JP4341323B2 - 薄膜形成装置及び薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置及び薄膜形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜形成装置及び薄膜形成方法に係り、特に、大気圧プラズマ放電処理を用いて薄膜を基材上に形成する薄膜形成装置及び薄膜形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、LSI、半導体、表示デバイス、磁気記録デバイス、光電変換デバイス、太陽電池、ジョセフソンデバイス、光熱変換デバイス等の各種製品には、基材上に高性能性の薄膜を設けた材料が用いられている。薄膜を基材上に形成する手法には、塗布に代表される湿式製膜方法や、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に代表される乾式製膜方法、あるいは大気圧プラズマ放電処理を利用した大気圧プラズマ製膜方法等が挙げられるが、近年では、高い生産性を維持しつつ高品質な薄膜を形成できる大気圧プラズマ製膜方法の使用が特に望まれている。
【0003】
大気圧プラズマ製膜方法は、対向する電極間に基材を配置させた状態で、薄膜形成ガスを供給し、両電極に電界を印加する。これにより、放電プラズマが発生し、基材を放電プラズマに晒すことで薄膜が形成される。ここで、放電プラズマの発生により、電極の放電面が汚染されてしまうと薄膜を均一に形成できなくなってしまう。この汚れを防止し、効率的な薄膜形成を可能とした薄膜形成装置として、例えば、特許文献1に記載される薄膜形成装置が挙げられる。この薄膜形成装置には、対向する2つの電極と、これらの電極にパルス化された電界を印加する高電圧パルス電源と、2つの電極の放電面に対して、それぞれ基材を密着するように搬送するフィルム用搬送機構と、電極間に薄膜形成ガスを供給する薄膜形成ガス供給部とが備わっている。そして、この薄膜形成装置は、電極間に薄膜形成ガスを供給してから、パルス化された電界を印加することにより放電プラズマを発生させて、2つの電極に密着した基材に薄膜を形成するようになっている。つまり、放電プラズマが発生しているときには、2つの電極の放電面は常に基材により覆われているので、放電面が汚れることを防止している。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−212753号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者らの研究によると、電極の放電面のみを基材で覆ったとしても、図10に示すように、放電プラズマが発生するプラズマ空間hが電極101、102の放電面101a、102aからはみ出してしまうために、基材103,104が放電面101a、102aに接触する以前、つまり支えのない状態でプラズマ空間hに進入してしまい、放電プラズマの熱影響を過剰かつ急激に受けてしまう。これにより基材103、104は収縮し、皺やツレが発生してしまい、不均一な製膜になってしまう。
【0006】
本発明の課題は、高品質な薄膜を形成できる薄膜形成装置及び薄膜形成方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、
互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、
前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部とに密着させて搬送するフィルム用搬送機構を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、フィルム用搬送機構が、クリーニングフィルムを第2電極の放電面と、前記放電面に連続する放電面以外の表面に密着させて搬送するので、第1電極及び第2電極の放電面のそれぞれに基材を密着させて薄膜を形成しなくても、第2電極においてはクリーニングフィルムの密着により、その表面が覆われることになる。したがって、第2電極の放電面が活性化されたガスにより汚染されることを防止できる。第2電極の放電面に汚れがなければ、基材にヘイズ(濁り)が発生せずに、高品質な製膜が可能となる。
また、クリーニングフィルムはフィルム用搬送機構によって搬送されるので、第2電極の放電面に密着するクリーニングフィルムを新たなものに連続して交換することができる。このため、第2電極の放電面を長期にわたってメンテナンスフリーとすることができる。
【0009】
ここで、第2電極の放電面に位置したクリーニングフィルムに皺やツレが発生していると、プラズマ空間内の均一性が乱れてしまい、不均一な製膜としまう。この皺やツレが発生する原因は、上記した基材の場合と同様に、放電プラズマの発生するプラズマ空間に支えのない状態で進入することにより、熱影響を受けて収縮してしまうことにある。しかしながら、この請求項1記載の発明であると、クリーニングフィルムは、第2電極の放電面と、前記放電面に連続する放電面以外の表面に密着されているために、前記放電面以外の表面によって支えられた状態でプラズマ空間に進入する。これにより、クリーニングフィルムが熱影響を受けたとしても均されるため、皺やツレが発生することを防止できる。したがって、プラズマ空間内の均一性を維持することができ、高品質な薄膜の形成が可能となる。
そして、クリーニングフィルムが第2電極の放電面に密着しているので、製膜ガスを流さず放電ガスのみを放電空間に流した場合においては、第2電極を保護することができる。
このように、クリーニングフィルムが第2電極の放電面の汚れを防止するとともに保護しているので、薄膜を長期にわたって安定して形成することができる。
【0010】
請求項2記載の発明は、
大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、
前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部とに密着させて搬送するフィルム用搬送機構を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。さらに、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で製膜を行うことができるので、真空で製膜を行う場合に比べて、高速製膜が可能となるとともに連続生産が可能となる。そして、真空にするための装置等も必要でないために、設備費を削減できる。
【0012】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の薄膜形成装置において、
前記第2電極の放電面に対して、前記クリーニングフィルムの搬送方向の上流側には、前記クリーニングフィルムを加熱する加熱部材が設けられていることを特徴としている。
【0013】
請求項3記載の発明によれば、第2電極の放電面における上流側で加熱部材がクリーニングフィルムを加熱するので、第2電極の放電面に接触する以前にクリーニングフィルムを加熱することができる。このため、プラズマ空間にクリーニングフィルムが進入したとしても急激かつ過剰に熱影響を受けることを防止でき、放電プラズマの熱による収縮を抑えることができる。したがって、クリーニングフィルムに皺やツレが発生することを、さらに防止することができる。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項に記載の薄膜形成装置において、
前記加熱部材は、前記クリーニングフィルムが前記放電面に達するまでに段階的或いは連続的に加熱することを特徴としている。
【0015】
請求項4記載の発明によれば、加熱部材によってクリーニングフィルムは放電面に達するまでに段階的或いは連続的に加熱されるので、加熱部材においても急減に加熱されることはなく、皺やツレの発生をさらに抑制することができる。
【0016】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記基材を前記第1電極の放電面に密着させながら搬送する基材用搬送機構を備えることを特徴としている。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、基材用搬送機構が基材を第1電極の放電面に密着させながら搬送するので、第1電極の放電面が活性化されたガスにより汚染されることを防止できる。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の薄膜形成装置において、
前記基材用搬送機構は、前記基材を前記第1電極の放電面に連続する前記放電面以外の表面に密着させてから、前記第1電極の放電面に密着するように搬送することを特徴としている。
【0019】
請求項6記載の発明によれば、基材が、第1電極の放電面に密着する前に、第1電極の放電面に連続する放電面以外の表面に密着されるために、前記放電面以外の表面によって支えられた状態でプラズマ空間に進入する。これにより、基材が熱影響を受けたとしても均されるため、皺やツレが発生することを防止でき、高品質な薄膜の形成が可能となる。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記第2電極の放電面と、前記放電面以外の表面との連続角部は、円弧状に形成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、第2電極の放電面及び前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の連続角部が、円弧状に形成されているので、クリーニングフィルムが前記放電面以外の表面から放電面まで移動する際に引っかかることを防止でき、スムーズに搬送させることができる。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記第2電極の放電面は、前記第1電極の放電面に向かって凸となる曲面に形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、第2電極の放電面が、第1電極の放電面に向かって凸となる曲面に形成されているので、第2電極の放電面とクリーニングフィルムとの密着性を高めることができる。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記第2電極は、複数の小電極から形成されており、
