JP4339779B2 - エンジンのデコンプ装置および自動二輪車 - Google Patents

エンジンのデコンプ装置および自動二輪車 Download PDF

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Description

本発明は、エンジン始動初期にシリンダ内の圧縮圧力を低減させるエンジンのデコンプ装置および自動二輪車に関するものである。
従来のデコンプ装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に示されたデコンプ装置は、エンジンの動弁カム軸内にその軸線方向に延びる状態で回動自在に支持されたデコンプシャフトと、前記動弁カム軸に径方向に延びる状態で移動自在に支持されたデコンプピンとによって排気弁を開き、シリンダ内の圧縮圧力を低減させる構成が採られている。
前記デコンプシャフトは、動弁カム軸の軸心部に軸線方向に延びるように穿設された挿通孔に回動自在に挿通されている。このデコンプシャフトの一端側には、遠心ウェイトを有する駆動手段が連結され、他端側には、デコンプピンの位置を変えるためのカムが設けられている。
前記駆動手段は、動弁カム軸と一体に回転する遠心ウェイトが遠心力により径方向の外側に変位することによって、デコンプシャフトを初期位置から通常運転位置まで回すように構成されている。また、この駆動手段は、動弁カム軸の回転が低下したときに、復帰用ばねの弾発力によって遠心ウェイトとともにデコンプシャフトを通常運転位置から初期位置に戻す。この駆動手段により、デコンプシャフトは、エンジン始動時に動弁カム軸が停止状態から低速で回転するようになるまでの間は復帰用ばねの弾発力によって初期位置に位置付けられ、エンジンの回転数が所定回転数に上昇した後は遠心ウェイトによって回されて通常運転位置に位置付けられる。
このデコンプシャフトのカムは、断面円形のデコンプシャフトの外周部分と、この外周部分の一部に形成された平坦面とによって構成されている。
前記デコンプピンは、カム軸の径方向に延びるピン孔に移動自在に嵌合されている。このピン孔は、デコンプシャフト用挿通孔から径方向の一方に延びるように形成されている。すなわち、この従来のデコンプ装置は、デコンプシャフトの軸線方向から見てデコンプピンの軸線の延長線がデコンプシャフトの軸心を通るように構成されている。
前記デコンプピンは、動弁カム軸のカムの近傍に突出し排気弁を押す押圧部が一端に形成され、他端に、デコンプシャフトのカムが摺接するカムフォロアを構成する平坦面が形成されている。また、デコンプピンは、動弁カム軸の外周部に周方向に延びるように形成されたC字状のばねに係合されており、このばねによってデコンプシャフト側に付勢されている。
このように構成された従来のデコンプ装置においては、デコンプシャフトが前記初期位置に位置付けられ、カムの一部を構成するデコンプシャフトの外周部分がデコンプピンの前記平坦面に接触することによって、デコンプピンの押圧部が動弁カム軸から突出する。この状態では、デコンプピンによって排気弁が開かれ、シリンダ内の圧縮圧力が低減される。
また、このデコンプ装置においては、デコンプシャフトが前記初期位置から通常運転位置まで回り、前記カムの平坦部分がデコンプピンの平坦面に接触することによって、デコンプピンが動弁カム軸内に後退する。この状態では、エンジンは通常の運転状態になる。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに見付け出すことはできなかった。
特開平5−26017号公報(第2−4頁、第7図)
特許文献1に示された従来のデコンプ装置は、シリンダ内の圧縮圧力が低減される期間が短縮されてしまうことがあった。このような場合には、エンジン始動時にクランキングを行うときの負荷が大きくなり、始動性が著しく低下することになる。
