JP4329681B2 - サスペンション装置 - Google Patents
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Description
車高調整装置において、流体圧源と流体アクチュエータの流体圧室との間における流体の流れが制御される。
流体圧源としての高圧源は、a)流体を加圧するポンプ装置(流体がエアの場合にはコンプレッサ)を含む場合、b)ポンプ装置と、そのポンプ装置から供給された流体を加圧した状態で保持する高圧タンクとを含む場合等があり、流体圧源としての低圧源は、大気とされる場合、低圧タンクとされる場合等がある。
これら流体圧源と流体アクチュエータの流体圧室との間を流れる流体の流量は、これらの間の圧力差が大きい場合は小さい場合より大きくなる。したがって、「流入と流出との少なくとも一方を促す向き」は、「流体圧源と流体アクチュエータとの間の圧力差を大きくする向き」に対応する。
車高を低くする際には、流体アクチュエータから低圧源へ流体が流出させられる。流体アクチュエータに対応する車輪保持装置と車体との間の距離がスタビライザ装置により小さくされることにより、流体アクチュエータの流体圧室の圧力が高くなり、低圧源の圧力が同じである場合に、流体圧室と低圧源との間の圧力差が大きくされる。その結果、流体圧室から流出する流体の流量が大きくなり、車高調整に要する時間を短くすることができる。
連動制御装置は、流入・流出制御装置に設けても、ねじり制御装置に設けても、これらとは別個に設けてもよい。また、流入・流出制御装置とねじり制御装置とは、コンピュータを共通に有するものであっても、それぞれが、別のコンピュータを有するものであってもよい。
また、連動制御装置は、請求項4に示すように、制御対象輪を1つとし、左側車輪に対応する車高、右側車輪に対応する車高をそれぞれ別個に調整するものであっても、制御対象輪を2つとして、左側車輪に対応する車高と右側車輪に対応する車高とを同時に調整するものであってもよい。
また、ねじりアクチュエータは、スタビライザバーを車体に対してねじるものであっても、右側部分と左側部分とのいずれか一方を他方に対してねじるものであってもよい。ねじりアクチュエータの作動による少なくとも1つのスタビライザバーのねじれにより、右側車輪と左側車輪との間で、必ず、上下方向の相対的な差が生じる場合とそうでない場合とがあるのである。
なお、流体はエアであっても液体であってもよい。
設定車高は、目標車高と同じ高さとすることができるが、目標車高に達する以前の値(車高を高くする際には目標車高より小さい値であり、車高を低くする際には目標車高より大きい値である)とすることもできる。目標車高に達する以前にねじりアクチュエータを非作動状態としても、車高調整時間を短縮することができる。
目標車高は、最終的な目標値であっても、各回毎の目標値であってもよい。車高調整が複数回に分けて行われる場合には、複数回のアクチュエータの作動により最終的な目標値に達するように作動させられるのであり、この場合には、ねじりアクチュエータ、流体アクチュエータが、それぞれ、各回毎に決められた目標値に達するように作動させられる。
また、流体アクチュエータの作動より先にねじりアクチュエータを作動させることが望ましいが、そのようにすることは不可欠ではない。流体アクチュエータに流体を供給する以前に車輪保持装置と車体との間の距離を、流体アクチュエータの流体圧室と流体源との間の圧力差が大きくなる向きに変化させれば、流体の供給開始時における流体の流量(流入流量や流出流量)を大きくすることができる。ねじりアクチュエータを、流体アクチュエータへの流体の流入中あるいは流出中に作動させる場合には、流体アクチュエータの流体圧室の圧力が、その時点における流体圧源の圧力との差が大きくなるように作動させることが望ましい。車高を高くする途中においては、スタビライザバーにより、その時点における車輪保持装置と車体との間の距離を大きくして、流体アクチュエータの流体圧を低下させ、車高を低くする途中においては、車輪保持装置と車体との間の距離を小さくして、流体アクチュエータの流体圧を増加させるのである。
