JP4330977B2 - 管状体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、管状体の製造方法に関し、詳しくは、ゴルフクラブシャフト等に用いられる繊維強化樹脂製の管状体の製造工程において樹脂の分布を改良し、軽量で高剛性の管状体を容易に成形するものである。
ゴルフクラブシャフト、テニスやバトミントンのラケット、釣竿等に使用される管状体は、主としてカーボンプリプレグ等の繊維強化樹脂材料を用いて形成されている。これらの材料は、高い強度と適度な撓み性を有し、かつ軽量であるため、目的に合わせた機能を有する様々なタイプの管状体が提案されている。
操作性向上の点からは、軽量化の要求が強く、近年、高齢者や女性等のユーザーの増加に伴い、その要求が一段と高まっており、特に、ゴルフクラブシャフトでは、軽量化に加え強度も要求されている。
このようなゴルフクラブシャフトは、炭素繊維等の強化繊維にエポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻き付け、加圧加熱して成形されている。軽量で高強度なシャフトを作製するには、強化繊維の含有量を高めるため、樹脂含有率が小さいプリプレグが用いられている。
上記樹脂含有率が小さいプリプレグを用いると、繊維分が多いため剛性を高めることができると共に軽量化を実現できるが、その反面、樹脂分が少ないためプリプレグの巻き付けにくく且つ成形性が悪くなる問題がある。また、プリプレグの巻回層の境界において密着性が悪くなり境界にボイド(空隙)が発生し、強度が低下しやすいという問題がある。
一方、樹脂含有率が大きいプリプレグを用いると、樹脂分が多いためプリプレグが巻き付けやすく成形性が良くなるが、その反面、重量増を招くと共に、繊維分が相対的に少なくなるため剛性が小さくなるという問題がある。また、繊維が存在しない又は繊維の存在が極端に少なく樹脂溜りとなる部分が形成され、層間剥離やクラックが生じやすいという問題がある。
上記した観点より、従来、異なる樹脂含有率のプリプレグを併用することで所望の性能の管状体を成形する場合がある。
例えば、特開平8−207166号公報(特許文献1)では、厚さ方向に樹脂量プアーな領域と樹脂量リッチな領域とを有し、樹脂の平均含浸量を10wt%〜20wt%の範囲内の値としたプリプレグを巻き回して、外側から緊締体によって加圧加熱して管状体を製造することが提案されている。
また、特開平8−98906号公報(特許文献2)では、シャフト本体の最外層の上から、有機重合体からなるテープ状またはシート状のフィルムを補強材としてチップ側の部分にのみ巻回積層するゴルフクラブシャフトの製造方法が提案されている。
しかしながら、特許文献1では、プリプレグ中に樹脂量リッチな部分が存在するため、その分だけ重量増を招くこととなる。また、管状体の外周面の研磨時に最外層のプリプレグ中の樹脂分と共に繊維分も削られるため、研磨前よりも剛性や強度が低くなるという問題がある。さらには、厚さ方向に樹脂量プアーな領域と樹脂量リッチな領域とを有するプリプレグを別途作製しておく必要があり、成形性が悪いという問題がある。
また、特許文献2では、繊維分を含まない樹脂フィルムをチップ側の最外層にのみ巻きつけているが、繊維分を含まないため剛性を向上することができず、衝撃強度の向上が不十分である。また、樹脂フィルムにより重量増を招くことになり、管状体全体として軽量化と高剛性を両立できないという問題がある。
特開平8−207166号公報 特開平8−98906号公報
本発明は上記した問題に鑑みてなされたものであり、軽量であり剛性が高い管状体を容易に得ることができ、成形性に優れた管状体の製造方法を提供することを課題としている。
上記課題を解決するため、本発明は、強化繊維と熱硬化性樹脂とからなる繊維強化樹脂層を積層して管状の予備成形体を形成する工程と、
上記熱硬化性樹脂の硬化温度未満で加熱しながら上記予備成形体を回転させて遠心力で該予備成形体中の樹脂を径方向外側に流動させて、該予備成形体中の樹脂が充填させていない空隙に樹脂を充填させると共に外表面側の樹脂含有率を大きくなるように制御する回転制御工程と、
上記樹脂含有率が制御された予備成形体を、上記回転中又は回転後に上記熱硬化性樹脂の硬化温度以上で加熱して硬化させ管状体を得る硬化工程と、
