JP4334102B2 - 内袋を有する段ボール箱 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外箱と一体構造の内袋を有する段ボール箱に係り、特に組立ての際に、内袋の下端部に空気が残ってしまうのを防止することができる内袋を有する段ボール箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、段ボール箱内に液状あるいは粒粉状をなす収容物を収容する場合には、これらの収容物が段ボール箱の上下のフラップ部から漏れるおそれがあるため、段ボール箱内に内袋を配置し、収容物をこの内袋内に収容するようにしているのが通例である。
【0003】
ところで、内袋が段ボール箱と別体構造となっている場合には、取扱いが容易でないため、両者を一体構造とする必要がある。そこで従来は、まず展開状態の段ボール箱の内面に展開状態の内袋を接着固定し、次いで展開状態の段ボール箱を折線にそって折曲げるとともに、内袋の端部を熱溶着等の方法によりシールして内袋を構成し、最後に段ボール箱の端部を連結して段ボール箱を構成する方法を採っている。
【0004】
前記従来の段ボール箱の製造方法においては、段ボール箱を組立てる際に内袋も製造されることになるため、内袋の内部が汚れたりゴミが入るおそれがあり、また平封筒状をなす内袋を、段ボール箱を組立てる際に製造しなければならないため、製造工程上どうしても段ボール箱に不要な折線を入れざるを得ず、ためにこの折線により製品となった段ボール箱の壁面強度が低下するという問題がある。また、内袋と段ボール箱とが一部一体に組合わされることになるため、使用後内袋と段ボール箱とを分離してリサイクルを図ろうとしても、分離作業が容易でないという問題もある。
【0005】
そこで、本発明者等は先に、例えば特開平9−278031公報に示されているように、段ボール製の外箱内に、下端が三角形状あるいは台形状をなす内袋を接着固定した内袋を有する段ボール箱およびその製造方法を提供した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等が先に提案した内袋を有する段ボール箱は、内袋の内部が汚れたりゴミ等が入るおそれがなく、また平封筒状の内袋を用いても外箱に不要な折線を入れる必要がなく、リサイクルも容易である等、種々の利点を有している。
【0007】
ところが、この種の段ボール箱においては、組立ての際に、内袋の下端部を折りたたんで方形の平板状とする必要があるため、その際に内袋下端の折りたたまれた部分に空気が閉じ込められ、閉じ込められた空気を抜くことができないという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる現況に鑑みなされたもので、段ボール箱を組立てた際に、内袋下端の折りたたまれた部分に空気が閉じ込められるおそれがない内袋を有する段ボール箱を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的は、段ボール箱を組立てる際に、内袋下端の折りたたみを容易なものとすることができるようにすることにある。
【0010】
本発明の他の目的は、特に外箱の各側面部の横幅が同一寸法の正方形の段ボール箱に適用した際に、組立て作業を極めて容易なものとすることができるようにすることにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、外箱の底面形状が長方形をなす段ボール箱に適用した際に、内袋下端の折りたたみ作業を極めて容易なものとすることができるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため本発明は、折線を介し順次連結された第1側面部,第2側面部,第3側面部および第4側面部と、第4側面部に折線を介し連結された糊代と、前記各側面部の上下端部に折線を介しそれぞれ連結された天部フラップおよび底部フラップとを有する段ボール製の外箱と;第1側面部と第2側面部とを合わせた長さとほぼ同一の横幅を有する平封筒状に形成され、少なくとも前記各側面部の一部に接着固定される内袋と;を備え、前記内袋の各側面部から下方に突出する部分を、底角が45度以上の三角形状とし、前記外箱を組み立てた状態のとき、前記内袋の突出する部分が、前記外箱の一コーナーから対角の他コーナーにわたって三角形に立ち上がる立上げ部3Aとして形成される段ボール箱において、互いに対向する内側の底部フラップ35、37に関し、一方の底部フラップ35は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁35