JP5110127B2 - ズームレンズ、光学装置、ズームレンズの製造方法 - Google Patents

ズームレンズ、光学装置、ズームレンズの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ズームレンズ、光学装置、ズームレンズの製造方法に関する。
従来、写真用カメラ、電子スチルカメラ、ビデオカメラ等に適したズームレンズが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開2004-21223号公報
しかしながら従来のズームレンズは、大型で十分な光学性能を有していないという問題があった。
そこで本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、小型で優れた光学性能を有するズームレンズ、光学装置、ズームレンズの製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明は、
最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とにより実質的に2個のレンズ群又は、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり
広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を変化させ、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、
前記第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、
前記第2b部分レンズ群は、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有し、
以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズを提供する。
2.52<Σ2a/Σ2b<18.00
0.282≦|fa/fb|<2.00
ただし、
Σ2a:前記第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
Σ2b:前記第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
fa:前記第2a部分レンズ群の焦点距離
fb:前記第2b部分レンズ群の焦点距離
また本発明は、
前記ズームレンズを備えたことを特徴とする光学装置ズームレンズを備えたことを特徴とする光学装置を提供する。
また本発明は、
最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とにより実質的に2個のレンズ群又は、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズの製造方法であって、
前記第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、前記第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、前記第2b部分レンズ群は、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有するようにし、
前記第2a部分レンズ群と前記第2b部分レンズ群が以下の条件式を満足するようにし、
広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を変化させるようにすることを特徴とするズームレンズの製造方法を提供する。
2.52<Σ2a/Σ2b<18.00
0.282≦|fa/fb|<2.00
ただし、
Σ2a:前記第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
Σ2b:前記第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
fa:前記第2a部分レンズ群の焦点距離
fb:前記第2b部分レンズ群の焦点距離
本発明によれば、小型で優れた光学性能を有するズームレンズ、光学装置、ズームレンズの製造方法を提供することができる。
本願の第1実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。 本願の第2実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。 本願の第3実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。 本願の第4実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。 本願の第5実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。 (a)、(b)、及び(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。 (a)、及び(b)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。 本願のズームレンズを備えたカメラの構成を示す図である。 本願のズームレンズの製造方法の概略を示す図である。
以下、本願のズームレンズ、光学装置、ズームレンズの製造方法について説明する。
本願のズームレンズは、最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とを有し、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を変化させ、前記第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、前記第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、前記第2b部分レンズ群は、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有し、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする。
(1) 0.20<Σ2a/Σ2b<18.00
ただし、
Σ2a:前記第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
Σ2b:前記第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
本願のズームレンズは、上記構成の第2a部分レンズ群を第2レンズ群に配置することにより、球面収差の発生を緩和することができる。また、本願のズームレンズは、上記構成の第2b部分レンズ群を第2レンズ群に配置することにより、像面湾曲の発生を緩和することができる。なお、レンズ成分とは、単レンズ、或いは2枚以上のレンズを接合してなる接合レンズをいう。
上記条件式(1)は、第2a部分レンズ群と第2b部分レンズ群の全長比の適切な範囲を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(1)を満足することにより、像面湾曲、コマ収差、及び球面収差を良好に補正することができ、ズームレンズ全体の大型化を防止することができる。
本願のズームレンズの条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、Σ2aの値が大きくなり、第2a部分レンズ群で発生する球面収差は小さくなるものの、第2a部分レンズ群の全長が大きくなり、ズームレンズ全体が大型化してしまうため好ましくない。また、第2b部分レンズ群で発生する像面湾曲やコマ収差を十分に緩和することができなくなってしまう。また、Σ2bの値が小さくなり、第2b部分レンズ群は小型化するものの、第2b部分レンズ群で発生する像面湾曲やコマ収差が大きくなってしまう。また、第2a部分レンズ群で発生した球面収差を過剰に補正することになってしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を12.00以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を7.00以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を6.53以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を6.05以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を5.58以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の上限値を5.10以下とすることがより好ましい。
一方、本願のズームレンズの条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、Σ2aの値が小さくなり、第2a部分レンズ群は小型化するものの、第2a部分レンズ成分で発生する球面収差が大きくなってしまうため好ましくない。また、第2b部分レンズ群が大型化して、第2a部分レンズ群で発生した球面収差を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。また、Σ2bの値が大きくなり、第2b部分レンズ群が大型化して、ズームレンズ全体が大型化してしまうため好ましくない。また、第2a部分レンズ群で発生した球面収差を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を0.66以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を1.02以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を1.42以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を1.82以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を2.22以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(1)の下限値を2.52以上とすることがより好ましい。
