JP4334092B2 - カメラ用フォーカルプレンシャッタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、撮影に際して、先羽根群と後羽根群とを同一方向へ順次作動させ、その二つの羽根群のスリット形成羽根によって形成されたスリットにより、露光を行なうようにしたカメラ用のフォーカルプレンシャッタに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近のフォーカルプレンシャッタは、撮影に際して、各羽根群を可成りの高速で作動させ、露光作動終了時においては、羽根群やその駆動部材をストッパに当接させて停止させるようにしている。そのため、停止時においては、何らかの対策を講じておかないと、各羽根群がバウンドし、先羽根群の場合には、露光開口の一部を再度一時的に覆い、後羽根群の場合には、露光開口の一部を再度一時的に開くことによって、露光むらを生じさせてしまうことになる。また、その停止時における衝撃によって羽根群が破壊されてしまうこともある。そのため、従来から、各羽根群やそれらの各駆動部材に対しては、種々の制動手段や緩衝手段を設けるようにし、そのような露光むらや破壊を防止するようにしていた。
【0003】
本発明は、それらのうち、後先羽根用駆動部材の作動を制動し且つ最後にはバウンドを抑止することの可能なブレーキ手段を設けることによって、後羽根群のバウンドが抑制されるようにした機構に関するものである。そして、そのようにした従来の構成の一例が、特開昭58−196527号公報に記載されている。即ち、その構成は、後羽根用駆動レバー(後羽根用駆動部材)230,330に対して採用されており、制動は、摩擦板237によって摩擦力を付与されているブレーキレバー235で行い、バウンドの阻止は、バネ240によって回転力が付与されているバウンド防止レバー239,339のフック部239a,339aで行うようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、一眼レフカメラといえども、極端に小型化され且つ廉価になってきているため、フォーカルプレンシャッタに対しても、益々の小型化と低コスト化が要求されている。そして、それに応えるためには、部品点数の削減と、各構成部材の機能的な配置が必要になる。また、最近ではカメラの電動化が進み、種々の制御に電池電源が用いられ、電池の消耗度が大きくなってきていることなどもあって、シャッタのセットトルクを極力小さくて済むようにすることが要求されている。
【0005】
そこで、これらの観点から、上記の公報に記載された従来の構成を見てみると、先ず、部品点数が多すぎるということがある。そして、それらの部品を機能的に関係付けなければならないため、取付け作業が極めて面倒になってしまうということがある。従って、小型化や低コスト化の観点から極めて問題である。更に、上記の公報に記載の構成の場合には、セット作動に際して、連動ピン(駆動ピン)230a,330aが、バウンド防止レバー239,339を回転させなければならないため、セットトルクを大きくしてしまっている点で問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、後羽根用駆動部材の制動とバウンド阻止とを最小の部品点数で行なえ、しかもシャッタのセットトルクに殆ど影響を与えることのないようにしたカメラ用フォーカルプレンシャッタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のカメラ用フォーカルプレンシャッタは、先羽根群に露光作動を行わせる先羽根用駆動部材と、後羽根群に露光作動を行なわせる後羽根用駆動部材と、少なくとも一方が回転方向へ可撓性を有している第1腕部と第2腕部とを有していて夫々の腕部の先端部に形成された係合部を先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材の作動軌跡内に臨ませ得るようにしてシャッタ地板に回転可能に取り付けられたブレーキ部材と、を備えており、先羽根用駆動部材は、露光作動の終了段階において前記第1腕部の係合部と接触して前記第2腕部の係合部を後羽根用駆動部材の作動軌跡内に臨ませた状態にし、セット時には後羽根用駆動部材より先に作動して前記ブレーキ部材が変形せず前記第2腕部の係合部を後羽根用駆動部材の作動軌跡外に移動させ得るようにし、後羽根用駆動部材は、露光作動の終了段階において前記第2腕部の係合部を押し前記ブレーキ部材を変形させて制動され、停止時には前記ブレーキ部材が原形に復したことにより後羽根用駆動部材の作動軌跡内に臨んでいる前記第2腕部の係合部によってバウンドを抑止されるようにする。