JP2007023443A - グラビア印刷用塗被紙 - Google Patents

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裕一 小川
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隆之 岸田
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Abstract

【課題】
不透明度が高く、優れたグラビア印刷適性を有するグラビア印刷用塗被紙を提供するものである。
【解決手段】
原紙の少なくとも片面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上設けたグラビア印刷用塗被紙において、前記塗被層中の顔料成分として、焼成カオリン、沈降方式により測定した平均粒子径が0.1〜1.5μmの範囲にあるトリスルホアルミン酸カルシウム、同平均粒子径が0.8μm以下であるカオリンが含有され、それぞれの含有量が塗被層中の全顔料の5〜20質量%、1〜30質量%、45質量%以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、不透明度が高く、グラビア印刷時の網点抜けが少なく、網点再現性に優れたグラビア印刷用塗被紙に関する。
グラビア印刷は、ハイライト部から中間調にかけての再現性に優れており、美麗な写真印刷ができるために広く利用されている。そして、グラビア印刷は金属ロールの凹版から直接紙面にインキを転移させる印刷方式であり、網点抜け(以下、ミッシングドットと称す)を起こすと印刷効果が阻害されるので、その点を改善する目的で通常グラビア印刷用紙には高度な平滑性と高いクッション性が要求される。また、グラビア印刷は、オフセット印刷よりもインキ濃度が高いために紙表面の印刷が裏面から透けてみえる、所謂ショースルーの問題が発生し易く、紙の不透明度も重要な品質の一つである。
ミッシングドットの発生を抑える方法として、原紙に機械パルプを配合し、クッション性を持たせる方法が一般に良く知られている。しかしながら、機械パルプの配合比率を増やせば原紙の表面性を悪化させるので、ミッシングドットの発生増加を促すことが付随的に伴うものである。従って、原紙の特性のみでミッシングドットを完全に消去することは難しく、塗被層の物性も含めて適正化を図ることが不可欠である。また、機械パルプを配合することで白色度が得られ難くなるといった問題もある。
従来から、グラビア印刷用紙の塗被組成物として使用される顔料としては、一般的に、カオリン、炭酸カルシウム等の無機顔料が主体であるが、デラミネーテッドクレーを使用する方法(特許文献1、2、3)が提案されている。しかし、塗被層中にデラミネートカオリンを多量に配合しても、ミッシングドットが発生し、その実用性において十分なレベルにあるとは言えない。さらに特定の立方形軽質炭酸カルシウム粒子と特定の嵩高カオリンを配合する方法(特許文献4)、アラゴナイト型軽質炭酸カルシウムなどの針状顔料と特定粒子径の微粒カオリンを配合する方法(特許文献5)が提案されている。しかしながら、高速印刷機による印刷に供したとき、ミッシングドット発生率が高いといった問題がある。
また、ミッシングドットの発生防止と高い不透明度を得るために焼成カオリンと特定の粒径分布を有するカオリンを組み合わせる方法が提案されている(特許文献6)。しかしながら、比較的大きな粒径に粒子が多く分布するカオリンと組み合わせているため、平滑性が劣るといった欠点がある。
一方、塗被層中に中空ポリマー粒子を配合する方法が提案されている(特許文献7、8)。しかしながら、中空ポリマー粒子は無機顔料と比較して高価であるためコスト高になり、多量に使用できないという欠点がある。さらに中空ポリマー粒子を添加した塗被液は、高せん断力下のおける粘度が上昇しやすく、ブレード塗工時のストリーク、スクラッチ等の塗工不良の原因になりやすい。このため、塗料の固形分濃度をあまり高くすることができなく、その結果、乾燥条件を強くする必要が生じ、コスト高につながるといった問題がある。
グラビア印刷用塗被紙の塗被層表面を機械的に平滑にする方法として、通常、スーパーカレンダを使用した加圧処理が行われている。スーパーカレンダによる表面処理は、平滑度や白紙光沢度を高める効果は得られるが、同時に塗被紙の密度が高まり、クッション性が損なわれる。また、不透明度も低下し、印刷絵柄が透過して裏面の印刷絵柄に影響を及ぼしたり、裏面の白紙面感を損なったりすることにより、品質の低下となる。一方、クッション性、不透明度を重視して仕上げ処理の程度を軽減すれば、逆に表面の平滑性が損なわれるという結果となり、塗被紙の平滑性とクッション性の両方を満足させることは非常に難しい。
このような理由で、一般的には表面の平滑性を最重視し、クッション性を犠牲にして表面の仕上げ処理を強化する手段がとられている。この場合、不透明度の低下とともに剛度の低下も発生する。そこで剛度を上げるために澱粉を多く使用すると紙が硬くなってしまいクッション性がなくなり、しかも平滑性も悪化するため、ミッシングドットがさらに増加してしまう。
特開平10−237795号公報 特開2000−199198号公報 特開2002−161494号公報 特開平06−065896号公報 特開2004−270105号公報 特開2003−221797号公報 特開平05−125695号公報 特開平11−279990号公報
本発明は、原紙の少なくとも片面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上設けたグラビア印刷用塗被紙であって、不透明度が高く、優れたグラビア印刷適性を有するグラビア印刷用塗被紙を提供することにある。
本発明は、原紙の少なくとも片面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上設けたグラビア印刷用塗被紙において、前記塗被層中の顔料成分として、焼成カオリン、沈降方式により測定した平均粒子径が0.1〜1.5μmの範囲にあるトリスルホアルミン酸カルシウム、同平均粒子径が0.8μm以下であるカオリンが含有され、それぞれの含有量が塗被層中の全顔料の5〜20質量%、1〜30質量%、45質量%以上であることを特徴とする。
前記塗被層中に、さらに炭酸カルシウムが塗被層中の全顔料の5〜20質量%含有されることが好ましい。
前記トリスルホアルミン酸カルシウムがpH12.0以下であることが好ましい。
前記トリスルホアルミン酸カルシウムのpHが8.5以上11.0以下であることがより好ましい。
前記トリスルホアルミン酸カルシウムが、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液とを反応させて製造されたものであって、(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を複数段添加するものであり、複数段添加のうち少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行われるものであることを特徴とする。
前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加の直前の添加から所定時間が経過した後に行なわれることが好ましい。
前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上で行なわれることが好ましい。