以上の構成により、小型で優れた光学性能を有するズームレンズを実現することができる。
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(2)を満足することが望ましい。
(2) 0.10<|fa/fb|<2.00
ただし、
fa:前記第2a部分レンズ群の焦点距離
fb:前記第2b部分レンズ群の焦点距離
条件式(2)は、第2a部分レンズ群と第2b部分レンズ群の焦点距離比の適切な範囲を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(2)を満足することにより、第2レンズ群で発生するコマ収差、像面湾曲、及び球面収差を第2レンズ群内で緩和することができる。
本願のズームレンズの条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、faがfbに対して大きくなり、第2b部分レンズ群で発生する像面湾曲やコマ収差を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。また、fbがfaに対して小さくなり、第2b部分レンズ群で発生する像面湾曲やコマ収差が大きくなってしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.83以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.65以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.48以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の上限値を1.30以下とすることがより好ましい。
一方、本願のズームレンズの条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、fbがfaに対して大きくなり、第2a部分レンズ群で発生する球面収差を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。また、faがfbに対して小さくなり、第2a部分レンズ群で発生する球面収差が大きくなってしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.12以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.13以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.15以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(2)の下限値を0.16以上とすることがより好ましい。
また、本願のズームレンズは、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分のうちの少なくとも一部を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させて無限遠物体から近距離物体への合焦を行うことが望ましい。この構成により、無限遠物体から近距離物体への合焦に際する球面収差や、像面湾曲の変動を抑えることができる。
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(3)を満足することが望ましい。
(3) 0.15<|fw/ff|<0.45
ただし、
fw:広角端状態における前記ズームレンズの焦点距離
ff:前記合焦レンズ群の焦点距離
条件式(3)は、広角端状態におけるズームレンズと合焦レンズ群の焦点距離比の適切な範囲を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(3)を満足することにより、球面収差やコマ収差を良好に補正することができる。また、合焦レンズ群の位置制御が容易となり、ズームレンズ全体の大型化を防止することもできる。
本願のズームレンズの条件式(3)の対応値が上限値を上回ると、合焦レンズ群の焦点距離が小さくなり、合焦レンズ群の位置制御が困難になる。このため、合焦の精度を十分に確保することができなくなってしまうため好ましくない。また、合焦レンズ群単体で球面収差やコマ収差が発生してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を0.43以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を0.41以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の上限値を0.38以下とすることがより好ましい。
一方、本願のズームレンズの条件式(3)の対応値が下限値を下回ると、合焦レンズ群の焦点距離が大きくなり、合焦時の合焦レンズ群の移動量が大きくなる。このため、ズームレンズ全長が大きくなり、またレンズ径も大きくなるため、ズームレンズ全体が大型化してしまうため好ましくない。また、合焦レンズ群単体で発生する球面収差やコマ収差を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.17以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.19以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.21以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(3)の下限値を0.23以上とすることがより好ましい。
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(4)を満足することが望ましい。
(4) 0.15<|fγw|<0.60
ただし、
fγw:広角端状態における前記合焦レンズ群の像面移動係数
条件式(4)は、広角端状態における合焦レンズ群の像面移動係数(合焦レンズ群の移動量に対する像面の移動量の比率)の適切な範囲を規定するものである。本願のズームレンズは条件式(4)を満足することにより、無限遠物体合焦時から近距離物体合焦時までの結像性能の変化を最低限に抑えることができる。また、合焦レンズ群の位置制御が容易となり、ズームレンズ全体の大型化を防止することもできる。
本願のズームレンズの条件式(4)の対応値が上限値を上回ると、合焦レンズ群の焦点距離が大きくなり、合焦時の合焦レンズ群の移動量が大きくなる。このため、ズームレンズ全長が大きくなり、またレンズ径も大きくなるため、ズームレンズ全体が大型化してしまうため好ましくない。また、合焦レンズ群単体で発生する球面収差やコマ収差を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を0.58以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を0.55以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の上限値を0.53以下とすることがより好ましい。
一方、本願のズームレンズの条件式(4)の対応値が下限値を下回ると、合焦レンズ群の焦点距離が小さくなり、合焦レンズ群の位置制御が困難になる。このため、合焦の精度を十分に確保することができなくなってしまうため好ましくない。また、合焦レンズ群単体で球面収差やコマ収差が発生してしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.18以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.22以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(4)の下限値を0.25以上とすることがより好ましい。
また、本願のズームレンズは、前記第2レンズ群の少なくとも一部をシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることが望ましい。これにより、手ぶれ等によって生じる像ぶれの補正(防振)を行うことができる。また、前述のように第2レンズ群の少なくとも一部をシフトレンズ群とすることにより、シフトレンズ群で発生するコマ収差を第2レンズ群中の他のレンズ成分で補正することができ、シフトレンズ群を光軸と直交する方向の成分を含むように移動させたとき(レンズシフト時)のコマ収差の変動を抑えることができる。
また、本願のズームレンズは、以下の条件式(5)を満足することが望ましい。
(5) −3.70<ff/fs<3.10
ただし、
ff:前記合焦レンズ群の焦点距離
fs:前記シフトレンズ群の焦点距離
条件式(5)は、合焦レンズ群とシフトレンズ群の焦点距離比の適切な範囲を規定するものである。本願のズームレンズは、条件式(5)を満足することにより、球面収差、コマ収差、偏芯コマ収差、及び像面湾曲を良好に補正することができる。また、合焦レンズ群とシフトレンズ群の位置制御が容易となり、ズームレンズ全体の大型化を防止することもできる。
本願のズームレンズの条件式(5)の対応値が上限値を上回ると、合焦レンズ群の焦点距離が大きくなり、合焦時の合焦レンズ群の移動量が大きくなる。このため、ズームレンズ全長が大きくなり、またレンズ径も大きくなるため、ズームレンズ全体が大型化してしまうため好ましくない。また、合焦レンズ群単体で発生する球面収差やコマ収差を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。また、シフトレンズ群の焦点距離が小さくなり、シフトレンズ群の位置制御が困難になる。このため、像ぶれの補正の精度を十分に確保することができなくなってしまうため好ましくない。また、コマ収差や偏芯コマ収差を補正することが困難になってしまう。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を2.68以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を2.25以下とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の上限値を1.83以下とすることがより好ましい。
