JP4341060B2 - プリント基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、必要に応じて複数枚の小基板に分割可能なプリント基板に関し、特にアース接続を兼用する固定用の孔を各小基板に形成したプリント基板に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、ノイズ成分を除去するノイズフィルタにおいては、図3に示すように、外郭を形成するケース1に取付けられる入力端子2A〜2Cおよび出力端子3A〜3Cと、この入力端子2A〜2Cおよび出力端子3A〜3C間に接続されるチョークコイルL1,L2と、コネクタ5A〜5Cの他に、抵抗R1〜9やコンデンサC1〜C9,C11〜C22を実装したプリント基板7を備えて構成される。
【0003】
ここでのチョークコイルL1,L2は、三相の各電源ライン8A〜8Cとグランド9との間に生じるコモンモードノイズを除去するものである。また、電源ライン8A〜8C間に接続されるアクロス・ザ・ライン・コンデンサC1〜C9は、いずれも電源ライン8A〜8C間に生じるノーマルモードノイズを除去するためのものである。さらに各電源ライン8A〜8Cとグランド9との間に接続されるライン・バイパス・コンデンサC11〜C22は、コモンモードノイズを除去するためのものである。そのなかで、コンデンサC16,C17、コンデンサC11,C18、コンデンサC12,C19、コンデンサC13,C20、コンデンサC14,C21、コンデンサC15,C22は、それぞれが対応して並列に接続されており、必要に応じてその一方または双方に部品を選択的に取付けるようにしている。
【0004】
図4は、プリント基板7の正面図である。このプリント基板7は横長矩形状を有し、周知のように絶縁層の両面または片面に導電パターン10を形成して構成される。また、複数枚の小基板11〜13に分割できるように、プリント基板7の適所には丸穴と長孔とを直線状に配置した基板切断部14が形成される。各小基板11〜13の四隅には、前記ケース1への固定用の孔15が形成される。ここでのプリント基板7は、2つの基板切断部14により3枚の小基板11〜13に分割でき、12個の孔15A〜15Lを設けている。そのなかで、孔15A,15B,15D,15E,15F,15Hの周囲には、導電パターン9が形成され、ねじ止め時にケース1とのアース接続を図ることができるようになっている。
【0005】
そして、図3にも示すように、第1の小基板11は、コネクタ5Aと、抵抗R1〜R3と、コンデンサC1〜C3が実装可能であり、第2の小基板12は、コネクタ5Bと、抵抗R4〜R6と、コンデンサC4〜C6と、コンデンサC11,C12,C16〜C19が実装可能であり、第3の小基板13は、コネクタ5Cと、抵抗R7〜R9と、コンデンサC7〜C9と、コンデンサC13〜15,C20〜C22が実装可能である。なお、21は捨て基板で、これはリフロー半田時において、半田ディップ槽のレールにプリント基板7の端部を載せるために必要な箇所で、各部品の半田付け終了後には切り離されるものである。
【0006】
こうしたノイズフィルタなどの多品種で少量生産の電子機器では、各製品毎に共通のプリント基板7を使用できるように、基板切断部14を形成して複数枚の小基板11〜13に分割するようになっている。例えば、ケース1の内部スペースが比較的小さい機種については、並列接続される全てのコンデンサC11〜C22をプリント基板7に実装すると共に、基板切断部14により3枚の小基板11〜13に分割することで、プリント基板7を構成する全ての小基板11〜13をケース1の空スペースに分配して実装できる。その際、小基板11〜13の四隅にある全ての孔15A〜15Lを利用することで、基板固定用の支柱すなわちスペーサ(図示せず)を介して、ケース1への取付け固定と、各コンデンサC11〜C22の一端のケース1へのアース接続が図られる。
【0007】
