JP4328058B2 - 糖尿病合併症を予防する組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糖尿病合併症を予防することができる組成物及び当該組成物を含む食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
糖尿病の慢性合併症として特徴的な病変は、細小血管障害であることが知られている。細小血管障害は特に、網膜、腎、末梢神経で組織変性を引き起こし、糖尿病の3大合併症と呼ばれる、網膜症、腎症、神経症等を発症する。その結果、患者の生活の質、そして生命の予後に重要な影響を与えることが多い。糖尿病合併症の成因は一次元的なものでなく、以下に示す複数の因子が関わっていると考えられている。
▲1▼アルドース還元酵素を介するポリオール経路の代謝亢進
▲2▼タンパクの非酵素的糖化
▲3▼血管平滑筋や内皮細胞におけるβ2型プロテインキナーゼCの活性化
▲4▼酸化ストレスの亢進
ところで、大豆醗酵産物にはコレステロール低下作用、フィトエストロゲン作用、抗酸化作用などが知られているが、合併症の発症・進展を効果的に予防するような食品を構成する組成物は知られていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、糖尿病合併症を予防できる組成物及び当該組成物を含む食品を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、大豆発酵産物が糖尿病合併症の予防に効果的に作用することを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
【0005】
(1)大豆発酵産物を主成分とし、アルドース還元酵素阻害作用、タンパク質非酵素的糖化抑制作用及びアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有する糖尿病合併症を予防する組成物。
(2)上記大豆発酵産物は、イソフラボノイド類を含有することを特徴とする(1)記載の組成物。
(3)上記イソフラボノイド類が下記式(I)で表され、式中、側鎖R4’、R5、及びR7が水素、水酸基、アルコキシル基(RO-基、Rは炭素数1〜10のアルキル基)又はグリコキシル基であることを特徴とする(1)記載の組成物。
【0006】
【化2】
【0007】
(4)上記イソフラボノイド類がダイゼイン及び/又はビオカニンAであることを特徴とする(3)記載の組成物。
(5)上記大豆発酵産物は、超臨界流体による抽出物又は有機溶媒若しくは水との混合物による抽出物であることを特徴とする(1)記載の組成物。
(6)上記大豆発酵産物は、大豆を発酵させてなる培養物を、超臨界流体により抽出した抽出物又は有機溶媒若しくは水との混合物により抽出した抽出物であることを特徴とする(1)記載の組成物。
【0008】
(7)上記大豆発酵産物は、3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オールを含むことを特徴とする(1)記載の組成物。
(8)上記大豆発酵産物は、1-メチル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸を含むことを特徴とする(1)記載の組成物。
(9)(1)〜(8)いずれか1項記載の組成物を含む食品。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る組成物は、大豆発酵産物を主成分として含有するものである。大豆発酵産物とは、大豆及び/又は豆乳を、グリコシド結合加水分解能を有する微生物により発酵させることにより得られる。または、大豆発酵産物とは、大豆及び/または豆乳を乳酸菌や酵母などの微生物により単独及び/または混合培養により醗酵させて得られる培養物を意味する。
【0010】
本発明に係る組成物は、大豆発酵産物を主成分として含有すことによって、アルドース還元酵素阻害作用、タンパク質非酵素的糖化抑制作用及びアンジオテンシン変換酵素阻害作用を示すこととなり、その結果、糖尿病合併症に対する優れた予防効果を示すこととなる。
【0011】
大豆としては、Glycine max (L) MERR.に属する品種であれば如何なる品種の大豆をも使用することができる。例えば、大豆品種としては、ツルマメ(Glycine soja SIRB. et Zucc.)等を使用することができる。また、このなかでも、大豆としてはGlycine max (L.) MERR.を使用することが好ましい。大豆発酵産物の原料としては、大豆そのもの及び/又は大豆を加熱、抽出、分離、凝固させたものを使用することができる。このうち、大豆発酵産物の原料としては、特に豆乳が好ましい。豆乳としては、全脂豆乳、脱脂豆乳、調整豆乳、無調整豆乳のいずれを用いてもよい。豆乳は、大豆又は大豆の粉砕物から常法により製造できる。豆乳中の固形物含量は特に制限はないが、例えば1〜30%重量が好ましい。
【0012】
発酵に使用する微生物は、グリコシド結合加水分解能を有する微生物であれば如何なる微生物を使用することができる。例えば、微生物としては、ラクトバチルス属、ビフィドバクテリウム属、ラクトコッカス属、ルコノストック属の乳酸菌、サッカロマイセス属、ピッチア属の酵母等を使用することができる。また、この中でも、微生物としてはラクトバチルス属、サッカロマイセス属を併用して使用することが好ましい。
【0013】
微生物を用いて大豆を発酵させる手法としては、従来より公知の如何なる手法を使用することができる。例えば、上述した微生物を単独或いは混合して培養した後、上述した豆乳等の原料を培地として培養発酵させる方法等を挙げることができる。
