JP4635308B2 - 緩衝性をもつ角底袋、角底袋の中間製品とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緩衝性をもつ角底袋に関する。本発明はまた、この角底袋のための中間製品と、その製造方法をも包含する。
【0002】
ここで「紙」とは、中型ないし大型の封筒に使用する、比較的丈夫な紙を包括的に呼ぶ語である。
【0003】
【従来の技術】
2枚の紙の間に緩衝材、代表的には故紙の開繊品を充填した材料で封筒をつくった、いわゆる緩衝封筒が、フロッピーディスクやCD−ROMをはじめとする、取り扱いに注意を要する物品の輸送などに使用されている。
【0004】
この種の緩衝封筒は、その構造上、あまり厚手のものは収容しきれない。通常の封筒の構造をもつ緩衝封筒、すなわち1枚の緩衝材充填紙を折り畳み、裏面の中央で貼り合わせたものはともかく、2枚の紙の四周を残して緩衝材を充填した素材を重ね合わせ、三周縁を貼り合わせて封筒を形成したものは、縁の部分が弱く、あまり嵩高な物品を収容しようとすると、しばしば縁の貼り合わせ部分から破損する。
【0005】
この問題に対処するには、マチつきの角底袋とすればよいが、これまで、角底の緩衝封筒を生産性よく製造する方法が確立できず、緩衝機能のある角底袋は出現していなかった。しいて角底の緩衝封筒を製造しても、それ自体が嵩高であって、輸送・保管・販売に不都合であって、実用性があるといえなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、2枚の紙の間に緩衝材を充填したタイプの緩衝封筒の分野における、上記した問題を解決し、嵩張る内容物を収容するのに原理的に適した角底袋において、強度上弱点となるような貼り合わせがなく、しかも折り畳みが可能で、保管や輸送に好都合な角底袋を提供することにある。
【0007】
本発明のさらなる目的は、未使用時にはガゼット折りした嵩張らない形であって使用するときは誰でも容易に角底袋に組み立てることができる中間製品を提供すること、および、そのような中間製品および完成品の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の緩衝性をもつ角底袋は、図4ないし図6に見るように、2枚の紙(4A,4B)の間に緩衝材(5)を充填した素材(1)で製造した角底袋(3)であって、上部の開口縁(31)から胴部(32)に至る間、ガゼット折りした折目(33)の付近、および下部にある4枚のフラップを除いた部分に緩衝材が充填してあり、4枚のフラップは四隅のスリット(11,12,13,14)で形成された、両端壁に連なる2枚の幅狭のフラップ(15,16)および両側壁に連なる2枚の幅広のフラップ(17,18)とからなり、各フラップは内方に折り曲げられ、さらに下方から当てられた、底面の寸法にほぼ等しい寸法をもち、粘着剤(6)を塗布された底部固定材(7)により一体化されて底部を構成した、緩衝性をもつ角底袋である。
【0009】
【発明の実施形態】
上記の緩衝性をもつ角底袋のための中間体は、製造工程上は、図2の段階にあるものである。これを製造する本発明の方法は、図1および図2に示すように、下記の工程A〜Dからなる。
【0010】
A)長方形の紙(4A)の緩衝材を充填する領域(41)に糊を塗り、細分化された緩衝材(5)を振りかけて付着させること、
B)上記紙(4A)の緩衝材が付着していない領域(42)、またはもう1枚の紙(4B)のそれに対応する領域に糊を塗り、2枚の紙を重ね合わせてプレスすることにより、2枚の紙の間で所定の領域に緩衝材(5)を充填した角底袋の素材を用意するとともに、折り曲げのための罫線を与えること、
C)角底袋素材の底となる部分にスリット(11,12,13,14)を入れて、2枚の幅狭フラップ(15,16)と2枚の幅広フラップ(17,18)とを設けること、および
D)角底袋の素材(1)の両端を、糊代(19)の部分で貼り合わせて筒状体を形成し、ガゼット折りにして、マチを設けた角底袋の中間製品(2)とすること。
