JP4333627B2 - 吸着式ヒートポンプ装置 - Google Patents

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Description

本発明は吸着式ヒートポンプ装置、特に、作動媒体としてアンモニアを用いた吸着式ヒートポンプ装置に関する。
作動媒体としてアンモニアを用い、作動媒体を吸着しかつ脱着(放出)できる活性炭のような吸着材を収容した一対の吸脱着器と、一対の吸脱着器に選択的に接続し、作動媒体であるアンモニア蒸気を凝縮液化する凝縮器、および液状アンモニアを蒸発させる蒸発器とを少なくとも備えた吸着式ヒートポンプ装置は知られている(例えば、特許文献1参照)。
図7は吸着式ヒートポンプ装置の基本構成図を示しており、図示の状態において、第2の吸脱着器A/B2内の吸着材に吸着したアンモニアは、図示しない外部熱源からの高温熱媒体が内部を通過して加熱されることにより蒸発し、開いているバルブV2を通って凝縮器CONに入る。このときバルブV1は閉じている。アンモニア蒸気は、凝縮器CON内で低温熱媒体と熱交換して凝縮し液体となり蒸発器EVAに送られる。液状のアンモニアは蒸発器EVAで蒸発し、バルブV5を通過して第1の吸脱着器A/B1内の吸着材に吸着される。このときバルブV7は閉じている。アンモニアの蒸発潜熱によって得られる冷熱が、蒸発器EVA内の図示しない熱交換器を通して外部に取り出される。通常、凝縮器CONで熱交換した低温熱媒体は外部熱源として吸着側の吸脱着器内を通過するようにされており、吸着側の吸脱着器を冷却してアンモニア蒸気の吸着を促進している。
一定時間が経過して、第2の吸脱着器A/B2からの作動媒体(アンモニア)の脱着が完了し、第2の吸脱着器A/B2で作動媒体の飽和吸着に達した時点で、回路の切り替えが行われる。すなわち、バルブV1が開、バルブV2が閉、バルブV7が開、バルブV5が閉の状態となり、第1の吸脱着器A/B1が脱着側、第2の吸脱着器A/B2が吸着側となって、運転が継続する。
特開平11−63720号公報
上記した作動媒体としてアンモニアを用いる吸着式ヒートポンプ装置は、アンモニアの蒸発潜熱が大きいことから、小型の装置でありながら、大きな冷熱発生量が得られる利点がある。しかし、アンモニアは蒸気圧が高いために、回路の切り替えを行うとき、すなわち、図7に示した例で、第1の吸脱着器A/B1の吸着が飽和吸着に到達し、第2の吸脱着器A/B2を吸着側に、第1の吸脱着器A/B1を脱着側に切り替えるときに、凝縮器CON内が相対的に高圧に、第1の吸脱着器A/B1内が相対的に低圧となっていることから、凝縮器CON内の作動媒体(アンモニアガス)が、第2の吸脱着器A/B2側でなく、第1の吸脱着器A/B1側に逆流することが起こる。
すなわち、第1の吸脱着器A/B1は吸着反応のために低圧状態にあること、および、第1の吸脱着器A/B1内は吸着温度(ほぼ環境温度あるいはそれ以下)になっているが、凝縮器CON内はアンモニアガスが液化するときの凝縮熱によって第1の脱着器A/B1の吸着時の温度よりも高くなっており、それにより、アンモニア固有の高い蒸気圧によって、凝縮器CON内圧力が高くなる(例えば、100〜500kPa程度)こと、の理由から、切り替え直時に、圧力の関係が、凝縮器CON>第1の吸脱着器A/B1となるのを避けられず、アンモニアガスが、部分的に凝縮器CONから第1の吸脱着器A/B1に向けて逆流する。
このことは回路を切り替えて運転を継続し、第2の吸脱着器A/B2の吸着が飽和吸着に達して、再び回路を切り替えようとするとき、凝縮器CONと第2の吸脱着器A/B2との間でも同様に生じる。
