JP4126776B2 - オフセット印刷用塗被紙の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原紙に顔料と接着剤よりなる塗被液を少なくとも二度塗被するオフセット印刷用塗被紙の製造方法において、フィルムトランスファー方式の塗被装置で下塗り塗被液を塗被した後に、上塗り塗被液を塗被することを特徴とするオフセット印刷用塗被紙の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年印刷用紙は、チラシ、カタログ、パンフレット、ダイレクトメール等広告、宣伝を目的とした商業印刷分野での需要が伸びている。これら商業印刷物は、それ自体の商品価値は低いが、宣伝媒体として目的が達成されることが重要であるので、低コストで印刷仕上がりの良いものが求められてきている。特に通販用カタログの分野では、郵便料金の改定等もあり、コストダウンのため使用される紙も一層軽量化に向かっている。しかし、軽量化するほど不透明度、印刷裏抜けが問題となるため、低坪量でもより高不透明度で印刷裏抜けの少ない紙が求められる。また、チラシ、カタログ用途の場合には、印刷物と実物の色が違えば問題(クレーム、返品等)となるため、色再現性の良好な高白色度の紙が求められる。
【0003】
一般に不透明度を向上させる手段として、比表面積の大きな填料(ホワイトカーボン、微粉シリカ等)の使用、屈折率の高い填料、顔料(二酸化チタン等)の使用、嵩高な塗工層を形成する顔料(プラスチックピグメント、デラミネーテッドクレー等)の使用、機械パルプの使用増等の方法がある。しかし一般にこれら填料、顔料は価格が高く、塗被液の粘度も高くなる傾向があり、操業牲に劣る問題がある。また機械パルプを使用した場合には白色度が劣る。そこで特に軽量塗被紙では、総合的な品質バランスと操業性を考慮し、特定の形状(立方状、紡錘状、柱状、針状等)を有する軽質炭酸カルシウムを原紙内添用填料あるいは塗被液用顔料に使用する方法が近年多く採用される傾向にある。
【0004】
また、前記のごとく最近の旺盛な軽量塗被紙の需要に対応するため、紙メーカーでは高品質を維持したまま生産性を上げ、コストダウンを図ることも重要な技術課題である。そのため、より安価な資材、薬品を使用し、更に(1)高速化(2)広幅化(3)オンライン生産化(抄紙から塗被、表面仕上げまでの一貫生産)(4)多層塗被化等により、コスト競争力に優れた製品を製造する努力を続けている。このような状況から近年生産設備としては、安価な顔料を含む下塗り塗被液をフィルムトンスファー方式で原紙にオンマシン塗被した後、上塗り塗被液を塗被する方式が多く採用されつつある。フィルムトランスファー塗被方式(ゲートロールコータ、ロッドあるいはブレードメタリングコータ等)を使用して下塗り塗被する場合には、この方式特有の操業上のトラブル、すなわちミスト(アプリケーションロールニップ出口で塗被液が霧状になって飛散する現象)やボイリング(塗被液を供給するロールニップ入口部の塗被液ボンドで泡を抱き込む現象)、剥離パターン(アプリケーションロールニップ出口での紙離れが安定せず、紙表面に一定のパターン状の面ムラを生じる現象)やガムアップ(ロール径、周速が異なるロール間にかかるせん断カによって塗被液が凝固してロール表面に付着する現象)等の問題があることが知られている。
【0005】
以上のような背景から、本発明者等も特願平9−111591号において、長径が3.0〜5.0μmで、短径が0.2〜0.5μmの範囲内にある針状または柱状の軽質炭酸カルシウムを顔料成分100重量%中に60〜90重量%含有する下塗り塗被液を、フィルムトランスファー方式で原紙表面に塗被した後、上塗り塗被液を上塗り塗被することによって、下塗り塗被時の操業性、上塗り塗被後の不透明度、印刷裏抜け、ドライ強度等を改善する方法を見出した。