JP4331352B2 - 荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の車両取付時の作業性を向上させることができる荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の車両への取付け方法としては、例えば図12に示すようなものが知られている。
【0003】
図12において、101は車両のばね上に取り付けられるハウジングであり、ハウジング101内にはプランジャ102が摺動自在に収納される。ハウジング101には支点Aを中心として回動するリンクアーム103が取り付けられ、リンクアーム103にはプッシュロッド104が一体的に取り付けられている。
【0004】
プッシュロッド104とハウジング101の間にはリターンスプリング105が介装され、プッシュロッド104とプランジャ102との間にはシート部材106を介してプロポーショニングスプリング107が介装される。車両のばね下に取り付けられるブラケット108とリンクアーム103との間にはセンサースプリング109が介装され、車両のばね上とばね下の相対的変位をセンサースプリング109により荷重に変換し、リンクアーム103、プッシュロッド104およびシート部材106を介してプランジャ102を押圧する。制動時に入力ポート110Aから入力するマスタシリンダ液圧(PM)が所定値を超えると、プランジャ102がリフトして液流路111を開閉するように作動することによって、出力ポート110Bへのリヤブレーキ液圧(PR)を減圧制御する。
【0005】
車両のばね上〜ばね下の相対位置に関する、車両製造のバラツキの液圧制御特性への影響を排除するために、液圧制御弁を車両に取りつける際には、センサースプリング長が所定の長さになるように調整している。
【0006】
センサースプリング109のスプリング長の調整方法は、図13に示すような所定のスプリング長相当の取付治具112を、車両ばね上側取付部材であるハウジング101に対して位置決めしたリンクアーム103と車両ばね下側取付部材のブラケット108に取り付けることにより、センサースプリング109のスプリング長を決めて、ブラケット108を固定する。この場合、車両取付時の所定のセンサースプリング長は、センサースプリング109の自由長より長いため、センサースプリング109は、取付治具112で引っ張って(スプリング荷重>0)取り付けている。
【0007】
すなわち、まずハウジング101に対してリンクアーム103とストッパ部材113が当接した状態にリンクアーム103を位置決めする。図14に示すように、リンクアーム103の長孔114に対して、ストッパ部材113の頭部115が当接するように、リンクアーム103を位置決めし、リンクアーム103がこれ以上右回り方向に回動しないようにストッパ部材113で規制する。
【0008】
そして、リンクアーム103に形成した丸孔116に取付治具112の突起部117を挿入し、図15に示すブラケット108に挿入した軸118を取付治具112の挿入孔119に挿入し、スプリング長を決めて、ブラケット108を固定する。ブラケット108にはセンサースプリング109のセンサースプリング長を調整して取り付けられるように、取付け用の孔として丸孔120を長孔121がそれぞれ形成され、長孔121の範囲で取付時にセンサースプリング長の増減調整が可能となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法にあっては、ハウジングに対してリンクアームとストッパ部材が当接した状態にリンクアームを位置決めし、車両取付け時のリンクアーム位置としているため、車両取付け時に外力、例えば作業者の力などで、リンクアームが動いてしまう可能性があり、弾性部材のスプリング長の調整精度が低下してしまうという問題があった。また、作業者が当接位置を保って車両取付け作業を実施する必要があり、作業性が悪いという問題もあった。さらに、車両取付け時のリンクアームの基準位置の精度を出すためストッパ部材などの部品が必要であり、ねじ、長孔も形成しなければならず、コストが上昇するという問題もあった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたものであって、スプリング長の調整精度を低下させることがなく、車両取付け作業の作業性を向上させることができ、さらに、コストを低減することができる荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明は、次のように構成する。
【0012】
請求項1の発明は、車両のばね上とばね下との間に弾性部材を配置し、該弾性部材により車両のばね上とばね下の相対変位を検知して、ブレーキ液圧を減圧制御する荷重応動型ブレーキ液圧制御弁を前記車両に取り付ける荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法において、