一方、本願のズームレンズの条件式(5)の対応値が下限値を下回ると、合焦レンズ群の焦点距離が小さくなり、合焦レンズ群の位置制御が困難になる。このため、合焦の精度を十分に確保することができなくなってしまうため好ましくない。また、合焦レンズ群単体で球面収差やコマ収差が発生してしまうため好ましくない。また、シフトレンズ群の焦点距離が大きくなり、像ぶれを補正するためにシフトレンズ群をより大きくシフトさせなければならなくなり、シフトレンズ群が大型化してしまうため好ましくない。また、コマ収差や像面湾曲を十分に補正することができなくなってしまうため好ましくない。
なお、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を−3.27以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を−2.84以上とすることがより好ましい。また、本願の効果をより確実にするために、条件式(5)の下限値を−2.41以上とすることがより好ましい。
また、本願のズームレンズは、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分が正の屈折力を有することが望ましい。この構成により、前記複数のレンズ成分のそれぞれで発生する球面収差、コマ収差、及び像面湾曲を抑えることができる。
また、本願のズームレンズは、前記第1レンズ群が負の屈折力を有することが望ましい。この構成により、ズームレンズの全長を短くできるので好ましい。また、球面収差等の諸収差を良好に補正することができるので好ましい。
また、本願のズームレンズは、前記第2レンズ群が正の屈折力を有することが望ましい。この構成により、球面収差や像面湾曲を良好に補正することができるので好ましい。
また、本願のズームレンズは、前記第1レンズ群が負の屈折力を有し、前記第2a部分レンズ群が正の屈折力を有し、前記第2b部分レンズ群が負の屈折力を有することが望ましい。この構成により、第1レンズ群及び第2b部分レンズ群で発生する収差を抑えることができる。
また本願の光学装置は、上述した構成のズームレンズを備えていることを特徴とする。これにより、小型で優れた光学性能を有する光学装置を実現することができる。
また本願のズームレンズの製造方法は、最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とを有するズームレンズの製造方法であって、前記第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、前記第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、前記第2b部分レンズ群は、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有するようにし、前記第2a部分レンズ群と前記第2b部分レンズ群が以下の条件式(1)を満足するようにし、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を変化させるようにすることを特徴とする。
(1) 0.20<Σ2a/Σ2b<18.00
ただし、
Σ2a:前記第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
Σ2b:前記第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
斯かる本願のズームレンズの製造方法により、小型で優れた光学性能を有するズームレンズを製造することができる。
以下、本願の数値実施例に係るズームレンズを添付図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
図1は、本願の第1実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とで構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2a部分レンズ群G2aと、負の屈折力を有する第2b部分レンズ群G2bとからなる。
第2a部分レンズ群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と、開口絞りSと、両凸形状の正レンズL24と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25との接合正レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL21は、物体側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。また、正メニスカスレンズL23は、物体側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2b部分レンズ群G2bは、物体側から順に、両凹形状の負レンズL26と両凸形状の正レンズL27との接合負レンズのみからなる。なお、両凸形状の正レンズL27は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
本実施例に係るズームレンズでは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が減少するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が光軸方向へ移動する。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける負メニスカスレンズL21と正メニスカスレンズL22との接合正レンズを合焦レンズ群として像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦が行われる。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける正レンズL24と負メニスカスレンズL25との接合正レンズをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ぶれの補正が行われる。
以下の表1に、本実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカスを示す。
[面データ]において、面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、(絞りS)は開口絞りS、(絞りFS1)は第1フレアカット絞りFS1、(絞りFS2)は第2フレアカット絞りFS2、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示し、空気の屈折率nd=1.00000の記載は省略している。また、レンズ面が非球面である場合には面番号に*印を付して曲率半径rの欄には近軸曲率半径を示している。
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の近軸曲率半径、円錐定数、及び非球面係数を示す。
S(y)=(y/r)/{1+(1−κ×y/r1/2
+C4×y+C6×y+C8×y+C10×y10
ここで、yを光軸に垂直な方向の高さ、S(y)を高さyにおける各非球面の頂点の接平面から各非球面までの光軸に沿った距離(サグ量)、rを基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)、κを円錐定数、Cn(nは整数)をn次の非球面係数とする。なお、2次の非球面係数C2は0である。また、「E−n」(n:整数)は「×10-n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10-5」を示す。
[各種データ]において、FNOはFナンバー、2ωは画角、Yは像高、TLは光学系全長、di(i:整数)は第i面の可変の面間隔、d0は物体から第1面までの距離をそれぞれ示す。なお、Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。
ここで、表1に掲載されている焦点距離fや曲率半径r、及びその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
(表1)第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 18.4021 1.3000 1.851348 40.10
*2 9.4660 5.1881
3 106.6621 1.0000 1.882997 40.76
4 12.4920 1.7530
5 18.3528 1.7749 1.846660 23.78
6 28.9480 0.6457
7 17.1399 2.0751 1.808090 22.79
8 32.7787 可変
*9 15.0062 0.8000 1.834410 37.28
10 9.9310 1.7000 1.741000 52.67
11 36.5917 可変
*12 20.2806 1.2433 1.589130 61.25
13 519.9944 0.8000
14(絞りS) ∞ 1.0000
15 33.1718 2.0873 1.617200 54.01
16 -13.7000 1.0000 1.740769 27.78
17 -47.2996 1.8086
18 -12.0144 0.8000 1.834000 37.16
19 10.7146 3.3683 1.730766 40.50
*20 -14.3627 BF
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ C4 C6 C8 C10
2 -0.8688 2.24260E-04 -1.18580E-07 2.08650E-09 0.00000E+00
9 1.5382 -4.34140E-05 1.85070E-08 -3.18730E-08 9.22250E-10
12 1.0000 6.95110E-05 8.09320E-07 -2.75250E-09 0.00000E+00
20 1.0000 7.53770E-05 6.63130E-07 0.00000E+00 0.00000E+00

