JP2012122159A - 複合粒子、複合粒子内添紙及び塗工紙 - Google Patents

複合粒子、複合粒子内添紙及び塗工紙 Download PDF

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Abstract

【課題】二酸化チタン粒子を用い、かつ優れた歩留まり性、不透明度向上能及び吸油度を有する複合粒子、並びにこの複合粒子を用い、かつ優れた不透明度等を有する複合粒子内添紙及び塗工紙を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体、及びこの凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカを有する複合粒子である。また、本発明の複合粒子内添紙は、上記複合粒子が内添されており、本発明の塗工紙は、基紙と、この基紙の少なくとも一方の面に形成される1又は複数層の塗工層とを有する塗工紙であって、上記塗工層が上記複合粒子を含有することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを含む複合粒子、複合粒子内添紙及び塗工紙に関する。
紙には、不透明度、白色度、印刷適性などを改善するために、これらの各機能向上に適した様々な填料が内添されている。上記填料としては、二酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、水和ケイ酸(ホワイトカーボン)、尿素−ホルマリンポリマー微粒子などが用いられている。これらの中でも、二酸化チタンは屈折率が高く、光散乱能に優れるため、不透明度の向上には有効ではある。しかしながら、この二酸化チタン粒子は、高価であり、吸油能が小さく、加えて粒子径が小さいことに起因して抄紙の際の歩留まりが低いという不都合を有している。
このような中、填料としての二酸化チタン粒子の歩留まりを向上させるべく、各種方法が提案されている。この方法としては、(1)炭酸カルシウム粒子と酸化チタン粒子とを特定の凝集剤(カチオン性ポリマー、両性ポリマー、アクリル酸モノマー等)を用いて凝集させて凝集粒子を得る方法(特開2004−18336号公報及び特開平6−93204号公報参照)や、(2)水酸化カルシウムの水性懸濁液に二酸化炭素含有ガスを吹き込んで炭酸カルシウムを生成させる炭酸化反応を利用し、この炭酸化の過程で炭酸カルシウム粒子の表層に二酸化チタン粒子を含有させる方法(特開2002−201592号公報参照)が挙げられる。
しかし、(1)特定の凝集剤を用いる方法によれば、凝集剤による炭酸カルシウム粒子と酸化チタン粒子との結合は強いものではないため、抄紙の際にこの凝集状態が維持されないこと等により、十分な歩留まり向上効果を得ることができず、その結果、得られる紙の不透明度を効果的に向上させることができない。また、(2)炭酸化反応を利用する方法によれば、二種類の粒子はある程度の強度で結合されるものの、得られる粒子の吸油度が十分なものではない。
特開2004−18336号公報 特開平6−93204号公報 特開2002−201592号公報
本発明は、上述の事情に基づいてなされたものであり、二酸化チタン粒子を用い、かつ優れた歩留まり性、不透明度向上能及び吸油度を有する複合粒子、並びにこの複合粒子を用い、かつ優れた不透明度等を有する複合粒子内添紙及び塗工紙を提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた発明は、
炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体、及び
この凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカ
を有する複合粒子である。
当該複合粒子は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体を核として有するため、粒径が比較的大きく、優れた歩留まり性及び不透明度向上能を発揮することができる。さらに、当該複合粒子は、表面の少なくとも一部がシリカで被覆されているため、上記二種類の粒子が強固に固定され、抄紙等の工程においても、この凝集状態を維持することができるため特に歩留まり性に優れる。また、当該複合粒子は、表面の少なくとも一部を被覆するこの多孔質状のシリカの優れた吸油能により、高い吸油度を発揮することができる。
上記シリカの被覆率が5質量%以上30質量%以下であるとよい。当該複合粒子によれば、シリカ被覆率を上記範囲とすることで、抄紙の際等においても二種類の粒子の凝集状態を十分に維持することができ、その結果、歩留まり性をより高めることができることに加え、シリカと他の粒子とのバランスにより優れた白紙不透明度と印刷不透明度との両立を図ることができる。
