JP4328558B2 - 錠前のサムターン - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は防犯型の錠前のサムターンに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術の一例は、特開11−93482号公報に記載されている。この公報の記載の錠前のサムターンは、扉の内部に取り付けられたサムターン筒と、このサムターン筒に内装されたシリンダー錠と、このシリンダー錠の先端部をカバーする筒状サムターンカバーと、前記シリンダー錠を室内側から施・解錠することができるサムターン摘み兼用合鍵とから構成され、例えば施錠時において、前記合鍵をシリンダー錠から抜き取りたい時は、サムターン筒の先端部に内装されたばね部材のバネ力に抗してサムターンカバーに差し込まれた板状キーストッパーを押し上げると、該キーストッパーの係止機能を有する開口縁部が合鍵のスロット部分の係合突起から離れるので、就寝時、外出時などに摘み兼用合鍵を自由に引き抜くことができる。したがって、泥棒が、たとえば扉の一部のガラスを破壊しても、いわゆる「サムターン回し」をすることができないという利点がある。
【0003】
上記錠前のサムターンは、ばね部材をサムターン筒の先端部に形成した凹所に組み込み、また、板状キーストッパーをサムターン筒の先端部と筒状サムターンカバーの垂直壁との間に組み込み、板状キーストッパーの開口縁部が合鍵のスロット部分の係合突起に係脱するように構成する必要がある。したがって、部品点数が多くなるという問題点があった。また、扉の内壁面から錠ケースが突出する「面付け錠」に適用することができないという問題点もあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、従来の技術の利点を生かしつつ、部品点数を少なくすると共に、主たる部材を合理的に組み合わせることである。第2の目的は、「面付け錠」適用することができることである。第3の目的は、操作部材を簡単に引き抜くことができることである。第4の目的は、操作部材が不用意に抜けないことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の錠前のサムターンは、扉1の内壁面1bに面付け固定される錠ケース6に、この錠ケース内に設けられ、かつ一端部に嵌合部12を有するサムターン入力軸11と、前記錠ケースの垂直壁6aに形成した取付け孔8を介して固定的に装着されたサムターン座7と、該サムターン座の内部へと差し込まれて前記嵌合部12に内端部が嵌合するサムターン入力軸11を回転させるための操作部材13と、この操作部材の棒状挿入杆の係合突起23と係脱する開口縁部25を有する胴体部分26が位置するように前記サムターン座の内部に組み込まれ、かつ、胴体部分に連設する頭部27はサムターン座から突出し、一方、胴体部分に連設する細幅の脚部28は、前記頭部を指で押し下げることによりサムターン座の内壁面15bに圧接して弾性変位し得るストッパー板14とから成り、所望時に前記頭部を指で押し下げ、前記開口縁部と前記係合突起との干渉状態を解消させながら前記操作部材をそのまま引き抜くことを特徴とする。
【0006】
上記構成に於いて、細幅の脚部28は、胴体部分26に左右一対設けられていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1乃至図13は、本発明の一実施例を示す各説明図である。図3で示すように、1は室外側2と室内側3を区分けする扉である。扉1は建具の一つであるから、1aは外壁面、1bは内壁面である。4は錠前Xを構成するシリンダー錠である。シリンダー錠4は扉1の開放側端部に取り付けられ、居住者が室外側2から合鍵5を操作すると、外筒体、内筒体、障害子、バネ部材等で構成された施・解錠機構が解錠又は施錠状態となる。6は扉1の内壁面1bに固定された錠ケースで、本実施例では、錠前Xが「面付錠(当業者用語)」であることから、前記内壁面1bから突出している。
【0008】
そこで、まず、本発明の主たる部材について簡単に説明する。7は錠ケース6に固定的に設けられたサムターン座である。実施例では、サムターン座7は、錠前Xが、前述したように面付錠であることから、突出した錠ケース6の垂直壁6aに形成した矩形状の取付け孔8を介して装着されている。
【0009】
9はサムターン座7を固定的に支持する第1支持板で、この第1支持板9は前記垂直壁6aの内壁面に添設状態に設けられ、図示しない固着具を介して錠ケース6に固定さていれる。また、10は錠ケース6内に前記第1支持板9に対して多少離間して設けられた第2支持板で、この第2支持板10も図示しない固着具を介して錠ケース6に固定さていれる。第1支持板9及び第2支持板10には、シリンダー錠4の中心駆動軸を基準にして中心孔9a,10aがそれぞれ形成されている。
