JP4335463B2 - 偏析によるアルミニウム精製法と装置 - Google Patents

偏析によるアルミニウム精製法と装置 Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明は偏析によるアルミニウムの精製に関するものである。特に、偏析による精製法と装置に関するものであり、極めて高純度の、すなわち99.95%を超える純度のアルミニウムを含む、アルミニウムを得ることを可能にする。
【0002】
現状技術
偏析によるアルミニウム精製の諸方法は、銅、鉄、珪素、マグネシウム、ガリウム、または亜鉛などの共融元素の含有率が低いアルミニウムを得ることを目的とする。これらの方法は、不純な液状アルミニウムの塊(母液と呼ばれる)の部分的固化が液状塊内の共融元素を濃縮し、母液のそれよりもはるかに低い共融元素含有率を有する結晶を生成する傾向があるという事実に基づいている。したがって、既知の偏析法の基礎原理は、不純な液状アルミニウムの総量の部分的結晶化を促進し、共融元素が濃縮された残留母液から、精製された金属を単離するように2相を物理的に分離することから成る。
【0003】
基本原理を中心にいくつかの方法が開発された。典型的には、不純な液状アルミニウムの総量を断熱した耐熱容器内に置いた後、液状アルミニウムの局部冷却によってその上部内に微細な結晶の形成を誘発し、ついで重力の作用によって、容器の下部内に結晶の段階的堆積を引き起こし、母液の所与の部分が結晶化したときに精製プロセスを停止し、精製される結晶を残留母液から分離する。
【0004】
米国特許第3211547号によれば、結晶は液状アルミニウムの塊の制御冷却によってその表面に形成され、剥離して、つぎに重量の作用で容器の底に堆積する。結晶塊の部分的突き固め(または押圧)は結晶化段階を通じて一定間隔で実施される。結晶化の過程で、容器の底に堆積した結晶塊の押圧を用いることによって、方法の精製率を大幅に向上させることができる。結晶化段階の終わりに、好適には容器の底に堆積した精製アルミニウム結晶塊の上部表面部位に位置する孔によって、液相の流出によってまず残留母液を排出する、つづいて前記堆積した結晶塊を溶かし、容器の底近くに位置する孔から液相を流出させてそれを回収する。
【0005】
フランス特許第1594154号(米国特許第3671229号に対応)によれば、結晶は黒鉛製の盲管の外側表面上、母液内に浸漬される部分に垂直に形成される。冷却気体は結晶化を引き起こすように前記管内を循環する。液状アルミニウム内に維持された、黒鉛製のリングが管の外面を定期的に掻き取り、それによってそこに形成された結晶をはがす。結晶は重力の作用で坩堝の底に堆積し、堆積した結晶塊は前記リングによって定期的に押圧される。管は固化の進行につれて次第に引き揚げられる。結晶化段階の終わりに、例えば残留母液をサイフォンで吸い上げるか、坩堝を傾けるかして、共融元素が濃縮された残留液塊から精製された固体塊(ブルームと称する)を分離する。フランス特許第2592663号(米国特許第4744823号に対応)によれば、残留母液の流出を可能にするために容器を傾け、水切りによって残留間隙液の除去を可能にするように傾いた位置にそれを維持することによってこの方法の精製効率を更に向上させることができる。
【0006】
フランス特許第2524489号(米国特許第4456480号に対応)および米国特許第4221590号によれば、結晶化と押圧段階の間に坩堝の底に堆積した結晶を再溶融させるが、それによって金属が更に精製され、理論値を超える精製効率に達することができる。
【0007】
日本国特開昭58−167733によれば、精製アルミニウム結晶は、新鮮空気が循環するステンレス製の管路を含む冷却装置によって、液状アルミニウムの自由表面の下に位置する所定の区域内の、坩堝の内表面周辺に形成される。冷却区域の上に位置する液状アルミニウムの部分は、固化を防止するために加熱される。強制冷却区域内で形成される結晶は、黒鉛製のピストンによって剥がされ、該ピストンは、断面積が坩堝のそれにほぼ等しく、液状アルミニウム内に常に浸漬され、坩堝の表面を定期的に掻き取り、それが坩堝の底に堆積するのを助ける。ピストンは坩堝の底に堆積する結晶を押圧するのにも使用される。ピストン内に配置された通路は、坩堝の底に向かう結晶の流れと、ピストン運動の際の液状金属の流れを可能にする。固化した金属の塊は加熱手段によって部分的に再溶解される。堆積した結晶の塊が冷却区域に達したとき、ピストンが引き抜かれ、母液はサイフォンによって排出され、固体塊は坩堝から抽出され、ついで所望の純度に応じて分割される。
【0008】
解決するべき課題
現状技術によって工業的に生産したブルームは純度にばらつきがある。特に、ブルームの上と下の間に純度の勾配がある。下部より多くの不純物が含まれている最終ブルームの上部を切断し、最も高い純度レベルが要求される用途に下部だけを充てることができる。典型的には、切断作業によって最終ブルームの15%から30%が除去される。ただし、この解決法には、得られたブルームのかなりの部分が除去されるという問題点があり、結果的に、工場の実質生産性が低下し、廃物が発生して、金属在庫管理を複雑にしてしまう。
【0009】
出願人は更に、工業的に得られたブルームは一般的に中心と周辺の間に純度の変化があり、周辺部の金属はブルームの中心部の金属より純度が高いことを確認した。一般的に、大型坩堝のより高い生産性は得られた製品の純度と反対方向に変動する。例えば、直径800mmの坩堝で、鉄と素について得られた(それぞれのブルームの全体に対する)実質精製率K(鉄の精製率をKFe、珪素の精製率をKSiとする)は、直径600mmの坩堝のそれに対して(同じ上昇速度で)約50%未満であった。とりわけ径方向の性格の、このようなばらつきがあるので、高純度の金属を単なる切断作業で採取することは困難である。
【0010】
このようなばらつきにくわえて、出願人は所定の塊のブルームを得るのに必要な時間に、作業ごとに有意の変動があることを認めた。さまざまな原因(機器の摩耗、熱伝導の変動など)によるこの変動は工業現場の実質生産性に影響し、作業の組織と内部の手順を複雑にする。
【0011】
最後に、出願人は生産性と平均実質精製率が互いに逆に変動することを確認した。例えば、生産性を向上させると、精製率が低下し、逆に、精製率を上げると、生産性が低下する。このような制約があるために工業生産の操作幅が大幅に制限され、生産コストにも負担をかける。
【0012】
したがって、出願人は精製率と生産性の妥協の限度を広くし、工業的に得られたブルーム内の純度のばらつきと変動を減らすことのできる解決法を模索し、投資、単純な装置と方法でありながら、生産および保守の費用を総体的に減らすようにする。
【0013】
発明の目的
