JP4337363B2 - ズームレンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はズームレンズに関し、一眼レフタイプのデジタルカメラに用いられる広画角を有するインナーフォーカス式のズームレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、物体側から順に負レンズ群と正レンズ群とからなるズームレンズが多数提案されており、広角端状態において100度を越える画角を有し、1.8倍以上のズーム比を有する超広角ズームレンズも提案されている(特許文献1,2参照。)。しかしこれら従来のズームレンズの画角は、全てフィルム用に像高21.6mmとした場合の画角である。
【0003】
また近年、フィルムの代わりに固体撮像素子を受光素子として用い、被写体をデジタル式に記録するデジタルカメラが急速に普及している。現在、一眼レフタイプのデジタルカメラに使用されている固体撮像素子は、一般にフィルムよりも像高が小さい。このため、従来のレンズを一眼レフタイプのデジタルカメラに使用すると、画角が小さくなってしまう。そこで、一眼レフタイプのデジタルカメラにおいても、フィルム用の広角レンズと同等の広角端状態において100度を越える画角を有し、1.8倍以上のズーム比を有する超広角ズームレンズが求められてきている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−2837号公報
【特許文献2】
特開2001−330774号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のズームレンズを一眼レフタイプのデジタルカメラに適用させる際に画角を維持する方法の1つとして、従来のズームレンズを比例縮小する方法がある。固体撮像素子はフィルムよりもサイズが小さいため、全系を比例縮小すれば容易に所望の画角とズーム比を得ることができる。
しかしながら、このような方法によって全系を縮小すれば、バックフォーカスも小さくなってしまうという問題がある。特に、広角端状態では、ミラーを配置するためのスペースが無くなってしまうという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、負レンズ群と正レンズ群とで構成された2群ズーム方式で、広角端状態において100度を越える画角を有し、1.8倍以上のズーム比を有するインナーフォーカス式のズームレンズを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成されており、
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との空気間隔を変化させることによってズーミングを行なうズームレンズにおいて、
前記第1レンズ群は、少なくとも2つの非球面を有し、
前記第2レンズ群は、少なくとも1つの非球面を有し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズを提供する。
0.4<|f1|/f2<0.56
3.5<r1/fw<3.9
1<fasp/f2<1.5
ただし、
f1:前記第1レンズ群の焦点距離,
f2:前記第2レンズ群の焦点距離,
fasp:前記第2レンズ群における前記非球面を有するレンズの焦点距離,
r1:前記ズームレンズにおける最も物体側のレンズ面の曲率半径,
fw:広角端状態における前記ズームレンズ全系の焦点距離.
【0008】
また、本発明の好ましい態様によれば、
前記第1レンズ群は、少なくとも3枚の負レンズと、少なくとも1枚の正レンズとを有し、
前記少なくとも3枚の負レンズのうちの1枚は、負レンズと正レンズとの貼り合わせレンズで構成されており、
当該貼り合わせレンズは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3)0.5<f31/│f3│<2
ただし、
f31:前記第1レンズ群における前記貼り合わせレンズ中の前記正レンズの焦点距離,
f3 :前記第1レンズ群における前記貼り合わせレンズの焦点距離.
【0009】
また、本発明の好ましい態様によれば、
前記第1レンズ群における前記非球面は、光軸から離れるにしたがって負の屈折力(凹のパワー)が減少することが望ましい。
【0010】
また本発明は、
物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成されており、
前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との空気間隔を変化させることによってズーミングを行うズームレンズにおいて、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有し、
前記ズームレンズは、広角端状態において100度以上の画角を有し、前記第2レンズ群における前記前群を像側に移動させて合焦を行い、
以下の条件式(4)を満足することが望ましい
(4)1<f21/f22<1.5
ただし、
f21:前記第2レンズ群における前記前群の焦点距離,
f22:前記第2レンズ群における前記後群の焦点距離.
