JP4341320B2 - 印刷用塗工紙及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水和珪酸または水和珪酸塩を、紙の塗工用顔料として用いることで、白紙光沢度、不透明度、白色度に優れる光沢塗工紙及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、カタログや書籍などの印刷は、その印刷物を際立たせるため、写真や図案の多用、更にはカラー化などを行うことが主流となっている。このような、より視覚的に内容を強力に伝達させる手段(以下視覚化という)の一端として、塗工紙においても、より一層の視覚化改善が求められている。
【0003】
この塗工紙に対する視覚化改善の具体的な項目としては、紙の白色度、不透明度、白紙光沢度、印刷光沢度の改善である。このうち白色度はコントラストに、不透明度は裏抜けに、光沢度は印刷物の高級感に関係し、かつこれらが全て良いバランスで満足されることが重要である。
【0004】
一方、省資源、輸送コストなどの点から印刷物の軽量化に対しても強い要望がある。これら視覚化と軽量化の二つの要望は相反するものであり、視覚化に適する高級グレードの塗工紙は原紙坪量、塗工量とも多く、高価であって、軽量、低価格の要望にそぐわない。そこで、低坪量、低塗工量のいわゆる低級グレードで高品質の塗工紙が求められている。
【0005】
しかし、低坪量原紙の上に厚い塗工層を設ければ、印刷適性は低坪量化前の水準を維持することができるが、不透明度はむしろ低下するので実用的でない。逆に高坪量原紙上に低塗工量の塗工層を設けると、不透明度は十分であるが、低坪量化には必要以上に塗工量を減らさざるをえなくなるため、印刷品質が不十分となり、やはり実用的でない。さらに、視覚化改善のため、強カレンダー処理を行い、白紙光沢度を高くすると、紙厚が低下し、これは不透明度を下げる一因となるばかりか、時として白色度低下まで招いてしまう。このような視覚化と軽量化の2つの要因から、坪量と塗工量は一定のバランスが重要となる。そのため、低坪量原紙には低塗工量塗工層、高坪量原紙には高塗工量塗工層の塗工紙ということになり、一般的に低坪量品は高坪量品と比較して白色度、不透明度、白紙光沢度および印刷光沢度は劣る。このような状況において、低坪量品で従来よりも白色度、不透明度、白紙光沢度および印刷適性に優れているものが求められている。
一般に塗工紙は、不透明度は坪量が80g/m2以下になると急激に低下する。ある程度坪量を低下させても紙厚と不透明度を維持するためには、原紙または塗工層を低密度で嵩高とすることが考えられる。原紙の嵩高性を維持するためには、機械パルプの使用が有効であるが、機械パルプの配合により塗工紙の白色度や退色、平滑性の悪化が問題となり、実用的ではない。また、原紙中に填料特に二酸化チタンを配合すると不透明度は向上することが知られているが、操業性の問題があり、また、高価なためコスト的に好ましくない。
【0006】
近年では高白紙光沢度を得るために、各種顔料を微粒化することが、多く試みられている。市販されているものとしては、微粒カオリンや微粒の重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなどである。しかし、微粒カオリンは高白紙光沢度にはなるものの、白色度に劣る。一方、炭酸カルシウムは微粒化することによって白紙光沢度が向上するが、反面、白色度・不透明度などの光学特性が低下してしまう。また、塗工層を低密度化させることで不透明度を向上させる方法も検討されており、例えば、中空の合成樹脂カプセルを内添すること合成有機発泡性填料(例えば商品名:EXPANSEL、日本フィライト株式会社製)を内添し乾燥時に発泡させることが知られている。しかし中空合成樹脂カプセルや発泡性填料は、混合や発泡条件が難しく、また価格も高いことから、現在のところ実用的な手段ではない。
【0007】
一方、シリカを塗工層に含ませることで、不透明度や印刷適性を改善する方法について、検討されている。例えば、顔料として合成非晶質シリカ(水和珪酸)を全顔料に対して10〜100重量%配合するオフセット印刷用新聞用紙等に適した微塗工紙の製造について示されている(特許文献1参照)。しかしながら、合成非晶質シリカを顔料として用いると、微塗工紙の印刷後不透明度が高い効果が示されてのみであり、実際に白紙光沢度向上効果に劣り、表面強度にも劣る問題があった。