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図1〜図5に示した実施例によって説明する。尚、これらの図面は、何れもカメラに組み込まれた状態において被写体側から視た場合の略左半分だけを示した平面図であって、図1は 露光作動を終了した直後の状態を示したものであり、図2はセット作動開始直後の状態を示したものであり、図3はセット作動の完了状態を示したものである。また、図4は露光作動に先立ってセット部材が初期位置へ復帰した状態を示したものであり、図5は露光作動の終了直前の状態を示したものである。
【0009】
先ず、図1を用いて、本実施例の構成を説明するが、その説明に際しては、被写体側を表面側と称し、フィルム面等の結像面側を背面側と称することにする。シャッタ地板1には、その略中央部に長方形を横長にした開口部1aが形成されているが、図1においてはその左側の一部が示されている。また、周知のように、シャッタ地板1の背面側には、所定の間隔を空けて、図示していない中間板と補助地板が取り付けられており、シャッタ地板1と中間板との間に先羽根群の羽根室を形成し、中間板と補助地板との間に後羽根群の羽根室を形成している。更に、中間板と補助地板にも、開口部1aと類似の開口部が形成されていて、通常は、それらの開口部を重ね合わせて露光開口を規制するようにしているが、本実施例においては、開口部1aの形状が露光開口を規制しているものとする。
【0010】
その開口部1aの左側には、円弧状の二つの長孔1b,1cが形成されている。通常は、それらの長孔1b,1cの下方端面に、周知の緩衝部材が取り付けられていることが多い。本発明は、そのような緩衝部材を取り付けているものに対しても、取り付けていないものに対しても適用することが可能であるが、本実施例の場合には、取り付けられていない場合で説明する。また、シャッタ地板1の表面側には、軸1d,1e,1f,1gが立設されていて、背面側には軸1h,1i,1j,1kが立設されている。また、シャッタ地板1の表面側には、ストッパ1m,1nが設けられている。
【0011】
上記の軸1dには、先羽根用駆動部材2が回転可能に取り付けられている。この先羽根用駆動部材2は、合成樹脂製であって、被押動部2aと、駆動ピン2bと、取付部2cとを有していて、図示していない周知の先羽根用駆動ばねによって時計方向へ回転するように付勢されている。また、先羽根用駆動部材2の背面側に設けられている駆動ピン2bは、シャッタ地板1の長孔1bを貫通していて、その断面形状は、根元部がD型であって先端部が小判型をしており、その根元部が、長孔1bの下端部に当接するようになっている。
【0012】
また、先羽根用駆動部材2の取付部2cは表面側に大きく隆起していて、その内部には、鉄片部材が圧縮ばねに付勢された状態で取り付けられているが、その鉄片部材の形状と取付け構成は、特開平10−161181号公報等によって周知であるため、図示を省略している。そして、その鉄片部材は、露光作動開始直前の状態(図4の状態)においては、図示していない先羽根用電磁石に吸着保持され、先羽根用駆動部材2が先羽根用駆動ばねの付勢力によって時計方向へ回転できないようにするためのものであるが、図1の状態においては、上記圧縮ばねの付勢力によって、その被吸着部を、取付部2cから右上方に最大限に突き出した状態となっている。
【0013】
シャッタ地板1の軸1eには、合成樹脂製の後羽根用駆動部材3が回転可能に取り付けられている。この後羽根用駆動部材3は、被押動部3aと、駆動ピン3bと、取付部3cと、係合部3dとを有していて、図示していない周知の後羽根用駆動ばねによって時計方向へ回転するように付勢されている。そして、駆動ピン3bは、先羽根用駆動部材2の駆動ピン2bと略同じようにして形成されており、長孔1cを貫通していて、その根元部が長孔1cの下端部に当接するようになっている。
【0014】
また、取付部3cも先羽根用駆動部材2の取付部2cと略同じ形状をしていて、その内部には、図示していない後羽根用電磁石に吸着される鉄片部材が圧縮ばねに付勢された状態で取り付けられているが、その取付け構成も、上記した特開平10−161181号公報等によって周知であるため、図示を省略している。そして、その鉄片部材の場合にも、図1の状態においては、圧縮ばねの付勢力によって、その被吸着部を、取付部3cから右上方に最大限に突き出した状態となっている。
【0015】