上記炭酸カルシウム粒子が重質炭酸カルシウム粒子であるとよい。重質炭酸カルシウムは、粒度分布が広く、不定形であり、かつ表面に多数のナイフエッジを有する。当該複合粒子は、このような重質炭酸カルシウムの粒子を用いることにより、粒径の小さい炭酸カルシウム粒子の場合は、複数の炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集状態となり、粒径の大きい炭酸カルシウム粒子の場合は、粒径の小さい二酸化チタン粒子等が表面に凝集している状態となるため、結果として粒度分布が狭くなり、歩留まり性をより高めることができる。さらに当該複合粒子は、シリカの表面への析出により多孔質形状となっており、粒子密度が高い重質炭酸カルシウムを用いながらも吸油度が高く、印刷後不透明度を高めることができる。
平均粒子径が2μm以上15μm以下であるとよい。当該複合粒子は、上記範囲の平均粒子径を有することにより、填料として用いた際、紙力の低下を抑えつつ、より優れた歩留まり性を発揮することができる。
上記炭酸カルシウム粒子の平均粒子径(一次粒子径)が0.5μm以上3μm以下であり、上記二酸化チタン粒子の平均粒子径(一次粒子径)が0.2μm以上1μm以下であるとよい。当該複合粒子によれば、上記範囲の粒径を有する二種類の粒子を用いることで、比較的粒径の大きい炭酸カルシウム粒子を核として、この表面を覆うように粒径の小さい複数の二酸化チタン粒子が凝集した状態を形成しやすく、二酸化チタン粒子の優れた光散乱能を十分に発揮させることができるため、不透明度をより高めることができる。
本発明の複合粒子内添紙は、上記複合粒子が内添されている。当該複合粒子内添紙によれば、上記性能を有する複合粒子が内添されているため、この填料としての複合粒子の歩留まり性が高く、白紙不透明度や印刷不透明度を高めることができる。
本発明の塗工紙は、基紙と、この基紙の少なくとも一方の面に形成される1又は複数層の塗工層とを有する塗工紙であって、上記塗工層が上記複合粒子を含有することを特徴とする。当該塗工紙は、上記複合粒子を顔料として塗工層に含有しているため、白紙不透明度等に優れる。
ここで、平均粒子径とは、レーザー回析散乱法により測定された粒度分布における体積平均粒径(D50)をいう。
以上説明したように、本発明の複合粒子によれば、粒径の小さい二酸化チタン粒子を用いているにもかかわらず、抄紙の際の歩留まり性に優れ、また、高い不透明度向上能及び吸油度を発揮することができる。従って、この複合粒子を用いた複合粒子内添紙及び塗工紙は優れた不透明度等を発揮することができる。
以下、本発明の複合粒子、複合粒子内添紙及び塗工紙の実施の形態について、順に詳説する。
<複合粒子>
本発明の複合粒子は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体、及びこの凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカを有する複合粒子である。
当該複合粒子は、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体を核として有するため、粒径が比較的大きく、優れた歩留まり性及び不透明度向上能を発揮することができる。さらに、当該複合粒子は、表面の少なくとも一部がシリカで被覆されているため、上記二種類の粒子が強固に固定され、抄紙等の工程においても、この凝集状態を維持することができるため特に歩留まり性に優れる。また、当該複合粒子は、表面の少なくとも一部を被覆するこの多孔質状のシリカの優れた吸油能により、高い吸油度を発揮することができる。
当該複合粒子の平均粒子径としては、2μm以上15μm以下が好ましく、4μm以上10μm以下がさらに好ましい。当該複合粒子は、上記範囲の平均粒子径を有することにより、填料として用いた際、紙力の低下を抑えつつ、より優れた歩留まり性能を発揮することができる。また、塗工液中に含有されて顔料として用いる際などの均一分散性を向上させることができる。従って、填料又は顔料として用いた際の不透明度等を効率的に高めることができる。
当該複合粒子の平均粒径が上記下限未満の場合は、填料として用いたときに歩留まり性が十分に向上しないおそれがあり、また、不透明度向上能も十分ではない。一方、この平均粒子径が上記上限を超えると填料として用いた場合、パルプ繊維間の強度を低下させる結果、紙力が低下する場合があり、また、粒径が大きいことで、スラリー又は塗工液中での均一分散性が低下し、不透明度及び印刷後不透明度が低下するおそれがある。
上記炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との含有比(質量比)としては、30:70〜90:10が好ましく、50:50〜90:10がさらに好ましい。両粒子の含有比をこのような範囲とすることで、凝集体を炭酸カルシウム粒子を核として、この表面に粒径の小さい二酸化チタン粒子を効率的に凝集した状態とすることができる。従って、当該複合粒子によれば、二酸化チタン粒子の優れた光散乱能を活かしつつ、凝集体として粒径を大きくすることで、より優れた歩留まり性を発揮することができる。
<炭酸カルシウム粒子>
当該複合粒子に用いられる炭酸カルシウム粒子は、平均粒子径(一次粒子径)が0.5μm以上3μm以下のものが好ましく、0.8μm以上2.5μm以下が更に好ましい。炭酸カルシウム粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることで、二酸化チタン粒子との凝集及びシリカによる被覆と相まって、当該複合粒子を製紙における填料又は顔料として用いた際の歩留まり性や不透明度等を高めることができ、ワイヤー摩耗性を改善することができる。
