JP4329883B1 - 耐浸炭性金属材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】石油精製や石油化学プラントなどにおける分解炉や改質炉、加熱炉もしくは熱交換器などの素材として好適な加工性及び耐メタルダスティング性に優れた金属材料を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.08〜0.4%、Si:0.6〜2.0%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、Cr:18〜30%、Ni:20%以上30%未満、Cu:0.5〜10.0%、Al:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、N:0.15%以下、O(酸素):0.02%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、かつ下記(1)式を満足することを特徴とする耐浸炭性金属材料。さらに、Co、Mo、W、B、V、Zr、Nb、Hf、Mg、Ca、Y、La、Ce及びNdのうちの1種又は2種以上を含有してもよい。
C≧0.062×Si+0.033×Cu−0.004×Cr+0.043・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温強度が高く、耐食性に優れ、特に炭化水素ガスやCOガスなどを含有する浸炭性ガス雰囲気で使用される金属材料、特に、石油精製や石油化学プラントなどにおける分解炉や改質炉、加熱炉もしくは熱交換器などの素材として好適な溶接性及び耐メタルダスティング性に優れた金属材料に関する。
水素、メタノール、液体燃料(GTL:Gas to Liquids)やジメチルエーテル(DME)といったクリーンエネルギーの燃料は、今後の大幅な需要増が予想される。したがって、このような合成ガスを製造するための改質装置は大型化し、より一層熱効率が高く量産に適した装置が要求される。また、従来の石油精製や石油化学プラントなどにおける改質装置、あるいは石油などを原料とするアンモニア製造装置、水素製造装置などにおいても、よりエネルギー効率を高めるために、排熱回収のための熱交換が多用されるようになってきている。
このような高温ガスの熱を有効活用するためには、従来対象とされてきたよりも低い、400〜800℃の温度域における熱交換が重要となってきており、この温度域において反応管や熱交換器等に使用する高Cr−高Ni−Fe合金系金属材料の浸炭現象に伴う腐食が問題となっている。
通常、上述のような反応装置にて製造される合成ガス、すなわちH、CO、CO、HOおよびメタンなどの炭化水素を含むガスは、反応管などの金属材料と1000℃前後ないしはそれ以上の温度で接している。この温度域において金属材料の表面では、FeやNiなどよりも酸化傾向の大きいCrやSiなどの元素が選択的に酸化され、酸化Crや酸化Siなどの緻密な皮膜が形成されることによって、腐食が抑止される。ところが、熱交換部分など相対的に温度の低い部分においては、金属材料の内部から表面への元素の拡散が不十分となるために腐食抑止効果のある酸化皮膜の形成が遅れることに加え、このような炭化水素を含む組成のガスは浸炭性へと変化するために金属材料表面からCが浸入して浸炭が生じてくる。
エチレン分解炉管等においては、浸炭が進みCrやFeなどの炭化物からなる浸炭層が形成されるとその部分の体積が膨張する。その結果、微細な割れが生じやすくなり、最悪の場合には使用中の管が破断する。また、金属表面が露出すると、表面で金属を触媒とした炭素析出(コーキング)が発生し、管内流路面積の減少や伝熱特性の低下を伴う。
原油の蒸留より得られたナフサのオクタン価を高める接触分解炉の加熱炉管等においても炭化水素と水素からなる浸炭性の厳しい環境となり、浸炭やメタルダスティングが発生する。
一方、改質炉管や熱交換器等におけるガスの浸炭性がより厳しい環境下では、炭化物が過飽和となり、その後グラファイトが直接析出するために、母材金属が剥離脱落し、母材が減肉する、すなわちメタルダスティングといわれる腐食消耗が進行する。さらに、剥離した金属粉末が触媒となり、コーキングを発生させる。
このような亀裂、損耗や管内閉塞が拡大すると、装置故障等が発生して、その結果、操業中断に至る恐れがあり、装置部材としての材料選定に十分な配慮が必要である。
このような浸炭やメタルダスティングによる腐食を防止するために、従来から、種々の対策が検討されてきた。