(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)が、5.5〜7.0であることが好ましい。
前記複数段の添加のうち1段目の添加である第1回添加において、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数の85%以下のモル数である(B)硫酸アルミニウム水溶液を添加し、前記複数段の添加のうち2段目の添加である第2回添加と該第1回添加との(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数が、該基準モル数の98%以下のモル数であることが好ましい。
(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下であることが好ましい。
本発明に係るグラビア印刷用塗被紙は、平滑性、クッション性、不透明度に優れているため、これにグラビア印刷を施せば、外観良好なグラビア印刷紙を得ることができる。
本発明のグラビア印刷用塗被紙は、原紙の少なくとも片面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上形成させることで製造することができる。
本発明のグラビア印刷用塗被紙において、塗被層を構成する顔料として、平均粒子径が0.1〜1.5μmの範囲にあるトリスルホアルミン酸カルシウムを、塗被層中の全顔料の1〜30質量%を含有するものである。好ましくは、0.1〜1.0μmの範囲にあるトリスルホアルミン酸カルシウムを2〜20質量%含有するものである。
平均粒子径が1.5μmを超える場合は、優れた平滑性を付与することが難しく、ミッシングドットが増加する。また、0.1μm未満である場合は、平滑性を付与する上では好ましいが、塗被層の形成に比較的多量の接着剤を必要とするため、経済性で不利がある。また、1質量%未満の場合は、平滑性、クッション性、不透明度を付与することが難しくミッシングドットが増加し、30質量%を越える場合は、平滑性、クッション性、不透明度は向上するものの、塗被層の形成に比較的多量の接着剤を必要とするため、経済性で不利がある。
塗被層を構成する顔料として、さらに平均粒子径が0.8μm以下であるカオリンを45%質量以上含有するものである。好ましくは、0.6μm以下で、60%質量以上含有する。
0.8μmを超える場合、平滑性を付与することが難しくなり、ミッシングドットが増加する。さらに、上記平均粒子径を含有し、75質量%の粒子径と25質量%の比(d75/d25)が5.0以下であるものがより好ましい。つまり、粒度分布が狭い顔料は、より塗被層の平滑性を良好にし、ミッシングドットの発生を防止するからである。
また、平均粒子径が0.8μm以下であるカオリンの含有量が、45質量%未満の場合、塗被液の粘度の上昇、保水性の低下により、塗被液の塗工時の流動性、塗工操業性に支障が生じ、結果として平滑性に劣り、ミッシングドットが発生することになる。
また、カオリンの平均粒子径の下限値としては、0.1μm程度であり、含有量の上限値としては、90質量%程度である。0.1μm未満だと、塗被液の塗工時の流動性、塗工操業性に支障が生じる恐れがあり、90質量%を超えると、クッション性を損なう恐れがある。
本発明で使用される平均粒子径0.8μm以下のカオリンとしては、例えば、微粒カオリン、エンジニアードカオリン、デラミネートカオリン、1級カオリン、2級カオリンなどが挙げられる。
塗被層を構成する顔料として、さらに焼成カオリンを5〜20質量%、好ましくは8〜18質量%含有する。5質量%未満の場合は、平滑性、クッション性、不透明度を付与することが難しくミッシングドットが増加し、20質量%を超える場合、塗被液の粘度が高くなり、塗被液の塗工時の流動性、塗工操業性に支障が生じる。
本発明では、塗被層中に焼成カオリン、特定のトリスルホアルミン酸カルシウム、特定のカオリンが特定量、含有されることで、塗被層が嵩高になり、原紙の被覆性が良好となるために高い不透明度が得られ、平滑性、クッション性が良好になり、ミッシングドットが減少する。
さらに炭酸カルシウムが特定量、含有されることで、塗被液の塗工時の流動性が改良され、グラビア印刷用塗被紙の外観が良好となる。
前記炭酸カルシウムは、塗被層中の全顔料の5〜20質量%、好ましくは8〜18質量%含有されるものである。5質量%未満の場合は、塗被液の塗工時の流動性、塗工操業性に支障が生じ、20質量%を超える場合、クッション性が劣り、ミッシングドットが発生する恐れがある。なお、炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムがあげられる。
前記炭酸カルシウムの平均粒子径としては、0.1〜1.5μmの範囲であり、好ましくは0.1〜1.0μm程度である。0.1μm未満では、目標とする印刷適性を得るためには接着剤が多量に必要となり、1.5μmを超えると平滑性が劣り、ミッシングドットが発生する恐れがある。
また、トリスルホアルミン酸カルシウムを配合することにより、塗被層形成後の平滑性が高くなるため、目標とする平滑度を有するために、通常のグラビア印刷用塗被紙の作製時より低圧の条件でカレンダ処理を行えるため、カレンダ処理による密度の増加を抑えることができ、従来のグラビア印刷用塗被紙より不透明度と剛度を高くすることができる。不透明度が向上するため、印刷が裏面から透けてみえる、ショースルーの問題も同時に解決することができる。
なお、本発明では、沈降方式による平均粒子径の測定方法としては、セディグラフ5100(米国 マイクロメリティックス社製)を使用して、顔料の粒度分布を測定し、50累積質量%に該当する平均粒子径(d50)を求めた。
本発明に使用するトリスルホアルミン酸カルシウムのpHは特に限定はないが、塗被紙の白色度、色相の劣化を防止する点から、pH12.0以下にすることが好ましく、さらに好ましくはpH8.5以上11.0以下である。
トリスルホアルミン酸カルシウムのpHが12.0を超える場合は、アルカリ成分による白色度や色相の経時変化が大きくなる。白色度や色相の経時変化を抑制するために、トリスルホアルミン酸カルシウムのpHをできる限り低くした方がよいが、pH8.5未満である場合には、トリスルホアルミン酸カルシウムの結晶形状が崩壊し、水酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物が混在するため、トリスルホアルミン酸カルシウム本来の表面平滑性、白紙光沢などの白紙品質が低下するという理由で好ましくない。また、pH11.0以下のトリスルホアルミン酸カルシウムは塗被液安定性のための水酸化ナトリウムを少量あるいは添加なしに塗被液の調製ができることから一般の顔料と同じ扱いができる利点もある。
原紙と接する塗被層中にpH12.0以下のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有した場合、白色度や色相の経時変化の抑制効果が、従来のトリスルホアルミン酸カルシウム(pH12.5前後)を含有した塗被層と比較して顕著になる。これは強アルカリの塗被液が直接、原紙と接することにより、パルプの色戻りが比較的短時間のうちに進行すると思われるからである。
本発明の使用するpH12.0以下のトリスルホアルミン酸カルシウムは、特願2005−123689号公報の製造方法による。