従来のデコンプ装置において、シリンダ内の圧縮圧力が低減される期間が短くなるのは、デコンプピンが初期位置から通常運転位置まで回る行程において、カム(デコンプシャフト)が排気弁用バルブスプリングの弾発力によって強制的に通常運転位置に回されるからであった。
このデコンプ装置は、デコンプシャフトの軸線方向から見てデコンプピンの軸線の延長線がデコンプシャフトの軸心を通るように構成されているから、デコンプシャフトが初期位置に位置している場合、カムとデコンプピンとの接触点がデコンプピンの軸線の延長線上に位置する。この状態では、排気弁用バルブスプリングの弾発力が前記デコンプピンからデコンプシャフトに前記軸線に沿って作用する。
しかし、デコンプシャフトが初期位置から通常運転位置に向けて回り始めると、カムの外周部分と平坦面との境界部分がデコンプピンに接触し、さらに回転することによって、この接触点がデコンプピンの軸線上からデコンプシャフトの回転する方向へ移動するようになる。このように前記接触点がデコンプピンの軸線上から外れることにより、カムを通常運転位置に向けて回転させる回転トルクが発生する。
前記カム(デコンプシャフト)は、遠心ウェイトに作用する遠心力と復帰用ばねの弾発力との差に対応して回転するものであるから、上述した回転トルクが生じると容易に通常運転位置側に回転してしまう。この結果、このデコンプ装置においては、上述したようにデコンプピンによって排気弁を開く期間が短くなってしまう。
本発明はこのような問題を解消するためになされたもので、デコンプピン移動用カムが回転する行程でシリンダ内の圧縮圧力を低減できる期間を長くとることができるエンジンのデコンプ装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本発明に係るエンジンのデコンプ装置は、中空孔を有する動弁カム軸と、前記動弁カム軸の中空孔内に回動自在に嵌合されたデコンプシャフトと、前記デコンプシャフトを前記動弁カム軸に対して回動させる回動装置と、前記デコンプシャフトの回動により、動弁カム軸の径方向端部から突出するデコンプピンとを備えたエンジンのデコンプ装置であって、前記デコンプピンには、前記デコンプシャフトの軸端部と対向する側で前記動弁カム軸の軸線方向とは直交する方向に延びる凹溝が形成され、前記デコンプシャフトの軸方向の端面には、前記デコンプシャフトの軸心に対し径方向に偏心した位置で突設する偏心突部が形成され、前記偏心突部が前記凹溝の壁面と摺接することにより前記デコンプシャフトの回動を前記デコンプピンの往復運動に変えるカム機構を備え、前記偏心突部における前記デコンプピンの凹溝の壁面に摺動する部位に、前記デコンプシャフトの軸心を中心とする断面円弧状の凸曲面を形成したものである。
請求項2に記載した発明に係るエンジンのデコンプ装置は、請求項1に記載した発明に係るエンジンのデコンプ装置において、デコンプシャフトの回転行程のうち、前記デコンプピンの動弁カム軸の径方向の端部からの突出量が最大となる初期位置から突出量が最小となる通常運転位置までの間の前半の行程において、前記断面円弧状の凸曲面は前記凹溝に摺接するものである。
請求項3に記載した発明に係る自動二輪車は、請求項1に記載した発明に係るエンジンのデコンプ装置を装備しているものである。
本発明によれば、偏心突部の凸曲面と凹溝の壁面との接触点は動弁カム軸方向から見てデコンプピンの軸線上に位置するから、前記凸曲面が前記凹溝の壁面に接触している状態では、デコンプピンに加えられたバルブスプリングの弾発力により前記偏心突部を回転させる回転トルクは発生しない。このため、デコンプピンの回動範囲の中にいわゆる不感作動帯が形成されるから、デコンプピンが動弁カム軸から突出する帰還を長くできる。
したがって、エンジン始動時において一定期間は必ずデコンプピンが動弁カム軸から突出することによりシリンダ内の圧縮圧力を軽減し、エンジンの始動性を向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、エンジン停止状態からデコンプシャフトの総回転角度の約半分だけデコンプシャフトが回転するまでの間は、デコンプピンを動弁カム軸から確実に突出可能となる。