前記車両のばね上に取り付け固定される固定部材の少なくとも二箇所を決めて該二箇所から前記車両のばね下に取り付けられる取付部材の位置を決める位置決め治具を用いて、前記固定部材に可動自在に取り付けられる可動部材の位置を決めることなく、前記取付部材の位置を決める。
【0013】
請求項1の発明は、更に、前記弾性部材の長さが変化しない方向に、前記位置決め治具の取付け位置を可動させる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法において、前記位置決め治具の前記取付部材側の取付位置を、前記弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した長孔とした。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1記載の荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法において、前記位置決め治具の前記取付部材側の取付位置を、前記弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した取付部とし、該取付部を形成した部材と前記固定部材の二箇所に取り付けられる取付部を形成した部材とによりなる位置決めの治具を用いる。
【0018】
このような構成を備えた本発明によれば、車両のばね上に取り付け固定される固定部材の少なくとも二箇所を決めて二箇所から車両のばね下に取り付けられる取付部材の位置を決める位置決め治具を用いて、固定部材に可動自在に取り付けられる可動部材の位置を決めることなく、取付部材の位置を決めるため、外力によるリンクアームの回動に関係なく位置決めでき、スプリング長の調整精度が低下することがない。また、作業者がリンクアーム基準位置を保って車両取付け作業を実施する必要がなく、作業性を向上させることができる。さらに、車両取付けのリンクアーム基準位置を出すためのストッパ部材が不要となり、ねじ、長孔なども不要となるため、コストを低減することができる。
【0019】
また、弾性部材の長さが変化しない方向に、位置決め治具の取付け位置を可動させるため、車両のばね上部材〜ばね下部材の相対的な位置ばらつきが生じても、さらに精度良く車両に取り付けることができる。
【0020】
また、位置決め治具が取り付けられる固定部材の二箇所として、固定部材が車両ばね上に取り付け固定される取付孔を用いるため、位置決め治具のための取付孔を新たに設ける必要がない。
【0021】
また、位置決め治具が取り付けられる二箇所として、固定部材の任意の位置を利用する場合には、取付けの自由度を向上させることができる。
【0022】
また、位置決め治具の取付部材側の取付位置を、弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した長孔としたため、簡単な構成で車両のばね上部材〜ばね下部材の相対的な位置ばらつきが生じても、精度良く車両に取り付けることができる。
【0023】
さらに、位置決め治具の取付部材側の取付位置を、弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した取付部とし、取付部を形成した部材と固定部材の二箇所に取り付けられる取付部を形成した部材とによりなる位置決めの治具を用いる場合にも、車両のばね上部材〜ばね下部材の相対的な位置ばらつきが生じても、精度良く車両に取り付けることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施形態に係る液圧制御弁を示す図である。
【0025】
図1において、1は車両ばね上部位2に固定したブラケット(固定部材)であり、ブラケット1には荷重応動型ブレーキ液圧制御弁3のハウジング4が取り付け固定される。固定部材としてのハウジング4には二箇所において取付孔5,6がそれぞれ形成され、これらの取付孔5,6により、ブラケット1に対してハウジング4が取り付け固定される。すなわち、図2に示すように、ハウジング4には取付孔5,6が形成され、ボルト7をブラケット1を貫通して取付孔5,6にねじ込むことにより、ブラケット1にハウジング4が取り付け固定される。
【0026】
ハウジング4内には、プランジャ、プッシュロッド、プロポーショニングスプリング、シート部材などが設けられている(図12、参照)。
【0027】
