JP4336586B2 - 非複屈折性光学樹脂材料からなる射出成形物並びに非複屈折性光学樹脂材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、レンズその他種々の光学要素の材料として用いられる非複屈折性光学樹脂材料からなる射出成形物並びに同非複屈折性光学樹脂材料の製造方法に関し、特に、偏光特性が問題となるケースで使用される光学要素の材料に適した高分子樹脂材料からなる射出成形物並びに該材料を製造する方法に関する。なお、本明細書において、「非複屈折性光学樹脂材料」とは、「外部からの作用(例えば、射出成形時、押し出し成形時等に作用する応力)によって高分子結合鎖に配向が生じた時の複屈折性の発現が全体として非常に小さく抑えられた光学樹脂材料」を意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】
近年、眼鏡レンズ、透明板などの一般光学部品やオプトエレクトロニクス用の光学部品、特に音響、映像、文字情報等を記録する光ディスク装置のようなレーザ関連機器に用いる光学部品の材料として、高分子樹脂が用いられる傾向が強まっている。これは、高分子樹脂からなる光学材料(以下、「高分子光学材料」とも言う。)が、一般に他の光学材料(光学ガラス等)に比べて、軽量、安価で加工性、量産性に優れているからである。特に、高分子樹脂材料には、射出成形や押し出し成形のような成形技術が容易に適用出来るという大きな利点がある。
【0003】
しかし、これまで使用されてきた通常の高分子光学材料には、これら成形技術を適用して得られた製品が少なからず複屈折性を示すという性質があった。この事実自体は、その原因を含めて広く知られているところである。
【0004】
図1はこれを簡単に説明する為の図である。同図に示したように、成形工程を経た高分子光学材料は、一般に、ポリマーの結合鎖を形成する多数の単位(モノマー)1が体積的に配向方向をもって結合した状態にある。そして、通常光学材料として使用される高分子材料の殆どすべてについて、各単位(符号1で示した)は、屈折率に関して光学的異方性を有している。即ち、配向方向に平行な方向の偏波成分に関する屈折率nprと配向方向に垂直な方向の偏波成分に関する屈折率nvtが異なっている。
【0005】
このような光学的異方性は、良く知られているように、屈折率楕円体で表現することが出来る。図1において、各結合単位1に付記されている楕円マーク2はその表式に従ったものである。例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)の場合、各単位1(メチルメタクリレート)の屈折率は、配向方向について相対的に小さく、配向方向と垂直な方向について相対的に大きい。従って、マクロスケールでみた時の屈折率楕円体3は、図示されているように縦長となる。
【0006】
即ち、ポリメチルメタクリレートの場合、npr<nvtである。両者の差Δn=npr−nvtは、「配向複屈折値」と呼ばれる。実際のポリマー材料における配向複屈折値Δnは、そのポリマー材料の結合鎖(主鎖)の配向の度合に応じて変化する。結合鎖(主鎖)が延びきって理想状態まで配向した時のΔnの値は、「固有複屈折値」と呼ばれる。代表的な光学樹脂の固有複屈折値を表1に示した。
【0007】
このように、固有複屈折率値はあくまで理想配向条件下でのΔnの値なので、実際のポリマー材料のΔnの値をΔn(real)で表わせば、0<|Δn(real)|<固有複屈折値の関係が成立する。
【0008】
例えば、図1に示したポリメチルメタクリレートでは固有複屈折率値=−0.0043なので、実際のポリマーにおける配向複屈折率値Δn(real)は、−0.0043<Δn(real)<0となる。ここで、Δn(real)=−0.0043(理想的な配向状態での値)も、Δn(real)=0(完全な無配向状態での値)も実現は困難である。同様に、ポリスチレンでは、−0.100<Δn(real)<0である。また、ポリエチレンではΔnが正の値を示し、0<Δn(real)<+0.044である。
【0009】
以後、高分子の配向に依存した複屈折を配向複屈折と言い、屈折率楕円体の長軸方向を配向複屈折方向と呼ぶことする。また、「配向複屈折率値Δn(real)の符号」あるいはそれと同じ「固有配向複屈折率値の符号」が正(Δn>0)であることを「複屈折性の符号が正」、同様に負(Δn<0)であることを「複屈折性の符号が負」などと表現することとする。
【0010】
【表1】
【0011】
このような複屈折性の表現方式は、棒状、楕円状等の形状を持つ無機微粒子(結晶粒)にも適用出来る。その場合、微粒子の長軸方向に平行な方向の偏波成分に関する屈折率をnpr、同長軸方向に垂直な方向の偏波成分に関する屈折率をnvtとする。そして、Δn=npr−nvtの値が正であれば「複屈折性の符号が正」、負であれば「複屈折性の符号が負」などと表現する。
【0012】
但し、長軸方向に垂直な方向の偏波成分について、屈折率が均等で無いことが一般的なので、結晶構造に対応した3軸(a軸、b軸、c軸;長軸をc軸とする)をとり、a軸方向の偏波成分に関する屈折率をna,b軸方向の偏波成分に関する屈折率をnb,c軸方向の偏波成分に関する屈折率をncとする。そして、npr=nc、nvt=(na+nb)/2とする。なお、具体例については後述する。
【0013】
上記説明したような配向複屈折は、偏光特性が重要でないようなアプリケーションに使用される光学部品においては特に問題とされてないことも多い。ところが、例えば近年開発された書込/消去型の光磁気ディスクでは、読み取りビームあるいは書き込みビームに偏光ビームが用いられているので、光路中に複屈折性の光学要素(ディスク自体、レンズ等)が存在すると、読み取りあるいは書き込みの精度に悪影響を及ぼすことになる。
【0014】
また、そのような例に限らず一般的に言っても、意図せざる複屈折性が存在することは多くの光学要素にとって好ましいことではない。
このような状況を背景に、これまでにも高分子光学材料の持つ複屈折性を低減・除去する為のいくつかの試みがなされている。それらの主なものを列挙すれば、次のようになる。
【0015】
(1)米国特許第4,373,065号明細書に記載された方法;これは、配向複屈折の符号が互いに逆で、且つ、完全に相溶する2種類の高分子樹脂をブレンドすることにより、非複屈折性の光学樹脂材料を得ようとするものである。
【0016】
