JP4438365B2 - 薄膜形成装置及び薄膜形成方法 - Google Patents

薄膜形成装置及び薄膜形成方法 Download PDF

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本発明は、薄膜形成装置及び薄膜形成方法に係り、特に、大気圧プラズマ放電処理を用いて薄膜を基材上に形成する薄膜形成装置及び薄膜形成方法に関する。
従来、LSI、半導体、表示デバイス、磁気記録デバイス、光電変換デバイス、太陽電池、ジョセフソンデバイス、光熱変換デバイス等の各種製品には、基材上に高性能性の薄膜を設けた材料が用いられている。薄膜を基材上に形成する手法には、塗布に代表される湿式製膜方法や、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、熱CVD、プラズマCVD等に代表される乾式製膜方法、あるいは大気圧プラズマ放電処理を利用した大気圧プラズマ製膜方法等が挙げられるが、近年では、高い生産性を維持しつつ高品質な薄膜を形成できる大気圧プラズマ製膜方法の使用が特に望まれている。
この大気圧プラズマ製膜方法を実現する薄膜形成装置では、互いに対向する一対の電極の間に、基材を配置させて放電ガス及び薄膜形成ガスを供給し両電極に電界を印加すれば、放電プラズマが発生することになって、薄膜形成ガスは活性化し基材上に薄膜が形成されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2000−212753号公報
ここで、特許文献1に記載されるような薄膜形成装置であると、基材上に薄膜を形成するために必要な物質は、薄膜形成ガスに含有された状態、つまりガス化した状態でなければならないが、物質によってはガス化した状態で供給することが困難な場合もあり、そのような物質を利用して薄膜を形成することが薄膜の高性能化、多品種化を図るうえで望まれている。
本発明の課題は、ガス化して供給することが困難な物質であっても、基材上に薄膜を形成することのできる薄膜形成装置を提供することである。
請求項1記載の発明における薄膜形成装置は、
互いに対向して放電ガスの流路を形成するとともに、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して高周波電界を発生させて、放電プラズマを発生させる一対の電極と、
少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを、前記一対の電極のうち少なくとも一方の前記流路を形成する表面に密着させて搬送するフィルム用搬送機構とを備えることを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、フィルム用搬送機構によって原料フィルムが搬送されて、流路を形成する電極の表面に密着すると、原料フィルムは放電プラズマに晒されることになる。この際、原料フィルムの表層中の薄膜形成用原料は放電プラズマによって原料フィルム外に放出される。つまり、放電プラズマ内に基材を配置していれば、放出された薄膜形成用原料は基材上に堆積されて薄膜を形成することができる。したがって、ガス化して供給することが困難な物質であっても、これらの物質が少なくとも表層にふくまれた原料フィルムを用いれば基材上に薄膜を形成することができ、従来の大気圧プラズマ処理装置ではできなかった処理が可能となる。
ここで、薄膜形成用原料を含有した電極を用いることによっても、上記のような作用効果を得ることができるが、こうした場合薄膜形成を繰り返していくうちに薄膜形成用原料の減少に伴って電極が小さくなってしまい、電極の交換が必要になってしまう。しかしながら、請求項1記載の発明であれば、原料フィルムが常にフィルム用搬送機構によって搬送されているので、電極を交換しなくても放電プラズマ内に薄膜形成用原料を安定して供給することができる。さらに、原料フィルムを搬送することで、薄膜形成用原料を連続的に供給できるので、高品位の製膜が可能となって、膜質の安定性を得ることができる。したがって、安定した表面処理が可能となる。
さらに、電極の表面は原料フィルムによって覆われることになるので、原料フィルムから放出された薄膜形成用原料が電極の表面に堆積することを防止できる。
請求項2記載の発明における薄膜形成装置は、
互いに対向して放電ガスの流路を形成するとともに、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で高周波電界を発生させて、放電プラズマを発生させる一対の電極と、
少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを、前記一対の電極のうち少なくとも一方の前記流路を形成する表面に密着させて搬送するフィルム用搬送機構とを備えることを特徴としている。
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。さらに、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で製膜を行うことができるので、真空で製膜を行う場合に比べて、高速製膜が可能となるとともに連続生産が可能となる。そして、真空にするための装置等も必要でないために、設備費を削減できる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の薄膜形成装置において、
