JP4328875B2 - アルキル−8−ニトロキサンチン誘導体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、癌の放射線治療において、放射線増感剤として有用なアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体及びこれを有効成分とする医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
放射線療法における標的分子はDNAであり、これらは放射線照射を受けることにより様々な傷害を受けると共に、ラジカルを発生する。好気的条件下では、更に酸素分子が傷害部位に固定されることによりDNA修復が不可能となり、結果として細胞に損傷を与える。つまり放射線治療には酸素が必要である。しかしながら、悪性腫瘍には低酸素状態の細胞(低酸素性細胞)が存在していることが知られており、嫌気的条件下では、このような酸素効果が期待できず、放射線治療の妨げとなっている。
【0003】
このような低酸素性細胞の処置には、ミソニダゾールに代表されるニトロイミダゾール系の化合物が、かかる低酸素性細胞を再酸素化しうる性質を有していることから、これを用いた放射線増感によって対処する試みがなされてきた。しかしながら、ニトロイミダゾール系化合物の増感効果は、比較的低く、毒性の非発現域では治療に有用でない場合があった。このような状況を背景にして、ニトロイミダゾールとは母核を異にする、次世代の放射線増感剤の開発が望まれている。
【0004】
一方、後記一般式(1)で表されるアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体は、何れも文献未記載の新規化合物であり、従って、これらの化合物が低酸素性細胞の再酸素化に有用であることも全く知られていないし、これらの化合物を有効成分とする医薬も知られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、放射線増感効果が高く、安全性の高い、優れた低酸素性細胞放射線増感剤を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる状況に鑑みて、本発明者らは、カフェインが弱い放射線増感効果を有することを参考に、キサンチン誘導体に様々な側鎖を付加させることにより、数多くのキサンチン誘導体を合成し、低酸素性細胞放射線増感作用を指標としてスクリーニングを行った結果、後記一般式(1)で表されるアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体が、優れた低酸素性細胞放射線増感作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式(1)で表されるアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体を提供するものである。
【0008】
【化2】
【0009】
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、メチル基又は炭素数2〜5のアルキル基を示し、R1及びR2の少なくとも一方は炭素数2〜5のアルキル基である)
【0010】
また、本発明は、当該アルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)を有効成分とする医薬を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体は、上記一般式(1)で表されるものである。式中、炭素数2〜5のアルキル基としては、直鎖、分岐鎖又は環状構造を有するもののいずれでも良く、例えばエチル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、n−プロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、2−メチルプロピル基(イソブチル基)、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、シクロプロピルメチル基、アミル基(n−ペンチル基)、3−メチルブチル基(イソペンチル基)、tert−アミル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、シクロペンチル基等が挙げられる。これらのうち、直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、特に、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−アミル基、2−ペンチル基、3−ペンチル基が好ましい。
【0012】
本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)の好ましい具体例としては、3−ブチル−1,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン(化合物1)、3,7−ジメチル−8−ニトロ−1−プロピルキサンチン(化合物2)、1,7−ジメチル−8−ニトロ−3−プロピルキサンチン(化合物3)、1,7−ジメチル−3−エチル−8−ニトロキサンチン(化合物4)、1−ブチル−3,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン(化合物5)、1,3−ジプロピル−7−メチル−8−ニトロキサンチン(化合物6)、1,3−ジイソアミル−7−メチル−8−ニトロキサンチン(化合物7)が挙げられる。