(2)特開昭61−19656号公報に記載された方法;芳香族ポリカーボネートと特定のスチレン系共重合体とを特定の範囲の割合で混合することによって得られる芳香族ポリカーボネート系樹脂組成物を利用する方法が示されている。
【0017】
(3)特開昭62−240901号公報に記載された方法;これは、芳香族ビニル単量体単位を主体とする重合体とポリフェニレンエーテルとの混合物、両者の重合体部分からなるブロック共重合体、またはこれらの混合物から非複屈折性光学樹脂材料を得る方法である。
【0018】
(4)特開昭61−108617号公報に記載された方法;主極率差が絶対値で50×10-25d以上の正及び負の構成単位を形成する2種類以上の単量体をランダム共重合、グラフト共重合あるいはブロック共重合させる方法が開示されている。
【0019】
(5)雑誌「光学」、第20巻第20号、第80(第30)〜81(第31)頁[1991年2月発行]に記載された方法;これは本発明者に係る提案であり、メチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロエチルメタクリレート(3FMA)のモノマー混合物あるいはメチルメタクリレート(MMA)とベンジルメタクリレート(BzMA)のモノマー混合物を共重合させて非複屈折性光学樹脂材料を得るものである。この方法は要するに、配向複屈折の符号が逆の高分子を与える基礎となるモノマーを混合して共重合させる方法である。
【0020】
(6)国際特許公開公報WO01/25364号に記載された方法;これも本発明者に係る提案であり、透明な高分子樹脂中に多数の無機微粒子を分散させた状態で延伸などによって作用する成形力を外部から作用させ、高分子樹脂の結合鎖と多数の無機微粒子とをほぼ平行に配向させ、高分子樹脂と無機微粒子の持つ配向複屈折性を互いに打ち消し合うようにするものである。
【0021】
ここで、高分子樹脂と無機微粒子の組合せは、高分子樹脂の結合鎖と無機微粒子(その長軸)が平行に配向した時、両者の持つ配向複屈折性が互いに打ち消し合う関係となるものを選択する。
【0022】
しかし、上記(1)の2種類の高分子樹脂をブレンドする方法では、両者を高い均一度で混合させる為に、ブレンド対象の高分子樹脂を溶融状態あるいは溶液状態にしなければならない。そして、このような手段を用いても、実際にいたるところムラ無く低複屈折性を示す高分子樹脂を得ることは極めて困難である。
【0023】
また、この方法で得られた高分子樹脂ブレンド組成物は、それらブレンドされた高分子樹脂が固有に持っている屈折率の違いから、屈折率の不均一性による光散乱が生起することが避けられず、透明度に優れた光学材料を得ることが出来ない。
【0024】
次に、上記(2)以下の方法の中で、ランダム共重合によって低配向複屈折高分子樹脂を作製するものでは、一応原理的には透明度の高い光学材料が得られるものと期待される。しかしこの方法には、先ず、2種類あるいはそれ以上の高分子樹脂を与える基礎となるモノマーを混合してランダム共重合させるものであるから、それらモノマーに関するモノマー反応性比を1に近づける必要があり、このような条件を満たす材料の組合せが極めて少ないという問題点がある。
【0025】
上記(5)の提案には、その組合せが含まれているが、その中でメチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロメタクリレート(3FMA)のモノマー混合物を用いる方法では、後者の材料(3FMA)が極めて高価な材料であるという欠点がある。
【0026】
また、メチルメタクリレート(MMA)とトリフルオロメタクリレート(3FMA)のモノマー混合物を共重合させる方法、メチルメタクリレート(MMA)とベンジルメタクリレート(BzMA)のモノマー混合物を共重合させる方法のいずれにおいても、メチルメタクリレートに対するトリフルオロメタクリレート(3FMA)あるいはベンジルメタクリレート(BzMA)の混合比を相当大きくしなければ、配向複屈折性の発現を抑えることが出来ない。
【0027】
配向複屈折を相殺するに必要な混合比は、前者の場合はMMA/3FMA=50/50(wt%/wt%)であり、後者の場合はMMA/BzMA=80/20(wt%/wt%)である。その為、作製された材料にPMMAと同等の特性を与えることは出来ず、PMMAに比して機械的特性や透明度の点で劣る材料しか得られない。
【0028】
更に、上記(4)の方法の中で、グラフト共重合を利用したものは、採用するモノマーの組合せについて、合成される樹脂の配向複屈折の強さを予め定量的に予測・制御することが難しく、実際に合成反応を行なわせてみないと、配向複屈折が十分に相殺された製品が得られるかどうか判らない。従って、工業的に安定した品質の製品を製造することが困難である。
【0029】
最後に上記(6)の方法は、上記(1)〜(5)の問題点の多くをクリヤしている優れた方法であるが、樹脂材料と無機微粒子材料として、複屈折性の符号が逆符号の組合せしか採用出来ない。また、本発明者のその後の研究によれば、後述するように、実際の射出成形プロセスのような流動条件下では、樹脂材料と無機微粒子材料とは同方向に配向しないケースも現出することが判明している。しかし、そのようなケースに射出成形プロセスを利用して製造し得る非複屈折性材料については未開発であった。
【発明の開示】
【0030】
そこで、本願発明の1つの目的は、複屈折性の符号が同符号の関係にある樹脂材料と無機微粒子材料を組合せた非複屈折性光学樹脂材料からなる射出成形物を提供することにある。またもう1つの目的は、そのような非複屈折性光学樹脂材料を製造する方法を提供することにある。
【0031】
本願発明は、上記技術課題を実現する射出成形物として、「透明な高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散した多数の無機微粒子とを含む非複屈折性光学樹脂材料からなる射出成形物であって、前記無機微粒子は、その長軸方向が前記高分子樹脂の結合鎖の配向方向と平行であれば互いに強め合い、直交していれば互いに打ち消し合う関係にあるような配向複屈折性を有しており、前記射出成形物中において、前記高分子樹脂の結合鎖と前記多数の無機微粒子とは、互いにほぼ直交する方向に配向しており、それにより、前記非複屈折性光学樹脂材料に前記非複屈折性が与えられていることを特徴とする、前記射出成形物」を提案したものである。
【0032】
また、本願発明は、上記技術課題を実現する非複屈折性光学樹脂材料の製造方法を提案するものである。
【0033】