前記フィルム用搬送機構は、
前記原料フィルムの元となる樹脂フィルムが前記電極に密着する以前に、前記薄膜形成用原料からなる原料層を前記樹脂フィルムの表面に形成して、前記原料フィルムを作成する原料フィルム作成装置を備えることを特徴としている。
請求項3記載の発明によれば、原料フィルムが電極に密着する以前に、原料フィルム作成装置によって樹脂フィルムの表面上には原料層が形成されるので、樹脂フィルムを用意しておけば、薄膜形成装置内で原料フィルムを作成することができる。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
前記放電ガスには、水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素のうち、少なくとも1種が含有されていることを特徴としている。
請求項4記載の発明によれば、水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素のうち、少なくとも1種が放電ガスに含有されているので、放電プラズマの発生に伴って放電ガス内の水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素は活性化し、原料フィルムに含有される薄膜形成用原料を効率的に放出させ、安定して薄膜を形成することができる。
請求項5記載の発明に係る薄膜形成方法は、
互いに対向して放電ガスの流路を形成する一対の電極のうち、少なくとも一方の前記流路を形成する表面に対して、少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを密着搬送させ、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して高周波電界を発生させて放電プラズマを発生させ、前記原料フィルムを前記放電プラズマに晒させながら搬送することにより、前記薄膜形成用原料を前記原料フィルム外に放出させて基材上に堆積させることによって薄膜を形成することを特徴としている。
請求項5記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項6記載の発明に係る薄膜形成方法は、
互いに対向して放電ガスの流路を形成する一対の電極のうち、少なくとも一方の前記流路を形成する表面に対して、少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを密着搬送させ、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して大気圧又は大気圧近傍の圧力下で高周波電界を発生させて放電プラズマを発生させ、前記原料フィルムを前記放電プラズマに晒させながら搬送することにより、前記薄膜形成用原料を前記原料フィルム外に放出させて基材上に堆積させることによって薄膜を形成することを特徴としている。
請求項6記載の発明によれば、請求項2記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項7記載の発明は、請求項5又は6に記載の薄膜形成方法において、
前記原料フィルムの元となる樹脂フィルムが前記電極に密着する以前に、前記薄膜形成用原料からなる原料層を前記樹脂フィルムの表面に形成して、前記原料フィルムを作成することを特徴としている。
請求項7記載の発明によれば、請求項3記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
請求項8記載の発明は、請求項5〜7のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
前記放電ガスには、水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素のうち、少なくとも1種が含有されていることを特徴としている。
請求項8記載の発明によれば、請求項4記載の発明と同等の作用、効果を得ることができる。
本発明によれば、フィルム用搬送機構によって原料フィルムが搬送されて、流路を形成する電極の表面に密着すると、原料フィルムは放電プラズマに晒されることになる。この際、原料フィルムの表層中の薄膜形成用原料は放電プラズマによって原料フィルム外に放出される。つまり、放電プラズマ内に基材を配置していれば、放出された薄膜形成用原料は基材上に堆積されて薄膜を形成することができる。したがって、ガス化して供給することが困難な物質であっても、これらの物質が少なくとも表層にふくまれた原料フィルムを用いれば基材上に薄膜を形成することができ、従来の大気圧プラズマ処理装置ではできなかった処理が可能となる。
さらに、電極の表面は原料フィルムによって覆われることになるので、原料フィルムから放出された薄膜形成用原料が電極の表面に堆積することを防止できる。また、原料フィルムを搬送することで、薄膜形成用原料を連続的に供給できるので、高品位の製膜が可能となって、膜質の安定性を得ることができる。したがって、安定した表面処理が可能となる。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1は、薄膜形成装置1の概略構成を表すの側面図である。
