JPH06101140B2 - 光学素子 - Google Patents

光学素子

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JPH06101140B2
JPH06101140B2 JP18719586A JP18719586A JPH06101140B2 JP H06101140 B2 JPH06101140 B2 JP H06101140B2 JP 18719586 A JP18719586 A JP 18719586A JP 18719586 A JP18719586 A JP 18719586A JP H06101140 B2 JPH06101140 B2 JP H06101140B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は、複屈折が小さい光学素子に関する。
例えば、光学的に情報の記録、再生を行う光学式ディス
ク基板、レンズ、プリズム等の光学素子に関する。
〈従来の技術〉 レーザー光スポットを用いて、ディスク基板上の微細な
凹凸で刻まれた記録情報を検出、画像や音響を再生する
方式、更には基板表面に設けた記録膜あの光学的な性質
の変化により、高密度の情報記録再生を行うようにした
記録再生方法が最近注目されている。
このような記録再生方式に利用されるディスク基板とし
ては透明であることの他、寸法安定性の良いこと、光学
的に均質で複屈折の小さいこと等の特性が要求される。
ディスク基板として樹脂材料を用いることにより、安価
に多量の複製基板を成形することが可能となるものの、
多くの場合ディスク基板の成形に際し樹脂の流動及び冷
却過程において分子配向を生じ、複屈折を生じることは
広く知られており、これが致命的欠陥となっている。
成形時の分子配向は、特に射出成形においては避け難い
ので、光学式ディスク基板成形用に適する光学的異方性
の少ない樹脂材料としては、メタクリル酸メチルを主成
分とする重合体しかないのが現状である。
しかしながら、従来知られているメタクリル酸エチルを
主成分とする重合体を基板に用いた場合、吸湿性が大き
いために、寸法安定性が不良であり、多湿環境下にて反
り、ねじれを生ずるという欠点を有している。
この欠点については例えば、日経エレクトロニクス(19
82年6月7日号、133頁)に詳述されている通りであっ
て、このため音響用コンパクトディスク材料としては吸
湿率の低い芳香族ポリカーボネート樹脂が用いられてい
る。
一方、芳香族ポリカーボネート樹脂は異方性の大きい芳
香環をその主鎖に含むことから、成形基板の複屈折を低
減することが困難であり、分子量の低減化の他、成形条
件の検討が試みられているものの、複屈折性が素材その
ものに起因することから一様に複屈折の低い基板を安定
して、製造することができず、また直径が音響用コンパ
クトディスクよりも大きい低複屈折性基板を射出成形に
より製造することは極めて困難な状況にある。
また、メタクリル酸メチルを主体とした重合体の欠点で
ある寸法安定性を改良するため、例えば特開昭57−3344
6号公報、特開昭57−162135号公報、特開昭58−88843号
公報ではメタクリル酸メチルと芳香族ビニル単量体との
共重合体が提案されている。
しかし、芳香環を有するビニル単量体との共重合体は大
きな複屈折を生じやすく、実用に供し得ないのが実状で
ある。
情報の再生のみならず、記録をも行い得るディスク基板
においては更に一層優れた複屈折性、寸法安定性が要求
されるものの、これらの要求を十分に満足し得る樹脂材
料は未だ見出されていない。
さらに、レンズ、プリズム等の他の光学素子において
も、従来メタクリル樹脂等の樹脂材料が用いられている
が、さらに複屈折の低い、耐熱性、機械的強度、寸法安
定性の優れた樹脂材料由来のものが求められている。
米国特許第4,373,065号公報には、正反対の光学的異方
性を有するが、完全に相溶する2種のポリマーを、その
光学的異方性を丁度打ち消しあう組成で混合し、実質的
に複屈折性がゼロになるような光学的に等方性の樹脂か
らなる光学的記録素子について開示されている。
更に該公報には、正反対の光学的異方性を有するポリマ
ーとしてポリフェニレンエーテルとポリスチレンを用い