シャッタ地板1の軸1fには、合成樹脂製のセット部材4が回転可能に取り付けられている。このセット部材4は、図示していないばねによって、反時計方向へ回転するように付勢されているが、図1においては、図示していないストッパに当接して停止されている状態が示されている。本明細書においては、このようなセット部材4の位置を初期位置と称することにする。そして、このセット部材4には、その周辺部に、先羽根用駆動部材2の被押動部2aを押す押動部4aと、後羽根用駆動部材3の被押動部3aを押す押動部4bと、被押動部4cとが形成されている。
【0016】
シャッタ地板1の軸1gには、合成樹脂製のブレーキ部材5が回転可能に取り付けられており、セット部材4の背面が、軸1gからの抜け止めの役目をしている。そして、ブレーキ部材5は、二つの腕部5a,5bを有していて、腕部5aの先端には、先羽根用駆動部材2の被押動部2aに接触する係合部5a1が形成されており、腕部5bの先端には、後羽根用駆動部材3の係合部3dに接触する係合部5b1が形成されている。そして、本実施例の場合には、腕部5aだけが回転方向への可撓性を有しているが、このような可撓性は、腕部5bだけに付与してあっても、両方の腕部5a,5bに付与してあっても何ら差し支えない。
【0017】
次に、シャッタ地板1の背面側に配置されている先羽根群と後羽根群の構成について説明する。先ず、先羽根群は、シャッタ地板1の軸1h,1iに対して回転可能に取り付けられた二つのアーム6,7と、それらの先端部に向けて順に枢支された複数枚の羽根で構成されているが、それらの羽根の枢支構成は周知であるため、アーム6,7の先端部に枢支されたスリット形成羽根8の一部のみを示してある。そして、アーム6に形成された孔には先羽根用駆動部材2の駆動ピン2bの先端部が嵌合していて、アーム6は先羽根用駆動部材2と一緒に回転するようになっている。
【0018】
また、後羽根群の構成は、実質的に先羽根群を裏返しにして配置した構成をしており、シャッタ地板1の軸1j,1kに対して回転可能に取り付けられた二つのアーム9,10と、それらの先端部に向けて順に枢支された複数枚の羽根で構成されているが、図1においては、アーム9,10の先端部に枢支されたスリット形成羽根11の一部のみを示してある。そして、アーム9に形成された孔には後羽根用駆動部材3の駆動ピン3bの先端部が嵌合していて、アーム9は後羽根用駆動部材3と一緒に回転するようになっている。
【0019】
次に、図2〜図5も加え、本実施例の作動を説明する。図1は、露光作動終了直後の状態を示している。従って、先羽根用駆動部材2の駆動ピン2bは、長孔1bの下端部に当接しており、先羽根群の複数枚の羽根は重畳されて開口部1aの下方位置に格納されている。また、後羽根用駆動部材3の駆動ピン3bは、長孔1cの下端部に当接しており、後羽根群の複数枚の羽根は展開されて、開口部1aを覆っている。更に、この状態においては、ブレーキ部材5は、腕部5aの係合部5a1が先羽根用駆動部材2の被押動部2aに接触していて、腕部5bの係合部5b1を後羽根用駆動部材3の係合部3dの作動軌跡内に臨ませている。
【0020】
このような図1に示した状態においてセット作動が開始されると、図示していないカメラ本体側の部材がセット部材4の被押動部4cを押し、セット部材4に時計方向への回転を行わせる。それによって、先ず、セット部材4の押動部4aが被押動部2aを押すことによって、先羽根用駆動部材2を、図示していない先羽根用駆動ばねの付勢力に抗して反時計方向へ回転させ始めるが、その当初の段階においては、未だ、セット部材4の押動部4bが後羽根用駆動部材3の被押動部3aに接触していないため、先羽根群の羽根のみが上方へ移動していくことになる。また、このセット作動時には、先羽根用駆動部材2の被押動部2aの作動軌跡が、図1において一点鎖線で示したようになるので、ブレーキ部材5の存在によって、特にセットトルクを大きくしなければならないということはない。
【0021】
その後、先羽根群のスリット形成羽根8と、後羽根群のスリット形成羽根11との重なり量が所定量に達すると、セット部材4の押動部4bが後羽根用駆動部材3の被押動部3aに接触する。そして、それ以後は、後羽根用駆動部材3も、図示していない後羽根用駆動ばねの付勢力に抗して、反時計方向へ回転を開始し、後羽根群の羽根を上方へ移動させていくので、二つの羽根群は、スリット形成羽根8,11同士の重なりを大きく変えることなく上方へ移動し、先羽根群の場合は羽根相互の重なりを小さくしてゆき、後羽根群の場合は羽根相互の重なりを大きくしてゆく。そのときの状態が図2に示されている。
【0022】