この薄膜形成装置1は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、放電プラズマを発生させることによって基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置である。薄膜形成装置1には、図1に示すように、シート状の基材2をその周面に密着させて搬送する支持部材10が回転自在に設けられている。
図2は、支持部材10を表す斜視図であり、この支持部材10は、導電性の金属質母材11の表面に誘電体12が被覆されたロール状誘電部材である。支持部材10の内部には、表面温度を調節するため、例えば、水やシリコンオイル等の温度調節用の媒体が循環できるようになっており、この循環部分には、図1に示すように、配管3を介して温度調節装置4が接続されている。また、支持部材10の周縁には、基材2を支持部材10の周面に密着させて搬送するために基材用搬送機構13と、基材2上に薄膜を形成するための複数の薄膜形成ユニット20が設けられている。
基材用搬送機構13には、基材2を支持部材10の周面に案内する第1ガイドローラ14及びニップローラ15と、前記周面に密着した基材2を剥がして、次行程まで案内する第2ガイドローラ16と、第1ガイドローラ14、第2ガイドローラ16及び支持部材10を連動するように回転させる駆動源51(図6参照)とが設けられている。
図3は薄膜形成ユニット20の側面図であり、図4は薄膜形成ユニット20の正面図である。薄膜形成ユニット20には、支持部材10の周面に間隔aを空けて対向し、支持部材10よりも幅の大きい一対の電極21A,21Bが配置されている。また、これら一対の電極21A,21Bは、互いに隙間bを空けて配置されている。この隙間bが放電空間Bであり、放電空間Bを成す電極21A,21Bの対向する面をそれぞれ放電面21a,21bとする。
図5は、電極21A,21Bを表す斜視図であり、電極21A,21Bは導電性の金属質母材211の表面に誘電体212が被覆された四角柱状電極である。この電極21A,21Bの角部215は円弧状に形成されている。つまり、電極21A,21Bの四面は角部215を介して連続していることから、放電面21a,21b及び放電面21a,21b以外の表面も連続することになる。電極21A,21Bは内部が中空となっており、この中空部分213には、図1に示すように、配管5を介して温度調節装置6が接続されている。中空部分213に温度調節用の媒体を流すことにより、電極表面の温度調節ができるようになっている。そして、各薄膜形成ユニット20の電極21A,21Bには、フィルタ22を介して電源23が接続されている。
また、薄膜形成ユニット20には、図3に示すように、一対の電極21A,21Bの隙間bに向けて放電ガスを噴出するガス供給部24が、前記隙間bに対向するように配置されている。つまり、隙間bがガス供給部24から供給された放電ガスを、支持部材10上の基材2まで案内する流路として機能するようになっている。ガス供給部24には、内部にガス流路が形成されたノズル本体部25と、ノズル本体部25から流路に向けて突出し、ガス流路に連通して放電ガスを噴出するガス噴出部26とが設けられている。
また、薄膜形成ユニット20には、少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルム27を電極21A,21Bに密着させながら連続的若しくは間欠的に搬送するフィルム用搬送機構30が、各電極21A,21Bに応じて設けられている。このフィルム用搬送機構30には、ガス供給部24の近傍で、原料フィルム27を案内する第1フィルム用ガイドローラ31が設けられている。この第1フィルム用ガイドローラ31の上流側には、図示しない原料フィルム27の巻き出しローラ若しくは原料フィルム27の元巻が設けられている。
また、ガス供給部24に対して、第1フィルム用ガイドローラ31よりも遠方には、第2フィルム用ガイドローラ32を介して原料フィルム27を巻き取る巻取部29(図6参照)が設けられている。第1フィルム用ガイドローラ31、第2フィルム用ガイドローラ32及び原料フィルム27の全幅は、図4に示すように、支持部材10の全幅よりも長く設定されている。具体的には、原料フィルム27の全幅長は、両端が支持部材10の両端から1〜100mmではみ出すように設定されていることが好ましい。これにより、原料フィルム27が放電空間Bよりも大きくなる。つまり電極21A,21Bは、原料フィルム27に覆われることにより、放電プラズマに晒されなくなり、電極21A,21Bに対する汚れを防止できる。また、原料フィルム27のエッジが放電空間B内に侵入しないために、放電集中によるアーク放電を防止できる。
また、薄膜形成ユニット20には、原料フィルム27が放電面21a,21bに接触する際に生じるツレや皺を防止するために、電極21A,21Bの放電面21a,21bに対して原料フィルム27の搬送方向の上流側に、原料フィルム27を加熱する加熱部材28が設けられている。
つまり、原料フィルム27は、フィルム用搬送機構30によって、巻出ローラから引き出された後、第1フィルム用ガイドローラ31に案内されて、ガス供給部24のノズル本体部25の周縁に接触した後に、加熱部材28の表面に接触して加熱されてから、電極21A,21Bの角部215を介して放電面21a,21bに接触し、その後、第2フィルム用ガイドローラ32に案内されて、巻取部29で巻き取られるようになっている。この際、角部215が円弧状に形成されているので、原料フィルム27が前記放電面21a以外の表面(角部215表面)から放電面21a,21bまで移動する際に引っかかることを防止でき、スムーズに搬送させることができる。なお、本実施形態では、電極21A,21Bの放電面21a,21bが平面であるが、この放電面21a,21bを、他方の放電面21a,21bに向かって凸となる曲面に形成してもよい。こうした場合、電極21A,21Bの放電面21a,21bと原料フィルム27との密着性をさらに高めることができる。