aと、この傾斜縁35aの先端に形成される上底縁35bとを有して台形状に形成され、他方の底部フラップ37は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁37aと、この傾斜縁37aの先端に形成される上底縁37bと、傾斜縁37aの基端側に形成され前記一方の底部フラップ35の上底縁35bに対向する対向縁37cとを有してフラップ基端側の長方形とフラップ先端側の台形とを組み合わせた形状に形成され、外側の底部フラップ26、28は、互いの先端縁が対向するように矩形状に形成され、先に折り返された一方の底部フラップ35に対し前記立上げ部3Aがこの底部フラップ35の傾斜縁35aに沿って折り畳まれた後、他方の底部フラップ37が折り返される構造とし、前記立上げ部3Aの折曲げ基端はその中央部のみが前記両傾斜縁35a、37a間で押さえられることを特徴とする。そして、組立ての際に、内袋の下端部を、その折曲げ基端を前記傾斜縁で押さえながら内側の底部フラップの外側に配置することにより、内袋の下端部に残存していた空気を、容易かつ確実に外部に排出することが可能となる。
【0013】
本発明はまた、内袋の各側面部から下方に突出する部分を、底角が45度の二等辺三角形状とするようにしたことを特徴とする。そしてこれにより、内袋の底部に弛みを生じさせることなく折りたたむことが可能となり、また外箱の底面形状が正方形の場合には、折りたたんだ内袋の先端が外箱底面の外形内に収まるので、段ボール箱の組立作業が容易である。なお、外箱の底面形状が長方形の場合には、折りたたんだ内袋の先端が、一部外箱の外形から突出することになるので、この突出部分を、外箱底面側に再度折り返す必要がある。
【0014】
本発明はまた、折線を介し順次連結された第1側面部,第2側面部,第3側面部および第4側面部と、第4側面部に折線を介し連結された糊代と、前記各側面部の上下端部に折線を介しそれぞれ連結された天部フラップおよび底部フラップとを有する段ボール製の外箱と;第1側面部と第2側面部とを合わせた長さとほぼ同一の横幅を有する平封筒状に形成され、少なくとも前記各側面部の一部に接着固定される内袋と;を備え、前記内袋の各側面部から下方に突出する部分を、下底と斜辺とのなす角度が45度以上で、かつ高さが第1側面部の横幅と第2側面部の横幅とを乗じて2で割った値の平方根以上の値の台形状とし、前記外箱を組み立てた状態のとき、前記内袋の突出する部分が、前記外箱の一コーナーから対角の他コーナーにわたって立ち上がる立上げ部3Aとして形成される段ボール箱において、互いに対向する内側の底部フラップ35、37に関し、一方の底部フラップ35は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁35aと、この傾斜縁35aの先端に形成される上底縁35bとを有して台形状に形成され、他方の底部フラップ37は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁37aと、この傾斜縁37aの先端に形成される上底縁37bと、傾斜縁37aの基端側に形成され前記一方の底部フラップ35の上底縁35bに対向する対向縁37cとを有してフラップ基端側の長方形とフラップ先端側の台形とを組み合わせた形状に形成され、外側の底部フラップ26、28は、互いの先端縁が対向するように矩形状に形成され、先に折り返された一方の底部フラップ35に対し前記立上げ部3Aがこの底部フラップ35の傾斜縁35aに沿って折り畳まれた後、他方の底部フラップ37が折り返される構造とし、前記立上げ部3Aの折曲げ基端はその中央部のみが前記両傾斜縁35a、37a間で押さえられることを特徴とする。そして、組立ての際に、内袋の下端部を、その折曲げ基端を前記傾斜縁で押さえながら内側の底部フラップの外側に配置することにより、内袋の下端部に残存していた空気を、容易かつ確実に外部に排出することが可能となる。
【0015】
本発明はまた、内袋の各側面部から下方に突出する部分を、下底と斜辺とのなす角度がともに45度で、かつ高さが第1側面部の横幅と第2側面部の横幅とを乗じて2で割った値の平方根である台形状となるようにしたことを特徴とする。そしてこれにより、内袋の底部に弛みを生じさせることなく折りたたむことが可能となり、しかも外箱の底面形状が長方形の場合にも、折りたたんだ内袋の先端が、外箱の外形から外方に突出することがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面を参照して説明する。図1および図2は、本発明の第1の参考の形態に係る内袋を有する段ボール箱を示すもので、この段ボール箱1は、方形容器状に組立てられる段ボール製の外箱2と、この外箱2内に接着固定された平封筒状の内袋3とから構成されており、収容物は内袋3内に収容されるようになっている。