この作動媒体であるアンモニアの逆流現象は、装置の運転効率を低下させる一因となっており、解決が求められている。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、作動媒体としてアンモニアを用いる吸着式ヒートポンプ装置において、回路の切り替え時に、凝縮器から脱着側となる吸脱着器に作動媒体が一時的に逆流するのを防止して、運転効率を低下させることなく継続した装置の運転を行うことを可能とした吸着式ヒートポンプ装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明による吸着式ヒートポンプ装置の第1の形態は、作動媒体がアンモニアであり、作動媒体用の吸着材を収容した対をなす第1と第2の吸脱着器と、凝縮器と、蒸発器とを少なくとも備え、第1の吸脱着器が脱着工程にあって吸着材が吸着した作動媒体を凝縮器に向けて脱着しているときに、第2の吸脱着器は吸着工程にあって蒸発器で蒸発した作動媒体を吸着剤に吸着するようになっており、かつ、所定間隔で第1と第2の吸脱着器での脱着工程と吸着工程とが切り替えられるようになっている吸着式ヒートポンプ装置であって、前記装置は第1および第2の吸脱着器よりも吸着容量の小さい補助吸脱着器をさらに備え、該補助吸脱着器は吸着側をバルブを介して装置の蒸発器に接続しており、放出側をバルブを介して装置の第1と第2の吸脱着器の双方に選択的に接続可能となっていることを特徴とする。
上記の吸着式ヒートポンプ装置では、例えば第1の吸脱着器が吸着工程にあるときに、補助吸脱着器にも蒸発器から作動媒体を送り込み、補助吸脱着器を吸着飽和した状態とする。また、熱媒(外部熱源)によって脱着温度まで加熱(加圧)した状態で待機させておく。第1の吸脱着器が吸着飽和し、第1の吸脱着器を脱着工程に切り替えるとき、またはその直前に、補助吸脱着器と第1の吸脱着器との間のバルブを開いて両者を連通させる。それにより、補助吸脱着器の吸着材に飽和吸着している作動媒体蒸気は脱着して第1の吸脱着器内に導入され、第1の吸脱着器内の圧力を高くする。そのために、第1の吸脱着器と凝縮器とが連通状態となっても、凝縮器から第1の吸脱着器側に、作動媒体が逆流するのを阻止することができ、吸脱着サイクルの効率、すなわち装置の運転効率を高めことができる。
さらに、補助吸脱着器から高温高圧の作動媒体が第1の吸脱着器に流入することにより、脱着工程に切り替わった第1の吸脱着器の吸着材を迅速に脱着温度まで昇温させることができ、このことからも、吸脱着サイクルの短縮が図られる。さらに、補助吸脱着器が蒸発器からの作動媒体を吸着することで、装置の熱移動量(冷熱出力)の増大も図ることができる。
回路を切り替えて運転を継続し、第2の吸脱着器の吸着が飽和吸着に到達して、再び回路を切り替えようとするときには、同じような操作が第2の吸脱着器と補助吸脱着器との間で行われる。
上記課題を解決する本発明による吸着式ヒートポンプ装置の第2の形態は、前記補助吸脱着器は、吸着側をバルブを介して装置の凝縮器に接続しており、放出側をバルブを介して装置のいずれか一方の吸脱着器に接続していることを特徴とする。
上記の吸着式ヒートポンプ装置では、例えば第1の吸脱着器が吸着飽和して脱着工程に入るときに、あらかじめ、バルブを開いて凝縮器と補助吸脱着器とを連通させる。それにより、凝縮器内の作動媒体の一部は補助吸脱着器内の吸着材に吸着され、凝縮器内は減圧される。それにより、バルブを開いて第1の吸脱着器を凝縮器に連通させ脱着工程としたときに、前記した脱着工程にある第1の吸脱着器へ凝縮器から作動媒体が逆流する現象を防ぐことができる。また、第2の吸脱着器が吸着飽和して脱着工程に入るときには、吸着飽和状態にある補助吸脱着器を熱媒(外部熱源)によって脱着温度まで加熱(加圧)した状態で待機させておく。そして、バルブを切り替えて第2の吸脱着器が脱着工程に移行したときに、バルブを開き補助吸脱着器から加熱・加圧した作動媒体蒸気を第2の吸脱着器内に導入する。それにより、第2の吸脱着器内の圧力を高くなり、第2の吸脱着器と凝縮器とが連通状態となっても、凝縮器から脱着工程にある第2の吸脱着器側に、作動媒体が逆流するのを防ぐことができる。