即ち、本願発明によれば、非複屈折性光学樹脂材料の製造方法として、「流動後に固化した透明な高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散した多数の無機微粒子とを含む非複屈折性光学樹脂材料の製造方法であって:前記無機微粒子はその長軸方向が、前記高分子樹脂の結合鎖の配向方向と平行であれば互いに強め合い、直交していれば互いに打ち消し合う関係にあるような配向複屈折性を有しており;流動状態にある透明な高分子樹脂中に多数の無機微粒子を分散させて共存させ、前記高分子樹脂の結合鎖を前記流動の方向に対応した方向に配向させるとともに、前記多数の無機微粒子を前記流動の方向にほぼ直交する方向に配向させる段階と;固化によって前記高分子樹脂の結合鎖の配向と、前記無機微粒子の配向との関係を固定する段階とを含む、前記複屈折性光学樹脂材料を製造する方法」が提供される。
【0034】
ここで、前記流動状態は、前記溶融状態にある前記高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散して共存する多数の無機微粒子とを含む材料を、相対的に小さな断面積を有する開口から相対的に大きな断面積を有する流動空間内へ送り込むことによって、前記流動空間内で生起されるものであって良い。
【0035】
本発明者は前述の(6)の技術で、高分子樹脂材料中に配向複屈折性に関して反対符号の作用を発揮する無機微粒子を添加した組成によって両者の間に配向複屈折性の相殺関係をもたらし、非複屈折性光学樹脂材料を得ることを見い出したのであるが、本願発明では、一見これと矛盾する考え方に準拠している。
【0036】
即ち、本願発明は、互いに同符号の複屈折性を有する透明樹脂材料と無機微粒子の組合せでも、非複屈折性光学樹脂材料を得るという新規な知見に基づいている。例えば、配向複屈折性の符号が負である高分子光学樹脂材料(例:ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン)に対して組み合わせる無機微粒子には、微粒子の長手方向の屈折率がそれと垂直方向の屈折率より小さなものが選ばれる。逆に、配向複屈折性の符号が正である高分子光学樹脂材料(例:ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート)に対しては、微粒子の長手方向の屈折率がそれと垂直方向の屈折率より小さな無機微粒子が選ばれる。
【0037】
このような組合せで、両者の配向複屈折性を互いに相殺して非複屈折性を与えるためには、樹脂材料の結合鎖の配向方向と、長軸の配向方向で代表される無機微粒子の配向方向とを互いにほぼ直交する状態で固定すれば良い。そのような配向関係は、無機微粒子を分散させた溶融状態の樹脂材料を、相対的に小さな断面積を有する開口から相対的に大きな断面積を有する流動空間内へ送り込み、流動させた後に固化させることで実現可能である。
【0038】
図2は、その原理を説明する図である。同図において、符号4は射出成形に用いる金型で、その1辺にゲート5が設けられている。言うまでもなく、ゲート5は金型に比べてはるかに小断面積である。良く知られているように、このような金型を使って射出成形を行なう場合、ゲート5から溶融状態の樹脂材料が注入され、冷却固化後にいわゆる型開きを行なって成形物を取り出す。
ここで、金型4内での樹脂材料の流れを考察してみると、概略放射状に拡がりながらゲート5から遠ざかる流れとなる。流れの等相面(流動端)は、符号6〜9のようになる。
【0039】
従って、ゲート5から出て流動する溶融樹脂材料の速度ベクトル(3次元)は、直進成分Sの他にそれと直交する成分P、Rも持つことになる。ここで、樹脂材料の結合鎖は、ほぼ速度ベクトルの方向に配向することが判っている。今、等相面7上の互いにある程度の距離離れた2点A、Bを考えて見ると、点A近傍の樹脂材料の結合鎖は、ほぼゲート5の出口と点Aを結んだ方向に配向し、点B近傍の樹脂材料の結合鎖は、ほぼゲート5の出口と点Bを結んだ方向に配向する。
【0040】
このことは、溶融樹脂材料中に棒状、楕円状等の長軸を持つ形状の無機微粒子を分散させた場合でも、極端に無機微粒子の濃度を上げない限り、同様に起る。一方、長軸を持つ形状の無機微粒子については、そのサイズが光の波長程度(数百nm)〜数十ミクロン程度である場合、各無機微粒子を取り巻く樹脂材料の流れに依存した配向が起こる。ここで、樹脂材料の流れをミクロに見た場合、結合鎖はある程度協調して動くユニット(塊)を形成していると考えられる。
しかし、そのユニットのサイズは高々数十オングストローム程度と推測される。
【0041】
従って、それより遥かに大きな数百nm〜数十ミクロン程度のスケール、あるいはそれ以上のスケールで見た場合、金型内では至るところ異なる速度ベクトル(3次元)で材料が流動していることになる。微粒子の周辺では流動速度に勾配が存在することになり、特に長軸方向の両端には長軸方向の向きに応じて外力が作用し、結果的にモーメントが発生する。
【0042】
このモーメントは、概略、微粒子の長軸方向の両端に作用する外力の長軸方向に垂直な成分が等しくなるように微粒子を配向させるように機能する(そのように配向すればモーメントは消える)と考えられる。このことから、微粒子はその長軸方向が流れの等相面6〜9にほぼ平行に配向しようとすると考えられる。
【0043】
ところで、樹脂材料の結合鎖の配向方向は等相面6〜9にほぼ垂直であるから、結局、樹脂材料の結合鎖の配向方向と微粒子の長軸方向の配向方向がほぼ直交する傾向が生じることになり、両者の配向複屈折性が同符号であれば、材料全体としては互いに配向複屈折性が打ち消され、非複屈折性を持った材料が得られる。
【0044】
なお、本明細書では、結合鎖あるいは多数の無機微粒子について、ある方向に「配向した」と言うことは、全結合鎖あるいは多数の無機微粒子のすべてがその方向に正確に向いたという意味ではなく、統計的な見地から、ほぼその方向に向いた結合鎖あるいは無機微粒子が多数を占めるという意味である。
【0045】
【発明の効果】
本願発明によれば、複屈折性の符号が同符号の関係にある樹脂材料と無機微粒子材料を組合せた非複屈折性光学樹脂材料からなる射出成形物と同非複屈折性光学樹脂材料の簡便な製造方法を提供することが出来る。また、同材料をその非複屈折性、樹脂材料特有の成形のし易さ、量産に適していることなどを生かして、任意の用途の光学部材の材料に採用し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