即ち、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液とを反応させて製造されたものであって、(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を複数段添加するものであり、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の複数段の添加のうち少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行なわれるものである。
なお、ここに、(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される(A)水酸化カルシウム懸濁液とは、複数段添加のうち第1段目の添加においては(硫酸アルミニウム水溶液の添加が行なわれる前においては)純粋な水酸化カルシウム懸濁液であるが、複数段添加のうち第2段目以降の添加においては(硫酸アルミニウム水溶液の添加が既に行なわれた後においては)水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムとの混合物を意味する。
即ち、まず本方法においては、水酸化カルシウム懸濁液に対して添加される硫酸アルミニウム水溶液を複数段に分割して添加することを特徴とする。
水酸化カルシウム懸濁液と硫酸アルミニウム水溶液を反応させてトリスルホアルミン酸カルシウムを製造する場合において、トリスルホアルミン酸カルシウムの反応原料である硫酸アルミニウムは水に完全に溶解して水溶液となり、その全量が直ちに反応が行なえる状態であるのに対して、もう一方の反応原料である水酸化カルシウムは水に対する溶解性が0.2%と極めて低く、ほとんど水に溶けない懸濁液の状態であるため、その全量は直ちに反応が行なえる状態にはない。
このため、反応性の鈍い水酸化カルシウム懸濁液に対して、所定量の硫酸アルミニウム水溶液を一度に添加するのではなく、直ちに反応することができる水酸化カルシウム量に見合うだけの硫酸アルミニウム量の範囲内で、所定量の硫酸アルミニウムを複数段に分割して添加することにより、反応系内において硫酸アルミニウムが過剰になる状態を回避し、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物の発生を抑制するものである。
さらに本方法では、前記した硫酸アルミニウム水溶液の分割添加に加えて、(A)水酸化カルシウム懸濁液に対して(B)硫酸アルミニウム水溶液の複数段の添加のうち、少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行なうことを特徴とする。
これは、本発明において、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液の添加に対しては、所定量の水酸化カルシウム懸濁液に硫酸アルミニウム水溶液を長時間に渡って徐々に添加する、いわゆる「バッチ」方式を行なっても良いが、生成するトリスルホアルミン酸カルシウムの粒子径を微小、かつ均一に制御することに関しては、「バッチ」方式よりも連続的に移送される水酸化カルシウム懸濁液に対して硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する「連続添加」方式の方が優れていることから、本発明に用いるトリスルホアルミン酸カルシウムでは、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液のいずれかの添加において、前記「連続添加」方式による添加を、少なくとも最低1回は行なうものである。
また、本方法では、本発明の「連続添加」方式による硫酸アルミニウム水溶液の添加については、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、第1段目の添加を「連続添加」方式とすることもでき、さらに、複数段に分割して行なわれる硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、最終の添加を除く全ての添加を「連続添加」方式とすることもできる。なお、最終の添加を含む全ての添加を「連続添加」方式とすることもできる。
また、本発明のトリスルホアルミン酸カルシウムの生成においては、水酸化カルシウムの反応性を回復させて適正なトリスルホアルミン酸カルシウム生成反応を維持させるために、該後続添加の直前の添加から所定時間の間隔を空けた後に、後続の硫酸アルミニウム水溶液を添加するものであり、安定化するのに要する所要時間は、混合組成物の状態にもよるが、15秒以上が必要である。
また、本方法においては、前記複数段に分割して行なわれる(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上で行なわれてもよい。
ここにいう「後続添加」とは、水酸化カルシウム懸濁液に対して、複数段に分割して硫酸アルミニウム水溶液を添加する場合において、2段目〜最終段に行なわれる、それぞれの硫酸アルミニウム水溶液の添加をいう。
そして、ここにいう「該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物」とは、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液の混合物であって、まだ(B)硫酸アルミニウム水溶液の所定量(全量)が混合されておらず(即ち、最終段の添加がなされていない)、該後続添加によって(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される直前の組成物をいい、具体的には生成したトリスルホアルミン酸カルシウムと未反応の水酸化カルシウムが残留する組成物のことを示す。
後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上であることの意義は次のように考えられる。
トリスルホアルミン酸カルシウムの製造に関して、硫酸アルミニウム水溶液を添加する際に、原料である水酸化カルシウムの反応性を維持、回復させることが重要であることは前記した通りであるが、水酸化カルシウム懸濁液に対して硫酸アルミニウム水溶液を混合して得られた混合組成物のpHの変動状態を観測することにより、混合組成物における水酸化カルシウムの反応性の回復状況を把握することができることから、該混合組成物においては、硫酸アルミニウムを添加する前に充分に反応性を回復(=pHの上昇回復)しておくことが不可欠である。
したがって、本発明において、硫酸アルミニウムが添加される前の混合組成物のpHについては、11.0以上であることが好ましく、12.0以上とすることがより好ましく、水酸化カルシウムの反応性を完全に安定した状態まで回復させるためには、12.5〜13.0のpH範囲まで調整することが特に好ましい。硫酸アルミニウムを添加する前の混合組成物のpHが、11.0未満であると、混合組成物中の水酸化カルシウムの反応性回復が不十分である可能性が高く、該状態の混合組成物に対して硫酸アルミニウム水溶液を追添加すると、トリスルホアルミン酸カルシウムの生成反応を適性、かつ安定して行なうことが困難となり、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムといった反応副生成物が多量に生じるため好ましくない。
本方法においては、トリスルホアルミン酸カルシウムを生成させる際の、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段に分割して添加される(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)は、5.5〜7.0が好ましい。