本発明の第一の目的は、「母液」とよばれるある量の不純な液状アルミニウムから、極めて高純度の(つまり99.95%を越えるアルミニウムを含む)固体(または「ブルーム」)を形成するための偏析によるアルミニウム精製法であって、部分的結晶化による結晶形成と、ブルームの定期的押圧と、成長過程での加熱によるブルームの特に連続的な再溶融とから成り、成長の過程でのブルームの高さHの定期的測定と、測定高さHに応じた加熱出力の調節を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明が同じく目的とするのは、偏析によって極めて高純度の固体アルミニウム塊(または「ブルーム」)を形成するのに適した、アルミニウム精製装置であって、耐火坩堝と、坩堝加熱手段を備えた炉と、成長の過程で加熱によって前記ブルームを再溶解させる手段と、少なくとも一つの押圧手段を含み、成長の過程での前記固体の高さHの測定手段と、前記測定高さHに応じて前記加熱手段の加熱出力を制御するための手段を含むことを特徴とする。
【0015】
出願人は、意外なことに、最終ブルームの純度のばらつきとブルームごとの変動は実際には偏析過程で投入された加熱出力に結び付けられ、ブルーム成長の過程でフィードバック調節なしに、ほぼ一定の加熱出力を投入する従来の慣行の結果、純度のばらつきと変動が本発明による加熱出力の段階的変動で見られるものよりはるかに大きくなることを確認した。またブルーム成長の過程で加熱出力を制御することによって純度のばらつきと変動を減らせるだけでなく、精製率と生産性の妥協の幅を広げることができることを認めた。
【0016】
図面の説明
図1は、本発明による方法の推奨実施態様による精製基本サイクルを模式的に図示している。
【0017】
図2は、本発明の推奨実施態様の偏析による精製装置を図示している。
【0018】
図3は、押圧手段が、結晶化の低位置にあるときの坩堝の結晶化および再溶融区域を示している。
【0019】
図4は、本発明による装置の押圧手段の先端の推奨実施態様を示している。
【0020】
図5は、従来技術(a)と、本発明(b,c)による固体塊の成長曲線、すなわち経時的な固体塊の高さの進行曲線を示している。
【0021】
図6は、従来技術(a)と、本発明(b)によるブルームで典型的に観察された珪素の等含有率(ppm単位の含有率)の断面図を示している。これらのブルームは軸Cに対して円対称である。
【0022】
図7は、従来技術(A)と、本発明(B)による工業生産性P(kg/h単位)と平均実質精製率K(単位なし)の典型的値をグラフで示している。精製率は開始金属の一つまたは複数の特定の所与の元素の平均含有率と精製金属内の同じ元素の平均含有率の比に対応する。最も特徴的な元素は一般的に電解によって生産された一次アルミニウムの主要な不純物、すなわち鉄と珪素である。
【0023】
発明の詳細な説明
本発明によれば、偏析によるアルミニウム精製法は、「母液」とよばれるある量の液状アルミニウムから極めて高純度の固体塊(または「ブルーム」)の成長による形成を目的とし、部分的結晶化による結晶形成と、ブルームと堆積する結晶の定期的押圧と、成長過程での加熱によるブルームの再溶融とを含み、ブルームの高さHの定期的測定と、測定高さHに応じた加熱出力の調節を含むことを特徴とする。
【0024】
本発明の推奨実施態様によれば、偏析によるアルミニウム精製法は、耐火坩堝と、前記坩堝の加熱手段と、少なくとも一つの押圧手段と、前記少なくとも一つの押圧手段を上下に移動させる手段と、剥離手段とから成る装置内で実施され、「母液」とよばれるある量の液状アルミニウムから、前記坩堝の底に、「ブルーム」と呼ばれる固体の精製アルミニウム塊を前記坩堝内に成長させる作業を含み、前記成長作業は、
―温度が前記母液の液相線温度より低い、結晶化区域と呼ばれる、前記装置の少なくとも一つの特定表面上の結晶化によるアルミニウム結晶の形成、
―前記剥離手段による前記結晶の剥離、
―重力の力の作用による前記坩堝の底に向かう前記結晶の移行(または降下)、
―前記固体塊の上部表面への前記結晶の堆積、
―前記押圧手段またはそれぞれの押圧手段による前記堆積結晶と前記固体塊の押圧、
―前記加熱手段による、成長の過程での前記固体塊の部分的再溶融、
を含み、前記方法は、
―前記成長作業の過程で前記ブルームの高さHの測定と、
―測定高さHに応じた加熱出力Pの調節、
を含むことを特徴とする。
【0025】
好適には、前記調節は、所定の高さの進行速度を得るように実施され、更には経時的に減少するのが望ましい。
【0026】
該方法は、精製するある初期量の液状アルミニウムを耐火坩堝に充填し、全体の温度を均等にすることから一般的に開始される。有利には、坩堝と坩堝内の低い位置に置かれた押圧手段の予熱の予備過程を準備してから、液状アルミニウムを充填し、材料への熱衝撃を防止し、全体の熱平衡を促進する。
【0027】
結晶化の際に、また部分的再溶融の際に金属から抽出された不純物は残留母液内に堆積し、それによって母液は不純物濃度がますます高くなる。
【0028】
くわえて、成長作業の終わりに、該方法は残留母液と最終ブルームの物理的分離作業を一般的に備えている。この分離作業は好適にはブルームが所定の高さHfに達したときに実施される。それはまた初期液状アルミニウム総量に対する%で表される所定の部分Fが固化したときに実施することもできる、ここでFは好適には50と80%の間に含まれ、更に好適には60と75%の間に含まれる。
【0029】
この物理的分離は、さまざまな仕方で実施することができる。好適には、坩堝を傾け、それに続いて、結晶の間に隠れたままの不純な液体(すなわち残留母液)を時間をかけて、坩堝を傾け、その開口部を下に向け、固体から液体を滴らせる作業である、水切りすることによって実施される。有利には、精製作業の後に、坩堝はその補強リングと共に炉から取り出され、不純な残留母液を排出し、結晶間に含まれる液を水切りすることのできる放下装置の上に置かれる。この水切りの間、残留不純液内に一番含漬されている区域を除去するために、例えば、黒鉛製のスクリュウによってブルームの上部を掻き取ることもできる。
【0030】
該方法は粗ブルーム、すなわち坩堝から引き出され、それを操作できる温度(典型的には室温)で冷却したブルームの頭部および/または脚部を切断する追加の作業を含むことができる。一般的に、切断作業は水切りした、すなわち不純残留液の水切りと、残った固体の冷却作業を実施した後の粗ブルームに対して実施される。
【0031】
高さHは押圧手段によって測定可能であり、それによって装置は大幅に簡単になり、結果的に、装置の機構の複雑性、基礎投資コストおよび保全費用が大幅に減少される。
【0032】
本発明の推奨実施態様によれば、結晶は、坩堝の内壁と同時に押圧手段またはそれぞれの押圧手段の一部の上に同時に形成される。結晶は好適には特定の結晶化区域内に形成される。
【0033】
前記押圧手段またはそれぞれの押圧手段上に結晶を形成するために、押圧手段またはそれぞれの押圧手段の一部を交互に浸漬、引き上げ、浮上の際に母液の液相線温度未満の温度まで、結晶化区域と呼ばれる、押圧手段またはそれぞれの押圧手段の特定の部分を冷却し、浸漬の際に前記区域内に結晶を形成させるようにするのが特に有利であることを出願人は発見した。冷却は、自然または強制放射および/または対流によって簡単に得られる。浸漬時間Tiと浮上時間Teは固定または可変とすることができる。
【0034】