た系について、その光学的異方性が丁度打消される組成
の混合物からつくったフィルムに応力をかけても複屈折
が生じないことが、つまり固体状態のポリマー組成物に
応力をかけた場合に複屈折が生じないことが示されてい
る。
〈発明が解決しようとする問題点〉 前述した米国特許第4,373,065号公報には、ポリマー組
成物を原料として射出成形法により、光ディスク基板の
ごとき光学材料を製作した際、該光学材料の複屈折性が
著しく小さくなることについては示されていない。
発明者らは、固体状態で正反対の光学的異方性を有する
が完全に相溶する2種のポリマーを、その固体状態での
光学的異方性が丁度打ち消されるとみられる混合組成物
でも、光ディスク基板のごとき、光学素子の最近の製造
方法である射出成形法により成形すると、得られる成形
体の複屈折が必ずしも小さいものではないことを見い出
した。
つまり、ポリマー組成物を原料に射出成形法により光デ
ィスク基板のごとき光学材料を作成しようとする場合に
は、単に個々のポリマーの固体状態での光学的異方性を
考慮した組成にしただけでは複屈折の少い光学材料を得
ることができないのである。
また近年、消去・再書き込み可能な光磁気ディスクのデ
ィスク基板をプラスチックで製造する試みが進められて
いる。
このように光磁気方式の光ディスクにおいては、記録さ
れている情報を読みこむ際、偏光されたレーザー光をレ
ンズで記録媒体上に焦点を結び、反射してもどってくる
カー効果によるレーザー光のわずかな偏光の旋回を検知
して情報を読みこむため、斜め方向から入射した光に対
しても複屈折をおこしにくい光ディスク基板を用いる必
要がある。
また、書き込みの際には媒体をレーザー光で加熱するた
め、光ディスク基板としては高い耐熱性が要求されてい
る。
本発明はかかる事情に鑑み、射出成形、圧縮成形等によ
っても複屈折が低く、しかも、斜め方向からの入射光に
対しての複屈折が低く、かつ耐熱性が高く、機械的強度
のバランスが良く、寸法安定性の優れた光学素子を提供
することにある。
〈問題点を解決するための手段〉 本発明はスチレン系単量体単位を主体とする重合体部分
とポリフェニレンエーテル部分とからなる光学素子に関
する。
本発明における光学素子としては、一般的な光学的ディ
スク基板のほか光磁気ディスク基板、レンズ、プリズム
等をあげることができる。
本発明の光学素子は、スチレン系単量体単位を主体とす
る重合体とポリフェニレンエーテルとの混合物、両者の
重合体部分からなるブロック共重合体もしくはグラフト
共重合体、またはこれらの混合物からなる。
本発明でいう、スチレン系単量体単位を主体とする重合
体とは、スチレン系単量体単独重合体、及びスチレン系
単量体単位を50重量%以上含有する共重合体であって、
スチレン系単量体としては、例えばスチレン、α−メチ
ルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ン、O−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−ク
ロルスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレ
ン、等が挙げられ、特にスチレンが好適に用いられる。
またスチレン系単量体と共重合する単量体の例として
は、不飽和ニトリル類例えばアクリロニトリル、メタク
リロニトリル;メタクリル酸アルキルエステル類、例え
ばメタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メ
タクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、
メタクリル酸シクロヘキシル;アクリル酸アルキル類、
例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル
酸プロピル、アクリル酸ブチルなどが挙げられ、更にメ
タクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、無水シトラ
コン酸、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド等が挙げられる。
これら共重合する単量体は各々単独もしくは混合して使