(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aと、複数段に分割して添加される(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bと、の割合(a/b)は、理論的にはa/b=6.0であり、これは1モルのトリスルホアルミン酸カルシウムの生成には、6モルの水酸化カルシウムと1モルの硫酸アルミニウムが必要であることを示している。したがって本発明におけるトリスルホアルミン酸カルシウムが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)についてはa/b=6.0として、反応における無駄を最小限とすることが極めて好ましい。
しかしながら、水酸化カルシウムの反応性が非常に鈍いことから、完全な反応終了点で反応を終了させることは極めて困難である。したがって、本発明におけるトリスルホアルミン酸カルシウムが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の範囲の下限については、a/b=5.5以上とすることが好ましく、5.8とすることがより好ましく、6.0とすることが特に好ましい。また水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の上限については、7.0以下とすることがより好ましく、6.0とすることが特に好ましい(通常、水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)の範囲としては、a/b=5.5〜7.0が好ましく、a/b=5.8〜7.0の範囲内とすることが特に好ましい。)。トリスルホアルミン酸カルシウムが生成する際の水酸化カルシウムと硫酸アルミニウムの反応モル比(a/b)について、5.5未満とすることは、水酸化カルシウムに対する硫酸アルミニウムの比率が過剰になり、酸化アルミニウムや硫酸カルシウム等の反応副生成物が多量に発生するため好ましくなく、また該反応モル比が7.0を超えることは、pHが12.0以下のトリスルホアルミン酸カルシウムを得ることが難しくなり好ましくない。
ここに「(C)トリスルホアルミン酸カルシウムを含有する組成物のpH」の測定方法としては、残留する水酸化カルシウムの状態安定化のために、硫酸アルミニウム水溶液の最終添加が終了した後、少なくとも10分以上、好ましくは5時間以上経過した後にpH測定を行なうことが好ましく、pH測定については、測定を行なう当日に少なくとも1回はpH標準校正溶液を用いて校正されたpH計を用いることが好ましい。例えば、硫酸アルミニウム水溶液の最終段添加が終了してから24時間後経過後の25℃の(C)トリスルホアルミン酸カルシウムを含有する組成物のpHを測定するようにしてもよい。また測定器具としては、ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型/アズワン製)を使用し、(C)トリスルホアルミン酸カルシウムを含有する組成物の分散液中に直接pH電極を浸漬させて該組成物のpHを測定する。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行う。
トリスルホアルミン酸カルシウムの製造方法について、従来方法では、硫酸アルミニウムに対して常に水酸化カルシウムが過剰になる状態を堅持することによって、酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物の発生を防止するものであったが、反面、水酸化カルシウムが過剰な状態を堅持するために、生成したトリスルホアルミン酸カルシウム中にも、未反応の水酸化カルシウムが残留する状態が生じ、この残留する水酸化カルシウムが生成したトリスルホアルミン酸カルシウム中に溶出するために、従来のトリスルホアルミン酸カルシウム懸濁液のpHは強アルカリ性(pH12.5〜12.7)となることが短所であった。
しかしながら本方法においては、反応性の鈍い水酸化カルシウム懸濁液に対して、複数段に分割して所定量の硫酸アルミニウム水溶液を添加することによって、反応終了点まで硫酸アルミニウム水溶液を添加して、トリスルホアルミン酸カルシウム懸濁液中の未反応の水酸化カルシウムの残留を抑制できることから、アルカリ性の低い高品質なトリスルホアルミン酸カルシウムを安定して生成させることができる。
したがって、本方法により、硫酸アルミニウム水溶液の添加量を最適化することにより、生成するトリスルホアルミン酸カルシウムを含有する組成物のpHを12.0以下まで調整することが可能となり、硫酸アルミニウム水溶液の添加量をより最適化することにより、11.0以下の好ましい値、10.5以下のより好ましい値にすることができるようになった。また、pHの下限としては、pHを8.5以上とすることが好ましく、9.2以上とすることが特に好ましい。
このpHは、硫酸アルミニウム水溶液の添加量によって調節することができ、具体的には、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)を変更することでpHを調節することができる。該割合(a/b)を高めればpHは上昇し、該割合(a/b)を低めればpHは低下するので、所定のpHになるように該割合(a/b)を5.5〜7.0の範囲で調節すればよい。
生成するトリスルホアルミン酸カルシウムを含有する組成物のpHが12.0を越える場合には、前記したように、未反応の水酸化カルシウムが多く残留しているために好ましくなく、他方トリスルホアルミン酸カルシウムを含有する組成物のpHが8.5未満である場合には、反応終了点を越えて、過剰に硫酸アルミニウム水溶液が添加され、生成したトリスルホアルミン酸カルシウムの結晶形状が崩壊し、水酸化アルミニウムや硫酸カルシウムの反応副生成物が発生するため、好ましくない。
また、この本方法により製造される(C)トリスルホアルミン酸カルシウムの平均粒子径を大きくするには、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加段数を増加させたり、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加における流量を減少(即ち、連続添加における滞留時間を増加させる)させればよい。逆に、本方法により製造される(C)トリスルホアルミン酸カルシウムの平均粒子径を小さくするには、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加段数を減少させたり、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加における流量を増加(即ち、連続添加における滞留時間を減少させる)させたり、(A)水酸化カルシウム懸濁液への(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち第1回添加における(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加量を減少させればよい。このためこれらの条件を適宜変更して所望の平均粒子径になるようにすればよい。
本方法においては、前記複数段に分割して行なわれる(B)硫酸アルミニウム水溶液の添加のうち、1段目の添加である第1回添加において、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数の85%以下のモル数である(B)硫酸アルミニウム水溶液を添加し、前記複数段の添加のうち、2段目の添加である第2回添加と該第1回添加との(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数が、該基準モル数の98%以下のモル数となるようにしてもよい(添加モル数制限方法)。
