JP4330977B2 - 管状体の製造方法 - Google Patents
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Description
操作性向上の点からは、軽量化の要求が強く、近年、高齢者や女性等のユーザーの増加に伴い、その要求が一段と高まっており、特に、ゴルフクラブシャフトでは、軽量化に加え強度も要求されている。
上記樹脂含有率が小さいプリプレグを用いると、繊維分が多いため剛性を高めることができると共に軽量化を実現できるが、その反面、樹脂分が少ないためプリプレグの巻き付けにくく且つ成形性が悪くなる問題がある。また、プリプレグの巻回層の境界において密着性が悪くなり境界にボイド(空隙)が発生し、強度が低下しやすいという問題がある。
例えば、特開平8−207166号公報(特許文献1)では、厚さ方向に樹脂量プアーな領域と樹脂量リッチな領域とを有し、樹脂の平均含浸量を10wt%〜20wt%の範囲内の値としたプリプレグを巻き回して、外側から緊締体によって加圧加熱して管状体を製造することが提案されている。
また、特開平8−98906号公報(特許文献2)では、シャフト本体の最外層の上から、有機重合体からなるテープ状またはシート状のフィルムを補強材としてチップ側の部分にのみ巻回積層するゴルフクラブシャフトの製造方法が提案されている。
上記熱硬化性樹脂の硬化温度未満で加熱しながら上記予備成形体を回転させて遠心力で該予備成形体中の樹脂を径方向外側に流動させて、該予備成形体中の樹脂が充填させていない空隙に樹脂を充填させると共に外表面側の樹脂含有率を大きくなるように制御する回転制御工程と、
上記樹脂含有率が制御された予備成形体を、上記回転中又は回転後に上記熱硬化性樹脂の硬化温度以上で加熱して硬化させ管状体を得る硬化工程と、
上記管状体の樹脂含有率を高くした外表面を研磨する研磨工程と、
を含む管状体の製造方法を提供している。
また、樹脂含有率を高くした外表面が研磨されるため、重量増を招く樹脂分が削られて重量を減少できると同時に繊維分は削られないため、剛性を低下させることなく軽量化を実現することができる。さらに、管状体の強度低下の原因となる樹脂溜りやボイドの発生も防止することができ、高強度とすることができる。
内周側に対して外周側の樹脂含有率が大きくなることにより、大きな曲げ応力やねじれ応力のかかる外周側において特にボイドを無くして、耐久性を高めることができる。
本発明では、樹脂含有率が同等のプリプレグを用いても回転制御工程により予備成形体中の樹脂含有率の径方向の制御が可能であるため、樹脂含有率の異なる複数のプリプレグを準備する必要がなく、材料種を削減することができ、材料コストの低下および製造効率が向上する。また、樹脂含有率の大きいプリプレグを用いた場合でも、研磨する外表面の樹脂量を大とするため、高剛性で軽量化を実現できる樹脂含有率の小さい管状体を成形することができる。
なお、製造する管状体の要求性能等に応じて樹脂含有率の異なるプリプレグを用いても良いことは言うまでもない。
また、上記領域において、樹脂量調整工程後の樹脂含有率を、回転制御工程前の樹脂含有率の120%〜200%と増加しているのは、120%未満だと樹脂分に対して繊維分が多く研磨により剛性や強度が変化しやすくなるためである。一方、200%より大きくしようとすると樹脂量の変化が大きくなりすぎ回転制御工程に要する時間が長くなり生産性が悪化するためである。なお、上記回転制御工程による樹脂含有率を120%〜150%とするのが好ましい。
なお、回転制御工程では、予備成形体の外周面にポリプロピレン,ポリエチレン等の樹脂フィルムを巻き付けて加圧しておき、その後、加熱、回転することが好ましい。
その結果、ゴルフクラブシャフトとして特に好適に用いることができるほか、テニスやバトミントンのラケット、釣竿、スキーのストック等に用いることができる。
まず、予備成形体の形成工程で、強化繊維と熱硬化性樹脂とを備えた繊維強化樹脂の積層体からなる予備成形体を形成する。
予備成形体は、図1(A)(B)に示すように、強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグ11〜14をマンドレル10に複数層巻き回して形成している。マンドレル10は、断面が円形状であり、一端10aを小径とし、他端10bを大径とし、小径側から大径側に漸次外径が増大するテーパ形状としている。プリプレグ11〜14の強化繊維F11〜F14はいずれも炭素繊維を用い、マトリクス樹脂としてエポキシ樹脂を用いている。
プリプレグ14は、強化繊維F14が軸線方向に対してなす繊維角度を0°とし、3周巻きとしている。
プリプレグ11〜14の巻き数は先端から後端まで共通としている。各プリプレグ11〜14の樹脂含有率はいずれも20重量%とし、厚みは0.1mmとし、弾性率は30ton/mm2としている。また、上記プリプレグの樹脂目付量は150g/m2とし、炭素繊維目付量は100g/m2とし、軸方向に対して0度での曲げ強度は155kgf/mm2としている。
