JP4330237B2 - 長尺体のカバー構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調用配管やガス導管、或いは給湯配管等の長尺体における屈曲部分を覆う長尺体のカバー構造に係り、詳しくは、出隅や入隅において用いられるエルボ部分のカバーを、その両側に配置されるカバーの相対配置条件の種々の異なりに対応しながらも見栄え良く処理できる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、室内の壁面に沿って配管される給湯用の管や電気配線、室内機と室外機とを接続する空調用配管等は体裁を構わない無骨なものであり、一定間隔毎に装備されるクランプを伴なった機能部品状態での外観はあまり芳しいものではないため、近年では、配管を覆うカバーを設けて見栄えを良くすることが標準仕様になりつつある。この場合、極力直線的な配管を行なうことが見た目及びコスト上での基本であり、室内の隅部や外壁の角部といったコーナー部分に配置されるエルボ等の屈曲経路部分では、このエルボを覆う専用の屈曲配管カバーを用いて、その両側に位置する直線配管カバーの端部どうしを接続することにより、一連一体の良好な外観を呈する状態に配管カバーを敷設するようになる。
【0003】
従来では、実公平7−36234号公報の図1に示されたもののように、直線状の配管を覆う一対の直線配管カバー間における配管の90度屈曲部分(エルボ部分)を、その屈曲部分を収容自在な屈曲カバー本体と、屈曲カバー本体の各端部と直線配管カバーの端部とに亘って外装される一対の連結カバー部とで成る屈曲カバー機構で覆うとともに、屈曲カバー本体を、これの軸心を通る面で分割される一対の分割カバーで構成された長尺体のカバー構造が知られている。
【0004】
この構造では、カバー固定対象面にビス止めされる屈曲カバー本体の断面形状が八角形であるため、屈曲カバー本体を壁面に直に面接触させてビス止め固定しながら、連結カバー部に対して管軸心周りに45度回動移動させて接続配置することができるので、水平面における90度屈曲したエルボ部分、或いは相対的に45度傾いた面における90度屈曲したエルボ部分については対応可能である。
【0005】
又、前記公報の図7に示されたもののように、屈曲カバー本体の断面形状を円形とすることにより、周溝嵌合構造を採用しながらも屈曲カバー本体を連結カバーに対して回動移動自在となり、一対の直線配管カバーどうしに微少な相対角度が存在しながら90度屈曲するエルボ部分を隙間無く良好にカバーできるように工夫されたものも知られている。これにより、断面八角形の屈曲カバー本体を用いた場合では対応できない直線配管カバーどうしの相対的な傾き角に自在に対応できる利点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、断面円形の屈曲カバー本体を用いた屈曲カバー機構を用いても、施工上において不便を伴なう場合がある。すなわち、前述した公報の図7に示されたものは、一対の連結カバー部を壁面にビス止め固定し、かつ、この固定された連結カバー部によって屈曲カバー本体を挟み込んで固定させる構造であり、連結カバー部を固定しない限り、屈曲カバー本体を固定できない。
【0007】
しかして、屈曲カバー本体を構成する一対の分割カバーのうちの壁側のものを、エルボの配置後に該エルボと壁面との間に挿入して配置することは不可であるため、実際には、壁側の分割カバーを所定の位置に手指等で押さえて保持しながらエルボの配管を行なうという面倒で煩わしい操作を行なう必要がある。加えて、エルボ配管によって辛うじて保持されている壁側の分割カバーに、もう一方の分割カバーを組み合わせた状態で、一対の連結カバー部を周溝嵌合させてビス止めするという煩雑な操作も必要であり、屈曲カバー機構の装着作業性には改善の余地が残されているものであった。これが第1の課題である。
【0008】
それから、前述した従来の屈曲カバー機構では、配管の敷設場所条件によっては、屈曲配管カバーを円滑に装備し難い状態となることがあった。すなわち、図2に示すように、エルボ7の両側に配置される直線配管カバー6,6が、それらカバーに内装される配管の軸心に関して互いに90度捩じられた姿勢で、かつ、互いに異なる面f,gに取付けられることにより、一方の直線配管カバー6での設定配管中心x1と、他方の直線配管カバー6での設定配管中心x2とが互いに離れて交わらず、三次元的な屈曲配管経路が形成される場合である。それは、次のような原因に因る。