[各種データ]
変倍比 2.825
W M T
f 10.3 17.3 29.1
FNO 3.57 4.27 5.80
2ω 79.56 51.30 31.64
Y 8.25 8.25 8.25
TL 74.59 69.93 76.27
BF 19.74 28.12 42.24

<無限遠物体合焦時の間隔データ>
W M T
f 10.30000 17.30000 29.10000
d8 22.27046 9.23047 1.45000
d11 4.2370 4.2370 4.2370
BF 19.73960 28.11827 42.24230

<近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の間隔データ>
W M T
d0 1008.7799 1711.7323 2893.5651
f 10.30000 17.30000 29.10000
d8 22.56436 9.39160 1.55387
d11 3.94313 4.07590 4.13316
BF 19.73960 28.11827 42.24230

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 -16.653
2 9 19.933
2a 9 15.032
2b 18 -52.447

[条件式対応値]
(1) Σ2a/Σ2b = 3.087
(2) |fa/fb| = 0.287
(3) |fw/ff| = 0.284
(4) |fγw| = 0.351
(5) ff/fs = 0.906
図2(a)、図2(b)、及び図2(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図3(a)、図3(b)、及び図3(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。
図4(a)、及び図4(b)はそれぞれ、本願の第1実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。
図2〜図4の各収差図において、FNOはFナンバー、NAは開口数、Aは半画角、H0は物体高をそれぞれ示す。また、dはd線(λ=587.6nm)、gはg線(λ=435.8nm)をそれぞれ示し、非点収差図において実線はサジタル像面、破線はメリディオナル像面をそれぞれ示す。なお、以下に示す各実施例の収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
各諸収差図より、本実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第2実施例)
図5は、本願の第2実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とで構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2a部分レンズ群G2aと、負の屈折力を有する第2b部分レンズ群G2bとからなる。
第2a部分レンズ群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズと、開口絞りSと、両凸形状の正レンズL23と、両凸形状の正レンズL24と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25との接合正レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL21は、物体側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2b部分レンズ群G2bは、物体側から順に、両凹形状の負レンズL26と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL27との接合負レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL28とからなる。なお、正メニスカスレンズL28は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
本実施例に係るズームレンズでは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が減少するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が光軸方向へ移動する。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける負メニスカスレンズL21と正メニスカスレンズL22との接合正レンズを合焦レンズ群として像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦が行われる。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける正レンズL24と負メニスカスレンズL25との接合正レンズをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ぶれの補正が行われる。
以下の表2に、本実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。
(表2)第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 21.7269 1.3000 1.851348 40.10
*2 9.4719 5.7500
3 111.4840 1.0000 1.882997 40.76
4 14.9963 1.9500
5 22.3090 2.0000 1.846660 23.78
6 33.1016 0.2000
7 18.7069 2.0000 1.808090 22.79
8 43.2782 可変
*9 15.0616 0.8000 1.834410 37.28
10 9.5077 2.0000 1.729157 54.66
11 32.9673 可変
12(絞りS) ∞ 1.8500
13 34.6096 1.5500 1.487490 70.45
14 -34.6096 1.5000
15 27.5396 1.8500 1.617200 54.01
16 -19.7960 1.0000 1.755199 27.51
17 -77.6432 1.8000
18 -73.1879 0.8000 1.806100 40.94
19 14.1510 1.3000 1.677900 55.40
20 36.2665 1.1500
21 -64.5797 1.1500 1.730770 40.51
*22 -30.4612 BF
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ C4 C6 C8 C10
2 0.4886 1.63540E-05 4.58660E-07 -4.87000E-09 3.86610E-11
9 1.0000 -2.12610E-05 -1.64030E-07 0.00000E+00 0.00000E+00
22 4.0626 8.23580E-05 4.98300E-07 -3.25370E-09 0.00000E+00

[各種データ]
変倍比 2.825
W M T
f 10.3 17.3 29.1
FNO 3.59 4.33 5.80
2ω 79.82 51.28 31.62
Y 8.22 8.22 8.22
TL 77.52 72.08 77.92
BF 18.51 26.86 40.93