しかし、スタビラザイザ装置が利用されるため、停止状態において実行されるようにする方が望ましい。車両の駆動源の駆動開始を指示するスイッチは、ON状態にあってもOFF状態にあってもよい。
前輪側において、左側車輪20FLと右側車輪20FRとをそれぞれ保持する2つの車輪保持装置22FL,FRの各々と車体24との間にそれぞれ設けられた一対のスタビライザバー26FL,FRと、スタビライザバー26FL,FRにそれぞれねじれを生じさせるねじりアクチュエータ28FL,FRと、ねじりアクチュエータ28FL,FRを制御するねじり制御装置としてのサスペンションECU30(図4参照)とを含む。
本実施例においては、車輪保持装置22,スタビライザバー26,ねじりアクチュエータ28が、前後左右の各輪に対応して設けられるが、以下、これらを車輪毎に区別する場合には、車輪の位置を表す符号(FL、FR、RL、RR)を付して区別し、区別する必要がない場合には、符号を付さないこととする。なお、スタビライザ装置10については後に詳述する。
ピストンロッド52の上端部と、外筒50の外側とにはそれぞれ、エア室形成部材としての殻状部材70,72が取り付けられるとともに、それら殻状部材70,72の間にローリングダイアフラム74が設けられ、ショックアブソーバ46の外側に気密のエア室76が形成されている。符号78はダストカバーを示す。
排気通路95は低圧通路92から大気へ向かうエアの流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁97を介して大気に臨まされる。排気通路95に設けられた排気バルブ84は、電磁制御弁たる常閉の電磁開閉弁とされており、ソレノイドの励磁により開状態に切り換えられて排気通路95を開き、エアの大気への流出を許容する。
本実施例においては、低圧タンク79によって低圧源が構成されるが、低圧タンク79と大気との両方によって低圧源が構成されると考えることもできる。
低圧タンク79のエア圧は低圧タンク用圧力センサ110によって検出され、高圧タンク85のエア圧は高圧タンク用圧力センサ112によって検出される。
個別流入バルブ82,個別流出バルブ83は、電磁制御弁たる常閉の電磁開閉弁とされており、通常は閉状態にあり、エアばね40のエア室76各々を遮断する。
エアばね40,個別流入バルブ82、個別流出バルブ83も、前後左右の各輪に対応して設けられるが、以下、これらを区別する必要がある場合には、車輪位置を表す符号(FL、FR、RL、RR)を付すこととする。
図1に示すように、スタビライザバー26の各々において、基部126とアーム部128とは一体をなし、基部126のアーム部128に近い部分(前記先端部)において、車体24に固定的に設けられた支持部材130によって軸線回りに回転可能に支持される。アーム部128の基部126側とは反対側の端部132は、車輪保持装置22に連結されている。詳しくは、アーム部128は、車輪保持装置22のアーム保持部材134に、若干の傾斜が許容される軸線のまわりに回転可能に保持されている。
減速装置142は、本実施例では波動歯車装置とされている。波動歯車装置は、波動発生器160,フレキシブルギヤ162およびリングギヤ164を備えている。波動歯車装置は公知のものであるため、詳細な図示は省略する。波動発生器160は、楕円状カムの外周にボール・ベアリングがはめられたものであり、入力軸たる回転軸156の外周部に固定されている。フレキシブルギヤ162は、容器状の弾性体であり、容器状の開口部外周に複数の歯が形成されている。フレキシブルギヤ162の底部には、基部126の端部129が固定されている。基部126の端部129は、ハウジング144内の回転軸156内を貫通してハウジング144に回転可能かつ軸線方向に移動不能に保持されており、フレキシブルギヤ162は、上記端部129の回転軸156からの突出端部に固定されている。リングギヤ164は、概してリング状をなし、その内周に複数(フレキシブルギヤ162よりやや多い(例えば2つ多い)数)の歯が形成されており、ハウジング144に固定されている。フレキシブルギヤ162は波動発生器160によって楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸の部分では、リングギヤ164と歯が噛み合い、短軸の部分では、歯が完全に離れた状態となる。波動発生器160が時計方向に1回転(360度)すると、フレキシブルギヤ162はリングギヤ164との歯数の差分だけ反時計方向に回転させられる。