用することができるが、スチレン系単量体との共重合体
及びこれとポリフェニレンエーテルとからなる樹脂材料
の透明性を阻害しない範囲で、組合せ及び使用割合を調
節すればよい。
スチレン系単量体は単量体混合物中50重量%以上である
ことが好ましく、50重量%以下では得られる樹脂の吸湿
性が大きくなることから好ましくない。
またスチレン系単量体単位を主体とする重合体の溶融流
動性は230℃、3.8kg荷重でのメルトフローレート(MF
R)が0.5〜200であることが、好ましく更に2〜100が好
ましい。
200を越えると機械的強度が低下することから好ましく
なく、また0.5よりも小さいと複屈折を低減するのが困
難になることから好ましくない。
スチレン系単量体単位を主体とする重合体の製造法とし
ては、ラジカル開始剤を用いた塊状重合、懸濁重合、乳
化重合、溶液重合のいずれでもよいが、生産性及び不純
物の混入の少ない重合体を得る目的からは塊状重合また
は懸濁重合が好ましい。
ラジカル開始剤としてはラウロイルパーオキシド、ベン
ゾイルパーオキシド、ジ−tert−ブチルパーオキシド、
ジクミルパーオキシドなどの過酸化物、2,2′−アゾビ
スイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(1−シクロ
ヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物をあげるこ
とができる。
また分子量を制御するため、必要であれば、連鎖移動剤
としてtert−ブチル、n−ブチル、n−オクチル、n−
ドデシル及びtert−ドデシルメルカプタンなどを添加す
れば良い。
重合温度は一般に50〜150℃の範囲で行われる。
本発明でいうポリフェニレンエーテルは、一般式、 (但し、R1、R2、R3、R4は水素、ハロゲンまたは炭化水
素基を示す。) で表わされる繰返し単位を有する重合体である。
該ポリフェニレンエーテルはフェノール類単量体を酸化
カップリングにより重合した重合体であって、銅系また
はマンガン系触媒を用いた公知の方法(例えば特公昭36
−18692号公報、特公昭47−36518号公報)により容易に
製造されるものである。
このポリフェニレンエーテルの具体例は、ポリ(2,6−
ジメチル−1,4フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチ
ル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニル)エーテ
ル、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテ
ル、ポリ(2−メチル−6−ブロム−1,4−フェニレ
ン)エーテル等が挙げられ、特にポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
このポリフェニレンエーテルは、エンジニアリングプラ
スチックとして一般に用いられているものも使用可能で
あるが、より低分子量のものが適している。
つまりポリフェニレンエーテルの平均分子量は、重合体
の極限粘度(クロロホルム、25℃での測定値)で表わし
て、0.1〜1.0でも用いることができるが、0.3〜0.7がよ
い。
なかでも0.3〜0.45が好ましく、更に0.35〜0.42が好ま
しい。
0.3より小さいと光学素子の機械的強度が小さくなる。
また複屈折及び特に斜め入射光に対しての複屈折をより
小さくするためには、0.45以下が好ましい。
これは、例えば射出成形法により光学素子を製造するに
際し、スチレン系単量体を主体とする重合体とポリフェ
ニレンエーテルのそれぞれの配向のしやすさ、及び/ま
たは金型内での重合体の緩和速度が異なるためと考えら
れる。
すなわち本来成形時の溶融粘度が高く、配向が起こりや
すく、かつ配向が残りやすいポリフェニレンエーテルと
して、平均分子量の小さいものを用いることにより、樹
脂中のポリフェニレンエーテル部分の配向が起こりにく
くなりかつ緩和速度が速くなるため、より広い樹脂組成
範囲で、より広い射出成形条件で複屈折及び斜め入射光
に対する複屈折が小さい光学素子が得られるものと考え
られる。
本発明の光学素子に用いる樹脂材料を、スチレン系単量