したがって、エンジンのクランキング開始時には必ずシリンダ内の圧力が低くなり、エンジンの始動がより一層容易になる。
請求項3記載の発明によれば、エンジンの始動時に一定期間は必ずシリンダ内の圧縮圧力が低減されるから、エンジンの始動が容易な自動二輪車を提供することができる。
以下、本発明に係るエンジンのデコンプ装置および自動二輪車の一実施の形態を図1ないし図7によって詳細に説明する。
図1は本発明に係るデコンプ装置を装備した自動二輪車用エンジンのシリンダヘッド部分を示す構成図、図2はデコンプシャフトを示す図で、同図(a)は、同図(b)は側面図、同図(c)は背面図である。図3は回動装置の正面図、図4は本発明に係るデコンプ装置の縦断面図、図5はデコンプシャフトとデコンプピンの動作を説明するための断面図で、同図(a)は初期状態を示し、同図(b)は偏心突部の凸曲面の終端部がデコンプピンに接触する状態を示し、同図(c)は通常運転状態を示す。なお、図5の破断位置を図4中にV−V線によって示す。図6はデコンプシャフトの回転角度とデコンプピンを初期位置側へ押圧する力(デコンプピン移動力)との関係を示すグラフ、図7はデコンプシャフトの回転角度とデコンプシャフトを逆方向に回転させる回転トルク(デコンプシャフト逆回転トルク)との関係を示すグラフである。
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態による自動二輪車用エンジンのシリンダヘッドを示す。このシリンダヘッド1には、吸・排気弁2,3を開閉する動弁装置4が設けられている。また、このシリンダヘッド1には、エンジン始動時にシリンダ内の圧縮圧力を低減させるデコンプ装置5が設けられている。
前記動弁装置4は、1気筒当たり2本ずつ設けられた吸気弁2と排気弁3とを吸気カム軸6と排気カム軸7とによって開閉するように構成されている。吸気弁2と排気弁3は、バルブリフタ8とシリンダヘッド1との間に弾装されたバルブスプリング(図示せず)の弾発力によって閉じ、このバルブスプリングの弾発力に抗してバルブリフタ8が吸気カム軸6のカム9または排気カム軸7のカム10により押圧されることによって開く。
吸気カム軸6と排気カム軸7は、軸線方向の一端部(以下、この一端部を基端部という)にスプロケット11,12が取付けられ、このスプロケット11,12に巻掛けられたタイミングチェーン13によってクランク軸(図示せず)の回転が伝達される。
前記排気カム軸7は、図4に示すように、軸心部に中空孔21が穿設され中空状に形成されており、軸線方向の先端部と中央部とにカム10が設けられている。このカム10のうち、排気カム軸の先端部に位置するカムを符号10aで示し、中央部に位置するカムを符号10bで示す。この排気カム軸7によって本発明でいう動弁カム軸が構成され、前記中空孔21によって本発明でいう中空部が構成されている。また、この排気カム軸7の軸線方向の中央部であって中央部のカム10bと隣接する部位には、後述するデコンプ装置5のデコンプピン22が挿通されるピン孔23が穿設されている。このピン孔23は、排気カム軸7の軸線方向とは直交する方向に延びている。
前記ピン孔23は、排気カム軸7に設けられた2個のカム10a,10bのうち、排気カム軸7の中央部に位置するカム10bに隣接する位置であって、このカム10bより排気カム軸7の基端部側に形成されている。また、このピン孔23は、図5に示すように、排気カム軸7の軸線方向から見て中心線Lが排気カム軸7の軸心C1を通るように形成されている。なお、図5に示す排気カム軸7は軸部分のみが描いてある。