【0013】
本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)には、水和物のほか、硫酸、アセトン、THF、DMF、DMSO等の溶媒和物などのいずれもが包含される。
【0014】
本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)は、例えば、7−メチル−8−ニトロキサンチンを原料にして、アルカリ存在下、対応するハロゲン化物と反応させることにより製造することができる。
【0015】
例えば、一般式(1)におけるR1及びR2が同一のアルキル基であるものは、炭化水素基の水素をハロゲン原子に置換した化合物(以下、ハロゲン化物)を、7−メチル−8−ニトロキサンチンに対して2当量以上で、アルカリ存在下にて反応させることにより、1,3−位ジ置換体を得ることができる。また、R1又はR2のいずれか一方がメチル基であって、他方が炭素数2〜5のアルキル基のものは、3,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン又は1,7−ジメチル−8−ニトロキサンチンを合成した後に、対応するハロゲン化物を反応させれば良い。
【0016】
反応混合物からの目的化合物の単離方法としては、通常知られている方法を用いれば良く、例えばシリカゲル、アルミナ等を担体としたカラムクロマトグラフィーなどが例示できる。
【0017】
このようにして得られる本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)は、放射線療法において、低酸素性細胞に対して優れた放射線増感効果を発揮するため、癌放射線療法における、低酸素性細胞放射線増感剤等の医薬として大変有用である。
【0018】
本発明の医薬は、アルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)を有効成分とするものである。本発明の医薬の投与量は、患者の年令、体重、性別、投与方法、体調、症状等により異なるが、低酸素性細胞放射線増感剤とする場合、アルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)として、成人1人1日あたり、経口投与の場合10〜10000mg、非経口投与の場合3〜6000mgを、1回又は数回に分けて投与するのが好ましい。
【0019】
この時、本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)は、通常知られている医薬製剤に加工して投与することができる。経口投与のほか、非経口の投与経路としては、坐剤等による経直腸投与、動脈内投与、静脈内投与、門脈内投与、腹空内投与、皮下投与、病巣内直接投与等の注射又は点滴による投与が好ましい。
【0020】
本発明の医薬は、本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)以外に、通常医薬組成物に使用される任意成分を含有することができ、常法に従って製造することができる。かかる任意成分としては、例えば、結合剤、崩壊剤、賦形剤、増量剤、乳化剤、分散剤、滑沢剤、被覆剤、pH調整剤、等張剤、結晶化剤、嬌味嬌臭剤、着色剤、安定化剤などが好ましく例示できる。また、他の抗ガン剤等を含有させたり、癌化学治療で良く用いられる、制吐剤や血球増殖因子などを含有させることもでき、より効果を高めるために有利である。
本発明の医薬は、ガンの治療、ガンの進行或いは転移の予防等に好適に用いられる。
【0021】
本発明の医薬は、通常の方法で錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、懸濁剤、注射剤、坐剤等の種々の剤形とすることができる。
固形製剤を製造するには、アルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)に賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、増量剤、被覆剤、糖衣剤などを加えた後、常法により、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、坐剤等とするのが好ましい。また、注射剤を製造する場合は、アルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)を注射用生理食塩水などの水性担体にあらかじめ溶解分散、乳化等するか、又は、注射用の粉末にして用時に溶解等すれば良い。
【0022】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明について説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されるものではないことは言うまでもない。
【0023】
参考例1
(3−メチル−8−ニトロキサンチンの製造)
3−メチルキサンチン6.64g(40.0mmol)を酢酸120mLに懸濁し、これに内温100℃付近で撹拌しながら、65%硝酸を滴下し、続いて同条件下で30分間撹拌、更に20分間撹拌しながら加熱還流した。その後室温まで冷却し、不溶固体を濾取、これを水で数回洗い、風乾した。黄色固体を4.05g(収率48.0%)得た。濾液及び洗液は合わせて減圧濃縮し、残渣に少量の水を加え、析出してきた固体を濾取し、少量の水で洗い、風乾した。標記化合物を黄色固体として0.51g(収率6.0%)得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:3.37(3H,s), 11.4(1H,s)