体単位を主体とする重合体、ポリフェニレンエーテルを
混合して得るには、溶融混合もしくは溶液混合が適して
いる。
溶融混合は、ポリフェニレンエーテルのガラス転移温度
以上にて押出機、バンバリーミキサー、ニーダーブレン
ダー、加熱ロールなどの混合機械を用いて高剪断下、行
われる。
混合度合は両重合体が互いに約1μ以下にまで分散混合
されることが好ましく、更に分子スケールまで混合され
ることが好ましい。
混合状態が分子スケールにまで達したかどうかは混合物
のガラス転移温度が唯一のものとなることで容易に判定
される。
十分満足される混合状態を得るため、混合温度を高め
る、混合時間を延長する、更に剪断力を高めるといった
方法が採用される。
さらに溶融混合において両重合体のガラス転移温度を低
下せしめて混合を容易なものとするため可塑剤として有
機溶剤を少量用いることもできる。
有機溶剤としては後述の溶液混合法にて用いられる有機
溶剤を用いることができ、混合終了後、用いた有機溶剤
を蒸発除去すれば良い。
溶液混合は両重合体を有機溶剤に溶解して少なくとも1
重量%の溶液とし、攪拌混合により均一混合物とした後
有機溶剤も蒸発除去するかまたは均一混合物に両重合体
の貧溶剤を入れて、混合された両重合体を析出させるこ
とができる。
好適な有機溶剤としては、クロロホルム、塩化メチレ
ン、塩化エチレン、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼ
ンなどを挙げることができ、また貧溶剤としては、メタ
ノール、エタノール、プロピルアルコール、n−ヘキサ
ン、n−ペンタンなどを挙げることができる。
スチレン系単量体単位を主体とする重合体部分とポリフ
ェニルエーテル部分とからなるブロック共重合体あるい
はグラフト共重合体は、一方の重合体の存在下に他方の
単量体を重合して得られる。
具体的には、特公昭42−22069号、同47−1210号、同47
−47682号、同52−38596号公報などに記載された方法な
どにより、ポリフェニレンエーテルの存在下、スチレン
系単量体を主体とする単量体を重合する、または芳香族
ビニル単量体単位を主体とする重合体の存在下に、フェ
ノール類単量体を酸化カップリング重合してグラフト重
合体あるいはブロック共重合体を製造することができ
る。
スチレン系単量体単位を主体とする重合体部分とポリフ
ェニレンエーテル部分との割合は前者が30〜70重量%好
ましくは40〜55重量%であり、後者が30〜70重量%、好
ましくは45〜60重量%である。
ポリフェニレンエーテル部分が40重量%未満または70重
量%を越えると光学素子の複屈折が充分低くならない。
その上40重量%未満では耐熱性も十分でなくなる。
樹脂組成は具体的には、上記の範囲内で成形の方法によ
り、適宜選択する。
例えば、射出成形では、成形加工時の成形条件、つまり
樹脂温度、成形圧力、金型温度などの設定に応じて、得
られる成形体の複屈折がその使途から要求される性能に
合うよう上記割合を調整すれば良い。
また、本発明の光学素子、なかでも光学式ディスク基板
は半導体レーザー光などの光が通過する。
従って波長800nmにおける光線透過率が厚さ1.2mmの材料
において75%以上であることが好ましい。
本発明の光学素子の内光学式ディスク基板を得るに際し
ての成形法として射出成形、圧縮成形、射出圧縮成形な
どが挙げられるが、これらの成形法のうち、成形によっ
て生ずる複屈折の程度の比較的大きい成形法ほど、本発
明の効果は、顕著なものであり、生産性の点からも射出
成形が最も好ましい。
ここでいう射出成形法とは、閉鎖している金型キャビテ
ィに加熱して流動状態になった樹脂を圧入し冷却固化し
た成形品を製造する方法である。
また金型内真空吸引法や、射出成形中に金型キャビティ
容量を縮小させる射出圧縮法を併用してもよい。
射出成形により本発明の光学素子を製造するに際しては
溶融可塑化した樹脂温度を270℃以上350℃以下で射出成
形することが好ましく、更に好ましくは300℃以上340以
下である。
ここでいう樹脂温度とは射出成形機内においてヒーター
等の外部加熱とスクリューの回転による剪断発熱によっ
て可塑化溶融した射出シリンダー内での樹脂の温度であ
る。
樹脂温度が270℃未満では得られる光ディスク基板の複