前記フィルム用搬送機構は、前記小電極毎に設けられていることを特徴としている。
【0025】
請求項9記載の発明によれば、フィルム用搬送機構が、小電極毎に設けられているので、小電極毎にクリーニングフィルムを搬送することにより、各小電極に対する汚れを防止できる。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の薄膜形成装置において、
前記小電極は、固定されており、
前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを前記小電極の表面に摺擦させながら、搬送させることを特徴としている。
【0027】
請求項10記載の発明によれば、小電極が固定されている場合においても、フィルム用搬送機構がクリーニングフィルムを小電極の表面に摺擦させながら搬送するので、皺やツレの発生を極力抑えることができる。
【0028】
請求項11記載の発明は、請求項9記載の薄膜形成装置において、
前記小電極はロール電極であり、前記フィルム用搬送機構による前記クリーニングフィルムの搬送に応じて回転することを特徴としている。
【0029】
請求項11記載の発明によれば、小電極がロール電極であり、さらにクリーニングフィルムの搬送に応じて回転するので、クリーニングフィルムをスムーズに搬送することができる。
【0030】
請求項12記載の発明は、請求項9〜11記載の薄膜形成装置において、
前記第1電極は、ロール電極であり、
前記複数の小電極は、前記ロール電極の周面に対向するように配置される棒状電極であることを特徴としている。
【0031】
請求項12記載の発明によれば、第1電極を、ロール電極とし、その周面に対向するように複数の小電極を配置した場合においても、第1電極及び第2電極が汚れることを防止できる。
【0032】
請求項13記載の発明は、請求項9〜12のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記ガス供給部が、前記複数の小電極のうち、第1の小電極及び前記第1の小電極に隣り合う第2の小電極の間隔を流路として、前記放電空間へ前記ガスを供給するように配置され、
前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記流路を形成する前記小電極の表面に密着するように、前記クリーニングフィルムを搬送することを特徴としている。
【0033】
請求項13記載の発明によれば、ガスの流路を形成する小電極の表面にクリーニングフィルムが密着されるので、この流路を形成する小電極の表面が汚れることを防止できる。
【0034】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の薄膜形成装置において、
前記流路を形成する前記小電極の表面は、前記流路の中央に向けて凸となる曲面に形成されていることを特徴としている。
【0035】
請求項14記載の発明によれば、流路を形成する前記小電極の表面が、流路の中央に向けて凸となる曲面に形成されているので、クリーニングフィルムを流路内でも小電極に密着させながらスムーズに搬送させることができ、皺やツレの発生を抑制することができる。
【0036】
請求項15記載の発明は、請求項13又は14記載の薄膜形成装置において、
前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを、前記ガス供給部の少なくとも一部に接触させてから、前記流路を形成する前記小電極の表面まで搬送することを特徴としている。
【0037】
請求項15記載の発明によれば、クリーニングフィルムは、ガス供給部の周縁に接触されてから、流路を形成する小電極の表面まで搬送されるので、ガス供給部から流路までの空間は、クリーニングフィルムによって仕切られることになって、ガスが流路外に流れることを防止できる。
【0038】
請求項16記載の発明は、請求項1〜15のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記高周波電界が、前記第1電極による第1高周波電界及び前記第2電極による第2高周波電界を重畳したものであり、
前記第1高周波電界の周波数ω1より前記第2高周波電界の周波数ω2が高く、
前記第1高周波電界の電界強度V1、前記第2高周波電界の電界強度V2及び放電開始電界強度IVの関係が、
V1≧IV>V2又はV1>IV≧V2を満たすことを特徴としている。
【0039】
請求項16記載の発明によれば、高周波電界が、第1高周波電界及び第2高周波電界を重畳したものであり、第1高周波電界の周波数ω1より第2高周波電界の周波数ω2が高く、第1高周波電界の電界強度V1、第2高周波電界の電界強度V2及び放電開始電界強度IVの関係が、V1≧IV>V2又はV1>IV≧V2を満たしているので、窒素等の安価なガスを用いた場合においても、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することができる。
【0040】
請求項17記載の発明は、請求項1〜16のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記クリーニングフィルムは、ポリエステルから形成されていることを特徴としている。
【0041】
ここで、ポリエステルは、他の樹脂よりも生産性に優れ、安価である。このため、請求項17記載の発明のように、クリーニングフィルムがポリエステルから形成されていれば、生産性を高めることができる。
【0042】
請求項18記載の発明は、請求項1〜17のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記クリーニングフィルムの全幅は、前記放電空間よりも大きくなるように設定されていることを特徴としている。
【0043】
請求項18記載の発明によれば、クリーニングフィルムの全幅が、放電空間よりも大きくなるように設定されているので、第2電極はクリーニングフィルムによって覆われることで、放電プラズマに晒されなくなり、第2電極に対する汚れを防止できる。さらに、クリーニングフィルムエッジが放電空間内に侵入しないために、放電集中によるアーク放電を防止できる。
【0044】
請求項19記載の発明は、
互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部とに密着させて搬送することを特徴としている。
【0045】
請求項19記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0046】
請求項20記載の発明は、
大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部とに密着させて搬送することを特徴としている。
【0047】
請求項20記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0048】
請求項21記載の発明は、請求項19又は20記載の薄膜形成方法において、
前記第2電極の放電面に対して、前記クリーニングフィルムの搬送方向の上流側で、前記クリーニングフィルムを加熱することを特徴としている。
【0049】
請求項21記載の発明によれば、請求項3記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0050】
請求項22記載の発明は、請求項19に記載の薄膜形成方法において、
前記クリーニングフィルムが前記放電面に達するまでに段階的或いは連続的に当該クリーニングフィルムを加熱することを特徴としている。
【0051】
請求項22記載の発明によれば、請求項4記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0052】
請求項23記載の発明は、請求項19〜22のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記基材が前記活性化されたガスに晒される際に、前記基材を前記第1電極の放電面に密着させながら搬送することを特徴としている。
【0053】
請求項23記載の発明によれば、請求項5記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0054】
請求項24記載の発明は、請求項23記載の薄膜形成方法において、
前記基材を前記第1電極の放電面に連続する前記放電面以外の表面に密着させてから、前記第1電極の放電面に密着するように搬送することを特徴としている。
【0055】
請求項24記載の発明によれば、請求項6記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0056】
請求項25記載の発明は、請求項19〜23のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記第2電極の放電面と、前記放電面以外の表面との連続角部は、円弧状に形成されていることを特徴としている。
【0057】
請求項25記載の発明によれば、請求項7記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0058】
請求項26記載の発明は、請求項19〜25のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記第2電極の放電面は、前記第1電極の放電面に向かって凸となる曲面に形成されていることを特徴としている。