【0019】
前記外箱2は、図3に示すように折線4,5,6を介し順次連結された第1側面部7,第2側面部8,第3側面部9および第4側面部10と、第4側面部10に折線11を介し連結された糊代12と、前記各側面部7,8,9,10の上端部に折線13,14,15,16を介しそれぞれ連結された天部フラップ17,18,19,20と、前記各側面部7,8,9,10の下端部に折線21,22,23,24を介しそれぞれ連結された底部フラップ25,26,27,28とから構成されており、前記各側面部7,8,9,10により外箱2の周壁が構成されるとともに、前記各天部フラップ17,18,19,20により外箱2の上蓋が構成され、また前記各底部フラップ25,26,27,28により外箱2の底蓋が構成されるようになっている。そしてこの外箱2は、底面形状が正方形をなすようになっている。
【0020】
前記各底部フラップ25,26,27,28のうち、外側に位置する2枚の底部フラップ26,28は、図1ないし図3に示すように、外箱2の底面を概略半分ずつ塞ぐことができる大きさの方形状をなしており、一方内側に位置する2枚の底部フラップ25,27は、図1ないし図5に示すように、外箱2の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁25a,27aを有する台形状に形成されている。そして、これら両底部フラップ25,27は、図5に示すように、内側に折返して外箱2の底蓋を構成した際に、両傾斜縁25a,27aが接触し、その間から後述する内袋3の下端部3aが外部に引出されるようになっている。
【0021】
すなわち、前記内袋3は、図6に示すように、例えば内面に熱可塑性プラスチックフィルムをラミネートした紙製シート材を二つ折りに折曲げ、その側縁および下縁を熱溶着して平封筒状に形成されており、その横幅Wは、前記第1側面部7の横幅Wと第2側面部8の横幅Wとを合計した値(すなわち第3側面部9の横幅Wと第4側面部10の横幅Wとを合計した値)とほぼ同一に設定されている。また、内袋3の前記各側面部7,8,9,10から下方に突出する下端部3aは、底角θ,θがともに45度をなす二等辺三角形に形成されており、これにより、内袋3の下端部3aを折りたたんで段ボール箱1の底を形成する際に、下端部3aに弛みを生じさせることなく折りたたむことができるとともに、折りたたんだ先端部が外箱2の外形から外側に突出しないようにすることができるようになっている。なお、これについては後に詳述する。
【0022】
このように構成された内袋3は、図7に網目を施した箇所に接着剤29を塗布して外箱2を製造することにより、外箱2に接着固定されるようになっている。
【0023】
次に、本参考の形態に係る段ボール箱1の製造方法について説明する。製造に際しては、図7に示すように、まず予め定められた形状にカットされた外箱2を、その内面が上面側にくるようにして配置し、この状態で、第2側面部8の周縁部,第3側面部9の周縁部および天部フラップ18,19の全域に接着剤29を塗布する。そして、その上に内袋3を載置して、内袋3と両側面部8,9および両天部フラップ18,19とを接着固定する。
【0024】
次いで、第4側面部10の周縁部,天部フラップ20の下端部および糊代12の全域に接着剤29を塗布するとともに、第4側面部10を折線6位置から内袋3の上面側に折曲げて、第4側面部10および糊代12を内袋3に接着固定する。
【0025】
次いで、第1側面部7の周縁部および天部フラップ17の全域に接着剤29を塗布するとともに、第1側面部7を折線4位置から内袋3の上面側折曲げて、第1側面部7を、内袋3および糊代12に接着固定する。
【0026】
以上の作業により、段ボール箱1の製造が完了するので、その後、各折線4,5,6を介して4枚の側面部7,8,9,10を角筒状に折曲げる。
【0027】
ところで、4枚の側面部7,8,9,10を角筒状に折曲げると、図8に示すように、内袋3下端の三角形状をなす下端部3aは、両斜辺を平らにする方向に広げられ、その先端が三角形に立上げられて立上げ部3Aが形成されることになる。
【0028】
ここで、各底角θ,θはともに45度であるので、三角形の両斜辺を平らにする方向に広げられた際に、平らに広げられた部分に弛みを生じさせることがなく、またその先端の三角形に立上げられた立上げ部3Aを、両側面部8,9のコーナ側に折りたたむと、外箱2底部の外形から外側に突出することなく外箱2の外形内に収まることになる。これは、両側面部7,10のコーナ側に折りたたんでも同様である。