この結果、第1と第2の吸脱着器の脱着速度が速くなり、この形態でも、前記第1の形態と同様、吸脱着サイクルの効率、すなわち装置の運転効率を高めことができる。また、この形態では、補助吸脱着器での作動媒体蒸気の吸着分を上乗せできることからも、熱移動量(冷熱出力)の増大を図ることができる。
本発明によれば、作動媒体としてアンモニアを用いる吸着式ヒートポンプ装置において、作動媒体が凝縮器から吸脱着器へ逆流する現象を起こるのを防ぐことができる。それにより、吸脱着器での吸脱着サイクルの短縮が図られて、吸着式ヒートポンプ装置の運転効率が向上する。また、熱移動量(冷熱出力)の増大を図ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。図1は本発明による第1の形態の吸着式ヒートポンプ装置の構成図であり、図2は図1に示す吸着式ヒートポンプ装置の吸脱着の各工程における状態図である。また、図3は図1に示す吸着式ヒートポンプ装置を実機に用いた例を示している。
図1は、前記した図7に相当する構成図であり、図7で説明したものと同じ部材には同じ符号を付している。図1ではバルブはすべて閉じた状態となっているが、運転時にはそれぞれのバルブの開閉操作が行われる。図1に示す吸着式ヒートポンプ装置では、さらに補助吸脱着器SubA/Bが用いられる点で、図7に示した従来の吸着式ヒートポンプ装置と構成を異にしている。
補助吸脱着器SubA/Bは、その吸着側がバルブV6を介して蒸発器EVAに接続しており、放出側(脱着側)が、バルブV3およびV4を介して第1の吸脱着器A/B1と第2の吸脱着器A/B2とに選択的に接続するようになっている。補助吸脱着器SubA/Bは、作動媒体(アンモニア)の吸着容量が第1および第2の吸脱着器よりも小さいことを条件に、第1および第2の吸脱着器と同じ構造のものであってよい。
図2を参照して、図1に示す吸着式ヒートポンプ装置の各作動工程を説明する。なお、図2では外部熱源からの高温熱媒体および低温熱媒体の流路は省略しており、加熱と冷却の状態を矢印で示している。
この例において、[工程A]では、第1の吸脱着器A/B1と補助吸脱着器SubA/Bは吸着工程にあり吸着用の低温熱媒体が投入されて冷却されている。第2の吸脱着器A/B2は脱着工程にあり脱着用の高温熱媒体が投入されて加熱されている。蒸発器EVAは第1の吸脱着器A/B1と補助吸脱着器SubA/Bとに開の状態にあり、両者は蒸発器EVAからの作動媒体(アンモニア)の蒸気を継続して吸着している。脱着工程にある第2の吸脱着器A/B2と凝縮器CONは開の状態にあり、凝縮器CONは脱着されて送られてくるアンモニア蒸気を逐次液化している。次ぎに工程B移る。
[工程B]では、第1の吸脱着器A/B1は吸着工程を、第2の吸脱着器A/B2は脱着工程を継続しているが、補助吸脱着器SubA/Bは飽和吸着量に達し、バルブV6が閉じられると共に、脱着用の高温熱媒体が投入されて加熱され、脱着工程に入る。次ぎに工程Cに移る。
[工程C]では、第1の吸脱着器A/B1は飽和吸着量に達し、脱着工程に入り、補助吸脱着器SubA/Bは脱着工程を継続している。第2の吸脱着器A/B2は脱着が完了し吸着工程に入る。バルブV3が開き第1の吸脱着器A/B1と補助吸脱着器SubA/Bとが開の状態となることで、補助吸脱着器SubA/Bから高温・高圧のアンモニア蒸気が第1の吸脱着器A/B1に流入し、第1の吸脱着器A/B1内の温度と圧力を高くすると共に、第1の吸脱着器A/B1内の吸着材に吸着していたアンモニアの脱着を促進する。この状態では、第1の吸脱着器A/B1と補助吸脱着器SubA/Bは脱着用の高温熱媒体で加熱されており、第2の吸脱着器A/B2は吸着用の低温熱媒体で冷却されている。次ぎに工程Dに移る。