上述したように、本願発明では「複屈折性を有する無機微粒子」が利用され、透明な樹脂マトリックスの持つ複屈折性を相殺乃至減殺する役割を果たす。そこで、無機微粒子の複屈折性について、例を挙げて説明しておく。
【0047】
周知のように、一般の無機結晶はそれを構成する単位格子の対称性に応じて正方晶系、斜方晶系などの結晶系に分類することが出来る。広く知られている物質については、結晶系毎に慣用名が与えられているものもある。
【0048】
ある程度の単位数の無機結晶が集合することで無機微粒子が構成される。ここで注意すべきことは、実際に結晶が集合して微粒子を構成した時にどのような外形形態をとるかは、結晶系から一意的に決まる訳ではないということである。即ち、結晶を構成する単位が積み重なり成長する過程の環境条件に依存して、種々の外形形態が出現する。但し、多くの物質には、通常の結晶成長条件下でとり易い形態があり、「結晶癖」と呼ばれている。
【0049】
例えば炭酸カルシウムについて言えば、取り得る結晶系はカルサイト、パテライト、アラゴナイトの3つである。これらの内、常温、常圧下で通常得られるのはカルサイトであるが、ある種の不純物(あるいは触媒)の存在下で結晶を成長させた場合、アラゴナイトが優先的に得られることが知られている。
【0050】
アラゴナイトは、棒状の形態をとる結晶癖を有しており、図3の顕微鏡写真に示したような棒状の微粒子群が得られる。この形態は、「針状」、あるいは「ウィスカー状」とも呼ばれることもある。特許第2684112号公報等に記載されている通り、棒状アラゴナイト系炭酸カルシウム微粒子は、工業的に大量生産可能である。このような棒状微粒子を形成する結晶癖を有する物質は、炭酸カルシウムの他にも存在する。
【0051】
図4は、図3中に示した棒状微粒子の1つを模式化して描いた図である。粒子のサイズは、例えば長さ10μm〜30μm、太さ0.1μm〜2μm程度である。棒の長軸方向はほぼ結晶系のc軸と一致している。a軸及びb軸はいずれもc軸に直交する短軸方向となる。
【0052】
アラゴナイトは複屈折性の結晶であり、その複屈折性は図5(a)、(b)、(c)に示したような屈折率楕円体で表わすことが出来る。周知のように、複屈折性を有するということは屈折率に異方性があることを意味し、屈折率楕円体はその異方性を3次元的に表現している。図5(a)、(b)、(c)の各図において、符号na 、nb 、nc を付した矢印(座標軸)はそれぞれ結晶のa軸、b軸、c軸方向に対応している。
【0053】
屈折率楕円体(3次元)が各軸と交わる点(計3個)と原点との間の距離が屈折率の各軸成分を表わしている。便宜上、na 、nb 、nc はそれらの値を表わす記号としても兼用される。アラゴナイトの場合、na =1.681、nb =1.685、nc =1.530 である。従って、複屈折性を表わす前述の指標Δnは、Δn=npr−nvt=nc −(na +nb )/2=1.530−(1.681+1.685)/2=1.530−1.683=−0.147となる。
【0054】
なお、図5(a)、(b)、(c)では、光の伝搬方向別に有効に作用する屈折率を楕円(楕円体の断面)で示されている。光が図中で左方から右方へ、即ち、nc軸(c軸方向に対応)に沿って+方向へ伝搬するケースを表わした図5(a)では、楕円体の中心(na軸、nb軸、nc軸が交わる原点)を通り、伝搬方向に垂直な面で楕円体を切った時の断面(陰を付けて描示;以下、楕円ab)が、その光にとって有効な屈折率を表わしている。
【0055】
言うまでもなく光は横波であり、伝搬方向に垂直な方向に電界の振動成分を持つ。従って、図5(a)の条件(+nc軸方向への伝搬)下では、電界の振動成分は楕円abが表わす面と平行である。直線偏光を考えれば、(11)na方向に電界が振動する偏光、(12)nb 方向に電界が振動する偏光、(13)na方向とnb方向の間の方向に電界が振動する偏光があるが、(13)については(11)と(12)の重ね合わせと考えることが出来る。いわゆる自然光では、(11)、(12)、(13)が混在している。
【0056】
同様に、光がna軸(a軸方向に対応)に沿って+方向へ伝搬するケースを表わした図3(b)では、楕円体の中心(原点)を通り、na軸に垂直な面で楕円体を切った時の断面(以下、楕円bc)が、その光にとって有効な屈折率を表わしている。
【0057】
図5(b)の条件(+na軸方向への伝搬)下では、電界の振動成分は楕円bcが表わす面と平行である。直線偏光を考えれば、(21)nb方向に電界が振動する偏光、(22)nc方向に電界が振動する偏光、(23)nb方向とnc方向の間の方向に電界が振動する偏光があるが、(23)については(21)と(22)の重ね合わせと考えることが出来る。いわゆる自然光では、(21)、(22)、(23)が混在している。
【0058】
更に、光がnb軸(b軸方向に対応)に沿って+方向へ伝搬するケースを表わした図5(c)では、楕円体の中心(原点)を通り、nb軸に垂直な面で楕円体を切った時の断面(以下、楕円ca)が、その光にとって有効な屈折率を表わしている。
【0059】
図5(c)の条件(+nb軸方向への伝搬)下では、電界の振動成分は楕円caが表わす面と平行である。直線偏光を考えれば、(31)nc方向に電界が振動する偏光、(32)na方向に電界が振動する偏光、(33)nc方向とna方向の間の方向に電界が振動する偏光があるが、(33)については(31)と(32)の重ね合わせと考えることが出来る。いわゆる自然光では、(31)、(32)、(33)が混在している。
【0060】
アラゴナイトの複屈折性の概略は以上の通りであるが、そのΔnの値は、−0.147(負の値)となる。このように長軸を持つ微粒子で複屈折性を示すものは、アラゴナイト以外にも種々存在し、Δn>0のものも存在する。本発明に従って、これらの微粒子を樹脂マトリックスの複屈折率を相殺するために使用する場合、樹脂のΔnと無機微粒子のΔnが同符号となる組合せを選択する。
【0061】
前述したように、このような組合せで樹脂と無機微粒子の配向複屈折性を互いに相殺して非複屈折性を与えるために、樹脂材料の結合鎖の配向方向と、長軸の配向方向で代表される無機微粒子の配向方向とを互いにほぼ直交する状態で固定する。そのために、無機微粒子を分散させた溶融状態の樹脂材料を、相対的に小さな断面積を有する開口から相対的に大きな断面積を有する流動空間内へ送り込み、流動させた後に固化させる。この手法により、非複屈折性を持った材料が得られることは既に説明した通りである。
以下、具体例を実施例1〜実施例4として説明する。
【実施例1】
【0062】