【0029】
この立上げ部3Aは、従来は4枚の底部フラップ24,26,27,28を折曲げる前に折りたたまれ、したがって内袋3の下端部3aが、完全に外箱2の底蓋の内側に位置するようにしていたが、この組立て方式の場合には、組立ての際あるいは内袋3内に収容物を収容する際に、前記立上げ部3Aに空気が入り込み、この空気を抜くことができないという問題がある。
【0030】
ところが、本参考の形態においては、立上げ部3Aが内側の底部フラップ25,27と外側の底部フラップ26,28との間で挾持されることになるので、組立ての際や収容物を収容する際に、立上げ部3A内に空気が入り込むおそれがなく、また組立ての際に立上げ部3A内に入り込んだ空気は、完全に外部に排出することができる。
【0031】
すなわち、図8に示すように、4枚の側面部7,8,9,10を角筒状に折曲げて、立上げ部3Aが形成されたならば、立上げ部3Aを折りたたむ前に、内側の底部フラップ25,27をまず折曲げる。すると、両底部フラップ25,27は、図5に示すように、傾斜縁25a,27aを相互に接触させた状態となり、立上げ部3Aは、両傾斜縁25a,27aの間から外部に引出されることになる。そこで、この立上げ部3Aをいずれか一方の底部フラップ25,27の外面にそって折りたたみ、その後外側の底部フラップ26,28を折曲げてガムテープ等で固定する。
【0032】
しかして、立上げ部3Aが内側の底部フラップ25,27と外側の底部フラップ26,28との間で挾持されることになるので、組立て時に立上げ部3A内に入り込んだ空気は、この挾持により完全に外部に排出することができ、また以後は空気が入り込むおそれが全くない。
【0033】
また、立上げ部3Aの基端部分は、その少なくとも長手方向中央部が、両傾斜縁25a,27aで押さえられることになるので、立上げ部3Aの折りたたみ作業を容易かつ精度よく行なうことができる。
【0034】
図9ないし図11は、本発明の実施の形態を示すもので、前記第1の参考の形態における底部フラップ25,27に代え、底部フラップ35,37を用いるようにしたものである。
【0035】
すなわち、底部フラップ35は、図9ないし図11に示すように、前記第1の参考の形態における底部フラップ25と同様、外箱2の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁35aおよびその先端の上底縁35bを有する台形状に形成されており、一方底部フラップ37は、図9ないし図11に示すように、外箱2の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁37a,その先端の上底縁37bおよび前記上底縁35bに対向する対向縁37cを有し長方形と台形とを組合わせたような形状に形成されている。そして、これら両底部フラップ35,37は、図11に示すように、内側に折返して外箱2の底蓋を構成した際に、両傾斜縁35a,37aが接触するとともに、上底縁35bと対向縁37cとが接触し、これらの間から内袋3の立上げ部3Aが外部に引出されるようになっている。なお、その他の点については、前記第1の参考の形態と同一構成となっている。
【0036】
次に、本実施の形態の作用について説明する。
段ボール箱1の組立てに際しては、まず、4枚の側面部7,8,9,10を角筒状に折曲げる。すると、図8に示すように、内袋3の下端部3aに立上げ部3Aが形成されることになる。
【0037】
そこで、最初に底部フラップ35を内側に折返した後、その上面側に内袋3の立上げ部3Aを折りたたむ。そしてその後、底部フラップ37を内側に折返すとともに、外側の底部フラップ26,28を内側に折曲げてガムテープ等で固定する。
【0038】
しかして、立上げ部3Aの基端部分は、両傾斜縁35a,37a間で押さえられるとともに、上底縁35bと対向縁37cとの間でも押さえられ、しかも両傾斜縁35a,37aの方向と、上底縁35b,対向縁37cの方向とは、く字状に屈曲しているので、立上げ部3Aの押さえを安定させ、立上げ部3Aへの空気の流入をより確実に防止することができる。
【0039】
図12ないし図14は、本発明の第2の参考の形態を示すもので、前記第1の参考の形態における底部フラップ25,27に代え、底部フラップ35,47を用いるようにしたものである。
【0040】
すなわち、底部フラップ47は、図12ないし図14に示すように、外箱2の一辺の長さの概略半分の突出長さを有する長方形状をなしており、したがって、両底部フラップ35,47を内側に折曲げた状態では、底部フラップ35の先端と底部フラップ47とが二枚重ねに重なるようになっている。なお、その他の点については、前記第1の参考の形態と同一構成となっている。