(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下であってもよい。
ここに水酸化カルシウム懸濁液の濃度は、硫酸アルミニウム水溶液が全く添加されていない状態(即ち、硫酸アルミニウム水溶液の第1段目の添加を行なう前)の反応を行なう前の状態における水酸化カルシウム懸濁液の濃度であり、水酸化カルシウム懸濁液において、水に溶解した状態の水酸化カルシウム(f1)と、固体のまま水に分散した状態の水酸化カルシウム(f2)と、の2者を併せた水酸化カルシウムの総含有量(質量F=f1+f2)による質量%をいう。
トリスルホアルミン酸カルシウムは塩基である水酸化カルシウム懸濁液と、酸である硫酸アルミニウム水溶液を、瞬時に均一に混合させることが不可欠であるが、この際に各反応原料の濃度が濃すぎる場合には、各反応原料の瞬時、かつ均一な混合を行なうことが困難となり、また反応混合組成物(懸濁液)の粘度が2000mPa・sを越えるような高粘度となって、反応原料の混合を阻害する恐れが生じてしまう。
したがって、本方法においては、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12質量%以下であることが好ましく、少なくとも一方が、6質量%以下であることがより好ましく、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度が、共に6質量%以下であることが最も好ましい。
そして、反応原料を瞬時、かつ均一に混合させて、トリスルホアルミン酸カルシウムの生成反応を安定して行なうためには、前記したように各反応原料の濃度はできる限り低い方が好ましいが、反応原料の濃度が極めて低い場合には、取り扱う反応液量が膨大となり、極めて大きな処理能力を有する製造設備の設置が必要となるため、必要以上に原料を低濃度化することは好ましくない。
したがって、(A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度の少なくとも一方が、0.1質量%以上であることが好ましく、少なくとも一方が、1質量%以上であることが特に好ましい。
本発明において、塗被層に含有する焼成カオリン、特定のトリスルホアルミン酸カルシウム、特定のカオリンおよび炭酸カルシウム以外の顔料としては、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、シリカ、アルミナ珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、ベントナイト、ゼオライト、セリサイト、スクメタイト等の無機顔料や、密実型、中空型、貫通孔型のプラスチックピグメント、バインダーピグメント等の有機顔料等、通常の塗被紙分野に使用される顔料を使用することが可能であり、これらの中から1種あるいは2種以上を適宜選択して使用できる。
塗被層の接着剤成分には、通常は分散型接着剤を使用する。分散型接着剤としては、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのビニル系重合体ラテックスなどを例示することができる。上記した分散型接着剤は、1種又は2種以上が使用可能であるが、何れの分散型接着剤を使用する場合でも、分散した接着剤粒子の粒子径は、50〜120nm、特に50〜100nmの範囲であることが好ましい。
塗被層の形成に使用する上記分散型接着剤は、重合時のモノマーとしてアクリロニトリルを10〜35質量%、特に20〜30質量%含有していることが好ましい。分散型接着剤のアクリロニトリル含有量が10質量%未満であると、形成された塗被層のインク溶剤吸収性を満足できるほど低下させることができず、これに原因して印刷光沢が損なわれる心配がある。一方、分散型接着剤のアクリロニトリル含有量が35質量%を超える場合は、乳化重合が難しくなり、このものに満足できる結合力(binding power)を期待することができない。
上記した分散型接着剤と共に少量の水溶性接着剤を併用することができる。水溶性接着剤としては、酸化澱粉、エステル化澱粉、冷水可溶性澱粉などの各種澱粉類、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白などの蛋白質類、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコールやその変性品などが例示できる。
塗被層が含有する接着剤成分の量は、水溶性接着剤を併用するか否かに拘わらず、塗被層に含まれる顔料成分100質量部当たり、5〜20質量部、特に8〜15質量部の範囲で選ばれる。接着剤成分の含有量が5質量部未満である場合は、結合力(binding power)が不足し、20質量部を超えた場合は、塗被層の平滑性を損なう心配がある。
水溶性接着剤を併用する場合は、その含有量を顔料成分100質量部当たり、特に4質量部以下とすることが好ましい。4質量部を超えると塗被層の平滑性が劣るため好ましくない。少量の水溶性接着剤を分散型接着剤と併用することは、塗被層を形成する塗被液(coating mixture)の増粘、保水に有効である。
本発明の塗被層には、必要に応じて、青系統あるいは紫系統の染料や有色顔料、蛍光増白染料、増粘剤、保水剤、酸化防止剤、老化防止剤、導電誘導剤、消泡剤、紫外線吸収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤等の各種助剤を適宜配合することができる。
原紙上に設ける塗被層は、一層とするか、或いは2層以上の多層にするかは特に限定はなく、多層の場合、全てが同一である必要はなく、要求される品質レベルに応じて適宜調整することが可能である。
また、塗被層の塗被量も、特に限定されるものではなく、塗被紙の白紙品質、印刷品質などに応じて調整することが可能であるが、一般には、片面あたり5〜40g/m程度である。
本発明における塗被層を設ける際の塗工方法については、通常の塗被紙製造分野で使用されている各種の塗工装置、例えばエアーナイフコーター、各種のブレードコーター、ゲートロールコーター、ロールコーター、ダイコーター、カーテンコーター等が適宜使用することができる。
本発明における原紙については、特に限定されるものではなく、下記の材料が本発明の所望の効果を妨げない範囲において適宜選択して使用される。
パルプとしては、例えば、一般に使用されているLBKPやNBKP等の漂白化学パルプ、砕木パルプ(GP)、加圧式砕木パルプ(PGW)、リファイナ砕木パルプ(RGP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、脱墨古紙パルプ(DIP)、損紙などが適宜混合使用される。また、ケナフ等の非木材繊維原料から得られるパルプ繊維、合成パルプ、無機繊維等の1種又は2種以上を原紙に配合することもできる。機械パルプやDIPは、必要に応じて漂白して使用することもでき、漂白の程度も任意に行うことができる。なお、パルプの漂白には、塩素ガスのような分子状塩素や二酸化塩素のような塩素化合物を使用しない漂白工程を採用することが、環境保全の観点から好ましく、このような漂白工程を経たパルプとしては、ECFパルプやTCFパルプを挙げることができる。