一方、ケース1の内部スペースが比較的大きい機種については、並列接続されるコンデンサC11〜C22のなかで、コンデンサC11〜C16の部品だけをプリント基板7に実装すると共に、基板切断部14により小基板11〜13に分割せずに、そのまま1枚のプリント基板7をケース1内に装着する。その際、各コンデンサC11〜C16についてケース1とのアース接続を図りつつ、しかもプリント基板7をケース1に安定した状態で取付けるために、ここでは12個の孔15A〜15Lのなかで、9個の孔15A,15B,15D,15E,15F,15H,15I,15K,15Lを利用して、スペーサを介してケース1にプリント基板7を取付け固定する。
【0008】
しかし、特にプリント基板7の孔15D,15Fの周辺に着目すると、この孔15D,15Fは基板切断部14を挟んで近接してはいるものの、孔15DはコンデンサC15,C22の一端をアース接続するために、また孔15FはコンデンサC16,C17の一端をアース接続するために、いずれもスペーサを介してのねじ止め作業が必要となる。したがって、本来プリント基板7を安定した状態で取付けるには、孔15D,15Fのいずれか一方だけをねじ止め作業すればよいが、プリント基板7に実装したコンデンサC11〜C16の一端とケース1とのアース接続を図るために、わざわざ両方の孔15D,15Fに対してねじ止め作業を行なわざるを得ず、余計な工数の増加を招いていた。
【0009】
本発明は、上記問題点に着目して成されたものであって、固定用の孔を利用してプリント基板を取付け固定する際に、その取付け作業を省力化することのできるプリント基板を提供することをその目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のプリント基板は、複数枚の小基板に分割可能な基板切断部を形成すると共に、前記各小基板にアース接続を兼用する固定用の孔を形成したプリント基板において、一方の前記小基板に形成した第1の電子部品をアース接続するための前記第1の孔と、他方の前記小基板に形成した第2の電子部品をアース接続するための前記第2の孔が近接する部位に、前記第2の電子部品と電気的に並列接続可能な別の第3の電子部品の実装部を、この第3の電子部品が前記第1の孔を利用して前記第1の電子部品と共にアース接続されるように、前記基板切断部に跨って配置し、前記基板切断部により前記プリント基板を前記小基板に分割して使用する場合は、前記第2の電子部品が前記プリント基板に実装され、前記小基板に切断することなく一枚の前記プリント基板で使用する場合は、前記第2の電子部品が前記プリント基板に実装されず、代わりに、前記第3の電子部品が前記実装部に実装されるものである。
【0011】
この場合、基板切断部によりプリント基板を子基板に分割して使用する場合は、基板切断部に跨る第3の電子部品を装着できないため、代わりに第2の電子部品をプリント基板に実装する。そして、第1の孔や第2の孔を含む各小基板の孔に対して取付け作業を行なうことにより、第1の電子部品は第1の孔によりアース接続され、第2の電子部品は第2の孔によりアース接続される。
【0012】
一方、小基板に切断することなく一枚のプリント基板で使用する場合は、第2の電子部品をプリント基板に実装せず、代わりに基板切断部に跨って配置した実装部に第3の電子部品を装着する。こうすると、第1の電子部品と第2の電子部品に代わる第3の電子部品を、共通する第1の孔を利用してアース接続することが可能になり、第2の孔に対する取付け作業が不要になる。そのため、固定用の孔を利用してプリント基板を取付け固定する際に、その取付け作業を省力化することが可能になる。
【0013】
【発明の実施形態】
以下、本発明のプリント基板について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、従来例に示す図3および図4と同一部分には同一符号を付し、その共通する箇所の説明は重複するため省略する。
【0014】
