JP4338933B2 - 三次元形状物の印刷用補正版下イメージの作成方法、並びに作成プログラム及び作成プログラムを記憶した記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被印刷面が球形、円筒形等の非平面である三次元形状物に印刷するための、三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法、並びに作成プログラム及び作成プログラムが記憶された記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
印刷された三次元形状物を得るためには、版下を用いて、プラスチックや金属等で構成されるフィルム、シート、シール等の平面の被印刷物に印刷した後に、被印刷物がフィルムやシートの場合には、その被印刷物をインサート成形、真空成形、圧縮成形、塑性変形等により所望の三次元形状物を形成し、被印刷物がシールの場合には、シールを三次元形状物に貼る。或いは、予め成形された三次元形状物に、版下を用いて、パット印刷、シルク印刷、オフセット印刷等の印刷方法により印刷する。
上記のいずれの方法を利用しても、版下が平面であることから、版下に所望の正確なデザイン(図形や文字)が形成されていても、三次元形状物に印刷されたデザインには、その三次元形状物の形状に追従した形で歪みが生ずる。
従来は、三次元形状物に印刷されたものに歪みが生じないよう、熟練工の感と経験により、印刷トライ及び版下修正、更に場合によっては三次元形状物の変形度合いの修正を繰り返して、所望のデザインが三次元形状物に印刷されるように努力がなされていた。従って、版下のデザインや三次元形状物の形状を考えてから、それを完成させるまでにはかなりの時間がかかっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、最近では、複数の基準点をもった基準格子パターンと、これを成形品に合わせて三次元に成形することにより形成された歪み格子パターンにおける座標の位置関係を利用して、平面体の表面に作成した原画を画像変換することにより版下用のイメージを作成することが提案されている。
しかしながら、歪み格子パターンをデジカメ等で撮影した場合には交点部に膨らみが生じたデジタルデータとなり、線の認識が困難となり、その結果交点の正確な探索も困難となる。
それ故、本発明は、上記課題を解決する、歪み格子パターンのデジタルデータの格子を簡単な方法で補正した上で交点を探索することを特徴とするコンピュータを利用した三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法、並びに作成プログラム及び作成プログラムが記憶された記憶媒体を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、基準格子パターンが描画された二次元フィルムを成形品に合わせて三次元に成形することにより形成された歪み格子パターンを第1の二次元座標系に入力してデジタルデータの格子を作成する段階と、前記デジタルデータの格子を補正してから交点部の膨らみを除く段階と、補正されたデジタルデータの格子に基づいて各交点の座標を求める段階と、第2の二次元座標系で基準格子パターンの各交点の座標を求める段階と、前記基準格子パターンと前記歪み格子パターンにおける各交点の座標の対応関係に基づいて、前記歪み格子パターンの3つの点を頂点とする三角形領域内の点に適用される歪みの逆計算補正式を導出する補正式導出段階と、所望の版下原画を前記歪み格子パターンに重ねる段階と、前記所望の版下原画を画定する各点に対して、それらを包囲する三角形領域に対応する前記歪みの逆計算補正式を適用することにより、第2の二次元座標系で定義される印刷用補正版下イメージを求める段階とを備え、デジタルデータの格子を補正する段階では、デジタルデータの格子の交点部における横線の線幅をその横線全体の最多線幅と一致させ、且つ縦線の線幅をその縦線全体の最多線幅と一致させることを特徴とする三次元形状物の印刷用補正版下イメージの作成方法である。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1記載の三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法において、所望の版下原画をベクトルデータとして入力した場合には、三角形領域内に少なくとも1つのベクトルが存在するように分割することにより、原画を構成する点を増やすことを特徴とする作成方法である。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法において、補正式を導出する段階で、基準格子パターンのある格子領域内に任意に1点を設定し、前記1点に対応する歪み格子パターン内での指定点をそれを包囲する格子領域の交点部との位置関係に基づいて、歪み格子パターンの各格子領域が基準格子パターンのどの格子領域に対応するのかを示すアドレスを設定し、このアドレスに基づいて、所望の版下原画を構成する各点に適応する補正式を決めることを特徴とする作成方法である。