上記管状体の樹脂含有率を高くした外表面を研磨する研磨工程と、
を含む管状体の製造方法を提供している。
未硬化状態である繊維強化樹脂の管状の予備成形体を、その軸心を回転軸として回転させることで、予備成形体に遠心力が作用し、径方向において、繊維強化樹脂中で繊維分よりも比重の大きな樹脂分が、繊維分に対して相対的に外周側に流動する。このため、回転前に比べ、内周側の樹脂含有率が減少させると共に、外周側の樹脂含有率を増加させることができる。また、樹脂が充填されていない空隙(ボイド)に樹脂が充填させることができ、上記回転制御工程で予備成形体の周方向において樹脂含有率の均一化を実現することができる。
また、樹脂含有率を高くした外表面が研磨されるため、重量増を招く樹脂分が削られて重量を減少できると同時に繊維分は削られないため、剛性を低下させることなく軽量化を実現することができる。さらに、管状体の強度低下の原因となる樹脂溜りやボイドの発生も防止することができ、高強度とすることができる。
上記繊維強化樹脂層を積層した管状の予備成形体の形成工程はシートワインディング法で形成しても良いし、フィラメントワインディング法で形成してもよい。また、回転制御工程は、予備成形体をマンドレルに巻き付けた状態でマンドレルを回転させても良いし、円筒容器に収容して円筒容器を回転させてもよい。
好ましくは、上記予備成形体は、マンドレルに強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻き回すことにより形成した後、上記マンドレルを回転させる方法が採用できる。このマンドレルの回転により、マンドレルの外周の予備成形体が回転されて、回転速度、加熱温度を制御することで、樹脂含有率を内周側から外周側にむけて所要の割合で漸増させていることができる。
内周側に対して外周側の樹脂含有率が大きくなることにより、大きな曲げ応力やねじれ応力のかかる外周側において特にボイドを無くして、耐久性を高めることができる。
上記複数のプリプレグは、樹脂含有率が略同等のものを用いている。
本発明では、樹脂含有率が同等のプリプレグを用いても回転制御工程により予備成形体中の樹脂含有率の径方向の制御が可能であるため、樹脂含有率の異なる複数のプリプレグを準備する必要がなく、材料種を削減することができ、材料コストの低下および製造効率が向上する。また、樹脂含有率の大きいプリプレグを用いた場合でも、研磨する外表面の樹脂量を大とするため、高剛性で軽量化を実現できる樹脂含有率の小さい管状体を成形することができる。
なお、製造する管状体の要求性能等に応じて樹脂含有率の異なるプリプレグを用いても良いことは言うまでもない。
上記研磨工程前における管状体の全体厚みに対して外表面から20%まで厚さ部分において、上記回転制御工程前の樹脂含有率に対して上記回転制御工程後の樹脂含有率が120%〜200%となるように制御している
研磨工程において、外表面から径方向に厚みの20%の距離までの範囲が、研磨される可能性がある領域である。よって、この部分の樹脂含有率を大きくすると、研磨による管状体の剛性変化を抑制することができ、研磨後の管状体の樹脂含有率が低下し、軽量、高剛性の管状体を得ることができる。研磨量は管状体の要求性能に応じて変更可能であり、管状体の外周面の全面を研磨しても良いし、部分的に研磨してもよい。
また、上記領域において、樹脂量調整工程後の樹脂含有率を、回転制御工程前の樹脂含有率の120%〜200%と増加しているのは、120%未満だと樹脂分に対して繊維分が多く研磨により剛性や強度が変化しやすくなるためである。一方、200%より大きくしようとすると樹脂量の変化が大きくなりすぎ回転制御工程に要する時間が長くなり生産性が悪化するためである。なお、上記回転制御工程による樹脂含有率を120%〜150%とするのが好ましい。
マンドレルを軸方向の一端を小径とし他端を大径とし、該小径側から大径側に向かい外径及び内径が漸次増大するテーパ状に形成し、該マンドレルに巻き付けて形成する予備成形体はテーパ状の管状体として形成しておくと、上記回転制御工程で、内周から外周への樹脂の流動が大径側が小径側より多いため、小径側より大径側が、外周側の樹脂含有率が高い管状体を得ることができる。