ところで、後羽根用駆動部材3が回転を開始させられるときは、先羽根用駆動部材2が、所定の角度だけ反時計方向へ回転させられた後である。従って、そのときには、先羽根用駆動部材2の被押動部2aの位置は、既に図1の位置から変位していて、ブレーキ部材5は図1の状態から時計方向へ回転し得るようになっている。そのため、カメラの姿勢によっては、後羽根用駆動部材3が回転を開始した段階で、その係合部3dがブレーキ部材5の係合部5b1に接触するようなことがあるかもしれないが、そのためにセットトルクを大きくしておかなければならないというようなことはない。
【0023】
このようにして、セット作動が行なわれてゆき、駆動部材2,3の取付部2c,3cに夫々取り付けられた上記の図示していない各鉄片部材が、両方とも夫々の電磁石に接触させられると、カメラ本体側の部材によって回転されていたセット部材4の回転が停止され、シャッタのセット作動が終了する。図3は、そのようにして行われたセット作動の完了状態を示しているが、この状態においては、先羽根群の複数枚の羽根は展開状態となって開口部1aを覆っており、後羽根群の複数枚の羽根は重畳状態となって開口部1aの上方位置に格納されている。また、セット部材4は、次の撮影が行われるまで、この状態を維持される。そして、この状態においては、ブレーキ部材5は、ストッパ1m,1nによって規制される角度範囲で自由に動き得るようになっている。
【0024】
次の撮影に際して、カメラのレリーズボタンが押されると、先ず、図示していない上記の各電磁石に通電され、駆動部材2,3の取付部2c,3cに取り付けられた上記の図示していない各鉄片部材が吸着保持される。次に、カメラ本体側の図示していない部材が、セット部材4の被押動部4cから退くので、セット部材4は、図示していないばねの付勢力によって、初期位置へ向けて反時計方向へ回転される。その状態が図4に示されている。また、この状態においても、ブレーキ部材5は、ストッパ1m,1nによって規制される角度範囲で自由に動き得るようになっている。
【0025】
このようにして図4に示された状態が得られた後、最初に先羽根用電磁石に対する通電が断たれ、所定時間後に後羽根用電磁石に対する通電が断たれる。それによって、先羽根用駆動部材2と後羽根用駆動部材3が、図示していない各駆動ばねの付勢力によって相次いで急速に時計方向へ回転させられ、二つのスリット形成羽根8,11によって形成されたスリットにより露光が行なわれていく。そして、先羽根用駆動部材2は、その露光作動の終了段階に入ると、ブレーキ部材5が図4に示すような姿勢をしていた場合には、被押動部2aがブレーキ部材5の係合部5a1を押すようになる。そのため、ブレーキ部材5は、反時計方向へ回転され、他方の腕部5bの係合部5b1を、後羽根用駆動部材3の係合部3dの作動軌跡内に臨ませていく。そのときの状態が、図5に示されており、そこには後羽根用駆動部材3の係合部3dの作動軌跡が一点鎖線で示されている。
【0026】
その後、先羽根群のスリット形成羽根8のスリット形成縁が開口部1aの下方位置に退いた段階になると、ブレーキ部材5の係合部5b1は後羽根用駆動部材3の係合部3dの作動軌跡内に完全に入り込んだ状態となり、次の瞬間には、先羽根用駆動部材2の駆動ピン2bが長孔1bの下端に当接して停止する。その結果、先羽根群の複数枚の羽根の作動も停止し、開口部1aの下方位置に格納状態となる。尚、先羽根用駆動部材2の駆動ピン2bが長孔1bの下端に当接した段階では、当然のことながら、先羽根用駆動部材2と先羽根群にバウンドさせる力が作用することになるが、本実施例の場合には、先羽根用駆動部材2と先羽根群に対して、図示していない従来のブレーキ機構やバウンド防止機構が設けられているため、先羽根群は、スリット形成羽根8のスリット形成縁を再度一時的に開口部1a内に臨ませることなく停止するようになっている。
【0027】
他方、後羽根用駆動部材3は、露光作動の終了段階に入ると、その係合部3dがブレーキ部材5の係合部5b1に当接するが、上記したように、ブレーキ部材5の腕部5aには可撓性が付与されているため、その後、ブレーキ部材5は、その腕部5aを撓ませながら変形して、後羽根用駆動部材3を制動する。そして、後羽根用駆動部材3の係合部3dとブレーキ部材5の係合部5b1との接触が離れた瞬間に、ブレーキ部材5の形状が原形に復帰し、係合部5b1を、後羽根用駆動部材3の係合部3dの作動軌跡内に復帰させる。そのため、後羽根用駆動部材3は、その直後に、駆動ピン3bが長孔1cの下端に当接し、バウンドしようとするが、係合部3dがブレーキ部材5の係合部5b1に接触し、そのバウンドを抑止される。その結果、後羽根群は、スリット形成羽根11のスリット形成縁を再度一時的に開口部1a内に臨ませ、開口部1aの一部を開いてしまうことがない。このようにして、露光作動の終了した状態が、図1に示された状態である。