【0008】
請求項4の発明は、コンピュータに請求項1から3のいずれか記載の三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法を実行させるための作成プログラムである。
【0009】
請求項5の発明は、コンピュータに請求項1から3のいずれか記載の三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法を実行させるための作成プログラムが記憶されたコンピュータ読取り可能な記憶媒体である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図1に示すフローチャートに従って、図面を用いながら説明する。
この実施の形態では、プラスチック製平面フィルムに印刷した後に半球状(上方が凸)に三次元成形する。
図2に示すように、フィルムには、多数の横線と縦線で構成された、基準格子パターンが描かれている。縦線と横線の線幅及び間隔は同じである。
図3は、フィルムを半球状(上方が凸)に三次元成形した後の成形済みフィルムの歪み格子パターンを示す。この歪み格子パターンでは、縦線と横線が歪んでいる。
基準格子パターンと歪み格子パターンを、フィルムの中心点と、左右上下方向が一致するよう重ね合わせた状態を表示すると、図4のようになる。
【0011】
歪み格子パターンから、デジタルデータの格子を作成する段階では、先ず、フィルム上に形成された歪み格子パターンをイメージとして二次元直交座標系(1mm単位)に入力する。イメージ入力手段は、実際のイメージを読み込んで二次元のデジタルデータを出力できるものであればよく、デジタルカメラ、スキャナ等でもよいし、また、外部のデジタルカメラ、スキャナ等と接続するための入力端子でもよい。
なお、歪み格子パターンの入力イメージは階調をもっているので濃度の平均値を境に二値化処理される。
図5(A)は、二値化処理後のデジタルデータの格子を表示したものであり、座標上に定義される単位座標としての単位正方形(1mm×1mm)が黒になっている部分で構成されている。
【0012】
先ず、以下の手順で、デジタルデータの格子の交点部の膨らみを除く。
図5(B)は図5(A)の左上の交点部の拡大図である。図5(B)に示すように、交点部には、膨らみが出ている。従って、横線(格子線)と縦線(格子線)をそれぞれ線毎に補正し、補正した線を重ねることで交点部の膨らみを除く。
横線に関して説明すると、先ず、横線の輪郭を探索する。
【0013】
図6及び図7に示すように、各単位正方形について調査する。以下、横方向の単位正方形の並びを行とし、縦方向の単位正方形の並びを列とする。
列毎に調査し、自身は黒で、その左右の単位正方形が黒で、その上方の単位正方形が白で、その下方の単位正方形が黒のときは、上の輪郭である。例えば、a、b、cの符号が付された単位正方形はいずれも黒であるが、aは左の単位正方形が白なので輪郭ではなく、bは左右の単位正方形が両方とも黒で、上方の単位正方形が白で下方の単位正方形が黒なので輪郭ではなく、cは左の単位正方形が白なので輪郭ではない。
また、自身は黒で、その左右の単位正方形が黒で、その上方の単位正方形が黒で、その下方の単位正方形が白のときは、下の輪郭である。例えば、d、e、fの符号が付された単位正方形はいずれも黒であり、左右の単位正方形が両方とも黒で、上の単位正方形が黒で下の単位正方形が白なのでいずれも輪郭となる。
図7で○の付いたものが上の輪郭であり、◎の付いたものが下の輪郭である。
上記の処理により輪郭を検出する。
【0014】
横線の線幅(W)を算出する。
単位正方形を列毎に探索し、黒を検出したら、白を検出するまで黒の数を数える。この黒の数を横線の線幅(W)とする。
例えば、単位正方形bとeとにより挟まれる部分の線幅は5個である。
列毎に上記の手法により線幅(W)を算出し、その結果に基づいて、各線幅(W)の合計個数を算出する。図8は、各線幅(W)の合計個数を算出した結果を示す表である。そして、一番個数が多い最多線幅(W)を横線の「修正線幅」とする。図8の表によれば、線幅(W)が5個のものが75と最も多いことから、修正線幅は5個である。
【0015】
横線の線幅を修正する。
単位正方形を列毎に探索し、上下方向に、上の輪郭と下の輪郭を対で検出した場合には上下輪郭とそれらに挟まれた単位正方形を黒にする。上の輪郭のみ検出した場合には上の輪郭とその下方の単位正方形を修正線幅になる分だけ黒にする。下の輪郭のみ検出された場合には下の輪郭とその上方の単位正方形を修正線幅になる分だけ黒にする。なお、上の輪郭も下の輪郭マークも検出しない場合にはその列全体が白になる。
【0016】
その結果、図9(図7の一部分に対応)に示すように、aを含む列は、aが黒から白に変わる。bとeを含む列は変わらない。図示しないが、cを含む線幅部分は全て白に変わる。