出願人は、結晶を剥離するための、押圧手段の交互の浸漬、浮上の結果、押圧手段上に形成される結晶の量が増加することを確認した。この増加は、浸漬時間Tiに対する浮上時間Teの比が高くなるほど強くなる。より正確に言えば、この増加は、低位置(押圧、結晶化位置)経過時間Tcに対する高位置(冷却位置)経過時間Trの比が高く、低位置経過時間の絶対値が大幅に減少するほど強くなる。したがって、浮上時間Teは好適には浸漬時間Tiを上回る。より正確に言えば、押圧手段の高位置経過時間Trは好適には低位置経過時間Tcを上回る。出願人はロッド上に製造される結晶の量がTr/Tcの増加関数、Tr+Tcの減少関数になることを確認した。
【0035】
例として、容量が2トンの炉について、Ti=30秒、Te=8秒の基本サイクル(A)とTi=15秒、Te=23秒の基本サイクル(B)の間で、両者共に高位置と低位置の間のロッドの上昇または下降速度が約0.20m/秒の場合、ブルームの成長について同じ基準曲線を維持したとき、サイクルBの結晶生産率が毎時40kgで、サイクルAのそれを越えることを出願人は確認した。同じ成長曲線についての、結晶生産率のこの増加に伴って、加熱出力が平均して4.5kW増加し、サイクルAよりも基本サイクルBの方が、形成された結晶の再溶融率が高くなった。これらの差によって一定の生産率で金属の純度が向上する。典型的には、(一定ブルームの最終サイズと一定作業の総時間について)サイクルBを採用して製造されたブルームの鉄と珪素の含有率は、サイクルAを採用して製造されたブルームのそれより平均30%低く、精製率の差は大きなものになる。
【0036】
浸漬と浮上によって形成された順序が精製基本サイクルを形成する。各基本サイクルの時間は可変、またはほぼ一定とすることができる。各サイクルの時間は好適には20秒と5分の間に含まれる。タイミングが早すぎると、それぞれの基本サイクルについて、少量の結晶しか形成されず、これらの結晶の正確な剥離(または水切り)がより困難になる。タイミングが遅すぎると、それぞれの基本サイクルで結晶の皮が厚く、堅くなり過ぎ、皮剥ぎ器が停止することがあり、単位時間内に形成される結晶量が低下する。
【0037】
押圧作業は、好適には、押圧手段またはそれぞれの押圧手段による固体塊の加圧と、浸漬時間Tiにほぼ等しい(好適には少なくともTiの95%の)時間Tcの間の圧力維持を含んでいる。高位置での維持は、好適には浮上時間Teにほぼ等しい(好適には少なくともTeの95%の)時間Trの間とする。
【0038】
押圧手段の浸漬深さは固体塊の高さHの関数とする。精製作業開始時点では大きく、固体塊の成長につれて次第に減少する。押圧作業では固体塊(22)を圧縮し、上表面に堆積した結晶(21)を押しつぶして、結晶の間に含まれる不純液の一部を排出する。くわえて、この押圧は、ブルームを押しつぶして、新しい固体部分を高温壁に接触させ、部分的再溶融を促進する。押圧作業は、好適には時間Tc内に前記押圧手段またはそれぞれの押圧手段の圧縮運動を一回だけ含み、押圧された固体塊の高さH(t)の前記測定がそれに続く。実際には、押圧手段で高さを測定するとき、押圧手段が達することができる最も低い点に対応するある最低高さHmに固体塊が達したときからしか高さは測定できない。この時間は「衝突」と呼ばれる(図5に文字Gで識別した)。衝突後の時間tを測定するのが実用的である。
【0039】
坩堝と押圧手段またはそれぞれの押圧手段からの結晶の剥離作業は、押圧手段またはそれぞれの押圧手段が浮上するときに実施できる。押圧手段またはそれぞれの押圧手段からの結晶の剥離作業は、前記押圧手段またはそれぞれの押圧手段の浮上の過程で実施することもできる。
【0040】
坩堝の底への結晶の移行は、押圧手段またはそれぞれの押圧手段の浮上時間Teの間にほぼ行われることが望ましい。
【0041】
成長の過程での固体塊の再溶融作業はほぼ連続したプロセスである。実際には、再溶融は押圧された固体塊(22)の周辺でしか起こらず、その結果、実質的な再溶融区域(23)は坩堝の底と、高さHまでのその壁を含んでいる。図1から3に示したごとく、再溶融は、結晶(21)の堆積区域の部位に位置するこの表面の上部を含む、固体塊(22)の周辺表面のほぼ全体で発生する。固体塊(22)の測定高さHの関数である加熱出力Pの調節は、固体塊全体に直角にかかる出力を少なくとも対象とする。本発明によれば、前記固体塊の再溶融率は精製の完全な作業の過程で可変であり、好適には所定の進行に従う。再溶融結晶の質量Mrと形成された結晶の質量Mcとの間の比(Mr/Mc)が、それぞれの基本サイクルについて、時間tに応じた押圧塊の、すなわち押圧作業後の固体塊の高さH(t)の非減少関数になるように再溶融率が進行曲線に従うとき、平均精製率が有意に増加することを出願人は確認した。言い換えれば、目標再溶融率は、高さH(t)が増加するときに一定または増加する。初期生成質量Mcは再溶融後の質量と再溶融質量の和に等しい。再溶融を、再溶融質量と部分再溶融後に残留している質量の間の比に等しい、洗浄率で表すこともできる。
【0042】
かかる再溶融率は非線形で凸型の、すなわち傾きが減少またはゼロの固体塊の目標成長曲線Ho(t)に至る(かかる曲線は図5に図示した)。言い換えれば、高さH(t)の進行速度は経時的に減少する。本発明による成長曲線は有利には、基本サイクルごとに測定した固体塊の高さH(t)の値を、基準値Ho(t)(経時的に押圧される質量の所望の成長型の曲線に対応)と比較して、加熱手段の出力の調節によって得られる。典型的には、連続するいくつかの基本サイクルで測定した値H(t)が基準値Ho(t)を越えるとき、加熱出力を上昇させる。反対の場合はそれを低下させる。好適には、前記調節は、実測高さH(t)(好適には、数分間または連続する数基本サイクルの平均(スライド平均))と基準値Ho(t)の間の偏差と、この偏差の経時的増加または減少傾向を同時に考慮して、特に調節の「振動」と呼ばれる現象を防止する。したがって、Hoが衝突からの経過時間に依存する予め決められた基準値である、測定高さHと基準値Hoの間の差に応じて加熱出力Pを調節すること、すなわちH−Hoに応じて出力Pを制御することが有利であることが分かった
【0043】
好適には、時間tで課される出力増分ΔPは、
ΔP(t)=A×[H(t)−Ho(t)]+B×{Δ[Ht(t)−Ho(t)]/Δt}
の形を取り、ここでAとBは経験的な正の係数で、基準高さをすぐに回復できるように、ただし不可避的な装置の熱慣性にもかかわらず(出力増分が結晶上昇曲線の変曲点に反映されるには一般的に数分が必要)、この基準高さの前後で「振動」を発生させずに、調節される。加熱出力の調節は有利には情報化システムによって保証される。
【0044】
出願人は、意外なことに、所与の生産性のために、すなわち完全な分離操作のために所与の時間を固定することによって(それによって、所定の重量のブルームを得るために)、サイクルを実施する仕方および、特に、ブルームの成長率をすでに押圧されたブルーム(または固体塊)の高さに応じて表した法則が、得られた最終ブルームの平均純度に大きな影響があることを発見した。言い換えれば、意外なことに、特定の規則に従って、押圧されるブルームの高さ増加するように加熱出力を制御することで、所与の生産性のために得られる精製率を大幅に向上させることができる。