以上の構成から、ねじりアクチュエータ28が作動する場合には、スタビライザバー26の各基部126が車体24に対して相対回転させられ、ねじられる。このねじりにより生じる力は、車輪保持装置22と車体24とを互いに接近させる力あるいは離間させる力として作用する。
横加速度センサ180の検出値により車両のローリング状態が検出される。横加速度センサ180等により旋回状態検出装置が構成される。車高調整指示スイッチ183は、運転者によって操作されるものである。通信装置182は送受信アンテナ等を含むものであり、携帯機184との間で通信が行われる。携帯機184は、運転者等によって所持されることが多く、送受信アンテナ186等を含む。携帯機184から、車両のドアロックを解除する指示を表す情報、車高を高くする指示を表す情報等が、識別情報とともに送信される。これら情報は、運転者の図示しない操作部材の操作によって送信される場合や、携帯機184が車両に対して予め定められた設定領域内に入ったことにより送信される場合(操作部材の操作が行われなくても)等がある。
記憶部には、図5、図7のフローチャートで表される車高調整プログラム等、種々のプログラムおよびデータ等が記憶されている。
本実施例においては、高圧タンク85、低圧タンク79に蓄えられたエアの圧力が予め定められた設定範囲内に保たれるようにコンプレッサ80の駆動源であるモータ88、方向切換弁98,供給制御弁104等が制御される。
高圧タンク85においては、エア圧PHがPHL<PH<PHHの間に保たれ、低圧タンク79においては、エア圧PLがPLL<PL<PLHの間に保たれる。低圧タンク79のエア圧はエアばね40のエア室76の圧力より低い値に保たれ、高圧タンク85のエア圧は、エア室76のエア圧より高い値に保たれる。換言すれば、低圧タンク79のエア圧の上限値PLHは、エアばね40のエア室76の最低圧PiLより低い値(PiL>PLH)とされ、高圧タンク85に保たれるエア圧の下限値PHLは、エア室76の最高圧PiHより高い値(PiH<PHL)とされる。
低圧タンク79のエア圧PLが設定範囲の下限値PLLより低くなると、供給制御弁104によりコンプレッサ80の吸入側が大気に連通させられ、方向切換弁98によりコンプレッサ80の吐出側が低圧通路92に接続される。コンプレッサ80によって大気が汲み上げられてドライヤ94を経て低圧タンク79に供給される。これによって、エア給排装置42におけるエア不足を解消することができる。低圧タンク79のエア圧が上限値PLHより高くなると、供給制御弁104によってコンプレッサ80の吸入側に低圧タンク79が接続され、排気バルブ84が開状態とされる。それによって、低圧タンク79のエア圧が供給制御弁104,排気バルブ84を経て大気に放出される。
このように、コンプレッサ80,方向切換弁98,供給制御弁104,排気バルブ84等は、低圧タンク79,高圧タンク85の圧力に基づいて制御される。
車高を低くする場合、例えば、車体24の左前輪20FLに対応する部分の車高を低くする場合には、個別流出制御バルブ83FLが開状態とされる。個別流出制御バルブ83FR、RL、RRおよび個別流入制御バルブ82FL、FR、RL、RRは閉状態に保たれる。エアばね40FLのエア室76のエアが個別流出制御バルブ83FLを経て低圧タンク79に供給される。