【0059】
請求項26記載の発明によれば、請求項8記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0060】
請求項27記載の発明は、請求項19〜26のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記第2電極は、複数の小電極から形成されており、
前記クリーニングフィルムを各小電極毎に搬送することを特徴としている。
【0061】
請求項27記載の発明によれば、請求項9記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0062】
請求項28記載の発明は、請求項27記載の薄膜形成方法において、
前記小電極は、固定されており、
前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを前記小電極の表面に摺擦させながら、搬送させることを特徴としている。
【0063】
請求項28記載の発明によれば、請求項10記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0064】
請求項29記載の発明は、請求項27記載の薄膜形成方法において、
前記小電極はロール電極であり、前記フィルム用搬送機構による前記クリーニングフィルムの搬送に応じて回転することを特徴としている。
【0065】
請求項29記載の発明によれば、請求項11記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0066】
請求項30記載の発明は、請求項27〜29のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記第1電極は、ロール電極であり、
前記複数の小電極は、前記ロール電極の周面に対向するように配置される棒状電極であることを特徴としている。
【0067】
請求項30記載の発明によれば、請求項12記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0068】
請求項31記載の発明は、請求項27〜30のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記ガス供給部が、前記複数の小電極のうち、第1の小電極及び前記第1の小電極に隣り合う第2の小電極の間隔を流路として、前記放電空間へ前記ガスを供給するように配置され、
前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記流路を形成する前記小電極の表面に密着するように、前記クリーニングフィルムを搬送することを特徴としている。
【0069】
請求項31記載の発明によれば、請求項13記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0070】
請求項32記載の発明は、請求項31記載の薄膜形成方法において、
前記流路を形成する前記小電極の表面は、前記流路の中央に向けて凸となる曲面に形成されていることを特徴としている。
【0071】
請求項32記載の発明によれば、請求項14記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0072】
請求項33記載の発明は、請求項31又は32記載の薄膜形成方法において、
前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを、前記ガス供給部の少なくとも一部に接触させてから、前記流路を形成する前記小電極の表面まで搬送することを特徴としている。
【0073】
請求項33記載の発明によれば、請求項15記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0074】
請求項34記載の発明は、請求項19〜33のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記高周波電界が、前記第1電極による第1高周波電界及び前記第2電極による第2高周波電界を重畳したものであり、
前記第1高周波電界の周波数ω1より前記第2高周波電界の周波数ω2が高く、
前記第1高周波電界の電界強度V1、前記第2高周波電界の電界強度V2及び放電開始電界強度IVの関係が、
V1≧IV>V2又はV1>IV≧V2を満たすことを特徴としている。
【0075】
請求項34記載の発明によれば、請求項16記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0076】
請求項35記載の発明は、請求項19〜34のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記クリーニングフィルムは、ポリエステルから形成されていることを特徴としている。
【0077】
請求項35記載の発明によれば、請求項17記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
【0078】
請求項36記載の発明は、請求項19〜35のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記クリーニングフィルムの全幅は、前記放電空間よりも大きくなるように設定されていることを特徴としている。
【0079】
請求項36記載の発明によれば、請求項18記載の発明と同等の効果を得ることができる。
【0080】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。図1は、薄膜形成装置1の概略構成を表すの側面図である。
【0081】
この薄膜形成装置1は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、放電プラズマを発生させることによってガスを活性化し、その活性化したガスに基材を晒して、基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置である。薄膜形成装置1には、図1に示すように、シート状の基材2をその周面に密着させて搬送する第1電極10が回転自在に設けられている。
【0082】
図2は、第1電極10を表す斜視図であり、この第1電極10は、導電性の金属質母材11の表面に誘電体12が被覆されたロール状電極である。第1電極10の内部には、表面温度を調節するため、例えば、水やシリコンオイル等の温度調節用の媒体が循環できるようになっており、この循環部分には、図1に示すように、配管3を介して温度調節装置4が接続されている。また、第1電極10には、第1フィルタ13を介して第1電源14が接続されている。第1電極10の周縁には、基材2を第1電極10の周面に密着させて搬送するために基材用搬送機構15と、基材2上に薄膜を形成するための複数の薄膜形成ユニット20が設けられている。
【0083】
基材用搬送機構15には、基材2を第1電極10の周面に案内する第1ガイドローラ16及び第1ニップローラ17と、前記周面に密着した基材2を剥がして、次行程まで案内する第2ガイドローラ18と、第1ガイドローラ16、第2ガイドローラ18及び第1電極10を連動するように回転させる駆動源51(図6参照)とが設けられている。
【0084】
図3は薄膜形成ユニット20の側面図であり、図4は薄膜形成ユニット20の正面図である。薄膜形成ユニット20には、第1電極10の周面に対向し、第1電極10よりも幅の大きい一対の小電極(第2電極)21が、間隔aを空けて配置されている。つまり、この一対の小電極21のうち、一方の小電極21が第1の小電極21Aであり、他方の小電極21が第1小電極21Aに隣り合う第2の小電極21Bである。そして、上記した間隔aが放電空間Aであり、放電空間Aを成す第1電極10及び小電極21の対向する面をそれぞれ放電面10a、21aとする。また、一対の小電極21の間には、隙間bが設けられている。図5は、小電極21を表す斜視図であり、小電極21は導電性の金属質母材211の表面に誘電体212が被覆された棒状電極である。小電極21は内部が中空となっており、この中空部分213には、配管5を介して温度調節装置6が接続されている。中空部分213に温度調節用の媒体を流すことにより、電極表面の温度調節ができるようになっている。また、小電極21の角部(連結角部)215は円弧状に形成されている。つまり、小電極21の四面は角部215を介して連続していることから、放電面10a及び放電面10a以外の表面も連続することになる。そして、各薄膜形成ユニット20の小電極21には、図1に示すように、第2フィルタ22を介して第2電源23が接続されている。
【0085】
また、薄膜形成ユニット20には、図3に示すように、一対の小電極21の隙間bに向けてガスを噴出するガス供給部24が、前記隙間bに対向するように配置されている。これにより隙間bは、放電空間Aにガスを供給する流路Bとなる。ガス供給部24には、内部にガス流路が形成されたノズル本体部25と、ノズル本体部25から流路Bに向けて突出し、ガス流路に連通してガスを噴出するガス噴出部26とが設けられている。
【0086】
また、薄膜形成ユニット20には、小電極21の汚れを防止するクリーニングフィルム27を、小電極21に密着させながら、連続的若しくは間欠的に搬送するフィルム用搬送機構30が各小電極21に応じて設けられている。このフィルム用搬送機構30には、ガス供給部24の近傍で、クリーニングフィルム27を案内する第1フィルム用ガイドローラ31が設けられている。この第1フィルム用ガイドローラ31の上流側には、図示しないクリーニングフィルム27の巻き出しローラ若しくはクリーニングフィルム27の元巻が設けられている。