そして、上記のように、原料フィルム27とノズル本体部25とが接触しているので、ガス供給部24から放電空間Bまでの空間は、原料フィルム27によって仕切られることになって、放電ガスが流路外に流れることを防止できる。
薄膜形成装置1には、図6に示すように、各駆動部を制御する制御装置50が設けられている。制御装置50には、駆動源51、記憶部52、電源23、ガス供給部24、加熱部材28、温度調節装置4,6、巻取部29が電気的に接続されている。なお、制御装置50には、これら以外にも薄膜形成装置1の各駆動部などが接続されている。そして、制御装置50は、記憶部52中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従い各種機器を制御するようになっている。
次に、放電空間Bに供給される放電ガスについて説明する。
放電ガスは、薄膜形成可能なグロー放電を起こすことのできるガスである。放電ガスとしては、窒素、希ガス、空気、水素ガス、酸素などがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。本実施形態では、比較的安価な窒素を用いている。この場合、放電ガスの50〜100体積%が窒素であることが好ましく、さらに窒素に混合させるガスとして希ガスを使用し、放電ガスの50%未満を含有させることが好ましい。また、放電ガスには、水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素のうち、少なくとも1種が含有されている。これにより、放電プラズマが発生すれば、水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素は活性化し、原料フィルムに含有される薄膜形成用原料を効率的に放出させ、安定して薄膜を形成することができる。
さらに、放電ガスには、薄膜形成用原料からなる薄膜形成ガスを含有していてもよい。
次に、基材2について説明する。基材2としては、板状、シート状またはフィルム状の平面形状のもの、あるいはレンズその他成形物等の立体形状のもの等の薄膜をその表面に形成できるものであれば特に限定はない。基材2が静置状態でも移送状態でもプラズマ状態の混合ガスに晒され、均一の薄膜が形成されるものであれば基材2の形態または材質には制限ない。材質的には、例えばガラス、樹脂、陶器、金属、非金属等様々のものを使用できる。具体的には、ガラスとしては、例えばガラス板やレンズ等、樹脂としては、例えば樹脂レンズ、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板等が挙げられる。
樹脂フィルムは本発明に係る薄膜形成装置1の電極間または電極の近傍を連続的に移送させて透明導電膜を形成することができるので、スパッタリングのような真空系のバッチ式でない、大量生産に向き、連続的な生産性の高い生産方式として好適である。
樹脂からなる基材2の材質としては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等が挙げられる。
また、本発明に用いられる基材2は、厚さが10〜1000μm、より好ましくは40〜200μmのフィルム状のものが使用されている。
次に、原料フィルム27について説明する。
原料フィルム27は、樹脂内に薄膜形成用原料を混合してフィルム状に形成したものである。つまり、原料フィルム27の表層には薄膜形成用原料が含有されていることとなる。
ここで樹脂としては、例えばセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等が挙げられる。
薄膜形成用原料には、酸素、窒素、フッ素、珪素、チタン、インジウム、スズのうち、少なくとも1つの元素が含有されている。
次に、支持部材10及び電極21A,21Bを形成する金属質母材11,211及び誘電体12,212について説明する。
金属質母材11,211と誘電体12,212と組み合わせとしては、両者の間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材11,211と誘電体12,212との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、例えば、(1)金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜、(2)金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング、(3)金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜、(4)金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング、(5)金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜、(6)金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング、(7)金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜、(8)金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング、等が挙げられる。線熱膨張係数の差という観点では、上記(1)または(2)および(5)〜(8)が好ましく、特に(1)が好ましい。