【0045】
押圧手段またはそれぞれの押圧手段と坩堝の内壁の間に残された自由空間は、好適には、剥がれた結晶が坩堝の底に落下する間に洗浄と呼ばれる現象を受けるものである。この現象が発生するのは、液状アルミニウムが液相線温度よりもわずかに高い温度である区域内で、結晶が壁の近傍を通過するときであり、それによって中心部よりも不純物濃度が高い、結晶表面の部分再溶融が引き起こされ、その結果精製が向上する。
【0046】
本発明の変型によれば、押圧手段またはそれぞれの押圧手段および坩堝の寸法は、押圧手段またはそれぞれの押圧手段が低い(浸漬)位置にあるとき、液状アルミニウムの自由表面が上昇して坩堝の内壁上の結晶化区域の表面をほぼ全体的に覆い、押圧手段またはそれぞれの押圧手段が高い(浮上)位置にあるとき、液状アルミニウムの自由表面が下降して前記区域内に形成された結晶のリング(25)の上部が液状金属から、少なくとも部分的に浮上し、これらの結晶が、剥離手段(より正確にはその削り道具)が液体金属内に侵入することなしに、引き剥がされるような寸法である。本発明のこの変型は、削り道具の摩耗を減らして剥離手段への介入頻度を減らし、装置の保守を容易にし、母液の汚染の恐れを減らすので、精製率が高くなり、よりよく制御される。
【0047】
図1に示したごとく、推奨実施態様によれば、本発明の偏析による精製法は、−坩堝(2)の底に堆積する精製アルミニウムの固体塊(22)の形成に至る、精製基本サイクルの実施であって、各サイクルが、
・液体アルミニウムの自由表面(19)をレベルNrにして、時間Trの間、押圧手段(12)を高位置に維持する過程(図1A)、
・液体アルミニウムの自由表面(19)がレベルNcまで上昇して、押圧手段(12)を引き下げ、固体塊(22)とその上部表面上に堆積する結晶(21)を押圧手段によって加圧する過程(図1B)、
・前記圧力を維持し、好適には固定された時間Tcの間、前記結晶化区域内(29,29a)で、押圧手段上と、坩堝表面上の両方で結晶(24,25)を形成する過程(図1C)、
・押圧手段によって固体塊の高さHを測定する過程、
・液状アルミニウムの自由表面(19)がレベルNrまで下降して、冷却位置と呼ばれる、高位置まで押圧手段を再上昇させる過程、
・好適には液状アルミニウムの外で、剥離手段(13,14)によって結晶を剥離し、このようにして剥離させた結晶が重力の作用によって前記坩堝の下部に向かって移行する作業(図1D)、
とから成る基本サイクルの実施と、
−固体塊の、連続的、部分的再溶融、
−高さHに応じた加熱出力Pの調節、
−固体塊が所定の高さHfに達したときの精製基本サイクルの停止、
とから成ることを特徴とする。
【0048】
前記結晶化区域は坩堝の長さZ1と押圧手段またはそれぞれの押圧手段のロッドの長さZ2とにわたる
【0049】
本発明によれば、母液と呼ばれるある量の液状アルミニウムから極めて高純度の固体アルミニウム塊(または「ブルーム」)を成長によって形成するのに適した、偏析によるアルミニウム精製装置は、耐火坩堝と、坩堝加熱手段を備えた炉と、結晶化区域と呼ばれる、特定の表面上で部分的結晶化によって結晶を形成するための手段と、前記結晶の剥離手段と、前記結晶と前記ブルームの少なくとも一つの押圧手段と、押圧手段またはそれぞれの押圧手段を上下に移動させるための手段と、成長の過程で加熱によって前記ブルームの再溶融を発生させる手段から成り、前記固体塊の高さHの測定手段と、前記測定高さHに応じて前記加熱手段の加熱出力を制御するための手段を含むことを特徴とする。好適には、制御は所定の高さの進行速度が得られるように実行され、更に好適には所定の高さの進行速度が経時的に低減する。再溶融手段は、好適には、ブルームの周辺表面でほぼ連続的な再溶融を可能にする。
【0050】
推奨実施態様によれば、本発明による装置(1)は、耐火坩堝(2)と、坩堝加熱手段(5,5a、6、6a、7,7a)を備えた炉(4)と、少なくとも一つの押圧手段(12)と、押圧手段またはそれぞれの押圧手段を上下に移動させるための手段とから成り、押圧手段またはそれぞれの押圧手段(12)がロッド(9)と前記ロッドと一体の押圧先端(10)を有し、結晶化区域と呼ばれる区域(29,29a)内でロッド(9)上と前記坩堝の内壁(26)上で同時に部分的結晶化によって結晶(24,25)を形成するための手段を備え、前記ロッドと前記内壁から前記結晶を剥離させるための手段(13,14)を備え、先端(10)と前記坩堝の内壁(26)の間に、重力の作用で坩堝の下に向かって移行するときに前記剥離手段によって剥がされた結晶の通過を可能にするのに十分な自由空間(28)が存在し、成長の過程で固体塊(22)の高さHを測定する手段を備え、好適には所定の、経時的高さHの進行速度を得ることを可能にする、前記測定高さHに応じて前記加熱手段の加熱出力を制御するための手段を含むことを特徴とする。
【0051】
本発明の推奨実施態様によれば、装置は単一の押圧手段しか備えていない。
【0052】
炉(4)は好適には断熱隔壁(40)と金属製のケーソン(41)を備えている。加熱手段(5,5a、6、6a、7,7a)は好適には坩堝(2)にそって配分されている。有利には、坩堝にそって所定の仕方で加熱出力が調節できるように、前記加熱手段を個別に、あるいはまとめて、制御できる。特に、加熱手段のこの配置はブルーム全体の付近に加えられる加熱出力の調節を可能にする。
【0053】
該装置は好適には押圧手段(12)によって押圧される塊(22)の高さHを測定するための手段を備えている。そのために、装置は、特に押圧作業の際に、押圧手段の液体金属内への押し込みを測定し、それから押圧されるブルームの高さを減算する手段を備えることができる。該装置は好適には、前記塊の粉砕を効果的に制御するように固体塊(22)の反応力を検出し、時間tでの坩堝の底に対する高さH(t)で与えられる塊の形成進行を追跡することができる手段を備えている。
【0054】
有利には、該方法は、押圧作業の都度、実際に押圧される高さと作業のこの時点で所望の基準高さHo(t)を比較し、H(t)とHo(t)の間の差に応じて加熱出力Pを制御する手段を備えている。該装置は好適には情報化された、加熱出力制御手段を備えることができ、H>Hoのとき出力を増加させ、H<Hoならばそれを低下させることができる。この制御手段は所望の加熱出力を得るために前記加熱手段に作用する。
【0055】
ロッド上に結晶を形成するための前記手段は、ロッドが高い(水面から出た)位置にあるとき、放熱および/または自然または強制対流によるロッドの冷却からなる。坩堝内壁に結晶を形成するための前記手段は、熱シンク効果による前記壁の温度の低下を含む。結晶区域(29)内の坩堝の壁は、特に放熱または対流による熱損失を引き起こすのに十分な長さだけ、加熱区域の上に、または炉(4)の外に坩堝の壁を延長することによって効果的に冷却される。このとき坩堝の空中にそびえる(または、突き出ている)部分(32)は放射フィン効果によって、熱シンクとしての役割を果たす。管(3)の上部(33)から測定される、前記空中にそびえる部分(32)の長さ(Le)は、2トンの容量を有する装置で、壁の厚さTが5cmのとき、典型的に2〜15cmである