原紙に内添される填料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネートカオリン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂微粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が例示でき、古紙や損紙等に含まれる填料も再使用できる。填料は2種以上の混合使用も可能である。填料の配合量は、一般に、紙(原紙)灰分が3〜20質量%の範囲となるように添加される。
なお、原紙中にはパルプや填料の他に、内添サイズ剤、アニオン性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等で例示される各種の抄紙用内添助剤を、必要に応じて添加することができる。内添サイズ剤の具体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤等が挙げられる。また、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多価金属化合物(具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド等が例示できる。
本発明の塗被紙に使用する原紙の坪量は、一般的には、30〜400g/m程度の範囲に適宜調整する。また、原紙の抄造条件は特に限定はない。抄紙機としては、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機が、目的に応じて適宜選択して使用できる。抄紙方式としては、酸性抄紙、中性抄紙、弱アルカリ性抄紙等のいずれの方式でも良いが、中性−アルカリ抄紙法による原紙を使用した場合、前述のとおり、従来のpHが12.5前後のトリスルホアルミン酸カルシウムを含有した塗被層を有する塗被紙との差が顕著である。原紙上に各種サイズプレス機およびロールコーターなどで澱粉等の天然接着剤やポリビニルアルコール等の合成接着剤を用いてサイズ処理を行なうことも可能であり、本発明の原紙とはサイズ処理をおこなう場合は、サイズ処理後の原紙を意味するものである。
このようにして得られた塗被紙は、各種公知公用の仕上げ装置、例えばスーパーカレンダ、グロスカレンダ、ソフトカレンダ、マットカレンダ等に通紙して製品仕上げを施してもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ質量部、および質量%を示す。また、実施例や比較例で使用した顔料の平均粒子径は以下の方法で測定した。
(沈降方式による顔料の粒子径測定)
米国 マイクロメリティックス社製のセディグラフ5100を使用して、顔料の粒度分布を測定し、平均粒子径は粗粒子分からの累積質量が50%に相当する点での粒子径で求めた。また、75質量%の粒子径と25質量%の粒子径の比も求めた。なお、測定に供した顔料分散液は、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム)を対顔料0.05%添加して調製した顔料スラリーを、燐酸塩系分散剤(ナンカリン)の0.1%水溶液で、顔料固形分濃度が約5%になるよう希釈して得た。
(pH測定方法)
以下に示す実施例や比較例において、トリスルホアルミン酸カルシウムのpHは以下の方法により測定した。
ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型、アズワン製)を使用し、顔料分散液中に直接pH電極を浸漬させて顔料分散液のpHを測定した。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行なった。
実施例1
(塗被液の調製)
分散剤としてポリアクリル酸ナトリウムを、分散する顔料に対して0.1部添加した水溶液に、エンジニアードカオリン(商品名:パラプリント、平均粒子径:0.48μm、d75/d25:3.1、PPSA社製)70部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、エンゲルハード社製)10部、トリスルホアルミン酸カルシウム(商品名:SW−BL、平均粒子径:0.5μm、pH:12.5、白石工業社製)5部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、平均粒子径:0.49μm、奥多摩工業社製)15部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、顔料100部に対して、酸化澱粉(商品名:エースB、王子コーンスターチ社製)0.5部、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:T2628G、粒子径:90nm、JSR社製)9部(いずれも固形分換算)、さらに、助剤として消泡剤及び染料を添加し、最終的に固形分濃度60%の塗被液を調製した。
(グラビア印刷用塗被紙の作製)
緊度が0.75g/cmである上質原紙(米坪43.0g/m)の両面に、前記塗被液を片面当たりの乾燥質量が12g/mとなるようにブレードコーターを使用して塗工し、これを乾燥して塗被層を設けた。このようにして得られた塗被紙を、温度70℃、線圧200KN/mでスーパーカレンダに通紙して、グラビア印刷用塗被紙を得た。
実施例2
(トリスルホアルミン酸カルシウムの調製)
(1)水酸化カルシウム懸濁液に対する第1段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加
9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記の6%水酸化カルシウム懸濁液を300g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を104g/分(基準モル数の45%。なお、基準モル数等の計算方法は後述する。)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を14分間連続して行なった。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンクに連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行なった。pH回復後の該混合組成物(以下、「第1組成物」という。)のpHは12.7であった。
ここに基準モル数等の計算方法を簡単に説明しておく。
水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムの分子量は、それぞれ74.1、および342.16であり、6%水酸化カルシウム懸濁液300g/分は、固形分として18g/分で、そのモル数(単位時間に装入されるモル数)は18/74.1=0.243である。従って、水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数は、0.243×1/6=0.0405モル/分となる。
一方、6%硫酸アルミニウム水溶液104g/分には、104g×6%=6.24g/分の硫酸アルミニウムが含まれており、これをモル数に換算すると6.24g/分×1/342.16=0.0182モル/分となる。
従って、第1段目に添加する硫酸アルミニウム水溶液の、基準モル数に対する割合の計算は、(0.0182モル/分)/(0.0405モル/分)=45%と計算される。
(2)第2段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加