塩基性硫酸マグネシウムMgSO4・5Mg(OH)2・3H2Oの針状結晶(宇部マテリアルズ株式会社製)、モスハイジ(登録商標)、長さ7〜10μmを、二軸エクストルーダーを用いて、透明樹脂アートン(登録商標;JSR株式会社製)中に混練し、ペレットとした。
【0063】
この時の塩基性マグネシウム針状結晶の添加濃度は、重量比でアートン100に対し0.5の割合とした。このペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、HM-7型)を用いて、図6に示すような平板状(35mm×35mm×2mm)に射出成形した。即ち、ゲートから図6に示した形状に対応する金型内に、上記無機微粒子が分散した溶融状態の上記樹脂を射出(注入)し、冷却固化を待って型開きして、板状試料を取り出した。
【0064】
射出成形条件は、ノズル温度280℃、シリンダ温度280℃、金型温度90℃とした。得られた平板状試料のリタデーション(複屈折値Δn×光路長)の大きさと方向の面内分布(大きさと方向)を、複屈折測定装置(有限会社ユニオプト社製、自動複屈折測定装置ABR-10A-EX)を用いて測定した。
【0065】
その結果を図7(b)と図8(b)に示した。また、図7(a)と図8(a)には、比較試料について同じ測定を行った結果を示した。
比較試料には、塩基性マグネシウム針状結晶を無添加のアートン(登録商標)を同じ条件下で射出成形し、図6に示したものと同形同寸の樹脂板としたものを用いた。
【0066】
測定は、平板状試料及び比較試料を厚み方向に透過するレーザー光を用いて行った。したがって、図7(a)、(b)のリタデーションマップは、35mmの辺で囲まれる平面をほぼ垂直に透過する光が受けるリタデーションの値を、1mm角のセグメントで表わしたものである。
【0067】
測定範囲は、周辺部による光の屈折・回折等が及ぼす誤差を避けるために、図9に示したように、網目模様で表わした、周辺から約5mmの縁部を除いた領域とした。
【0068】
各セグメント内のリタデーションは、各セグメントに垂直に入射する偏光に対し最も屈折率が小さくなる方向を「進相軸」、それに直交する最も屈折率が大きくなる方向を「遅相軸」と定義し、それぞれの方向の偏光間の位相差によりリタデーションを求めた。図8(a)、(b)の進相軸マップの各セグメント内の直線は、進相軸の方向を表わし、それに直交する方向が遅相軸となる。
【0069】
リタデーションの大きさは、各リタデーションマップで段階的に濃淡で表されている。
図7(a)、(b)のリタデーションマップの右端中央付近が、用いた金型のゲートに対応した位置に最も近い部分に相当する。つまり、リタデーションマップの右側から溶融したポリマーが金型へ流れ込み、左側へ進んで行ったことになる。なお、ゲートの断面積は、樹脂の流れに沿った金型の断面積(板状試料の断面積とほぼ同一)に比べてはるかに小さいことは言うまでもない。
【0070】
図8(a)の進相軸マップを参照すると、ゲート対応位置近傍では、ゲート対応位置から同心円を考えた時に、その円周に沿うような方向に進相軸(屈折率が小さい方向)が向いている。遅相軸(屈折率が大きい方向)は進相軸と直交するので、ゲート位置から放射状に指向している。アートンの配向複屈折は正である(即ち、ポリマー主鎖の配向方向の屈折率がそれと直交する方向よりも大きい)ことから、アートンポリマーの主鎖はゲート対応位置から放射方向へ配向していることになる。
【0071】
同様にして、試料各部分でのアートンの配向方向を知ることができる。ただし、これは各セグメントの厚さ方向全域での平均値であり、表面近傍の薄い層内では、それよりも内部とは配向方向が異なる部位もある。しかし、表面層以外のほとんどの部分では統計的にこの方向に配向していると考えて良い。
【0072】
さて、図7(a)と図7(b)を比較すると、塩基性硫酸マグネシウム針状結晶を添加したアートンの方が試料全体のリタデーションが小さくなっていることがわかる。図8(a)と図8(b)を比較すると、ゲート対応位置から最も遠い位置では進相軸の向きが90度異なっていることがわかる。光学顕微鏡により、射出成形品内部の針状結晶の配向状況を観察したところ、ゲート対応位置付近では前述の同心円の円周方向に沿うように、ゲートから最も遠い位置では図8(b)中の進相軸に直交するような方向に(遅相軸に沿うような方向に)、それぞれ配向していることが確認できた。
【0073】
このことは、ポリマー主鎖(結合鎖)とほぼ直交する方向に、長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率より大きい塩基性硫酸マグネシウム針状結晶が配向することにより、アートンポリマーの正の配向複屈折を相殺できたことが確認されたことを意味している。
【実施例2】
【0074】
ゾノライト6CaO・6SiO2・H2Oの針状結晶(宇部マテリアルズ株式会社製)、ゾノハイジ(登録商標)、長さ1〜5μmを、二軸エクストルーダーを用いて、透明樹脂アートン(登録商標)へ混練し、ペレットとした。この時のゾノライト針状結晶の添加濃度は、重量比でアートン100に対し0.5の割合とした。このペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、HM-7型)を用いて、図6に示した平板状(35mm×35mm×2mm)に射出成形した。
【0075】
即ち、ゲートから図6に示した形状に対応する金型内に、上記無機微粒子が分散した溶融状態の上記樹脂を射出(注入)し、冷却固化を持って型開きして、板状試料を取り出した。
このとき射出成形条件は、ノズル温度280℃、シリンダ温度280℃、金型温度90℃とした。得られた平板状試料のリタデーション(複屈折値Δn×光路長)の大きさと方向の面内分布(大きさと方向)を、複屈折測定装置(有限会社ユニオプト社製、自動複屈折測定装置ABR-10A-EX)を用いて測定した。
【0076】
その結果を図10(b)と図11(b)に示した。また、図10(a)と図11(a)には、比較試料について同じ測定を行った結果を示した。
比較試料には、無機微粒子を無添加のアートン(登録商標)を同じ条件下で射出成形し、図6に示したものと同形同寸の樹脂板としたものを用いた。
【0077】
測定は、平板状試料を厚み方向に透過するレーザー光を用いて行った。図10(a)、(b)のリタデーションマップは、35mmの辺で囲まれる平面をほぼ垂直に透過する光が受けるリタデーションの値を、1mm角のセグメントで表したものである。なお、測定範囲は実施例1の場合と同様、周辺部による光の屈折・回折等が及ぼす誤差を避けるために、図9に示すように、網目模様で表わした、周辺から約5mmの縁部より内側の領域とした。