【0008】
また、サンドミル、又はコロイドミルで処理した水和珪酸または珪酸塩を含む顔料で、塗工紙の白色度、白紙光沢度を改善する方法について示されている(特許文献2参照)。しかしながら、処理後の粒子は325メッシュ(目開き44μm)を通過させたものであり、白紙光沢度向上に劣り、不透明度に劣る問題があり、白紙光沢度、白色度、不透明度を同時に向上させることはできない。更に、通常の一般塗工紙を製造する際に用いられる他の顔料と比較しても水和珪酸は高吸油性で、高濃度化が難しく、すなわち内部空隙を多く持つ構造を持ち、水に分散する際には内部に多くの水を取りこむため、現在行われているような固形分60%以上の高濃度な塗料を調整することが困難であり、流動性に劣り、操業性に問題があった。
以上のように従来の技術では、白紙光沢度、白色度、不透明度をそれぞれ同時に向上させ、品質や操業性に優れた印刷用塗工紙を得ることは困難であった。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−189995号公報
【特許文献2】
特開昭56−67371号公報
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況に鑑み、本発明者の課題は、白紙光沢度、白色度、不透明度が高く、印刷表面強度に優れ、流動性が良好で操業性に優れる印刷用塗工紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題について鋭意研究を重ねた結果、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を有する塗工紙において、顔料として、平均粒子径が1〜50μmの範囲にある水和珪酸または珪酸塩を、湿式粉砕により平均粒子径が0.1〜4.0μmまで粉砕した水和珪酸または珪酸塩を、顔料100重量部当たり1〜30重量部含有し、接着剤を顔料100重量部に対して、8〜30重量部含有することにより、白紙光沢度、白色度及び不透明度が高く、表面強度や塗工液の流動性に優れた印刷用塗工紙、及びその製造方法を見出し、本発明をなすに至った。
【0011】
今回発明した水和珪酸または珪酸塩を、光沢塗工紙に用いた場合、従来用いられていた塗工紙用顔料として広く用いられている炭酸カルシウムより高い光沢発現性を示し、さらにカオリンより高い白色度、不透明度を塗工紙に付与することができる。一方、塗工紙の生産性を損なうこともない。
【0012】
尚、本発明における平均粒子径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定法(マルバーン(株)製、マスターサイザーS)を用いて体積粒度分布を測定し、50%点の粒径の値である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明について、詳細な説明を行う。
【0014】
本発明において、塗工層の顔料として使用される水和珪酸または珪酸塩は、アルカリ珪酸塩に鉱酸または酸性金属塩水溶液を用いて中和することで得られる、一般に沈降法と呼ばれる方法で製造されたものでも、鉱酸または酸性金属塩水溶液の酸性溶液にアルカリ珪酸塩を投入し、中和することで得られるゲル法と呼ばれる手法の、いずれの方法で製造されたもの、あるいはさらに、得られた水和珪酸または珪酸塩をスプレードライヤーや熱風乾燥機等を用いて乾燥させ、再度水中に分散させたものを、湿式粉砕により平均粒子径を0.1〜4.0μmに調整したものを使用する必要がある。
【0015】