【0009】
図3に示すように、直線配管カバー6は、構造物の面に固定されるカバーベース1と、このカバーベース1に対して着脱自在に取付けられるカバー本体2と、カバーベース1に設けられた配管支持用のクランプ3とから構成されており、全体としての断面形状は、矩形におけるカバーベース取付面と反対側の一辺が半円形に丸められた略カマボコ形を呈している。そして、半円形辺を円弧とする径のほぼ中心Xに配管Pが位置するようにクランプ3が形成されており、配管Pの直下位置にカバーベース1を壁面に固定するためのビス4が配置されている。
【0010】
又、種々の配管径に対応可能となるように、配管Pの外周とカバー本体2の内周とに所定の間隙を設けるとか、カバー本体2をカバーベース1に弾性的に係合させるための外側への膨出変形空間ΔDを確保するといった諸条件を満たすように設計すると、カバーベース1の取付対象壁面w1と配管軸心xとの間隔d1と、近接する横側方の壁面w2と配管軸心xとの間隔d2とには、d1≠d2の関係が生じることとなり、これが前述した原因である。
【0011】
従って、屈曲配管カバーを直線配管カバーに直接に接続させる構造では、d1≠d2の関係を満たすべく、種々の施工状況に即した偏心量が施された複数種の屈曲配管カバーがその都度必要になるから、いきおい、成形金型が多くなってコスト高になってしまう。そこで、実公平7−36234号公報の図7に示されたもののように、エルボ管部分を覆う断面円形の屈曲カバー本体と、該屈曲カバー本体の端部と直線配管カバーの端部とに亘って外装される連結カバーの一対と、の3部品を用いる構造を踏襲することにより、複数種の屈曲配管カバーを用意すること無く良好にカバーさせることが考えられた。
【0012】
すなわち、前述したd1≠d2の関係によって直線配管カバーと屈曲配管カバーとの接続箇所が傾くとか、両者の隙間が均一に取れない等の接続ずれを、連結カバーで覆うことによって外観を向上できるとともに、屈曲配管カバーと連結カバーとは1種類で良く、部品点数は増えるが金型費を削減できる点で汎用性が備わるようになり、全体としてはコストダウンできる合理的な手段としてである。
【0013】
しかしながら、前記公報の図7に示された構造そのままでは、前述の3次元的に曲がる屈曲部を見栄え良くカバーすることが依然として難しいことが分かってきたのである。つまり、実公平7−36234号公報の図7に示されたものでは、一対の連結カバーを壁面にビス止め固定し、かつ、屈曲配管カバーは、これと連結カバーとを周溝嵌合させることで相対姿勢が固定された状態で装備される構造であるから、互いに壁面に固定された連結カバーと屈曲配管カバーとの姿勢のずれを吸収する部分が存在しない。
【0014】
故に、前述したd1≠d2が存在する場合には、取付け施工ができない又は行ない難いとか、無理に取付けて周溝嵌合部や屈曲カバー本体を破損させてしまう等の不都合が生じ易いものであり、無理なく円滑に施工できるようにするには更なる改善の余地が残されているものであった。これが第2の課題である。
【0015】
上記実情に鑑みての本発明の第1目的は、一対の長尺体カバーどうしに90度等の曲がり以外の方向に相対角度差がある場合でも無理なく対応できる断面円形で2分割構造の屈曲配管カバーを用いた屈曲カバー機構を、一方の分割カバーをエルボ配管の前に仮固定できるようにして、その施工作業性を改善する点にある。第2目的は、一対の連結カバー部と屈曲カバー本体とでエルボ管部分をカバーする構造を踏襲しながら、各部品に無理な力が作用すること無く3次元的に曲がる長尺体のカバー構造を実現させる点にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
〔構成〕
請求項1の構成は、図1,8,9に例示する如く、長尺体Pを覆う一対の長尺体カバー6,6間における長尺体Pの屈曲部分7を、この屈曲部分7を収容自在な断面円形の屈曲カバー本体8と、屈曲カバー本体8の各端部と両長尺体カバー6,6の端部とに亘って外装される一対の連結カバー部qとで成る屈曲カバー機構Aで覆うとともに、屈曲カバー本体8を、これの軸心8tに沿う面で分割される一対の分割カバー8A,8Bで構成してある長尺体のカバー構造において、