前記(1)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記混合組成物(第1組成物)を404g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を81g/分(基準モル数の35%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を12分間連続して行なった。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をpH復元タンクに連続的に受け入れ30分間静置して、pH回復を行なった。pH回復後の混合組成物(以下、「第2組成物」という。)のpHは12.5であった。
(3)第3段目の硫酸アルミニウム水溶液の添加(反応終了)
前記(2)と同様にして、9000rpmで回転させたインラインミキサー(パイプラインホモミクサー、混合手段)に対して、前記混合組成物(第2組成物)を485g/分、および6%硫酸アルミニウム水溶液を34g/分(基準モル数の15%)で同時、かつ連続的に注入し、該注入を10分間連続して行なった(反応終了)。その際に得られた混合組成物(インラインミキサーから吐出される組成物)をクッションタンクに連続的に受け入れ、反応終了後の組成物(以下、「反応終了組成物」という。)を得た。反応終了組成物のpHは11.5であった。
(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)の計算方法について簡単に説明する。
まず、最終的に用いた6%水酸化カルシウムは300g/分×10分間=3000gであり、それに含まれる固形分としては180gであり、Ca(OH)モル数aとしては2.43モルである。
そして、複数段に分割添加した6%硫酸アルミニウムの総量は219g/分×10分間=2190gであり、それに含まれる固形分としては131.4gであり、Al(SOモル数bとしては0.38モルである。
従って、モル比(Ca(OH)/Al(SO=a/b)としては6.4となる。また、硫酸アルミニウムの総添加率としては、基準モル数の95%(=45%+35%+15%)であった。
反応終了後の組成物(反応終了組成物)をフィルタープレスで脱水することで固形分が約32〜34%の組成物とし、続いて固形分27%となるように該脱水組成物を水に再分散させた。その再分散の際、あらかじめ水にポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成化学社製)を組成物(該脱水組成物)の固形分対比で0.5部の量を添加しておき、さらに該分散剤の添加量を調整して、再分散した該組成物分散液が約10mPa・s程度の低粘度になるように調整した。平均粒子径は0.44μmであった。
(塗被液の調製および塗被紙の作製)
実施例1で使用したトリスルホアルミン酸カルシウム(pH12.5)を、上記トリスルホアルミン酸カルシウム(pH11.5)を使用した以外は、実施例1と同様にして塗被紙を得た。
実施例3
実施例1で使用した顔料成分を、エンジニアードカオリン(商品名:パラプリント、前出)50部、微粒カオリン(商品名:ミラグロス−J、平均粒子径:0.28μm、d75/d25:3.9、エンゲルハード社製)20部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)15部、トリスルホアルミン酸カルシウム(平均粒子径:0.44μm、pH11.5、前出)3部、重質炭酸カルシウム(商品名:ハイドロカーブ90、平均粒子径:0.81μm、備北紛化工業社製)12部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
実施例4
実施例1で使用した顔料成分を、微粒カオリン(商品名:ミラグロス−J、前出)70部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)12部、トリスルホアルミン酸カルシウム(平均粒子径:0.44μm、pH11.5、前出)3部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、前出)15部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
実施例5
実施例1で使用した顔料成分を、デラミネートカオリン(商品名:カピムDG、平均粒子径:0.61μm、d75/d25=3.9、イメリス社製)70部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)12部、トリスルホアルミン酸カルシウム(平均粒子径:0.44μm、pH11.5、前出)8部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、前出)10部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
実施例6
実施例5で使用した顔料成分において、デラミネートカオリンを1級カオリン(商品名:UW−90、平均粒子径:0.35μm、d75/d25:5.6、エンゲルハード社製)とした以外は、実施例5と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
実施例7
実施例5で使用した顔料成分を、デラミネートカオリンを2級カオリン(商品名:HT、平均粒子径:0.42μm、d75/d25:7.1、エンゲルハード社製)とした以外は、実施例5と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
実施例8
実施例1で使用した顔料成分を、エンジニアードカオリン(商品名:パラプリント、前出)75部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)15部、トリスルホアルミン酸カルシウム(商品名:SW−BL、前出)10部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
比較例1
実施例1で使用した顔料成分を、エンジニアードカオリン(商品名:パラプリント、前出)70部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)15部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、前出)15部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
比較例2
実施例1で使用した顔料成分を、エンジニアードカオリン(商品名:パラプリント、前出)70部、トリスルホアルミン酸カルシウム(商品名:SW−BL、前出)10部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、前出)20部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
比較例3
(粗粒サチンホワイト顔料スラリーの調製)
容積が250リットルの反応槽(コーレス攪拌槽)に90kg(90リットル)の水を入れ、これに撹拌しながら、分級処理を行っていない(粒径が直径1〜4cmの大きさのものが混在している)塊状の生石灰(CaO、足立石灰工業社製)10.0kgを投入した。次いで、攪拌を続けながら溶解し液の温度を上昇させ、85〜95℃の範囲に1時間保持した後、30℃に冷却した。次に、撹拌を更に激しくしながら硫酸バンドの水溶液(水50kg(50リットル)に対してAl(SO・18HO 25kgを溶解したもの)58.3kgを約1kg/分の送液量で徐々に添加し、サチンホワイトの懸濁液を得た。