本発明のアルカリ珪酸塩とは、ナトリウム、カリウムのようなアルカリ溶液中に溶解した形のケイ酸を言い、一般的に工業用に用いられるものは、ケイ酸ソーダ(ナトリウム)もしくはケイ酸カリウムである。また、本発明で用いている水和珪酸または珪酸塩を形成するためには、ケイ酸とアルカリのモル比はいずれでも良いが、コスト面や入手しやすさ、また生産性の点からも、SiO2:Na2Oのモル比が2.0〜4.0のものが好ましい。ここで、鉱酸とは、硫酸、硝酸、塩酸、リン酸のように一般的に有機物を含まない酸をいい、炭酸塩もこれに含まれる。また、酸性金属塩水溶液とは、アルカリ土類金属または各種金属の硫酸塩、塩化物、硝酸塩などの無機酸によって溶解した液状のもをいう。ただし、工業的なコストおよびハンドリング、また通常水和珪酸を製造する際に、硫酸が多く用いられる点から、硫酸酸性金属塩水溶液が好ましい。
【0016】
ここで酸性金属塩水溶液に用いられる金属は、酸性溶液中で溶解するものであるならばいずれでも良く、具体的には各々の金属の塩化物、硫化物硝酸化合物、硫酸化合物、臭酸化合物、リン酸化合物、しゅう酸物、コハク酸化合物等いずれでも良い。また金属としては、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属、あるいはチタン、ジルコニウム、ニッケル、鉄、アルミニウムなどが挙げられる。これら酸性金属塩水溶液は、中和の全てでも一部でも良く、一部の場合には残量を鉱酸により中和することも可能である。
【0017】
アルカリ珪酸塩を鉱酸または酸性金属塩水溶液で中和する反応、もしくはこの逆の反応は、連続式で行っても、数回に分けても行っても特に問題はなく、中和の合間に熟成と呼ばれる酸添加を一次中断し、攪拌のみで放置する時間を設けてもよい。また、アルカリ珪酸塩濃度や、鉱酸、酸性金属塩水溶液の濃度についても、特に規定はないが、生産性を向上させるために、アルカリ珪酸塩濃度は、3〜10重量%が好ましく、鉱酸濃度は、10重量%以上が好ましい。これらのアルカリ珪酸塩と鉱酸または酸性金属塩水溶液を、攪拌した状態で徐々に混合し、pHを6〜8の中性付近に近づけることで、水和珪酸または珪酸塩の一次粒子が析出してくる。この一次粒子はさらに塊状となることで、二次粒子を形成する。本発明で規定している平均粒子径とは、この二次粒子径を示す。本発明においては、反応終了後の二次粒子の平均粒子径は、白紙光沢度、白色度、不透明度を同時に向上させるためには、1〜50μmが好ましく、より好ましくは3〜30μmである。この原因は、平均粒子径が1〜50μmの水和珪酸または水和珪酸塩を粉砕した場合は、吸油度が適度の範囲を保ち、水和珪酸の内部構造がポーラスになり、結果として水和珪酸が構成する塗工層の内部構造が変化するため、不透明度、白色度、白紙光沢度が同時に向上すると考えられる。
また特開平8−91820号公報に示されるような、反応途中に強力剪断力に基づく徹底的な湿式粉砕処理は、非常に有効である。この手法を用いると、目的とする水和珪酸または珪酸塩のトータルの粉砕時間を短くして、製造効率をよくするばかりか、反応途中に粉砕を行い粒径を制御したものは、反応途中に粉砕を行わなかったものとくらべ、同一粒子径において、高い不透明度、白色度の上昇が見られる。これらの理由も明確ではないが、おそらくは粉砕により一次粒子の成長が変化すること、反応後に行う粉砕より、吸油度の低下幅が小さいことが、その要因と考えられる。
【0018】
次に、本発明においては、中和反応終了後の水和珪酸または水和珪酸塩を湿式粉砕より、平均粒子径を0.1〜4.0μmに調整することが重要である。湿式粉砕を行わず、水和珪酸または水和珪酸塩の平均粒子径0.1〜4.0μmに調整したものは吸油度が高く、水和珪酸は他の顔料に比べ極端に流動性が悪いため、塗料粘度上昇、流動性悪化という事態となり、結果として塗工濃度をあげることができない。この塗工濃度の低下は、塗工紙製造時のドライヤーでの乾燥負荷が増えるため、塗工速度は遅くなり、生産性が低下してしまう。また、反応終了後に湿式粉砕により、水和珪酸または水和珪酸塩を平均粒径が0.1μm未満のものを用いる場合、不透明度、白色度の向上効果は著しく低い。また、4.0μmを超えるものを用いると吸油度が高くなるため、ハイシェア粘度が高くなるため、塗工適性に劣り、さらに0.1〜4.0μmのものにくらべ、明らかに光沢発現性に劣る。このように、中和反応終了時以降に粉砕を行い、粒径を制御すると共に、吸油度を適正な範囲に収め、塗工適性を損なわず、光沢度、不透明度、白色度を改善することが重要となる。本発明においては、吸油量は塗工適性の点から、また吸油度に関係する細孔は、塗工層の内部構造へも大きく影響しているため、50〜250ml/100gであることがが好ましい。