例えば、車体24の左前輪20FLに対応する部分を高くする場合には、スタビライザバー26FLがねじりアクチュエータ28FLの作動により左前輪20FLに対応する車輪保持装置22FLと車体24との間の距離が大きくなる向きにねじられるとともに、左前輪20FLに対応するエアばね40FLにエアが供給される。車輪保持装置22FLと車体24との間の距離が大きくされることにより、エアばね40FLのエア室76のエア圧が低くなるため、高圧タンク85のエア圧が同じである場合に、これらの間の差圧が大きくなり、圧縮エアの流入流量が大きくなる。車輪保持部材22FLと車体24との間の距離が大きくされない場合に比較して、エアばね40FLのエア室76へ大きな流量でエアを供給することが可能となり、車高が速やかに目標車高に近づけられる。車高が目標車高に達すると、ねじりアクチュエータ28FLへ電流が供給されなくなる。
以下、各輪毎に同様にねじりアクチュエータ28が作動させられるとともに個別流入制御バルブ82が制御され、車高が目標車高に近づけられる。
ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、車高を高くする指示、本実施例においては、高速で車高を高くする指示があるか否かが判定される。例えば、通信装置182において携帯機184から送信された車高を高くする指示を表す情報が受信された場合、車高調整指示スイッチ183が「車高を高くする指示を表す位置」に操作された場合、車高が低い場合から標準車高に復帰させる場合等に車高を速やかに高くする要求があるとされる。例えば、人が乗車する場合に車高が低くされ、その後、予め定められた車高復帰条件が満たされた場合(例えば、運転者により車両の走行開始意図が検出された場合であり、エンジンが作動させられた場合、イグニッションスイッチがOFF状態からON状態に切り換えられた場合等が該当する)等には車高を高くする制御が自動で行われる場合があるが、その場合には、車高を早急に高くする必要があるとされる。
S4において、カウント値1に対応する車輪が制御対象車輪(左前輪20FL)とされて、ねじりアクチュエータ28FLに電流が供給されてスタビライザバー26FLが車輪保持装置22FLと車体24との間の距離が大きくなる向きにねじられる。次に、S5において、個別流入制御バルブ82FLが開状態とされ、他の個別流入制御バルブ82FR、RL、RRが閉状態とされる。S6において、左前輪20FLの実際の車高が目標車高に達したか否かが判定される。目標車高に達する以前においては、これらの作動状態が保たれるが、目標車高に達した場合には、S7において、個別流入制御バルブ82FLが閉状態とされるとともにねじりアクチュエータ28FLが非作動状態とされて、カウンタのカウント値が1増加させらる。そして、S8において、カウント値が5以上になったか否かが判定される。最初にS8が実行された場合には、カウント値は2であるため、判定がNOとなり、制御対象輪が右前輪20FRとされて、S4〜6が同様に実行される。以下、同様に繰り返し実行されて、カウント値が5になると、S9において、終了処理が行われる。すべての個別流入制御バルブ82が閉状態とされるとともにすべてのねじりアクチュエータ28には電流が供給されない状態となる。車体24はエアばね40におけるエアの量で決まる高さに保持され、スタビライザバー26は軸線回りの自由な回転が許容される状態とされる。
サスペンションECU30の車高調整プログラムのS4,5を記憶する部分、実行する部分等により連動制御装置が構成される。
S21おいて、車高を低くする指示、本実施例においては、早急に車高を低くする要求があるか否かが判定される。例えば、車両の停止状態において、車高調整指示スイッチ183が「車高を低くする指示を表す位置」に操作された場合、携帯機184から車高を低くする指示を表す情報が送信されて通信装置182において受信された場合等に早急に車高を低くする要求があるとされる。また、予め定められた条件が満たされた場合に車高が自動で低くされる場合においても、早急に車高を低くする要求があるとされる場合がある。例えば、車高が高い状態あるいは標準車高にある状態において、乗員が降車する意図があることが検出された場合(例えば、パーキングブレーキが作動させられた場合、シフト位置がパーキング位置に切り換えられた場合、イグニッションスイッチがOFF状態に切り換えられた場合等が該当する)に車高が自動で低くされるが、この場合には、車高を速やかに低くする要求があるとすることができる。また、車高が高い状態から標準高さに復帰させる場合にも速やかに低くする要求があるとすることができる。