上記回転制御工程および加熱硬化工程後で、研磨工程前において、管状体の外周面から径方向へ厚みの10%までの範囲の樹脂含有率は50%〜100%、好ましくは80%〜100%としている。これは、研磨される可能性がある領域において、樹脂含有率が50%より小さいと繊維分が多いため、繊維分研磨されて剛性や強度が低下しやすいためである。この観点より上記範囲は100%樹脂分とされるのが最適である。
上記回転制御工程における回転速度は30rpm〜1500rpm、好ましくは300rpm〜1500rpmである。これは、回転速度が30rpmより小さいと遠心力が十分に作用せず、樹脂が外周側へ流動させにくいためである。一方、1500rpmより大きくしても樹脂の外周側への流動を加速出来ず、金属製のマンドレルの高速回転が困難なためである。回転速度は一定としても良いし、段階的に変更しても良い。
上記熱可塑性樹脂を流動させる回転制御工程での加熱温度は、使用樹脂の硬化温度未満で、かつ、使用樹脂の粘度が低くなる温度が好ましい。例えば、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合は、樹脂温度が40℃〜100℃、好ましくは50℃〜80℃の状態で加熱しながら回転制御するのが良く、その後、硬化温度まで段階的に加熱を行うのが良い。
なお、回転制御工程では、予備成形体の外周面にポリプロピレン,ポリエチレン等の樹脂フィルムを巻き付けて加圧しておき、その後、加熱、回転することが好ましい。
上記積層するプリプレグは、軸線方向に対し繊維角度を10度〜70度としたバイアス層、0度〜10度としたストレート層、70度〜90度としたフープ層等のプリプレグを組み合わせて用いることができ、強化繊維の繊維角度や、各層の配置位置、長さ、幅、厚み等の積層構成は管状体の要求性能に応じて設定することができる。軸方向の全長に渡るプリプレグと、部分的に配置されるプリプレグを組み合わせても良い。
上記プリプレグの厚みは0.01mm〜0.3mm、さらには0.05mm〜0.15mmが好ましく、プリプレグの弾性率は5ton/mm2〜100ton/mm2が好ましい。また、軸方向に対して0度での曲げ強度は100kgf/mm2〜200kgf/mm2が好ましく、プリプレグの樹脂目付量は5g/m2〜500g/m2、炭素繊維目付量は5g/m2〜300g/m2が好ましい。
また、上記使用するプリプレグの樹脂含有率は10重量%〜50重量%が好ましい。この範囲より小さいと、タック性が小さくプリプレグの巻き付けが困難になるためであり、この範囲より大きいと研磨量が多くなり生産性が悪くなると共に軽量化を実現しにくいためである。更に好ましくは20重量%〜40重量%、より好ましくは20重量%〜30重量%である。
強化繊維の繊維としては、カーボン繊維、ガラス繊維、各種セラミックス繊維、ボロン繊維、銅,ステンレス等の金属繊維、アモルファス繊維、芳香族ポリアミド等の有機繊維(例えば、ケブラー繊維、チラノ繊維)、それらの混織物等を用いることができる。中でも、カーボン繊維、ガラス繊維が好ましく、カーボン繊維が特に好ましい。なお、強化繊維の太さは3μm〜13μmが好ましく、さらには3μm〜4μmが好ましい。強化繊維は、単一方向、ランダム方向、シート状、マット状、織物(クロス)状、組み紐状等のいずれの形状・配列でも使用可能である。
熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等を用いることができ、比重の大きいものが好ましい。中でもエポキシ樹脂、フェノール樹脂が好ましく、特にエポキシ樹脂が好ましい。
記製造方法により製造される管状体は、樹脂分が回転制御工程で遠心力で径方向の外周へ流動するため、管状体中に樹脂が充填されていないボイドを無くすことが出来ると同時に、樹脂溜りの樹脂も外径側へと流動させて、樹脂溜まりも無くすことができ、物性が均一化すると共に耐久性の高い管状体を提供できる。また、外表面の樹脂含有率の高い部分が研磨されるため、全体として樹脂含有率が低く軽量で、高剛性の管状体とすることができる。
その結果、ゴルフクラブシャフトとして特に好適に用いることができるほか、テニスやバトミントンのラケット、釣竿、スキーのストック等に用いることができる。