たとえば、特許文献1には、H、CO、CO、HOを含む400〜700℃の雰囲気ガス中での耐メタルダスティング性に関して、Crを11〜60%(質量%、以下同じ。)含むFe基合金またはNi基合金が提案されている。具体的には、Crを24%以上かつNiを35%以上含むFe基合金、Crを20%以上かつNiを60%以上含むNi基合金、及びこれらの合金にさらにNbを添加した合金材料の発明が優れていることが示されている。しかし、Fe基合金又はNi基合金のCrやNiの含有量を増しただけでは、十分な浸炭抑制効果が得られず、より一層の耐メタルダスティング性を有する金属材料が求められている。
また、特許文献2に開示されている方法は、鉄、ニッケルおよびクロムを含む高温合金のメタルダスティングによる腐食に対し、元素周期表の第VIII族、第IB族、第IV族及び第V族のうちの一種以上の金属およびそれらの混合物を、通常の物理的あるいは化学的手段で表面に付着させ、不活性雰囲気中でアニーリングして、0.01〜10μmの厚さの薄層を形成させることで合金表面を保護しようとするものである。この場合、Sn、Pb、Bi等がとくに有効であるとしている。しかしこの方法は、初期には効果があっても長期にわたる使用により薄層が剥離して効果がなくなるおそれがある。
特許文献3には、H、CO、CO、HOを含む400〜700℃の雰囲気ガス中での金属材料の耐メタルダスティング性に関して、鉄中の溶質元素の観点からCとの相互作用について調査がされた結果、酸化皮膜の保護性を高めることに加えて、Ti、Nb、V、Moなど金属材料中で安定な炭化物を作る元素の添加又はSi、Al、Ni、Cu、Coなどの相互作用助係数Ωが正の値を示す合金元素がメタルダスティング抑制に有効であることが開示されている。ただし、Si、Al等を高めることは熱間加工性や溶接性の低下につながる場合があり、製造安定性やプラント施工面を考えると改善の余地がある。
次に、金属表面への浸炭性ガスの接触を遮断するために、金属材料に予め酸化処理を施す方法や表面処理を行う方法が開示されている。
例えば、特許文献4及び特許文献5には、低Si系25Cr−20Ni(HK40)耐熱鋼や低Si系25Cr−35Ni耐熱鋼を1000℃の近傍の温度で100時間以上の条件で大気中予酸化を行う方法が開示されており、そして、特許文献6には20〜35%Crを含有するオーステナイト系耐熱鋼に大気中予備酸化を行う方法が開示されている。さらに、特許文献7には高Ni−Cr合金を真空中で加熱しスケールの皮膜を生成させて耐浸炭性を向上させる方法が提案されている。
特許文献8には、Si、Cr及びNiの含有量が、Si<(Cr+0.15Ni−18)/10を満足させることによって、加熱・冷却サイクルを受ける環境下でも密着性の高いCr系酸化皮膜を形成させて、高温下で腐食性のガスに曝される環境であっても耐浸炭性に優れるオーステナイト系合金が提案されている。特許文献9には、Cuや希土類元素(Y及びLn族)を含有させることによって、皮膜中のCr濃度が高い均一な酸化皮膜を形成させて、加熱・冷却サイクルを受ける環境下であってもスケールの耐剥離性に優れたオーステナイト系ステンレス鋼が提案されている。また、特許文献10には、表面処理によりSiやCrの濃化層を形成させることによって耐浸炭性を向上させる方法が提案されている。しかしながら、これらの従来技術は、いずれも特殊な熱処理や表面処理を必要とするものであって、経済性に劣る。また、予酸化スケールや表面処理層が剥離した後のスケールの修復 (スケール再生) を考慮していないため、一度損傷が発生するとその後の効果は期待できない。
特許文献11には、Cr濃度が10%以上で母材のCr濃度よりも低濃度のCr欠乏層を鋼管表面に形成してなる、Cr含有量が20〜55%の耐浸炭性に優れたステンレス鋼管が提案されている。しかし、Cu含有鋼で問題となる溶接性の改善に関しては検討されていない。
その他、雰囲気ガス中にHSを添加する方法も考えられているが、HSは改質に用いられる触媒の活性を著しく低下させる恐れがあるので、その適用は限定される。
特許文献12及び特許文献13には、P、S、SbおよびBiの1種もしくは2種以上を適正量含有させることによって、ガス解離性吸着(ガス/金属表面反応)を抑制することが提案されている。これらの元素は金属表面に偏析するので、過剰に添加しなくても、浸炭やメタルダスティング腐食を大幅に抑制することができる。しかしながら、これらの元素は金属表面のみならず金属結晶粒の粒界にも偏析するため、熱間加工性や溶接性に課題が残る。
Cuを添加することによって、耐食性や耐すきま腐食性を高めることも提案されている。特許文献14には、Cuを含有させることによって耐食性を高める一方で、SおよびOを極力低減して、Bによる熱間加工性改善効果を高めることが記載され、特許文献15には、「−Cr+3.6Ni+4.7Mo+11.5Cu」で示されるG.I.値(General Corrosion Index:耐全面腐食性指数)を60〜90とするとともに、「Cr+0.4Ni+2.7Mo+Cu+18.7N」で示されるC.I.値(Crevice Corrosion Index;耐隙間腐食性指数)を35〜50とすることによって、硫酸および硫酸塩環境で優れた耐食性と耐隙間腐食性を向上させることが記載されている。特許文献16には、Cu含有量を高める一方で、Bを0.0015%を超えて添加し、酸素含有量を低く抑えることによって熱間加工性を改善している。これらはいずれも、耐食性の低下を避けるためにC含有量の上限を低く制限している。そのため、Cの固溶強化が期待できず、十分な高温強度が得られない。そのため、高温に使用する金属材料として不適である。