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明のズームレンズは、上述のように負レンズ群と正レンズ群との2群構成を採用している。この少ないレンズ群構成により、部品点数を減らして低コスト化を図ることができる。
【0013】
上述のように、一眼レフタイプのフィルムカメラのレンズを比例縮小すれば、1眼レフタイプのデジタルカメラにおいても所望の像高でフィルムカメラのレンズと同等の画角のレンズを得ることは可能である。しかし、十分なバックフォーカスを確保することが困難となってしまう。
そこで本発明のズームレンズは、十分なバックフォーカスを確保しつつ、広角端状態において100度以上の画角を得るために、上記条件式(1)を満足するように構成されている。
【0014】
条件式(1)は、第1レンズ群の焦点距離と第2レンズ群の焦点距離とを適切に規定するための条件式である。条件式(1)の上限値を上回ると、広角端状態において100度以上の画角を確保するためには、前玉レンズの径を大きくしなければならず、これによりレンズが大型化してしまうため好ましくない。一方、条件式(1)の下限値を下回ると、バックフォーカスを容易に確保することができる。しかし、第2レンズ群の移動量が大きくなるため、レンズ全長が大きくなる。したがって、レンズが大型化してしまうため好ましくない。
【0015】
また、一般に広角レンズは、曲率半径の小さなレンズ面を多数有するため、入射光のレンズ面での反射に起因するゴーストが発生しやすい。そこで、このような余分な光線を遮断するため、フードが取り付けられる。特に、余分な光線をより効果的に遮断することが可能ないわゆる花形フードは、広角レンズにはよく用いられている。ここで、1群繰り出し方式のレンズは、第1レンズ群を回転させながら繰り出して合焦を行う構成である。このため、斯かる方式のレンズに花形フードを取り付けることはできない。仮にこの1群繰り出し方式のレンズを、花形フードを取り付けた際に第1レンズ群が回転しない構造としても、その構造が複雑になってしまうため好ましくない。
【0016】
そこで本発明のズームレンズは、2群分割インナーフォーカス方式を採用している。2群分割インナーフォーカス方式では、第1レンズ群を回転させずに合焦することが可能である。このため、本発明のズームレンズは、構造を複雑にせずに花形フードを取り付けることができる。また、本発明のズームレンズは、2群分割インナーフォーカス方式を採用することによって合焦レンズの小型化を図ることが可能になる。これにより、合焦レンズの駆動力を小さくすることができるため、迅速な合焦を行うことが可能になる。
【0017】
また、本発明のズームレンズは、上記条件式(2)を満足するように構成されている。
条件式(2)は、本発明のズームレンズにおける最も物体側のレンズ面の曲率半径を適切に規定するための条件式である。条件式(2)の上限値を上回ると、広角端状態における周辺光束は、最も物体側にあるレンズに入射する際に光軸からより離れて入射することとなるため、その径が大きくなってしまう。これにより、前玉レンズ(最も物体側のレンズを含む物体側のレンズ)の巨大化を招いてしまうため好ましくない。一方、条件式(2)の下限値を下回ると、最も物体側にあるレンズの物体側レンズ面の曲率半径が小さくなる。このため、このレンズの形状は非常に作りにくいものとなり、製造上好ましくない。
【0018】
また、一般に広角レンズは、十分なバックフォーカスを確保するため、第1レンズ群の負の屈折力を大きくしなければならない。このため、歪曲収差や像面湾曲が大きくなってしまう。
そこで本発明のズームレンズは、第1レンズ群を構成するレンズの屈折力を分散させることによって、各レンズで発生する上述の収差を小さく抑えている。本発明のズームレンズは、第1レンズ群を構成するレンズの屈折力を分散させるために、第1レンズ群に少なくとも3枚の負(凹)レンズを配置することが望ましい。また、本発明のズームレンズは、3枚の負レンズを用いても収差を補正することが困難な画角を有する。したがって、収差を補正し、かつレンズの巨大化を防ぐために、本発明のズームレンズの第1レンズ群には2つの非球面が配置されている。
【0019】
また、本発明のズームレンズは、第1レンズ群に配置された非球面の形状が、光軸から離れるにしたがって負の屈折力が減少する形状であることが望ましい。これにより、歪曲収差と像面湾曲の発生をさらに減少させることができる。
【0020】
また、上述のように本発明のズームレンズは、大きな画角を有する。
そこで、本発明のズームレンズは、倍率色収差を補正するために、第1レンズ群における負レンズのうちの少なくとも1枚を色補正レンズとすることが好ましい。上記条件式(3)は、このための条件式である。
したがって、本発明のズームレンズは、条件式(3)を満足することが望ましい。条件式(3)の上限値を上回ると、負レンズにおいて正の屈折力が大きくなり過ぎて、色消しの機能が小さくなってしまう。一方、条件式(3)の下限値を下回ると、広角端状態において色補正を良好に行うことができる。しかし、望遠端状態において軸上色収差を補正することが困難になってしまう。
【0021】
また、本発明のズームレンズは、上記条件式(4)を満足するように構成されている。
上記条件式(4)は、本発明のズームレンズの合焦のため、第2レンズ群の前群の焦点距離と後群の焦点距離とを適切に規定する条件式である。条件式(4)の上限値を上回ると、合焦のための第2レンズ群の前群の移動量が大きくなる。このため、ズームレンズの全長が大きくなってしまうため好ましくない。一方、条件式(4)の下限値を下回ると、合焦による収差の近距離変動が大きくなる。このため、無限遠から近距離まで収差を良好に補正することが困難になってしまう。
【0022】
また、本発明のズームレンズは、所望の画角を確保するために第1レンズ群の負の屈折力を大きく構成している。広角端状態では、ランド光(光軸上の物点から入射する光)はレンズの光軸付近を通過するために、第1レンズ群における負レンズの屈折力の関与は小さい。一方、望遠端状態では、ランド光はレンズの光軸から離れた位置を通過するため、第1レンズ群における負レンズの屈折力の関与は大きくなる。
【0023】
本発明のズームレンズでは、第1レンズ群中に配置された非球面によって、第1レンズ群における負レンズの周辺では負の屈折力が小さくなる。しかし、望遠端状態でランド光が通過する位置は、負の屈折力が小さくなる度合いが小さいため、このランド光は大きな負の屈折力の影響を多大に受ける。このため、望遠端状態での球面収差は、正の方向へ大きくなってしまう(尚、この「正の方向」は、ガウス像面を基準として物体側を負の方向と定義した場合の方向を示すものである。)。
【0024】
望遠端状態での球面収差は、第2レンズ群に大きな正の屈折力を配置すれば、適正に補正することができる。しかし、第2レンズ群の屈折力を大きくし過ぎると、バックフォーカスが短くなってしまう。