連結カバー部qを、カバー固定対象部に固定されたブラケット10に対して装着及び取外し自在に構成するとともに、一対の分割カバー8A,8Bのうちのいずれか一方の分割カバー8Aの各端部を、屈曲カバー本体8の端部における軸心8t周りに回動移動自在に支持する係合部20を、ブラケット10の夫々に設けてあることを特徴とする。
【0017】
請求項2の構成は、図12に例示する如く、請求項1の構成において、係合部20に、一方の分割カバー8Aの端部を遊嵌状態で支持させてあることを特徴とするものである。
【0018】
請求項3の構成は、図12に例示する如く、請求項1又は2の構成において、屈曲カバー本体8の端部の外郭形状を先細り状としてあることを特徴とするものである。
【0019】
請求項4の構成は、図8に例示する如く、請求項1〜3の構成において、ブラケット10に、長尺体カバー6の端部を支持する部分21を設けてあることを特徴とするものである。
【0020】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【0021】
〔作用〕
請求項1の構成は、カバー固定対象部に固定のブラケットに対して屈曲カバー本体を装着し、かつ、屈曲カバー本体を構成する一方の分割カバーを各ブラケットに対して断面中心周りに回動移動自在に支持させる手段である。回動移動自在に支持させることにより、長尺体カバーどうしに90度等の設定された曲がり以外の方向に相対角度差が存在している場合には、ブラケットに対して屈曲カバー本体が回動移動することで、その角度差を無理なく吸収することができるようになる。
【0022】
加えて、一方の分割カバーを一対のブラケットに対して支持させてあるので、この一方の分割カバーをエルボの配管前にブラケットに支持させて仮固定、又は本固定することができ(図9参照)、エルボ配管時に分割カバーを手指等で支持し続けるということから解放されるようになる。
【0023】
請求項2の構成によれば、係合部に、一方の分割カバーの端部を遊嵌状態で支持させたので、屈曲配管カバーが、ブラケット、すなわち連結カバー部に対して回動移動だけでなく、折れ曲がり変位することも可能になる(図13参照)。故に、詳しくは実施形態の項にて説明するが、回動移動できる融通(第1融通)と、折れ曲がり変位できる融通(第2融通)との両融通により、一方の直線配管カバーでの設定配管中心と、他方の直線配管カバーでの設定配管中心とが互いに交わらない三次元的な屈曲配管経路が形成される場合に無理無く対応させることができる。つまり、連結カバー部と屈曲配管カバーとの姿勢のずれを吸収する部分が存在することになり、前述したd1≠d2が明確に存在する場合でも、屈曲配管カバーをブラケットに無理無く支持できて取付け施工することが可能になる。
【0024】
請求項3の構成によれば、屈曲カバー本体の端部の外郭形状を先細り状としたので、この先細り先端部に連結カバー部の端部が外嵌することになる。これにより、屈曲カバー本体における先細りしていない部分の外径と、連結カバー部の外径(外寸)とを極力同じ寸法に近づけることができ、極端な太さの違いを軽減又は無くして、連結カバー部と屈曲カバー本体との見た目の繋がり具合を円滑な状態にすることができる。又、連結カバー部と屈曲カバー本体とが折れ曲がり変位する場合には、これら両者が直管どうしで嵌合している状態に比べて、該両者の隙間が増大する率を軽減、すなわち隙間の増大を抑制することができる。
【0025】
請求項4の構成によれば、長尺体カバーの端部を支持する部分をブラケットに、設けたので、ビス等の長尺体カバー端部を止める手段を省くことができるようになる。
【0026】
〔効果〕
請求項1〜4のいずれに記載の長尺体のカバー構造でも、断面円形で2分割構造の屈曲カバー本体を、ブラケットを介して固定させる工夫により、一対の直線配管カバーどうしの配管軸心が相対傾斜しながら屈曲経路を構成していても、ブラケットと屈曲カバー本体との相対回動によってその相対傾斜に無理なく対応しながら、エルボ等の長尺体屈曲部分の配管前に片側の分割カバーを、他に支持手段を要することなく仮固定でき、カバーの施工作業性を改善することができた。