特開平9―78204号公報 特開平11−172473号公報 特開2003−73763号公報 特開昭53−66832号公報 特開昭53−66835号公報 特開昭57−43989号公報 特開平11−29776号公報 特開2002−256398号公報 特開2006−291290号公報 特表2000−509105号公報 特開2005−48284号公報 特開2007−186727号公報 特開2007−186728号公報 特開平1−21038号公報 特開平2−170946号公報 特開平4−346638号公報
このように、金属材料の耐メタルダスティング性、耐浸炭性および耐コーキング性を高める技術が、従来から種々提案されているが、いずれも特殊な熱処理や表面処理を必要とするものであって、コストと手間を必要とする。また、予酸化スケールや表面処理層が剥離した後のスケールの修復(スケール再生)機能がないため、一度損傷が発生するとその後のメタルダスティングを抑制することはできない。また、金属材料の溶接性にも問題がある。
また、金属材料自体の改善ではなく、前述のように、合成ガスの改質装置や製造装置の管内の雰囲気ガス中にHSを添加してメタルダスティングを抑制する方法もあるが、HSは炭化水素の改質に用いられる触媒の活性を著しく低下させる恐れがあるので、雰囲気ガスの成分調整によるメタルダスティング抑制技術は、限定的に適用されているだけである。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、エチレンプラント用分解炉管、接触改質炉の加熱炉管や合成ガスの改質炉管等において、浸炭性ガスと金属の表面反応を抑制することで、耐メタルダスティング性、耐浸炭性および耐コーキング性を有し、さらに溶接性を改善した金属材料を提供することである。
本発明者らは、Cが金属中に侵入する現象を分子状態で解析した結果、次の(a)〜(c)からなる素過程において進展することが判明した。
(a)炭化水素やCOなど、C化合物からなるガス分子が金属表面に近づく。
(b)近づいたガス分子が金属表面に解離吸着する。
(c)解離した原子状Cが金属中に侵入し、拡散する。
そして、上記の現象を抑制する手法を種々検討した結果、次の手法(d)と(e)が有効であることを見出した。
(d)金属材料の使用中に金属表面に積極的に酸化スケールを形成することによって、C化合物からなるガス分子と金属の接触を遮断する。
(e)金属表面において、C化合物からなるガス分子の解離性吸着を抑制する。
そして、(d)の遮断効果を有する酸化スケールについて検討を進めた結果、CrとSiからなる酸化スケールが有効に働くことが明らかになった。特に、エチレンプラント用分解炉管、接触改質炉の加熱炉管や合成ガスの改質炉管等のような浸炭性のガス環境では、ガス中の酸素分圧が低いため、CrとSiを適正量含有させることで、ガス側にはCrを主体とした酸化スケールを形成させ、そして、金属側にはSiを主体とした酸化スケールを形成させることができることがわかった。
一方、(e)の解離性吸着の観点からも検討を進めた結果、Cu、Ag及びPt等の貴金属元素や周期律表の第VA族およびVIA族の元素を適量添加すると、C化合物からなるガス分子の解離性吸着を抑制する効果を発揮することが明らかになった。特に、Cuは貴金属元素の中で安価であることに加えて、Fe−Ni−Cr系の金属材料に含有させる際に溶製上あるいは凝固上の問題点も低い。したがって、Cuを用いるのが好ましい。
そして、これらの手法(d)及び(e)によれば、それぞれが、上記素過程(a)〜(c)においてCが金属中に侵入することを効果的に抑制することができるが、これらの手法(d)及び(e)を同時に適用することで、飛躍的な耐メタルダスティング性、耐浸炭性および耐コーキング性の向上が発現し得ることがわかった。
ただし、SiやCuなどの元素を添加すると、上記耐食性を向上させることができるが、反面、溶接性を劣化させる。特に、溶接による急熱・急冷の熱サイクルの影響を受けた領域、すなわち、溶接熱影響部(以下、「HAZ」という。)での粒界溶融による割れの発生が生じやすくなる。というのは、母材結晶粒界にSiやCu等が偏析すると、粒界が低融点化するが、このとき、溶接熱サイクルが付与されて融点直下へ加熱されると、粒界が溶融し、溶接時の熱応力によって引き裂かれて割れが生じる。これがHAZ割れである。したがって、溶接構造体として使用する場合には、この種の溶接割れを抑制する必要がある。