ハウジング4には接続部8が形成され、接続部8の中央には入力孔9が形成されている。入力孔9の外側の接続部8にはねじ10が形成されている。入力孔9には前輪に供給されるフロントブレーキ液圧が入力し、フロントブレーキ液圧は図示しないプランジャに作用する。前輪側ブレーキユニットが失陥すると、フロントブレーキ液圧はプランジャに作用しなくなり、プランジャは開弁状態になり、減圧制御が行われなくなる。ハウジング4の端部にはエア抜き用のブリーダ12が設けられている。
【0028】
接続部8の反対側のハウジング4には他の接続部13が形成され、接続部13の中央には入力孔14が形成されている。入力孔14の外側の接続部13にはねじ15が形成されている。入力孔14にはマスタシリンダからの液圧が入力し、液圧は減圧制御に用いられる。接続部8と接続部13との間にも他の接続部17がハウジング4に形成され、接続部17の中央には出力孔18が形成されている。出力孔15の外側の接続部17にはねじ19が形成されている。出力孔18からはブレーキ液圧が出力され、ブレーキユニットに供給される。
【0029】
ハウジング4には図示しない支点を中心として回動する可動部材としてのリンクアーム21が取り付けられ、リンクアーム21には図示しないプッシュロッドが一体的に取り付けられる。また、ハウジング4にはブーツ22が取り付けられ、ブーツ22はクランプ23によりハウジング4にクランプされている。
【0030】
リンクアーム21は、一端が図示しない支点を中心として回動するように支持されるとともに、他端に設けられたスプリングガイド24に弾性部材としてのセンサースプリング25が係着し、センサースプリング25の他端が車両のばね下に固定される取付部材としてのブラケット26の軸部27にスプリングガイド28を介して係着している。
【0031】
従来例においては、図12および図14に示すように、ハウジング101に対してリンクアーム103とストッパ部材113が当接した状態にリンクアーム103を位置決めし、リンクアーム103の長孔114に対して、ストッパ部材113の頭部115が当接するように、リンクアーム103を位置決めし、リンクアーム103がこれ以上右回りに回動しないようにストッパ部材113で規制していた。しかしながら、本実施形態においては、ストッパ部材113が不要となり、また、長孔114も形成する必要がない。
【0032】
ブラケット26にはセンサースプリング25のセンサースプリング長を調整して取り付けられるように、取付け用の孔として丸孔29と長孔30がそれぞれ形成され、長孔30の範囲で取付時にセンサースプリング長の増減調整が可能となっている。
【0033】
ここでは、ブラケット26に長孔30を形成するようにしたが、図示しない車両ばね下部材に長孔を形成し、ブラケット26には丸孔を形成するようにしても良い。なお、ブラケット26の回動中心となる丸孔29に対応して図示しない車両ばね下部材にも丸孔が形成される。
【0034】
液圧制御弁3の動作を説明すると、車両荷重に応じたばね上とばね下の相対的変位をセンサースプリング25によって荷重に変換し、リンクアーム21、プッシュロッドおよびシート部材を介して荷重に比例してプランジャを押圧する。この状態で制動操作を行い、入力ポートから入力する液圧が車両ばね上とばね下の相対的変位に応じたプランジャへの押圧力で設定される圧力(スプリットポイント)を超えると、プランジャが移動し、シールによって液流路を閉鎖し、この閉鎖によって液圧のバランスが変化すると液流路を再び開放にして、この開閉動作を繰り返すことにより液圧は減圧制御されて出力ポートへ供給される。このようにして、車両荷重に応じたプランジャへの押圧力に従ってスプリットポイントが変化することにより、車両荷重の軽重に応じた制動力を設定することができる。
【0035】
尚、液圧制御弁の構成は、本実施形態で説明した構成に限定されるものではなく、センサースプリング荷重に応じてブレーキ液圧を減圧制御する一般的な液圧制御弁であれば良い。当然、二系統式の液圧制御弁でも良い。
【0036】
図3(A),(B)は位置決め治具を示す図である。
【0037】
図3(A),(B)において、31は位置決め治具であり、この位置決め治具31は、車両ばね上に取り付け固定される固定部材としてのハウジング4の二箇所の取付孔5,6から車両ばね下に取り付けられる取付部材としてのブラケット26の位置を決めるための治具である。この位置決め治具31を用いて、固定部材であるハウジング4に可動自在に取り付けられる可動部材としてのリンクアーム21の位置を基準位置として決めることなく、取付部材としてのブラケット26の位置を決める。
【0038】