しかし、さらに検討を進めたところ、この方法で製造した多層塗被紙の印刷表面強度は必ずしも十分なレベルとは言い難く、白紙光沢度が劣る問題が新たに認められた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような状況に鑑み、本発明の課題は、原紙に顔料と接着剤よりなる塗被液を少なくとも二度塗被するオフセット印刷用塗被紙の製造方法において、フィルムトランスファー方式を用いた下塗り塗被時の操業性に優れ、上塗り塗被後の白紙光沢度が高く、不透明度、印刷裏抜け、印刷表面強度に優れたオフセット印刷用塗被紙を低コストで提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の課題について鋭意研究を重ねた結果、原紙に顔料と接着剤よりなる塗被液を少なくとも二度塗被するオフセット印刷用塗被紙の製造方法において、顔料成分として硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で、生石灰を白液で消和後、緑液で苛性化反応することにより製造された米粒状の軽質炭酸カルシウムを、湿式粉砕し、顔料成分100重量%に対して粉砕後の米粒状軽質炭酸カルシウムを50重量%以上含む下塗り塗被液を調製し、この下塗り塗被液をフィルムトランスファー方式の塗被装置で原紙に塗被した後に、上塗り塗被液を塗被することによって本発明を成すに至った。
【0008】
本発明においては、下塗り塗被液の顔料成分として苛性化工程で製造された米粒状軽質炭酸カルシウムを使用することにより塗被紙の不透明度、印刷裏抜け、印刷表面強度、白紙光沢度を改善し得る。不透明度、印刷裏抜けの改善効果が大きいのは、前記米粒状軽質炭酸カルシウムは不定形の重質炭酸カルシウムと比較して、嵩密度が低く比表面積が大きく、また特有の形状によって光散乱を促進するためと考えられ、さらに適度に粉砕すれば、粉砕前の米粒状の形状をある程度維持したまま比表面積を増大できるために、粉砕前の米粒状軽質炭酸カルシウム以上に光散乱を促進する結果、針状や柱状の軽質炭酸カルシウムと同等の不透明性を発現できるものと考えられる。
【0009】
また、印刷表面強度、白紙光沢度が改善されるのは他の軽質炭酸カルシウム、例えば針状、紡錘状、立方状の軽質炭酸カルシウム等と比較して、前記米粒状軽質炭酸カルシウムの動的保水性が重質炭酸カルシウムなみに優れているうえに、適度な粉砕処理を施すと、顔料の比表面積が増大し、動的保水性が更に改善されることによって、塗被液が原紙にしみこみすぎて下塗り塗被層が接着剤不足になるのを防止していると同時に、優れた原紙被覆性を発現するためと考えられる。尚、本発明における動的保水性とは、高速で回転しているロール間などの高せん断力、高圧力のかかった状況における塗被液の保水性を示し、動的保水性が劣る場合は、塗被液が原紙にしみ込んでしまう。
【0010】
本発明で用いる米粒状軽質炭酸カルシウムの配合量は、全顔料100重量%に対して、50重量%以上である。配合量が50重量%より少なくなった場合には、不透明度、印刷裏抜けが劣る。また、本発明で使用する軽質炭酸カルシウムの形状は米粒状であり、それ以外の柱状、針状、紡錘状等の形状の軽質炭酸カルシウムを用いた場合には、印刷表面強度や白紙光沢度に劣る。
【0011】
本発明で使用する米粒状軽質炭酸カルシウムは、苛性化法で製造したものである。苛性化法以外で製造した米粒状軽質炭酸カルシウムを用いた場合、印刷表面強度、白紙光沢度及び不透明度が劣る。
【0012】
また、本発明で用いる米粒状軽質炭酸カルシウムの粉砕前後の形状は下記条件(a)、(b)、(c)及び(d)を満たすことが好ましい。
1.0≦A≦5.0・・・・・・・(a)
0.3≦B≦1.0・・・・・・・(b)
2.0≦C・・・・・・・・・・・(c)
1.35B≦D≦0.80A・・・(d)
A:粉砕前の長径
B:粉砕前の短径
C:粉砕前のアスペクト比
D:粉砕後の長径
粉砕前の長径が5.0μm、短径が1.0μmより大きい場合は、粒子の比表面積が小さいために粉砕処理を施しても不透明度、印刷裏抜けが劣ってしまう傾向にある。逆に長径が1.0μmより小さい場合は印刷表面強度が劣り、短径が0.3μmより小さい粒子は製法上の理由から製造することができない。また、アスペクト比(短径に対する長径の比)が2.0よりも小さい場合は、形状が塊状あるいは不定形に近くなるため、米粒状特有の光散乱が十分に促進されず不透明度や印刷裏抜けが劣ってしまう傾向にある。
【0013】
また、粉砕後の形状についても上記条件(d)を満たさなければならず、該米粒状軽質炭酸カルシウムの粉砕後の長径が条件(d)の範囲に満たない場合は、粒子径が小さくなりすぎるために接着剤不足となり印刷表面強度が低下し、逆に条件(d)の範囲を越える場合には、不透明度および印刷裏抜けの改善効果が劣ってしまう傾向にある。
【0014】