そこで、本発明者らは、SiやCuを相当量添加して耐食性を向上させても、溶接時のHAZ割れを抑制することができる手法を種々検討した。その結果、次の(f)及び(g)の手法によってHAZ割れを抑制できるとの知見に至った。
(f)Cの含有量を高めることによって、母材結晶粒界においてCr系炭化物を析出させ、もって粒界の融点を上昇させる。
(g)高融点のCr炭化物を析出させることにより、溶接熱サイクルが付与された際のHAZ部の結晶粒粗大化を抑制することによって、粒界表面積を増加させ、もってSiやCu等が粒界に偏析することを減少させる。
この知見に基づき、Crを18〜30%または22〜30%含有する金属材料において、C、Si及びCuの含有量を種々に変化させて、HAZ割れ感受性を検討した結果、Si、Cu及びCrの含有量に応じて、HAZ割れを防止することができるC含有量の下限が変化することが明らかとなった。具体的には、粒界の低融点化を引き起こすSi及びCuの含有量が多いほど、C含有量の許容下限は高くなり、粒界の融点を高める炭化物を構成するCrの含有量が多いほど、C含有量の許容下限は下がることが分かった。
そして、各成分を種々に変化させた系統的な実験結果から、HAZ割れを防止し得るC含有量と、Si、Cu及びCrの各含有量の関係式を実験的に見積もった。その結果、下記の(1)式を満足させることによって、優れた耐メタルダスティング性とともに優れた耐HAZ割れ感受性を得ることができるとの知見を得た。
C≧0.062×Si+0.033×Cu−0.004×Cr+0.043・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、次の(1)〜(3)に示す通りである。以下、それぞれ、本発明(1)〜本発明(3)という。総称して、本発明ということがある。
(1) 質量%で、C:0.08〜0.4%、Si:0.6〜2.0%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、Cr:22〜30%、Ni:20%以上30%未満、Cu:0.5〜10.0%、Al:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、N:0.15%以下、O(酸素):0.02%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、かつ下記(1)式を満足することを特徴とする耐浸炭性金属材料。
C≧0.062×Si+0.033×Cu−0.004×Cr+0.043・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
(2) 質量%で、C:0.08〜0.4%、Si:0.6〜2.0%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、Cr:18〜30%、Ni:20%以上30%未満、Cu:0.5〜10.0%、Al:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、N:0.15%以下、O(酸素):0.02%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、かつ下記(1)式を満足することを特徴とする耐浸炭性金属材料。
C≧0.062×Si+0.033×Cu−0.004×Cr+0.043・・・(1)
ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
(3) 次に示す第1グループから第5グループまでのうちの少なくとも1つのグループの中から選択される成分のうちの少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の耐浸炭性金属材料。
第1グループ:質量%で、Co:10%以下、
第2グループ:質量%で、Mo:2.5%以下及びW:5%以下、
第3グループ:質量%で、B:0.1%以下、V:0.5%以下、Zr:0.1%以下、Nb:2%以下及びHf:0.5%以下、
第4グループ:質量%で、Mg:0.1%以下及びCa:0.1%以下、
第5グループ:質量%で、Y:0.15%以下、La:0.15%以下、Ce:0.15%以下及びNd:0.15%以下。
本発明の金属材料は浸炭性ガスと金属の表面反応を抑制する効果を有しており、耐メタルダスティング性、耐浸炭性および耐コーキング性に優れている。さらに、溶接性を改善しているので、石油精製や石油化学プラントなどにおける分解炉、改質炉、加熱炉、熱交換器などの溶接構造部材に利用することができ、装置の耐久性や操業効率を大幅に向上させることができる。
