JP4340409B2 - 遊技メダルの投入口 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、遊技メダルの投入口に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、スロットマシン等メダルを投入して遊技を行う遊技機におけるメダル投入口としては、メダルを通過させるスリットの手前にメダルの誘導溝を設け、一度に大量のメダルを順次投入可能に形成されたものが知られている。
例えば、図3に示したような構造のものである。これは、誘導溝20内にメダルを立てて重ねて並べ、手前から奥に向けてメダルを押し出すと、先頭のメダルから順次スリット30に落下していく仕組みである。このとき、誘導溝20の奥には立設板40が設けられているので、メダルが溝外へ飛び出すことなく、手前のスリット30に投入されるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、少量のメダルを誘導溝に沿わせずに投入しようとする際には、スリットを狙って立設板をガイドにしながら一枚ずつ投入しなければならないので、投入しにくいものである。この点のみに注目すれば、スリットの幅xを十分に広くすれば問題は解決されるが、同時に二枚以上のメダルが投入可能な投入口とすると、メダルのカウントやメダルセレクターへの搬送において支障が生じ好ましくない。
【0004】
さらに、誘導溝にメダルを並べて押し出すようにしてメダルを投入する場合にも、手前から押されるメダルと立設板との間にメダルが挟まれて、投入途中で入り口に詰まることがあり、これを回避するためにメダルの列を揺すり込むようにしながら投入しなければならず、遊技者を煩わせることがままあった。
そこで、各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、次の点にある。
【0005】
(請求項1)
請求項1記載の発明は、誘導溝に沿ってメダルを投入する場合はよりスムーズに投入が行え、数枚を誘導溝に沿わせずにメダルを投入する場合でもスムーズに投入が行える遊技メダルの投入口を提供しようとするものである。
【0006】
【0007】
【0008】
【課題を解決するための手段】
(特徴点)
各請求項にそれぞれ記載された各発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、各発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
【0009】
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
また、図面番号も、発明の実施の形態において用いた図番を示し、本発明の技術的範囲を限定するものでない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、次の点を特徴とする。
【0010】
すなわち、請求項1記載の発明は、上方から投入されたメダルが通過可能な横長のスリット30と、該スリット30の手前側に凹部を形成してなる誘導溝20と、前記スリット30を挟んで前記誘導溝20の対向側に形成された立設板40を有する遊技メダルの投入口であって、前記誘導溝20のスリット側の縁部24にR面取り又はC面取りを施すとともに、スリット30の奥行き方向の幅xと、前記面取りの手前側端部から前記立設板40の手前側の面までの幅yが、メダルの厚みtとの関係において、下記の式関係をを満たしていることを特徴とする。
【0011】
[式1] 1.1t<x≦1.6tかつ、2t≦y≦2.5t。
本発明は、スロットマシン等のメダル遊技機に使用するメダル投入口である。ここで、「メダル投入口」とは、メダルを投入するスリット30と、スリット30に付属するメダル投入に関わる部分を含めた広い意味での投入口のことであり、遊技機本体と別個に形成されるユニット形式のものであっても良いし、遊技機本体と一体成形されるものであっても良い。
【0012】
誘導溝20は、メダルの表裏面を正面側にして複数枚重ねて並べることができる凹部であり、左右の側壁がメダル接触面21上のメダルを支持するような形状となっている。
立設板40は、誘導溝20を遊技機の奥方向から塞ぐように立設されていて、この立設板40の手前であり誘導溝20のいちばん奥が横長のスリット30となっている。すなわち、本発明は、メダルの表裏面を正面側に向けてメダルを投入するように形成したメダル投入口である。なお、立設板40は、誘導溝20の左右両端部の高さよりも高く形成した方が望ましい。
【0013】
また、前記誘導溝20は、手前側からスリット30側に向かって登り傾斜となっていてもよいし、水平に形成されていてもよい。ただし、本発明は、手前側からスリット30側に向かって下り傾斜となっているものについては想定していない。