上記炭酸カルシウム粒子の平均粒子径が上記下限未満の場合は、個々の炭酸カルシウム粒子における光の散乱能が小さく不透明度が向上しにくいことに加え、粒径が小さいため凝集剤によっても十分に凝集が進行せず、抄紙の際の歩留まりが向上しにくい。逆に、この平均粒子径が上記上限を超える場合は、凝集の際、所望するサイズの凝集体を得ることが困難になる場合があるとともに、摩耗性が高くなり抄紙用具を損傷させる場合がある。
この炭酸カルシウム粒子としては、軽質炭酸カルシウム又は重質炭酸カルシウムのいずれでもよいが、重質炭酸カルシウムを用いることが好ましい。重質炭酸カルシウムは、粒度分布が広く、不定形であり、かつ表面に多数のナイフエッジを有する。当該複合粒子の凝集体は、このような重質炭酸カルシウムの粒子を用いることにより、粒径の小さい炭酸カルシウム粒子の場合は、複数の炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集状態となり、粒径の大きい炭酸カルシウム粒子の場合は、粒径の小さい二酸化チタン粒子等が表面に凝集している状態となるため、粒度分布が狭くなり、歩留まり性をより高めることができる。さらに当該複合粒子は、シリカの表面への析出により多孔質形状となっており、粒子密度が高い重質炭酸カルシウムを用いながら吸油度が高く、印刷後不透明度を高めることができる。
この重質炭酸カルシウムは、天然の石灰石を粉砕・分級する方法で調製することができるし、粉粒体として入手できる市販の重質炭酸カルシウムを必要に応じて粉砕・分級して用いることもできる。ここでいう粉砕には、例えば、ロールミル、ジェットミル、乾式ボールミル、衝撃式粉砕機等の乾式粉砕機による粉砕、湿式ボールミル、振動ミル、撹拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミル等の湿式粉砕機による粉砕が挙げられ、これらの粉砕機を適宜組み合わせて使用することもできる。
また、分級方法としては、例えば、共振振動ふるい、ローヘッドスクリーン、電磁スクリーン等のふるい分け、ミクロンセパレーター、サイクロン等の乾式分級、デカンタ型遠心分離機、液体サイクロン、ドラッグ分級機等の湿式分級が挙げられ、これらの分級機を適宜組み合わせて使用することができる。
<二酸化チタン粒子>
当該複合粒子に用いられる二酸化チタン粒子は、平均粒子径(一次粒子径)が0.2μm以上1μm以下であることが好ましく、0.3μm以上0.8μm以下がさらに好ましい。また、上記炭酸カルシウムの平均粒子径に対する、上記二酸化チタン粒子の平均粒子径としては、0.1倍以上0.5倍以下であるとよい。
上記二酸化チタン粒子の平均粒子径をこのような範囲とすることで、上述した炭酸カルシウム粒子との凝集により、当該複合粒子が適度なサイズとなり、歩留まり性や不透明度等に優れた複合粒子を効率的に得ることができる。すなわち、当該複合粒子によれば、好ましくは上記範囲の粒径を有する二種類の粒子を用いることで、比較的粒径の大きい炭酸カルシウム粒子を核として、この表面を覆うように粒径の小さい複数の二酸化チタン粒子が凝集する状態を形成しやすく、二酸化チタン粒子の優れた光散乱能を十分に発揮させることができるため、不透明度をより高めることができる。
上記二酸化チタン粒子としては、特に限定されず、製紙用として公知のものを用いることができる。この二酸化チタン粒子の結晶形態としては、アナターゼ型、ルチル型、ブルカイト型等のいずれも使用することができるが、ルチル型又はアナターゼ型を用いることが好ましい。
<凝集剤>
上記凝集剤としては、その高分子鎖により複数の粒子を絡み取り凝集させることができるものであれば特に限定されず、カチオン性高分子、アニオン性高分子、非イオン性高分子等の高分子化合物を用いることができるが、本発明者等の知見によると、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを含むスラリーを用い、炭酸カルシウム粒子を核とした凝集を生じさせるには、カチオン性高分子を用いることが好ましく、カチオン性合成高分子を用いることがさらに好ましい。凝集剤としてカチオン性高分子を用いることで、高分子鎖によって粒子を絡みとる作用のみならず、負に帯電している各粒子を電気的に凝集させることができるため好ましい。また、カチオン性合成高分子を用いることで、この凝集剤のカチオン電荷密度及び好適な分子量を容易に調整することができる。
この凝集剤の質量平均分子量の下限としては、400万が好ましく、600万がさらに好ましく、700万が特に好ましい。一方、この質量平均分子量の上限としては、2,000万が好ましく、1,200万がさらに好ましく、1,000万が特に好ましい。凝集剤の分子量を上記範囲とすることで、炭酸カルシウム粒子を核とする凝集を効果的に生じさせることができる。特に、上述のような平均粒子径を有する各粒子に対しては、このような範囲の分子量を有する凝集剤を用いることで、所望する粒子径を有する凝集体を効率的に得ることができる。なお、質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー法(GPC法)を用いて測定した数値である。