【0056】
部分的結晶化は、坩堝の壁とロッドの表面温度が母液の液相線温度未満であるときに、結晶化区域(29)と(29a)内で発生し、結晶を形成させる。これらの区域内で、正味熱流動はこのとき液体金属から坩堝の壁に向かって、またロッドに向かって導かれる。
【0057】
坩堝の上の結晶化区域(29)の下限は温度が液相線温度に等しくなる内壁の場所に対応する。結晶化区域の下に位置する区域は再溶融区域(31)と呼ばれる区域に対応する(図3)。結晶化区域と再溶融区域の間の狭い転位区域は「中性点」と呼ばれる。再溶融区域内では、熱流動は坩堝の壁から金属に向かって導かれ、壁の温度は金属の液相線の温度を超える。坩堝において、結晶化区域の高さ(Lc)と再溶融区域の高さ(Lr)の間の比は好適には0.3未満、更に好適には0.25未満である。実際には、再溶融は押圧される固体塊(22)の周囲でしか起きないので、実質的再溶融区域(23)は坩堝の底とその壁から高さHまで広がる。したがって、この表面の上部を含む、ブルームの周辺表面のほぼ全体が再溶融する。
【0058】
坩堝と炉の上部の加熱手段(5と5a)の間に熱スクリーン(34)を設けることも有利であり、好適には前記スクリーンは結晶化区域(29)をわずかに越える面積を有する。このスクリーンは坩堝の内壁上で、結晶化区域と再溶融区域を分離する中性点のおよその位置を固定し、加熱出力が変化するときに、この位置の大きな変動の源を除去する。
【0059】
ロッド断面積は先端のそれを下回ることが望ましい。押圧手段の先端の周辺と坩堝の内壁の間に残された自由空間(28)は好適には、結晶が剥離手段によってロッドおよび坩堝の壁から剥がれるやいなや坩堝の底に堆積できるものである。先端と坩堝の内表面の間の距離Dは有利には、剥がれた結晶が坩堝の底に落下する間に洗浄と呼ばれる現象を受けるものである。この現象が発生するのは、液状アルミニウムが液相線温度よりもわずかに高い温度である区域内で、結晶が壁の近傍を通過するときであり、それによって中心部よりも不純物濃度が高い、結晶表面の部分再溶融が引き起こされ、その結果精製が向上する。好適には距離Dはほぼ一定で、30mm以上であり、更に好適には50と100mmの間に含まれる。距離が大きすぎると突き固め表面(15)が小さくなり、押圧作業の効果が低下する。この状態で、先端は結晶を坩堝の内壁に近づけ、液状アルミニウムの温度が実際に液相線温度よりわずかに高い壁の表面近傍を通過させようとする。同じく有利なのは、押圧手段が高位置にあるとき、洗浄現象を促進するように、先端の下部が中性点の下に止まるようにすることである。
【0060】
ロッド(9)と坩堝の内壁(26)の間の自由空間(28a)は剥離手段(13,14)が障害なしに移動し、結晶(24,25)が迅速に形成されるものである。ロッド(9)の断面は好適には円形で、その直径は好適には坩堝の内径の20%と35%の間に含まれる。直径が小さすぎるとブルームを押圧するのに不十分なことになり得る機械的抵抗になり、排出熱流れが制限されて結晶製造率が低下することになる。直径が大きすぎると、坩堝の有効容積を、したがって、生産性を大幅に制限する浸漬体積になる。
【0061】
ロッド(9)と先端(10)は好適には、全体または一部が黒鉛製で、それによって液状アルミニウムの汚染のおそれが大幅に減らされる。黒鉛の熱伝導性は高いので、ロッドの結晶化区域(29a)内でロッドを効果的に冷却し、結晶化によって発生する熱エネルギーを迅速に排出することができる。ロッド(9)は更に好適には、全体または一部が、燐酸アルミニウムまたは亜鉛、燐酸またはそれらの混合物、またはホウ酸などの化合物の含浸によって空気酸化防止処理をした黒鉛製とする。更にロッドの表面区域をSiCなどの摩耗防止化合物によって部分的に含浸することができる。珪素炭化物またはサイアロン(用語の意味は「珪素とアルミニウムのオキシ窒化物」、英語で”Silicon Aluminium Oxinitride”)製の被覆などのコーティングまたはセラミックの被覆をロッド(9)に施して、その酸化と摩耗を防止することも更に有利である。これらの措置によって、たいていの場合は酸化によって分離し、剥離装置によって取り込まれ、そのためブルーム内に存在する黒鉛粒子の発生を防止することができる。精製金属の使用の際に、これらの粒子が悪影響を及ぼし、気泡を発生させたり、黒鉛粒子に直角に局部的分離を引き起こすことがある。
【0062】
先端(10)の上部(27)は有利には、図4中のa)に示したごとく、円錐台形である。円錐の角度、すなわちロッドの軸Cと円錐の表面(27)の間の角度αは好適には30度と60度の間に含まれ、更に好適には40度と50度の間に含まれる。円錐の角度が大きすぎると、すなわち結晶の自然な崩落面の角度より大きいと、結晶が円錐台表面(27)に堆積し、装置の全体的効率を落とすことがある、なぜならこれらの結晶はブルーム(22)の形成と再溶融による予備精製に関与しないからである。円錐の角度が小さすぎると、先端が長く成りすぎて、坩堝の有効体積のかなりの部分を使用し、結果的に、坩堝内に充填され、精製作業を受けることのできるアルミニウムの量が減る。他方で、先端が長くなると、皮剥ぎ可能な結晶、すなわち剥離手段(13)によって容易に剥がすことのできる結晶の形成に使用できるロッドの長さが大幅に減少する。
【0063】
同様に、先端(10)は有利には、突き固め表面と呼ばれる下部表面(15)と前記先端の上部表面(27)の間に管路押圧手段(11)を備え、それによって、特に固体塊(22)の押圧作業の際に、液体金属の流れが改善される。
【0064】
本発明の有利な変型によれば、先端(10)とロッド(9)は一体ではあるが2つの別個の部品を形成し、これら2つの部品の間の継ぎ目の熱伝導率は低い、すなわちロッドのそれの少なくとも10分の1であるので、ロッドと先端の間に少なくとも部分的に断熱が成立する。この断熱によって、特にロッドが高位置にあって(精製サイクルの終わりの場合のように)液状アルミニウムの表面に近いときに、ロッドを介して先端が冷却されるのを大幅に制限し、それによって剥離手段が接近しにくい、あるいは全く接近できない結晶が先端表面上に形成されるのを制限することができる。ロッドと先端は好適には同じ材料製として、膨張差の問題を回避し、好適には黒鉛製とする。図4中のb)に示したごとく、この変型の推奨実施態様はロッドと先端の間にねじ(50)によって継手を設け、2つの部品の間、好適には少なくとも2つの平坦部分(52a、52b)の間の接触表面のかなりの部分に断熱材料製の円盤(51)を配置して、単一部品を形成するロッドと先端と比較して少なくとも20%熱の流れを減らす。好適には、前記断熱材料はロッドよりも少なくとも10分の1,更に好適には少なくとも100分の1の低い熱伝導率を有する。
【0065】