上述したように、本発明によれば、未硬化状態の予備成形体を加熱しながら軸心を回転軸として回転させることで、予備成形体中の周方向においては樹脂含有率を均一にできると共に、径方向においては樹脂含有率を内周側から外周側に向かって漸次大きくすることができる。
このように樹脂含有率が制御された予備成形体を硬化後、樹脂含有率の大きな外周側を研磨することで、研磨により繊維分が削られることがなく、剛性を有する管状体を容易に得ることができる。また、従来のように成形が困難な樹脂含有率が小さいプリプレグを用いることなく、軽量かつ高剛性の管状体を容易に製造することができる。さらに、ボイドや樹脂溜りの発生がないため、管状体の耐久性を向上することができる。
さらに、管状の予備成形体を軸方向の一端を小径とし他端を大径としたテーパ状とした場合には、大径側を小径側より外周の樹脂含有率を高くすることができる。言い換えれば、小径側の外周の繊維含有率を大径側より高くできるため、耐衝撃力を高めることができ、大径側は樹脂含有率を高くできるため耐久性を高めることができる。よって、ゴルフクラブシャフトに適用した場合、小径側のヘッド取付側の耐衝撃性を向上させることができる一方、大径側のグリップ取付側の外周が樹脂含有率が高いため耐久性を向上させることができ、しかも、小径側及び大径側を問わず、樹脂分が高い外表面が研磨されるため、軽量化を図ることができ、特にゴルフクラブシャフトに好適に適用できる。
以下、本発明の実施形態として管状物の製造方法について図面を参照して説明する。
まず、予備成形体の形成工程で、強化繊維と熱硬化性樹脂とを備えた繊維強化樹脂の積層体からなる予備成形体を形成する。
予備成形体は、図1(A)(B)に示すように、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ11〜14をマンドレル10に複数層巻き回して形成している。マンドレル10は、断面が円形状であり、一端10aを小径とし、他端10bを大径とし、小径側から大径側に漸次外径が増大するテーパ形状としている。プリプレグ11〜14の強化繊維F11〜F14はいずれも炭素繊維を用い、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いている。
プリプレグ11、12は、強化繊維F11、F12が軸線方向に対してなす繊維角度を各々+45°、−45°(アングル層)とし、各々3周巻きとしている。 プリプレグ13は、強化繊維F11が軸線方向に対してなす繊維角度を0°(ストレート層)とし、2周巻きとしている。
プリプレグ14は、強化繊維F14が軸線方向に対してなす繊維角度を0°とし、3周巻きとしている。
プリプレグ11〜14の巻き数は先端から後端まで共通としている。各プリプレグ11〜14の樹脂含有率はいずれも20重量%とし、厚みは0.1mmとし、弾性率は30ton/mm2としている。また、上記プリプレグの樹脂目付量は150g/m2とし、炭素繊維目付量は100g/m2とし、軸方向に対して0度での曲げ強度は155kgf/mm2としている。
具体的には、マンドレル10の外周面10cに、内層側から順にプリプレグ11〜14を巻き付けて積層し、管状の予備成形体20を形成する。予備成形体20は、軸方向の一端20aを小径とし他端20bを大径とし、一端20aから他端20bに向かい外径及び内径が漸次増大するように積層され、厚みは一定としている。
図2に示すように、回転制御工程前の予備成形体20の径方向の樹脂含有率は、予備成形体の内周側20aから外周側20bにいたるまで均一で、樹脂分21と繊維分22との割合は一定となっている。
上記したプリプレグを用いたシートワインディング製法により予備成形体20を成形した後、予備成形体20の外周面にポリプロピレン製のテープ(図示せず)を、一定の張力をかけながら数mmピッチで巻きつけてラッピングし、予備成形体20を外周面側から加圧する。
次に、図3及び図4に示すように、回転制御工程で、マンドレル10を回転させ、 マンドレル10の外周面上の予備成形体20を回転させる。このとき、熱硬化性樹脂を硬化温度未満で流動性を保持した状態で加熱保持し、軸心iを回転軸として図中矢印に示すように回転させる。この回転で、予備成形体20の遠心力が作用し、繊維強化樹脂中で繊維分22よりも比重の大きな樹脂分21が、繊維分22に対して相対的に外周側22bに流動し、これにより、図2(A)の状態から図4の状態に樹脂含有率を制御している。