【0024】
参考例2
(3,7−ジメチル−8−ニトロキサンチンの製造)
〔方法A〕
ニトロニウム テトラフルオロボレート0.94g(7.08mmol)を酢酸50mLに溶解し、これにテオブロミン1.33g(7.38mmol)を固体のまま一度に加え、続いて窒素雰囲気下、油浴温120℃付近(内温100〜105℃)で3時間撹拌した。但し、TLCでモニターしながら、ニトロニウム テトラフルオロボレートを50分、1時間20分、1時間45分、2時間10分、2時間40分目に固体のまま加えた。一晩室温放置後、減圧濃縮し、残渣に氷50gを加え、析出してきた固体を濾取し、少量の水で洗い、風乾した。標記化合物を黄色固体として0.43g(収率25.9%)得た。
【0025】
〔方法B〕
3−メチル−8−ニトロキサンチン5.8g(27.5mmol)に乾燥ジメチルホルムアミド290mLを加え、これに室温で撹拌しながら、トリエチルアミン4.3mL(30.9mmol)を一度に加え、同条件下で15分間撹拌した後、ヨードメタン2.7mL(43.4mmol)を同条件下で一度に加え、続いて同条件下で39時間撹拌した。その後、反応液を減圧濃縮し、残渣に水435mLを加え、不溶固体を濾取、これを水で数回洗い、風乾した。標記化合物を黄色固体として4.90g(収率79.2%)得た。
m.p.:>280℃
IR(cm-1)(KBr錠剤):3164, 3043, 1700, 1683, 1541, 1326, 852, 577
1H-NMR(DMSO-d6)δ:3.36(3H,s), 4.24(3H,s), 11.7(1H,s)
【0026】
参考例3
(1−メチル−8−ニトロキサンチンの製造)
1−メチルキサンチン0.75g(4.51mmol)を酢酸15mLに懸濁し、100℃にて撹拌した。その中に65%硝酸0.7mLを加え、同条件下にて30分間撹拌後、15分間加熱還流を行った。放冷後、生じた黄色結晶を濾取し、これをメタノールにて洗浄した。濾液は減圧下にて濃縮し、析出した結晶を濾取した。併せて0.6gの標記化合物を得た(収率63%)。
m.p.:>280℃
IR(cm-1)(KBr錠剤):1723, 1670, 1560, 1359, 852, 1329
1H-NMR(DMSO-d6)δ:2.50(3H,s), 3.20(3H,s), 12.0(1H,s)
【0027】
参考例4
(1,7−ジメチル−8ニトロキサンチンの製造)
1−メチル−8−ニトロキサンチン0.2g(0.95mmol)をDMF10mLに懸濁し、更にトリエチルアミン0.1g(0.99mmol)を加え、氷冷下にてヨードメタン0.09mL(1.45mmol)を加えた。室温に戻し、16時間撹拌を行った。その後、反応液を減圧下にて濃縮し、残渣に水を加え、黄色固体を濾取した。これを水洗した後、乾燥した(収率80%)。
1,7−ジメチル−8ニトロキサンチン0.46gをエタノール/水=1/1(約140mL)より再結晶を行い、黄色結晶である純粋な1,7−ジメチル−8ニトロキサンチンを1次晶として0.21g(収率46%)得た。また、同様にして2次晶0.14g(収率30%)を得た。
m.p.:251.5〜253.6℃(分解)
IR(cm-1)(KBr錠剤):1319, 1547
1H-NMR(DMSO-d6)δ:3.22(s,3H), 4.24(s,3H), 12.3(s,1H)
【0028】
参考例5
(8−ニトロキサンチンの製造)
キサンチン10.0g(65.7mmol)に酢酸80mLを加え、加熱還流した。硝酸13mLを少量ずつ滴下した。2時間15分後、反応を止め、生じた結晶を濾取した。これをメタノールで洗浄した。標記化合物を7.87g(収率60.7%)得た。
m.p.:>280℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):1748, 1587, 1551, 1363, 1320
1H-NMR(DMSO-d6)δ:11.2(1H,s), 11.9(1H,s)
【0029】
参考例6
(7−メチル−8−ニトロキサンチンの製造)
8−ニトロキサンチン0.20g(1.0mmol)、トリエチルアミン0.15g(1.5mmol)及び乾燥ジメチルホルムアミド10mLを混合し、溶解した。その後、反応液にヨードメタン0.08mL(1.3mmol)を滴下した。5時間35分後、反応液を濃縮した。水5mLを加え、結晶を濾取した。標記化合物を0.09g(収率42.0%)得た。
m.p.:>280℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):1731, 1670, 1544, 1311
1H-NMR(DMSO-d6)δ:4.20(3H,s), 11.4(1H,s), 12.0(1H,s)
【0030】
実施例1
(3−ブチル−1,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン(化合物1)の合成)