車高を低くする指示があった場合には、S22において、すべての個別流入制御バルブ82が閉状態とされる。S23において、上記実施例における場合と同様に、カウンタのカウント値iが1とされる。S24において、カウント値1に対応する車輪が制御対象車輪(左前輪20FL)とされて、ねじりアクチュエータ28FLに電流が供給されてスタビライザバー26FLが車輪保持装置22FLと車体24との間の距離が小さくなる向きにねじられる(車高を高くする場合と逆向きにねじられる)。次に、S25において、個別流出制御バルブ83FLが開状態とされ、他の個別流出制御バルブ83FR、RL、RRが閉状態とされる。S26において、左前輪20FLの実際の車高が目標車高に達したか否かが判定され、目標車高に達した場合には、S27において、個別流出制御バルブ83FLが閉状態とされるとともにねじりアクチュエータ28FLへの供給電流が0とされるとともに、カウンタのカウント値が1増加させられ、S28において、カウント値が5以上になったか否かが判定される。以下、カウント値が5になるまでの間、S24〜26が同様に実行される。カウント値が5になると、S29において、すべての個別流出制御バルブ83が閉状態とされるとともにすべてのねじりアクチュエータ28には電流が供給されない状態となる。
車高調整時間を短くすることができれば、特に、携帯機184からの指示で車高を低くする場合に車高調整開始時を遅らせることができるのであり、携帯機184からの情報が確実に受信できた後に車高調整が開始されるようにすることができる。
さらに、ねじりアクチュエータ28への供給電流は常に一定としたり、目標車高と実車高との差に応じて決まる値としたり、エアばね40のエア室76の圧力と高圧タンク85あるいは低圧タンク79の圧力との差に応じて決まる値としたりすることができる。
車高を低くする場合においては、前述のように、低圧タンク79にエアが供給されるのに伴って圧力が高くなり、低圧タンク79の圧力とエア室76の圧力との差が小さくなる。それに対して、これらの圧力差に応じて、制御対象輪に対応する車輪保持装置22と車体24との間の距離が小さくなるようにすれば、低圧タンク79の圧力が高くなっても、圧力差が小さくなることを回避し、車高調整時間が長くなることを回避することができる。
車高を高くする場合においても同様である。高圧タンク85に蓄えられた圧縮エアが消費されると、高圧タンク85内の圧力が低くなり、高圧タンク85の圧力とエア室76の圧力との間の差が小さくなる。この場合において、これらの圧力差に応じて制御対象輪に対応する車輪保持装置22と車体24との間の距離を大きくすることは有効なことである。なお、高圧タンク85のエア圧の下限値PHLがエア室76のエア圧に対して非常に高く、エア室76の圧力に対してほぼ一定であるとみなし得る場合には、圧力差に応じて制御する必要性は低くなる。
また、車高を高くする場合も低くする場合も、ねじれアクチュエータ28への供給電流が、エア室76の圧力と流体圧源(高圧タンク85、低圧タンク79)の圧力との差が車高調整に伴って低くならないように(例えば、圧力差が設定値以下にならないように)制御されるようにすることもできる。
ねじりアクチュエータ28の作動が先に行われれば、車高を高くする場合にエアばね40への圧縮エアの供給開始時の流量を大きくすることができ、車高を低くする場合にエアばね40からのエアの流出開始時の流量を大きくすることができ、有効である。それに対して、エアばね40におけるエアの流入・流出の途中において、ねじりアクチュエータ28を作動させる場合には、その時点の車輪保持装置22と車体24との間の距離を、流入・流出を促す向きに変化するようにスタビライザバー26をねじることが望ましい。
さらに、各輪毎の車高調整が、複数回のアクチュエータの作動によって目標車高に達するように行われるようにすることができる。