図10は、上記手法で修正した横線の内の一本を抽出して表示したものである。ここでは、理解の便宜のために、黒と指定した単位正方形中、輪郭となるものは黒色で示し、それ以外は灰色で示している。
上記手法で横線の線幅を修正すると、図10で示されるように、横線は幾つかの部分で分断されている。即ち、短横線の集合体となっているのでこれを一本の横線にする。
【0017】
先ず、孤立部を削除する。
短横線毎にその長さ(L)として行方向の単位正方形の数を算出する。線の長さ(L)が1個又は2個の場合にはその短横線を孤立部として検出して、これを削除する。図11は、孤立部を削除した後の横線である。
【0018】
次に、各短横線を繋ぐ。
左の短横線と右の短横線を単位正方形1個以上の線幅を有する連結線で結べる場合には、その連結線で結ぶ。図12(A)では連結線を灰色で示す。
そして、連結線の線幅が修正線幅(W)より2個以上少ない場合には、その直上と直下の単位正方形の列をそれぞれ1列ずつ増やして、修正線幅又は修正線幅より1個少ない線幅までもっていく。図12(B)では、増やした線幅分を補正線幅として斜線で示す。
【0019】
図12(C)に示すように、左右の短横線を結べない場合には、即ち、連結線の線幅を増やして、連結線の最上行が右又は左の短横線中上方に位置する短横線の最下行と一致し、連結部の最下行が下方に位置する短横線の最上行と一致するようにして左右の短横線を結ぶ。即ち、最短の経路で結ぶ。そして、連結線の線幅が修正線幅(W)より2個以上少ない場合には、その直上と直下の単位正方形の列をそれぞれ1列ずつ増やして、修正線幅又は修正線幅より1個少ない線幅までもっていく。
【0020】
更に、必要であれば、デジタルデータの格子から、ノイズを除去する平滑化処理を行う。例えば自身は黒の単位正方形でそれが8個の白の単位正方形で包囲されている場合には、ノイズとして検出して、白に代える。
上記の各段階により格子のデジタルデータを補正した後に、そのデータに基づいて各交点の座標を求める。
【0021】
交点は、種々の手法により求められるが、代表的な手法では、交点部補正イメージの格子パターンを線幅が1画素になるように細線化処理をして、画素を追跡することにより交点を探索して座標を求める。
細線化処理は、例えば「画像処理サブルーチン・パッケージ SPIDER USER’S MANUAL」(昭和57年、協同システム開発株式会社)の491頁からに詳述されているので公知の方法である。
【0022】
図13は細線化されたパターンの拡大図である。ここで○で記載されているのが1つの画素である。このように互いに連結した多数の画素の中でどの画素が交点であるかを決定するのが交点検出処理であるが、例えば特許第2761900号に記載されているように、ある画素についてその周囲に別な画素がいくつ存在するかを示す数である連結数に着目して、4の場合には「交点」として検出し、3の場合には分岐点として一端検出し、これと対になる分岐点を捜し、両分岐点の平均座標を交点とする。
図13では、kは交点として検出し、j1、j2は一対の分岐点であり、j3、j4は一対の分岐点である。
【0023】
次に、基準格子パターンを二次元座標系で定義して各交点の座標を求める。
基準格子パターンは、CAD等で作成した場合にはそのデジタルデータをそのまま入力して、同様に細線化処理をした後、各交点の座標を求める。
【0024】
次に、格子パターンの移送関係を、図14及び図15に従って、指定点探索により求める。
具体的には、基準格子パターンのある格子領域(四角形領域)内に任意に指定点(1つの黒の単位正方形)を設定し、この点の歪み格子パターンでの移送先の指定点Pとする。(A)に示すように、指定点Pを中心に螺旋状に探索し、最も近い位置にある黒の単位正方形(座標)を検出する。検出した単位正方形は(B)の矢印の右側にある単位正方形(縦線を構成する一部の単位正方形)が該当する。
【0025】
その単位正方形に到達したら、(C)に示すように、右左方向に移動し、その行における黒の単位正方形の中心となる単位正方形(以下、「中心」)を探し出す。その後、(D)に示すように、その行における中心から上方向及び下方向に進み、同様に中心を求めていく。そして、(E)に示すように、横方向が修正線幅(W)を越えた場合には、横方向の修正線幅(W)内に収まる場所まで移動して、横方向が修正線幅(W)を越えた上下の中心の平均座標の単位正方形(×)を縦方向の中心とする。
【0026】
更に、指定点Pを中心に時計回りに螺旋状に探索し、次は横線の一部を構成する単位正方形を探す。そして、同じように処理して、横方向の中心を求める。
そして、交点部にある縦方向の中心と横方向の中心との平均座標の単位正方形をその交点部の中心とする。
この結果により、基準格子パターンにおける指定点を含むある格子領域(四角形領域)が、歪み格子パターンではどの格子領域に対応しているのか、即ち、基準格子パターンの各交点が歪み格子パターンのどの交点に移送されたのが判明する。従って、格子領域毎にアドレスを設定する。