そして、金属質母材11,211は、チタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材11,211をチタンまたはチタン合金とし、誘電体12,212を上記組み合わせに応じる素材とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが可能となる。
本発明に有用な電極の金属質母材11,211は、チタンを70質量%以上含有するチタン合金またはチタン金属である。本発明において、チタン合金またはチタン金属中のチタンの含有量は、70質量%以上であれば、問題なく使用できるが、好ましくは80質量%以上のチタンを含有しているものが好ましい。本発明に有用なチタン合金またはチタン金属は、工業用純チタン、耐食性チタン、高力チタン等として一般に使用されているものを用いることができる。工業用純チタンとしては、例えばTIA、TIB、TIC、TID等が挙げられ、何れも鉄原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、水素原子等を極僅か含有しているものであり、チタンの含有量は99質量%以上を有している。耐食性チタン合金としては、T15PBを好ましく用いることができ、上記含有原子の他に鉛を含有しており、チタン含有量は98質量%以上である。また、チタン合金としては、鉛を除く上記の原子の他に、例えば、アルミニウムを含有し、その他バナジウムや錫を含有しているT64、T325、T525、TA3等を好ましく用いることができ、これらのチタン含有量としては、85質量%以上を含有しているものである。これらのチタン合金またはチタン金属はステンレススティール、例えばAISI316に比べて、熱膨張係数が1/2程度小さく、金属質母材11,211としてチタン合金またはチタン金属の上に施された誘電体12,212との組み合わせがよく、高温、長時間での使用に耐えることができる。
一方、誘電体12,212の求められる特性としては、具体的には、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、例えば、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等が挙げられる。この中では、セラミックスを溶射したものやガラスライニングにより設けたものが好ましい。特にアルミナを溶射して設けた誘電体12,212が好ましい。
または、大電力に耐えうる仕様の一つとして、誘電体12,212の空隙率が10体積%以下、好ましくは8体積%以下であることで、好ましくは0体積%を越えて5体積%以下である。また、大電力に耐えうる別の好ましい仕様としては、誘電体12,212の厚みが0.5〜2mmであることである。この膜厚変動は、5%以下であることが望ましく、好ましくは3%以下、更に好ましくは1%以下である。
次に、本実施形態の薄膜形成装置1の作用について説明する。
先ず、薄膜形成の開始に伴って、制御装置50は、各ガス供給部24から放電ガスを噴出させて、放電空間Bにガスを供給させる。この際、ガス供給部24から噴出されたガスは、原料フィルム27により仕切られた空間を介して、一対の電極21A,21Bにより形成された放電空間Bにまで至る。
そして、放電空間Bにガスが供給されると、制御装置50は、駆動源51を制御して、第1ガイドローラ14、第2ガイドローラ16及び支持部材10を回転させて、基材2を支持部材10の周面に密着させて搬送させるとともに、巻取部29を制御して、原料フィルム27を電極21A,21Bに表面に密着させて搬送させる。
基材2の搬送が開始されると、制御装置50は、電源23をONにして、電極21A,21Bに電界を印加し、放電空間Bに放電プラズマを発生させる。放電プラズマは、図4に示すように、ガス供給部24からの噴出力によって放電空間Bから基材2に向けて噴出される。放電プラズマが発生する空間をプラズマ空間Hといい、上述の噴出力により電極21A,21Bの放電面21a,21bから下方に向けてはみ出すことになる。
さらに、支持部材10及び電極21A,21Bは、それぞれ温度調節装置4、6によってその表面温度が制御され、かつ加熱部材28においてもその表面温度が制御されているために、基材2及び原料フィルム27がプラズマ空間Hに進入する以前に予め連続的に加熱されることとなる。このため、プラズマ空間Hに基材2及び原料フィルム27が進入したとしても急激かつ過剰に熱影響を受けることを防止でき、放電プラズマの熱による収縮を抑えることができる。したがって、基材2及び原料フィルム27に皺やツレが発生することを、さらに防止することができる。なお、連続的に加熱しなくても段階的に加熱してもよい。