本発明の変型によれば、押圧手段またはそれぞれの押圧手段および坩堝の寸法は、押圧手段またはそれぞれの押圧手段が低い位置にあるとき、液状アルミニウムの自由表面が上昇して坩堝の内壁上の結晶化区域(29)の表面をほぼ全体的に覆い、押圧手段またはそれぞれの押圧手段が高い位置にあるとき、液状アルミニウムの自由表面が下降して前記区域内に形成された結晶のリング(25)の上部が液状金属から少なくとも部分的に浮上し、剥離手段(特にその削り道具)が液状金属内に侵入することなしに、これらの結晶が、引き剥がされるような寸法である。本発明のこの変型は、削り道具の摩耗を減らして剥離手段への介入頻度を減らし、装置の保守を容易にし、母液の汚染のおそれを減らすので、精製率が高くなり、よりよく制御される(特に本発明を、99.999%を越える純度を得るために、すでに精製した金属の精製、すなわち「超精製」に用いるとき)。
【0066】
剥離手段(13)と(14)はロッドの掻き取りによって結晶(24,25)の剥離を可能にする。好適には、装置は押圧手段またはそれぞれの押圧手段が再上昇の途中のときにはロッド上で、結晶剥離作業を実施し、押圧手段またはそれぞれの押圧手段が高位置(浮上)にあるときは坩堝表面で結晶剥離作業を実施するための手段を備えている。更に好適には、ロッド上の剥離手段(13)は、ロッドが再上昇するときにロッドに対して皮剥ぎ器または掻き取り器(8)を位置付け、ロッドがいったん高位置(冷却位置)に達したらそれらをロッドから引き離すための手段を備えている。特に有利な実施態様によれば、掻き取り器は坩堝の縁から所定の部位に維持され、剥離作業は押圧手段またはそれぞれの押圧手段の再上昇の際に実施される。実際には、掻き取り器はロッドが再上昇するときにだけロッドに押し付けることができる。この実施態様の変型によれば、掻き取り器はロッドの周辺の一部(およそ半分)しか覆わない、すなわちほぼ半円形で、剥離作業はロッドの回転運動と組み合わされた垂直運動によって、ロッドの全周辺部で実施される。
【0067】
剥離手段は、液状アルミニウムの自由表面に対してその位置を調節できるシステムを備えることができ、押圧された固体塊が増加し、液状アルミニウムと固体アルミニウムの間の密度の差のために総体積の減少を引き起こすにつれて自由表面レベルの低下を補うことができる。
【0068】
本発明の推奨実施態様によれば、装置(1)は坩堝(2)が回転軸と呼ばれる軸Cを中心に円筒対称を有し、前記装置が回転軸Cを中心に坩堝を回転させるための手段(17)を備え、坩堝上の結晶化区域(29)の全周辺の掻き取りが剥離手段(14)の上下の往復運度と前記坩堝の回転運動の組合せ作用によって得られることを特徴とする。このような形状によって剥離手段(13,14)の占有空間が大幅に減少し、前記手段の個別作動を可能にする機械システムの複雑性が減る。
【0069】
この実施態様の推奨変型によれば、坩堝(2)はつば(30)を備えた鋼鉄の鋳型(3)内に挿入され、鋳型(3)は坩堝・管の全体を支えるプレート(16)を介して、傾斜円錐台形ローラー(18)の上に置かれる。円錐台形のローラーは坩堝の回転を容易にするだけでなく、装置の軸に対してプレート(16)を自動的に中心にすることも保証する。坩堝は円錐台形ローラーのうちの一つのモーター装置によって効果的に回転させることができる
【0070】
本発明のブルームは本発明による装置によって工業的に得ることができるが、特に、母液と呼ばれる、精製するある初期量の液体アルミニウムを耐火坩堝に充填し、ロッド(29a)上と坩堝の壁(29)上の結晶化区域内での前記母液の部分的結晶化による結晶形成と、剥離手段(13)と(14)による結晶の剥離と、「ブルーム」と呼ばれる、圧縮された固体塊を段階的に成長させるように、押圧手段(12)によって前記坩堝の底に堆積した結晶(21)と固体塊(22)の定期的押圧と、固体塊を更に精製するような前記固体塊の段階的部分再溶融と、好適には所定の低減するHの進行速度を得るように、Hに応じたブルーム成長過程での加熱手段(5から7a)の加熱出力の制御と、母液と、最終ブルームと呼ばれる最終固体塊の物理的分離によって得ることができる。
【0071】
結晶は、特にロッドが母液内に浸漬されているときにロッド上に形成され、ほぼ連続的に坩堝の壁の上に形成される。
【0072】
精製基本サイクルにおいて、先端(10)は、先端の上面または下面における結晶の形成を避けるために、好適には常に母液の中に浸かっており、このような結晶が形成されると、残留母液の体積を減らすことになり、それゆえに、押圧された精製結晶塊の形成に関与することなく、残留不純物濃度を増加させることになる
【0073】
本発明は、純度が99.97%以上のアルミニウムから出発して、最低純度が99.998%のアルミニウムを得ることを可能にするアルミニウムの超精製にも適用される。かかる金属は特に集積回路の金属配線技術のために使用される。かかる精製度を得るための、さらなる困難は、放射性の不純物、特にウランとトリウムをできるだけ完全に除去する必要があることである。一般的に、精製開始金属は電解によってすでに精製され、Ti、V、ZrおよびCrなどの包晶元素の含有率が極めて低く(合計1ppm未満)、Fe、Si、Cuなどの通常の共晶不純物が少ない(それぞれ5ppm未満)金属である。この金属は、反対に、集積回路の金属配線技術に重大な障害となるウラニウムとトリウムを、例えば、0.1ppmを越えるトリウム、0.01ppmを越えるウラニウムの含有率で含んでいるが、集積回路の製造者の要求は現在U+Thの合計が0.0007ppm未満に制限された含有率に対応している。放射性不純物の極めて低い含有率に対するこの制限は、回路を構成する基本トランジスタのサイズが減少するにつれて厳しくなる一方で、製造者の希望は、U+Thの合計について、0.0001ppm未満の限度に推移しており、精製金属のこれらの不純物の初期含有率を1000以上で分割することが必要になる。先行技術の方法によって、放射性不純物がこのように制限された含有率を得ることは、カスケード式に(例えば、連続する2つの偏析)精製を実施することでしか実現できず、それによって生産コストは大幅に上昇し、開始の電気精製金属に対して、最終精製金属の収率を極めて顕著に下げる。
【0074】
実施例
実施例1
容量の異なる装置で工業試験を実施した。これらの装置において、押圧手段は単一であって坩堝の底まで降りてこなかった。この条件において、押圧は固体塊が押圧手段の最大押し込み位置に達したときにしか発生し始めない。このときに前記「衝突」が発生する。この特徴が本発明による装置と方法の非制限的変型を構成する。
【0075】
これらの試験はブルームの3種類の成長曲線(または「上昇曲線」)を対象とした。
a)成長の合計時間(Ttot)の間ほぼ一定の上昇速度Vm(先行技術)。
b)3つの上昇速度段階を含む上昇速度。初期段階はTtotの10%の間、Vmの1.5倍に等しく、続く段階はTtotの20%の間、Vmの1.2倍に等しく、そしてTtotの70%の間、Vmの0.87倍に等しい段階で終わる。c)8つの上昇速度段階を含む上昇速度。初期段階はTtotの5%の間、2.4×Vmに等しく、続く段階はTtotの10%の間、2.0×Vmに等しく、続く段階はTtotの10%の間、1.6×Vmに等しく、続く段階はTtotの15%の間、1.2×Vmに等しく、続く段階はTtotの15%の間、0.9×Vmに等しく、続く段階はTtotの20%の間、0.65×Vmに等しく、続く段階はTtotの20%の間、0.375×Vmに等しく、そしてTtotの5%の間、上昇速度ゼロの段階で終わる。