図1はプリント基板31が装着されるノイズフィルタの回路構成を示し、図2はプリント基板31の部品実装面を示しているが、本実施例におけるプリント基板31は、一方の小基板13に形成した第1の孔である孔15Dと、他方の小基板12に形成した第2の孔である孔15Fが近接する部位に、孔15Fを利用してアース接続されるコンデンサC16,C17と電気的に並列接続可能な別のコンデンサC10の実装部32を、このコンデンサC10が孔15Dを利用してアース接続されるように、基板切断部14に跨って配置した点が、従来例におけるプリント基板7と異なる。実装部32は、具体的には小基板12に実装されるコンデンサC16,C17の他端と共通の導電パターン10A(電源ライン8Aに至る)に導通する固定用穴と、別の小基板13に実装されるコンデンサC15,C22の一端と共通の導電パターン10B(孔15Dによりアース接続される)に導通する固定用穴を形成して構成される。なお、ここでは電子部品としてコンデンサC10,C16,C17を取り上げたが、別の例えば抵抗やチョークコイルなどに適用してもよい。また、コンデンサC10の実装部32としては、表面実装に適した導電パッドなどを利用することもできる。その他、ノイズフィルタとしての構成は従来例で説明した通りである。
【0015】
本実施例におけるプリント基板31も、ケース1の形状が異なる各製品に共通して使用できるように、必要に応じて基板切断部14を利用して、小基板11〜13に分割することができる。すなわち、一枚のプリント基板31にて複数の製品に対応できるため、プリント基板31に関する管理コストの低減を達成できる。また、各製品が少量生産であっても、プリント基板31そのものは複数の製品に跨ったまとめ発注が可能となり、購入コストの低減が可能である。
【0016】
ケース1の内部スペースが小さい製品では、基板切断部14によりプリント基板31を3枚の小基板11〜13に分割して、これらの各小基板11〜13をケース1内の適所に装着する。その際、第1の小基板11には、コネクタ5Aと、抵抗R1〜R3と、コンデンサC1〜C3が実装され、第2の小基板12には、コネクタ5Bと、抵抗R4〜R6と、コンデンサC4〜C6と、コンデンサC11,C12,C16〜C19が実装され、第3の小基板13には、コネクタ5Cと、抵抗R7〜R9と、コンデンサC7〜C9と、コンデンサC13〜15,C20〜C22が実装され、コンデンサC10を除く全ての電子部品が実装される。そして、小基板11〜13の四隅にある全ての孔15A〜15Lを利用することで、基板固定用の支柱すなわちスペーサ(図示せず)を介して、ケース1への取付け固定と、各コンデンサC11〜C22の一端のケース1へのアース接続が図られる。
【0017】
一方、ケース1の内部スペースが大きい製品では、基板切断部14により小基板11〜13に分割することなく、そのまま1枚のプリント基板31をケース1内に装着する。プリント基板31には、コネクタ5A〜5Cと、コンデンサC1〜C9の他に、小基板12,13に跨って配置されるコンデンサC10と、コンデンサC11〜C15が実装されるが、コンデンサC16〜C22は実装されない。そして、各コンデンサC10〜C15についてケース1とのアース接続を図りつつ、しかもプリント基板7をケース1に安定した状態で取付けるために、ここでは12個の孔15A〜15Lのなかで、8個の孔15A,15B,15D,15E,15H,15I,15K,15Lを利用して、スペーサを介してケース1にプリント基板7を取付け固定する。
【0018】
この場合、特に孔15D,15Fの周辺に着目すると、コンデンサC16,C17(プリント基板31には実装せず)と電気的に並列に接続されるコンデンサC10(プリント基板31に実装される)の一端が、同じくプリント基板31に実装される他のコンデンサC15の一端と共通して、孔15Dを利用してアース接続することができる。一方、孔15Fに導通する導電パターンは、対応する電子部品(コンデンサC16,C17)の一端が何も接続されておらず、孔15Dを利用してアース接続する必要はない。したがって、従来例のプリント基板7とは異なり、コンデンサC10〜C15の一端をアース接続する上で、近接する2つの孔15D,15Fに対してねじ止め作業を行なう必要がなく、余計な工数の増加も招かない。また、ねじ止め作業を行なう数が減ることで、プリント基板31とケース1との間に介在するスペーサの数も減らすことができ、更なるコストダウンが達成できる。
【0019】