本発明の下塗り塗被液の濃度は42〜50%の範囲内であることが好ましい。これは米粒状軽質炭酸カルシウムスラリー自体のB型粘度が重質炭酸カルシウムなみに低く、針状、柱状の軽質炭酸カルシウムを高配合した塗被液と比較して、下塗り塗被時の操業性を維持するために過度に塗被液濃度を低くする必要がないためである。前記米粒状軽質炭酸カルシウムが重質炭酸カルシウムなみに動的保水性が優れかつB型粘度が低いのか、その理由は明らかではなく今後の研究を待たねばならないが、従来の炭酸ガス法とは製法が全く異なる点、あるいはその特徴的な粒子形状等に起因しているものと考えられる。下塗り塗被液の濃度が50%を越える場合には、ボイリングや剥離パターンが発生しやすくなる。逆に42%より低い場合は、塗被液が原紙にしみこみすぎて塗被紙の表面性、面状が劣る傾向にある。また、下塗り塗被液のB型粘度(30℃、60rpm)は30〜150mPa・Sであることが好ましい。B型粘度が30mPa・Sより低い場合は、塗被液が原紙にしみこみすぎて塗被後の表面牲、面状が劣る傾向にある。150mPa・Sより高い場合は、ボイリングや剥離パターンが発生しやすい傾向にある。
【0015】
【本発明の実施の形態】
本発明で規定する米粒状の軽質炭酸カルシウムは、硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で製造されたものを使用する。硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程においては、木材中の繊維素を単離するために水酸化ナトリウムと硫化ナトリウムとを混合した薬液を用いて高温、高圧下で木材チップを蒸解する。そして繊維素は固相として分離精製されてパルプとなり、薬液及び木材からの繊維素以外の溶出成分は黒液として回収され、回収ボイラーで燃焼可能な濃度まで濃縮される。さらに、一連の過程で失われたナトリウム分と硫黄分を補給するために硫酸ナトリウムが添加された後、回収ボイラーで燃焼される。その際、黒液中の有機物質は熱源として、無機物質は主として炭酸ナトリウムおよび硫化ナトリウムとして回収されるが、これらの無機物質はスメルトと呼ばれ溶融状態で回収ボイラーから取り出される。回収ボイラーから取り出されたスメルトは、水または弱液(炭酸カルシウムを水洗浄した後に得られる、白液成分を微量含んだ液)で溶解されて緑液となる。
【0016】
苛性化工程とは、緑液中の炭酸ナトリウムを蒸解薬品である水酸化ナトリウムに変えるための工程であり、生石灰を消石灰に変える消和反応(1)と、消石灰と緑液を混合し水酸化ナトリウムと軽質炭酸カルシウムを生成する苛性化反応(2)よりなる。苛性化反応によって得られた液は白液と呼ばれ、軽質炭酸カルシウムと分離、清澄化されて蒸解工程へ送られる。
CaO+H20→Ca(OH)2 (1):消和反応
Ca(OH)2+Na2CO3→CaCO3+2NaOH(2):苛性化反応
本発明では分離回収し、十分に水洗浄された軽質炭酸カルシウムを使用するが、上記記載の消和反応、および苛性化反応条件によって、得られる軽質炭酸カルシウムの形状、性状は大きく異なる。本発明において規定する米粒状軽質炭酸カルシウムは、(1)苛性化工程で発生し、及び/又は、苛性化工程外から導入した生石灰であって、(2)0.1〜10重量%の炭酸カルシウムを含有する前記生石灰に対して、生石灰濃度が0.5〜60重量%になるように白液を添加し、撹拌あるいは混和しながら消和させて石灰乳あるいは石灰泥を生成する第一段工程、次いで該石灰乳及び/又は石灰泥に、前記苛性化工程で発生し、白液を製造するに必要な所定量の緑液を生石灰に対して0.02〜50ml(緑液)/min/g(生石灰)の添加速度で逐次添加し、反応温度20〜105℃にて苛性化反応を行うことによって製造され、反応条件を上記の範囲内で適宜変更することによって粒子の短径は0.3〜1.5μm、長径は0.5〜7.0μmの範囲で調製可能である。
【0017】
かくして製造された米粒状の軽質炭酸カルシウムは、ビーズミル等の粉砕機により適度に湿式粉砕して使用される。適度に粉砕することによって、さらに光散乱性、動的保水牲が改善され、優れた不透明性や原紙被覆性、印刷表面強度等を発現する。
【0018】