【0027】
請求項2に記載の長尺体のカバー構造では、屈曲配管カバーを、ブラケットに対して回動移動自在及び折れ曲がり変位可能に支持させることにより、一対の連結カバー部と屈曲カバー本体とでエルボ等の長尺体屈曲部分をカバーする構造を基本的に踏襲しながら、各部品に無理な力が作用すること無く3次元的に曲がる部分を覆うことができた。
【0028】
請求項3に記載の長尺体のカバー構造では、連結カバー部と屈曲カバー本体との太さの差を少なくでき、かつ、これら両者が折れ曲がり変位する場合に連結カバー部と屈曲カバー本体との隙間が増大することを抑制又は解消でき、見栄えを向上させることができた。
【0029】
請求項4に記載の長尺体のカバー構造では、屈曲カバー機構固定用のブラケットで長尺体カバー端部の固定も行なえる多機能化が実現でき、構造の簡略化やコストダウンが図れる利点がある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に、室内にて配管された給湯管P(長尺体の一例)の隅部における方向変換部分が示されている。給湯管Pは、保護及び見栄えを目的とした配管カバーB(長尺体カバーの一例)で覆われており、配管カバーBは、ストレート管5を覆う直線配管カバー6、エルボ管7部分を覆う屈曲配管カバー8、直線配管カバー6と屈曲配管カバー8とに跨る連結カバー9等から構成されている。
【0031】
室内の隅では、e壁とf壁とg壁とが交わるところであり、一方の直線配管カバー6はf壁に対して取付けられており、他方の直線配管カバー6はg壁に対して取付けられている。つまり、向かい合う直線配管カバー6,6は、配管カバーBに内装される給湯管Pの軸心xに関して互いに90度捩じられた姿勢で、かつ、互いに異なる面に取付けられており、「発明が解決しようとする課題」の項にて述べたように、三次元的な屈曲配管経路が形成されている。
【0032】
つまり、一方の直線配管カバー6の軸心x1と、他方の直線配管カバー6の軸心x2とが交わらず、段差aが付いた状態でのエルボ管7を配管するものである。そこで、断面円形の屈曲配管カバー8と、一対の連結カバー9,9、及び一対の固定ブラケット10,10等から、三次元的に曲がる方向転換部分を、その双方の軸心x1,x2が交わらない芯ずれを吸収しながら上手く覆う屈曲カバー機構Aを構成してある。次に、各部品の構造について先に説明する。
【0033】
図3に示すように、直線配管カバー6,6は、f壁等の面(w1)にビス4で固定されるカバーベース1と、カバー本体2と、隣合うビス4,4間にてカバー長手方向にスライド移動自在にカバーベース1に係合支持されたクランプ3とから構成されている。カバーベース1にはクランプ3を嵌め入れるための内向きレール部1a,1aと、カバー本体2を嵌め込むための外向き係入部1b,1bが形成されている。
【0034】
クランプ3は、レール部1a,1aに嵌合する脚片3a,3aと、配管Pを内嵌保持可能な保持片3b,3bを有した管軸方向に短いものであり、1個の直線配管カバー6,6につき複数個装備されている。カバー本体2は、半円弧状の上部2Aの両側にスカート部2B,2Bを備えた断面逆向き略U字形状を呈し、係入部1bに係合する一対の突起2aを各スカート部2Bに形成してある。
【0035】
クランプ3は、隣合うビス4どうしの間ではスライド自在であり、その範囲内では管軸方向の配管保持位置を自由に設定することができる。配管Pをクランプ3に押し込めば、保持片3b,3bが弾性変形して嵌め入れることができる。カバー本体2は、カバーベース1に対して上方から落とし込み操作すれば、カバー本体2が弾性拡径変形して突起2a,2aが係入部1b,1bを乗り越えてから係合することができる。その乗り越え時のカバー本体2の外方への変位量ΔDを、カバー本体2の設置状態において壁面から離しておく必要がある。
【0036】