【0019】
本発明において用いる粉砕機としては、特許公報2908253号公報に記載されるボールミル、ロッドミル等の広義のボールミルや、タワーミル、アトライター、セイトリーミル、サンドグラインダー、アニューラミル等の媒体撹拌式粉砕機、コロイドミル、ホモミキサー、インラインミル等の高速回転粉砕機などが挙げられる。本発明で析出するシリカあるいはシリケート粒子は非常に微細であり、前記の粉砕機のほか分散機や乳化機の類で粉砕することもできるから、これらを粉砕機と組み合わせて使用しても差し支えない。また、粉砕メディアとしてはガラス、セラミック、アルミナ、ジルコニア等の硬質原料で製造された球状のボールが挙げられ、粒子径は0.1〜10mmであることが好ましい。粉砕効率を考慮すると、メディアの充填率はできる限り高い方が好ましいが、充填率が高すぎる場合は粉砕室内でのメディアの動きが制限され、逆に粉砕効率を低下させることもあり、使用する粉砕機に応じて適宜調節する。
【0020】
このようにして製造された0.1〜4.0μm、好ましくは0.3〜3.5μm、更に好ましくは0.5〜3.5μmの平均粒子径を有する水和珪酸または水和珪酸塩は、塗工濃度を含めた塗工適性を損なわず、光沢塗工紙の光沢度、不透明度、白色度を改善することに、最も適しているものであり、安価で白紙光沢度、白色度、不透明度を同時に改善する優れた顔料である。
【0021】
また、本発明で使用する0.1〜4.0μmの水和珪酸または珪酸塩の含有量は、顔料100重量部当たり1〜30重量部であり、好ましくは2〜25重量部、更に好ましくは5〜20重量部である。含有量が1重量部未満の場合は、白紙光沢度、不透明度、白色度がいずれも劣る。含有量が30重量部を超える場合は、印刷表面強度に劣る。これは吸油性やBET比表面積が高いことからもわかるように、水和珪酸は他顔料より、微細な細孔を多く持ち、これが、塗料中の接着剤(バインダー)を自身の中に取り込んでしまい、本来紙と顔料の接着を目的としたバインダーが、効果を失うことが原因と推測される。
【0022】
本発明において使用するその他の顔料については特に規定するものではないが、一般的に光沢塗工紙に使用される重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、サチンホワイト、プラスチックピグメント、二酸化チタン等を1種以上併用してもよい。
【0023】
本発明の塗工層で使用する接着剤としては一般的な塗工紙の製造に用いられるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスを用いる。その組成はスチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル共重合体あるいはその変性物が使用され、モノマーとしてはスチレン、ブタジエンの他、メチルメタアクリレート他ビニル系不飽和カルボン酸エステル化合物や、アクリロニトリル等その他ビニル化合物、あるいはアクリル酸、フマル酸等ビニル系不飽和カルボン酸を用いるのが好ましい。
【0024】
また、ラテックス以外に塗料の保水性を維持し、原紙の内部結合強度を高めるために、酸化デンプン、エステル化あるいはエーテル化デンプン、酵素変性デンプンやそれらをフラッシュドライして得られる冷水可溶性デンプン、カゼイン等の天然系接着剤、ポリビニルアルコール等の合成系接着剤を併用しても良い。これらの接着剤は顔料100重量部に対してあたり8〜30重量部使用するのが好ましく、より好ましくは10〜25重量部である。
【0025】
本発明の塗工液には分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤等通常の塗工紙用組成物に配合される各種助剤を適宜使用しても良い。
【0026】