1,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン0.31g(1.38mmol)に乾燥ジメチルホルムアミド20mLを加え、更にトリエチルアミン0.19g(1.37mmol)及び1−ブロモブタン0.39g(2.85mmol)を加え、室温にて撹拌した。15分後、約100℃の油浴に浸して加熱、撹拌を行った。12分後、反応液を酢酸エチル60mLで希釈した。濃塩酸2mLを含む飽和食塩水(62mL×4)で洗浄した。更に飽和食塩水(60mL×2)で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、これを濾過後、濾液を減圧下にて濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=3:1)に付し、目的フラクションを濃縮し、残渣にジエチルエーテル及びn−ヘキサンを加えて結晶化させ、標記化合物を0.22g(収率56.8%)得た。
m.p.:73〜74℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):1712, 1675, 1540, 1331
1H-NMR(CDCl3)δ:0.96(3H,t,J=7.5Hz), 1.40(2H,m), 1.75(2H,q,J=7.8Hz), 3.44(3H,s), 4.13(2H,t,J=7.3Hz), 4.44(3H,s)
【0031】
実施例2
(3,7−ジメチル−8−ニトロ−1−プロピルキサンチン(化合物2)の合成)
実施例1と同様にして、3,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン0.15g(0.67mmol)及び1−ヨードプロパン0.24g(1.40mmol)を用い、標記化合物を0.09g(収率50.6%)得た。
m.p.:111.1〜112.2℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):1715, 1673, 1540, 1330
1H-NMR(CDCl3)δ:0.98(3H,t,J=7.3Hz), 1.69(2H,m), 3.60(3H,s), 3.99(2H,t,J=7.7Hz), 4.44(3H ,s)
【0032】
実施例3
(1,7−ジメチル−8−ニトロ−3−プロピルキサンチン(化合物3)の合成)
実施例1と同様にして、1,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン0.14g(0.62mmol)及び1−ヨードプロパン0.13g(0.77mmol)を用い、標記化合物を0.11g(収率66.2%)得た。
m.p.:94〜98℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):1710, 1666, 1539, 1484, 1318
1H-NMR(CDCl3)δ:0.98(3H,t,J=7.3Hz), 1.81(2H,m), 3.44(3H,s), 4.09(2H,m),
4.44(3H,s)
【0033】
実施例4
(1,7−ジメチル−3−エチル−8−ニトロキサンチン(化合物4)の合成)
実施例1と同様にして、1,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン0.13g(0.58mmol)及びヨードエタン0.88g(5.64mmol)を用い、標記化合物を0.12g(収率82.1%)得た。
m.p.:150〜154℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):1713, 1664, 1316
1H-NMR(CDCl3)δ:1.36(3H,t,J=7.2Hz), 3.46(3H,s), 4.20(2H,q,J=7.2Hz), 4.45(3H,s)
【0034】
実施例5
(1−ブチル−3,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン(化合物5)の合成)
実施例1と同様にして、3,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン0.32g(1.42mmol)及び1−ブロモブタン0.24g(1.75mmol)を用い、標記化合物を108mg(収率27.0%)得た。
m.p.:101.0〜102.0℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):1715, 1677, 1541, 1349, 1327
1H-NMR(CDCl3)δ:0.97(3H,t,J=6.8Hz), 1.33〜1.47(2H,m), 1.59〜1.70(2H,m), 3.60(3H,s), 4.03(2H,t,J=7.6Hz), 4.45(3H,s)
【0035】
実施例6
(1,3−ジプロピル−7−メチル−8−ニトロキサンチン(化合物6)の合成)
7−メチル−8−ニトロキサンチン0.5g(2.37mmol)、ヨードプロパン1.19g(7.13mmol)及び炭酸カリウム0.65g(4.70mmol)をDMF30mLに分散させ、一夜室温下撹拌反応させた。酢酸エチル500mLを加えて抽出し、水洗した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレートし、残渣をシリカゲルカラムクラマトグラフィー(クロロホルム)で精製した。標記化合物を淡黄色結晶として0.24g(収率34.3%)得た。
m.p.:106〜107℃
IR(KBr錠剤)(cm-1):2965, 1673, 1539, 1324, 845
1H-NMR(CDCl3)δ:0.94〜1.00(6H,m), 1.62〜1.86(4H,m), 3.95〜4.11(4H,m), 4.42(3H,m)
【0036】
実施例7
(1,3−ジ−イソペンチル−7−メチル−8−ニトロキサンチン(化合物7)の合成)