32は位置決め治具31の本体であり、本体32の一端部には下方に突出する突出部33が形成され、突出部33には位置決め孔34が形成されている。位置決め孔34にはブラケット26に設けた軸部27が嵌入され、ブラケット26が位置決めされるようになっている。ここでは、本体32に位置決め孔34を形成するようにしたが、ブラケット26に孔を形成し、孔に嵌入する軸部を位置決め治具31に形成するようにしても良い。位置決め孔31の反対側の本体32の他端部には下方に突出する軸部35が形成され、また、他端部側から突出する突起部36の下側にも軸部37が形成されている。軸部37,35はハウジング4に形成した二箇所よりなる取付孔5,6にそれぞれ嵌入する。ここでは、ハウジング4の取付孔5,6を利用して、取付孔5,6に軸部37,35をそれぞれ嵌入するようにしたが、ハウジング4の取付孔5,6にねじ込みしたボルト7の頭部38(図2、参照)を利用することもでき、この場合には、軸部37,35の代わりにボルト7の頭部38を嵌入する孔を位置決め治具31に二箇所それぞれ形成するようにする。
【0039】
車両ばね上に取り付けたブラケット1にハウジング4を取り付け固定すると、センサースプリング25の他端側(リンクアーム21側)の回動中心の位置が決められ、この位置からセンサースプリング25の所定のスプリング長を設定した位置が、位置決め治具31の軸部37,35に対応する位置決め孔34の位置となる。
【0040】
こうして、この位置決め治具31を用いることにより、ハウジング4の取付孔5,6の二箇所から車両ばね下のブラケット26の位置を決めることができる。
【0041】
図4は位置決め治具31の取付け状態を示す図である。
【0042】
図4において、車両ばね上のブラケット1にボルト7で取り付け固定したハウジング4の二箇所の取付孔5,6に位置決め治具31の軸部37,35をそれぞれ嵌入し、位置決め治具31の位置決め孔34に車両ばね下のブラケット26の軸部27を嵌入する。
【0043】
このように、位置決め治具31を用いて、ブラケット26の位置決めをした後に、長孔30に挿入した図示しないボルト部材と丸孔29に挿入した図示しないボルト部材を本締めする。
【0044】
こうして、液圧制御弁3を車両に取り付ける際には、センサースプリング長が所定の長さになるように調整している。
【0045】
従来例においては、車両取付け時にストッパ部材にリンクアームが当接する位置を基準位置としていたが、本発明の実施形態においては、位置決め治具31を用いて車両ばね下のブラケット26の位置決めを行うため、車両取付時に外力(作業者の力など)でリンクアームが動いてしまうことがあっても当接位置に関係なく、位置決めできるのでスプリング長の調整精度が低下することがない。また、作業者が前記リンクアーム基準位置を保って車両取付け作業を実施する必要がなく、作業性を向上させることができる。更に、車両取付けのリンクアーム基準位置を出すためのストッパ部材が不要となり、ねじ、長孔なども不要となるため、コストを低減することができる。
【0046】
図5は本発明の第2の実施形態に係る液圧制御弁を示す図である。
【0047】
図5において、1は車両ばね上に取り付け固定されるブラケットであり、ブラケット1には二箇所において位置決め孔40,41がそれぞれ形成されている。位置決め孔40,41には位置決め治具(図6、参照)が嵌入される。
【0048】
このように、位置決め治具が取り付けられる箇所は図1に示したように、ハウジング4の取付孔5,6に限らず、ブラケット1に任意の二箇所に形成した位置決め孔40,41を用いるようにしても良い。その他の構成は図1と同様であり、詳細な説明は省略する。
【0049】
図6(A),(B)は位置決め治具を示す図である。
【0050】
図6(A),(B)において、42は位置決め治具43の本体を示し、本体42の一端部側には、図5のブラケット1に形成された二箇所の位置決め孔40,41に嵌入する一対の軸部44,45がそれぞれ形成されている。
【0051】
ここでは、位置決め治具42に軸部44,45をそれぞれ形成するようにしたが、ブラケット1に位置決め孔40,41の代りに軸部を形成した場合には軸部に嵌入する位置決め孔を形成する。
【0052】
ハウジング4を車両のばね上のブラケット1に取り付け固定することにより、センサースプリング25の他端部の回動中心の位置が決まり、センサースプリング25のスプリング長が所定長に決められることから、位置決め治具43の軸部44,45に対する位置決め孔46の位置が決められる。
【0053】
図7は位置決め治具43の取付け状態を示す図である。
【0054】
図7において、車両ばね上に取り付けられるブラケット1に形成した二箇所の位置決め孔40,41には、位置決め治具43の軸部44,45を嵌入し、位置決め治具43の位置決め孔46には、車両ばね下に取り付けられるブラケット26の軸部27を嵌入する。こうして、ブラケット26の位置決めを容易に行うことができる。本実施形態においても前記実施形態と同様な効果が得られ、さらに、車両ばね上のブラケット1に対する位置決め治具43の取付位置の自由度を向上させることができる。
【0055】