そこで、本発明のズームレンズは、第2レンズ群に非球面を配置することが望ましい。これにより、バックフォーカスが短くなってしまわない程度に第2レンズ群の屈折力を大きくすることができる。これにより、望遠端状態での球面収差を適切に補正することが可能となる。
【0025】
したがって、本発明のズームレンズは、第2レンズ群に非球面を有し、上記条件式(5)を満足する。
条件式(5)は、第2レンズ群における非球面を有するレンズの焦点距離と第2レンズ群の焦点距離とを適切に規定するための条件式である。条件式(5)の上限値を上回ると、バックフォーカスが短くなるため、ミラーを配置するためのスペースが無くなってしまうため好ましくない。一方、条件式(5)の下限値を下回ると、非球面を有するレンズ(正レンズ)の屈折力が大きくなり過ぎる。このため、望遠端状態の球面収差を補正することはできるものの、広角端状態のコマ収差を補正することが困難になってしまう。
【0026】
以下、本発明の各実施例に係るズームレンズを添付図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
図1に示す本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成されている。
【0027】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と両凹形状の負レンズL14との貼り合わせレンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、前群G2aと、後群G2bとからなる。
【0028】
前群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との貼り合わせレンズからなる。
後群G2bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24との貼り合わせレンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL25と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL26と物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL27との貼り合わせレンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL28とからなる。
開口絞りSは、第2レンズ群G2における前群G2aと後群G2bとの間に配置されている。
【0029】
以上のレンズ構成の下、本実施例に係るズームレンズは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔を変化させることによって、ズーミング(変倍)を行う。尚、広角端状態(W)から望遠端状態(T)へのズーミングに際して、各レンズ群は、図1中に矢印で示したズーム軌道にしたがって光軸方向へ移動する。
また、本実施例に係るズームレンズは、第2レンズ群における前群G2aを像側へ移動させることによって、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
【0030】
以下の表1に、本発明の第1実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
表1の(全体諸元)において、fは光学系全体の焦点距離、FnoはFナンバー、2ωは画角(単位は度[°])をそれぞれ示す。
(レンズデータ)において、面は光線の進行する方向に沿った物体側からのレンズ面の順序、面間隔はレンズ面の間隔をそれぞれ示す。また、屈折率はd線(λ=587.6nm)に対する値である。さらに、曲率半径0.000は平面を示し、Bfはバックフォーカス、Sは開口絞りをそれぞれ示す。
(非球面係数)において、「E-n」は「×10-n」を示す。例えば、「1.234E-05」は「1.234×10-5」を示す。
(可変間隔データ)において、Raは撮影距離を示す。
【0031】
ここで、本実施例に係るズームレンズ中の非球面は、以下の非球面式で表される。尚、yは光軸に垂直な方向の高さ、X(y)は高さyにおける光軸方向の変位量(サグ量)、rは基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)、κは円錐定数、C4,C6,C8,C10,C12,C14,C16は各々4,6,8,10,12,14,16次の非球面係数とする。また非球面は、(レンズデータ)におけるその面番号の右側に*印を付して示している。尚、(可変間隔データ)において0(ゼロ)となる非球面係数は記載を省略している。
【0032】
【数1】
X(y)=(y2/r)/(1+(1−k・y2/r21/2
+C4y4+C6y6+C8y8+C10y10+C12y12+C14y14+C16y16
【0033】
ここで、以下の全ての諸元値において掲載されている焦点距離、曲率半径、その他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかし光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、単位はmmに限られるものではない。
尚、以下の全実施例の諸元値においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0034】
【表1】
Figure 0004337363
Figure 0004337363
Figure 0004337363
【0035】
図2(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
図3(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【0036】
各収差図において、FNOはFナンバー、Aは半画角、NAは開口数をそれぞれ示す。また、d,gはそれぞれ、d線(波長λ=587.6nm),g線(λ=435.8nm)の収差曲線を示す。球面収差図では最大口径に対応するFナンバーの値か、または、開口数の最大値を示し、非点収差図および歪曲収差図では半画角の最大値を示し、コマ収差図は、像高Y=0.0,1.76,2.46,2.99,3.52におけるコマ収差をそれぞれ示す。また、非点収差図において、実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。
尚、以下に示す全実施例の諸収差図において、本実施例と同様の符号を用いる。
【0037】
各諸収差図から本実施例に係るズームレンズは、広角端状態および望遠端状態の各撮影距離において諸収差を良好に補正していることがわかる。
【0038】
(第2実施例)