【0041】
次に、本参考の形態の作用について説明する。段ボール箱1の組立てに際しては、まず4枚の側面部7,8,9,10を角筒状に折曲げる。すると、図8に示すように、内袋3の下端部3aに立上げ部3Aが形成されることになる。
【0042】
そこで、最初に底部フラップ35を内側に折返した後、その上面側に内袋3の立上げ部3Aを折りたたむ。そしてその後、底部フラップ47を内側に折返すとともに、外側の底部フラップ26,28を内側に折曲げてカムテープ等で固定する。
【0043】
しかして、内袋3の立上げ部3Aは、底部フラップ35の傾斜縁35aにそって折りたたまれるので、立上げ部3Aを容易かつ正確に折りたたむことができるとともに、折りたたまれた立上げ部3Aの外側を底部フラップ47で押さえ、さらにその外側を底部フラップ26,28で押さえることになるので、立上がり部3Aの押さえをより安定させることができる。
【0044】
ここで、底部フラップ35先端の底部フラップ47との重合部分は、その外側にさらに底部フラップ26,28が配されることになるため、三枚重ねとなって段ボール箱1の内側に突出することになるが、その突出量は極めて僅かであるので、一部の収容物を除き特に問題になることはない。
【0045】
なお、前記各参考および実施の形態においては、内袋3の下端部3aが、底角θ,θがともに45度の二等辺三角形状をなす場合について説明したが、底角θ,θが45度以上の三角形であれば、例えば底角θ,θがともに60度の正三角形や、底角θが45度で底角θが60度の三角形等でもよい。そしてこの場合には、内袋3の立上げ部3Aを折りたたんだ際に、多少弛みが生じたりあるいは折りたたんだ先端が外箱2の外形から外側に突出したりすることはあるが、その他の点については、同様の効果が期待できる。
【0046】
また、前記各参考および実施の形態においては、4枚の側面部7,8,9,10の横幅W,W,W,Wがすべて同一寸法である場合,すなわち外箱2の底面形状が正方形である場合について説明したが、横幅W,WとW,Wとが異なる寸法である場合,すなわち外箱2の底面形状が長方形である場合にも、同様に適用することができる。
【0047】
ただし、長方形の場合、内袋3の下端部3aを、底角θ,θがともに45度の二等辺三角形状にした場合であっても、図15に示すように、折りたたんだ立上げ部3Aが外箱2の外形から外側に突出してしまうことになる。このため、突出した部分を再度内側に折返す必要がある。
【0048】
図16および図17は、外箱2の底面形状が長方形の場合でも、内袋3下端の折りたたんだ先端部が、外箱2の外形から外側に突出することがないようにした形態を示すもので、内袋3の各側面部7,8,9,10から下方に突出する部分を台形状に形成するようにしたものである。
【0049】
すなわち、内袋3の各側面部7,8,9,10から下方に突出する部分は、図17に示すように、下底と斜辺とのなす角度θ,θがともに45度をなす台形状に形成されており、その高さTは、第1側面部7の横幅Wと第2側面部8の横幅Wとを乗じて2で割った値の平方根と同一の値になるように設定されている。なお、その他の点については、前記第1の参考の形態と同一構成となっており、作用も同一である。
【0050】
次に、高さTを前述のように決定している理由について説明する。
いま、図18に示すように、長辺の長さがA,短辺の長さがB,対角線の長さが2Cの長方形状をなす外箱2を考えると、前記各長さA,B,2Cの関係は、次式で与えられる。
【0051】
【数1】
Figure 0004334102
【0052】
一方、内袋3の各側面部7,8,9,10から下方に突出する下端部3aが所定寸法の台形状をなす場合、すなわち、図19に示すように、下底と斜辺とのなす角度θ,θがともに45度で高さがTの台形の場合、各側面部7,8,9,10を角筒状に折曲げた際の対角線の位置は、折線4と上底の中点とを結んだ線分位置および折線6と上底の中点とを結んだ線分位置(図19では折線4側のみを図示)となる。
【0053】
ここで、図19に示すように、上底の中点から垂線を降ろして三角形Zを考えると、三角形Zの各辺の長さは、図20に示すように、C,T,(A−B)/2となる。そして、これら各長さC,T,(A−B)/2の関係は、次式で与えられる。
【0054】
【数2】
Figure 0004334102
【0055】
そして、この数2に前記数1を代入すると、高さTは次式で与えられる。
【0056】
【数3】
Figure 0004334102
【0057】