【0011】
スリットの形成は、上記した素材の用意に先立って、紙の打ち抜きの段階で行なってもよい。
【0012】
以上の工程A〜Dに続いて、下記の工程Eを図3に示すように実施することによって、本発明の角底袋(3)が得られる。
【0013】
E)4枚のフラップ(15〜18)を内方に折り曲げて重ね合わせ、さらに下方から、底面の寸法にほぼ等しい寸法をもち、粘着剤(6)を塗布した底部固定材(7)により一体化して底部を構成すること。図3において、○内の数字は、フラップの折り曲げおよび底部を一体化する順序を示し、図示してない▲2▼は、幅狭のフラップ(15)の折り曲げがそれに該当する。
【0014】
通常、角底袋の緩衝性能は、底面に対しても求められる。この要求に応えるには、図4に示すように、角底袋の底面の内法にほぼ等しい寸法であって、2枚の紙の間に緩衝材を充填した素材で製造した底部緩衝片(8)を、袋の底部に配置すればよい。
【0015】
一方、角底袋の口を閉じるには、別途にステープラーを使用するなり、粘着テープを貼るなりすることになるが、後者の作業を容易にするには、図7に示すように、角底袋の両側壁に連なる開口部(31)の一方に、粘着剤(6)を塗布した封止用材(9)を貼りつけて開口部を延長し、粘着剤の露出している部分に離型紙(図示してない)を当てたものを用意することが望ましい。
【0016】
前述のようにして得た中間製品は、緩衝材の存在にもかかわらず、厚さが最小限であるから、輸送や保管に、また展示販売にも好都合である。1個ずつの商品とするには、この中間製品に対し、必要に応じて上記の底部緩衝材および(または)封止部材を組み合わせたものを、キットにすることが推奨される。
【0017】
【発明の効果】
本発明の緩衝性をもつ角底袋は、マチを有する構造により、嵩高な内容物を収容する緩衝封筒として、無理なくその用途に使用でき、周縁の貼り合わせ部分から破損するという心配もない。必要により底部に緩衝材を当てれば、干渉性能は、ほぼ完全になる。上部は、緩衝材の充填された側壁が余っていれば、それを折り重ねることで緩衝性能が得られる。もし被包装物の丈が高く、側壁を折り曲げる余地がなければ、底部緩衝材と同じものを上に載せて用いることにより、完全な緩衝性能が備えたものは、包装が容易にできる。
【0018】
このような緩衝性をもつ角底袋の中間製品は、紙を折り畳む部分、すなわち縦方向の4本の稜、ガゼット折りされる両端壁の中央を走る計2本の折り曲げ線、および底部をめぐる4本の角部は、いずれもその部分に緩衝材が存在せず、2枚の紙を貼り合わせただけであるから、何の支障もなく折り曲げることができ、折り畳んだ状態で嵩張らない。したがって、この中間製品は、保管、輸送および販売が、有利に行なえる。
【0019】
本発明の緩衝性をもつ角底袋は、紙と故紙の開繊品とを主材料とし、それに加えて若干の糊および粘着剤を使用して製造可能であり、製法自体は、とりたてて技術的な困難がある工程を含んでいないから、高い生産性をもって実施することができる。従ってこの緩衝性をもつ角底袋およびその中間製品は、安価に提供することができる。
【0020】
本発明の緩衝性をもつ角底袋が有するいまひとつの利点は、使用後のリサイクルが容易なことである。主材料の紙も故紙開繊品も、分別回収した後は、パルプとして再度使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の緩衝性をもつ角底袋の製造方法の、工程Aを説明するための図であって、紙に糊を塗る領域と、後の工程で設けるスリットの位置をあらかじめ示した平面図。Aは角底袋の本体の展開図であり、Bは底部緩衝材の図である。
【図2】 本発明の製造方法の、工程CおよびDを説明するための図であって、図1の素材の端を貼り合わせて角筒としガゼット折りにしたところ、すなわち本発明の中間製品を示す図であって、Aは一部を切り開いて充填された緩衝材を示した側面図であり、BはAのI−I方向の横断面図である。