<無限遠物体合焦時の間隔データ>
W M T
f 10.30001 17.29999 29.09994
d8 23.30172 9.51054 1.28187
d11 4.75728 4.75728 4.75728
BF 18.51046 26.85868 40.93132

<近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の間隔データ>
W M T
d0 1010.1167 1712.4939 2894.2034
f 10.30001 17.29999 29.09994
d8 23.59826 9.68431 1.39657
d11 4.46074 4.58351 4.64257
BF 18.51046 26.85868 40.93135

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 -17.157
2 9 20.462
2a 9 16.311
2b 18 -40.208

[条件式対応値]
(1) Σ2a/Σ2b = 3.479
(2) |fa/fb| = 0.406
(3) |fw/ff| = 0.249
(4) |fγw| = 0.348
(5) ff/fs = 1.04
図6(a)、図6(b)、及び図6(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図7(a)、図7(b)、及び図7(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。
図8(a)、及び図8(b)はそれぞれ、本願の第2実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第3実施例)
図9は、本願の第3実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とで構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL14とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2a部分レンズ群G2aと、負の屈折力を有する第2b部分レンズ群G2bとからなる。
第2a部分レンズ群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL22との接合正レンズと、開口絞りSと、両凸形状の正レンズL23と、両凸形状の正レンズL24と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL25との接合正レンズとからなる。なお、負メニスカスレンズL21は、物体側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2b部分レンズ群G2bは、物体側から順に、両凹形状の負レンズL26と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL27との接合負レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL28とからなる。なお、正メニスカスレンズL28は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
本実施例に係るズームレンズでは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が減少するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が光軸方向へ移動する。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける負メニスカスレンズL21と正メニスカスレンズL22との接合正レンズを合焦レンズ群として像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦が行われる。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける正レンズL24と負メニスカスレンズL25との接合正レンズをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ぶれの補正が行われる。
以下の表3に、本実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。
(表3)第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 21.7269 1.3000 1.851348 40.10
*2 9.4719 5.7500
3 111.4840 1.0000 1.882997 40.76
4 14.9963 1.9500
5 22.2590 1.9000 1.846660 23.78
6 33.3223 0.2000
7 18.7069 2.1000 1.808090 22.79
8 42.8001 可変
*9 15.0616 0.8000 1.834410 37.28
10 9.5077 2.0000 1.729157 54.66
11 32.9673 可変
12(絞りS) ∞ 1.8500
13 34.6096 1.5500 1.487490 70.45
14 -34.6096 1.4500
15 27.0404 2.0000 1.583130 59.38
16 -17.0002 1.0000 1.688930 31.06
17 -70.6449 1.8000
18 -73.1879 0.8000 1.806100 40.94
19 14.1510 1.3000 1.677900 55.40
20 36.2665 1.1500
21 -64.5797 1.1500 1.730770 40.51
*22 -30.4612 BF
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ C4 C6 C8 C10
2 0.4886 1.63540E-05 4.58660E-07 -4.89000E-09 3.86610E-11
9 1.0000 -2.17000E-05 -1.55000E-07 0.00000E+00 0.00000E+00
22 4.0626 8.23580E-05 4.98300E-07 -3.25370E-09 0.00000E+00

[各種データ]
変倍比 2.825
W M T
f 10.3 17.3 29.1
FNO 3.59 4.33 5.80
2ω 79.76 51.26 31.60
Y 8.22 8.22 8.22
TL 77.50 72.05 77.87
BF 18.37 26.70 40.75

<無限遠物体合焦時の間隔データ>
W M T
f 10.29998 17.29997 29.09996
d8 23.32950 9.54740 1.32415
d11 4.74745 4.74745 4.74745
BF 18.36848 26.70133 40.74813

<近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の間隔データ>
W M T
d0 1010.0819 1712.5230 2894.2416
f 10.29998 17.29997 29.09996
d8 23.62641 9.72135 1.43894
d11 4.45054 4.57350 4.63266
BF 18.36848 26.70133 40.74814

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 -17.167
2 9 20.436
2a 9 16.330
2b 18 -40.208