図1,4,10に示すように、L字状の屈曲配管カバー8は、これの軸心8tに沿う面、詳しくは、屈曲軸心8tを全て含んだ面を割面とした基カバー8Aと蓋カバー8Bとから成る2分割構造に構成されており、その両側の先端部8sには先細り形状となるテーパ面11が施されている。両カバー8A,8Bは、蓋カバー8Bが外側となる周縁の段差嵌合部12と、基カバー8Aが凹部13aで、かつ、蓋カバー8Bが凸部13bとなる5箇所の凹凸嵌合部13とによって嵌合されている。各カバー8A,8Bには、直線配管カバー6,6双方の軸心x1,x2が交わる場合(d1=d2のときであり、図9,10参照)に、直接壁面にビス止め可能とするための孔を後で形成し易くする凹み14を形成してある。
【0037】
図5,10に示すように、連結カバー9は、円弧形状の上部9Aの両側にスカート部9B,9Bを備えた断面逆向き略U字形状を呈し、直線配管カバー側端部の外郭形状を、先細り状となるテーパ面15に形成し、かつ、屈曲配管カバー側端部の内郭形状を、先拡がり状となるテーパ面16に形成してある。この内側のテーパ面16のテーパ角度は、屈曲配管カバー8のテーパ面11のテーパ角度よりも緩いものに設定されている(図12参照)。連結カバー9の内面には、後述する蛇腹カバーFの蛇腹本体35を係止するための内周リブ17と、各スカート部9Bの内側に位置するフック部18,18が一体形成されている。
【0038】
図6,8に示すように、固定ブラケット10は、ビス4で壁面に固定される基部19に、屈曲配管カバー8を係合させるための管軸方向に突出した円弧突起(係合部の一例)20、直線配管カバー6,6のカバーベース1の壁面からの浮き上がりを規制して保持する押え面21、連結カバー9のフック部18を係止させるための一対の係合部22,22、及び、後述する蛇腹カバーFの端部を引っ掛けて係止するための一対の引掛け部23,23を一体形成した多機能部品に構成されている。
【0039】
円弧突起20は、基部19から立ち上がる縦壁24から突設してあるとともに、縦壁24の付け根部分の基部19には、縦壁24の基部19からの除去を容易化するための切り込み25が形成されている。縦壁24の両側に間隙を持って配置される引掛け部23は、角孔26aを備えて横向きに突出する下側突片26と、同様に横向きに突出する上側突片27とで形成されている。係合部22は、突起22aと凹入面22bとを備えて構成されている。
【0040】
下側突片26の根元から立ち上げられて上側突片27を支える一対の脇縦壁28,28には、円弧突起20と同じ中心を有して、かつ、若干径の大きい円弧端面28aが形成してある。この円弧端面28aは、管軸方向での厚みが先端程薄くなる先細り状に尖らせてあり、長さ方向の途中で寸断された蛇腹カバーFの蛇腹部分を引っ掛けられるように設定してある(図17参照)。
【0041】
図7に、仮固定状態の屈曲配管カバー8を本固定するための係止片30を示す。係止辺30は、屈曲配管カバー8の外径に沿った円弧端面31aを有した略三角形の隠し壁31に、下側突片26と上側突片27との間に嵌まり込む側方突片32を形成して構成されている。側方突片32には、挿入限界を規定するストッパ32aを形成してある。
【0042】
次に、屈曲カバー機構Aを用いて屈曲配管部分をカバーリングする手順を説明する。図8に示すように、先ず、f壁とg壁の夫々にカバーベース1をビス4を用いて固定し、それらカバーベース1,1の端部のレール部1a,1aに、固定ブラケット10の押え面21を嵌め入れる。次いで、一方の固定ブラケット10のみをg壁にビス4で固定して、他方の固定ブラケット10が動きうる状態で、図9,11に示すように、基カバー8Aの各端部を、各円弧突起20の外側(壁側)に嵌め入れ、それから他方の固定ブラケット10をf壁にビス4で固定する。
【0043】
この場合、基カバー8Aの各端部を各円弧突起20の外側に嵌め入れてから、両固定ブラケット10,10をビス止めするやり方も可能である。但し、一対の係止片30,30のうち、e壁とg壁側のものは、基カバー8Aの装着後には取付けることができないので、基カバー8Aの装着前に嵌め入れておくようにすると良い。
【0044】
これにより、両カバーベース1,1と両固定ブラケット10,10が固定され、かつ、基カバー8Aが仮固定された状態になり、この状態でストレート管5、エルボ管7、これら両管5,7を接続するソケット管29から成る給湯管Pを、クランプ3を用いてカバーベース1に係止保持させる。このとき、一方のストレート管5の軸心x1と、他方のストレート管5の軸心x2が交わらずに段差aを生じているので(図2参照)、各ベースカバー1,1の最もエルボ管7側のクランプ3,3間における給湯管Pの撓みによってその段差aが吸収される。