[工程D]では、第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bが吸着工程にあり、第1の吸脱着器A/B1が脱着工程にある。蒸発器EVAは第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bに開の状態にあり、両者は蒸発器EVAからのアンモニア蒸気を継続して吸着する。バルブV1が開き、脱着工程にある第1の吸脱着器A/B1と凝縮器CONは開の状態となる。工程Cにおいて、第1の吸脱着器A/B1は相対的に凝縮器CONよりも高い圧力となっており、バルブV1が開いたときに、凝縮器CONから第1の吸脱着器A/B1にアンモニア蒸気が逆流する現象は生じない。そのために、第1の吸脱着器A/B1が脱着するアンモニア蒸気は速やかに凝縮器CONに送られ、凝縮器CONはアンモニア蒸気を逐次液化する。なお、このとき、第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bは吸着用の低温熱媒体で冷却され、第1の吸脱着器A/B1は脱着用の高温熱媒体で加熱されている。次ぎに工程Eに移る。
[工程E]では、第2の吸脱着器A/B2は吸着工程、第1の吸脱着器A/B1は脱着工程を継続し、補助吸脱着器SubA/Bは飽和吸着量に達し、バルブV6は閉じられ、脱着工程に入る。第2の吸脱着器A/B2と蒸発器EVAは開で、第2の吸脱着器A/B2はアンモニア蒸気の吸着を継続している。第1の吸脱着器A/B1は凝縮器CONと開であり、脱着したアンモニア蒸気は凝縮器CONで逐次液化される。このとき、第2の吸脱着器A/B2は吸着用の低温熱媒体で冷却されており、補助吸脱着器SubA/Bと第1の吸脱着器A/B1は脱着用の高温熱媒体で加熱されている。次ぎに工程Fに移る。
[工程F]では、第2の吸脱着器A/B2が飽和吸着量に達して脱着工程に入り、補助吸脱着器SubA/Bは脱着工程を継続している。第1の吸脱着器A/B1は脱着が完了したために吸着工程に入る。バルブV4が開き第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bとが開の状態となることで、補助吸脱着器SubA/Bから高温・高圧のアンモニア蒸気が第2の吸脱着器A/B2に流入し、第2の吸脱着器A/B2内の温度と圧力を高くすると共に、第2の吸脱着器A/B2内の吸着材に吸着していたアンモニアの脱着を促進する。この状態では、第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bは脱着用の高温熱媒体で加熱されており、第1の吸脱着器A/B1は吸着用の低温熱媒体で冷却されている。次ぎに工程Aに移る。
上記の工程A〜工程Fを繰り返すことにより、運転が継続される。上記の装置構成を持つ吸着式ヒートポンプ装置では、工程Dで説明したように、吸着工程にある第1の吸脱着器A/B1が脱着工程に切り替わるときに、第1の吸脱着器A/B1の圧力は、補助吸脱着器SubA/Bの存在により、相対的に凝縮器CONよりも高い圧力となっており、凝縮器CONから第1の吸脱着器A/B1にアンモニアが逆流する現象は生じない。また、工程Fから工程Aに移るとき、すなわち、吸着工程にある第2の吸脱着器A/B2が脱着工程に切り替わるときにも、第2の吸脱着器A/B2の圧力は、補助吸脱着器SubA/Bの存在により、相対的に凝縮器CONよりも高い圧力となっており、凝縮器CONから第2の吸脱着器A/B1にアンモニアが逆流する現象は生じない。