本発明で使用される粉砕機としては、製紙用顔料の湿式粉砕にごく一般に使用されるアトライター、振動ミル、ボールミル、竪型サンドミル、横型サンドミル、ジェットミル等が挙げられる。また、粉砕メディアとしてはガラス、セラミック、アルミナ、ジルコニア、瑪瑙等の硬質原料で製造された球状のボールが挙げられ、粒子径は0.1〜10mmであることが好ましい。粉砕効率を考慮すると、メディアの充填率はできる限り高いほうが好ましいが、充填率が高すぎる場合は粉砕室内でのメディアの動きが制限され、逆に粉砕効率を低下させることもあり、使用する粉砕機に応じて適宜調節する。
【0019】
本発明で使用する下塗り塗被液の顔料は上記記載の軽質炭酸カルシウム以外に規定するものではなく、一般に製紙用として使用される重質炭酸カルシウム、その他の軽質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タルク、サチンホワイト、シリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛等の無機顔料や、プラスチックピグメントなどの有機顔料を併用してもよい。
【0020】
本発明の下塗り塗被液に使用する接着剤はスチレン・ブタジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・アクリル共重合体あるいはその変性物である高分子合成ラテックスや酸化デンプン、リン酸エステル化デンプン、エーテル化デンプン、酵素変性デンプンや冷水可溶性デンプン、カルボキシメチルセルロース等の水溶性天然高分子が使用される。
【0021】
本発明の下塗り塗被液には分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等通常の塗被紙用顔料に配合される各種助剤を使用しても良い。
【0022】
また、本発明の上塗り塗被液については、特に規定されるものではなく、通常の紙塗工用に使用される顔料、接着剤に助剤等を配合したものが用いられる。
【0023】
また、本発明で使用する原紙としては、一般の印刷用塗被紙に用いられる坪量30〜100g/m2の原紙が好ましく、目的により上質紙、中質紙を選択して使用する。
【0024】
また、下塗り塗被に使用するフィルムトランスファー方式の塗被装置は、ゲートロールコータ、ブレードあるいはロッドメタリングサイズプレスコータなどが使用できる。上塗り塗被には主に、ロールアプリケーションタイプあるいはファウンテンノズルタイプのブレードコータが使用される。
【0025】
なお、下塗り塗被液の塗被量は、原紙の片面当たり固形分で2〜8g/m2の範囲で塗被するのが好ましい。2g/m2より少ない量を塗被する場合、装置上の限界から塗被液濃度を大幅に下げざるを得ず、その結果原紙被覆性、面状が低下しやすい。8g/m2より多い量を塗被する場合は、逆に塗被液濃度を高くする必要があり、この場合装置上塗被量のコントロールが困難になると同時に、梨地状の面荒れやロールパターンが紙表面に発生しやすくなる。
【0026】
上塗り塗被液の濃度は60〜68%が好ましく、塗被量は通常片面当たり固形分で6〜14g/m2が好ましい。本発明は、原紙に上塗り塗被液及び下塗り塗被液をそれぞれ少なくとも一度以上塗被するものである。上塗り塗被液を塗被乾燥された塗被紙は、通常のごとくそのままあるいはスーパーカレンダー、ソフトカレンダー等の仕上げ工程により光沢付けがなされる。
【0027】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に示すが、これらによって本発明は何等制約を受けるものではない。なお、例中の部およぴ%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
〈品質評価方法〉
(1)軽質炭酸カルシウム形態観察:走査型電子顕微鏡(日本電子JSM−5300)で形状及び短径、長径平均値を測定した。
(2)白紙光沢度:JIS P−8142に従い角度75度鏡面光沢度を測定した。
(3)不透明度:ハンター白色度計を用いてJIS P−8138、A法に従い測定した。
(4)印刷裏抜け:RI−II型印刷機(明製作所製)を用い、印刷インキとしてTVマークVニュー617(東洋インキ製)を使用してインキ量0.45cc一定で印刷し、ハンター白色度計を用いてJIS P−8123に従い、次式により算出した。
【0028】
印刷裏抜け(%)=白紙の白色度−印刷物の裏面白色度
(5)ドライ強度:RI−II型印刷機(明製作所製)を用い、印刷インキとしてTVマークVニュー617(東洋インキ製)を使用してインキ量0.35cc一定で印刷し、印刷面のピッキング程度を目視で相対評価した.