【0045】
次に、図10に示すように、各ベースカバー1,1にカバー本体2を嵌め込んで装着するとともに、蓋カバー8Bを基カバー8Aに嵌め入れて屈曲配管カバー8を形成し、それから壁側でない側の係止片30を各固定ブラケット10に装備して、4個の係止片30により、円弧突起20の外周面に先細り先端部8sを押付け、仮固定状態にある屈曲配管カバー8を本固定させる。そして最後に、各連結カバー9,9を各固定ブラケット10,10に嵌め込んで装着することで、コーナー部分における給湯管Pの配管及びそのカバーリングが完了する。
【0046】
エルボ管7の両側に存在する直線配管カバー6,6間には、方向が90度変更されるだけでなく、その曲がり方向に直交する方向に段差aが付いているので、その段差aを吸収して屈曲カバー機構Aは三次元屈曲するような状態になる。屈曲配管カバー8と連結カバー9とは、若干の隙間を見込んだ遊嵌状態での円弧嵌合とされているので、屈曲配管カバー8の軸心8tを直線配管カバー6の軸心x1又はx2を中心とした相対回動移動が自在(第1融通と定義する)であるとともに、屈曲配管カバー8の軸心8tが直線配管カバー6の軸心x1又はx2に対して傾く折れ曲がり移動がある程度可能(第2融通と定義する)であり、この2種の融通によって前述の段差aを吸収できるようになっている。その吸収形態としては次のような状況が考えられる。
【0047】
< 1> 屈曲配管カバー8の一方の端部が連結カバー9に対して管軸心P周りに回動し、かつ、屈曲配管カバー8の他方の端部が連結カバー9に対して管軸方向で下方に傾く(図13参照)。これは、一方の連結カバー9部分では第1融通のみが機能し、他方の連結カバー9部分では第2融通のみが機能している状況である。
< 2> 屈曲配管カバー8の両端部が、いずれも各連結カバー9,9に対して管軸心P周りに回動するとともに管軸方向で傾く。この傾きは、一方は下方に傾き、他方は上方に傾く。これは、いずれの連結カバー9部分でも、第1融通と第2融通の双方が機能している状況である。
【0048】
〔別実施形態〕
図15に示すように、端部が先細りではなく直管の屈曲配管カバー33を用いた屈曲カバー機構Aでも良い。又、図15に示すように、連結カバー9の直線配管側端部の外郭形状を直管としても良い。図示しないが、構造物の角隅(出隅)部分に配管される給湯管Pを、本発明による屈曲カバー機構Aを用いてカバーリングしても良い。
【0049】
図14に示すように、一方の直線配管カバー6の軸心x1と、他方の直線配管カバー6の軸心x2とに相対角度差αが存在する状態の配管Pの屈曲部分を、屈曲カバー機構Aで覆うものでも良い。この場合は、いずれか一方の固定ブラケット10と屈曲カバー本体8の一方の端部とが相対回動移動する第1融通により、角度差αを吸収するようになる。
【0050】
図16に示すように、直線配管カバー6,6におけるカバーベース1の端部に、固定ブラケット10の機能を有する部分を形成することにより、独立した部品である連結カバー9を持たない屈曲カバー機構Aを構成することも可能である。この場合は、カバーベース1の端部が「ブラケット」に、かつ、カバー本体2の端部が「連結カバー部」に夫々相当するものであり、直線配管カバー6,6の端部と屈曲カバー本体8とで屈曲カバー機構Aが構成されている。つまり、連結カバー9やカバー本体2の端部等を総称して連結カバー部qと定義するものである。
【0051】
図18に示すように、合成樹脂材等による蛇腹カバーFを屈曲カバー本体8に代えて用いることも可能である。すなわち、蛇腹本体35の両端夫々に略環状の装着係止部36を一体形成して蛇腹カバーFが構成されており、装着係止部36には、下方に突出する左右一対の突起部36a,36aが形成されている。しかして、装着係止部36の下部を円弧突起20と左右の引掛け部23,23との上下間に挿入して、突起部36a,36aを各角孔26a,26aに嵌め入れ、それから連結カバー9を装備すれば、装着係止部36を押え込んで蛇腹カバーFを装備できるのである。この場合、連結カバー9の内周リブ17は、蛇腹カバーFの挿入限界を規定する部分として機能することができる。