また、上記実施例においては、車両の停止状態において車高が調整される場合について説明したが、走行状態において車高が調整される場合にも適用することができる。
本実施例において、前輪側において、右側輪20FRの車輪保持装置22FRと左側輪20FLの車輪保持装置22FLと車体24との間にスタビライザバー200が1つ設けられる。スタビライザバー200は、左側部分202,右側部分204の2つに分割されて、これらの間にねじりアクチュエータとしてのロータリシリンダ210が設けられる。分割されたスタビライザバー200の左側部分202と右側部分204とのいずれか一方がロータリシリンダ210のハウジング212(図10参照)に相対回転不能に取り付けられ、他方がロータ214(ベーン部材と称することもできる)に相対回転不能に取り付けられる。ハウジング212は、車体24に相対回転可能に保持され、スタビライザバー200は、トーションバー部215の両端部付近において車体24に軸線L回りに相対回転可能に支持部材216によって保持される。
ロータリシリンダ210において、仕切部材217,218、仕切部材としてのベーン222,224によって(ハウジング212とロータ214とによって)空間が4つの液圧室230,232,234,236に仕切られる。これらのうちの互いに対角位置にある2つの液圧室230,234が連通路238によって連通させられ、互いに対角位置にある2つの液圧室232,236が連通路240によって連通させられる。2つの液圧室230,234を合わせて第1液圧室242,2つの液圧室232,236を合わせて第2液圧室244と称する。
電磁制御弁248は、第1液圧室242,第2液圧室244を、それぞれ遮断する遮断位置と、第1液圧室242,第2液圧室244を電磁制御弁250に接続する制御位置とに切り換え可能なものであり、ソレノイドに電流が供給されない状態においては遮断位置にある。遮断位置においては、ハウジング212とロータ214との相対回転が阻止されるため、スタビライザバー200は1本のロッドとして機能する。
電磁制御弁250は、第1液圧室242を高圧源254に接続し、第2液圧室244をリザーバ256に接続する第1位置と、第1液圧室242をリザーバ256に接続し、第2液圧室244を高圧源254に接続する第2位置と、第1液圧室242と第2液圧室244とを互いに連通させるともに、これらを液圧源252から遮断する第3位置とに切り換え可能なものである。第3位置においては、第1液圧室242と第2液圧室244とが連通させられるため、スタビライザバー200の自由な回転が許容される。また、高圧源254がリザーバ256に連通させられるため、高圧源254がポンプである場合にその吐出圧が過大になることが回避される。電磁制御弁248の制御位置において、電磁制御弁250が、第1位置、第2位置、第3位置に切り換えられることにより、スタビライザバー200のねじれ状態が制御される。
次に、第1液圧室242,第2液圧室244の他方の液圧が高くされて、スタビライザバー200の右側部分204が左側部分202に対して相対的に車輪保持装置22FRと車体24との間の距離が大きくなる向きにねじられるとともに、個別制御バルブ82FRが開状態とされて、エアばね40FRにエアが供給される。
また、車高調整が終了した場合には、電磁制御弁248,250のソレノイドに電流が供給されなくなることにより、第1液圧室242と第2液圧室244とが遮断されて、通常の一本のスタビライザバー200としての機能する状態とされる。
次に、スタビライザバー200の右側部分204が左側部分202に対して相対的に車輪保持装置22FRと車体24との間の距離が小さくなる向きにねじられるとともに、個別流出制御バルブ83FRが開状態とされて、エアばね40FRにエアが供給される。
例えば、図12に示すように、制御対象輪が左前輪20FLである電磁制御弁250が第2位置とされ、制御対象輪が右前輪20FRである場合に第1位置とされる。
また、図1に記載の実施例において、ねじりアクチュエータをロータリシリンダを含むものとしたり、図9、10に記載の実施例において、ねじりアクチュエータを電動モータを含むものとしたりすることができる。