デコンプ装置5は、図3および図4に示すように、前記排気カム軸7の中空孔21内に挿通されたデコンプシャフト24と、このデコンプシャフト24の一端部(排気カム軸7の基端部側の端部)に接続された回動装置25と、デコンプシャフト24の他端部に連結された前記デコンプピン22などによって構成されている。
前記デコンプシャフト24は、図2に示すように、一端部(排気カム軸7の基端部側の端部)に位置する円板26と、他端部に位置する円板27と、これら両円板26,27に一体に形成され前記両円板どうしを接続する小径のロッド28とによって形成されている。このデコンプシャフト24の長さは、排気カム軸7の基端部から中央側の排気弁用カム10bまで延びるように形成されている。
このデコンプシャフト24の両端部の円板26,27の外径は、排気カム軸7の中空孔21に回動自在に嵌合できるように形成されている。
前記デコンプシャフト24の一端側に位置する円板26の外端面には、後述する回動装置25の遠心ウェイト29(図3および図4参照)に連結される係合用溝30が形成されるとともに、遠心ウェイト29の初期位置を決めるためのストッパー31が突設されている。前記係合用溝30は、図2(a)に示すように、円板26の外周部から径方向の内側に延びるように形成されている。前記ストッパー31は、図2(a)および図3に示すように、デコンプシャフト24の軸線方向から見て扇状であって、外周部が円板26から突出するように形成されている。
デコンプシャフト24の前記他端部の円板27には、後述するデコンプピン22に連結される偏心突部32が軸線方向の外側に延びるように突設されている。
この偏心突部32は、図2に示すように、外径より長さの方が短い円柱状に形成されており、前記円板28の外端面であって、デコンプシャフト24の軸線に対して径方向に偏心した位置に設けられている。この偏心突部32の外周面の一部{後述する凹溝42の下壁(下側の壁面)43に摺動する部位}には、他の部位とは曲率半径が異なる凸曲面33が形成されている。
この凸曲面33は、図2(c)に示すように、デコンプシャフト24の軸心(円板27の中心)を中心とする断面円弧状に形成されている。この凸曲面33を構成する円弧の半径を図2(c)中に符号rで示す。この実施の形態では、デコンプシャフト24は排気カム軸7と同一軸線上に位置しているから、凸曲面33の中心C2(デコンプシャフト24の軸心)は、排気カム軸7の軸心C1{図5(a)参照}と一致する。
このデコンプシャフト24を駆動する回動装置25は、図3および図4に示すように、排気カム軸7の前記スプロケット12に支軸34によって回動自在に支持された遠心ウェイト29と、前記支軸34に保持された復帰用ばね35とから構成されている。前記支軸34は、図4に示すように、スプロケット12の軸心から径方向に偏心した位置に配設されている。
前記遠心ウェイト29は、図3に示すように、排気カム軸7の軸線方向から見て支軸34から円弧状に延びるように形成されたウェイト本体36と、支軸34からスプロケット12の軸心側へ延びるように形成された駆動用アーム37とを備えており、スプロケット12の外端面に形成された円形凹部38の中に収容されている。
この遠心ウェイト29は、排気カム軸7と一体に回転することにより生じる遠心力により、図3において、スプロケット12に対して支軸34を中心にして時計方向に回るように構成されている。この遠心ウェイト29の回動方向の一側部であって前記円形凹部38の周壁面と対向する外縁部36aは、スプロケット12の軸線方向から見て前記周壁に沿う円弧状に形成されている。遠心ウェイト29は、図3に示すように、この円弧状に形成された外縁部36aが前記周壁に当接することによって、遠心力による移動が規制される。
遠心ウェイト29の前記駆動用アーム37には、図4に示すように、排気カム軸7の軸線方向に沿って排気カム軸7の内方へ延びる駆動用ピン39が突設されている。この駆動用ピン39は、前記デコンプシャフト24の一端部に形成された前記係合用溝30内に嵌合する円柱状に形成されている。この実施の形態によるデコンプ装置5においては、駆動用ピン39が遠心ウェイト29とともにスプロケット12に対して回動することによって、遠心ウェイト29から回転力が駆動用ピン39を介してデコンプシャフト24に伝達され、デコンプシャフト24が図5(a)に示す初期位置と図5(c)に示す通常運転位置との間で回動する。