また、ガス供給部24に対して、第1フィルム用ガイドローラ31よりも遠方には、第2フィルム用ガイドローラ32を介してクリーニングフィルム27を巻き取る巻取部(図示省略)が設けられている。第1フィルム用ガイドローラ31、第2フィルム用ガイドローラ32及びクリーニングフィルム27の全幅は、図4に示すように、第1電極10の全幅よりも長く設定されている。具体的には、クリーニングフィルム27の全幅長は、両端が第1電極10の両端から1〜100mmではみ出すように設定されていることが好ましい。これにより、クリーニングフィルム27が放電空間Aよりも大きくなる。つまり小電極21は、クリーニングフィルム27に覆われることにより、放電プラズマに晒されなくなり、小電極21に対する汚れを防止できる。また、クリーニングフィルム27のエッジが放電空間A内に侵入しないために、放電集中によるアーク放電を防止できる。
【0087】
このフィルム用搬送機構30によってクリーニングフィルム27は、巻出ローラから引き出された後、第1フィルム用ガイドローラ31に案内されて、ガス供給部24のノズル本体部25の周縁に接触した後に、小電極21の流路Bを形成する表面21bに密着してから、角部215を介して放電面21aに密着し、第2フィルム用ガイドローラ32に案内されて、巻取部で巻き取られるようになっている。この際、角部215が円弧状に形成されているので、クリーニングフィルム27が前記放電面21a以外の表面21bから放電面21aまで移動する際に引っかかることを防止でき、スムーズに搬送させることができる。なお、本実施形態では、小電極21の放電面21aが平面であるが、この放電面21aを、第1電極10の放電面10aに向かって凸となる曲面に形成してもよい。こうした場合、小電極21の放電面21aとクリーニングフィルム27との密着性をさらに高めることができる。さらに、本実施の形態では、流路Bを形成する小電極21の表面においても平面であるが、この表面を流路Bの中央に向けて凸となる曲面に形成してもよい。これにより、クリーニングフィルム27を流路B内でも小電極21に密着させながらスムーズに搬送させることができ、皺やツレの発生を抑制することができる。
【0088】
そして、上記のように、クリーニングフィルム27とノズル本体部25とが接触しているので、ガス供給部24から流路Bまでの空間は、クリーニングフィルム27によって仕切られることになって、ガスが流路B外に流れることを防止できる。
【0089】
ここで、クリーニングフィルム27が小電極21に密着していない場合においては、上記のように小電極21の表面が放電面21aとなるが、クリーニングフィルム27が小電極21に密着している場合には、前記放電面21aに密着するクリーニングフィルム27の表面が放電面になる。同様に、基材2が第1電極10の表面に密着していない場合においては、上記のように第1電極10の表面が放電面10aとなるが、基材2が第1電極10に密着している場合には、前記放電面10aに密着する基材2の表面が放電面になる。したがって、基材2及びクリーニングフィルム27がそれぞれ第1電極10及び小電極21に密着している場合には、放電空間Aは基材2及びクリーニングフィルム27の表面より形成されることになる。
【0090】
薄膜形成装置1には、図6に示すように、各駆動部を制御する制御装置50が設けられている。制御装置50には、駆動源51、記憶部52、第1電源14、第2電源23、ガス供給部24、温度調節装置4,6、第2フィルム用ガイドローラ32が電気的に接続されている。なお、制御装置50には、これら以外にも薄膜形成装置1の各駆動部などが接続されている。そして、制御装置50は、記憶部52中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従い各種機器を制御するようになっている。
【0091】
次に、放電空間Aに供給されるガスについて説明する。
放電空間Aに供給されるガスは、少なくとも放電ガス及び薄膜形成ガスを含有している。放電ガス及び薄膜形成ガスは、混合した状態で噴出しても、個別に噴出してもよい。なお、これら以外にも添加ガスを加えてもよい。いずれの場合においても、放電ガスの量は、放電空間Aに供給する全ガス量に対して、90〜99.99体積%であることが好ましい。
【0092】
放電ガスとは、薄膜形成可能なグロー放電を起こすことのできるガスである。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。本実施形態では、比較的安価な窒素を用いている。この場合、放電ガスの50〜100体積%が窒素であることが好ましく、さらに窒素に混合させるガスとして希ガスを使用し、放電ガスの50%未満を含有させることが好ましい。
【0093】
薄膜形成ガスとしては、例えば、有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物等が挙げられる。
有機金属化合物としては、以下の一般式(I)で示すものが好ましい。
一般式(I) R1xMR2yR3z式中、Mは金属、R1はアルキル基、R2はアルコキシ基、R3はβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、いずれも0または正の整数である。R1のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R2のアルコキシ基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等が挙げられる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。R3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンあるいはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等が挙げられ、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えば、アセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等が挙げられ、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等が挙げられ、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。これらの基の炭素原子数は、上記例有機金属化合物を含んで、18以下が好ましい。また例示にもあるように直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。
【0094】
本発明において取り扱いの問題から、爆発の危険性の少ない有機金属化合物が好ましく、分子内に少なくとも1つ以上の酸素を有する有機金属化合物が好ましい。このようなものとしてR2のアルコキシ基を少なくとも1つを含有する有機金属化合物、またR3のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも一つ有する有機金属化合物が好ましい。
【0095】
また、薄膜形成性ガスに使用する有機金属化合物、ハロゲン金属化合物、金属水素化合物の金属として、例えば、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等が挙げられる。
【0096】
また、添加ガスを混合する場合においては、添加ガスとして、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水素、アンモニア等が挙げられるが、酸素、一酸素化炭素及び水素が好ましく、これらから選択される成分を混合させるのが好ましい。その含有量はガス全量に対して0.01〜5体積%含有させることが好ましく、それによって反応促進され、かつ、緻密で良質な薄膜を形成することができる。
【0097】
次に、基材2について説明する。基材2としては、板状、シート状またはフィルム状の平面形状のもの、あるいはレンズその他成形物等の立体形状のもの等の薄膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。基材2が静置状態でも移送状態でもプラズマ状態の混合ガスに晒され、均一の薄膜が形成されるものであれば基材2の形態または材質には制限ない。材質的には、例えばガラス、樹脂、陶器、金属、非金属等様々のものを使用できる。具体的には、ガラスとしては、例えばガラス板やレンズ等、樹脂としては、例えば樹脂レンズ、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板等が挙げられる。
【0098】
樹脂フィルムは本発明に係る薄膜形成装置1の電極間または電極の近傍を連続的に移送させて透明導電膜を形成することができるので、スパッタリングのような真空系のようなバッチ式でない、大量生産に向き、連続的な生産性の高い生産方式として好適である。
【0099】
樹脂からなる基材2の材質としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等が挙げられる。
【0100】
また、本発明に用いられる基材2は、厚さが10〜1000μm、より好ましくは40〜200μmのフィルム状のものが使用されている。
【0101】
次に、クリーニングフィルム27について説明する。
クリーニングフィルム27は、例えば樹脂フィルム、紙、布、不織布等から形成されている。樹脂としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等が挙げられる。そして、さらに好ましくは、安価で生産性に優れるポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート(PET)及びPETを主体とする樹脂フィルムである。また本発明に用いられるクリーニングフィルム27は、厚みが10〜1000μm、より好ましくは20〜100μmのフイルム状のものが使用されている。また、また材質に求められる性質としては、大気圧プラズマ処理を行っている最中は非常に高温となるために、耐熱性すなわち熱的寸法安定性に優れたものがよい。さらに熱的寸法安定性を向上させるためにアニール処理等を施したものがより好ましい。