そして、基材2が、電極21A,21Bから下方にはみ出したプラズマ空間H内を通過することで、基材2上には薄膜が形成される。具体的に説明すると、プラズマ空間H内では、フッ素化合物、酸素、酸素化合物、硫黄化合物のうち、放電ガスに含有されているものが活性化している。さらに、プラズマ空間H内には原料フィルム27が進入しているために、図7に示すように、酸素、窒素、フッ素、珪素、チタン、インジウム、スズのうち、原料フィルム27の表層に含まれる元素Gが放出されることになる。つまり、プラズマ空間H内には薄膜の原料となる各種物質が存在しているため、基材2がプラズマ空間Hを通過すれば基材2上に各種物質が堆積して薄膜が形成される。
ここで、プラズマ放電処理中の基材2の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成が変化する場合もあるので、薄膜形成中においても、温度調節装置4によって温度制御された媒体を支持部材10内に循環させて、支持部材10の表面温度を制御し、基材2の温度を適宜調節することが好ましい。ここで、温度調節装置4は、基材2が所定の性能を発揮できる温度となるように、温度調節用の媒体を20℃〜300℃、好ましくは80℃〜100℃に温度調節している。一方、温度調節装置6においても、温度調節用の媒体を20℃〜300℃、好ましくは80℃〜100℃に温度調節する。ただし、下限温度としては、使用する放電ガスの気化条件温度を下回らないように前記媒体を温度調節しなければならない。
そして、薄膜が形成された基材2は、ガイドローラ16を介して次行程まで搬送される。
以上のように、本実施形態の薄膜形成装置1によれば、フィルム用搬送機構30によって原料フィルム27が搬送されて、流路を形成する電極21A,21Bの表面に密着すると、原料フィルム27は放電プラズマに晒されることになる。この際、原料フィルム27の表層中の薄膜形成用原料は放電プラズマによって原料フィルム27外に放出されて、基材2上に堆積され薄膜を形成することができる。したがって、ガス化して供給することが困難な物質であっても、これらの物質が少なくとも表層にふくまれた原料フィルム27を用いれば基材2上に薄膜を形成することができる。
また、原料フィルム27が常にフィルム用搬送機構30によって搬送されているので、常に放電プラズマ内に薄膜形成用原料を安定して供給することができる。
さらに、電極21A,21Bの表面は原料フィルム27によって覆われることになるので、原料フィルム27から放出された薄膜形成用原料が電極21A,21Bの表面に堆積することを防止できる。
なお、本発明は上記実施形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
例えば、本実施形態では、支持部材10に支持された基材2に対して、活性化したガスを噴出することにより薄膜を形成するリモートプラズマ方式について例示したが、例えば、電極21A,21Bの底面を放電面とするとともに、支持部材10に電界を印加することによって、支持部材10及び電極21A,21Bの間を放電空間にし、基材2上に薄膜を形成するダイレクトプラズマ方式についても適用可能である。
以下、ダイレクトプラズマ方式の薄膜形成装置について図8を参照にして説明するが、この薄膜形成装置においては、上記実施形態の薄膜形成装置1における支持部材を電極として機能させたものである。このため、以下の説明では上記実施形態の薄膜形成装置1と同一部分においては同一符号を付して説明を省略する。
図8は、ダイレクトプラズマ方式の薄膜形成装置に備わる薄膜形成ユニット20Aを表す側面図である。この薄膜形成ユニット20Aに備わる支持部材10Aは、フィルタ8を介して電源9が接続されており、基材2を搬送するとともに電極として機能し、電極21A,21Bの支持部材10Aに対向する面21c,21dが放電面として機能するようになっている。つまり、ガス供給部24からガスを噴出して、支持部材10Aと電極21A,21Bとの間隔aにガスを充満させ、支持部材10A及び電極21A,21Bに電界を印加すれば、この間隔a内で放電プラズマが発生する。そして、プラズマ空間h内には基材2が配置されているので、基材2は活性化したガスに晒されてその表面に薄膜が形成されるのである。
また、本実施形態では、原料フィルム27として、樹脂に薄膜形成用原料を混合してフィルム状に形成したものを例示したが、少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んでいるのであれば、如何なるものであってもよく、例えば、樹脂フィルムの表面に薄膜形成用原料からなる原料層が形成された原料フィルムが挙げられる。なお、ここで原料フィルムの表側とは、原料フィルムが電極に密着した際に、電極に接触する面の反対側のことである。この場合、原料フィルムが電極に密着する以前に、原料層が形成されていれば薄膜形成が可能であるために、初期状態で原料層を有した原料フィルムを用いてもよいし、初期状態で原料層のない樹脂フィルムを用いて、薄膜形成装置内で原料層を形成してもよい。なお、薄膜形成装置内で原料層を形成する場合には、フィルム用搬送機構における電極の上流側に、樹脂フィルムの表面に原料層を形成して、原料フィルムを作成する原料フィルム作成装置を設けておくことが必要である。ここで樹脂フィルムの表面に原料層を形成できるのであれば如何なる手法を用いてもよいが、例えば、樹脂フィルムの表面に対して薄膜形成用原料を噴霧、塗布、スパッタリングなどによって定着させて、原料層を形成する手法が挙げられる。
[基材]