詳述すると、遠心ウェイト29が図3中に実線で示す位置に移動している状態では、デコンプシャフト24は図5(c)に示す通常運転位置に位置付けられる。また、遠心ウェイト29が図3中に二点鎖線で示す位置にある状態では、デコンプピン22は図5(a)に示す初期位置に位置付けられる。
前記復帰用ばね35は、トーションばねからなり、図3および図4に示すように、一端部35aが遠心ウェイト29の前記外縁部36aに係合するとともに、他端部35bが前記スプロケット12に係合しており、遠心ウェイト29を図3において反時計方向に付勢している。この復帰用ばね35により付勢されている遠心ウェイト29は、図3において二点鎖線で示すように、初期位置に位置付けられたデコンプシャフト24のストッパー31に当接することにより移動が規制される。
この回動装置25においては、排気カム軸7の回転数が予め定めた回転数より低い場合は、復帰用ばね35の弾発力によって遠心ウェイト29が図3中に二点鎖線で示す初期位置に保持される。この遠心ウェイト29は、排気カム軸7の回転が上昇し、加えられる遠心力が増大することによって、図3中に実線で示すように、復帰用ばね35の弾発力に抗してスプロケット12に対して時計方向へ揺動する。遠心ウェイト29がこのように揺動することによって、駆動用ピン39の位置が変化し、この駆動用ピン39に係合する係合用溝30を有するデコンプシャフト24が排気カム軸7に対して回る。
このときのデコンプシャフト24が回転する方向は、図3において時計方向になる。この実施の形態によるデコンプシャフト24の前記偏心突部32は、エンジン停止時には図5(a)に示す初期位置に位置し、エンジンのクランクキング開始直後に同図において時計方向に回り、エンジン始動後は図5(c)に示す通常運転位置に保持される。
この偏心突部32に連結される前記デコンプピン22は、図5に示すように、排気カム軸7の外径と略等しい長さを有する円柱状に形成されており、排気カム軸7のピン孔23に移動自在に嵌挿されている。このデコンプピン22の一端部には、バルブリフタ8に摺接する球面からなる押圧面41が形成されている。デコンプピン22の軸線方向の途中には、前記デコンプシャフト24の偏心突部32が摺接する凹溝42が形成されている。
この凹溝42は、前記デコンプシャフト24の軸端部と対向する側で排気カム軸7の軸線方向と直交する方向へ延び、かつ排気カム軸7の中空孔21内に開口するように、デコンプピン22の外周部に形成されている。この凹溝42におけるデコンプピン22の押圧面41を有する一端部側に位置する一方の側壁(以下、この側壁を下壁43という)と他方の側壁44との間の開口幅(溝幅)は、偏心突部32の外径(凸曲面33とは別の部分の最大径)より僅かに大きくなるように形成されている。
この凹溝42と、この凹溝42に摺接する前記偏心突部32とは、デコンプシャフト24の回動をデコンプピン22の往復運動に変えるカム機構45を構成している。すなわち、デコンプシャフト24が前記回動装置25により排気カム軸7に対して回動させられることによって、図5(a)〜(c)に示すように、カム機構45によってデコンプピン22がピン孔23内で往復運動する。偏心突部32とデコンプピン22は、図5(a)に示すように、初期位置にデコンプシャフト24が位置している状態で、偏心突部32の凸曲面33の一端部分が凹溝42の下壁43に接触し、デコンプピン22の押圧面41が排気カム軸7から突出するように構成されている。