【0102】
次に、第1電極10及び小電極21を形成する金属質母材11、211及び誘電体12、212について説明する。
金属質母材11、211と誘電体12、212と組み合わせとしては、両者の間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材11、211と誘電体12、212との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
【0103】
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、例えば、1)金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜、2)金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング、3)金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜、4)金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング、5)金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜、6)金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング、7)金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜、8)金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング、等が挙げられる。線熱膨張係数の差という観点では、上記1)または2)および5)〜8)が好ましく、特に1)が好ましい。
【0104】
そして、金属質母材11、211は、チタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材11、211をチタンまたはチタン合金とし、誘電体12、212を上記組み合わせに応じる素材とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが可能となる。
【0105】
本発明に有用な電極の金属質母材11、211は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用できるが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることができる。工業用純チタンとしては、例えばTIA、TIB、TIC、TID等が挙げられ、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているものであり、チタンの含有量は99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることができ、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量は98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、例えば、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることができ、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材11、211としてチタン合金またはチタン金属の上に施された誘電体12、212との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることができる。
【0106】
一方、誘電体12、212の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、例えば、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等が挙げられる。この中では、セラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体12、212が好ましい。
【0107】
または、大電力に耐えうる仕様の一つとして、誘電体12、212の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。また、大電力に耐えうる別の好ましい仕様としては、誘電体12、212の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
【0108】
次に、本実施形態の薄膜形成装置1で薄膜形成を行った際の作用について説明しながら、薄膜形成に対して好適な各種条件について説明する。
【0109】
先ず、薄膜形成の開始に伴って、制御装置50は、各ガス供給部24からガスを噴出させて、放電空間Aにガスを供給させる。この際、ガス供給部24から噴出されたガスは、クリーニングフィルム27により仕切られた空間を介して、一対の小電極21により形成された流路Bを通過し、放電空間Aにまで至る。流路Bを形成する小電極21の表面21bには、常にクリーニングフィルム27が密着しているので、その表面21bが流路B内を通過するガスにより汚染されることを防止している。
【0110】
そして、放電空間Aにガスが供給されると、制御装置50は、駆動源51を制御して、第1ガイドローラ16、第2ガイドローラ18及び第1電極10を回転させて、基材2を第1電極10の周面に密着させて搬送させるとともに、第2フィルム用ガイドローラ32を制御して、クリーニングフィルム27を小電極21に表面に密着させて搬送させる。ここでクリーニングフィルム27の搬送速度が、20mm/min〜200m/minとなるように、第2フィルム用ガイドローラ32の回転速度を制御することが好ましい。ここで、小電極21におけるクリーニングフィルム27の張力は、クリーニングフィルム27の材質や厚みが異なることによりその適正値が変動するが、例えばクリーニングフィルム27の材質をPET、厚みを38μmとした場合には、張力の適正値は25gf/mm〜75gf/mmである。張力が25gf/mm未満であるとクリーニングフィルム27は小電極21から浮いてしまい、75gf/mmより大きければ、装置の大型化を招くとともに局部的な伸びが顕在化しツレが発生してしまう。
【0111】
基材2が搬送されると、制御装置50は、第1電源14及び第2電源23をONにする。これにより、第1電極10からは、第1電源14からの周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1高周波電界が印加される。一方、小電極21からは第2電源23からの周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2高周波電界が印加される。ここで、周波数ω1より周波数ω2の方が高く設定されている。
【0112】
具体的には、周波数ω1は、200kHz以下であることが好ましく、下限は1kHzである。この電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。一方、周波数ω2は、800kHz以上であることが好ましく、高ければ高いほどプラズマ密度が高くなるものの、上限は200MHz程度である。
【0113】
また、電極間に放電ガスを供給し、この電極間の電界強度を増大させていき、放電が始まる電界強度を放電開始電界強度IVと定義すると、電界強度V1、V2及び放電開始電界強度IVの関係は、V1≧IV>V2又はV1>IV≧V2を満たすように設定されている。例えば、放電ガスを窒素とした場合には、その放電開始電界強度IVは3.7kV/mm程度であるので、上記の関係により電界強度V1を、V1≧3.7kV/mm、電界強度V2を、V2<3.7kV/mmとして印加すると、窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることができる。
【0114】
そして、電流I1、I2の関係はI1<I2となることが好ましい。第1高周波電界の電流I1は、好ましくは0.3mA/cm2〜20mA/cm2、さらに好ましくは1.0mA/cm2〜20mA/cm2である。また、第2高周波電界の電流I2は、好ましくは10mA/cm2〜100mA/cm2、さらに好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2である。
【0115】
このように、第1電極10による第1高周波電界及び小電極21による第2高周波電界が発生されると、放電空間Aには、第1高周波電解と第2高周波電界とが重畳された高周波電界が発生して、ガスと反応し放電プラズマが発生する。放電プラズマが発生するプラズマ空間Hは、図3及び図4に示すように、第1電極10の放電面10a及び小電極21の放電面21aからはみ出してしまうものの、基材2及びクリーニングフィルム27は、第1電極10及び小電極21の放電面10a、21aに密着する前に、第1電極10及び小電極21の放電面10a、21aに連続する放電面10a、21a以外の表面に密着されるために、前記放電面10a、21a以外の表面によって支えられた状態でプラズマ空間Hに進入する。これにより、基材2及びクリーニングフィルム27が熱影響を受けたとしても均されるため、皺やツレが発生することを防止できる。
【0116】