基材には、コニカミノルタ製セルロースアセテートフィルムの上にクリアハードコート層を形成したものを用いた。ここでクリアハードコート層の形成には、下記のクリアハードコート層(紫外線硬化樹脂層)用塗布液を孔径0.4μmのポリプロピレン層フィルタで濾過して調製し、これをマイクログラビアコーターによってコニカミノルタ製セルロースアセテートフィルムの表面上に塗布し、90℃で乾燥の後、紫外線を150mJ/cm2で照射して塗布層を硬化させることで、厚さ5μmのクリアハードコート層が形成された。
<クリアハードコート層用塗布液>
シペンタエリスリトールヘキサアクリレート 100質量部
(2量体及び3量体以上の成分を含む)
光反応開始剤(ジメトキシベンゾフェノン) 4質量部
酢酸エチル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
[薄膜形成方法]
反射防止膜の低屈折率層で利用されるSiO2にフッ素元素をドープすることにより形成される超低屈折率膜、フッ素系薄膜にシリコン元素をドープすることにより形成されるF−Siハイブリット超撥水膜及び膜厚方向で組成が徐々に変化する傾斜膜を、各種条件を変えつつ上記のダイレクトプラズマ方式の薄膜形成装置を用いて基材上に作成した。
<超屈折率膜の形成条件>
《ガス組成》
放電ガス 窒素 98.9体積%
テトラエトキシシラン(薄膜形成ガス) 0.1体積%
(リンテック社製気化器にてアルゴンガスに混合して気化)
酸素ガス 1.0体積%
《放電条件》
電力密度 支持部材 6W/cm2
電極 3W/cm2
そして、クリーニングフィルムとして厚さ80μmの日東電工(株)製ニトフロン含漫ガラスクロスNo.9700UL(平滑タイプ)を使用して基材上にSiO2薄膜を95nm製膜した。なお、ここではクリーニングフィルムの搬送速度を高速(20cm/min)と低速(5cm/min)とに変更して製膜を行った。高速で製膜されたものを実施例1、低速で製膜されたものを実施例2とする。
また、比較例1は、クリーニングフィルムとして厚さ50μmの帝人デュポンフィルム(株)製テトロンSフィルムを使用し、搬送速度を20cm/minで基材上にSiO2薄膜を95nm製膜した。
実施例1,2と比較例1の評価結果を表1に示す。なお、ここでの評価では、薄膜中の元素分析はX線光電子分光法(ESCA)を使用し、屈折率はJ.A.Woollam社製エリプソメータ(M−44)を使用している。下記表1に示すとおり、実施例1,2のようにテフロン(登録商標)含漫ガラスクロスをクリーニングフィルムとして利用すれば、クリーニングフィルム中に含まれるフッ素元素を薄膜中に取り込むことができ、その結果、薄膜の屈折率を従来のSiO2薄膜(比較例1)の屈折率よりも小さくすることができた。また、クリーニングフィルムの搬送速度を変化させることでフッ素元素量の混入量を調整することができ、これにより屈折率の調整が可能となることが分かった。
Figure 0004438365
<F−Siハイブリッド超撥水膜の形成条件>
《ガス組成》
放電ガス 窒素 98.5体積%
六フッ化プロピレン(薄膜形成ガス) 0.5体積%
水素ガス 1.0体積%
《放電条件》
電力密度 支持部材 6W/cm2
電極 3W/cm2
そして、クリーニングフィルムとして厚さ38μmの三菱化学ポリエステルフィルム(株)製シリコン離型剤コート済みポリエステルフィルムMRD−38を使用して基材上にフッ素樹脂膜を5〜10nm製膜した。なお、ここではクリーニングフィルムの搬送速度を高速(20cm/min)、中速(10cm/min)、低速(5cm/min)に変更して製膜を行った。高速で製膜されたものを実施例3、中速で製膜されたものを実施例4、低速で製膜されたものを実施例5とする。
また、比較例2は、クリーニングフィルムとして厚さ50μmの帝人デュポンフィルム(株)製テトロンSフィルムを使用し、搬送速度を20cm/minで基材上にフッ素樹脂膜を5〜10nm製膜した。
実施例3〜5と比較例2の評価結果を表2に示す。なお、ここでの評価では、薄膜中の元素分析はX線光電子分光法(ESCA)を使用した。また、水接触角はFIBLO社製接触角測定器(1100DAT)により計測し、水滑落角は試料台に貼り付けた製膜サンプル上に純水を5μlの液滴で垂らし、5度刻みに試料台を傾斜させて、水の液滴が滑落をはじめる角度を測定した。下記表2に示すとおり、実施例3〜5のようにシリコン離型剤コート済みポリエステルフィルムMRD−38をクリーニングフィルムとして利用すれば、クリーニングフィルムに含まれるSi元素を薄膜中に取り込むことができ、その結果、水の滑落角を大幅に低減できることが分かった。また、クリーニングフィルムの搬送速度を変化させることでSi元素量の混入量を調整することができることも分かった。
Figure 0004438365
<傾斜膜の形成条件>
《ガス組成》
放電ガス 窒素 99.4体積%
テトライソプロポキシチタン(薄膜形成ガス 0.1体積%
(リンテック社製気化器にてアルゴンガスに混合して気化)
水素ガス 0.5体積%
《放電条件》
電力密度 支持部材 3W/cm2
電極 1W/cm2
そして、クリーニングフィルムとして厚さ38μmの三菱化学ポリエステルフィルム(株)製シリコン離型剤コート済みポリエステルフィルムMRD−38を使用して基材上にTiO2を20nm製膜した。なお、ここではクリーニングフィルムの搬送速度を高速(20cm/min)と低速(5cm/min)とに変更して製膜を行った。高速で製膜されたものを実施例6、低速で製膜されたものを実施例7とする。
また、比較例3は、クリーニングフィルムとして厚さ50μmの帝人デュポンフィルム(株)製テトロンSフィルムを使用し、搬送速度を20cm/minで基材上にTiO2薄膜を20nm製膜した。