凝集剤の質量平均分子量が上記下限未満の場合は、十分な凝集能を発揮することができず、粒子の凝集が進まないため、歩留まりの向上が発揮されないおそれがある。逆に、この平均分子量が上記上限を超える場合は、凝集能が強すぎて、偏凝集の発生や、スラリーの粘度が上昇して抄紙の作業性が低下したり、得られる紙の紙力が低下したりするおそれがある。
また、凝集剤のカチオン電荷密度の上限としては、10meq/gが好ましく、5meq/gがさらに好ましく、3meq/gが特に好ましい。一方、このカチオン電荷密度の下限としては、0.1meq/gが好ましく、0.5meq/gがさらに好ましく、1meq/gが特に好ましい。凝集剤のカチオン電荷密度を上記範囲とすることで、上述した好適な凝集性を発揮することができる。なお、凝集剤として複数の成分を用いる場合は、その凝集剤全体としてのカチオン電荷密度をいう。
なお、上記カチオン電荷密度は以下の方法で測定した値である。試料をpH4.0の水溶液に調整した後、流動電位法に基づく粒子荷電測定装置(Muteck PCD−03)にて、1/1000規定のポリビニル硫酸カリウム水溶液を用いた滴定によって、アニオン要求量を測定する。下記式(1)により試料1gあたりのカチオン電荷密度を計算する。
カチオン電荷密度=A/B ・・・(1)
A:pH4.0に調整した凝集剤水溶液のアニオン要求量(μeq/L)
B:凝集剤水溶液の固形分濃度(g/L)
凝集剤のカチオン電荷密度が上記上限を超えると、各粒子表面全体がカチオン電荷を帯び、電荷による反発で凝集が生じにくくなる場合がある。逆に、凝集剤のカチオン電荷密度が上記下限未満の場合は、負に帯電している粒子を電気的に凝集させることができる効果を十分に発揮することができず、ブロードな粒度分布となる場合がある。
凝集剤として好適に用いられることのできるカチオン性合成高分子としては、(メタ)アクリレート系カチオン性単量体の単独重合物又は非イオン性単量体との共重合物、ポリアクリルアミドのマンニッヒ変性物、ポリ(ジメチルジアリルアンモニウムクロライド)、ジアルキルアミン−エピクロルヒドリン縮合物、アルキレンジクロライド−ポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリエチレンイミン、ジシアンジアミド−ホルマリン縮合物、ポリビニルアミジン、キトサン、ポリアルキレンポリアミンなどを挙げることができ、これらを1種又は2種以上を混合して用いることができる。
<シリカ>
上記炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体を被覆するシリカとしては、特に限定されず公知のものを用いることができる。なお、後述するように水溶液中でシリカを析出し被覆させることで、効率的に凝集体に被覆させることができ、かつ、多孔質状に被覆させることができるため優れた吸油能を発揮することができる。
このシリカの被覆率としては、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上25質量%以下がさらに好ましい。シリカ被覆率をこのような範囲とすることで、抄紙の際等においても二種類の粒子の凝集状態を十分に維持することができ、その結果、歩留まりをより高めることができることに加え、シリカと他の粒子とのバランスにより優れた白紙不透明度と印刷不透明度との両立を図ることができる。なお、このシリカ被覆率は、粒子の元素分析を行い、含有する構成成分からクレー、炭酸カルシウム、タルク等の含有割合を推定し、シリカ被覆後のシリカ成分の含有率から算出することができる。また、シリカの被覆率とは、複合粒子全体の質量に対するシリカの質量の割合をいう。
シリカ被覆率が上記下限未満の場合は、このシリカが二種類の粒子のバインダーとして十分に機能せず、抄紙の際に凝集体が分断し、歩留まり及び白紙不透明度が十分に向上しないおそれがある。また、シリカによる十分な吸油度の向上効果が発揮されず、印刷不透明度が向上しない場合がある。逆に、シリカ被覆率が上記上限を超える場合は、シリカ被覆量が多くなりすぎるため、二酸化チタン粒子の光散乱機能が十分に発揮されず、白紙不透明度が低下するおそれがある。
<用途、品質等>
当該複合粒子は、製紙の際の内添填料または塗工用顔料として、単独で又は通常の炭酸カルシウム、カオリンクレー、タルク、二酸化チタン、サチンホワイト、プラスチックピグメント等の顔料と混合して好適に用いることができる。
当該複合粒子を内添填料や塗工用顔料として使用する場合、例えば、上記通常の内添用填料や塗工用顔料の合計量に対して、当該複合粒子を5〜100質量%、好適には10〜100質量%添加して使用することができる。
当該複合粒子は、鉱物由来の湿式粉砕を経た重質炭酸カルシウム粒子を用いた場合は、粒度分布が広かったものが、微小粒子の凝集化と比較的粒径の大きい重質炭酸カルシウムへのシリカゾル被覆とにより粒子の硬度が相対的に低くなり、かつ、粒度分布幅が狭くなっている。従って、当該複合粒子を製紙用の填料や顔料として使用した場合に抄紙機や塗工機等の摩耗性トラブルを回避できる。また、当該複合粒子は、好ましくは元来高密度な重質炭酸カルシウム粒子及び二酸化チタン粒子の凝集体表面をシリカで被覆したものであることから比表面積が大きくなり、これを内添用の填料や塗工用顔料として使用すると、白色度と不透明度が高く、填料歩留りの高い紙を得ることもできる。