図3は、図1および図2で説明した装置構成を持つ吸着式ヒートポンプ装置を実機に使用した場合の一例を示す系統図である。なお、図示の各バルブの切り替え状態は、図2における工程Cの状態となっている。また、図3では、第1の吸脱着器A/B1を1Aで示し、第2の吸脱着器A/B2を1Bで示し、補助吸脱着器SubA/Bを2で示している。また、3は蒸発器EVAであり、4は凝縮器CONである。
第1の吸脱着器1A、第2の吸脱着器1B、補助吸脱着器2は、吸着材(例えば活性炭)を収容した吸着材ベッド8、9、10を有し、内部を熱交換用配管8a、9a、10aが走っている。Pは、高温熱媒体や低温熱媒体の贈り用ポンプである。
蒸発器3は、作動媒体流路11および流路切り替え弁V2を介して、第1の吸脱着器1Aと第2の吸脱着器1Bのいずれかの作動媒体(アンモニア)吸着側に選択的に接続するようになっており、凝縮器4は、作動媒体流路11および流路切り替え弁V1を介して、第1の吸脱着器1Aと第2の吸脱着器1Bのいずれにも接続しない状態と、いずれかの作動媒体放出側に接続する状態とを選択的にとりうるようになっている。蒸発器3と凝縮器4は作動媒体循環路13および膨張弁10を介して接続しており、作動媒体は凝縮器4から蒸発器3側に流れる。また、蒸発器3内には作動媒体(アンモニア)の蒸発潜熱と熱交換する冷房用熱交換器6の配管が走っている。
補助吸脱着器2は、その吸着側を作動媒体流路14およびバルブV61(図1でのバルブV6に相当する)を介して蒸発器3に接続しており、放出側を作動媒体流路15および流路切り替え弁V9を介して第1の吸脱着器1Aと第2の吸脱着器1Bのいずれかに選択的に接続するようにされている。
各熱交換用配管8a、9a、10aには、流路切り替え弁V3〜V8を適宜切り替えることにより、高温熱源交換器7で加熱された高温熱媒体と低温熱媒体冷却用熱交換器5で冷却された低温熱媒体のいずれかが、高温熱媒体流路16を通して、あるいは低温熱媒体流路17を通して、選択的に供給される。
図2における工程Cの状態と合わせながら、図3に示す系統図での運転状況を説明する。第1の吸脱着器1Aおよび補助吸脱着器2は作動媒体(アンモニア)を飽和吸着した状態となって脱着工程にあり、第1の吸脱着器1Aには、高温熱源交換器7で加熱された高温熱媒体が、高温熱媒体流路16、流路切り替え弁V3、熱交換用配管8a、流路切り替え弁V4を通って循環し、吸着材ベッド8を加熱している。第1の吸脱着器1Aの放出側の作動媒体流路12は閉じている。補助吸脱着器2にも、高温熱媒体流路16、流路切り替え弁V7、熱交換用配管10a、流路切り替え弁V8を通って高温熱媒体が循環しており、吸着材ベッド10aを加熱して脱着工程を継続させている。
流路切り替え弁V9は、第1の吸脱着器1Aと補助吸脱着器2とを連通する位置にあり、補助吸脱着器2からの高温・高圧のアンモニア蒸気は、作動媒体流路15を通って第1の吸脱着器1Aに流入し、第1の吸脱着器1Aの温度と圧力を高くすると共に、第1の吸脱着器1A内の吸着材に吸着しているアンモニアの脱着を促進している。この状態では、バルブV61は閉じている。次の工程で、前記図2の工程Dで説明したように、流路切り替え弁V1を操作して、第1の吸脱着器1Aを凝縮器4に接続することとなるが、第1の吸脱着器1A内の圧力は十分に高くなっており、凝縮器4からアンモニアが逆流してくることはない。
蒸発器3において、凝縮器4から送られるアンモニアは蒸発し、蒸発潜熱により冷却された冷媒は冷房用熱交換器6で室内の冷房に利用される。蒸発したアンモニア蒸気は作動媒体循環路11および流路切り替え弁V2を介して第2の吸脱着器1Bに送られ、そこで吸着材に吸着される。第2の吸脱着器1Bには、低温熱媒体冷却用熱交換器5で冷却された低温熱媒体が、低温熱媒体流路17、流路切り替え弁V6、熱交換用配管9a、流路切り替え弁V5を通って循環しており、第2の吸脱着器1Bを冷却して吸着を促進している。また、図2基づき説明したように、補助吸脱着器2が吸着工程にあるときには、バルブ61が開となり、蒸発器3で蒸発したアンモニア蒸気が作動媒体流路14を通って補助吸脱着器2内に流入し、補助吸脱着器2を飽和吸着状態とする。