実施例6,7と比較例3の評価結果を表3に示す。なお、ここでの評価では、薄膜中の元素分析はX線光電子分光法(ESCA)を使用した。下記表3に示すとおり、実施例6,7のようにシリコン離型剤コート済みポリエステルフィルムMRD−38をクリーニングフィルムとして利用すれば、クリーニングフィルムに含まれるSi元素を薄膜中に取り込むことができ、かつ薄膜の深さ方向で混入されたSi元素量が変化していることが分かった。また、クリーニングフィルムの搬送速度を変化させることでSi元素量の混入量を調整することができることも分かった。
Figure 0004438365
本実施形態に係る薄膜形成装置の概略構成を表す側面図である。 図1の薄膜形成装置に備わる支持部材を表す斜視図である。 図1の薄膜形成装置に備わる薄膜形成ユニットを表す側面図である。 図3の薄膜形成ユニットを表す側面図である。 図3の薄膜形成ユニットに備わる電極を表す斜視図である。 図1の薄膜形成装置の主制御部分を表すブロック図である。 図1の薄膜形成装置によって薄膜が形成される際に、原料フィルムに含まれる薄膜形成用原料の放出状態を表す説明図である。 図1の薄膜形成装置の変形例を表す側面図である。
符号の説明
1 薄膜形成装置
21A,21B 電極
27 原料フィルム
30 フィルム用搬送機構

Claims (8)

  1. 互いに対向して放電ガスの流路を形成するとともに、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して高周波電界を発生させて、放電プラズマを発生させる一対の電極と、
    少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを、前記一対の電極のうち少なくとも一方の前記流路を形成する表面に密着させて搬送するフィルム用搬送機構とを備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 互いに対向して放電ガスの流路を形成するとともに、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で高周波電界を発生させて、放電プラズマを発生させる一対の電極と、
    少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを、前記一対の電極のうち少なくとも一方の前記流路を形成する表面に密着させて搬送するフィルム用搬送機構とを備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載の薄膜形成装置において、
    前記フィルム用搬送機構は、
    前記原料フィルムの元となる樹脂フィルムが前記電極に密着する以前に、前記薄膜形成用原料からなる原料層を前記樹脂フィルムの表面に形成して、前記原料フィルムを作成する原料フィルム作成装置を備えることを特徴とする薄膜形成装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の薄膜形成装置において、
    前記放電ガスには、水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素のうち、少なくとも1種が含有されていることを特徴とする薄膜形成装置。
  5. 互いに対向して放電ガスの流路を形成する一対の電極のうち、少なくとも一方の前記流路を形成する表面に対して、少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを密着搬送させ、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して高周波電界を発生させて放電プラズマを発生させ、前記原料フィルムを前記放電プラズマに晒させながら搬送することにより、前記薄膜形成用原料を前記原料フィルム外に放出させて基材上に堆積させることによって薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
  6. 互いに対向して放電ガスの流路を形成する一対の電極のうち、少なくとも一方の前記流路を形成する表面に対して、少なくとも表層に薄膜形成用原料を含んだ原料フィルムを密着搬送させ、前記流路内を通過する前記放電ガスに対して大気圧又は大気圧近傍の圧力下で高周波電界を発生させて放電プラズマを発生させ、前記原料フィルムを前記放電プラズマに晒させながら搬送することにより、前記薄膜形成用原料を前記原料フィルム外に放出させて基材上に堆積させることによって薄膜を形成することを特徴とする薄膜形成方法。
  7. 請求項5又は6に記載の薄膜形成方法において、
    前記原料フィルムの元となる樹脂フィルムが前記電極に密着する以前に、前記薄膜形成用原料からなる原料層を前記樹脂フィルムの表面に形成して、前記原料フィルムを作成することを特徴とする薄膜形成方法。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項に記載の薄膜形成方法において、
    前記放電ガスには、水素、酸素、酸素化合物、フッ素、フッ素化合物、硫黄化合物、アルゴン、窒素のうち、少なくとも1種が含有されていることを特徴とする薄膜形成方法。
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