特に、従来対象とされてきたよりも低い温度域(400〜800℃)における熱交換で使用される反応管や熱交換器に使用される金属材料として好適であるので、この温度域で問題となるメタルダスティングを効果的に抑制することが可能となる。
本発明において、金属材料の組成範囲を限定する理由は次のとおりである。なお、以下の説明において、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
C:0.08〜0.4%
Cは、本発明において重要な元素のひとつである。高温での強度を高めるほか、Crなどと結合して炭化物を形成することによって、溶接性を改善する効果を発揮する。特に、SiとCuの含有量を高めてなる、本発明の金属材料においてはその効果が著しい。この効果を十分に発揮するためには、0.08%の含有が必要である。ただし、0.4%を超えると合金の靱性が極端に悪くなるため、上限を0.4%とする。好ましくは、0.1%を超えて0.35%以下であり、より好ましい範囲は0.15%を超えて0.25%以下である。
Si:0.6〜2.0%
Siは、本発明において重要な元素のひとつである。酸素との親和力が強いため、Cr等の保護性酸化スケ−ル層の下層にSi系酸化スケールを形成し、浸炭性ガスを遮断する。この作用は、0.6%以上含有することで発揮される。ただし、2.0%を超えると溶接性が著しく低下するので、上限を2.0%とする。好ましい範囲は、0.7〜2.0%であり、より好ましい範囲は、0.8〜1.5%である。
Mn:0.05〜2.5%
Mnは脱酸能力を有するほか、加工性や溶接性を改善するので、0.05%以上添加する。また、Mnはオーステナイト生成元素であることから。Niの一部をMnで置換することも可能である。ただし、過剰の添加は保護性酸化スケール層の浸炭性ガス遮断性能を阻害することから、Mnの含有量上限を2.5%とする。好ましい範囲は、0.1〜2.0%である。より好ましい範囲は、0.7〜1.6%である。
P:0.04%以下
Pは熱間加工性や溶接性を低下させるので、Pの上限を0.04%とする。特にSiやCuの含有量が高い場合にその効果が重要となる。Pの好ましい上限は0.03%であり、さらに好ましい上限は0.025%である。ただし、浸炭性ガスの金属表面における解離性吸着反応を抑制する働きを有するため、溶接性の低下を許容できる場合にはPを含有させてもよい。
S:0.015%以下
Sは、Pと同様に、熱間加工性や溶接性を低下させるので、Sの上限を0.015%とする。特にSiやCuの含有量が高い場合にその効果が重要となる。SのPの好ましい上限は0.01%であり、さらに好ましい上限は0.003%である。ただし、Pと同様に、浸炭性ガスの金属表面における解離性吸着反応を抑制する働きを有するため、溶接性の低下を許容できる場合にはSを含有させてもよい。
Cr:18〜30%または22〜30%
CrはCr等の酸化スケ−ルを安定に形成し、浸炭性ガスを遮断する効果があるので、特に苛酷な浸炭性ガス環境においても十分な耐浸炭性、耐メタルダスティング性および耐コーキング性を付与する。また、Cと結合し炭化物を形成することで溶接性を改善する。特にSiやCuの含有量が高い場合にその効果が重要となる。この効果を十分に発揮するには、18%以上の含有が必要である。しかしながら、過剰な添加は加工性とともに組織安定性を劣化させるので上限を30%とする。Cr含有量の好ましい下限は19%であり、より好ましくは22%、さらに好ましくは23%である。また、Cr含有量の好ましい上限は28%であり、より好まししくは27%である。
Ni:20%以上30%未満
Niは、Cr含有量に応じて安定したオーステナイト組織を得るために必要な元素であり、20%以上の含有量が必要である。また、Cが金属材料中に浸入した場合、浸入速度を低減する機能を有する。さらに、金属組織の高温強度を確保する働きがある。しかしながら、必要以上の含有は、コスト高と製造難を招くほか、特に炭化水素を含有するガス環境ではコーキングやメタルダスティングを促進する場合もあるため、Niの含有量の上限を30%未満に制限する。好ましい範囲は22.5%〜30%未満であり、より好ましい範囲は25%を超えて29.5%以下である
Cu:0.5〜10.0%
Cuは本発明において重要な元素のひとつである。Cuは浸炭性ガスと金属の表面反応を抑制し、耐メタルダスティング性等を大きく向上させる。また、オーステナイト生成元素であるためNiの一部をCuで置換することも可能である。耐メタルダスティング性の向上効果を発揮するためには、0.5%以上含有させる必要がある。ただし、10.0%を超えて含有させると溶接性を低下させるので、含有量の上限を10.0%とする。好ましい含有量は1.0〜6.0%である。より好ましい含有量は2.1〜4.0%である。
Al:0.01〜1%