次ぎに、本発明による第2の形態の吸着式ヒートポンプ装置について説明する。図4は第2の形態の吸着式ヒートポンプの構成図であり、図5は図4に示す吸着式ヒートポンプ装置の吸脱着の各工程における状態図である。また、図6は図4に示す吸着式ヒートポンプ装置を実機に用いた例を示している。
図4は、前記図1に相当する図であり、同じ機能を奏する部材は同じ符号を付している。この吸着式ヒートポンプ装置も、第1の形態の吸着式ヒートポンプ装置と同じ補助吸脱着器SubA/Bを用いるが、その接続の仕方が相違している。すなわち、ここでは、図4に示すように、補助吸脱着器SubA/Bは、その吸着側をバルブV8を介して装置の凝縮器CONに接続しており、放出側をバルブV9を介して装置のいずれか一方の吸脱着器(この例では、第2の吸脱着器A/B2)に接続している。
図5を参照して、図4に示す吸着式ヒートポンプ装置の各作動工程を説明する。なお、図5でも、図1の場合と同様に、外部熱源からの高温熱媒体および低温熱媒体の流路は省略し、加熱と冷却の状態を矢印で示している。
[工程A]では、第1の吸脱着器A/B1は飽和吸着量に達し、脱着工程に入り、第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bは吸着工程にある。すなわち、蒸発器EVAは第2の吸脱着器A/B2と開の状態にあり、作動媒体であるアンモニア蒸気を第2の吸脱着器A/B2は継続して吸着している。凝縮器CONは補助吸脱着器SubA/Bと開の状態にあり、凝縮器CON内のアンモニア蒸気が補助吸脱着器SubA/B内の吸着材に吸着することで凝縮器CON内が減圧される。ここで、第1の吸脱着器A/B1は脱着用の高温熱媒体で加熱され、第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bは吸着用の低温熱媒体で冷却されている。次ぎに工程Bに移る。
[工程B]では、第1の吸脱着器A/B1はバルブV1を開いて脱着工程を継続する。工程Aで凝縮器CON内のアンモニア蒸気が補助吸脱着器SubA/B内の吸着材に吸着されることで凝縮器CON内は既に減圧された状態にあり、第1の吸脱着器A/B1は相対的に凝縮器CONよりも高い圧力となっている。そのために、バルブV1が開いたときに、凝縮器CONから第1の吸脱着器A/B1にアンモニアが逆流する現象が生じることはなく、第1の吸脱着器A/B1が脱着するアンモニア蒸気は速やかに凝縮器CONに送られ、凝縮器CONにはアンモニア蒸気を逐次液化する。なお、第2の吸脱着器A/B2は吸着工程を継続し、補助吸脱着器SubA/Bは飽和吸着量に達し、バルブV8を閉じて脱着工程に入っている。ここで、第1の吸脱着器A/B1と補助吸脱着器SubA/Bは高温熱媒体で加熱されており、第2の吸脱着器A/B2は低温熱媒体で冷却されている。次ぎに工程Cに移る。
[工程C]では、第1の吸脱着器A/B1の脱着が完了し、吸着工程に入り、第2の吸脱着器A/B2は飽和吸着量に達し、脱着工程に入っている。補助吸脱着器SubA/Bは脱着工程を継続している。第1の吸脱着器A/B1は蒸発器EVAと開の状態にあり、アンモニア蒸気を吸着する。バルブV9が開き第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bとが開の状態となることで、補助吸脱着器SubA/Bから高温・高圧のアンモニア蒸気が第2の吸脱着器A/B2に流入し、第2の吸脱着器A/B2内の温度と圧力を高くすると共に、第2の吸脱着器A/B2内の吸着材に吸着していたアンモニアの脱着を促進する。この状態では、第1の吸脱着器A/B1は低温熱媒体で冷却され、第2の吸脱着器A/B2と補助吸脱着器SubA/Bは高温熱媒体で加熱されている。次ぎに工程Dに移る。