【0027】
次に補正式を導出する。
図16(A)は基準格子パターンのあるアドレスの格子領域の交点を基に描画された四角形を示し、図16(B)は歪み格子パターンの交点を基に描画された、図16(A)に対応するアドレスの格子領域のデジタルデータの交点を基に描画された四角形を示す。尚、四角形は交点の座標に基づいて直線近似されたものである。
【0028】
そして、対応するそれぞれの四角形に対して2本の対角線を引くことにより、それぞれ三角形領域を求める。図16(A)に示す成形前の三角形領域を画定する頂点(交点)は(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)であり、これらを基準点とする。なお、成形後の対応する三角形領域を画定するそれぞれの頂点(交点)は(u1、v1)、(u2、v2)、(u3、v3)である。
即ち、成形により、三角形の3つの頂点が、(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)から(u1、v1)、(u2、v2)、(u3、v3)に移動している。
【0029】
成形前の三角形領域内の点(x0、y0)と、成形後の三角形領域内の点(u0、v0)は、それぞれの三角形領域内で同じ割合で存在していることを前提とすると、以下の計算が成立する。
【数1】
【0030】
式(2)をそれぞれの式に分けると以下のようになる。
【数2】
上記の式(3)、(4)より、k、lを求めて、式(1)に代入すれば、(x1、y1)、(x2、y2)、(x3、y3)と(u1、v1)、(u2、v2)(u3、v3)と(u0、v0)から、(x0、y0)を求める計算式、即ち補正式が導出される。
導出された計算式を参考のために以下に示す。
【0031】
【数3】
【0032】
そして、成形前の各三角形の頂点(交点)、即ち各三角形領域の画定する座標のデータと対応付けて、上記補正式に代入すべき係数(a、b、c、d、e、f、π)のデータがメモリに記憶される。
【0033】
図17は所望の版下原画である。これを入力して原画を画定する各点の座標を求める。原画はCAD等で作成した場合にはそのまま入力する。なお、上下左右の端側に付された印はフィルムの位置合わせ用のものである。
この版下原画は太文字Aで構成されている。
なお、ベクトルデータとして入力した場合には、オブジェクトを例えば0.01mm程度に分割して細分化する。例えば、図17のAの輪郭線は、図18に示すように分割して原画を構成する点を増やす。そして、版下原画を歪み格子パターンに重ねて、所望の版下原画を構成する各点に対して、それらを包囲する前記三角形領域に対応する前記歪みの逆計算補正式を適用することにより、基準格子パターンが定義された二次元座標系で定義される印刷用補正版下イメージを構成する各点の集合からなるデジタルデータを求める。
【0034】
図19は印刷用補正版下イメージである。これを印刷したフィルムを図3に示す半球状の形状に成形後の印刷イメージは図17に示すものとなる。
印刷用補正版下イメージはディスプレイやプリンタ等の出力手段により出力される。なお、出力手段には、ディスプレイやプリンタ等と接続するための出力端子も含まれる。
印刷用補正版下イメージのデジタルデータは、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体に保管し、必要なときに出力することもできる。
また、成形品毎に補正式のデータを保管しておけば、同じ形状の成形品用に色々な種類の版下を容易に作成することができる。
【0035】
本発明の方法は、各段階を実行するためのソフトウエアのプログラムを記憶した記憶媒体をシステムや装置で用い、そのシステムや装置のCPUが上記記憶媒体に記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより、本発明の目的を達成することができる。
なお、記憶媒体には、本発明の作成方法を実行させるためのソフトウエアのプログラムを記憶するROMメモリの他に、実行するのに必要なデータを記憶するためのRAMメモリやハードディスク等も含まれる。記憶媒体としては、ROM、RAM等の半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気媒体等を用いることができる。
【0036】
なお、コンピュータ上で稼動しているOS等が処理の一部又は全部を行う場合、又は、記憶媒体から読み出されたプログラムが、コンピュータに挿入された拡張機能ボートやコンピュータに接続された拡張機能ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムに従って拡張機能ボートや拡張機能ユニットのCPUが処理の一部又は全部を行う場合にも、本発明の目的を達成することができる。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施の形態で用いた二次元直交座標系は1mm単位であるが、単位はこれらより大きくしても小さくしてもよい。より小さい単位に設定すればより精度の高い印刷用版下が作成できることから、三次元形状物の形状や版下イメージを考慮して単位は当業者が適宜設定すればよい。