かくして調製された塗工組成物は一般の塗工紙製造に用いられているブレードコータ、エアナイフコータ、ロールコータ、バーコータ、スプレーコータ等の塗工装置を設けたオンマシンあるいはオフマシンコータによって原紙上の片面あるいは両面に単層あるいは多層塗工される。その際、塗料固形分濃度は40〜68%であることが好ましい。また、原紙としては一般の印刷用塗工紙に用いられる坪量30〜200g/m2の原紙が好ましく、必要に応じて上質紙、中質紙、再生紙を選択して使用する。塗工液の塗工量は、原紙片面当たり、固形分で2〜20g/m2、好ましくは6〜15g/m2範囲で塗工するのが好ましい。また白紙光沢度、平滑度を向上させるためにスーパーカレンダ、ソフトカレンダで等の仕上げ装置で処理をするのが好ましい。本発明は、坪量40〜200g/m2の印刷用光沢塗工紙として適しており、特に坪量80g/m2以下の低坪量品において、優れた効果を発揮するものである。
【0027】
【実施例】
以下に本発明を実施例および比較例をあげてより詳細に説明するが、当然ながら、本発明は実施例のみに限定されるものではない。なお、例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
[品質評価方法]
(1)平均粒子径:分散剤ヘキサメタリン酸ソーダ0.2重量%添加した純水中に試料スラリーを滴下混合して均一分散体とし、レーザー法粒度測定機(マスターサイザーS:malvern社製)を用いて測定し、体積平均で50%点を平均粒子径とした。
(2)吸油量:JIS K5101に準じた。
(3)白紙光沢度:JIS P8142に準じ、村上色彩研究所製の光沢度計を用い、75°光沢度を測定した。
(4)白色度:デジタルハンター白色度計(東洋精機製作所製)を用いてJISP−8123に準じて測定した。
(5)不透明度:JIS P8138に準じ、色差計(村上色彩研究所製)を用いて測定した。
(6)印刷表面強度:RI−II型印刷機(明製作所製)を用い、オフセット印刷用インキ(東洋インキ製造(株)製TV−24)を使用し、インキ量0.3ml一定で印刷し、印刷面のピッキングの程度を目視で相対的に評価した。
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
[実施例1]
〈水和珪酸塩の合成〉
(1)第1工程;反応容器(200リットル)中で市販の3号珪酸ソーダ(SiO2:20.0% 、Na2O:9.5%)を水で希釈し、SiO2 として6.7重量%の希釈珪酸ソーダ溶液200リットルを調製した。この珪酸ソーダ溶液を85℃に加熱したのち、中和当量の20%に相当する量の硫酸アルミニウム(Al2O3分として濃度8重量%)を200g/分の滴下速度で、粗大ゲルが発生しない十分な強撹拌下で添加し、その後、中和当量の20%に相当する量の硫酸 (濃度98重量%) を同様に添加した。添加終了後、得られた部分中和液を攪拌下で熟成処理を行うと同時に、縦形サンドグラインダー(容量2ガロン、直径1mmガラスビーズ充填率70%)により粒径7μmを目標に循環粉砕処理した。この熟成、粉砕処理を3時間行った。
(2)第2工程;次いで、スラリー温度を90℃に昇温し、第1工程と同濃度の硫酸を第1工程同様の条件で、中和当量の80%まで添加し、攪拌下で32分間熟成した。
(3)第3工程;引き続き、熟成後のスラリーに同濃度の硫酸を76g/分の添加速度で同様に添加し、スラリーpHを6に調節した。
(4)反応後粉砕;(3)で得られたスラリーを、15重量%スラリーとし、ビーズ径0.6〜0.8mmのガラスビーズ(東洋バロティーニ社製)を充填率80%となるように、横型サンドグラインダーを用いて湿式粉砕を行い、最終的な平均粒径を1.0μmとした。
〈塗工紙の作成〉
上記で得られた水和珪酸塩5部に微粒重質炭酸カルシウム(FMT90:株式会社ファイマテック)55部、微粒カオリン(アマゾンプラス:CADAM 社製)40部を配合し、接着剤として全顔料に対してスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックス(平均粒子径95nm)11部、さらにリン酸エステル化デンプン3.5部、塗工助剤として滑剤0.4部、耐水化剤0.35部を添加して固形分濃度で65%の塗工液を調製した。かくして調製された塗工液を坪量50g/m2の上質原紙にブレードコータで塗工量片面あたり8g/m2になるように両面塗工した。さらにスーパーカレンダで処理温度65℃、処理線圧100kg/cm、2ニップの条件で表面処理して印刷用塗工紙を得た。