[工程D]では、第1の吸脱着器A/B1は吸着工程を継続し、第2の吸脱着器A/B2はバルブV2を開ひらいて凝縮器CONと開となり、脱着を継続する。工程Cにおいて、補助吸脱着器SubA/Bから高温・高圧のアンモニア蒸気が第2の吸脱着器A/B2に流入して第2の吸脱着器A/B2内の温度と圧力を高くしており、そのために、バルブV2が開いたときに、凝縮器CONから第2の吸脱着器A/B1にアンモニアが逆流することはない。第2の吸脱着器A/B2が脱着するアンモニア蒸気は速やかに凝縮器CONに送られ、凝縮器CONにはアンモニア蒸気を逐次液化する。なお、このとき、補助吸脱着器SubA/Bは脱着が完了し、吸着工程に入っている。また、第1の吸脱着器A/B1と補助吸脱着器SubA/Bは低温熱媒体で冷却されており、第2の吸脱着器A/B2は高温熱媒体で加熱されている。次ぎに工程Aに移る。
上記の工程A〜工程Dを繰り返すことにより、運転が継続される。上記の装置構成を持つ吸着式ヒートポンプ装置でも、第1の形態の装置と同様に、吸着工程にある第1あるいは第2の吸脱着器が脱着工程に切り替わるときに、その内部圧力は、相対的に凝縮器CONよりも高い圧力となっており、凝縮器CONから第1あるいは第2の吸脱着器にアンモニアが逆流する現象は生じない。そのために、第1の形態の装置と同様、吸脱着器での吸脱着サイクルの短縮が図られて、吸着式ヒートポンプ装置の運転効率が向上し、また、熱移動量(冷熱出力)の増大を図ることができる。
図6は、図3に示した系統図に相当するものであり、図4および図5で説明した第2の形態の吸着式ヒートポンプ装置を実機に使用した場合の一例を示している。なお、図6では、図5における工程Aの状態を表している。図6に示す系統図において、補助吸脱着器2の接続態様を除き、他の構成は図3に示した系統図のものと同じである。従って、図3に示したものと同じ機能を奏する部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
前記したように、第2の形態の吸着式ヒートポンプ装置において、補助吸脱着器2は、その吸着側を作動媒体流路18およびバルブV81(図4でのバルブV8に相当する)を介して凝縮器4に接続しており、放出側を作動媒体流路19およびバルブV91(図4でのバルブV9に相当する)を介して第2の吸脱着器1Bに接続している。
図5における工程Aの状態と合わせながら、図6に示される系統図を説明する。第1の吸脱着器1Aは作動媒体(アンモニア)を飽和吸着した状態となって脱着工程にあり、高温熱源交換器7で加熱された高温熱媒体が、高温熱媒体流路16、流路切り替え弁V3、熱交換用配管8a、流路切り替え弁V4を通って循環し、吸着材ベッド8を加熱している。第1の吸脱着器1Aの吸着側の作動媒体流路11は閉じており蒸発器3に接続していない。放出側の作動媒体流路12も閉じており凝縮器4に接続していない。
第2の吸脱着器1Bは吸着工程にあり、作動媒体流路11および流路切り替え弁V2を介して蒸発器3に接続しており、アンモニア蒸気を継続して吸着している。第2の吸脱着器1Bの放出側の作動媒体流路13は閉じており凝縮器4に接続していない。
補助吸脱着器2は吸着工程にあり、吸着側は作動媒体流路18およびバルブV81を介して凝縮器4に接続し、凝縮器4内のアンモニア蒸気を補助吸脱着器2内の吸着材で吸着し、凝縮器4の内圧を減圧している。補助吸脱着器2の放出側は作動媒体流路19およびバルブV91を介して第2の吸脱着器1Bにつながっているが、この時点ではバルブV91は閉じており、連通はしていない。