【0078】
各セグメント内のリタデーションは、各セグメントに垂直に入射する偏光に対し最も屈折率が小さくなる方向を「進相軸」、それに直交する最も屈折率が大きくなる方向を「遅相軸」と定義し、それぞれの方向の偏光間の位相差によりリタデーションを求めた。
【0079】
図11(a)、(b)の進相軸マップの各セグメント内の直線は、進相軸の方向を表わし、それに直交する方向が遅相軸となる。リタデーションの大きさは、各リタデーションマップで段階的に濃淡で表されている。
【0080】
リタデーションマップの右端中央付近が、用いた金型のゲートに対応した位置に最も近い部分に相当する。本例でも、リタデーションマップの右側から溶融したポリマーが金型へ流れ込み、左側へ進んで行ったことになる。なお、ゲートの断面積は、樹脂の流れに沿った金型の断面積(板状試料の断面積とほぼ同一)に比べてはるかに小さいことは言うまでもない。
【0081】
図10(a)、(b)のリタデーションマップと図11(a)、(b)の進相軸マップを参照すると、実施例1と同様の傾向が確認できる。
即ち、ゾノライト針状結晶添加アートンの方が試料全体のリタデーションが小さくなっていることがわかる。光学顕微鏡により、射出成形品内部の針状結晶の配向状況を観察したところ、ゲート対応位置付近では前述の同心円の円周方向に沿うように、ゲート対応位置から最も遠い位置では図11(b)中の進相軸に沿うような方向に、それぞれ配向していることが確認できた。
【0082】
これは、ポリマー主鎖(結合鎖)とほぼ直交する方向に、長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率より大きいゾノライト針状結晶が配向することにより、アートンポリマーの正の配向複屈折を相殺し得たことを意味する。
【実施例3】
【0083】
アラゴナイト系炭酸カルシウムCaCO3 の針状結晶(長さ1〜5μm)を、二軸エクストルーダーを用いて、透明樹脂メタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、アクリペット(登録商標)VH)へ混練し、ペレットとした。この時の炭酸カルシウム針状結晶の添加濃度は、重量比でメタクリル酸メチル100に対し0.02の割合とした。
【0084】
このペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、HM-7型)を用いて、平板状(35mm×35mm×2mm)に射出成形した。即ち、ゲートから図6に示した形状に対応する金型内に、上記無機微粒子が分散した溶融状態の上記樹脂を射出(注入)し、冷却固化を待って型開きして、板状試料を取り出した。射出成形条件は、ノズル温度250℃、シリンダ温度250℃、金型温度80℃とした。
【0085】
得られた平板状試料のリタデーション(複屈折値Δn×光路長)の大きさと方向の面内分布を、複屈折測定装置(有限会社ユニオプト社製、自動複屈折測定装置ABR-10A-EX)を用いて測定した。図12(b)と図13(b)にその結果を示した。図12(a)と図13(a)には、比較試料について同じ測定を行った結果を示した。比較試料には、無機微粒子を無添加のメタクリル酸メチルを同じ条件下で射出成形し、図6に示したものと同形同寸の樹脂板としたものを用いた。
【0086】
測定は、平板状試料を厚み方向に透過するレーザー光を用いて行った。図12(a)、(b)のリタデーションマップは、35mmの辺で囲まれる平面をほぼ垂直に透過する光が受けるリタデーションの値を、1mm角のセグメントで表わしたものである。
【0087】
測定範囲は実施例1の場合と同様、周辺部による光の屈折・回折等が及ぼす誤差を避けるために、図9に示したように、網目模様で表わした、周辺から約5mmの縁部より内側の領域とした。
【0088】
各セグメント内のリタデーションは、各セグメントに垂直に入射する偏光に対し最も屈折率が小さくなる方向を「進相軸」、それに直交する最も屈折率が大きくなる方向を「遅相軸」と定義し、それぞれの方向の偏光間の位相差によりリタデーションを求めた。図13(a)、(b)の進相軸マップの各セグメント内の直線は、進相軸の方向を表わし、それに直交する方向が遅相軸となる。
【0089】
リタデーションの大きさは、各リタデーションマップで段階的に濃淡で表されている。
リタデーションマップの右側中央付近が、用いた金型のゲートに対応した位置に最も近い部分に相当する。本例でも、リタデーションマップの右側から溶融したポリマーが金型へ流れ込み、左側へ進んで行ったことになる。なお、ゲートの断面積は、樹脂の流れに沿った金型の断面積(板状試料の断面積とほぼ同一)に比べてはるかに小さいことは言うまでもない。
【0090】
図13(a)を参照すると、ゲート対応位置付近では、ゲート対応位置から放射状に進相軸(屈折率が小さい方向)が向いている。遅相軸(屈折率が大きい方向)は進相軸と直交するので、ゲート対応位置を中心に同心円を考えた時、その円周に沿うような方向へ向いている。ポリメタクリル酸メチルの配向複屈折は負である(ポリマー主鎖の配向方向の屈折率がそれと直交する方向よりも小さい)ことから、ポリメタクリル酸メチルの主鎖はゲートから放射方向へ配向していることがわかる。
【0091】
同様にして、試料各部分でのポリメタクリル酸メチルの配向方向を知ることができる。但し、これは各セグメントの厚さ方向全域での平均値であり、表面近傍の薄い層内ではそれより内部とは配向方向が異なる部位もある。しかし、表面層以外のほとんどの部分では統計的にこの方向に配向していると考えて良い。
【0092】
図12(a)と図12(b)とを比較してみると、炭酸カルシウム針状結晶添加ポリメタクリル酸メチルの方が試料全体のリタデーションが小さくなっていることがわかる。
光学顕微鏡により、射出成形品内部の針状結晶の配向状況を観察したところ、ゲート対応位置付近では前述の同心円の円周方向に沿うように、ゲートから最も遠い位置では図12(b)中の進相軸に沿うような方向に、それぞれ配向していることが確認できた。
【0093】
このことは、ポリマー主鎖(結合鎖)とほぼ直交する方向に、長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率より小さい炭酸カルシウム針状結晶が配向することにより、ポリメタクリル酸メチルの負の配向複屈折を相殺できたことが確認できたことを意味している。
【実施例4】
【0094】