[条件式対応値]
(1) Σ2a/Σ2b = 3.499
(2) |fa/fb| = 0.406
(3) |fw/ff| = 0.249
(4) |fγw| = 0.347
(5) ff/fs = 1.031
図10(a)、図10(b)、及び図10(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図11(a)、図11(b)、及び図11(c)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。
図12(a)、及び図12(b)はそれぞれ、本願の第3実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第4実施例)
図13は、本願の第4実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2とで構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、両側のレンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。また、両凹形状の負レンズL12は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2a部分レンズ群G2aと、負の屈折力を有する第2b部分レンズ群G2bとからなる。
第2a部分レンズ群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL21と、開口絞りSと、両凸形状の正レンズL22と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL23との接合正レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL24と両凸形状の正レンズL25との接合正レンズと、像側に凸面を向けた正メニスカスレンズL26とからなる。
第2b部分レンズ群G2bは、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL27のみからなる。なお、負メニスカスレンズL27は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
本実施例に係るズームレンズでは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が減少するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2が光軸方向へ移動する。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける正メニスカスレンズL21を合焦レンズ群として像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦が行われる。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける負メニスカスレンズL24と正レンズL25との接合正レンズをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ぶれの補正が行われる。
以下の表4に、本実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。
(表4)第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
*1 65.6582 1.8000 1.768020 49.23
*2 11.1606 10.6000
3 -41.8065 3.2000 1.768020 49.23
*4 17.5136 3.8000
5 14.4408 2.3000 1.922860 20.88
6 23.0940 可変
7 13.2190 1.5000 1.754999 52.32
8 37.9290 可変
9(絞りS) ∞ 1.5000
10 21.6826 6.5000 1.497820 82.56
11 -9.3713 1.0000 1.883000 40.77
12 -50.0183 1.4211
13 11.9486 1.2000 1.903660 31.31
14 7.9899 2.5000 1.497820 82.56
15 -409.7597 1.2528
16 -5817.7134 1.8000 1.497820 82.56
17 -17.3100 0.4000
18 -13.7854 1.2000 1.768020 49.23
*19 -21.3255 BF
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ C4 C6 C8 C10
1 11.2695 6.52080E-06 4.51110E-09 0.00000E+00 0.00000E+00
2 -0.6591 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00 0.00000E+00
4 2.7380 1.54320E-04 3.81860E-07 0.00000E+00 0.00000E+00
19 -21.6774 -1.35420E-04 5.07390E-06 -6.22800E-08 0.00000E+00

[各種データ]
変倍比 1.828
W M T
f 6.90 9.50 12.61
FNO 3.62 4.52 5.77
2ω 98.83 79.61 63.97
Y 7.962 7.962 7.962
TL 70.23 68.58 69.98
BF 14.66 19.26 24.75

<無限遠物体合焦時の間隔データ>
W M T
f 6.90000 9.50000 12.61000
d6 11.99855 5.74872 1.65810
d8 1.59738 1.59738 1.59738
BF 14.66442 19.25604 24.74833

<近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の間隔データ>
W M T
d0 675.3095 936.2195 1247.7556
f 6.90000 9.50000 12.61000
d6 12.14042 5.84296 1.72955
d8 1.45551 1.50314 1.52593
BF 14.66442 19.25605 24.74834

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 -9.446
2 7 16.681
2a 7 15.399
2b 18 -54.536

[条件式対応値]
(1) Σ2a/Σ2b = 16.893
(2) |fa/fb| = 0.282
(3) |fw/ff| = 0.263
(4) |fγw| = 0.487
(5) ff/fs = 0.743
図14(a)、図14(b)、及び図14(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図15(a)、図15(b)、及び図15(c)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。
図16(a)、及び図16(b)はそれぞれ、本願の第4実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
(第5実施例)
図17は、本願の第5実施例に係るズームレンズの構成を示す断面図である。
本実施例に係るズームレンズは、物体側から順に、負の屈折力を有する第1レンズ群G1と、正の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とで構成されている。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と、両凹形状の負レンズL12と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13とからなる。なお、負メニスカスレンズL11は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第2レンズ群G2は、物体側から順に、正の屈折力を有する第2a部分レンズ群G2aと、負の屈折力を有する第2b部分レンズ群G2bとからなる。
第2a部分レンズ群G2aは、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と両凸形状の正レンズL22との接合正レンズと、第1フレアカット絞りFS1と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23と、開口絞りSとからなる。
第2b部分レンズ群G2bは、物体側から順に、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL24と両凹形状の負レンズL25との接合負レンズと、第2フレアカット絞りFS2とからなる。なお、正メニスカスレンズL24は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL31と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL32と両凸形状の正レンズL33との接合正レンズとからなる。なお、正レンズL31は、像側レンズ面に非球面が形成された非球面レンズである。
本実施例に係るズームレンズでは、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との空気間隔が減少し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との空気間隔が減少するように、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2と第3レンズ群G3が光軸方向へ移動する。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2a部分レンズ群G2aにおける負メニスカスレンズL21と正レンズL22との接合正レンズを合焦レンズ群として像側へ移動させることにより、無限遠物体から近距離物体への合焦が行われる。
また本実施例に係るズームレンズでは、第2b部分レンズ群G2bにおける正メニスカスレンズL24と負レンズL25との接合負レンズをシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることにより、像ぶれの補正が行われる。
以下の表5に、本実施例に係るズームレンズの諸元の値を掲げる。
(表5)第5実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 25.0000 1.8000 1.743300 49.32
*2 8.5722 5.2284
3 -31.9974 0.8000 1.496999 81.54
4 25.7099 0.1500
5 16.2678 2.1558 1.846660 23.78
6 33.0579 可変
7 27.3560 0.8000 1.795041 28.69
8 12.7778 2.6232 1.603001 65.44
9 -27.7840 可変
10(絞りFS1) ∞ 0.6778
11 10.6214 2.3407 1.603001 65.44
12 28.5797 1.8566
13(絞りS) ∞ 1.0996
*14 -27.4165 1.3691 1.821145 24.06
15 -17.0648 0.8000 1.754998 52.32
16 21.3149 0.5500
17(絞りFS2) ∞ 可変
18 18.9858 2.0521 1.677900 54.89
*19 -30.4460 0.1500
20 155.5536 0.8000 1.850260 32.35
21 12.8042 2.3802 1.603001 65.44
22 -74.1840 BF
像面 ∞