さらに、スタビライザ装置10は、前輪側と後輪側とにそれぞれ設けなくても、いずれか一方の側に設け、他方の側に設けられないようにしてもよい。
また、上記実施例においては、車高を高くする場合と低くする場合との両方において、ねじりアクチュエータ28が作動させられるようにされていたが、高くする場合と低くする場合とのいずれか一方の場合に作動させられ、他方の場合には作動させられないようにすることができる。
高圧タンク85が設けられない場合には、コンプレッサ80の吐出側が個別流入制御バルブ82を介してエアばね40のエア室76に接続されることになるため、コンプレッサ80の吐出圧はほぼ一定であるとみなすことができる。この場合においてもねじりアクチュエータ28の作動により車輪保持装置と車体との間の距離を大きくすれば、コンプレッサ80とエア室76との間の圧力差を大きくすることができ、車高を高くするのに要する時間を短くすることができる。なお、コンプレッサ80の吐出圧は、車高調整中において、ほぼ一定であると考えることができる。
低圧タンク79が設けられない場合には、エアばね40のエア室76から大気にエアが排気される。この場合においても、エア通路の流路面積等により速やかに車高を低くすることができない場合があるが、車輪保持装置と車体との間の距離を小さくすれば、エア室と大気との間の圧力差を大きくすることができ、車高を低くするのに要する時間を短くすることができる。
その他、本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
Claims (5)
- 左側車輪と右側車輪とをそれぞれ保持する2つの車輪保持装置と車体との間にそれぞれ設けられ、それら2つの車輪保持装置と車体との間の距離である車高を変更する2つの流体アクチュエータと、それら2つの流体アクチュエータにおける流体の流入・流出をそれぞれ制御することにより、車高をそれぞれ制御する流入・流出制御装置とを備えた車高調整装置と、
前記2つの車輪保持装置と車体との間に設けられた少なくとも1つのスタビライザバーと、それら少なくとも1つのスタビライザバーにそれぞれねじれを生じさせる少なくとも1つのねじりアクチュエータと、その少なくとも1つのねじりアクチュエータの作動状態を制御するねじり制御装置とを備えたスタビライザ装置と、
前記左側車輪と右側車輪との少なくとも一方である制御対象輪についての車高を調整する際に、前記制御対象輪に対応して設けられた前記流体アクチュエータにおける流体の流入と流出との少なくとも一方を生じさせるとともに、前記少なくとも1つのねじりアクチュエータを制御することにより、前記少なくとも1つのスタビライザバーにねじれを生じさせて前記制御対象輪の車輪保持装置と車体との間の距離を、前記流体の流入と流出との少なくとも一方を促す向きに変化させる連動制御装置と
を含むことを特徴とするサスペンション装置。 - 前記スタビライザバーが、前記2つの車輪保持装置の各々と車体との間にそれぞれ1つずつ設けられ、前記ねじりアクチュエータが、前記2つのスタビライザバーにそれぞれ対応して設けられた請求項1に記載のサスペンション装置。
- 前記スタビライザバーが、前記2つの車輪保持装置の間に車体を通って設けられ、前記ねじりアクチュエータが、その1つのスタビライザバーに設けられた請求項1に記載のサスペンション装置。
- 前記連動制御装置が、前記制御対象輪を、前記左側車輪と右側車輪とのいずれか一方に決定し、それら左側車輪と右側車輪とにそれぞれ対応する車高を別個に調整する個別制御部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
- 前記連動制御装置が、前記制御対象輪に対応する車輪保持装置と車体との間の距離が目標値で決まる設定値に達した後に、前記ねじりアクチュエータを非作動状態とする連動制御終了部を含む請求項1ないし4のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
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