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
(6)白紙面状:上塗り塗被後の白紙光沢度のムラを目視で相対評価した.
◎=全くムラがない、○=ほとんどムラがない、△=ムラがある、×=ムラが著しい
(7)剥離パターン:下塗り塗被後の紙面の剥離パターンの発生状況を目視で判断した。
【0029】
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
(8)ボイリング:下塗り塗被時のボイリングの発生状況を目視で相対評価した。
【0030】
◎=全く発生しない、○=ほとんど発生しない、△=発生する、×=発生が著しい
[実施例1]
クラフトパルプ製造工程の苛性化工程において製造された、長径が3.5μmで、短径が0.5μmである米粒状軽質炭酸カルシウム(アスペクト比7.0)をビーズミルを用いて長径が2.4μmになるように湿式粉砕した。粉砕処理を施した米粒状軽質炭酸カルシウム70部、平均粒子径1.0μmの重質炭酸カルシウムを30部配合した顔料100部に対し、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤を0.3部添加し、カウレス分散機を用いて水に分散し、接着剤としてリン酸エステル化デンプン20部、カルボシ変性スチレンブタジエン系共重合ラテックス5部を配合し、固形分濃度45%の下塗り塗被液を調製した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は80mPa・Sであった。
【0031】
次に、平均粒子径0.65μmの重質炭酸カルシウム60部、カオリン40部を配合した顔料に対し、ポリアクリル酸ソーダ系分散剤0.6部添加し、カウレス分散機を用いて水に分散し、接着剤としてリン酸エステル化デンプン6部、スチレンブタジエン系共重合ラテックス10部を配合し、固形分濃度63%の上塗り塗被液を調製した。
【0032】
更に、坪量45g/m2の広葉樹晒しクラフトパルプ単独配合原紙の両面に、下塗り塗被液をゲートロールコータを用いて、片面当たり固形分で4g/m2になるように塗被速度1300m/分で下塗り塗被、乾燥した後に、上塗り塗被液をファウンテンブレードコータを用いて片面当たり固形分で8g/m2になるように塗被速度1100m/分で両面に上塗り塗被、乾燥した。最後に12段のスーパーカレンダーを用いて処理速度700m/min、温度80℃の条件下で光沢仕上げを行った。
[実施例2]
クラフトパルプ製造工程の苛性化工程において製造された、長径が4.2μmで、短径が0.8μmである米粒状軽質炭酸カルシウム(アスペクト比5.3)をビーズミルを用いて長径が3.1μmになるように湿式粉砕した。粉砕処理を施した米粒状軽質炭酸カルシウム90部、平均粒子径1.0μmの重質炭酸カルシウムを10部配合して固形分濃度45%の下塗り塗被液を調製した以外は、実施例1と同様に塗被紙を製造した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は86mPa・Sであった。
[実施例3]
下塗り塗被液の固形分濃度を40%とした以外は実施例1と同様に塗被紙を製造した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は25mPa・Sであった。
[比較例1]
クラフトパルプ製造工程の苛性化工程において製造された、長径が3.5μmで、短径が0.5μmである米粒状軽質炭酸カルシウム(アスペクト比7.0)をビーズミルを用いて長径の平均値が2.4μmになるように湿式粉砕した。粉砕処理を施した米粒状軽質炭酸カルシウム40部、平均粒子径が1.0μmの重質炭酸カルシウムを60部配合した以外は、実施例1と同様に塗被紙を製造した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は71mPa・sであった。
[比較例2]