7−メチル−8−ニトロキサンチン0.50g(2.37mmol)、1−ブロモ−3−メチルブタン1.08g(7.13mmol)及び炭酸カリウム0.65g(4.70mmol)にDMF20mLを加え、一夜室温下、撹拌反応させた。酢酸エチル400mLを加えて抽出し、水洗した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレートした。残渣をシリカゲルカラムクラマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:0〜8:2)に付し、標記化合物を黄色油状物として0.10g(収率12.0%)得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:0.87〜1.07(12H,m), 1.49〜1.73(6H,m), 4.01〜4.15(4H,m), 4.43(3H,s)
【0037】
試験例1(低酸素性細胞放射線増感効果(in vitro))
実施例で得られた本発明化合物について、マウス偏平上皮癌細胞SCCVIIを腫瘍細胞として用い、放射線増感効果を検討した。すなわち、最終濃度が0.005〜0.1mMになるように本発明化合物を加えた、5×105個/mL濃度のSCCVII細胞のMEM懸濁液を、5%CO2含有のN2ガス通気して、低酸素性細胞懸濁液を得た。これに対してX線照射を行ない、コロニー形成法により、放射線増感率を算出した。コロニー法では放射線量−生存率曲線を求め、この曲線より本発明化合物無添加時の低酸素性細胞の生存率を1%下げさせる放射線量を、本発明化合物添加時の低酸素性細胞の生存率を1%下げさせる放射線量で除した値を求め、放射線増感率とした。
その結果、表1に示すように、本発明化合物は著しく高い増感率を示した。N.D.は、効果が強すぎたため、コロニーがカウントできず、具体的なER値を示すことができない、すなわち、放射線増感効果が強力であることを示している。この結果より、本発明の8−ニトロキサンチン誘導体(1)は、低酸素状態における放射線の効果を増強することがわかる。
【0038】
【表1】
【0039】
試験例2
低酸素性細胞放射線増感効果(in vivo):
実施例で得られた本発明化合物について、マウス偏平上皮癌細胞SCCVIIを移植したC3Hマウスを用い、腫瘍増殖抑制効果を検討した。本発明化合物を0.1N塩酸又は界面活性剤で懸濁し、静脈内投与により10〜50mg/kgの投与量を投与し、投与後20分でX線を30Gy照射した。その後、定期的に腫瘍径を測定して腫瘍増殖抑制効果を観察した。溶媒対照群として生理食塩液又は0.1N塩酸を投与した群を用いた。その結果を表2及び図1に示す。
本発明化合物は、溶媒対照群と比較して、放射線を照射したときに有意に腫瘍増殖抑制効果が認められた。表2より化合物2は溶媒対照群と比較し、放射線を照射すると腫瘍体積が初期値の2倍を超える日が延長し、腫瘍増殖を抑制することが明らかである。
【0040】
【表2】
【0041】
試験例3(急性毒性)
雌性C3Hマウスを用いて急性毒性試験を行なった。被験化合物は界面活性剤に溶解又は分散させ、化合物2を10〜100mg/kgの濃度で静脈内投与し、一般症状を観察した。
その結果、化合物2を投与したマウスは、行動学的に全く変化が無く、また一般症状においても変化なく、死亡例も認められなかった。よって、一般式(1)で表されるアルキル−8−ニトロキサンチンは、安全性の高い化合物であることが確認された。
【0042】
【発明の効果】
本発明のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体(1)は、優れた低酸素生細胞放射線増感効果を有し、しかも安全性が高いものであり、低酸素性細胞放射線増感剤等の医薬として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例2の結果を示す図である。
Claims (3)
- 一般式(1)で表されるアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体。
(式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−アミル基、2−ペンチル基及び3−ペンチル基から選択される基を示し、R1及びR2の少なくとも一方はエチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−アミル基、2−ペンチル基及び3−ペンチル基から選択される基である) - 3−ブチル−1,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン(化合物1)、3,7−ジメチル−8−ニトロ−1−プロピルキサンチン(化合物2)、1,7−ジメチル−8−ニトロ−3−プロピルキサンチン(化合物3)、1,7−ジメチル−3−エチル−8−ニトロキサンチン(化合物4)、1−ブチル−3,7−ジメチル−8−ニトロキサンチン(化合物5)、1,3−ジプロピル−7−メチル−8−ニトロキサンチン(化合物6)又は1,3−ジイソアミル−7−メチル−8−ニトロキサンチン(化合物7)である請求項1記載のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体。
- 請求項1又は2記載のアルキル−8−ニトロキサンチン誘導体を有効成分とする、低酸素細胞放射線増感剤。
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