Alは高温強度向上に有効な元素である。また、酸素との親和力が高いため脱酸剤としての効果も有するほか、酸化スケールの構成元素の一部となりガスの遮断性を高める。特に、浸炭性の強い本環境において、その効果が期待できる。この効果を発揮するには、0.01%以上含有させることが有効である。一方、1%を超えると溶接性を阻害する。そのため、Alの含有量は0.01〜1%とする。好ましい範囲は0.12〜0.8%である。より好ましい範囲は0.2〜0.6%である。
Ti:0.01〜1%
Tiは高温強度向上に有効な元素である。また、酸素との親和力があるため、酸化スケールの構成元素の一部となり、ガスの遮断性を高める。特に、浸炭性の強い本環境において、その効果が期待できる。そのため積極的に含有させる。この効果を発揮するためには、0.01%以上含有させることが有効である。しかしながら、過剰に含有させると加工性や溶接性が低下するため、1%を上限とする。好ましい範囲は0.12〜0.8%である。より好ましい範囲は0.2〜0.6%である。
N:0.15%以下
Nは含有させなくてもよい。含有させれば、金属材料の高温強度を高める作用を有する。しかしながら、その含有量が0.15%を超えると加工性を阻害する。したがって、Nの含有量は0.15%を上限とする。好ましい上限は、0.05%である。なお、金属材料の高温強度を高める効果を得るためには、0.0005%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.001%以上含有させることである。
O(酸素):0.02%以下
O(酸素)は、金属材料を溶製する際に原料などから混入してくる不純物元素である。O(酸素)の含有量が0.02%を超えると、金属材料中に酸化物系介在物が多量存在し、加工性が低下するほか、金属材料表面の疵の原因になる。したがって、O(酸素)の上限を0.02%とする。
次に、この本発明(1)または本発明(2)の手法に加えて、強度や延性、靱性を改善してなる金属材料に係る本発明(3)を説明する。
本発明(3)は、本発明(1)または(2)で規定される金属材料に、次に示す第1グループから第5グループまでのうちの少なくとも1つのグレープの中から選択される成分のうちの少なくとも1種をさらに含有させることを特徴とする、耐浸炭性金属材料である。
第1グループ:質量%で、Co:10%以下、
第2グループ:質量%で、Mo:2.5%以下及びW:5%以下、
第3グループ:質量%で、B:0.1%以下、V:0.5%以下、Zr:0.1%以下、Nb:2%以下及びHf:0.5%以下、
第4グループ:質量%で、Mg:0.1%以下及びCa:0.1%以下、
第5グループ:質量%で、Y:0.15%以下、La:0.15%以下、Ce:0.15%以下及びNd:0.15%以下。
以下、これらの任意添加元素に関して、順に説明する。
第1グループ(質量%で、Co:10%以下)
Coは、オーステナイト相を安定にする作用を有するため、Ni成分の一部を置換することができるので、必要に応じて含有させてもよい。ただし、含有量が10%を超えると熱間加工性を低下させるので、Coを含有させる場合は、その含有量は10%以下とする。熱間加工性の観点から、好ましい範囲は0.01〜5%であり、より好ましい範囲は0.01〜3%である。
第2グループ(質量%で、Mo:2.5%以下、W:5%以下)
Mo及びWは、いずれも固溶強化元素であるため、いずれか一方又は両方を必要に応じて含有させてもよい。ただし、Moを含有させる場合には、その含有量が2.5%を超えると加工性を低下させるとともに組織安定性を阻害するので、Moを含有させる場合は、その含有量は2.5%以下とする。Mo含有量は、好ましくは0.01〜2.3%である。また、Wを含有させる場合には、その含有量が5%を超えると加工性を低下させるとともに組織安定性を阻害するので、Wを含有させる場合は、その含有量は5%以下とする。W含有量は、好ましくは0.01〜2.3%である。
第3グループ(質量%で、B:0.1%以下、V:0.5%以下、Zr:0.1%以下、Nb:2%以下、Hf:0.5%以下)
B、V、Zr、Nb及びHfは、いずれも高温強度特性を改善するのに有効な元素であるため、これらのうちの1種又は2種以上を必要に応じて含有させてもよい。ただし、Bを含有させる場合には、その含有量が0.1%を超えると溶接性を低下させるので、Bを含有させる場合は、その含有量は0.1%以下とする。B含有量は、好ましくは0.001〜0.05%である。Vを含有させる場合は、その含有量が0.5%を超えると溶接性を低下させるので、Vを含有させる場合は、その含有量は0.5%以下とする。V含有量は、好ましくは0.001〜0.1%である。Zrを含有させる場合には、その含有量が0.1%を超えると溶接性を低下させるので、Zrを含有させる場合は、その含有量は0.1%以下とする。Zr含有量は、好ましくは0.001〜0.05%である。Nbを含有させる場合には、その含有量が2%を超えると溶接性を低下させるので、Nbを含有させる場合は、その含有量は2%以下とする。Nb含有量は、好ましくは0.001〜0.1%である。また、Hfを含有させる場合には、その含有量が0.5%を超えると溶接性を低下させるので、Hfを含有させる場合は、その含有量は0.5%以下とする。Hf含有量は、好ましくは0.001〜0.1%である。