その後、硬化工程で樹脂の硬化温度まで上昇させて硬化させ、樹脂含有率が調整された予備成形体20’を、回転させながら熱硬化性樹脂の硬化温度以上で加熱硬化させて管状体を得る。
回転の開始と共に加熱を行い、50分間で80℃まで昇温し、その後30分間80℃を維持し、樹脂の流動性を保持して回転に伴う遠心力で樹脂分を外周側へ流動させている。その後、30分間かけて130℃まで昇温して、予備成形体20を段階的に加熱し、樹脂量の調整と樹脂の硬化を行っている。130℃まで昇温した後、徐々に降温し、降温と同時に回転を停止させている。
常温まで降温した後、加熱硬化された管状体からポリプロピレン製のテープを剥がし取る。その後、図5(A)(B)に示すように、硬化された管状体20’をマンドレル10から抜き取り、研磨工程で管状体20’の外表面を研磨している。
本実施形態では、外表面20c’から0.06mmの位置までの範囲の樹脂含有率が高い外周面を全面に渡って均一に研磨して、管状体30を製造している。
上記研磨時には樹脂分21が主として除去され繊維分22は殆ど削られない。
なお、管状体を研磨後にマンドレルから抜き取っても良く、研磨後に装飾等のため塗装を行うこともできる。
上記実施形態と同様の方法で、予備成形体の樹脂含有率を調整して管状体を製造した。
マンドレル及び予備成形体を回転せずに、プリプレグの積層状態のままで加熱硬化した。その他は実施例1と同様とした。
加熱硬化後、研磨前の管状体の厚みは一定で3.0mm、小径側の外径が9.5mm、大径側の外径が16.0mmであり、外周面から0.06mmの位置までを外周面全面に渡って研磨した。
また、外周面から最外層の繊維までの距離を測定し、管状体の小径側から大径側までの平均値を表1の「距離」の欄に記載した。
研磨後の管状体の3点曲げ強度を測定した。3点曲げ強度とは、製品安全協会が定めるSG式の破壊強度である。図7に示すように、3点で管状体40を支え、上方から荷重圧子41により荷重Fを加え、管状体40が破断した時の荷重値(ピーク値)を測定した。測定点は、管状体40の細径端から90mm(T点)、175mm(A点)、525mm(B点)、の各位置を、太径端から175mm(C点)の4ヶ所について行った。2ヵ所の支持点42のスパンをT点測定時のみ150mmとし、A〜C点測定時は300mmとした。荷重圧子41の先端半径は75mm、支持点42の先端半径は12.5mmとし、荷重圧子41は支持点42の中心位置で管状体40に荷重Fを加えた。
T点:205N、A点:87N、B点:108N、C点:122Nであった。
比較例1は、
T点:181N、A点:75N、B点: 93N、C点:101Nであった。
実施例1は、断面の外周側半分の樹脂含有率の平均値が35重量%であり、内周側半分の樹脂含有率の平均が5重量%であった。
比較例1は、断面の外周側半分及び内周側半分の樹脂含有率の平均値が、共に20重量%であった。
11〜14 プリプレグ
20 予備成形体
21 樹脂分
22 繊維分
30 管状体
Claims (5)
- 強化繊維と熱硬化性樹脂とからなる繊維強化樹脂層を積層して管状の予備成形体を形成する工程と、
上記熱硬化性樹脂の硬化温度未満で加熱しながら上記予備成形体を回転させて遠心力で該予備成形体中の樹脂を径方向外側に流動させて、該予備成形体中の樹脂が充填されていない空隙に樹脂を充填させると共に外表面側の樹脂含有率が大きくなるように制御する回転制御工程と、
上記樹脂含有率が制御された予備成形体を、上記回転中又は回転後に上記熱硬化性樹脂の硬化温度以上で加熱して硬化させ管状体を得る硬化工程と、
上記管状体の樹脂含有率を高くした外表面を研磨する研磨工程と、
を含む管状体の製造方法。 - 上記予備成形体は、マンドレルに強化繊維に熱硬化性樹脂を含浸させたプリプレグを複数層巻き回すことにより形成した後、上記マンドレルを回転させ、樹脂含有率が内周側から外周側にむけて漸増させている請求項1に記載の管状体の製造方法。
- 上記複数のプリプレグは、樹脂含有率が同等のものを用いている請求項2に記載の管状体の製造方法。
- 上記研磨工程前の管状体の全体厚みに対して外表面から20%までの厚さ部分において、上記回転制御工程前の樹脂含有率に対して上記回転制御工程後の樹脂含有率が120%〜200%となるように制御している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の管状体の製造方法。
- 上記予備成形体は、軸方向の一端を小径とし他端を大径としてなるテーパ状に形成し、上記回転制御工程後の予備成形体では大径側が小径側より外周部の樹脂含有率を高くしている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の管状体の製造方法。
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