図4は、本発明の第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
図4に示す本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成されている。
【0039】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と両凹形状の負レンズL14との貼り合わせレンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、前群G2aと、後群G2bとからなる。
【0040】
前群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との貼り合わせレンズからなる。
後群G2bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24との貼り合わせレンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL25と、両凹形状の負レンズL26と両凸形状の正レンズL27との貼り合わせレンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL28とからなる。
開口絞りSは、第2レンズ群G2における前群G2aと後群G2bとの間に配置されている。
【0041】
以上のレンズ構成の下、本実施例に係るズームレンズは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔を変化させることによって、ズーミング(変倍)を行う。尚、広角端状態(W)から望遠端状態(T)へのズーミングに際して、各レンズ群は、図4中に矢印で示したズーム軌道にしたがって光軸方向へ移動する。
また、本実施例に係るズームレンズは、第2レンズ群における前群G2aを像側へ移動させることによって、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
以下の表2に、本発明の第2実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0042】
【表2】
Figure 0004337363
Figure 0004337363
Figure 0004337363
【0043】
図5(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
図6(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【0044】
各諸収差図から本実施例に係るズームレンズは、広角端状態および望遠端状態の各撮影距離において諸収差を良好に補正していることがわかる。
【0045】
(第3実施例)
図7は、本発明の第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
図7に示す本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成されている。
【0046】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と両凹形状の負レンズL14との貼り合わせレンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、前群G2aと、後群G2bとからなる。
【0047】
前群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との貼り合わせレンズからなる。
後群G2bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL24との貼り合わせレンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL25と、両凹形状の負レンズL26と両凸形状の正レンズL27との貼り合わせレンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL28とからなる。
開口絞りSは、第2レンズ群G2における前群G2aと後群G2bとの間に配置されている。
【0048】
以上のレンズ構成の下、本実施例に係るズームレンズは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔を変化させることによって、ズーミング(変倍)を行う。尚、広角端状態(W)から望遠端状態(T)へのズーミングに際して、各レンズ群は、図7中に矢印で示したズーム軌道にしたがって光軸方向へ移動する。
また、本実施例に係るズームレンズは、第2レンズ群における前群G2aを像側へ移動させることによって、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
以下の表3に、本発明の第3実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0049】
【表3】
Figure 0004337363
Figure 0004337363
Figure 0004337363
【0050】
図8(a),(b)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
図9(a),(b)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【0051】
各諸収差図から本実施例に係るズームレンズは、広角端状態および望遠端状態の各撮影距離において諸収差を良好に補正していることがわかる。
【0052】
(第4実施例)
図10は、本発明の第4実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
図10に示す本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とから構成されている。
【0053】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、両凸形状の正レンズL13と両凹形状の負レンズL14との貼り合わせレンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL15とからなる。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、前群G2aと、後群G2bとからなる。
【0054】
前群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との貼り合わせレンズからなる。