[実施例2]
反応後粉砕で水和珪酸塩の平均粒子径を3.5μmにした以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
[実施例3]
反応後粉砕で水和珪酸塩の平均粒子径を2.3μmにした以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
[実施例4]
反応後粉砕で水和珪酸塩の平均粒子径を0.5μmにした以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
[実施例5]
実施例1において、第1工程で、珪酸ソーダ液を85℃に加熱したのち、中和当量の20%に相当する量の硫酸アルミニウム(Al2O3分として濃度8重量%以下バンドと表示)を200g/分の滴下速度で、粗大ゲルが発生しない十分な強撹拌下で添加し、その後、中和当量の20%に相当する量の硫酸 (濃度98重量%) を同様に添加し、反応後粉砕による最終的な平均粒子径を1.0μmにする代わりに、珪酸ソーダ液を85℃に加熱したのち、粗大ゲルが発生しない十分な強撹拌下において、中和当量の40%に相当する量の硫酸(濃度98重量%)を200g/分で添加し、反応後粉砕による最終的な平均粒子径を0.8μmに調整した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
[比較例1]
第1工程において、反応途中で粉砕を行わず、反応後の粉砕で水和珪酸塩の平均粒子径を6.0μmにした以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
[比較例2]
反応後に粉砕しない平均粒子径2.7μmの水和珪酸にした以外は、実施例5と同様に印刷用塗工紙を得た。
[比較例3]
反応後粉砕で平均粒子径を1.0μmにした水和珪酸塩5部の代わりに、反応粉砕で平均粒子径を1.5μmにした水和珪酸塩を40部配合した以外は、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
[比較例4]
微粒重質炭酸カルシウム(FMT90:株式会社ファイマテック)60部、微粒カオリン(アマゾンプラス:CADAM 社製)40部を配合し、実施例1と同様に印刷用塗工紙を得た。
【0028】
表1及び2に結果を示す。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
表1、2の結果から明らかなように、特定粒径の粉砕した水和珪酸塩または水和珪酸を用いた実施例1〜5は、白紙光沢度、不透明度、白色度が高く、表面強度に優れ、塗工液の流動性が良好で操業性にも優れる光沢塗工紙を得ることができる。比較例1は、白紙光沢度、表面強度に劣る。比較例2は、流動性に劣る。比較例3は、流動性、表面強度に劣る。比較例4は、白紙光沢度、不透明度に劣る。
【0031】
【発明の効果】
本発明により、白紙光沢度、白色度、不透明度が高く、印刷表面強度に優れ、流動性が良好で操業性に優れる印刷用塗工紙、及びその製造方法を得ることができる。
Claims (2)
- 原紙上に顔料と接着剤を主成分とする塗工層を有する塗工紙において、顔料として、平均粒子径が1〜50μmの範囲にある水和珪酸または水和珪酸塩を湿式粉砕により平均粒子径が0.1〜4.0μmの範囲に調製した水和珪酸または水和珪酸塩を、顔料100重量部当たり1〜30重量部含有し、接着剤を顔料100重量部に対して、8〜30重量部含有することを特徴とする印刷用塗工紙。
- 原紙上に、顔料と接着剤を主成分とする塗工液を塗工する塗工紙の製造方法において、アルカリ珪酸塩と、鉱酸または酸性金属塩水溶液を混合し、中和する製造方法で合成される平均粒子径が1〜50μmの範囲にある水和珪酸または珪酸塩を、湿式で粉砕にすることにより、平均粒子径が0.1〜4.0μmの水和珪酸または水和珪酸塩を、顔料100重量部当たり1〜30重量部配合しし、接着剤を顔料100重量部に対して、8〜30重量部配合した塗工液を、原紙上に塗工することを特徴とする印刷用塗工紙の製造方法。
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