以上のように本実施例によれば、複数枚の小基板11〜13に分割可能な基板切断部14を形成すると共に、これらの各小基板11〜13にアース接続を兼用する金属筐体たるケース1への固定用の孔15A〜15Lを形成したプリント基板31において、一方の小基板13に形成した第1の電子部品であるコンデンサC15,C22をアース接続するための第1の孔15Dと、他方の小基板12に形成した第2の電子部品であるコンデンサC16,C17をアース接続するための第2の孔15Fが近接する部位に、コンデンサC16,C17と電気的に並列接続可能な第3の電子部品であるコンデンサC10の実装部32を、このコンデンサC10が第1の孔15Dを利用してコンデンサC15,C22とアース接続されるように、基板切断部14に跨って配置し、この基板切断部14によりプリント基板31を小基板11〜13に分割して使用する場合は、コンデンサC16,C17がプリント基板31に実装され、小基板11〜13に切断することなく一枚の前記プリント基板31で使用する場合は、コンデンサC16,C17がプリント基板31に実装されず、代わりに、コンデンサC10が実装部32に実装される。
【0020】
このようにすると、基板切断部14によりプリント基板31を子基板11〜13に分割して使用する場合は、基板切断部14に跨るコンデンサC10を装着できないため、代わりにコンデンサC16,C17をプリント基板31に実装する。そして、第1の孔15Dや第2の孔15Fを含む各小基板11〜13の孔15A〜15Lに対して取付け作業を行なうことにより、コンデンサC15は第1の孔15Dによりアース接続され、コンデンサC16,C17は別の第2の孔15Fによりアース接続される。
【0021】
一方、小基板11〜13に切断することなく一枚のプリント基板31として使用する場合は、コンデンサC16,C17をプリント基板31に実装せず、代わりに基板切断部14に跨って配置した実装部32にコンデンサC10を装着する。こうすると、コンデンサC22とコンデンサC16,C17に代わるコンデンサC10とを、共通する第1の孔15Dを利用してアース接続することが可能になり、第2の孔15Fに対する取付け作業が不要になる。そのため、固定用の孔15A〜15Lを利用してプリント基板31を取付け固定する際に、その取付け作業を省力化することが可能になる。
【0022】
以上、本発明のプリント基板について前記実施例に基づき説明してきたが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例では3枚の小基板11〜13に分割する構成を示したが、2枚または4枚以上に小基板を分割する構成でもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明におけるプリント基板によれば、固定用の孔を利用してプリント基板を取付け固定する際に、その取付け作業を省力化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例におけるプリント基板を装着するノイズフィルタの回路図である。
【図2】同上プリント基板の平面図である。
【図3】従来例におけるプリント基板を装着するノイズフィルタの回路図である。
【図4】従来例におけるプリント基板の平面図である。
【符号の説明】
11〜13 小基板
14 基板切断部
15A〜15L 孔
15D 第1の孔
15F 第2の孔
C10 コンデンサ(第3の電子部品)
C15,C22 コンデンサ(第1の電子部品)
C16,C17 コンデンサ(第2の電子部品)
32 実装部
Claims (1)
- 複数枚の小基板に分割可能な基板切断部を形成すると共に、前記各小基板にアース接続を兼用する固定用の孔を形成したプリント基板において、
一方の前記小基板に形成した第1の電子部品をアース接続するための前記第1の孔と、他方の前記小基板に形成した第2の電子部品をアース接続するための前記第2の孔が近接する部位に、前記第2の電子部品と電気的に並列接続可能な別の第3の電子部品の実装部を、この第3の電子部品が前記第1の孔を利用して前記第1の電子部品と共にアース接続されるように、前記基板切断部に跨って配置し、
前記基板切断部により前記プリント基板を前記小基板に分割して使用する場合は、前記第2の電子部品が前記プリント基板に実装され、
前記小基板に切断することなく一枚の前記プリント基板で使用する場合は、前記第2の電子部品が前記プリント基板に実装されず、代わりに、前記第3の電子部品が前記実装部に実装されることを特徴とするプリント基板。
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