屈折が20nm以上となり光ディスク基板として不適当であ
り、樹脂温度が350℃を超すと、樹脂が分解し、ヤケ、
シルバー等の不良現象が発生し、得られる光ディスク基
板のビットエラーが著じるしく増加するので不適当であ
る。
この射出成形において金型温度は50℃以上140℃以下に
保つことが好ましく、更に好ましくは80℃以上120℃以
下である。
ここでいう金型温度とは射出直前の金型キャビティーの
表面温度をいう。
金型温度が50℃未満では金型表面にきざみこまれた微細
な案内溝(グループ)の転写性が悪くなり、140℃を超
えると金型から成形体の離型が悪くなるので好ましくな
い。
本発明の射出成形において射出成形時間は0.2秒以上3
秒以下の範囲内で成形することが好ましく、更に好まし
くは0.3秒以上2秒以下の範囲で成形することである。
ここでいう射出成形時間とは金型キャビティー内に樹脂
を充填する時間である。
射出成形時間が0.2秒未満ではシルバーが発生し、光デ
ィスクとして用いた場合ビットエラーが著しく増加し、
3秒を超えるト得られる光ディスク基板の複屈折が20nm
以上となるので好ましくない。
〈実施例〉 以下実施例をもって詳細に説明するが、下記はもとよ
り、本発明を限定するものではない。
なお実施例中の部または%はいずれも重量基準である。
また実施例に示す物性は以下の方法により測定した。
・複屈折:偏光顕微鏡を利用して、546nmにてセナルモ
ンコンペンセーター法にてリターデーションを測定し
た。
・吸水率:ASTM D−570に基づいて60℃蒸留水中での平衡
吸水率を測定した。
・光線透過率:自記分光光度計日立製作所製330型にて8
00nmでの試料厚み1.2mmの透過率を測定した。
・曲げ物性:ASTM D−790に基づいて測定した。
・耐熱性:線膨張係数法によるガラス転移温度で示し
た。
・重合体の極限粘度:ウベローデ粘度計を用い、クロロ
ホルム溶媒で、25℃にて測定、算出した。
・混練、ペレット化は二軸押出し機(日本製鋼株式会社
製,TEX30−30BW−2V型)より行なった。
・射出成形機は住友重機械工業株式会社製ネオマット15
0/75(75トン)型であり、金型は成形体直径120mm厚さ
1.2mmのディスク用金型を使用した。
実施例1 特公昭47−36518号公報実施例2、NO.9に記載の方法に
従い、塩化マンガン、エタノールアミンを触媒として2,
6−キシレノールを重合して極限粘度が0.52(クロロホ
ルム中、25℃)のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルを調製した。
このポリフェニレンエーテル樹脂をポリスチレン樹脂
(住友化学工業製エスブライド 8,一般グレード,MFR1
0)に表1に示した割合にて混合配合し、押出機にて混
練、造粒した後、シリンダー温度320℃、金型温度85℃
にて射出成形し、直径120mm、厚み1.2mmの円板を得た。
物性評価結果を表1に合わせて示した。
なお、複屈折は円板の中心より35mmの位置での値を測定
した。
実施例2〜4 実施例1と同様にしてポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテルとポリスチレン樹脂の配合割合を変え
て混合し、同一条件にて成形を行い円板を得た。
結果を表1に示した。
比較例1 実施例1で用いたポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレ
ン)エーテルを単独に用いて射出成形を行った。
実施例1と同一条件では成形できず、シリンダー温度35
0℃、金型温度130℃にて成形した。
複屈折の絶対値は100nm以上であり、著しく大きいもの
であった。
比較例2 実施例1で用いたポリスチレン樹脂を単独で実施例1と
同一の条件で成形を行った。
複屈折の絶対値は100nm以上であり、分布むらも大きい
ものであった。
比較例3 ビスフェノールAを原料とし、常法に従い、塩化メチレ
ンを溶剤としてホスゲンを吹込み、界面重縮合を行い、
平均分子量が約15,000のポリカーボネート樹脂を得た。
なお分子量の調節にはt−ブチルフェノールを用いた。
得られた粉末樹脂を押出機にて造粒し、実施例1と同じ
条件で射出成形を行った。