【0010】
11はシリンダー錠4の駆動軸と連結するように前記中心孔9a,10aを介して第1支持板9及び第2支持板10に設けられたサムターン入力軸である。このサムターン入力軸11の形態は任意に設計できるが、本実施例では、前記駆動軸側の小径部11aに連結する大径部(室内側端部)11bには、操作部材用の嵌合部(嵌合突起、嵌合孔など)12が形成されている。
【0011】
13は挿入端部側が前記サムターン入力軸11の嵌合部12に嵌合連結された操作部材で、この操作部材13は、前述した合鍵5と同様に室内側3から錠前Xの施・解錠機構を解錠又は施錠状態にするために使用されると共に、本実施例では、居住者が所望する時には、ワンタッチ方式或いは自由に錠前X(サムターン入力軸11)から引き抜くことができる。
【0012】
14は前記サムターン座7に組み込まれた合成樹脂製のストッパー板で、このストッパー板14は、例えば錠前Xの解錠時に操作部材13が簡単に抜けないように該操作部材13を直接係止(干渉)しているものの、後述する頭部を押し下げると、係止状態が解消する。したがって、操作部材13をそのまま引き抜くことができる。
【0013】
次に主要部材の各部の構成を説明する。まず、図4及び図5は、サムターン座7の斜視図である。図4は室内側3から見た表側に相当し、一方、図5は逆で、扉の内壁面1bから見た裏側に相当する。
【0014】
しかして、15は後壁側が開口16するケース部で、このケース部15の上壁には、やや小さめの窓17が形成されている。またケース部15の前壁には、前述したシリンダー錠4の駆動軸の中心線上に位置する操作部材用の貫通孔18が形成されている。19はケース部15の後端部に突壁状に形成されたフランジ部で、このフランジ部19は、錠ケース6の垂直壁6aと第1支持板9に面接触状態に挟持されている。サムターン座7の細部の構造については割愛する。
【0015】
図6及び図7は、操作部材(サムターン摘み)13の各説明図である。操作部材13の板状摘み部分21は、錠前Xが解錠状態の場合には、水平状態となる(図3、図6参照)。一方、板状摘み部分21は、錠前Xが施錠状態の場合には、垂直状態となる(図7、図11参照)。
【0016】
しかして、摘み部分21の一端中央部には、サムターン座7のケース部15の前壁15aに面接触の状態で当接する膨らみ部分21aが形成されている。また、この膨らみ部分21aの端面から棒状の挿入杆22が水平に延びている。水平挿入杆22には、上下に一対の係合突起23.23が設けられている。
この水平挿入杆の22係合突起23.23は、挿入時、図3で示すようにサムターン入力軸11の嵌合部12に適宜に嵌入する。したがって、操作部材13を回すと、サムターン入力軸11を介して錠前Xを施・解錠することができる。
【0017】
図8及び図9は、頭部27を除き、胴体部分26及び脚部28がサムターン座7に組み込まれるストッパー板14の各説明図である。
【0018】
しかして、このストッパー板14は、サムターン座7の内部に位置し、かつ、操作部材13の係合突起23と係脱する中央開口24の開口縁部25を有する円形状胴体部分26と、この胴体部分26の周壁の上部からサムターン座7のケース部15の窓17から突出するように延伸する頭部27と、前記胴体部分26の周壁の腰部から下方方向へ湾曲状に延び、かつ、サムターン座7のケース部15の内壁底面15bに圧接し得るように変位する左右一対の細幅の弾性脚部28,28とから成る。
【0019】
したがって、ストッパー板14の細幅脚部28は、本実施例では、図9で示すように。前記頭部27を指Fで押し下げることにより、サムターン座の内壁面15bに圧接して弾性変位する。それ故に、所望時(解錠時及び施錠時)、前記頭部27を指Fで押し下げ、これにより前記開口縁部25と垂直状態の係合突起23との干渉状態を解消させた状態で操作部材13をそのまま引き抜くことができる(図10、図13参照)。
【0020】
すなわち、本実施例では、解錠時及び施錠時の両方において、不用意に操作部材13が抜けないように、ストッパー板14の頭部27を押し下げることにより、図9、図12で示すようにストッパー板14の開口縁部25と操作部材13の係合突起23との干渉が解消される。
【0021】
したがって、図10(解錠時)及び図13(施錠時)に示すように、所望時に前記頭部27を指で押し下げ、前記開口縁部25と係合突起23との干渉状態を解消させながら操作部材13をそのまま引き抜くことができる。
【0022】
【実施例】