後群G2bは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL23と両凸形状の正レンズL24との貼り合わせレンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL25と両凹形状の負レンズL26と両凸形状の正レンズL27との貼り合わせレンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL28とからなる。
開口絞りSは、第2レンズ群G2における前群G2aと後群G2bとの間に配置されている。
【0055】
以上のレンズ構成の下、本実施例に係るズームレンズは、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔を変化させることによって、ズーミング(変倍)を行う。尚、広角端状態(W)から望遠端状態(T)へのズーミングに際して、各レンズ群は、図10中に矢印で示したズーム軌道にしたがって光軸方向へ移動する。
また、本実施例に係るズームレンズは、第2レンズ群における前群G2aを像側へ移動させることによって、遠距離物体から近距離物体への合焦を行う。
以下の表4に、本発明の第4実施例に係るズームレンズの諸元値を掲げる。
【0056】
【表4】
Figure 0004337363
Figure 0004337363
Figure 0004337363
【0057】
図11(a),(b)はそれぞれ、本発明の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
図12(a),(b)はそれぞれ、本発明の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【0058】
各諸収差図から本実施例に係るズームレンズは、広角端状態および望遠端状態の各撮影距離において諸収差を良好に補正していることがわかる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、負レンズ群と正レンズ群とで構成された2群ズーム方式で、広角端状態において100度を越える画角を有し、1.8倍以上のズーム比を有するインナーフォーカス式のズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図5】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
【図6】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【図7】本発明の第3実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図8】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
【図9】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【図10】本発明の第4実施例に係るズームレンズのレンズ構成、および広角端状態(W)から望遠端状態(T)への各レンズ群の移動の様子を示す図である。
【図11】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態(最短焦点距離状態),望遠端状態(最長焦点距離状態)における無限遠合焦時の諸収差である。
【図12】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態,望遠端状態における撮影距離Ra=0.3mの時の諸収差図である。
【符号の説明】
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G2a 第2レンズ群の前群
G2b 第2レンズ群の後群
S 開口絞り
I 像面

Claims (4)

  1. 物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成されており、
    前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との空気間隔を変化させることによってズーミングを行なうズームレンズにおいて、
    前記第1レンズ群は、少なくとも2つの非球面を有し、
    前記第2レンズ群は、少なくとも1つの非球面を有し、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    0.4<|f1|/f2<0.56
    3.5<r1/fw<3.9
    1<fasp/f2<1.5
    ただし、
    f1:前記第1レンズ群の焦点距離,
    f2:前記第2レンズ群の焦点距離,
    fasp:前記第2レンズ群における前記非球面を有するレンズの焦点距離,
    r1:前記ズームレンズにおける最も物体側のレンズ面の曲率半径,
    fw:広角端状態における前記ズームレンズ全系の焦点距離.
  2. 前記第1レンズ群は、少なくとも3枚の負レンズと、少なくとも1枚の正レンズとを有し、
    前記少なくとも3枚の負レンズのうちの1枚は、負レンズと正レンズとの貼り合わせレンズで構成されており、
    当該貼り合わせレンズは、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
    0.5<f31/│f3│<2
    ただし、
    f31:前記第1レンズ群における前記貼り合わせレンズ中の前記正レンズの焦点距離,
    f3 :前記第1レンズ群における前記貼り合わせレンズの焦点距離.
  3. 前記第1レンズ群における前記非球面は、光軸から離れるにしたがって負の屈折力が減少することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のズームレンズ。
  4. 物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群と、正の屈折力を有する第2レンズ群とから構成されており、
    前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との空気間隔を変化させることによってズーミングを行なうズームレンズにおいて、
    前記第2レンズ群は、物体側から順に、正の屈折力を有する前群と、正の屈折力を有する後群とを有し、
    前記ズームレンズは、広角端状態において100度以上の画角を有し、前記第2レンズ群における前記前群を像側に移動させて合焦を行い、
    以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
    1<f21/f22<1.5
    ただし、
    f21:前記第2レンズ群における前記前群の焦点距離,
    f22:前記第2レンズ群における前記後群の焦点距離.
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