第4グループ(質量%で、Mg:0.1%以下、Ca:0.1%以下)
Mg及びCaは、いずれも熱間加工性を向上させる作用を有するため、これらのうちの1種又は2種以上を必要に応じて含有させてもよい。ただし、Mgを含有させる場合には、その含有量が0.1%を超えると溶接性を低下させるので、Mgを含有させる場合は、その含有量は0.1%以下とする。Mg含有量は、好ましくは0.0005〜0.1%である。また、Caを含有させる場合には、その含有量が0.1%を超えると溶接性を低下させるので、Caを含有させる場合は、その含有量は0.1%以下とする。Ca含有量は、好ましくは0.0005〜0.1%である。
第5グループ(質量%で、Y:0.15%以下、La:0.15%以下、Ce:0.15%以下及びNd:0.15%以下)
Y、La、Ce及びNdは、いずれも耐酸化性を向上させる作用を有するため、これらのうちの1種又は2種以上を必要に応じて含有させてもよい。ただし、これらの元素を含有させる場合には、それぞれ、その含有量が0.15%を超えると加工性を低下させるので、含有させる場合は、その含有量は0.15%以下とする。好ましくは0.0005〜0.15%である。
本発明に係る浸炭性ガスと金属の表面反応の抑制機能を有する金属材料は、メタルダスティングや浸炭およびコーキングが問題となることから、金属材料が前述の(f)や(g)に規定する要件を満足すればよい。
この発明に係る金属材料は、溶解、鋳造、熱間加工、冷間加工、溶接等の手段によって、厚板、薄板、継目無管、溶接管、鍛工品、線材等の所要の形状に成形してよい。また、粉末冶金や遠心鋳造等の手法によって所要の形状に成形してもよい。最終熱処理を施した後の金属材料表面に対しては、酸洗、ショットブラスト、ショットピーニング、機械切削、グラインダ研磨および電解研磨等の表面加工処理を施してよい。また、本発明に係る金属材料は表面にひとつないし2つ以上の突起形状等の不規則形状に成形してもよい。また、本発明に係る金属材料は、各種炭素鋼、ステンレス鋼、Ni基合金、Co基合金、Cu合金等と組み合わせて、所要の形状に成形してもよい。この場合、本発明に係る金属材料と各種鋼もしくは合金との接合法に制約はなく、たとえば圧接や“かしめ”などの機械的接合や、溶接、拡散処理などの熱的接合等を施した形状とすることも可能である。
次に実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に示す化学組成の金属材料を、高周波加熱真空炉を用いて溶製し、熱間鍛造および熱間圧延を行って、板厚6mmの金属板を作製した。金属板は1160〜1230℃×5分の条件で固溶化熱処理を行い、金属板の一部を切断して試験片を製作した。
表1に記載の金属材料から、幅15mm×長さ20mmの試験片を切り出した。この試験片を、体積比で45%CO−42.5%H−6.5%CO−6%HOガス雰囲気中、650℃で等温保持し、200時間経過後に取り出して試験片表面に発生するピット(pit)の有無を、目視および光学顕微鏡観察の両面から判断した。この結果を表2にまとめて示す。
Figure 0004329883
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表2から、化学組成が本発明で規定する条件から外れる番号24〜33の金属材料のうち、番号24、26、28、32及び33の金属材料は、200時間経過後にpitが発生した。したがって、COを含む合成ガス環境において耐メタルダスティング性に劣っている。一方、本発明で規定する金属材料は、いずれもpitは発生しておらず、耐メタルダスティング性に優れる。
表1に示す化学組成の金属材料を、高周波加熱真空炉を用いて溶製し、熱間鍛造および熱間圧延を行って、板厚6mmの金属板を作製した。金属板は1160〜1230℃×5分の条件で固溶化熱処理を行い、金属板の一部を切断して試験片を製作した。表1に記載の金属材料から、幅15mm×長さ20mmの試験片を切り出した。この試験片を、体積比で30%C−70%Hガス雰囲気中で、650℃で等温保持し、10時間後に取り出して、試験片表面に発生するピット(pit)の有無を目視および光顕観察から判断した。この結果を表2にまとめて示す。
表2から、化学組成が本発明で規定する条件から外れる番号24〜33の金属材料のうち、番号24、26〜28及び31〜33の金属材料は、10時間試験においてピット(pit)が発生しており、炭化水素ガス環境において耐メタルダスティング性に劣っている。一方、本発明で規定する金属材料は、いずれもピット(pit)は発生しておらず耐メタルダスティング性に優れる。