さらに、第1電極10及び小電極21は、それぞれ温度調節装置4,6によってその表面温度が制御されているために、基材2及びクリーニングフィルム27がプラズマ空間Hに進入する以前に、放電面10a、21a以外の表面によって予め加熱されることとなる。このため、プラズマ空間Hに基材2及びクリーニングフィルム27が進入したとしても急激かつ過剰に熱影響を受けることを防止でき、放電プラズマの熱による収縮を抑えることができる。したがって、基材2及びクリーニングフィルム27に皺やツレが発生することを、さらに防止することができる。特に、小電極21においては、クリーニングフィルム27がプラズマ空間Hに進入する以前に接触する、放電面21a以外の表面が所定の面積を確保しているので、放電面21aに至るまでに、連続的にクリーニングフィルム27を加熱することができ、小電極21においても急減に加熱されることはなく、皺やツレの発生をさらに抑制することができる。なお、連続的に加熱しなくても段階的に加熱してもよい。
【0117】
そして、基材2がプラズマ空間H内を通過することで、基材2上には薄膜が形成される。プラズマ放電処理中の基材2の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成が変化する場合もあるので、薄膜形成中においても、温度調節装置4によって温度制御された媒体を第1電極10内に循環させて、第1電極10の表面温度を制御し、基材2の温度を適宜調節することが好ましい。ここで、温度調節装置4は、基材2が所定の性能を発揮できる温度となるように、温度調節用の媒体を20℃〜300℃、好ましくは80℃〜100℃に温度調節している。一方、温度調節装置6においても、温度調節用の媒体を20℃〜300℃、好ましくは80℃〜100℃に温度調節する。ただし、下限温度としては、使用するガスの気化条件温度を下回らないように前記媒体を温度調節しなければならない。
そして、薄膜が形成された基材2は、ガイドローラ18を介して次行程まで搬送される。
【0118】
以上のように、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、フィルム用搬送機構30が、クリーニングフィルム27を小電極21の放電面21aに連続する放電面21a以外の表面21bに密着させてから、前記小電極21の放電面21aに密着するように搬送するので、小電極21においてはクリーニングフィルム27の密着により、その表面が覆われることになる。したがって、小電極21の放電面21aが活性化されたガスにより汚染されることを防止できる。また、クリーニングフィルム27はフィルム用搬送機構30によって搬送されるので、小電極21の放電面21aに密着するクリーニングフィルム27を新たなものに連続して交換することができる。
また、フィルム用搬送機構30が、小電極21毎に設けられているので、小電極21毎にクリーニングフィルム27を搬送することにより、各小電極21に対する汚れを防止できる。
そして、クリーニングフィルム27が小電極21の放電面21a及び放電面以外の表面に密着しているので、製膜ガスを流さず放電ガスのみを放電空間Aに流した場合においては、小電極21を保護することができる。
【0119】
そして、基材用搬送機構15が基材2を第1電極10の放電面10aに密着させながら搬送するので、第1電極10の放電面10aが活性化されたガスにより汚染されることを防止できる。さらに、この基材用搬送機構15は、基材2が第1電極10の放電面10aに密着する前に、基材2を第1電極10の放電面10aに連続する放電面10a以外の表面に密着させるために、基材2は前記放電面10a以外の表面によって支えられた状態でプラズマ空間Hに進入する。これにより、基材2が熱影響を受けたとしても均されるため、皺やツレが発生することを防止でき、高品質な薄膜の形成が可能となる。
さらに、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で製膜を行うことができるので、真空で製膜を行う場合に比べて、高速製膜が可能となるとともに連続生産が可能となる。そして、真空にするための装置等も必要でないために、設備費を削減できる。
【0120】
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、クリーニングフィルム27が小電極21の軸方向に対して直交する方向に搬送されることにより、小電極21の放電面21aに密着しながら搬送される場合を例示して説明したが、小電極21の放電面21aに連続する放電面21a以外の表面から、放電面21aに密着するように搬送されるのであれば、クリーニングフィルム27は如何なる方向に搬送されていてもよく、例えば、クリーニングフィルム27Aを小電極21の軸方向に沿って搬送することが挙げられる。以下に、クリーニングフィルム27Aを小電極21の軸方向に沿って搬送する場合について図7〜図9を参照にして具体的に説明する。図7は、薄膜形成装置1Aの概略構成を表す斜視図であり、図8は薄膜形成装置1Aにおける薄膜形成ユニット20Aを表す正面図である。また、図9は、薄膜形成装置1Aにおけるクリーニングフィルム27Aと小電極21との接触状態を表す側面図である。なお上記実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
この薄膜形成装置1Aにおける薄膜形成ユニット20Aには、図7及び図8に示すように、クリーニングフィルム27Aを、小電極21の軸方向に沿うように連続的若しくは間欠的に搬送させながら、小電極21に密着させるフィルム用搬送機構30Aが各小電極21に応じて設けられている。このフィルム用搬送機構30Aによって搬送されるクリーニングフィルム27Aの全幅は、図9に示すように、小電極21の軸方向に直交する方向における放電面21aの幅に応じて設定されている。そして、フィルム用搬送機構30Aには、図8に示すように、小電極21の一側方で、ローラ状に巻かれたクリーニングフィルム27Aを回転自在に保持する第1フィルム用ガイドローラ31Aが設けられている。また、小電極21の他側方には、クリーニングフィルム27Aを巻き取る第2フィルム用ガイドローラ32Aが設けられている。このフィルム用搬送機構30Aによってクリーニングフィルム27Aは、第1フィルム用ガイドローラ31Aから引き出されて、小電極21の放電面に連続する放電面21a以外の表面21cに密着してから、放電面21aに密着し、第2フィルム用ガイドローラ32Aに巻き取られるようになっている。これにより、クリーニングフィルム27Aは、小電極21の放電面21a以外の表面21cによって支えられた状態でプラズマ空間Hに進入させられる。したがって、クリーニングフィルム27Aが熱影響を受けたとしても均されるため、皺やツレが発生することを防止できる。
【0122】
また、上記実施形態では、小電極21が、本発明におけるクリーニングフィルム27を加熱する加熱部材として機能しているが、小電極21の放電面21aに対して、クリーニングフィルム27の搬送方向の上流側で加熱できるのであれば、如何なるものでもよく、これ以外にも例えば、小電極21の放電面21aに対して、クリーニングフィルム27の搬送方向の上流側に、加熱専用の部材を配置することが挙げられる。
【0123】
また、上記実施形態では、小電極21が略角柱形状に形成されて固定されているが、小電極は回転自在に設置されたロール電極であってもよい。こうした場合、クリーニングフィルムの搬送に応じて小電極自体が回転するため、クリーニングフィルムの搬送をスムーズに行うことができる。さらに、小電極自体が回転駆動する構成であれば、クリーニングフィルムの搬送を効率的に行うことができる。
【0124】
【実施例】
[電極]
第1電極10は、直径1000mmのロール形状でチタン合金T64製の電極であり、小電極21は、40mm×40mmの略角柱形状であるチタン合金T64製の電極である。第1電極10及び小電極21が対向する面には大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ容赦膜が被覆された後に、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液が塗布乾燥されている。さらに、紫外線照射により硬化され封孔処理が施されている。その後被覆された誘電体表面を研磨し、平滑にしてRmax5μmとなるように加工されている。
ここで、小電極21は、流路Bを形成する面及び放電面21aの曲率がR20mm〜R2000mmの範囲に、連続角部215の曲率がR1mm〜R20mmの範囲に収まるように誘電体が被覆されている。なお、連続角部215の曲率において好ましい範囲は、R3mm〜R8mmである。具体的に本実施例における小電極21は、流路Bを形成する面及び放電面21aの曲率がR500mm、連続角部215の曲率がR5mmとなるように、誘電体が被覆されている。
【0125】
[薄膜形成装置]
上記実施形態における薄膜形成装置1を使用し、上記で作成した第1電極10及び小電極21の間隔aを1mmとなるように両者を配置した。ここで、ガスの組成は、放電ガス(窒素)が97.9体積%、薄膜形成ガス(テトライソプロポキシチタン)が0.1体積%、添加ガス(水素)が2.0体積%である。また、基材2としては、コニカタックKC8UXが使用され、クリーニングフィルム27としては、三菱化学ポリエステルフィルム社製若しくは帝人デュポンフィルム社製のPETフィルムが使用されている。そして、放電開始電界強度IVを3.7kV/mmとし、第1電極10における第1高周波電界の周波数ω1を5kHz、電界強度V1を12kV/mmとし、小電極21における第2高周波電界の周波数ω2を800kHz、電界強度V2を1.2kV/mmとして製膜を行った。
【0126】
比較例として、従来技術で例示した薄膜形成装置を使用して、実施例と同様の基材、ガスを用いて薄膜形成を行った。
複数回薄膜形成を繰り返した後、実施例と比較例の両者により形成された薄膜を比較すると、実施例のほうでは、薄膜が基材に対して均一に形成されているのに対し、比較例では基材にツレや皺が発生しており、薄膜も均一でなかった。
【0127】
【発明の効果】