【0014】
例えば、培地として豆乳を使用する場合、乳酸菌1種につき105〜106個/ml、酵母1種につき104〜105個/mlとなるように豆乳に単独或いは混合して接種し、20〜37℃で4〜10日間培養する。これにより豆乳を発酵させてなる大豆発酵産物を得ることができる。
【0015】
大豆発酵産物は、大豆を発酵させてなる培養物から水溶性画分を除去して得られたものであることがより好ましい。培養物から水溶性画分を除去することによって糖尿病合併症を予防する効果がより顕著に現れるためである。培養物から水溶性画分を除去する方法としては、限定されないが、例えば、ダイアイオンHP-20又は活性炭等を充填したカラムを用いることができる。
【0016】
さらに、大豆発酵産物は、大豆を発酵させてなる培養物をエタノール抽出、例えば50%エタノールで抽出して得られたものであることがより好ましい。培養液をエタノール抽出することによって、糖尿病合併症を予防する効果がより顕著に現れるためである。
【0017】
また、大豆発酵産物は、大豆を発酵させてなる培養物そのもの、当該培養物を乾燥させたもの、当該培養物を冷凍したもの、冷凍した培養物を解凍したもの、冷凍した培養物を粉砕又は破砕したものであってもよい。ここで、乾燥とは、風乾、乾燥炉による乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥又はスプレードライを単独で行っても良いし、それらを組み合わて行ってもよい。乾燥の程度は、目的にもよるが、水分含有量0〜50重量%。好ましくは0〜10重量%となるまでとする。冷凍は、特に限定されないが、通常の方法、ドライアイスや液体窒素等により行うことができる。
【0018】
さらに、大豆発酵産物は、大豆を発酵させてなる培養物を、超臨界流体により抽出した抽出物又は有機溶媒若しくは水との混合物により抽出した抽出物であることが好ましい。大豆を発酵させてなる培養物をこれら抽出物とすることによって、糖尿病合併症を予防する効果がより顕著に現れるためである。
【0019】
培養物を超臨界流体により抽出するとは、いわゆる超臨界抽出法を用いて培養物から抽出することを意味する。超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、二酸化炭素にメタノール及びエタノール等の有機溶媒を混合したもの、又はペンタン等を使用できる。
【0020】
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n-若しくはイソプロパノール、n-、イソ、第二若しくは第三ブタノール、n-、イソ、第二若しくは第三ペンタノール、n-、イソ、第二若しくは第三ヘキサノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン化物、ジエチルエーテル等のエーテル類、へキサン、ペンタン等の炭化水素を単独又はこれらの混合物として使用できる。培養物を、有機溶媒若しくは水との混合物により抽出する際には、冷浸、温浸、還流冷却下での過熱等の方法を適宜使用できる。
【0021】
また、培養物を、超臨界流体により抽出する又は有機溶媒若しくは水との混合物により抽出する際には、所望により超音波をかけながら行ってもよい。抽出は、連続式で行ってもバッチ式で行ってもよく、例えば常温から溶媒の沸点の範囲の温度で、加圧、常圧、または減圧下で行う。抽出時間は、抽出方法、抽出溶媒等に応じて、適宜決定し得る。例えば、室温での抽出の場合、1〜10日間、好ましくは1〜3日間、特に1〜12時間であり、溶媒の沸点付近の温度での抽出の場合、10分間〜10時間、好ましくは10分間〜5時間、特に、1〜3時間である。
【0022】
得られた抽出物は、常圧または減圧下で溶媒を留去して濃縮または乾固するか、凍結乾燥したものであってもよい。得られた抽出物は大豆発酵産物としても良いが、濃縮または乾固した後、水、エタノール等の溶媒に溶解し、不溶物を濾去してもよい。この場合、濾液はそのまま、または所望により濃縮、乾固または凍結乾燥することによって、大豆発酵産物とすることができる。
【0023】
さらに、大豆発酵産物としては、上述した抽出物をクロマトグラフィーによって得られた画分を含む分画物であってもよい。分画物とは、上述した抽出操作後の抽出溶媒中の成分又は抽出操作後に溶媒を留去して得られた残留物をさらに他の溶媒に溶解した溶液中の成分を、クロマトグラフィーにより分画し、集められた画分そのものであってもよいし、当該画分を所望により濃縮、乾固又は凍結乾燥したものであってもよい。クロマトグラフィーとしては、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー等を使用できる。クロマトグラフィーに用いる充填剤としては、シリカゲル、ODS又はHP-20等のポリマーを使用でき、クロマトグラフィーに用いる溶出溶媒は、水、メタノール、エタノール等のアルコール類等の有機溶媒を単独で又はそれらの混合物として使用できる。
特に、分画物は、充填剤としてHP-20を使用し、水-メタノール混合溶媒により、メタノールの濃度を増しながら展開し、メタノール70〜100%、特に100%メタノールで得られる画分を含むことが好ましい。
【0024】
ところで、大豆発酵産物は、アルドース還元酵素阻害作用、AGE生成抑制作用及びアンジオテンシン変換酵素阻害作用を示す有効成分としてイソフラボノイド類を含むものである。イソフラボノイド類としては、限定されないが、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
【0025】
【化3】
【0026】