本実施例では、細幅脚部28は、ストッパー板14の頭部27を押し下げると変形する働き(弾性変形機能)と、頭部27から指Fを離すと、材質自体の弾性力により、開口縁部25で垂直状態の係合突起23を係止するように復帰する働き(弾性復帰変形機能)とを有する。
【0023】
本実施例では、細幅脚部28は、左右に一対形成されているが、サムターン座の内壁面15bに圧接することができるように延びる1本の脚部(あるいはアーム部)28であっても良い。
【0024】
なお、本実施例では所望時(解錠時及び施錠時)に頭部27を指で押し下げ、前記開口縁部25と係合突起23との干渉状態を解消させながら操作部材13をそのまま引き抜くことができるが、例えば図14で示すようにストッパー板14の中央開口24Aの開口径(広さ)を任意に設計変更することにより、施錠時に於いて、図15で示すようにストッパー板14の開口縁部25と操作部材13の係合突起23との干渉関係が発生しないことから、操作部材13をそのまま引き抜くことができる。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては、次に列挙するような効果がある。
(1)従来の技術の利点を生かしつつ、部品点数を少なくすると共に、主たる部材を合理的に組み合わせることができる。
(2)「面付け錠」にも適用することができる。
(3)施錠時のみならず、解錠時にも操作部材を簡単に引き抜くことができる。
(4)実施例によっては、施錠時及び解錠時にストッパー板の頭部27を指でそれぞれ押し下げ、開口縁部25と係合突起23との干渉状態を解消させる必要があるから、不用意に操作部材13がサムターン座7から抜けない。
【図面の簡単な説明】
図1乃至図13は本発明の一実施例を示す各説明図。図14及び図15はストッパー板の開口径を設計変更した一例を示す各説明図。
【図1】斜視からの説明図。
【図2】室内側から見た錠箱、操作部材の説明図。
【図3】解錠時に於いて、操作部材とストッパー板との干渉関係の説明図。
【図4】サムターン座の表面側からの斜視図。
【図5】サムターン座の裏側からの斜視図。
【図6】操作部材の斜視図。
【図7】操作部材の説明図。
【図8】ストッパー板の斜視図。
【図9】解錠時におけるストッパー板の働きの説明図。
【図10】解錠時における操作部材の引き抜きの説明図。
【図11】施錠状態の説明図。
【図12】施錠時におけるストッパー板の働きの説明図。
【図13】施錠時における操作部材の引き抜きの説明図。
【図14】ストッパー板の開口径を設計変更した例を示す説明図。
【図15】図14に於いて、施錠時におけるストッパー板の開口縁と操作部材の係合突起との干渉関係が成立しない一例を示す説明図。
【符号の説明】
X…錠前、1…扉、2…室外側、3…室内側、4…シリンダー錠、5…合鍵、6…錠ケース、7…サムターン座、9…第1支持板、10…第2支持板、11…サムターン入力軸、12…嵌合部、13…操作部材、14…ストッパー板、15…ケース部、16…開口、17…窓、18…貫通孔、19…フランジ部、21…摘み部分、22…水平挿入杆、23…係合突起、24,24A…中央開口、25…開口縁部、26…胴体部分、27…頭部、28…細幅脚部。

Claims (3)

  1. 扉1の内壁面1bに面付け固定される錠ケース6に、この錠ケース内に設けられ、かつ一端部に嵌合部12を有するサムターン入力軸11と、前記錠ケースの垂直壁6aに形成した取付け孔8を介して固定的に装着されたサムターン座7と、該サムターン座の内部へと差し込まれて前記嵌合部12に内端部が嵌合するサムターン入力軸11を回転させるための操作部材13と、この操作部材の棒状挿入杆の係合突起23と係脱する開口縁部25を有する胴体部分26が位置するように前記サムターン座の内部に組み込まれ、かつ、胴体部分に連設する頭部27はサムターン座から突出し、一方、胴体部分に連設する細幅の脚部28は、前記頭部を指で押し下げることによりサムターン座の内壁面15bに圧接して弾性変位し得るストッパー板14とから成り、所望時に前記頭部を指で押し下げ、前記開口縁部と前記係合突起との干渉状態を解消させながら前記操作部材をそのまま引き抜くことを特徴とする錠前のサムターン。
  2. 請求項1に於いて、細幅の脚部28は、胴体部分26に左右一対設けられていることを特徴とする錠前のサムターン。
  3. 請求項1に於いて、解錠時及び施錠時に、ストッパー板14の頭部をそれぞれ指で押圧すると、細幅の脚部28が弾性変位し、操作部材をそのまま引き抜くことができること特徴とする錠前のサムターン。
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