[非球面データ]
面番号 κ C4 C6 C8 C10
2 0.8028 -2.11830E-06 -2.66050E-09 1.19660E-09 -3.08550E-11
14 -7.4148 2.77450E-05 -2.03840E-06 2.71760E-07 -9.60030E-09
19 0.2983 1.58800E-04 1.88510E-06 -5.09710E-08 8.84260E-10

[各種データ]
変倍比 2.825
W M T
f 10.3 18.7 29.1
FNO 3.64 4.23 5.86
2ω 78.78 46.56 30.67
Y 7.962 7.962 7.962
TL 66.55 62.74 68.78
BF 15.48 25.28 36.78

<無限遠物体合焦時の間隔データ>
W M T
f 10.30000 18.74998 29.09995
d6 17.86509 5.84890 1.00000
d9 2.36528 2.36528 2.36528
d17 3.20972 1.61399 1.00000
BF 15.48011 25.28115 36.78476

<近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の間隔データ>
W M T
d0 1006.0724 1855.1767 2891.6589
f 10.30000 18.74998 29.09995
d6 18.13661 5.97474 1.08438
d9 2.09376 2.23944 2.28090
d17 3.20972 1.61399 1.00000
BF 15.48033 25.28137 36.78498

[レンズ群データ]
群 始面 f
1 1 -15.354
2 7 16.815
2a 7 14.188
2b 14 -15.968
3 18 19.476

[条件式対応値]
(1) Σ2a/Σ2b = 4.060
(2) |fa/fb| = 0.889
(3) |fw/ff| = 0.381
(4) |fγw| = 0.381
(5) ff/fs = -1.782
図18(a)、図18(b)、及び図18(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における無限遠物体合焦時の諸収差図である。
図19(a)、図19(b)、及び図19(c)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における近距離物体合焦時(撮影倍率-0.01倍時)の諸収差図である。
図20(a)、及び図20(b)はそれぞれ、本願の第5実施例に係るズームレンズの広角端状態、及び望遠端状態におけるレンズシフト(±0.1mm)時の横収差図である。
各諸収差図より、本実施例に係るズームレンズは、広角端状態から望遠端状態にわたって諸収差を良好に補正し優れた結像性能を有しており、さらにレンズシフト時にも優れた結像性能を有していることがわかる。
上記各実施例によれば、小型で優れた光学性能を有しており、3倍程度の変倍比を備え、像ぶれを補正可能なズームレンズを実現することができる。
また、上記各実施例に係るズームレンズは、第2レンズ群中の一部のレンズ成分を合焦レンズ群として移動させる構成である。このため、合焦レンズ群のレンズ重量が小さく、これを駆動するモータ機構等を小型にすることができ、レンズ鏡筒の小型化を図ることができる。
なお、上記各実施例に係るズームレンズは、最も像側に配置されるレンズ成分の像側レンズ面から像面までの光軸上の距離(バックフォーカス)を最も小さい状態で10.0〜30.0mm程度とすることが好ましい。また、上記各実施例に係るズームレンズは、像高を5.0〜12.5mmとすることが好ましく、5.0〜9.5mmとすることがより好ましい。
ここで、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の内容は、本願のズームレンズの光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
本願のズームレンズの数値実施例として2群又は3群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、4群等)のズームレンズを構成することもできる。具体的には、本願のズームレンズの最も物体側や最も像面側にレンズ又はレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
また、本願のズームレンズは、遠距離物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、或いは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。特に、第2レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。また、斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
また、本願のズームレンズにおいて、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、シフトレンズ群として光軸に垂直な成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることで、手ぶれによって生じる像ぶれを補正する構成とすることもできる。特に、本願のズームレンズでは第2レンズ群の少なくとも一部をシフトレンズ群とすることが好ましい。
また、本願のズームレンズを構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
また、本願のズームレンズにおいて開口絞りは第2レンズ群の中又は近傍に配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
また、本願のズームレンズを構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
また、本願のズームレンズは、変倍比が2〜7倍程度である。
また、本願のズームレンズにおいて第1レンズ群は、正レンズ成分を2つ有し、負レンズ成分を2つ有することが好ましい。第2レンズ群は、正レンズ成分を2つ有し、負レンズ成分を1つ有することが好ましい。或いは、第2レンズ群は、正レンズ成分を3つ有し、負レンズ成分を1つ有することが好ましい。或いは、第2レンズ群は、正レンズ成分を4つ有し、負レンズ成分を1つ有することが好ましい。第3レンズ群は、正レンズ成分を2つ有することが好ましい。
次に、本願のズームレンズを備えたカメラを図21に基づいて説明する。
図21は、本願のズームレンズを備えたカメラの構成を示す図である。
本カメラ1は、撮影レンズ2として上記第1実施例に係るズームレンズを備えたデジタル一眼レフカメラである。
本カメラ1において、不図示の物体(被写体)からの光は、撮影レンズ2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して焦点板4に結像される。そして焦点板4に結像されたこの光は、ペンタプリズム5中で複数回反射されて接眼レンズ6へ導かれる。これにより撮影者は、被写体像を接眼レンズ6を介して正立像として観察することができる。
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、不図示の被写体からの光は撮像素子7へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子7によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
ここで、本カメラ1に撮影レンズ2として搭載した上記第1実施例に係るズームレンズは、その特徴的なレンズ構成により、小型で優れた光学性能を有している。これにより本カメラ1は、小型化を図りながら優れた光学性能を実現することができる。なお、上記第2〜第5実施例に係るズームレンズを撮影レンズ2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、クイックリターンミラー3を有しない構成のカメラに上記各実施例に係るズームレンズを搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
最後に、本願のズームレンズの製造方法の概略を図22に基づいて説明する。
本願のズームレンズの製造方法は、最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とを有するズームレンズの製造方法であって、以下のステップS1〜S3を含むものである。
ステップS1:第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、第2b部分レンズ群は、第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有するようにする。
ステップS2:第2a部分レンズ群と第2b部分レンズ群が以下の条件式(1)を満足するようにし、第1レンズ群及び第2レンズ群を鏡筒内に物体側から順に配置する。
(1) 0.20<Σ2a/Σ2b<18.00
ただし、
Σ2a:第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
Σ2b:第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
ステップS3:公知の移動機構を設ける等することで、広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔を変化させるようにする。
斯かる本願のズームレンズの製造方法によれば、小型で優れた光学性能を有するズームレンズを製造することができる。
G1 第1レンズ群
G2 第2レンズ群
G2a 第2a部分レンズ群
G2b 第2b部分レンズ群
G3 第3レンズ群
S 開口絞り
I 像面
W 広角端状態
M 中間焦点距離状態
T 望遠端状態