この懸濁液をフィルタープレスで搾水し、固形分濃度32%のケーキ状のサチンホワイトを得、次にこのサチンホワイトの固形分100部当りポリカルボン酸ナトリウム(商品名:アロンT−40、東亜合成社製)3部及び水を加えて固形分濃度20%とした後、サンドグラインダーに通してサチンホワイトの分散液を得、更にこの分散液を150メッシュのスクリーンメッシュ処理を行い、固形分濃度20%のサチンホワイト顔料スラリーを得た。この顔料スラリーから得たサチンホワイトのX線透過式粒度分布測定による平均粒子径は、3.0μmであった。
実施例1で使用した顔料成分において、トリスルホアルミン酸カルシウム(商品名:SW−BL、前出)を、上で得た粗粒サチンホワイトに変更した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。
比較例4
実施例1で使用した顔料成分を、エンジニアードカオリン(商品名:パラプリント、前出)60部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)25部、トリスルホアルミン酸カルシウム(商品名:SW−BL、前出)3部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、前出)12部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
比較例5
実施例1で使用した顔料成分を、エンジニアードカオリン(商品名:パラプリント、前出)40部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)10部、トリスルホアルミン酸カルシウム(商品名:SW−BL、前出)10部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、前出)40部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
比較例6
実施例1で使用した顔料成分を、粗粒デラミネートカオリン(商品名:ニューサーフ、平均粒子径:2.1μm、d75/d25:4.1、エンゲルハード社製)40部、焼成カオリン(商品名:アンシレックス、前出)10部、トリスルホアルミン酸カルシウム(商品名:SW−BL、前出)10部、軽質炭酸カルシウム(商品名:TP123CS、前出)40部とし、実施例1と同様にしてグラビア印刷用塗被紙を得た。
実施例及び比較例で得た各グラビア印刷用塗被紙の品質を、下記の項目で評価した。評価は、特に記載ない限り、23℃、50RH%の環境下で行った。結果を表1に示す。
(外観)
塗被層形成後の塗被紙表面について、ストリーク、スクラッチ、ブリーディングなどの有無を目視評価した。
◎:なし。
○:ややあるが、実用上問題ない。
△:ある。
(PPS平滑度)
グラビア印刷用塗被紙の表面について、パーカープリントサーフ(PPS)表面平滑度試験機(機種名:MODEL M−569型、MESSMER BUCHEL社製、英国)を用い、バッキングディスク:ソフトラバー、クランプ圧力:0.98MPaで5回平滑度測定を行ない、その平均を求めた。
(不透明度)
JIS P 8149に準拠して測定した。
(印刷適性)
大蔵省印刷局グラビア印刷試験機(熊谷理機工業社製)を用いて、グラビアインキ用のインキを使用してグラビア印刷を行い、網点抜け(ミッシングドット)の度合いを目視評価した。
◎:網点抜けがない
○:低階調部にやや網点抜けが認められるが、実用上問題ない。
△:低階調部〜高階調部に網点抜けが認められ、実用上問題である。
×:低階調部〜高階調部に網点抜けが数多く認められる。
(褪色性)
恒温恒湿器を用いて、70℃、90%RHの条件化で24時間の熱処理をした塗被紙と未処理塗被紙の白色度、色相の変化を目視評価した。
○:褪色性良好。(白色度、色相の変化はほとんどない。)
△:褪色性やや劣る。(白色度が低下し、色相が変化している。)
Figure 2007023443

Claims (10)

  1. 原紙の少なくとも片面に、顔料と接着剤を主成分とする塗被層を1層以上設けたグラビア印刷用塗被紙において、前記塗被層中の顔料成分として、焼成カオリン、沈降方式により測定した平均粒子径が0.1〜1.5μmの範囲にあるトリスルホアルミン酸カルシウム、同平均粒子径が0.8μm以下であるカオリンが含有され、それぞれの含有量が塗被層中の全顔料の5〜20質量%、1〜30質量%、45質量%以上であることを特徴とするグラビア印刷用塗被紙。
  2. 前記塗被層中に、さらに炭酸カルシウムが塗被層中の全顔料の5〜20質量%含有される請求項1記載のグラビア印刷用塗被紙。
  3. 前記トリスルホアルミン酸カルシウムがpH12.0以下である請求項1または2記載のグラビア印刷用塗被紙。
  4. 前記トリスルホアルミン酸カルシウムのpHが8.5以上11.0以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載のグラビア印刷用塗被紙。
  5. 前記トリスルホアルミン酸カルシウムが、(A)水酸化カルシウム懸濁液と(B)硫酸アルミニウム水溶液とを反応させて製造されたものであって、(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を複数段添加するものであり、複数段添加のうち少なくともいずれかが、連続的に移送される(A)水酸化カルシウム懸濁液に(B)硫酸アルミニウム水溶液を連続的に添加する連続添加によって行われるものである、請求項1から4のいずれか一項に記載のグラビア印刷用塗被紙。
  6. 前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加の直前の添加から所定時間が経過した後に行なわれるものである、請求項5に記載のグラビア印刷用塗被紙。
  7. 前記複数段の添加のうち2段目以降の添加である後続添加が、該後続添加において(B)硫酸アルミニウム水溶液が添加される組成物のpHが11.0以上で行なわれるものである、請求項5または6に記載のグラビア印刷用塗被紙。
  8. (A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数aの、複数段添加された(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数bに対する割合(a/b)が、5.5〜7.0である、請求項5から7のいずれか一項に記載のグラビア印刷用塗被紙。
  9. 前記複数段の添加のうち1段目の添加である第1回添加において、(A)水酸化カルシウム懸濁液のモル数の1/6のモル数である基準モル数の85%以下のモル数である(B)硫酸アルミニウム水溶液を添加し、前記複数段の添加のうち2段目の添加である第2回添加と該第1回添加との(B)硫酸アルミニウム水溶液の合計添加量のモル数が、該基準モル数の98%以下のモル数である、請求項5から8のいずれか一項に記載のグラビア印刷用塗被紙。
  10. (A)水酸化カルシウム懸濁液の濃度と、(B)硫酸アルミニウム水溶液の濃度と、の少なくとも一方が、12重量%以下である、請求項5から9のいずれか一項に記載のグラビア印刷用塗被紙。
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