クラフトパルプ製造工程の苛性化工程において製造された、長径が3.5μmで、短径が0.5μmである米粒状軽質炭酸カルシウム(アスペクト比7.0)を未粉砕処理のまま使用した以外は、実施例1と同様に塗被紙を製造した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は94mPa・sであった。
[比較例3]
クラフトパルプ製造工程の苛性化工程において製造された、長径が2.4μmで、短径が0.4μmである米粒状軽質炭酸カルシウム(アスペクト比6.0)を未粉砕処理のまま使用した以外は、実施例1と同様に塗被紙を製造した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は100mPa・sであった。
[比較例4]
炭酸ガス法で製造された長径3.0μm、短径0.3μmの針状軽質炭酸カルシウムを70部配合し、下塗り塗被液の濃度を36%とした以外は実施例1と同様に塗被紙を製造した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は90mPa・sであった。
[比較例5]
炭酸ガス法で製造された長径3.0μm、短径0.5μmの米粒状炭酸カルシウムを70部配合し、下塗り塗被液の濃度を38%とした以外は実施例1と同様に塗被紙を製造した。このときの下塗り塗被液のB型粘度は100mPa・sであった。
【0033】
以上の結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
表1から明らかなように、実施例1〜3は不透明度、印刷裏抜け、印刷表面強度に優れ、白紙光沢度も高く、白紙面状に優れている。また、下塗り塗被時の操業性も全く問題ない。これに対し比較例1、2、3は不透明度、印刷裏抜けが劣る。比較例4はドライ強度、白紙面状が劣り白紙光沢度も低い。比較例5は不透明度、印刷裏抜けが劣り、ドライ強度、白紙面状が劣り白紙光沢度も低い。
【0035】
従って、本発明により製造されたオフセット印刷用塗被紙は従来にない優れた塗被紙品質を与え、その効果は極めて大なるものがある。
【0036】
【発明の効果】
下塗り塗被時の操業性に優れ、白紙光沢度が高く、不透明度、印刷裏抜け、印刷表面強度に優れたオフセット印刷用塗被紙を低コストで提供することができる。
Claims (4)
- 原紙に顔料と接着剤よりなる塗被液を少なくとも二度塗被するオフセット印刷用塗被紙の製造方法において、顔料成分として硫酸塩法またはソーダ法によるパルプ製造工程の苛性化工程で、生石灰を白液で消和後、緑液で苛性化反応することにより製造された米粒状の軽質炭酸カルシウムを湿式粉砕し、該粉砕後の米粒状軽質炭酸カルシウムを顔料成分100重量%に対して50重量%以上含む下塗り塗被液を調製し、この下塗り塗被液をフィルムトランスファー方式の塗被装置で原紙に下塗り塗被した後に、上塗り塗被液を上塗り塗被することを特徴とするオフセット印刷用塗被紙の製造方法。
- 粉砕前後の米粒状の軽質炭酸カルシウムが下記条件を満たすことを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷用塗被紙の製造方法。
1.0≦A≦5.0・・・・・・・(a)
0.3≦B≦1.0・・・・・・・(b)
2.0≦C・・・・・・・・・・・(c)
1.35B≦D≦0.80A・・・(d)
A:粉砕前の長径
B:粉砕前の短径
C:粉砕前のアスペクト比
D:粉砕後の長径 - 下塗り塗被液の濃度が42〜50%であること特徴とする請求項1または2記載のオフセット印刷用塗被紙の製造方法。
- 下塗り塗被液のB型粘度(30℃、60rpm)が30〜150mPa・Sであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のオフセット印刷用塗被紙の製造方法。
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1998
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