請求項1及び19記載の発明によれば、フィルム用搬送機構が、クリーニングフィルムを第2電極の放電面と、前記放電面に連続する放電面以外の表面に密着させて搬送するので、第1電極及び第2電極の放電面のそれぞれに基材を密着させて薄膜を形成しなくても、第2電極においてはクリーニングフィルムの密着により、その表面が覆われることになる。したがって、第2電極の放電面が活性化されたガスにより汚染されることを防止できる。第2電極の放電面に汚れがなければ、基材にヘイズ(濁り)が発生せずに、高品質な製膜が可能となる。
また、クリーニングフィルムはフィルム用搬送機構によって搬送されるので、第2電極の放電面に密着するクリーニングフィルムを新たなものに連続して交換することができる。このため、第2電極の放電面を長期にわたってメンテナンスフリーとすることができる。
そして、クリーニングフィルムが第2電極の放電面に密着しているので、製膜ガスを流さず放電ガスのみを放電空間に流した場合においては、第2電極を保護することができる。
【0128】
ここで、第2電極の放電面に位置したクリーニングフィルムに皺やツレが発生していると、プラズマ空間内の均一性が乱れてしまい、不均一な製膜としまう。この皺やツレが発生する原因は、上記した基材の場合と同様に、放電プラズマの発生するプラズマ空間に支えのない状態で進入することにより、熱影響を受けて収縮してしまうことにある。しかしながら、この請求項1記載の発明であると、クリーニングフィルムは、第2電極の放電面と、前記放電面に連続する放電面以外の表面に密着されているために、前記放電面以外の表面によって支えられた状態でプラズマ空間に進入する。これにより、クリーニングフィルムが熱影響を受けたとしても均されるため、皺やツレが発生することを防止できる。したがって、プラズマ空間内の均一性を維持することができ、高品質な薄膜の形成が可能となる。
【0129】
請求項2及び20記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。さらに、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で製膜を行うことができるので、真空で製膜を行う場合に比べて、高速製膜が可能となるとともに連続生産が可能となる。そして、真空にするための装置等も必要でないために、設備費を削減できる。
請求項3及び21記載の発明によれば、第2電極の放電面における上流側で加熱部材がクリーニングフィルムを加熱するので、第2電極の放電面に接触する以前にクリーニングフィルムを加熱することができる。このため、プラズマ空間にクリーニングフィルムが進入したとしても急激かつ過剰に熱影響を受けることを防止でき、放電プラズマの熱による収縮を抑えることができる。したがって、クリーニングフィルムに皺やツレが発生することを、さらに防止することができる。
請求項4及び22記載の発明によれば、加熱部材によってクリーニングフィルムは放電面に達するまでに段階的或いは連続的に加熱されるので、加熱部材においても急減に加熱されることはなく、皺やツレの発生をさらに抑制することができる。
【0130】
請求項5及び23記載の発明によれば、基材用搬送機構が基材を第1電極の放電面に密着させながら搬送するので、第1電極の放電面が活性化されたガスにより汚染されることを防止できる。
請求項6及び24記載の発明によれば、基材が、第1電極の放電面に密着する前に、第1電極の放電面に連続する放電面以外の表面に密着されるために、前記放電面以外の表面によって支えられた状態でプラズマ空間に進入する。これにより、基材が熱影響を受けたとしても均されるため、皺やツレが発生することを防止でき、高品質な薄膜の形成が可能となる。
請求項7及び25記載の発明によれば、第2電極の放電面及び前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の連続角部が、円弧状に形成されているので、クリーニングフィルムが前記放電面以外の表面から放電面まで移動する際に引っかかることを防止でき、スムーズに搬送させることができる。
【0131】
請求項8及び26記載の発明によれば、第2電極の放電面が、第1電極の放電面に向かって凸となる曲面に形成されているので、第2電極の放電面とクリーニングフィルムとの密着性を高めることができる。
請求項9及び27記載の発明によれば、フィルム用搬送機構が、小電極毎に設けられているので、小電極毎にクリーニングフィルムを搬送することにより、各小電極に対する汚れを防止できる。
請求項10及び28記載の発明によれば、小電極が固定されている場合においても、フィルム用搬送機構がクリーニングフィルムを小電極の表面に摺擦させながら搬送するので、皺やツレの発生を極力抑えることができる。
請求項11及び29記載の発明によれば、小電極がロール電極であり、さらにクリーニングフィルムの搬送に応じて回転するので、クリーニングフィルムをスムーズに搬送することができる。
【0132】
請求項12及び30記載の発明によれば、第1電極を、ロール電極とし、その周面に対向するように複数の小電極を配置した場合においても、第1電極及び第2電極が汚れることを防止できる。
請求項13及び31記載の発明によれば、ガスの流路を形成する小電極の表面にクリーニングフィルムが密着されるので、この流路を形成する小電極の表面が汚れることを防止できる。
請求項14及び32記載の発明によれば、流路を形成する前記小電極の表面が、流路の中央に向けて凸となる曲面に形成されているので、クリーニングフィルムを流路内でも小電極に密着させながらスムーズに搬送させることができ、皺やツレの発生を抑制することができる。
請求項15及び33記載の発明によれば、クリーニングフィルムは、ガス供給部の周縁に接触されてから、流路を形成する小電極の表面まで搬送されるので、ガス供給部から流路までの空間は、クリーニングフィルムによって仕切られることになって、ガスが流路外に流れることを防止できる。
【0133】
請求項16及び34記載の発明によれば、高周波電界が、第1高周波電界及び第2高周波電界を重畳したものであり、第1高周波電界の周波数ω1より第2高周波電界の周波数ω2が高く、第1高周波電界の電界強度V1、第2高周波電界の電界強度V2及び放電開始電界強度IVの関係が、V1≧IV>V2又はV1>IV≧V2を満たしているので、窒素等の安価なガスを用いた場合においても、薄膜形成可能な放電を起こし、高品位な薄膜形成に必要な高密度プラズマを発生することができる。
請求項17及び35記載の発明のように、クリーニングフィルムがポリエステルから形成されていれば、生産性を高めることができる。
請求項18及び36記載の発明によれば、第2電極はクリーニングフィルムによって覆われることで、放電プラズマに晒されなくなり、第2電極に対する汚れを防止できる。さらに、クリーニングフィルムエッジが放電空間内に侵入しないために、放電集中によるアーク放電を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜形成装置の概略構成を表す側面図である。
【図2】図1の薄膜形成装置に備わる第1電極を表す斜視図である。
【図3】図1の薄膜形成装置に備わる薄膜形成ユニットを表す側面図である。
【図4】図3の薄膜形成ユニットを表す側面図である。
【図5】図3の薄膜形成ユニットに備わる小電極を表す斜視図である。
【図6】図1の薄膜形成装置の主制御部分を表すブロック図である。
【図7】薄膜形成装置の変形例を表す斜視図である。
【図8】図7の薄膜形成装置に備わる薄膜形成ユニットを表す正面図である。
【図9】図7の薄膜形成装置におけるクリーニングフィルムと小電極との接触状態を表す側面図である。
【図10】従来の薄膜形成時における電極と基材との接触状態を表す説明図である。
【符号の説明】
1 薄膜形成装置
2 基材
10 第1電極
10a 放電面
15 基材用搬送機構
21 小電極(第2電極)
21A 第1の小電極
21B 第2の小電極
21a 放電面
24 ガス供給部
27 クリーニングフィルム
30 フィルム用搬送機構
215 角部(連続角部)
A 放電空間
B 流路

Claims (36)

  1. 互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、
    前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部に密着させて搬送するフィルム用搬送機構を備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、
    前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部に密着させて搬送するフィルム用搬送機構を備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 請求項1又は2記載の薄膜形成装置において、
    前記第2電極の放電面に対して、前記クリーニングフィルムの搬送方向の上流側には、前記クリーニングフィルムを加熱する加熱部材が設けられていることを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 請求項に記載の薄膜形成装置において、
    前記加熱部材は、前記クリーニングフィルムが前記放電面に達するまでに段階的或いは連続的に加熱することを特徴とする薄膜形成装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記基材を前記第1電極の放電面に密着させながら搬送する基材用搬送機構を備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  6. 請求項5記載の薄膜形成装置において、