炭酸ストロンチウムSrCO3 の針状結晶(長さ0.6〜1μm)を、二軸エクストルーダーを用いて、透明樹脂メタクリル酸メチル(三菱レイヨン株式会社製、アクリペット(登録商標)VH)へ混練し、ペレットとした。この時の炭酸ストロンチウム針状結晶の添加濃度は、重量比でメタクリル酸メチル100に対し0.02の割合とした。このペレットを、射出成形機(日精樹脂工業株式会社製、HM-7型)を用いて、平板状(35mm×35mm×2mm)に射出成形した。
【0095】
即ち、ゲートから図6に示した形状に対応する金型内に、上記無機微粒子が分散した溶融状態の上記樹脂を射出(注入)し、冷却固化を待って型開きして、板状試料を取り出した。射出成形条件は、ノズル温度250℃、シリンダ温度250℃、金型温度80℃とした。
【0096】
得られた平板状試料のリタデーション(複屈折値Δn×光路長)の大きさと方向の面内分布を、複屈折測定装置(有限会社ユニオプト社製、自動複屈折測定装置ABR-10A-EX)を用いて測定した。
【0097】
図14(b)と図15(b)にその結果を示した。図14(a)と図15(a)には、比較試料について同じ測定を行った結果を示した。比較試料には、無機微粒子を無添加のメタクリル酸メチルを同じ条件下で射出成形し、図6に示したものと同形同寸の樹脂板としたものを用いた。
【0098】
測定は、平板状試料を厚み方向に透過するレーザー光を用いて行った。図14(a)、(b)のリタデーションマップは、35mmの辺で囲まれる平面をほぼ垂直に透過する光が受けるリタデーションの値を、1mm角のセグメントで表わしたものである。測定範囲は実施例1他の場合と同様、周辺部による光の屈折・回折等が及ぼす誤差を避けるために、図9に示したように、網目模様で表わした、周辺から約5mmの縁部より内側の領域とした。
【0099】
各セグメント内のリタデーションは、各セグメントに垂直に入射する偏光に対し最も屈折率が小さくなる方向を「進相軸」、それに直交する最も屈折率が大きくなる方向を「遅相軸」と定義し、それぞれの方向の偏光間の位相差によりリタデーションを求めた。
【0100】
図15(a)、(b)の進相軸マップの各セグメント内の直線は、進相軸の方向を表わし、それに直交する方向が遅相軸となる。
リタデーションの大きさは、各リタデーションマップで段階的に濃淡で表されている。リタデーションマップの右側中央付近が、用いた金型のゲートに対応した位置に最も近い部分に相当する。
【0101】
本例でも、リタデーションマップの右側から溶融したポリマーが金型へ流れ込み、左側へ進んで行ったことになる。なお、ゲートの断面積は、樹脂の流れに沿った金型の断面積(板状試料の断面積とほぼ同一)に比べてはるかに小さいことは言うまでもない。
【0102】
図14(a)、(b)のリタデーションマップと図15(a)、(b)の進相軸マップを参照すると、実施例3と同様の傾向が確認できる。即ち、炭酸ストロンチウム針状結晶添加ポリメタクリル酸メチルの方が試料全体のリタデーションが小さくなっていることがわかる。走査型電子顕微鏡により、射出成形品内部の針状結晶の配向状況を観察したところ、ゲート対応位置付近では前述の同心円の円周方向に沿うように、ゲート対応位置から最も遠い位置では図15(b)中の進相軸に沿うような方向に、それぞれ配向していることが確認できた。
【0103】
これは、ポリマー主鎖(結合鎖)とほぼ直交する方向に、長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率より小さい炭酸ストロンチウム針状結晶が配向することにより、ポリメタクリル酸メチルの負の配向複屈折を相殺し得たことを意味する。
【0104】
以上、4つの実施例について説明したが、これら実施例における樹脂−無機微粒子の組み合わせだけでなく、正の配向複屈折を有するポリマーと正の針状結晶、負の配向複屈折を有するポリマーと負の針状結晶という組み合わせであるならば、様々な組み合わせが可能である。
【0105】
代表的な光学ポリマーの例としては下記のようなものが市販されている。また正負を確認済みの針状結晶の例も同様に記す。
(1)正の配向複屈折を有するポリマー;ポリカーボネート、ゼオノア(登録商標;日本ゼオン株式会社製)、ゼオネックス(登録商標;日本ゼオン株式会社製)、アートン(登録商標;JSR株式会社製)
(2)負の配向複屈折を有するポリマー;ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン
(3)正の針状結晶(長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率より大きい針状結晶);塩基性硫酸マグネシウム針状結晶、ゾノライト針状結晶、ホウ酸アルミニウム針状結晶など。
【0106】
(4)負の針状結晶(長軸方向の屈折率が短軸方向の屈折率より小さい針状結晶);炭酸カルシウム針状結晶、炭酸ストロンチウム針状結晶など。
なお、現段階で正負は確認できていないが、応用が期待できる針状結晶としては、チタン酸カリウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0107】
本発明によって得られる非複屈折性樹脂材料は、その非複屈折性、樹脂材料特有の成形のし易さ、量産に適していることなどを生かして、任意の用途の光学部材の材料に採用し得る。その1つの例として、液晶表示素子への適用がある。
【0108】
図16は、本発明によって得られる非複屈折性樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の例を断面図で示したものである。同図において、符号10は液晶層で、基板11a、11bの間に封入されている。基板11a、11bの両側には、1対の偏光板ユニット12a、12bが設けられる。偏光板ユニット12a、12bは、それぞれ偏光板13を樹脂シート14ではさんだ構造を有している。この樹脂シート14に、例えば上記実施例1〜実施例3で得られた材料が使用可能である。樹脂シート14は、偏光板13を保護するとともに、複屈折による光線分離を伴わない光透過を可能にする。
【0109】
図17は、本発明によって得られる非複屈折性樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の別の例を断面図で示したものである。同図において、符号10は液晶層で、基板15a、15bの間に封入されている。基板15a、15bの両側には、1対の偏光板ユニット16a、16bが設けられる。偏光板ユニット16a、16bは、それぞれ偏光板13をその外側から樹脂シート14で覆った構造を有している。この樹脂シート14に、例えば上記実施例1〜実施例3で得られた材料が使用可能である。樹脂シート14は、偏光板13を保護するとともに、複屈折による光線分離を伴わない光透過を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】 高分子樹脂材料が配向時に示す複屈折性について説明する図である。