前記誘導溝20のスリット30側の縁部24には、面取り加工が施されている。面取りは、前記縁部24の角を落としたものであり、C面取りであってもR面取りであってもよい。この面取りがあることにより、スリット30の奥行き方向の開口部の幅は、スリット幅xよりも広くなる。
【0014】
そして、本発明は、スリット30の奥行き方向の幅xと、前記誘導溝20のスリット側最高位置から前記立設板40の手前側の面までの幅yが、メダルの厚みtとの関係において、[式1]の関係を満たしているものである。すなわち、メダルの厚みがtの場合には、前記x及びyの値を[式1]に当てはまるように形成したメダル投入口である。
【0015】
ここで、「面取りの手前側端部から前記立設板40の手前側の面までの幅」yとは、スリット30の奥行き方向の開口部幅を意味するものである。すなわち、「面取りの手前側端部」とは、前記縁部24の角を落とした面取り部分における手前側(誘導溝20との境界部分)のことであり、具体的には、誘導溝20が手前側からスリット30側に向かって登り傾斜となっている場合には誘導溝20のスリット側最高位置である頂点P(図8(A)参照)、誘導溝20が水平になっている場合には面取りの手前側端部P’(図8(B)参照)と、立設板40までの長さがyである。換言すれば、スリット幅xと、前記yとの差の長さが、縁部24に施されるR面取りのr径又はC面取りのC値となるものである。
【0016】
本発明によれば、スリット幅xがメダル1.6枚の厚みに満たないので、メダルが2枚一度にスリット30に入り込むことはない。また、誘導溝20のスリット側最高位置から前記立設板40の手前側の面までの幅y(以下開口部幅yという)はメダル2枚の厚みよりも広く形成されているとともに、誘導溝20の縁部24に面取りが施してあるので、2〜3枚のメダルをスリット30の上から落下させたときに上方から投入したメダルがスリット30にきっちり入らなくても、面取りの斜面に沿ってスリット30内に落下することができる。さらに、開口部幅yは、メダル2.5枚の厚みに満たないので、メダルを誘導溝20に沿わせて投入する際、最初のメダルがスリット30に落下する前に次のメダルが面取りの斜面に沿って下降することによりスリット30の入り口でメダルが詰まることはない。
【0017】
【0018】
更に、本発明は、誘導溝20の縁部24に施される面取りをR面取り又はC面取りとしたものである。
本発明によれば、縁部24は手前側ほど水平に近く、スリット30側ほど垂直に近くなる。すなわち、縁部24の手前側はスリット30に落下いにくく、縁部24の奥側ほどスリット30に落下しやすい構成とすることができる。
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の好適な実施の形態を、図面に基づき説明する。
(図面の説明)
図1乃至図4は、本発明の実施の形態を示すものである。
図1は、メダル投入口の断面図である。図2及び図3は、面取り部分の拡大図である。図4は、メダル投入口を示す斜視図である。図5及び図6は、図2及び図3に対する比較例を示す図である。
【0021】
(メダル投入口10)
メダル投入口10は、図1に示すように、遊技機に固定されるベース11と、ベース11に手前側から奥行き方向に設けられた断面略U字状の誘導溝20と、誘導溝20を奥側から塞ぐ半円形の立設板40と、前記誘導溝20の奥端部であって立設板40の手前に設けられた横長のスリット30とから構成されている。
【0022】
ベース11は、誘導溝20及びスリット30及び立設板40を備え、メダル投入口10を遊技機に固定するためのものである。具体的には、特に図示しないが、例えばスロットマシンの操作部の上面に取り付け穴を設け、そこにメダル投入口10を嵌め込んで、ねじ等により固定するものである。
誘導溝20は、図4(A)示すように、ベース11に設けられた断面略U字形状の凹部であり、遊技メダルをスリット30に誘導するためのものである。すなわち、この凹部にメダルを複数枚重ねて並べることができるようになっている。
【0023】
また、図1に示すように、誘導溝20のメダル接触面21は、手前から奥行き方向にかけて上向きに傾斜している。このように形成することにより、並べたメダルが前方に倒れることなく、メダルの列を手前側から奥方向に指で押すことにより、メダルがスリット30の方に移動するものである。
この誘導溝20の奥端部に、メダルを上方から投入し通過させることができる横長のスリット30が形成されている。このスリット30の幅xは、図2に示すように、メダル一枚の厚みtよりも広く、メダル二枚の厚み2tよりは狭いものとなっており、メダルが一枚ずつ余裕を持って投入可能となっている。なお、さらに詳しくは、[式2]とするのが望ましいが、これについては後述する。
【0024】
[式2] 1.1t<x≦1.6t