表1に示す化学組成の金属材料を、高周波加熱真空炉を用いて溶製し、熱間鍛造および熱間圧延を行って、板厚12mm、幅50mm、長さ100mmの金属板を各2個ずつ作製した。金属板は1200℃×5分の条件で固溶化熱処理を行い、金属板の一部を切断して試験片を製作した。
次いで、上記試験片の長手方向の片側に角度30゜、ルート厚さ1.0mmのV開先加工を施した後、被覆アーク溶接棒としてJIS Z3224(1999)に規定の「DNiCrMo-3」を用いて、厚さ25mm、幅150mmで長さ150mmのJIS G 3106(2004)に規定の「SM400C」の市販金属板上に四周を拘束溶接した。その後、JIS Z3334(1999)に規定の「YNiCrMo-3」TIG溶接ワイヤを用いて、TIG溶接により入熱量を6kJ/cmの条件にて開先内に多層溶接を実施した。上記の溶接施工後、各試験体から継手の断面ミクロ組織観察用試験片を10個ずつ採取し、断面を鏡面研磨した後に腐食し、HAZ部における割れの発生有無を、光学顕微鏡を用いて倍率を500倍として観察した。この結果を表2にまとめて示す。
表2から、C含有量が本発明で規定する条件から外れる番号24及び(1)式を満たさない番号25の金属材料は、HAZ割れが認められることがわかる。また、C含有量が本発明で規定する条件に入っているものの、Cu、SiやSの含有量が規定から外れる番号28〜31の金属材料では、HAZ割れの抑制効果が小さいことがわかる。一方、本発明で規定する金属材料では、いずれもHAZ割れは発生しておらず、溶接性に優れている。
浸炭性ガスと金属の表面反応を抑制する効果を有し、耐メタルダスティング性、耐浸炭性および耐コーキング性に優れ、溶接性を改善してなる金属材料を提供する。石油精製や石油化学プラントなどにおける分解炉、改質炉、加熱炉、熱交換器などの溶接構造部材に利用することができ、装置の耐久性や操業効率を大幅に向上させることができる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.08〜0.4%、Si:0.6〜2.0%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、Cr:22〜30%、Ni:20%以上30%未満、Cu:0.5〜10.0%、Al:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、N:0.15%以下、O(酸素):0.02%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、かつ下記(1)式を満足することを特徴とする耐浸炭性金属材料。
    C≧0.062×Si+0.033×Cu−0.004×Cr+0.043・・・(1)
    ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  2. 質量%で、C:0.08〜0.4%、Si:0.6〜2.0%、Mn:0.05〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.015%以下、Cr:18〜30%、Ni:20%以上30%未満、Cu:0.5〜10.0%、Al:0.01〜1%、Ti:0.01〜1%、N:0.15%以下、O(酸素):0.02%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、かつ下記(1)式を満足することを特徴とする耐浸炭性金属材料。
    C≧0.062×Si+0.033×Cu−0.004×Cr+0.043・・・(1)
    ここで、(1)式中の元素記号は、その元素の質量%での含有量を表す。
  3. 次に示す第1グループから第5グループまでのうちの少なくとも1つのグループの中から選択される成分のうちの少なくとも1種をさらに含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の耐浸炭性金属材料。
    第1グループ:質量%で、Co:10%以下、
    第2グループ:質量%で、Mo:2.5%以下及びW:5%以下、
    第3グループ:質量%で、B:0.1%以下、V:0.5%以下、Zr:0.1%以下、Nb:2%以下及びHf:0.5%以下、
    第4グループ:質量%で、Mg:0.1%以下及びCa:0.1%以下、
    第5グループ:質量%で、Y:0.15%以下、La:0.15%以下、Ce:0.15%以下及びNd:0.15%以下。
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