吸着工程にある第2の吸脱着器1Bには、低温熱媒体冷却用熱交換器5で冷却された低温熱媒体が、低温熱媒体流路17、流路切り替え弁V6、熱交換用配管9a、流路切り替え弁V5を通って循環し、その吸着ベッド9を冷却しており、また、補助吸脱着器2にも、低温熱媒体冷却用熱交換器5で冷却された低温熱媒体が、低温熱媒体流路17、流路切り替え弁V8、熱交換用配管10a、流路切り替え弁V7を通って循環し、その吸着ベッド10aを冷却している。それにより、吸着を促進している。
この状態で、工程Bで説明したように、流路切り替え弁V1を操作して、第1の吸脱着器1Aを凝縮器4に接続することとなるが、凝縮器4の内圧は補助吸脱着器2の存在により十分に低くなっており、凝縮器4から第1の吸脱着器1Aにアンモニアが逆流してくることはない。
前記工程C、Dで説明したように、第2の吸脱着器1Bが飽和吸着となり、第2の吸脱着器1Bを脱着工程に切り替えるときには、直前に、バルブV91を開き、補助吸脱着器2を第2の吸脱着器1Bに接続する。その時点で、補助吸脱着器2は飽和吸着状態にあり、かつ脱着用の加熱媒体が熱交換用配管10aを循環することにより加熱加圧されているので、補助吸脱着器2内の高温高圧のアンモニアガスは瞬時に第2の吸脱着器1B内に流入する。結果として、第2の吸脱着器1Bの内圧は高くなるので、流路切り替え弁V1を操作して第2の吸脱着器1Bを凝縮器4に接続したときに、凝縮器4から第2の吸脱着器1Bにアンモニアが逆流することはない。
本発明による吸着式ヒートポンプ装置の第1の形態の構成図。 図1に示す吸着式ヒートポンプ装置の吸脱着の各工程における状態図。 図1に示す吸着式ヒートポンプ装置を実機に用いた例を示す系統図。 本発明による吸着式ヒートポンプ装置の第2の形態の構成図。 図4に示す吸着式ヒートポンプ装置の吸脱着の各工程における状態図。 図4に示す吸着式ヒートポンプ装置を実機に用いた例を示す系統図。 従来の作動媒体としてアンモニアを用いる吸着式ヒートポンプ装置の構成図。
符号の説明
A/B1、1A…第1の吸脱着器、A/B2、1B…第2の吸脱着器、SubA/B、2…補助吸脱着器、EVA、3…蒸発器、CON、4…凝縮器

Claims (2)

  1. 作動媒体がアンモニアであり、作動媒体用の吸着材を収容した対をなす第1と第2の吸脱着器と、該第1と第2の吸脱着器に接続された凝縮器と、該第1と第2の吸脱着器に接続された蒸発器とを少なくとも備え、第1の吸脱着器が脱着工程にあって吸着材が吸着した作動媒体を凝縮器に向けて脱着しているときに、第2の吸脱着器は吸着工程にあって蒸発器で蒸発した作動媒体を吸着剤に吸着するようになっており、かつ、所定間隔で第1と第2の吸脱着器での脱着工程と吸着工程とが切り替えられるようになっている吸着式ヒートポンプ装置であって、
    前記装置は第1および第2の吸脱着器よりも吸着容量の小さい補助吸脱着器をさらに備え、該補助吸脱着器は吸着側をバルブを介して装置の蒸発器に接続しており、放出側をバルブを介して装置の第1と第2の吸脱着器の双方に選択的に接続可能となっていることを特徴とする吸着式ヒートポンプ装置。
  2. 作動媒体がアンモニアであり、作動媒体用の吸着材を収容した一対の吸脱着器と、該一対の吸脱着器に接続された凝縮器と、該一対の吸脱着器に接続された蒸発器とを少なくとも備え、第1の吸脱着器が脱着工程にあって吸着材が吸着した作動媒体を凝縮器に向けて放出しているときに、第2の吸脱着器は吸着工程にあって蒸発器で蒸発した作動媒体を吸着剤に吸着するようになっており、かつ、所定間隔で第1と第2の吸脱着器での脱着工程と吸着工程とが切り替えられるようになっている吸着式ヒートポンプ装置であって、
    前記装置は補助吸脱着器をさらに備え、該補助吸脱着器は吸着側をバルブを介して装置の凝縮器に接続しており、放出側をバルブを介して装置のいずれか一方の吸脱着器に接続していることを特徴とする吸着式ヒートポンプ装置。
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