、1台以上の圧縮機、外気又は冷却水で冷却する第一疑縮器、前記吸収冷凍機の蒸発器Eと熱交換関係に接続した第二凝縮器及び冷凍効果を発揮する蒸発器Ecを有する圧縮冷凍機とを組合せた冷凍装置であって、前記圧縮冷凍機は、蒸発器Ecから圧縮機の吸込側の間に圧力センサー又は圧力に対応する物理量を検出するセンサーを設け、該センサーによる検出値が目標圧力になるように圧縮機の能力を調節する手段を具備し、第二疑縮器単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機を停止し、目標圧力以上であれば、圧縮機を運転する運転制御手段を有することを特徴とする吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置。
  2. 蒸発器Eを有する吸収冷凍機と、1台以上の圧縮機、外気又は冷却水で冷却する第一凝縮器、前記吸収冷凍機の蒸発器Eと熱交換関係に接続した第二凝縮器及び冷凍効果を発揮する蒸発器Ecを有する圧縮冷凍機とを組合せた冷凍装置であって、前記圧縮冷凍機は、第一凝縮器が圧縮機Mcの吐出側に接続され、第二凝縮器が圧縮機の吸込側に接続されており、圧縮機の内少なくとも1台に周波数可変で駆動するインバータを設け、前記蒸発器Ecから圧縮機の吸込側の間に圧力センサー又は圧力に対応する物理量を検出するセンサーを設け、該センサーによる検出圧力が目標値になるように前記インバータを調節する手段を具備し、第二疑縮器単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機を停止し、目標圧力以上であれば、圧縮機を運転する運転制御手段を有することを特徴とする吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置。
  3. 蒸発器Eを有する吸収冷凍機と、複数台の圧縮機、外気又は冷却水で冷却する第一凝縮器、前記吸収冷凍機の蒸発器Eと熱交換関係に接続した第二凝縮器及び冷凍効果を発揮する蒸発器Ecを有する圧縮冷凍機とを組合せた冷凍装置であって、前記圧縮冷凍機は、第一凝縮器が圧縮機の吐出側に接続され、第二凝縮器が圧縮機の吸込側に接続されており、前記蒸発器Ecから圧縮機の吸込側の間に圧力センサー又は圧力に対応する物理量を検出するセンサーを設け、該センサーによる検出値が目標圧力になるように前記複数台の圧縮機を台数制御する手段を具備し、第二疑縮器単独で、目標圧力以下が確保できれば、圧縮機を停止し、目標圧力以上であれば、圧縮機を運転する運転制御手段を有することを特徴とする吸収式と圧縮式とを組合せた冷凍装置。
  4. 前記圧縮冷凍機は、蒸発器Ecの要求能力に応じて目標値を設定する手段を備えていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の冷凍装置。
  5. 前記圧縮冷凍機は、1台の吸収冷凍機に対し、複数台接続することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の冷凍装置。
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