Claims (13)

  1. 最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とにより実質的に2個のレンズ群又は、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり
    広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を変化させ、
    前記第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、
    前記第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、
    前記第2b部分レンズ群は、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有し、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    2.52<Σ2a/Σ2b<18.00
    0.282≦|fa/fb|<2.00
    ただし、
    Σ2a:前記第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
    Σ2b:前記第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
    fa:前記第2a部分レンズ群の焦点距離
    fb:前記第2b部分レンズ群の焦点距離
  2. 最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とにより実質的に2個のレンズ群又は、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなり
    広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を変化させ、
    前記第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、
    前記第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、
    前記第2b部分レンズ群は、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有し、
    以下の条件式を満足することを特徴とするズームレンズ。
    3.087≦Σ2a/Σ2b<18.00
    ただし、
    Σ2a:前記第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
    Σ2b:前記第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
  3. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項に記載のズームレンズ。
    0.10<|fa/fb|<2.00
    ただし、
    fa:前記第2a部分レンズ群の焦点距離
    fb:前記第2b部分レンズ群の焦点距離
  4. 前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分のうちの少なくとも一部を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させて無限遠物体から近距離物体への合焦を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のズームレンズ。
  5. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項に記載のズームレンズ。
    0.15<|fw/ff|<0.45
    ただし、
    fw:広角端状態における前記ズームレンズの焦点距離
    ff:前記合焦レンズ群の焦点距離
  6. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項又は請求項に記載のズームレンズ。
    0.15<|fγw|<0.60
    ただし、
    fγw:広角端状態における前記合焦レンズ群の像面移動係数
  7. 前記第2レンズ群の少なくとも一部をシフトレンズ群として光軸と直交する方向の成分を含むように移動させることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のズームレンズ。
  8. 以下の条件式を満足することを特徴とする請求項に記載のズームレンズ。
    −3.70<ff/fs<3.10
    ただし、
    ff:前記合焦レンズ群の焦点距離
    fs:前記シフトレンズ群の焦点距離
  9. 前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分が正の屈折力を有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のズームレンズ。
  10. 前記第1レンズ群が負の屈折力を有することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のズームレンズ。
  11. 前記第2レンズ群が正の屈折力を有することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のズームレンズ。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか一項に記載のズームレンズを備えたことを特徴とする光学装置。
  13. 最も物体側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とにより実質的に2個のレンズ群又は、第1レンズ群と、第2レンズ群と、第3レンズ群とにより実質的に3個のレンズ群からなるズームレンズの製造方法であって、
    前記第2レンズ群は、物体側から順に、第2a部分レンズ群と、第2b部分レンズ群とからなり、前記第2a部分レンズ群は、屈折力の符号が同じ複数のレンズ成分からなり、前記第2b部分レンズ群は、前記第2a部分レンズ群における前記複数のレンズ成分の屈折力の符号と異なる符号の屈折力を有するレンズ成分を最も物体側に有するようにし、
    前記第2a部分レンズ群と前記第2b部分レンズ群が以下の条件式を満足するようにし、
    広角端状態から望遠端状態まで変倍する際に、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群との間隔を変化させるようにすることを特徴とするズームレンズの製造方法。
    2.52<Σ2a/Σ2b<18.00
    0.282≦|fa/fb|<2.00
    ただし、
    Σ2a:前記第2a部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
    Σ2b:前記第2b部分レンズ群において最も物体側に位置するレンズ成分の物体側レンズ面から最も像側に位置するレンズ成分の像側レンズ面までの光軸上の距離
    fa:前記第2a部分レンズ群の焦点距離
    fb:前記第2b部分レンズ群の焦点距離
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