当該複合粒子の吸油度は、30mL/100g以上100mL/100g以下、より好ましくは40mL/100g以上80mL/100g以下の範囲が好ましい。このような吸油度を有する複合粒子を内添填料として使用すると、紙層中においてこの複合粒子が紙層中に含浸されるインクのビヒクル分や有機溶剤等を吸収するため用紙の印刷不透明度が低下するのを抑制し、また、インクのビヒクル分や有機溶剤等を吸収することで、インク乾燥性やニジミの防止効果を顕著に発揮することができる。この吸油度が30mL/100g未満の場合には上記の効果が十分でなく、複合粒子がインクの吸収・乾燥性を阻害する傾向が生じる場合が有る。また吸油度が100mL/100gを超えると、インクの吸収性が高いためインクの沈みこみ、いわゆる発色性が劣る不都合が生じる場合がある。
なお、当該複合粒子は製紙用以外に、例えばゴム、プラスチック、塗料、インキ等のフィラーなどとして用いることができる。当該複合粒子をフィラーとして用いることで高い白色度と隠蔽性を付与することができる。
<複合粒子の製造方法>
当該複合粒子の製造方法としては特に限定されないが、例えば、
(1)炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを凝集剤により凝集させて凝集体を得る凝集工程、及び
(2)上記凝集体表面の少なくとも一部にシリカを被覆させるシリカ被覆工程
を有する方法を挙げることができる。以下、各工程について順に詳説する。
<(1)凝集工程>
この凝集工程は、例えば炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを水中へ分散させた粒子スラリーへ、凝集剤を添加することによって行うことができる。両粒子の水中へ分散は、この2種の粒子を同時に水中へ分散させてもよいし、炭酸カルシウム粒子を水中へ分散させた炭酸カルシウム粒子スラリー中に二酸化チタン粒子を分散させてもよく、その逆であってもよい。
粒子スラリーにおける両粒子(炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との合計)の固形分濃度としては、5質量%以上40%質量以下が好ましく、10質量%以上35質量%以下がさらに好ましく、15質量%以上25質量%以下が特に好ましい。粒子スラリーの濃度を上記範囲とすることで、粒子の凝集性の効率化を図ることができる。
粒子スラリーの濃度が上記下限未満の場合は、凝集剤の添加によっても、粒子が好適な粒径にまで凝集しないおそれがある。一方、粒子スラリーの濃度が上記上限を超える場合は、粘度が高すぎて作業性が低下したり、また、複合粒子の粒度分布が広がり、歩留まりが低下するおそれがある。
また、凝集剤の添加量としては、炭酸カルシウム粒子及び二酸化チタン粒子の合計固形分に対して、固形分換算で200ppm以上3,000ppm以下が好ましく、1,000ppm以上2,500ppm以下がさらに好ましく、1,500ppm以上2,000ppm以下が例えば重質炭酸カルシウム粒子がもつブロードな粒度分布において、粒径の小さい粒子同士は凝集が進み、一方、粒径の元々大きい粒子は凝集が進行しにくい効果を効果的に発揮するため特に好ましい。
凝集剤の添加量が上記下限未満の場合は、十分な凝集を発揮させることができず、歩留まりの向上効果が発揮されない場合がある。逆に、凝集剤の添加量が上記上限を超えると、スラリーの増粘が顕著に生じたり、三次、四次凝集が生じ、得られる紙の紙力が低下する場合がある。
発明者らの知見によると、好適な凝集体スラリーの粘度は、500cpsを境に大きく変化し、500cpsを超える粘度だと作業性が悪化するとともに、抄紙系内の汚れが顕在化する不都合が生じる。特に好ましくは、450cps以下、さらには350cps以下に調整することで、作業性の改善と得られる複合粒子の粒度分布をよりシャープにすることができる。
<(2)シリカ被覆工程>
このシリカ被覆工程においては、上記工程で得られた凝集体の表面にシリカを被覆させる。このシリカの被覆方法としては、凝集体スラリーに珪酸アルカリ水溶液と鉱酸とをこの順に添加し、凝集体表面にシリカを被覆させる方法や、ケイ酸アルカリ水溶液に凝集体スラリーを加えて混合し、その後鉱酸を添加してシリカを被覆させる方法などを挙げることができる。
上記珪酸アルカリ水溶液は特に限定されないが、珪酸ナトリウム溶液(3号水ガラス)が入手に容易である点で望ましい。珪酸アルカリ溶液の濃度は水溶液中の珪酸分(SiO2換算)で3〜10質量%が好適である。10質量%を超えると形成される凝集体にシリカが被覆された複合粒子はシリカ被覆複合粒子ではなく、ホワイトカーボンで被覆されてしまい、芯部(凝集体)を形成する炭酸カルシウム及び二酸化チタンの光学的特性が全く発揮されなくなってしまうおそれがある。また、3質量%未満では得られる複合粒子中のシリカ成分が低下するおそれがある。