【図3】 本発明の製造方法の工程Eを説明するための図であって、図2の中間製品を角筒状体とし、粘着剤を塗布した底部固定用紙でフラップを一体化し、底部を形成するところを示す斜視図である。
【図4】 本発明の好適な態様を説明するための図であって、図3において底部を形成した角底袋に、底部緩衝片を加えるところを示した斜視図である。
【図5】 本発明の角底袋の底部の構造を示す、図4のII−II方向の断面図である。
【図6】 本発明の角底袋の底部の構造を示す、図4のIII−III方向の断面図である。
【図7】 本発明の角底袋の好適な一態様をを説明するための図であって、角底袋の開口部から伸びる、粘着剤を塗布した封止部材を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 角底袋の素材
11,12,13,14 スリット
15,16 幅狭のフラップ
17,18 幅広のフラップ 19 糊代
2 中間製品
3 角底袋
31 開口部 32 胴部 33 折目
4A,4B 紙
41 緩衝材を充填する領域 42 緩衝材を付着させない領域
5 緩衝材
6 粘着剤
7 底部固定材
8 底部緩衝片
9 封止用材

Claims (6)

  1. 緩衝材を充填する所定の領域に糊を塗り、細分化された緩衝材を振りかけて付着させ、もう1枚の紙を貼り合わせて形成した素材で製造した角底袋であって、
    上部の開口縁から胴部に至る間、ガゼット折りした折目付近、および下部にある4枚のフラップを除いた部分に緩衝材が充填してあり、
    4枚のフラップは四隅のスリットで形成された、両端壁に連なる2枚の幅狭のフラップおよび両側壁に連なる2枚の幅広のフラップとからなり、
    これら4枚のフラップは内方に折り曲げられ、さらに下方から当てられた、底面の寸法にほぼ等しい寸法をもち、粘着剤を塗布された底部固定材により一体化されて底部を構成した、緩衝性をもつ角底袋。
  2. 角底袋の底面の内法にほぼ等しい寸法であって、2枚の紙の間に緩衝材を充填した素材で製造した底部緩衝材を袋の底部に配置して、底部に緩衝性能を与えた請求項1の緩衝性をもつ角底袋。
  3. 両側壁に連なる開口部の一方に、粘着剤を塗布した封止用材を貼りつけて開口部を延長し、粘着剤の露出している部分に離型紙を当ててある請求項1または2の緩衝性をもつ角底袋。
  4. 2枚の紙の間に充填する緩衝材として、故紙の開繊品を使用した請求項1ないしのいずれかの緩衝性をもつ角底袋。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の緩衝性をもつ角底袋を形成するための中間製品であって、下方のフラップを折り畳まずガゼット折りしたままの本体の、2枚の幅広フラップのどちらかに粘着剤を塗布した底部固定材を貼りつけ、粘着材の露出している部分に離型紙を当てたものを必須構成部分とし、必要により請求項2に記載の底部緩衝材を組み合わせてなる、緩衝性をもつ角底袋のための中間製品。
  6. 請求項に記載した緩衝性をもつ角底袋のための中間製品を製造する方法であって、下記の諸工程からなる製造方法:
    A)長方形の紙の、それを用いて袋を形成したときに、上部の開口縁から胴部に至る間、ガゼット折りした折目付近、および下部にある4枚のフラップを除いた領域に糊を塗り、細分化された緩衝材を振りかけて付着させること、
    B)上記紙の緩衝材が付着していない領域、またはもう1枚の紙のそれに対応する領域に糊を塗り、2枚の紙を重ね合わせてプレスすることにより、2枚の紙の間で前記した所定の領域に緩衝材を充填した角底袋素材を用意するとともに、折り曲げのための罫線を与えること、
    C)角底袋素材の底となる部分にスリットを入れて、2枚の幅狭フラップと2枚の幅広フラップとを設けること、および
    D)角底袋の素材の両端を貼り合わせて筒状体を形成し、ガゼット折りにしてマチを設けた、角底袋のための中間製品とすること。
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