【0028】
尚、上記のように、本実施例におけるブレーキ部材5は、単に軸1gに回転可能に取り付けられているだけであるが、ブレーキ部材5の姿勢を安定させるために、ばねによってブレーキ部材5を時計方向へ回転させるようにしても差し支えない。その場合、ばねの付勢力は、制動力には関与せず、姿勢を安定させるだけのものであるから、可成り小さくて済み、そのばねを設けることによって、セットトルクを大きくしなければならないという程の力は必要としない。また、そのようにした場合には、理論的には、実施例におけるストッパ1mが必要なくなるが、ばねの付勢力は必要最小限であることが望ましいので、カメラが乱暴に扱われることを想定して、そのまま設けておく方が安全である。更に、本実施例においては、ブレーキ部材5が合成樹脂製の場合で説明したが、本発明は、金属製の板材で製作された場合も含まれる。そのときは、腕部5aを折曲部として形成すると所定の可撓性を得るのに有利な形状となる。
【0029】
また、周知ではあるが、フォーカルプレンシャッタには、露光作動開始直前の状態において、各駆動部材を露光作動開始位置に保持する方法として、電磁石によって直接保持させるようにしたダイレクトタイプと、係止部材によって保持しておくようにした係止タイプとが知られている。そして、上記の各実施例は、それらのうちのダイレクトタイプのシャッタの場合で説明したが、本発明は、係止タイプのものにも適用することが可能である。更に、上記の二つのタイプの違いに関係なく、二重遮光方式と称されているシャッタも知られているが、本発明は、そのようなシャッタにも適用することが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、最小の部品点数によって、後羽根用駆動部材の制動とバウンド阻止とを行なえるので、シャッタ地板上にコンパクトに配置することができ、シャッタの小型化,低コスト化の観点から最適の構成となる。しかも、従来の構成においては、バウンドを阻止する力が、セットトルクを大きくさせる要因となっていたが、本発明の構成によれば、そのような要因を問題とする必要性は全くない。
【図面の簡単な説明】
【図1】被写体側から視た実施例の平面図であって、露光作動を終了した直後の状態を示したものである。
【図2】図1と同じようにして視た実施例の平面図であって、セット作動開始直後の状態を示したものである。
【図3】図1と同じようにして視た実施例の平面図であって、セット作動の完了状態を示したものである。
【図4】図1と同じようにして視た実施例の平面図であって、露光作動に先立ってセット部材が初期位置へ復帰した状態を示したものである。
【図5】図1と同じようにして視た実施例の平面図であって、露光作動の終了直前の状態を示したものである。
【符号の説明】
1 シャッタ地板
1a 開口部
1b,1c 長孔
1d,1e,1f,1g,1h,1i,1j,1k 軸
1m,1n ストッパ
2 先羽根用駆動部材
2a,3a,4c 被押動部
2b,3b 駆動ピン
2c,3c 取付部
3 後羽根用駆動部材
3d,5a1,5b1 係合部
4 セット部材
4a,4b 押動部
5,13 ブレーキ部材
5a,5b 腕部
6,7,9,10 アーム
8,11 スリット形成羽根
Claims (1)
- 先羽根群に露光作動を行わせる先羽根用駆動部材と、後羽根群に露光作動を行なわせる後羽根用駆動部材と、少なくとも一方が回転方向へ可撓性を有している第1腕部と第2腕部とを有していて夫々の腕部の先端部に形成された係合部を先羽根用駆動部材と後羽根用駆動部材の作動軌跡内に臨ませ得るようにしてシャッタ地板に回転可能に取り付けられたブレーキ部材と、を備えており、先羽根用駆動部材は、露光作動の終了段階において前記第1腕部の係合部と接触して前記第2腕部の係合部を後羽根用駆動部材の作動軌跡内に臨ませた状態にし、セット時には後羽根用駆動部材より先に作動して前記ブレーキ部材が変形せず前記第2腕部の係合部を後羽根用駆動部材の作動軌跡外に移動させ得るようにし、後羽根用駆動部材は、露光作動の終了段階において前記第2腕部の係合部を押し前記ブレーキ部材を変形させて制動され、停止時には前記ブレーキ部材が原形に復したことにより後羽根用駆動部材の作動軌跡内に臨んでいる前記第2腕部の係合部によってバウンドを抑止されるようにしたことを特徴とするカメラ用フォーカルプレンシャッタ。
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