上記鉱酸としては希硫酸、希塩酸、希硝酸などの鉱酸の希釈液等が挙げられるが、価格や、ハンドリングの点、炭酸カルシウム中のカルシウム分の溶出防止や設備・装置の腐食対策と言った理由で希硫酸が最も好ましい。さらに、希硫酸を使用する場合の添加時の濃度は、0.2〜4.0モル濃度が好ましい。また、鉱酸添加量が多いほど短時間内にシリカが析出するので、それらの条件に合わせて添加速度を調整することが好ましい。なお、5分以内の添加は、均一な反応系の構成が不十分になるおそれがある。
本工程における反応温度に関しては、60〜100℃の範囲が好ましい。本発明者らの鋭意検討の結果から、本発明に使用する炭酸カルシウム粒子及び二酸化チタン粒子の凝集体とシリカとの反応温度はシリカの生成、結晶成長速度及び形成されたシリカ被覆複合粒子の力学的強度に影響を及ぼす。反応温度が60℃未満ではシリカの生成・成長速度が遅く、形成されたシリカ被覆複合粒子の被覆性に劣り、被覆の剥落が生じやすく、填料内添紙の抄造時にかかる剪断力で被覆が壊れやすい。また、100℃を超えると、水系反応であるためオートクレーブを使用しなければならないため反応工程が複雑になってしまう。
また、本工程における反応保持時間(鉱酸の添加時間)としては、20分以上3時間以下が好ましく、30分以上2時間以下がさらに好ましい。反応保持時間が上記下限未満の場合は、十分なシリカ被覆が行われないおそれがある。逆に、反応保持時間が上記上限を超えると、シリカ被覆量が多すぎて、複合粒子の粒径が大きくなりすぎ、この結果、紙力や不透明度の低下などが生じるおそれがある。
また、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子との凝集体のシリカ被覆を行う場合、例えば凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加、分散しスラリーを調製するが、このスラリー濃度は、3〜35質量%が好ましい。スラリー濃度を調整することにより、形成されるシリカ被覆複合粒子の粒径がコントロールされると同時に凝集体とシリカの組成比率を決めることができる。
好ましいシリカ被覆工程としては、両粒子の凝集体を珪酸アルカリ水溶液に添加・分散し凝集体スラリーとして調製する。その後、このスラリーを攪拌しながら、液温を60〜100℃の範囲に保持して鉱酸を添加し、シリカゾルを生成させる。この混合液(凝集体、ケイ酸アルカリ及び鉱酸の混合液)のpHを中性〜弱アルカリ性、好ましくは混合液をpH8〜11の範囲に調整することによりシリカ被覆複合粒子を得ることができる。
<複合粒子内添紙>
本発明の複合粒子内添紙は、上記複合粒子が内添されたものである。当該複合粒子内添紙によれば、上記複合粒子が内添されているため、この填料としての複合粒子の歩留りが高く、白紙不透明度や印刷不透明度を高めることができる。
本発明の複合粒子を内添填料として用いて複合粒子内添紙を製造する方法は、通常の填料内添紙の製造方法と同様であり、例えば当該複合粒子と必要に応じて他の填料とを混合したスラリーをパルプ原料スラリーに添加し、さらに必要に応じて紙力増強剤、サイズ剤、歩留向上剤等の添加剤を加えた紙料スラリーとし、これを抄紙することにより得られる。パルプ原料(固形分)に対する填料添加率は、1〜50質量%、好適には3〜30質量%である。
パルプ原料スラリーに添加する添加剤としては公知のものを用いることができ、例えば紙力増強剤としては澱粉類、植物性ガム、水性セルロース誘導体、ポリアクリルアミド等を、サイズ剤としてはロジン、澱粉、CMC(カルボキシルメチルセルロース)、ポリビニルアルコール、アルキルケテンダイマー、ASA(アルケニル無水コハク酸)、中性ロジン等を、また歩留向上剤としてはポリアクリルアミド及びその共重合体、第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。資料スラリーには、さらに必要に応じて染料、顔料等の色料を添加してもよい。
上記紙料スラリーを公知の抄紙機で抄造することにより複合粒子内添紙を製造することができる。当該複合紙料内添紙の坪量は特に限定されないが、通常10〜300g/m程度である。
<塗工紙>
本発明の塗工紙は、基紙と、この基紙の少なくとも一方の面に形成される1層又は複数層の塗工層とを有する塗工紙であって、上記塗工層が上記複合粒子を含有することを特徴とする。当該塗工紙によれば、上記複合粒子を顔料として塗工層に用いているため、白紙不透明度等に優れる。
本発明の複合粒子を用いて塗工紙を製造する方法は、通常の塗工紙の製造方法と同様であり、例えば本発明の複合粒子を必要に応じて他の顔料と混合し、分散剤を添加して得たスラリーを接着剤や他の添加剤を混合して塗料を調整し、これを中質紙、上質紙等の紙材上に塗工することにより得られる。
当該複合粒子を用いて塗工紙を製造する場合においても、当該複合粒子の吸油度は、30〜100mL/100gの範囲が好ましい。これは、接着剤と混合して使用する場合、その塗工液中において複合粒子が接着剤を吸収し、その真密度が低下するため沈降が抑制され、さらに複合粒子が塗工層中で偏った沈降を呈さなくなり、塗工層中で均一に分散される効果が顕著に現れるためである。この吸油度が30mL/100g以下の場合には上記の効果が不十分であり、複合粒子の真比重と塗工液の比重との差により複合粒子が沈降して塗工層中に不均一な分散状態になるので好ましくない。逆に、吸油度が100mL/100gを越える場合では、塗工層に塗工顔料として配合した場合には、ラテックス、澱粉等のバインダーを吸収し、塗工層強度が低下する不都合が生じる。