【図2】 高分子樹脂の結合鎖と無機微粒子をほぼ直交した方向に配向させる原理について説明する図である。
【図3】 棒状無機微粒子の外形形態をとるアラゴナイトの顕微鏡写真を示したものである。
【図4】 図1中に示した棒状無機微粒子の1つを模式化して描いた図である。
【図5】 アラゴナイト結晶の複屈折性を説明する図で、(a)はc軸方向に沿った入射光に対して有効な屈折率、(b)はa軸方向に沿った入射光に対して有効な屈折率、(c)はb軸方向に沿った入射光に対して有効な屈折率、をそれぞれ屈折率楕円体の断面で示している。
【図6】 実施例1〜実施例4において作成された非複屈折性樹脂板及び比較試料の形状と寸法を示した図である。
【図7】 (a)は、実施例1に関連して、比較試料のレターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップ、(b)は実施例1で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップである。
【図8】 (a)は、実施例1に関連して、比較試料のレターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップ、(b)は実施例1で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップである。
【図9】 実施例1〜実施例4における比較試料及び非複屈折性樹脂板試料についてのレターデーション(大きさと方向)の測定範囲を説明する図である。
【図10】 (a)は、実施例2に関連して、比較試料のレターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップ、(b)は実施例2で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップである。
【図11】 (a)は、実施例2に関連して、比較試料のレターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップ、(b)は実施例2で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップである。
【図12】 (a)は、実施例3に関連して、比較試料のレターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップ、(b)は実施例3で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップである。
【図13】 (a)は、実施例3に関連して、比較試料のレターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップ、(b)は実施例3で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップである。
【図14】 (a)は、実施例4に関連して、比較試料のレターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップ、(b)は実施例4で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの大きさの測定結果を表わしたレターデーションマップである。
【図15】 (a)は、実施例4に関連して、比較試料のレターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップ、(b)は実施例4で得られた非複屈折性樹脂板試料について、レターデーションの方向(進相軸の方向)の測定結果を表わした進相軸マップである。
【図16】 本発明によって得られる非複屈折性樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の例を断面図で示したものである。
【図17】 本発明によって得られる非複屈折性樹脂材料を液晶層と偏光板の間に介在する樹脂シートに用いた液晶表示素子の別の例を断面図で示したものである。
Claims (3)
- 透明な高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散した多数の無機微粒子とを含む非複屈折性光学樹脂材料からなる射出成形物であって:
前記無機微粒子は、その長軸方向が前記高分子樹脂の結合鎖の配向方向と平行であれば互いに強め合い、直交していれば互いに打ち消し合う関係にあるような配向複屈折性を有しており、
前記射出成形物中において、前記高分子樹脂の結合鎖と前記多数の無機微粒子とは、互いにほぼ直交する方向に配向しており、それにより、前記非複屈折性光学樹脂材料に前記非複屈折性が与えられていることを特徴とする、前記射出成形物。 - 流動後に固化した透明な高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散した多数の無機微粒子とを含む非複屈折性光学樹脂材料の製造方法であって:
前記無機微粒子はその長軸方向が、前記高分子樹脂の結合鎖の配向方向と平行であれば互いに強め合い、直交していれば互いに打ち消し合う関係にあるような配向複屈折性を有しており;
流動状態にある透明な高分子樹脂中に多数の無機微粒子を分散させて共存させ、前記高分子樹脂の結合鎖を前記流動の方向に対応した方向に配向させるとともに、前記多数の無機微粒子を前記流動の方向にほぼ直交する方向に配向させる段階と;
固化によって前記高分子樹脂の結合鎖の配向と、前記無機微粒子の配向との関係を固定する段階とを含むことを特徴とする、前記複屈折性光学樹脂材料を製造する方法。 - 前記流動状態は、前記溶融状態にある前記高分子樹脂と、前記高分子樹脂中に分散して共存する多数の無機微粒子とを含む材料を、相対的に小さな断面積を有する開口から相対的に大きな断面積を有する流動空間内へ送り込むことによって、前記流動空間内で生起されることを特徴とする、請求項2に記載された非複屈折性光学樹脂材料の製造方法。
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