図8(A),(B)は本発明の第3実施形態に係る位置決め治具を示す図である。
【0056】
図8(A),(B)において、47は図1に示すハウジング4に取り付けられる位置決め治具48の本体を示し、本体47の一端側には下方に突出する軸部49が形成され、一端側より突出する突起部50にも軸部51が形成されている。これらの軸部51,49は、図1のハウジング4に形成した二箇所の取付孔5,6にそれぞれ嵌入される。本体47の他端側には長孔52が形成され、長孔52内を車両ばね下に取り付けたブラケット26の軸部27が動くようになっている。長孔52は、車両取付け時にセンサースプリング25のスプリング長が変化しない方向に設定されている。すなわち、センサースプリング25の他端側の回動中心から所定のスプリング長で円弧を描いたときの位置に長孔52が形成される。
【0057】
図9は位置決め治具48の取付け状態を示す図である。
【0058】
図9において、車両ばね上に取り付けられるハウジング4に形成した二箇所の取付孔5,6には位置決め治具48の軸部51,49を嵌入し、位置決め治具48の長孔52内では車両ばね下に取り付けられたブラケット26の軸部27が動くようにしてブラケット26の位置決めを行う。すなわち、センサースプリング25の他端側の回動中心Qから矢印Rで示す所定のスプリング長で描いた円弧をSとするとき、長孔52内で軸部27を円弧(S)に沿って動かし、ブラケット26の位置を調整する。
【0059】
本実施形態についても前記実施形態と同様な効果が得られる。さらに、車両ばね上部材〜車両ばね下部材の相対的な位置ばらつき(車両側部品の製造ばらつき)が生じても、液圧制御弁3を精度良く車両に取り付けることができる。
【0060】
図10は本発明の第4の実施形態に係る位置決め治具を示す図である。
【0061】
図10において、53は図1に示すハウジング4に取り付けられる位置決め治具を示し、この位置決め治具53は、二つの部材54,55により構成される。一方の部材54の一端側には軸部56,57がそれぞれ形成され、軸部56,57は図1に示すハウジング4に形成した取付孔5,6にそれぞれ嵌入する。一方の部材54と他方の部材55の他端側にはセンサースプリング25の他端側の回動中心と略一致する位置に位置決め治具53の回動中心Qを設ける。一方の部材54をハウジング4の取付孔5,6に取り付けたとき、他方の部材55は回動中心Qを基点として矢印Sで示す方向に可動可能であり、他方の部材55の回動中心Qとは反対側の一端側にはセンサースプリング25のスプリング長となる位置に位置決め孔58が形成される。したがって、他方の部材55の位置決め孔58はセンサースプリング25のスプリング長が変化しない軌跡上を動くことができる。
【0062】
図11は位置決め治具53の取付け状態を示す図である。
【0063】
図11において、車両ばね上に取り付けられるハウジング4に形成した二箇所の取付孔5,6には位置決め治具53の軸部56,57を嵌入し、位置決め治具53の位置決め孔58に嵌入した車両ばね下に取り付けられたブラケット26の軸部27が動くようにしてブラケット26の位置決めを行う。すなわち、センサースプリング25の他端側の回動中心Qから所定のスプリング長で描いた円をSとするとき、設けた位置決め孔58を円弧(S)に沿って動かし、ブラケット26の位置を調整する。
【0064】
このように、車両ばね下に設けられるブラケット26の軸部27側が回動可能な位置決め治具53を用いるときは、車両のばね上部材〜車両ばね下部材の相対的な位置ばらつき(車両側部の製造ばらつき)が生じても、液圧制御弁3をさらに精度良く車両に取り付けることができる。なお、本実施形態においても前記実施形態と同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0065】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、車両のばね上に取り付け固定される固定部材の少なくとも二箇所を決めて二箇所から車両のばね下に取り付けられる取付部材の位置を決める位置決め治具を用いて、固定部材に可動自在に取り付けられる可動部材の位置を決めることなく、取付部材の位置を決めるため、外力によるリンクアームの回動に関係なく位置決めでき、スプリング長の調整精度が低下することがない。また、作業者がリンクアーム基準位置を保って車両取付け作業を実施する必要がなく、作業性を向上させることができる。さらに、車両取付けのリンクアーム基準位置を出すためのストッパ部材が不要となり、ねじ、長孔なども不要となるため、コストを低減することができる。
【0066】
また、弾性部材の長さが変化しない方向に、位置決め治具の取付け位置を可動させるため、車両のばね上部材〜ばね下部材の相対的な位置ばらつきが生じても、さらに精度良く車両に取り付けることができる。