しかし、円板の複屈折は+100nm以上と大きかった。
更にシリンダー温度を340℃として成形を行った。
円板の複屈折は100nmと大きく、吸水率は0.45%であっ
た。
またガラス転移温度は136℃であった。
なお、更に成形温度を高めて成形を試みたが、340℃を
越えると、樹脂の熱分解を伴い、成形が困難であった。
実施例5〜16 第2表に示した組成比で、第2表に示す極限粘度(クロ
ロホルム,25℃)のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニ
レン)エーテルとポリスチレン(日本ポリスチレン工業
株式会社製,エスブライト4−62A)とを混練、ペレッ
ト化した樹脂を、樹脂温度320℃、金型温度100℃及び射
出時間1秒の条件で射出成形し光ディスク基板を製造し
た。
得られた光ディスク基板の垂直入射光及び30°斜め入射
光に対する複屈折を第2表に示した。
なお測定位置は、光ディスク基板の中心からの半径方向
の距離で示す。
また該ペレット化した樹脂を270°でプレス成形して得
られた板の曲げ物性、耐熱性を第2表に示した。
〈発明の効果〉 本発明の光学素子は、これまで低吸湿性であって寸法安
定性が良いものの、複屈折が大きいために使用できなか
ったポリスチレン系樹脂が原料の一つとして適用可能と
なったばかりでなく、耐熱性、機械的強度のバランスの
良い性能を得ることができる。
ことに、特定された比較的低極限粘度のポリフェニレン
エーテルを用いることにより、複屈折が小さく、しかも
従来みられなかった斜め方向からの入射光に対しての複
屈折が小さい上に巾広い組成を取り得るので、高い耐熱
性を持つことも可能となった。
又、本発明の光学素子は、その製造法において、複屈折
を生じやすいとされる射出成形法によっても低複屈折の
成形が可能であるという長所を有する。
本発明の光学素子は、光学式ディスクの基板、レンズ、
プリズム等であり、なかでも特定された波長を持つ光を
使用する場合に適している。
さらに上述のごとく斜め方向の入射光に対しての複屈折
が小さいことと、高い耐熱性を持つことから、一般の光
学式ディスク基板はもとより、光磁気ディスク基板にも
適している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 今井 正三郎 東京都中央区日本橋2−7−9 住友化学 工業株式会社内 (72)発明者 磯部 通久 東京都中央区日本橋2−7−9 住友化学 工業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スチレン系単量体単位を主体とする重合体
    部分とポリフェニレンエーテル部分とからなる光学素子
    において、ポリフェニレンエーテル部分の平均分子量
    が、極限粘度(クロロホルム溶液、250℃にて測定、以
    下同じ)で表わして0.3〜0.7であることを特徴とする光
    学素子。
  2. 【請求項2】ポリフェニレンエーテル部分の平均分子量
    が、極限粘度で表わして0.3〜0.45であることを特徴と
    する特許請求の範囲第(1)項記載の光学素子。
  3. 【請求項3】スチレン系単量体単位を主体とする重合体
    部分が30〜70重量%、ポリフェニレンエーテル部分が30
    〜70重量%である特許請求の範囲第(1)または(2)
    項記載の光学素子。
  4. 【請求項4】スチレン系単量体単位を主体とする重合体
    部分が40〜55重量%、ポリフェニレンエーテル部分が45
    〜60重量%である特許請求の範囲第(1)、または
    (2)項記載の光学素子。
  5. 【請求項5】スチレン系単量体がスチレンであり、ポリ
    フェニレンエーテルがポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェ
    ニレン)エーテルである特許請求の範囲第(1)、
    (2)、(3)、または(4)項記載の光学素子。
  6. 【請求項6】光学素子が光磁気ディスク基板である特許
    請求の範囲第(1)、(2)、(3)、(4)または
    (5)項記載の光学素子。
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