前記凸曲面33の一端部分とは、デコンプシャフト24が図5(a)に示す初期位置から図5(c)に示す通常運転位置に回るときに凸曲面33の回転方向の前端部である。前記初期位置において、凸曲面33と下壁43との接触点Aは、凸曲面33がデコンプシャフト24の軸心C2を中心とする断面円弧状に形成されているために、デコンプピン22の軸線方向から見てピン孔23の中心線L上(デコンプピン22の軸線上)に位置付けられる。
デコンプシャフト24が初期位置に位置している状態で排気カム軸7が回転することにより、デコンプピン22によってバルブリフタ8が押され、圧縮行程で排気弁3が開いてシリンダ内の圧縮圧力が低減される。このとき、デコンプピン22は、押圧面41がバルブリフタ8に接触するために、バルブスプリングの弾発力によって図5(a)において上方へ押圧される。この押圧力は、デコンプピン22から接触点Aを通って偏心突部32に加えられる。
デコンプシャフト24が初期位置から通常運転位置に向けて図5において時計方向に回転することによって、前記凸曲面33の下壁43に対する位置も変わる。しかし、凸曲面33を構成する円弧の中心はデコンプシャフト24の軸心C2であるから、凸曲面33と下壁43との接触点Aは、図5(a)〜(b)に示すように、排気カム軸7の軸線方向から見て前記中心線L上の位置から変わることがない。
すなわち、図5(a)に示すように、凸曲面33の一端部分が下壁43に接触する初期位置と、図5(b)に示すように、凸曲面33の他端部分が下壁43に接触する中間位置との間は、デコンプピン22は、デコンプシャフト24の回動とは無関係に初期位置に保持される。この実施の形態においては、デコンプシャフト24は、初期位置から約40°回転したときに前記中間位置に位置付けられるように構成されている。
図5(b)に示す中間位置からデコンプシャフト24がさらに回転すると、偏心突部32の凸曲面33に隣接する外周面32aが下壁43に接触するようになり、偏心突部32の移動に伴って接触点Aが図5において左側に移動するとともにデコンプピン22の排気カム軸7からの突出量が漸次減少する。このデコンプ装置5は、デコンプシャフト24が図5(c)に示す通常運転位置に位置付けられることによって、デコンプピン22の前記突出量が0になるように構成されている。すなわち、デコンプシャフト24が前記通常運転位置まで回転することにより、排気弁3が圧縮行程で開くことはなくなるから、エンジンを通常通りに運転することができるようになる。
この実施の形態によるデコンプ装置5は、デコンプシャフト24が初期位置から約80°回転することによって通常運転位置に位置するように構成されている。このため、前記凸曲面33は、デコンプシャフト24の回転行程のうち、前記デコンプピン22の排気カム軸7の径方向の端部からの突出量が最大となる初期位置から突出量が最小となる通常運転位置までの間の前半の行程において、前記凹溝42の下壁43に摺接することになる。
このため、この実施の形態によるデコンプ装置5によれば、デコンプシャフト24が図5(a)に示す初期位置から図5(b)に示す中間位置に回転するまでの間は、偏心突部32の凸曲面33と凹溝42の下壁43との接触点Aがデコンプピン22の軸線上(ピン孔23の中心線L上)に位置することから、デコンプピン22に加えられたバルブスプリングの弾発力により前記偏心突部32を通常運転位置側へ回転させる回転トルクは発生しない。したがって、このデコンプ装置5は、デコンプシャフト24が初期位置から通常運転位置まで回転する行程の前半においてデコンプピン22を軸線方向の同一位置(初期位置)に保持することができる。
この実施の形態によるデコンプ装置5において、デコンプシャフト24が回転することによりデコンプピン22が押される力(デコンプピン22移動力)は図6に示すように変化する。また、このデコンプ装置5において、デコンプピン22がバルブリフタ8によって押圧されたときにデコンプシャフト24を通常運転位置側へ回転させるように生じる回転トルク(デコンプシャフト24逆回転トルク)は図7に示すように変化する。図6および図7においては、偏心突部32に凸曲面33を設けた場合を破線で示し、偏心突部32に凸曲面33を設けない場合を実線で示す。