以上ことから、台形の高さTは、第1側面部7の横幅W(すなわち長さB)と第2側面部8の横幅W(すなわち長さA)とを乗じて2で割った値の平方根と同一の値となる。
【0058】
内袋3の各側面部7,8,9,10から下方に突出する下端部3aが、前述のように寸法設定された台形状をなす場合、各側面部7,8,9,10を角筒状に折曲げると、内袋3の台形部分は図21に示すように折りたたまれ、折りたたまれた先端の立上げ部3Aが外箱2の外形から外側に突出することがなくなる。
【0059】
ここで、立上げ部3A基端の折曲げ線は、図21に符号Cで示す対角線の方向と同一となるので、図5に示す前記第1の参考の形態の場合と同様、この部分が底部フラップ25の傾斜縁25aと底部フラップ27の傾斜縁27aとの間で押さえられ、立上げ部3Aが各底部フラップ25,27の外側で折りたたまれることになる。
【0060】
しかして、内袋3の下端部3aが台形状をなす場合にも、前記第1の参考の形態と同様の効果が期待できる。
【0061】
なお、形態においては、図21に示す立上げ部3Aにおいて、符号Cよりも下側の部分も上側の部分も、ともに底部フラップ25,27の外側に折りたたむ場合について説明したが、いずれか一方部分のみを底部フラップ25,27の外側に折りたたむだけでも、所期の効果は得られる。そしてその場合には、前記本発明の実施の形態における底部フラップ35,37や、前記第2の参考の形態における底部フラップ35,47も、同様に用いることができる。
【0062】
また、形態においては、内袋3の下端部3aが、角度θ,θがともに45度で高さTが数3の右辺で与えられる値となる台形状をなす場合について説明したが、角度θ,θが45度以上の台形であれば、例えば角度θ,θがともに60度の台形や、角度θが45度で角度θが60度の台形等でもよい。また高さTも、数3の右辺で与えられる値以上であればよい。ただし、これらの場合には、前記三角形の場合と同様、多少弛み等が生じることになる。
【0063】
また、形態においては、外箱2の底面形状が長方形である場合について説明したが、数3の関係は理論的には正方形の場合にも成立するので、外箱2の底面形状が正方形の場合にも同様に適用することができる。そして、内袋3の底部を台形状にすることにより、三角形状の場合に比較して、より少ない材料で内袋3を製造することができる。反面、内袋3底部の折りたたみ方が多少複雑になるので、使用目的等に合わせ三角形と台形とを適宜選択することになる。これは、外箱2の底面形状が長方形の場合も同様である
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、折線を介し順次連結された第1側面部,第2側面部,第3側面部および第4側面部と、第4側面部に折線を介し連結された糊代と、前記各側面部の上下端部に折線を介しそれぞれ連結された天部フラップおよび底部フラップとを有する段ボール製の外箱と;第1側面部と第2側面部とを合わせた長さとほぼ同一の横幅を有する平封筒状に形成され、少なくとも前記各側面部の一部に接着固定される内袋と;を備え、前記内袋の各側面部から下方に突出する部分を、底角が45度以上の三角形状とし、前記外箱を組み立てた状態のとき、前記内袋の突出する部分が、前記外箱の一コーナーから対角の他コーナーにわたって三角形に立ち上がる立上げ部3Aとして形成される段ボール箱において、互いに対向する内側の底部フラップ35、37に関し、一方の底部フラップ35は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁35aと、この傾斜縁35aの先端に形成される上底縁35bとを有して台形状に形成され、他方の底部フラップ37は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁37aと、この傾斜縁37aの先端に形成される上底縁37bと、傾斜縁37aの基端側に形成され前記一方の底部フラップ35の上底縁35bに対向する対向縁37cとを有してフラップ基端側の長方形とフラップ先端側の台形とを組み合わせた形状に形成され、外側の底部フラップ26、28は、互いの先端縁が対向するように矩形状に形成され、先に折り返された一方の底部フラップ35に対し前記立上げ部3Aがこの底部フラップ35の傾斜縁35aに沿って折り畳まれた後、他方の底部フラップ37が折り返される構造とし、前記立上げ部3Aの折曲げ基端はその中央部のみが前記両傾斜縁35a、37a間で押さえられるようにしているので、組立ての際に、内袋の下端部を、その折曲げ基端を前記傾斜縁で押さえながら内側の底部フラップの外側に配置することにより、内袋の下端部に残存していた空気を、容易かつ確実に外部に排出することができる。
【0065】