【0052】
又、図17に示すように、蛇腹カバーFの蛇腹本体35のみを用いてカバーリングさせることも可能である。この場合は、固定ブラケット10を切り込み25部位で切断して、縦壁24を伴なった円弧突起20を除去し、その両側に形成されている一対の脇縦壁28を用いる。つまり、装着係止部36が切断除去された蛇腹本体35のみの蛇腹管Fを、その谷部分35aに円弧端面28aが位置する状態に固定ブラケット10に嵌め込み装備し、それから連結カバー9,9を固定ブラケット10に装着することにより、連結カバー9の内周リブ17と円弧端面28aとが蛇腹本体35に係合した係止状態として、連結カバー9と固定ブラケット10とで蛇腹本体35を挟み込んで装着できるのである。
【0053】
図19に示すように、長尺体Pとして、エルボ7に代えて蛇腹状のフレキシブル管34を用いて屈曲配管部分を構成し、そのフレキシブル管34部分を屈曲カバー機構Aで覆うものでも良い。
【0054】
長尺体としては、給湯管、ガス導管、空調用配管、上下水道管、排水管等の管体の他、電線、操作ケーブル、操作ワイヤー等の索体等、種々のものが対象として考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】入隅における給湯管を覆う屈曲カバー機構の構造を示す断面平面図
【図2】直線配管カバーどうしの相対段差を示す斜視図
【図3】直線配管カバーの構造を示す断面図
【図4】屈曲カバー本体の構造を示す断面図
【図5】連結カバーを示す断面図
【図6】ブラケットの形状と構造を示す三面図
【図7】係止片の形状と構造を示す三面図
【図8】エルボ部分でのカバー施工手順を示す作用図その1
【図9】エルボ部分でのカバー施工手順を示す作用図その2
【図10】エルボ部分でのカバー施工手順を示す作用図その3
【図11】屈曲カバー本体と固定ブラケットとの接続状態を示す部分図
【図12】連結カバー部分でのカバー接続状態を示す断面図
【図13】一方が回動変位し、他方が折れ曲がり変位した屈曲カバー機構を示す図
【図14】直線配管カバーどうしに相対角度差があるときの屈曲カバー機構を示す斜視図
【図15】外径一定の屈曲カバー本体及び連結カバーを示す連結カバー部分の断面図
【図16】独立した連結カバーを持たない屈曲カバー機構を示す要部の断面図
【図17】蛇腹カバーの蛇腹本体のみを用いた屈曲カバー機構の要部を示し、(イ)は平面図、(ロ)は側面図
【図18】蛇腹カバーによる屈曲カバー機構の要部を示し、(イ)は平面図、(ロ)は側面図
【図19】フレキシブル管を内装した屈曲カバー機構を示す断面平面図
【符号の説明】
6 長尺体カバー
7 屈曲部分
8 屈曲カバー本体
8A,8B 分割カバー
8t 軸心
10 ブラケット
20 係合部
21 長尺体カバーの端部を支持する部分
A 屈曲カバー機構
P 長尺体
q 連結カバー部
Claims (4)
- 長尺体を覆う一対の長尺体カバー間における前記長尺体の屈曲部分を、該屈曲部分を収容自在な断面円形の屈曲カバー本体と、該屈曲カバー本体の各端部と前記両長尺体カバーの端部とに亘って外装される一対の連結カバー部とで成る屈曲カバー機構で覆うとともに、前記屈曲カバー本体を、これの軸心に沿う面で分割される一対の分割カバーで構成してある長尺体のカバー構造であって、
前記連結カバー部を、カバー固定対象部に固定されたブラケットに対して装着及び取外し自在に構成するとともに、前記一対の分割カバーのうちのいずれか一方の分割カバーの各端部を、前記屈曲カバー本体の端部における軸心周りに回動移動自在に支持する係合部を、前記ブラケットの夫々に設けてある長尺体のカバー構造。 - 前記係合部に、前記一方の分割カバーの端部を遊嵌状態で支持させてある請求項1に記載の長尺体のカバー構造。
- 前記屈曲カバー本体の端部の外郭形状を先細り状としてある請求項1又は2に記載の長尺体のカバー構造。
- 前記ブラケットに、前記長尺体カバーの端部を支持する部分を設けてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の長尺体のカバー構造。
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