また、スリット30の誘導溝20側の縁部24には、面取り加工が施されている。この面取りは、図2に示したようにR面取りであってもよいし、図3に示したようにC面取りとしてもよい。そして、面取りが施されていることにより、スリット30の開口部分は、スリット幅xよりも若干広くなっている。すなわち、図2に示すように、前記縁部24の頂点と、前記立設板40との距離yは、メダル二枚の厚み2tよりも広く、メダル三枚の厚み3tよりも狭く形成されている。なお、さらに詳しくは、[式3]とするのが望ましいが、これについても後述する。
【0025】
[式3] 2t≦y≦2.5t
ところで、以上のように形成することにより、望ましい縁部24の面取り径r又はC面取りの値(y−x)は、0.4t以上1.4t以下となる。
立設板40は、ベース11から立設された半円形の板であり、スリット30を挟んで誘導溝20の対向側に位置し、誘導溝20を奥側から塞ぐ形となっている。
【0026】
(メダルの投入)
次に、本発明に係るメダル投入口10にメダルを投入する場合について、図2に基づき説明する。
まず、大量のメダルを一度に投入する場合には、誘導溝20にメダルを重ねて並べ、手前からメダルを押し出すようにすれば、メダルはスリット30に順次落下していく。
【0027】
このとき、誘導溝20の縁部24には面取りが施してあるので、先端のメダルM1がスムーズに落ちていくのを補助するものとなる。すなわち、面取りによりスリット30の開口部幅yが広くなっていると共に、先に縁部24にさしかかるメダルM1が、縁部24の面取り斜面に沿って下方にずれることにより、隣接する手前のメダルM2と離れやすくなるからである。従って、メダルの列を揺さぶるようにして押し出す必要はなく、メダル投入の動作をスムーズに行うことができる。
【0028】
この点につき、さらに詳述する。
例えば図2に示すように、x=1.5t、y=2.5tとすると、面取り径r=tとなる。この場合には、一枚目のメダルM1の底部(誘導溝20のメダル接触面21に接触している部分)が面取り斜面を下がりきってスリット30内に落下するときまで、二枚目のメダルM2は頂点Pの位置をほぼ保ったままとなる。すなわち、二枚目のメダルが面取り斜面を下がり始めるときには、一枚目のメダルM1は完全に支えを失っているので、スリット30内を落下してゆく。従って、スリット30の開口部分(開口部幅yで示した部分)にメダルが二枚嵌り込んで詰まるということはない。
【0029】
また図3は、x=1.5t、y=2.5tとし、面取りC=tとなるよう形成したものであるが、この場合にも、図2に示した場合と同様に、一枚目のメダルM1の底部が面取り斜面を下がりきってスリット30内に落下するときまで、二枚目のメダルM2は頂点Pの位置をほぼ保ったままとなるので、スリット30の開口部分にメダルが二枚嵌り込んで詰まるということはない。
【0030】
なお、図2に示すように、縁部24の面取りがR面取りである場合には、頂点Pの付近では傾斜が水平に近く、スリット30の付近ほど垂直に近くなる。そのため、スリット30の手前側(図2によれば左側)からメダルの列を押したとき、メダルM2が前方(図2によれば右側)に押し出される割合よりも、メダルM1が下方にずれる割合の方が大きい。従って、y−xの値が同じ場合には、C面取りよりもR面取りの方が、よりメダル詰まりを回避しやすいものとなる。
【0031】
一方、図5及び図6は、図2及び図3の比較例であり、スリット30の幅xと、縁部24の頂点と前記立設板40との距離yが、[式1]に示した範囲でない場合の一例を示している。例えば、x=1.5t、y’=3.5tとした場合には、r=2t、C=2tとなるが、一枚目のメダルM1の底部が面取り斜面を下がりきってスリット30内に落下するときには、二枚目のメダルM2がすでに面取り斜面を下がり始めている。この状態だと、メダルを押す力の具合によっては、二点鎖線示したように、メダルM1とM2がスリット30の開口上部で詰まってしまうことが起こりやすいのである。
【0032】
なお、スリット30の幅xと、縁部24の頂点と前記立設板40との距離yが、[式1]に示した範囲でない場合であって、r又はC値が0.4t以下となる場合には、特に図示しないが、スリット30の開口上部でのメダル詰まりは無くなるものの、開口部幅yが狭くなるので、少量のメダルを誘導溝20に沿わせないで投入するときに入れ難いものとなる。
【0033】
次に、数枚のメダルを投入する場合について述べる。この場合には、特に図示しないが、例えば、2、3枚程度のメダルをスリット30の上方からぱらぱらと落下させるだけでも、メダルが入り口に挟まったり誘導溝20から転がり出たりすることなく、投入することができる。すなわち、縁部24の面取りにより開口部幅yがメダル二枚分の厚みよりも広くなっているので、スリット30の溝を狙ってメダルを落とし込まなくても、面取りの斜面をメダルが滑り落ち、スリット30内に入るからである。一方、スリット30の幅xは、メダル2枚は入らないので、スリット内にメダルが詰まることはない。