本発明はまた、内袋の各側面部から下方に突出する部分を、底角が45度の二等辺三角形状とするようにしているので、内袋の底部に弛みを生じさせることなく折りたたむことができ、また外箱の底面形状が正方形の場合には、折りたたんだ内袋の先端が外箱底面の外形内に収まるので、段ボール箱の組立作業が容易である。なお、外箱の底面形状が長方形の場合には、折りたたんだ内袋の先端が、一部外箱の外形から突出することになるので、この突出部分を、外箱底面側に再度折り返す必要がある。
【0066】
本発明はまた、折線を介し順次連結された第1側面部,第2側面部,第3側面部および第4側面部と、第4側面部に折線を介し連結された糊代と、前記各側面部の上下端部に折線を介しそれぞれ連結された天部フラップおよび底部フラップとを有する段ボール製の外箱と;第1側面部と第2側面部とを合わせた長さとほぼ同一の横幅を有する平封筒状に形成され、少なくとも前記各側面部の一部に接着固定される内袋と;を備え、前記内袋の各側面部から下方に突出する部分を、下底と斜辺とのなす角度が45度以上で、かつ高さが第1側面部の横幅と第2側面部の横幅とを乗じて2で割った値の平方根以上の値の台形状とし、前記外箱を組み立てた状態のとき、前記内袋の突出する部分が、前記外箱の一コーナーから対角の他コーナーにわたって立ち上がる立上げ部3Aとして形成される段ボール箱において、互いに対向する内側の底部フラップ35、37に関し、一方の底部フラップ35は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁35aと、この傾斜縁35aの先端に形成される上底縁35bとを有して台形状に形成され、他方の底部フラップ37は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁37aと、この傾斜縁37aの先端に形成される上底縁37bと、傾斜縁37aの基端側に形成され前記一方の底部フラップ35の上底縁35bに対向する対向縁37cとを有してフラップ基端側の長方形とフラップ先端側の台形とを組み合わせた形状に形成され、外側の底部フラップ26、28は、互いの先端縁が対向するように矩形状に形成され、先に折り返された一方の底部フラップ35に対し前記立上げ部3Aがこの底部フラップ35の傾斜縁35aに沿って折り畳まれた後、他方の底部フラップ37が折り返される構造とし、前記立上げ部3Aの折曲げ基端はその中央部のみが前記両傾斜縁35a、37a間で押さえられるようにしているので、組立ての際に、内袋の下端部を、その折曲げ基端を前記傾斜縁で押さえながら内側の底部フラップの外側に配置することにより、内袋の下端部に残存していた空気を、容易かつ確実に外部に排出することができる。
【0067】
本発明はまた、内袋の各側面部から下方に突出する部分を、下底と斜辺とのなす角度がともに45度で、かつ高さが第1側面部の横幅と第2側面部の横幅とを乗じて2で割った値の平方根である台形状となるようにしているので、内袋の底部に弛みを生じさせることなく折りたたむことが可能となり、しかも外箱の底面形状が長方形の場合にも、折りたたんだ内袋の先端が、外箱の外形から外方に突出することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の参考の形態に係る内袋を有する段ボール箱を示す断面図である。
【図2】図1と同様の外観構成図である。
【図3】外箱の展開図である。
【図4】内側の両底部フラップの構造を示す説明図である。
【図5】内側の両底部フラップを内側に折曲げた状態を示す説明図である。
【図6】内袋の構成図である。
【図7】外箱と内袋との接着固定方法を示す説明図である。
【図8】外箱を角筒状に折曲げた際の内袋底部の折りたたみ状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態を示す図3相当図である。
【図10】図9と同様の図4相当図である。
【図11】図9と同様の図5相当図である。
【図12】本発明の第2の参考の形態を示す図3相当図である。
【図13】図12と同様の図4相当図である。
【図14】図12と同様の図5相当図である。
【図15】底面形状が長方形をなす外箱の場合に、内袋の底部を三角形状にした際の内袋底部の折りたたみ状態を示す説明図である。
【図16】外箱の底面形状が長方形の場合でも、内袋下端の折りたたんだ先端部が、外箱の外形から外側に突出することがないようにした形態を示す図1相当図である。
【図17】図16の内袋の構成を示す図6相当図である。
【図18】底面形状が長方形をなす外箱における長辺,短辺および対角線の関係を示す説明図である。
【図19】内袋の底部を台形状にすることができる理由を示す説明図である。