その後、硬化工程で樹脂の硬化温度まで上昇させて硬化させ、樹脂含有率が調整された予備成形体20’を、回転させながら熱硬化性樹脂の硬化温度以上で加熱硬化させて管状体を得る。
図4に示すように、回転制御工程で樹脂分が外径に流動され、この状態で硬化された管状体20’の径方向の樹脂含有率は、内周側20a’から外周側20b’に向かって漸次高くなっており、回転制御工程前に比べ、内周側20a’では繊維分22が多く、外周側20b’では樹脂分21が多くなっている。
具体的には、本実施形態では、マンドレル10の大径側を把持してモーター(図示せず)により回転トルクを与えてマンドレル10を軸回りに回転させ、マンドレル10と共に予備成形体20を軸心iを回転軸として、500rpmで回転させている。
回転の開始と共に加熱を行い、50分間で80℃まで昇温し、その後30分間80℃を維持し、樹脂の流動性を保持して回転に伴う遠心力で樹脂分を外周側へ流動させている。その後、30分間かけて130℃まで昇温して、予備成形体20を段階的に加熱し、樹脂量の調整と樹脂の硬化を行っている。130℃まで昇温した後、徐々に降温し、降温と同時に回転を停止させている。
上記した加熱と回転とで、外表面から径方向に20%までの領域において、回転制御工程前の樹脂含有率に対して回転制御工程後の樹脂含有率を180%と増加している。かつ、回転制御工程後において、外表面から厚みの10%の領域までの繊維強化樹脂の樹脂含有率を65%としている。
常温まで降温した後、加熱硬化された管状体からポリプロピレン製のテープを剥がし取る。その後、図5(A)(B)に示すように、硬化された管状体20’をマンドレル10から抜き取り、研磨工程で管状体20’の外表面を研磨している。
本実施形態では、外表面20c’から0.06mmの位置までの範囲の樹脂含有率が高い外周面を全面に渡って均一に研磨して、管状体30を製造している。
上記研磨時には樹脂分21が主として除去され繊維分22は殆ど削られない。
なお、管状体を研磨後にマンドレルから抜き取っても良く、研磨後に装飾等のため塗装を行うこともできる。
このように、樹脂含有率が均一である予備成形体20を、上記のように加熱しながら回転させることで、遠心力で樹脂分を外周側へ流動させることで、樹脂が充填されていないボイドに樹脂が充填されると共に、樹脂溜まり部分の樹脂も外周側へと流動するため、周方向においては樹脂含有率を均一にすることができる。かつ、径方向においては樹脂含有率を内周側から外周側に向かって漸次大きくすることができる。かつ、樹脂含有率を高くした外周部を硬化後に研磨することにより、軽量かつ高剛性の管状体30を容易に得ることができる。
図6は、本発明の管状体をゴルフクラブ用のシャフト31として用いており、シャフト31の小径端側にヘッド32が取り付けられ、大径端側にグリップ33が取り付けられている。
以下、本発明の管状体の製造方法の実施例、比較例について詳述する。
(実施例1)
上記実施形態と同様の方法で、予備成形体の樹脂含有率を調整して管状体を製造した。
(比較例1)
マンドレル及び予備成形体を回転せずに、プリプレグの積層状態のままで加熱硬化した。その他は実施例1と同様とした。
プリプレグ11、12、14はMR350C 125S(三菱レイヨン製)を用い、プリプレグ13は8255S−12(東レ製)を用いた。
加熱硬化後、研磨前の管状体の厚みは一定で3.0mm、小径側の外径が9.5mm、大径側の外径が16.0mmであり、外周面から0.06mmの位置までを外周面全面に渡って研磨した。
予備成形体の外周面から径方向に予備成形体の厚みの20%の距離を隔てた位置及び10%の距離を隔てた位置における樹脂含有率を測定し、加熱成形前と加熱成形後で比較し表1に記載した。
また、外周面から最外層の繊維までの距離を測定し、管状体の小径側から大径側までの平均値を表1の「距離」の欄に記載した。
Figure 0004330977
(3点曲げ強度の測定)