【0076】
表1は使用した炉の主要寸法、ブルーム成長パラメータおよび上昇曲線と炉種別ごとに約5から15の試験で得られた精製率平均値をまとめたものである。これら全ての試験は、23秒のロッド浮上時間と15秒の浸漬時間(結晶化および押圧位置)を含む押圧サイクルで実施した。
【0077】
これらの試験はほぼ一定の上昇速度で得られたブルームが本発明によって得られたブルームよりもはるかに大きな内部異質性とブルームごとの変動を示すことを明らかにする。更に、ブルームの平均純度は坩堝の直径が大きいほど低くなり、出願人はこれを、純度レベルが最も高くなるブルームの周辺部分がブルームの直径と共に、したがって、坩堝の直径と共に逆に変動する事実で特に説明している。
【0078】
これらの試験は押圧手段のロッド上(これらの試験において典型的には約40%)と坩堝の内壁上(約60%)に同時に結晶を生成することによって、生産または投資コストの面から重大な障害になる冷却能力をそれほど必要とすることなしに部分結晶化結晶の生成率を大幅に上げることができる。これは、先端と坩堝の壁の間の空間に結びつく坩堝の底への迅速な堆積、ならびにこの過程が制限的にならないように、結晶化にも使用できるロッドの使用、および高温液状アルミニウムの上昇流に逆流するその落下の間の結晶洗浄効果によって、場合によっては説明できるだろう。
【0079】
出願人は、極めて凸状の結晶上昇曲線(すなわち、すでに押圧された高さが増加するにつれて極めて減少する上昇速度)を用いて得られる、ブルームの平均純度の驚くべき改善の元を理解しようと試みた。この目的において、例3に従って製作されたブルームと例7に従って製作されたブルームから直径の区分(ブルームの軸方向「カット」)を採取した。珪素と鉄の含有率の閃光分光分析をこれらの区分の全表面から採取した一連の標本について実施した。この分析によって、ブルームの軸方向のそれぞれの区分内の標本の位置に応じて、金属の鉄および珪素含有率の地図を作製できた。図6は珪素含有率の場合の、得られた結果を珪素の「等レベル曲線」(「等含有率」)の形で示している。これらの曲線は、例3(図6a)で作成したブルーム内で、珪素含有率が坩堝の底から押圧された高さと共に大きく増加し、高さに伴う珪素含有率のこの成長が例7(図6b)に従って作成したブルームの場合はるかに低いことを示している。この最後の場合、更に、特にブルームの「上」部において、第一の場合に比較してブルームの外側リングのより高い純度が認められた。
【0080】
更に、例7に従って作成したブルームの場合、「頭部」をほんの少し切断するだけで、純度の一番低いブルームの区域の大部分(珪素含有率が25から30ppmを越える)を除去することができる。5から8%程度固体ブルームの頭部を切断することによって、切断後に残る固体金属の平均純度は極めて高くなる。
【0081】
例3に従って作成したブルームの場合、反対に、純度の低い区域がもっと広いことが分かり、また切断は、もっと大きくしても(つまり生産性が大幅に低下する、すなわち同一の作業時間で切断したブルームの最終正味重量が低下する)、切断後に残る金属の平均純度はわずかしか向上しない。
【0082】
これらの結果は、c)型の、極めて凸型の上昇曲線について、得られたブルームの組成の均質性が遙かに優れていること、またこの組成が平均してより純度が高いことを示している。
【0083】
実施例2
c)型の凸型上昇曲線を採用して得られた個別ブルームの内部組成の最高の均質性の影響を評価するために出願人は、生産管理の一環として、質量濃度がほぼ一定(すなわち、鉄含有率が280と320ppm(含む)の間、珪素含有率が180と220ppm(含む)の間)の一次金属から得られた90ブルームについて分析を実施した。対応する90の偏析作業を液状アルミニウム容量が2000kgの大きな坩堝で、衝突後18時間のブルームの上昇時間で、実現した。これら90の作業において、45はa)型の線形上昇曲線で、そして45はc)型の凸型上昇曲線で実現した。押圧終了後、不純な液体を除去し、全てのブルームは最低40分の間水切りした。不純な残留液体が多いペースト状の頭部も、黒鉛製のスクリュウで、水切りのほかに、引っ掻き、深さ約8cmにわたって(もっと正確には極限値5と10cmの間で)より不純なこの区域を除去した。掻き取りと水切り、および冷却の後、低温固体ブルームはその坩堝から取り出して、この粗状態で秤量した。それらの重量は1370kgと1460kgの間で、平均重量は1405kgであった(2つのブルーム群、すなわちa)型の上昇の結果と、c)型の上昇の結果のものは、この観点からは判別できない)。全てのブルームはつぎに頭部を切断して、切断後の残留ブルームの長さを一定にし、切断後の残留ブルームの正味重量を1300kg±10kgに対応させた。a)型の45のブルームとc)型の45のブルームはつぎに、電磁管で加熱された、極めて純粋なアルミナを充填した容量4トンの炉内で、3ブルームの群ごとに別個に再溶融した(したがって、a)型のブルームは15の再溶融作業、c)型のブルームは15の再溶融作業)。予め、これらの再溶融の間、この炉が金属をほとんど汚染しないことを確認した(鉄再取込0.3ppm未満、珪素再取込1.0ppm未満)。再溶融作業の都度、再溶融した金属の標本を採取し、それらの鉄および珪素含有率を分析した。これらの分析は以下を示した。
−a)型の3つのブルームの15の再溶融について、再溶融金属の鉄平均含有率は8.3ppm、値は3.4ppmから14.7ppm(したがって極限値の間の差は11.3ppm)、再溶融金属の珪素含有率は28ppm、値は15ppmから51ppm(したがって極限値の間の差は36ppm)。
−c)型の3つのブルームの15の再溶融について、再溶融金属の鉄平均含有率は3.0ppm、値は1.4ppmから5.2ppm(したがって極限値の間の差は3.8ppm)、再溶融金属の珪素平均含有率は12ppm、値は6.4ppmから18ppm(したがって極限値の間の差は11.6ppm)。
【0084】
これらの検査はしたがって、c)型の極めて凸型の上昇曲線では、a)型の線形上昇曲線に比較して、偏析した金属の平均純度がより高いだけでなく、純度の分散もかなり低く、つまり変動性が低くなることを示している。この改善は重要である、なぜなら、工業生産において、偏析したブルームは再溶融の前に分析できないからである。コスト上の理由から、それらはできるだけ大きなロットごとに再溶融される。このとき、ブルームごとの純度の大きな分散は、一つまたは複数のブルームが目標とする不純物含有率限度を大きく超えたとき、要求純度が守られなかったことを理由に、鋳造全体が不合格になる可能性が増大する。一般的に、工業的生産のこのようなリスクを限定するために、最大許容含有率マイナスブルームごとの含有率の分散の2倍程度のブルームの不純物平均含有率を目標とする。この条件において、分散が大きいと精製コストが増大することになり、もっと大きな平均純度を求めなければならなくなる。