また、炭酸カルシウムとして重質炭酸カルシウムを用いた場合、重質炭酸カルシウムの表面を二酸化チタン粒子及びシリカにて被覆しているため、角ばった形状を有する重質炭酸カルシウムの形状が丸みを帯び、重質炭酸カルシウムに起因するブレードや塗工用ロール、塗工液を吐出する設備等の磨耗を低減できる。更には、損紙や古紙としてリサイクルされた場合においても、得られる再生パルプに残留する無機粒子によるワイヤーや設備の磨耗を低減できる。
塗工液に含有される接着剤としては、公知のものを用いることができ、例えばスチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス、若しくはこれらの各種重合体ラテックスをカルボキシル基等の官能基含有単量体で変性したアルカリ部分溶解性又はアルカリ非溶解性の重合体ラテックス等が使用される。
さらに上記のような合成接着剤のほかに、例えばカチオン化澱粉、酸化澱粉、酸素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶澱粉等の澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルアルコール、オレフィン−無水マレイン酸樹脂等の水溶性合成接着剤等を適宜選択して併用できる。また、必要に応じて、顔料スラリーや塗料中には消泡剤、耐水化剤、流動性変性剤、着色剤、蛍光増白剤等の各種添加剤が添加される。また、分散剤としてはヘキサメタリン酸ソーダ、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。
塗工液の塗工方法としては、塗工量に応じて、エアーナイフ、ブレード、ゲートロール、ロッド、バー、キャスト、グラビア、カーテン等の公知の塗工機(コーター)で行うことができる。塗工量は片面当たり乾燥質量で通常数〜数10g/m程度である。
このようにして得られた乾燥後の塗工紙は、一般に印刷適性(例えば、高平滑や高光沢)を付与する目的で、カレンダに通紙して加圧仕上げが施される。この場合のカレンダ装置としては、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトコンパクトカレンダなどの金属またはドラムと弾性ロールの組み合わせになる各種カレンダが、オンマシン又はオフマシン仕様で適宜使用できる。
以下、合成例及び実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例における各測定値は、以下の方法にて測定した値である。
[平均粒子径(μm)]
レーザー回折粒度分布測定装置〔マイクロトラック/日機装社〕(型番:MT−3300)を使用し、体積平均粒子径(μm)を測定した。測定試料の調製は、0.1%ヘキサメタ燐酸ソーダ水溶液に粒子を添加し、超音波で1分間分散した。
[シリカ被覆率(質量%)]
堀場製作所製のX線マイクロアナライザーを用い、加速電圧(15KV)にて元素分析を行い、含有する構成成分からクレー、炭酸カルシウム、タルク等の含有割合を推定し、シリカ被覆後のシリカ成分の含有率から、シリカ被覆率(質量%)を算出した。
[吸油度(mL/100g)]
JIS−K5101記載の練り合わせ法に準じて測定した。すなわち105℃〜110℃で2時間乾燥した試料2g〜5gをガラス板に取り、精製アマニ油(酸価4以下のもの)をビュレットから少量ずつ試料の中央に滴下しその都度ヘラで練り合わせ、滴下練り合わせの操作を繰り返し、全体が初めて1本の棒状にまとまったときを終点として、精製アマニ油の滴下量を求め、下記式(2)によって吸油度を算出した。
吸油度(mL/100g)
=[アマニ油量(mL)×100]/紙料(g) ・・・(2)
[坪量(g/m)]
JIS−P8142に記載の「紙及び板紙−坪量測定方法」に準拠して測定した。
[灰分歩留(%)]
手抄で得られた複合粒子内添紙の灰分(JIS−P8251に準拠して測定)を、手抄に供した紙料中の灰分で除して算出した。
[白紙不透明度(%)]
JIS−P8149に記載の方法に準拠して測定した。
[印刷後不透明度(%)]
J.TAPPI 45に準拠して新聞用オフセット印刷インキ(墨)を使用し、RI印刷試験機(明製作所製)でインキ量を変えてベタ印刷を行った。印刷面反射率が9%の時の印刷前の裏面反射率(印刷面の反対面)に対する印刷後の裏面反射率の比率から、下記式(3)を用いて印刷不透明度(Y)を算出した。なお、反射率測定には分光白色度測機(スガ試験機製)を使用した。
Y={(印刷後裏面反射率)/(未印刷の裏面反射率)}×100 ・・・(3)
<実施例1>
平均粒子径2.2μmの炭酸カルシウム粒子(重質炭酸カルシウム)50質量部と、平均粒子径0.5μmの二酸化チタン粒子50質量部とを水に分散させ、17.4質量%(固形分濃度)の粒子スラリーを得た。この粒子スラリーに、凝集剤(ハイモ社製「ハイモロックFR−740」)を1,750ppm添加し、凝集体スラリーを得た。