研磨後の管状体の3点曲げ強度を測定した。3点曲げ強度とは、製品安全協会が定めるSG式の破壊強度である。図7に示すように、3点で管状体40を支え、上方から荷重圧子41により荷重Fを加え、管状体40が破断した時の荷重値(ピーク値)を測定した。測定点は、管状体40の細径端から90mm(T点)、175mm(A点)、525mm(B点)、の各位置を、太径端から175mm(C点)の4ヶ所について行った。2ヵ所の支持点42のスパンをT点測定時のみ150mmとし、A〜C点測定時は300mmとした。荷重圧子41の先端半径は75mm、支持点42の先端半径は12.5mmとし、荷重圧子41は支持点42の中心位置で管状体40に荷重Fを加えた。
実施例1は、
T点:205N、A点:87N、B点:108N、C点:122Nであった。
比較例1は、
T点:181N、A点:75N、B点: 93N、C点:101Nであった。
また、加熱硬化後の管状体の断面観察を行った。断面における樹脂分と繊維分との面積比により樹脂含有率を測定した。
実施例1は、断面の外周側半分の樹脂含有率の平均値が35重量%であり、内周側半分の樹脂含有率の平均が5重量%であった。
比較例1は、断面の外周側半分及び内周側半分の樹脂含有率の平均値が、共に20重量%であった。
表1及び実験結果に示すように、実施例1は、樹脂含有率の制御を行ったため、外周側の樹脂含有率が大きくなっており、外周面から最外層の繊維までの距離が0.05mmであり、研磨を行っても繊維分が研磨されることはほとんどなく、研磨による剛性や強度の低下が生じないことが確認できた。
一方、比較例1は、プリプレグを巻き付けた状態のままで加熱硬化されているため、管状体中の樹脂含有率が一定であり、外周面から最外層の繊維までの距離が0.005mmであり、研磨を行うことにより繊維分が研磨されることとなり、研磨により剛性や強度が低下することが確認できた。
(A)(B)は、本発明の管状体の製造方法に用いたマンドレルとプリプレグの概略図である。 (A)は樹脂含有率調整前の予備成形体中の樹脂分と繊維分の存在状況の概略説明図であり、(B)はマンドレルと予備成形体の断面図である。 マンドレルと予備成形体の回転状況の説明図である。 樹脂含有率調整後の予備成形体中の樹脂分と繊維分の存在状況の概略説明図である。 (A)は成形後の管状体とマンドレルを示し、(B)は管状体の研磨状況の概略説明図である。 管状体を用いたゴルフクラブシャフトの概略図である。 3点曲げ強度の測定方法の説明図である。
符号の説明
10 マンドレル
11〜14 プリプレグ
20 予備成形体
21 樹脂分
22 繊維分
30 管状体

Claims (5)

  1. 強化繊維と熱硬化性樹脂とからなる繊維強化樹脂層を積層して管状の予備成形体を形成する工程と、
    上記熱硬化性樹脂の硬化温度未満で加熱しながら上記予備成形体を回転させて遠心力で該予備成形体中の樹脂を径方向外側に流動させて、該予備成形体中の樹脂が充填さていない空隙に樹脂を充填させると共に外表面側の樹脂含有率大きくなるように制御する回転制御工程と、
    上記樹脂含有率が制御された予備成形体を、上記回転中又は回転後に上記熱硬化性樹脂の硬化温度以上で加熱して硬化させ管状体を得る硬化工程と、
    上記管状体の樹脂含有率を高くした外表面を研磨する研磨工程と、
    を含む管状体の製造方法。
  2. 上記予備成形体は、マンドレルに強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻き回すことにより形成した後、上記マンドレルを回転させ、樹脂含有率が内周側から外周側にむけて漸増させている請求項1に記載の管状体の製造方法。
  3. 上記複数のプリプレグは、樹脂含有率が同等のものを用いている請求項2に記載の管状体の製造方法。
  4. 上記研磨工程前の管状体の全体厚みに対して外表面から20%まで厚さ部分において、上記回転制御工程前の樹脂含有率に対して上記回転制御工程後の樹脂含有率が120%〜200%となるように制御している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の管状体の製造方法。
  5. 上記予備成形体は、軸方向の一端を小径とし他端を大径としなるテーパ状に形成し、上記回転制御工程後の予備成形体では大径側が小径側より外周部の樹脂含有率を高くしている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の管状体の製造方法。
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