【図20】図19の台形の高さを決定する方法を示す説明図である。
【図21】外箱を角筒状に折曲げた際の台形状をなす内袋底部の折りたたみ状態を示す説明図である。

Claims (4)

  1. 折線を介し順次連結された第1側面部,第2側面部,第3側面部および第4側面部と、第4側面部に折線を介し連結された糊代と、前記各側面部の上下端部に折線を介しそれぞれ連結された天部フラップおよび底部フラップとを有する段ボール製の外箱と;第1側面部と第2側面部とを合わせた長さとほぼ同一の横幅を有する平封筒状に形成され、少なくとも前記各側面部の一部に接着固定される内袋と;を備え、前記内袋の各側面部から下方に突出する部分を、底角が45度以上の三角形状とし、前記外箱を組み立てた状態のとき、前記内袋の突出する部分が、前記外箱の一コーナーから対角の他コーナーにわたって三角形に立ち上がる立上げ部3Aとして形成される段ボール箱において、
    互いに対向する内側の底部フラップ35、37に関し、一方の底部フラップ35は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁35aと、この傾斜縁35aの先端に形成される上底縁35bとを有して台形状に形成され、他方の底部フラップ37は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁37aと、この傾斜縁37aの先端に形成される上底縁37bと、傾斜縁37aの基端側に形成され前記一方の底部フラップ35の上底縁35bに対向する対向縁37cとを有してフラップ基端側の長方形とフラップ先端側の台形とを組み合わせた形状に形成され、
    外側の底部フラップ26、28は、互いの先端縁が対向するように矩形状に形成され、
    先に折り返された一方の底部フラップ35に対し前記立上げ部3Aがこの底部フラップ35の傾斜縁35aに沿って折り畳まれた後、他方の底部フラップ37が折り返される構造とし、前記立上げ部3Aの折曲げ基端はその中央部のみが前記両傾斜縁35a、37a間で押さえられることを特徴とする内袋を有する段ボール箱。
  2. 内袋の各側面部から下方に突出する部分は、底角が45度の二等辺三角形状をなしていることを特徴とする請求項1記載の内袋を有する段ボール箱。
  3. 折線を介し順次連結された第1側面部,第2側面部,第3側面部および第4側面部と、第4側面部に折線を介し連結された糊代と、前記各側面部の上下端部に折線を介しそれぞれ連結された天部フラップおよび底部フラップとを有する段ボール製の外箱と;第1側面部と第2側面部とを合わせた長さとほぼ同一の横幅を有する平封筒状に形成され、少なくとも前記各側面部の一部に接着固定される内袋と;を備え、前記内袋の各側面部から下方に突出する部分を、下底と斜辺とのなす角度が45度以上で、かつ高さが第1側面部の横幅と第2側面部の横幅とを乗じて2で割った値の平方根以上の値の台形状とし、前記外箱を組み立てた状態のとき、前記内袋の突出する部分が、前記外箱の一コーナーから対角の他コーナーにわたって立ち上がる立上げ部3Aとして形成される段ボール箱において、
    互いに対向する内側の底部フラップ35、37に関し、一方の底部フラップ35は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁35aと、この傾斜縁35aの先端に形成される上底縁35bとを有して台形状に形成され、他方の底部フラップ37は、前記外箱の対角線の方向とほぼ一致する傾斜縁37aと、この傾斜縁37aの先端に形成される上底縁37bと、傾斜縁37aの基端側に形成され前記一方の底部フラップ35の上底縁35bに対向する対向縁37cとを有してフラップ基端側の長方形とフラップ先端側の台形とを組み合わせた形状に形成され、
    外側の底部フラップ26、28は、互いの先端縁が対向するように矩形状に形成され、
    先に折り返された一方の底部フラップ35に対し前記立上げ部3Aがこの底部フラップ35の傾斜縁35aに沿って折り畳まれた後、他方の底部フラップ37が折り返される構造とし、前記立上げ部3Aの折曲げ基端はその中央部のみが前記両傾斜縁35a、37a間で押さえられることを特徴とする内袋を有する段ボール箱。
  4. 内袋の各側面部から下方に突出する部分は、下底と斜辺とのなす角度がともに45度で、かつ高さが第1側面部の横幅と第2側面部の横幅とを乗じて2で割った値の平方根である台形状をなしていることを特徴とする請求項3記載の内袋を有する段ボール箱。
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