図6および図7から明らかなように、凸曲面33を設けない場合は、デコンプシャフト24の回転初期からデコンプピン22に突出量が減少する方向へ押圧する力が作用するが、この実施の形態のように凸曲面33を設けることによって、デコンプシャフト24が初期位置から約40°回転するまでの間はデコンプピン22を移動させる力は発生しないことが判る。
したがって、この実施の形態によるデコンプ装置5は、デコンプシャフト24の回動範囲の中にいわゆる不感作動帯が形成されることになるから、その分だけデコンプピン22が排気カム軸7から突出している期間を従来のデコンプ装置に較べて長くとることができる。このため、この実施の形態によるデコンプ装置5は、エンジン始動時において一定期間は必ずデコンプピン22が排気カム軸7から突出し、シリンダ内の圧縮圧力を軽減することができる。この結果、このデコンプ装置5を自動二輪車のエンジンに装備することによって、エンジンの始動性が良い自動二輪車を製造することができる。
また、この実施の形態によるデコンプ装置5は、エンジンが停止している状態からデコンプシャフト24の総回転角度の約半分(約40°)だけデコンプシャフト24が回転するまでの間は、デコンプピン22を排気カム軸7から確実に突出させておくことができる。このため、この実施の形態によるデコンプ装置5によれば、エンジンのクランキング開始時は必ずシリンダ内の圧縮圧力が低い状態になるから、より一層エンジンの始動が容易になる。
本発明に係るデコンプ装置を装備した自動二輪車用エンジンのシリンダヘッド部分を示す構成図である。 デコンプシャフトを示す図である。 回動装置の正面図である。 本発明に係るデコンプ装置の縦断面図である。 デコンプシャフトとデコンプピンの動作を説明するための断面図である。 デコンプシャフトの回転角度とデコンプピン移動力との関係を示すグラフである。 デコンプシャフトの回転角度とデコンプシャフト逆回転トルクとの関係を示すグラフである。
符号の説明
3…排気弁、5…デコンプ装置、7…排気カム軸、8…バルブリフタ、21…貫通孔、22…デコンプピン、23…ピン孔、24…デコンプシャフト、25…回動装置、29…遠心ウェイト、32…偏心突部、33…凸曲面、42…凹溝、43…下壁。

Claims (3)

  1. 中空孔を有する動弁カム軸と、前記動弁カム軸の中空孔内に回動自在に嵌合されたデコンプシャフトと、前記デコンプシャフトを前記動弁カム軸に対して回動させる回動装置と、前記デコンプシャフトの回動により、動弁カム軸の径方向端部から突出するデコンプピンとを備えたエンジンのデコンプ装置であって、前記デコンプピンには、前記デコンプシャフトの軸端部と対向する側で前記動弁カム軸の軸線方向とは直交する方向に延びる凹溝が形成され、前記デコンプシャフトの軸方向の端面には、前記デコンプシャフトの軸心に対し径方向に偏心した位置で突設する偏心突部が形成され、前記偏心突部が前記凹溝の壁面と摺接することにより前記デコンプシャフトの回動を前記デコンプピンの往復運動に変えるカム機構を備え、前記偏心突部における前記デコンプピンの凹溝の壁面に摺動する部位に、前記デコンプシャフトの軸心を中心とする断面円弧状の凸曲面を形成したことを特徴とするエンジンのデコンプ装置。
  2. 請求項1記載のエンジンのデコンプ装置において、デコンプシャフトの回転行程のうち、前記デコンプピンの動弁カム軸の径方向の端部からの突出量が最大となる初期位置から突出量が最小となる通常運転位置までの間の前半の行程において、前記断面円弧状の凸曲面は前記凹溝に摺接することを特徴とするエンジンのデコンプ装置。
  3. 請求項1記載のエンジンのデコンプ装置を装備した自動二輪車。
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