【0085】
実施例3
通常の坩堝を構成する耐火材の不純物による金属の汚染のおそれを制限するために、c)型の極めて凸型の上昇曲線を用い、また超高純度の黒鉛製坩堝を使用して、本発明に従って99.99%のアルミニウムの最低純度を99.9995%のアルミニウムにする超精製工業試験を実施した。平均内径600mm、高さ2000mm、700℃で予め焼いたアルミナゲルによって結合された極めて純度の高いアルミナ系の鋳型コーティングによって内部が保護されたこの黒鉛製坩堝は、組成が、Fe=2ppm、Si=3ppm、Cu=2ppm、Th=0.12ppm,U=0.02ppm、Ti+V+Zr=0.5ppmである電気精製アルミニウム1310kgが充填された。衝突後、押圧ブルーム(掻き取り、水切り前の)最終重量は880kgを目標として、c)型の曲線で、結晶の上昇を20時間実施した。作業の終わりに、残留不純液体は傾けて排出し、ブルームの頭部は深さ100mmにわたって黒鉛製のスクリュウで掻き取り、傾けた位置での水切りは1時間に延長した。つぎに水切りしたブルームを冷却し、坩堝から引き出した(その粗重量は780kgであった)。つぎに粗ブルームは脚部(35kg除去)と頭部(80kgの「輪切り」を除去)を同時に切断し、ついで厚みがおよそ1cmの周辺層を旋盤で除去して、固化した塊を汚染したかも知れない一切の微量の鋳型コーティングを除去した。これらの作業の後、頭部と脚部を切断し、旋盤の後のブルームの正味重量は630kgであった。最後に、このブルームは超純黒鉛製の坩堝炉内で再溶融され、このようにして再溶融した金属は蛍光質量分光分析で分析した。このようにして分析した不純物含有率は、Feが0.2ppm未満、Siが0.25ppm、Cuが0.3ppm、TiとVとCrとZrとの合計が0.3ppm未満,Uが0.05ppb以下、Thが0.05ppb以下(分析限度)であった。
【0086】
この試験は、再溶融金属の包晶不純物含有率が、開始の電子精製金属のそれよりも低いことを示しているが、通常は包晶元素が金属の固化部分に集中する傾向があることが認められている。ブルームの脚部が切断された35kgの塊を分析したところ包晶元素の含有率が高いことが分かった。したがって、出願人は、得られた結果を、既成概念とは反対に、わずかな切断で除去することのできる、ブルーム脚部への包晶元素の集中を促進する精製機構によるものとする。この現象は、質量濃度が99.6%から99.93%の一次金属から得られた金属4Nのブルームにも認められた。
【0087】
試験によって更に、観察されたU+Thの放射性不純物の精製率も、(トリウムとウラニウムの場合100から200程度である)固体/液体平衡係数をはるかに越えて、大幅に改善された(トリウムの場合、精製前の金属の初期含有率/切断され皮剥ぎしたブルームの最終含有率は2400を越える)、しかも「最終精製金属/初期金属」の収率は極めて高いままである(630kg/1310kg=48%)。
【0088】
c)型の凸型上昇曲線によって、観察された精製係数にもたらされたゲインは、すでに精製された金属の超精製の場合に確認され、電子用途分野のための超純金属の生産コストを大幅に減少させることができる。試験は更に、ある複数の包晶元素の含有率を減らそうとする場合、本発明によって得られたブルームの脚部の切断作業を備えることが有利であることも示した。
【0089】
【表1】
Figure 0004335463
【0090】
発明の効果
本発明による方法は所与の質量のブルームを形成するのに必要な時間の制御を可能にするので、生産と作業場所の管理の改善につながる。
【0091】
本発明の方法と装置は少なくとも部分的な、自動化と、コンピュータ化が可能である。更に一定の生産性で、偏析した金属がより大きな純度を得ること、すなわち、一定の純度で、生産性を大幅に改善することができる。

Claims (5)

  1. る量の液状アルミニウムを母液として極めて高純度の固体塊を成長させることによってこれを形成する偏析によるアルミニウム精製法であって、前記精製法は、耐火坩堝と、前記坩堝の加熱手段と、押圧手段と、押圧手段を上下に移動させる手段と、剥離手段とから成る装置で実施され、前記精製法は、前記坩堝の底で前記固体塊を前記坩堝内で成長させる成長作業を含み、前記成長作業は、
    ―温度が前記母液の液相線温度より低い、前記装置の特定表面上でのアルミニウム結晶の析出
    ―前記剥離手段による前記結晶の前記特定表面上からの剥離、
    ―重力の作用による前記坩堝の底に向かう前記結晶の移行、
    ―前記固体塊の上部表面への前記結晶の堆積、
    ―前記押圧手段による前記堆積した結晶前記固体塊の押圧、
    ―前記加熱手段による、成長の過程での前記固体塊の部分的再溶融、
    を含み、前記精製法は、
    ―前記成長作業の過程で前記固体塊の高さHの測定、
    固体塊の高さ方向への成長速度が経時的に小さくなるように、測定された高さHに応じて上記加熱手段からの加熱出力Pを調節すること
    を含むことを特徴とする、アルミニウム精製法。
  2. 前記調節が、測定された高さHと基準値Hoの間の偏差、すなわちH−Hoによって決まり、Hoを所定の、経時的に変化させた基準値とすることを特徴とする、請求項1に記載の精製法。
  3. 前記結晶が、坩堝の内壁と同時に押圧手段の一部に析出することを特徴とする、請求項1または2に記載の精製法。
  4. る量の液状アルミニウムを母液として極めて高純度の固体アルミニウム塊を成長させることによってこれを形成する、偏析によるアルミニウム精製装置であって、前記精製装置は、耐火坩堝と、坩堝加熱手段を備えた炉と、特定表面上で結晶を析出するための該特定表面と、前記結晶の前記特定表面上からの剥離手段と、剥離した前記結晶前記固体アルミニウム塊に押圧するための押圧手段と、押圧手段を上下に移動させるための手段と、固体アルミニウム塊の成長の過程で加熱によって前記固体アルミニウム塊の再溶融を生じさせる手段から成り、前記固体アルミニウム塊の高さHの測定手段と、測された高さHに応じて前記加熱手段からの加熱出力を制御するための手段を含み、固体アルミニウム塊の高さ方向への成長速度が経時的に小さくなるよう制御されていることを特徴とする、アルミニウム精製装置。
  5. 押圧手段(12)がロッド(9)と前記ロッドと一体の押圧先端(10)を有し、前記ロッド(9)表面上と前記坩堝の内壁(26)上で同時に結晶を析出するための手段を備え、前記ロッド表面上と前記内壁面上から前記結晶を剥離させるための剥離手段(13,14)を備え、押圧先端(10)と前記坩堝の内壁(26)の間に、結晶が重力の作用で坩堝の下に向かって移行するときに、前記剥離手段によって剥がされる結晶が通過できるのに十分な自由空間(28)が存在することを特徴とする、請求項4に記載の装置。
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