上記凝集体スラリーを固形分濃度10%に調整し、このスラリー200gに珪酸ナトリウム水溶液(5質量%)60gを添加して、ホモミキサーを使用して回転数3,000rpmで20分間、分散処理を行い珪酸ナトリウムを含むスラリーを調製した。次に、このスラリーを攪拌機、温度センサー、還流冷却器の付いた1Lの四口フラスコに入れ、攪拌しながら油浴にて85℃に昇温した。次に容器内のスラリーを85℃に保ちながら、1規定の硫酸150mLを定量ポンプを使用して、滴下速度2.5mL/分で100分かけて滴下し、シリカで被覆された複合粒子1を含む複合粒子スラリーを得た。
得られた複合粒子1のシリカ被覆率は20質量%、平均粒子径は5.2μm、吸油度は83mL/100gであった。
<実施例2〜16及び比較例1〜3>
表1に記載の炭酸カルシウム粒子、二酸化チタン粒子、これらの配合比(質量比)及びシリカ被覆における反応条件とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜16及び比較例1〜3を行い、複合粒子1〜16及びi〜iiiを得た。なお、比較例1では、炭酸カルシウム粒子のみを凝集させた後、シリカ被覆し、比較例2では、二酸化チタン粒子のみを凝集させた後、シリカ被覆し、比較例3では、炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とを凝集させ、シリカ被覆は行わなかった。
得られた各複合粒子のシリカ被覆率、平均粒子径及び吸油度を表1に示す。
Figure 2012122159
<実施例17>
得られた複合粒子1を用いて、固形分濃度10%のスラリーを調製した。NBKP(フリーネス=CSF520mL)10質量部及びLBKP(フリーネス=CSF480mL)90質量部を配合したパルプスラリーに、上記スラリーを固形分で15質量部、硫酸バンドを0.5質量部、カチオン化澱粉0.7質量部、中性ロジンサイズ剤1.0質量部、歩留向上剤0.1質量部をそれぞれ添加し、固形分濃度0.9質量%の紙料を調製した。この紙料を手抄き抄紙機でパルプシートを作成し、乾燥後、ラボスーパーカレンダーに通紙して、米坪が64.9g/mの実施例17の複合粒子含有紙を得た。
<実施例18〜32及び比較例4〜6>
用いた複合粒子を表2に示すものにした以外は、実施例17と同様の操作を行い、実施例18〜32及び比較例4〜6の各複合粒子内添紙を得た。
得られた各複合粒子内添紙の坪量、灰分歩留、不透明度及び印刷後不透明度を表2に示す。
Figure 2012122159
<実施例33>
顔料として、複合粒子1を20質量部、炭酸カルシウム粒子(ハイドロカーブ#90:オミヤ社)40質量部及びカオリン(HF−90:ヒューバー社)20質量部、SBRラテックス(PA4098:日本A&L社)11質量部、澱粉(スターコート:日本食品加工社)2質量部並びに分散剤(アロンA−6028:東亜合成化学工業)0.3質量部を水に配合し、コーレスミキサーでスラリー化し、固形分50質量%の塗工液を調製した。
この塗工液を坪量41.5g/mの上質原紙の片面に乾燥質量6.8g/mとなるように片面ずつロールテストコーターで塗工し、その後乾燥及びさらにテストスーパーカレンダ仕上げ(線圧160kg/cm×2回通紙)して塗工紙を得た。
<実施例34〜48及び比較例7〜9>
複合粒子1のかわりに表3に示す各複合粒子を用い、表3の塗工量としたこと以外は、実施例33と同様の操作を行い、実施例34〜48及び比較例7〜9の各塗工紙を得た。
得られた各塗工紙の白紙不透明度を表3に示す。
Figure 2012122159
表2及び表3の結果から、本発明の複合粒子が内添された複合粒子内添紙及び本発明の複合粒子が塗布された塗工紙は、優れた白紙不透明度及び印刷後不透明度を有することがわかる。
本発明の複合粒子は、製紙における内添填料や塗工液における顔料として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. 炭酸カルシウム粒子と二酸化チタン粒子とが凝集剤にて凝集されてなる凝集体、及び
    この凝集体の表面の少なくとも一部を被覆するシリカ
    を有する複合粒子。
  2. 上記シリカの被覆率が5質量%以上30質量%以下である請求項1に記載の複合粒子。
  3. 上記炭酸カルシウム粒子が重質炭酸カルシウム粒子である請求項1又は請求項2に記載の複合粒子。
  4. 平均粒子径が2μm以上15μm以下である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の複合粒子。
  5. 上記炭酸カルシウム粒子の平均粒子径が0.5μm以上3μm以下であり、
    上記二酸化チタン粒子の平均粒子径が0.2μm以上1μm以下である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の複合粒子。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合粒子が内添された複合粒子内添紙。
  7. 基紙と、この基紙の少なくとも一方の面に形成される1又は複数層の塗工層とを有する塗工紙であって、
    上記塗工層が請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の複合粒子を含有することを特徴とする塗工紙。
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