    前記基材用搬送機構は、前記基材を前記第1電極の放電面に連続する前記放電面以外の表面に密着させてから、前記第1電極の放電面に密着するように搬送することを特徴とする薄膜形成装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記第2電極の放電面と、前記放電面以外の表面との連続角部は、円弧状に形成されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記第2電極の放電面は、前記第1電極の放電面に向かって凸となる曲面に形成されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記第2電極は、複数の小電極から形成されており、
    前記フィルム用搬送機構は、前記小電極毎に設けられていることを特徴とする薄膜形成装置。
  10. 請求項9記載の薄膜形成装置において、
    前記小電極は、固定されており、
    前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを前記小電極の表面に摺擦させながら、搬送させることを特徴とする薄膜形成装置。
  11. 請求項9記載の薄膜形成装置において、
    前記小電極はロール電極であり、前記フィルム用搬送機構による前記クリーニングフィルムの搬送に応じて回転することを特徴とする薄膜形成装置。
  12. 請求項9〜11のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記第1電極は、ロール電極であり、
    前記複数の小電極は、前記ロール電極の周面に対向するように配置される棒状電極であることを特徴とする薄膜形成装置。
  13. 請求項9〜12のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記ガス供給部が、前記複数の小電極のうち、第1の小電極及び前記第1の小電極に隣り合う第2の小電極の間隔を流路として、前記放電空間へ前記ガスを供給するように配置され、
    前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記流路を形成する前記小電極の表面に密着するように、前記クリーニングフィルムを搬送することを特徴とする薄膜形成装置。
  14. 請求項13記載の薄膜形成装置において、
    前記流路を形成する前記小電極の表面は、前記流路の中央に向けて凸となる曲面に形成されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  15. 請求項13又は14記載の薄膜形成装置において、
    前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを、前記ガス供給部の少なくとも一部に接触させてから、前記流路を形成する前記小電極の表面まで搬送することを特徴とする薄膜形成装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記高周波電界が、前記第1電極による第1高周波電界及び前記第2電極による第2高周波電界を重畳したものであり、
    前記第1高周波電界の周波数ω1より前記第2高周波電界の周波数ω2が高く、
    前記第1高周波電界の電界強度V1、前記第2高周波電界の電界強度V2及び放電開始電界強度IVの関係が、
    V1≧IV>V2又はV1>IV≧V2を満たすことを特徴とする薄膜形成装置。
  17. 請求項1〜16のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記クリーニングフィルムは、ポリエステルから形成されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  18. 請求項1〜17のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記クリーニングフィルムの全幅は、前記放電空間よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  19. 互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
    前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部とに密着させて搬送することを特徴とする薄膜形成方法。
  20. 大気圧又は大気圧近傍の圧力下において、互いの放電面が対向された第1電極及び第2電極から構成される放電空間に、薄膜形成ガスを含有するガスをガス供給部から供給し、前記放電空間に高周波電界を発生させることで前記ガスを活性化し、基材を前記活性化したガスに晒して前記基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
    前記第2電極が前記活性化したガスに晒されることを防止するクリーニングフィルムを、前記第2電極の放電面と、前記放電面に連続する前記放電面以外の表面の少なくとも一部とに密着させて搬送することを特徴とする薄膜形成方法。
  21. 請求項19又は20記載の薄膜形成方法において、
    前記第2電極の放電面に対して、前記クリーニングフィルムの搬送方向の上流側で、前記クリーニングフィルムを加熱することを特徴とする薄膜形成方法。
  22. 請求項19に記載の薄膜形成方法において、
    前記クリーニングフィルムが前記放電面に達するまでに段階的或いは連続的に当該クリーニングフィルムを加熱することを特徴とする薄膜形成方法。
  23. 請求項19〜22のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記基材が前記活性化されたガスに晒される際に、前記基材を前記第1電極の放電面に密着させながら搬送することを特徴とする薄膜形成方法。
  24. 請求項23記載の薄膜形成方法において、
    前記基材を前記第1電極の放電面に連続する前記放電面以外の表面に密着させてから、前記第1電極の放電面に密着するように搬送することを特徴とする薄膜形成方法。
  25. 請求項19〜24のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記第2電極の放電面と、前記放電面以外の表面の連続角部は、円弧状に形成されていることを特徴とする薄膜形成方法。
  26. 請求項19〜25のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記第2電極の放電面は、前記第1電極の放電面に向かって凸となる曲面に形成されていることを特徴とする薄膜形成方法。
  27. 請求項19〜26のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記第2電極は、複数の小電極から形成されており、
    前記クリーニングフィルムを各小電極毎に搬送することを特徴とする薄膜形成方法。
  28. 請求項27記載の薄膜形成方法において、
    前記小電極は、固定されており、
    前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを前記小電極の表面に摺擦させながら、搬送させることを特徴とする薄膜形成方法。
  29. 請求項27記載の薄膜形成方法において、
    前記小電極はロール電極であり、前記フィルム用搬送機構による前記クリーニングフィルムの搬送に応じて回転することを特徴とする薄膜形成方法。
  30. 請求項27〜29のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記第1電極は、ロール電極であり、
    前記複数の小電極は、前記ロール電極の周面に対向するように配置される棒状電極であることを特徴とする薄膜形成方法。
  31. 請求項27〜30のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記ガス供給部が、前記複数の小電極のうち、第1の小電極及び前記第1の小電極に隣り合う第2の小電極の間隔を流路として、前記放電空間へ前記ガスを供給するように配置され、
    前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記流路を形成する前記小電極の表面に密着するように、前記クリーニングフィルムを搬送することを特徴とする薄膜形成方法。
  32. 請求項31記載の薄膜形成方法において、
    前記流路を形成する前記小電極の表面は、前記流路の中央に向けて凸となる曲面に形成されていることを特徴とする薄膜形成方法。
  33. 請求項31又は32記載の薄膜形成方法において、
    前記第1の小電極及び前記第2の小電極のそれぞれの前記フィルム用搬送機構は、前記クリーニングフィルムを、前記ガス供給部の少なくとも一部に接触させてから、前記流路を形成する前記小電極の表面まで搬送することを特徴とする薄膜形成方法。
  34. 請求項19〜33のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記高周波電界が、前記第1電極による第1高周波電界及び前記第2電極による第2高周波電界を重畳したものであり、
    前記第1高周波電界の周波数ω1より前記第2高周波電界の周波数ω2が高く、
    前記第1高周波電界の電界強度V1、前記第2高周波電界の電界強度V2及び放電開始電界強度IVの関係が、
    V1≧IV>V2又はV1>IV≧V2を満たすことを特徴とする薄膜形成方法。
  35. 請求項19〜34のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記クリーニングフィルムは、ポリエステルから形成されていることを特徴とする薄膜形成方法。
  36. 請求項19〜35のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記クリーニングフィルムの全幅は、前記放電空間よりも大きくなるように設定されていることを特徴とする薄膜形成方法。
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