【0067】
また、位置決め治具が取り付けられる固定部材の二箇所として、固定部材が車両ばね上に取り付け固定される取付孔を用いるため、位置決め治具のための取付孔を新たに設ける必要がない。
【0068】
また、位置決め治具が取り付けられる二箇所として、固定部材の任意の位置を利用する場合には、取付けの自由度を向上させることができる。
【0069】
また、位置決め治具の取付部材側の取付位置を、弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した長孔としたため、簡単な構成で車両のばね上部材〜ばね下部材の相対的な位置ばらつきが生じても、精度良く車両に取り付けることができる。
【0070】
さらに、位置決め治具の取付部材側の取付位置を、弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した取付部とし、取付部を形成した部材と固定部材の二箇所に取り付けられる取付部を形成した部材とによりなる位置決めの治具を用いる場合にも、車両のばね上部材〜ばね下部材の相対的な位置ばらつきが生じても、精度良く車両に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液圧制御弁を示す図
【図2】ハウジングの取付部を示す断面図
【図3】位置決め治具を示す図
【図4】位置決め治具の取付け状態を示す図
【図5】本発明の第2の実施形態に係る液圧制御弁を示す図
【図6】位置決め治具を示す図
【図7】位置決め治具の取付け状態を示す図
【図8】本発明の第3の実施形態に係る位置決め治具を示す図
【図9】位置決め治具の取付け状態を示す図
【図10】本発明の第4の実施形態に係る位置決め治具を示す図
【図11】位置決め治具の取付け状態を示す図
【図12】従来例を示す図
【図13】従来の取付け治具を示す図
【図14】リンクアームに対するストッパ部材の取付けを示す図
【図15】センサースプリングの取付部を示す図
【符号の説明】
1:ブラケット(固定部材)
2:車両ばね上部位
3:荷重応動型ブレーキ液圧制御弁
4:ハウジング(固定部材)
5,6:取付孔
7:ボルト
8,13,17:接続部
9,14:入力孔
10,15,19:ねじ
12:ブリーダ
18:出力孔
21:リンクアーム(可動部材)
22:ブーツ
23:クランプ
24,28:スプリングガイド
25:センサースプリング(弾性部材)
26:ブラケット(取付部材)
27,35,37,44,45,49,51,56,57:軸部
29:丸孔
30,52:長孔
31,43,48,53:位置決め治具
32,42,47:本体
33:突出部
34,40,41,46,58:位置決め孔
36,50:突起部
38:頭部
54,55:部材
Claims (3)
- 車両のばね上とばね下との間に弾性部材を配置し、該弾性部材により車両のばね上とばね下の相対変位を検知して、ブレーキ液圧を減圧制御する荷重応動型ブレーキ液圧制御弁を前記車両に取り付ける荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法において、
前記車両のばね上に取り付け固定される固定部材の少なくとも二箇所を決めて該二箇所から前記車両のばね下に取り付けられる取付部材の位置を決める位置決め治具を用いて、前記固定部材に可動自在に取り付けられる可動部材の位置を決めることなく、前記取付部材の位置を決め、
前記位置決め治具の取付位置を、前記弾性部材の長さが変化しない方向に可動させることを特徴とする荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法。 - 請求項1記載の荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法において、
前記位置決め治具の前記取付部材側の取付位置を、前記弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した長孔としたことを特徴とする荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法。 - 請求項1記載の荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法において、
前記位置決め治具の前記取付部材側の取付位置を、前記弾性部材の他端側の回動中心から弾性部材の長さが変化しない方向に形成した取付部とし、該取付部を形成した部材と前記固定部材の二箇所に取り付けられる取付部を形成した部材とによりなる位置決めの治具を用いることを特徴とする荷重応動型ブレーキ液圧制御弁の取付け方法。
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