【0034】
このように、誘導溝20にメダルを沿わせながら投入する場合でも、誘導溝20にメダルを沿わせないで投入する場合でも、いずれの場合もメダルの投入をスムーズに行うことができるのである。
なお、図4(B)に示すように、誘導溝20の右側端部22を低く形成することにより、誘導溝20にメダルを沿わせないで投入する場合には、より投入しやすくすることができる。すなわち、スリット30をねらってメダルを真上から落とし込む必要が無く、右方向から投入できるので(通常メダル投入口は遊技機の右側に設けてあり、一般的に遊技者は右手でメダルを投入することを想定している)、投入作業が楽になるものである。
【0035】
【実施例】
次に、実際にメダルの投入を行った感応テストの結果に基づき、前述した好適なx値及びy値([式2]及び[式3]に示した値)の根拠を述べる。
図7は、メダル投入感応テストの結果を示した表である。テストは、スリット幅x及び開口部幅yの値をそれぞれ異なる値に形成したメダル投入口を用いて、スムーズな連続投入及びメダル詰まりの有無を調べたものである。
【0036】
具体的には、スリット幅xがメダルの厚さtの1.1倍、1.6倍、1.8倍である場合に、開口部幅yがtの1.8倍、2.0倍、2.2倍、2.5倍、2.7倍であるメダル投入口10をそれぞれ用いて、誘導溝20にメダルを沿わせながら連続投入した場合の投入のスムーズ感と、誘導溝20にメダルを沿わせないで100枚投入したときにメダルが詰まった回数を調査した。
【0037】
表中、スムーズな投入に関しては、スムーズに連続投入できると感じられた場合には○、ややスムーズに連続投入できると感じられた場合には△、連続投入しにくいと感じられた場合には×としたものである。また、メダル詰まりに関しては、100枚投入でメダル詰まり無しの場合には○、一回程度詰まる場合には△、2、3回詰まる場合には×としたものである。
【0038】
その結果、表に示すとおり、スリット幅xがメダルの厚さtの1.1倍又は1.6倍の場合であって、開口部幅yがメダルの厚さtの2.0倍又は2.2倍又は2.5倍のときに、スムーズな投入感を得られ、かつ、メダル詰まりもないということが判明した。なお、R面取りとした場合も、C面取りとした場合も、ほとんど同様の結果が得られた。
【0039】
以上より、スリット幅xは[式2]に示した値とし、開口部幅yは[式3]に示した値とするのが最も好ましいという結論に達したものである。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
(請求項1)
請求項1記載の発明によれば、次のような効果を奏する。
【0041】
すなわち、請求項1記載の発明によれば、誘導溝に沿ってメダルを投入する場合はよりスムーズに投入が行え、数枚を誘導溝に沿わせずにメダルを投入する場合でもスムーズに投入が行える遊技メダルの投入口を提供することができる。
【0042】
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態であって、メダル投入口の断面図である。
【図2】 本発明の実施の形態であって、メダル投入口の面取り部分の拡大断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態であって、メダル投入口の面取り部分の拡大断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態であって、メダル投入口を示す斜視図である。
【図5】 本発明の実施の形態との比較例であって、メダル投入口の面取り部分の拡大断面図である。
【図6】 本発明の実施の形態との比較例であって、メダル投入口の面取り部分の拡大断面図である。
【図7】 本発明の実施例であって、メダル投入に関する感応テスト結果を示す表である。
【図8】 スリット幅xと開口部幅yの説明図である。
【符号の説明】
10 メダル投入口 11 ベース
20 誘導溝 21 メダル接触面
22 右側端部 24 縁部
30 スリット 40 立設板
x スリット幅 y 開口部幅
P 頂点

Claims (1)

  1. 上方から投入されたメダルが通過可能な横長のスリットと、
    該スリットの手前側に凹部を形成してなる誘導溝と、
    前記スリットを挟んで前記誘導溝の対向側に形成された立設板を有する遊技メダルの投入口であって、
    前記誘導溝のスリット側の縁部にR面取り又はC面取りを施すとともに、
    スリットの奥行き方向の幅xと、前記面取りの手前側端部から前記立設板の手前側の面までの幅yが、メダルの厚みtとの関係において、下記の式関係を満たしていることを特徴とする遊技メダルの投入口。
    [式1] 1.1t<x≦1.6tかつ、2t≦y≦2.5t
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