上記実施の形態では、三次元形状物に成形前のものに印刷する場合を想定しているが、転写パット等を用いて三次元形状物に印刷する場合にも本発明の方法、並びに記憶媒体が利用できる。
【0038】
座標系としては、直交座標系に限定点されず、極座標系でもよい。実施の形態では、直交座標系を用いているが、直交座標系では直線近似を行っていることから、三次元形状物が同心円上に広がりの変化がある場合、例えば三次元形状物が円型のメーター等の場合には、極座標系を用いた方が精度の高い印刷用版下を作成できるであろう。
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、複雑な三次元形状物に対しても、その正確な印刷用補正版下イメージを、原画を基に容易に作成することができるので、トライアンドエラーを繰り返すことなく、量産化を早期に立ち上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る方法のフローチャートを示す。
【図2】本発明の実施の形態に係る格子イメージを示す。
【図3】三次元形状物への成形後の、図1の格子イメージの印刷イメージを示す。
【図4】図1と図2のイメージを重ね合わせた状態を示す。
【図5】歪み格子パターンのデジタルデータの格子である。
【図6】デジタルデータの格子の補正方法を説明する図である。
【図7】デジタルデータの格子の補正方法を説明する図である。
【図8】デジタルデータの横線の線幅のデータを示す表である。
【図9】デジタルデータの横線の線幅の修正後を示す図である。
【図10】図9の横線の拡大図である。
【図11】図10から孤立部を除いた図である。
【図12】横線の結び方を説明する図である。
【図13】交点の検出方法を説明する図である。
【図14】アドレス設定方法を説明する図である。
【図15】アドレス設定方法を説明する図である。
【図16】補正式導出段階を説明する図である。
【図17】フィルムに描かれた所望の版下原画を示す図である。
【図18】ベクトルデータの分割図である。
【図19】印刷用補正版下イメージを示す図である。
Claims (5)
- 基準格子パターンが描画された二次元フィルムを成形品に合わせて三次元に成形することにより形成された歪み格子パターンを第1の二次元座標系に入力してデジタルデータの格子を作成する段階と、前記デジタルデータの格子を補正してから交点部の膨らみを除く段階と、補正されたデジタルデータの格子に基づいて各交点の座標を求める段階と、第2の二次元座標系で基準格子パターンの各交点の座標を求める段階と、前記基準格子パターンと前記歪み格子パターンにおける各交点の座標の対応関係に基づいて、前記歪み格子パターンの3つの点を頂点とする三角形領域内の点に適用される歪みの逆計算補正式を導出する補正式導出段階と、所望の版下原画を前記歪み格子パターンに重ねる段階と、前記所望の版下原画を画定する各点に対して、それらを包囲する三角形領域に対応する前記歪みの逆計算補正式を適用することにより、第2の二次元座標系で定義される印刷用補正版下イメージを求める段階とを備え、デジタルデータの格子を補正する段階では、デジタルデータの格子の交点部における横線の線幅をその横線全体の最多線幅と一致させ、且つ縦線の線幅をその縦線全体の最多線幅と一致させることを特徴とする三次元形状物の印刷用補正版下イメージの作成方法。
- 請求項1記載の三次元形状物の印刷用補正版下イメージの作成方法において、所望の版下原画をベクトルデータとして入力した場合には、三角形領域内に少なくとも1つのベクトルが存在するように分割することにより、原画を構成する点を増やすことを特徴とする作成方法。
- 請求項1又は2記載の三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法において、補正式を導出する段階で、基準格子パターンのある格子領域内に任意に1点を設定し、前記1点に対応する歪み格子パターン内での指定点をそれを包囲する格子領域の交点部との位置関係に基づいて、歪み格子パターンの各格子領域が基準格子パターンのどの格子領域に対応するのかを示すアドレスを設定し、このアドレスに基づいて、所望の版下原画を構成する各点に適応する補正式を決めることを特徴とする作成方法。
- コンピュータに請求項1から3のいずれか記載の三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法を実行させるための作成プログラム。
- コンピュータに請求項1から3のいずれか記載の三次元形状物の印刷用版下イメージの作成方法を実行させるための作成プログラムが記憶されたコンピュータ読取り可能な記憶媒体。
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