ここで、式(I)において、側鎖のR4’、R5、及びR7は水素、水酸基、炭素数1〜10のアルコキシル基又はグリコキシル基を示している。特に、大豆発酵産物は、側鎖のR7が水酸基であるイソフラボノイド類を含むことが好ましい。
【0027】
すなわち、イソフラボノイド類としては、フォルムオノネチン(Formononetin)、ビオカニンA(Biochanin A)、ダイゼイン(Daidzein)、ダイジン(Daidzin)ゲニステイン(Genistein)、ゲニスチン(Genistin)、オノニン(Ononin)およびシスソトリン(Sissotrin)等を挙げることができる。
【0028】
これらイソフラボノイド類は、定法に従って化学合成により得ることができる。例えば、PSBEM (1995) (208) 27-32に記載されたKristiina Wahalaらの合成法に準じてイソフラボノイド類を合成できる。また、これらイソフラボノイド類は、SIGMA、フナコシ、和光純薬などの会社から購入することもできる。
さらに、大豆発酵産物には、3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オール(下記式に示す)が含まれている。
【0029】
【化4】
【0030】
この3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オールは、大豆に含まれていることが新規であり、酸化ストレス抑制作用、アルドース還元酵素阻害作用を有する。したがって、大豆発酵産物に3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オルが含まれていることによって、より優れた糖尿病合併症予防効果を奏することとなる。
さらにまた、大豆発酵産物には、1-メチル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸(下記式に示す)が含まれている。
【化5】
【0031】
この1-メチル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸は、Vladimir BantseevらBiochemistry and Molecular Biology International (1997), (42)6, 1189-1197に記載されるように、水晶体保護作用を有する。したがって、大豆発酵産物に1-メチル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸が含まれることによって、より優れた糖尿病合併症予防作用、特に糖尿病性白内障予防作用を奏することとなる。
【0032】
大豆発酵産物は、発酵前の大豆を含む試料(例えば、豆乳)と比較して、優れた糖尿病合併症予防作用を奏する。糖尿病合併症としては、例えば、糖尿病性白内障、糖尿病性神経症、糖尿病性腎疾患、糖尿病性網膜症、糖尿病性角膜症及び動脈硬化を挙げることができる。
【0033】
特に、大豆発酵産物は、以下の3つの作用において、発酵前の大豆を含む試料(例えば、豆乳)と比較して優れた特性を有する。
▲1▼アルドース還元酵素の阻害作用
▲2▼タンパク質の非酵素的糖化の抑制作用
▲3▼アンジオテンシン変換酵素の阻害作用
【0034】
アルドース還元酵素の阻害作用とは、アルドース還元酵素活性、すなわち、グルコース等のアルドースをソルビトール等のポリオールに変換する活性を阻害することを意味する。アルドース還元酵素活性を阻害するとは、後述する活性測定方法で測定したアルドース阻害率が25%以上であることを意味する。
【0035】
活性測定方法としては、基質、NADPH(還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドフォスフェート)及びアルドース還元酵素を含む反応溶液に測定対象のサンプルを添加し、NADPHを補酵素とする酵素反応により生成されるNADPの蛍光強度を測定する方法が挙げられる。本方法において、基質としては、グルコース、DL-グリセルアルデヒド、D-グルクロン酸、L-グロン酸及び各種アルドース等を使用できる。アルドース還元酵素としては、市販の組換え体ヒト筋肉由来アルドース還元酵素、ラット、マウス及びウシ等の水晶体から抽出されたアルドース還元酵素等を使用できる。
【0036】
また、本方法において、NADP蛍光強度が75%以下、すなわちアルドース還元酵素によるNADP生成量を75%以下に減少させることをもって、アルドース還元酵素阻害作用を有すると定義する。したがって、大豆発酵産物を測定対象のサンプルとした場合、大豆発酵産物は、反応溶液中のアルドース還元酵素活性を阻害し、NADP蛍光強度を75%以下に低下させる。
【0037】
なお、現在までに、アルドース還元酵素に関しては以下の知見が得られている。高血糖状態では、解糖系、TCAサイクルで処理しきれない過剰グルコースはポリオール代謝経路に入り、経路内でアルドース還元酵素によりソルビトールへ還元される。ソルビトールは細胞膜を通過できないので細胞内に蓄積する。ソルビトールの蓄積は浸透圧を上昇させ、NADPHを消費し抗オキシダントを生じる。ミオイノシトールは細胞膜のリン脂質の原料であるが構造はグルコースと酷似するので、高血糖により細胞内への取り込みが阻害される。ミオイノシトール不足はミオイノシトール代謝を障害し、Na、K-ATPase活性を低下させるので、神経障害を生じやすい。更に、ポリオール代謝経路の活性化に起因するソルビトール、フルクトースの蓄積は、タンパク質の糖化反応(AGE産生)の亢進などにより細胞障害の誘引となる。アルドース還元酵素は、この経路の律速酵素であり、神経シュワン細胞、角膜上皮細胞や腎糸球体メサンギウム細胞などに存在する。
【0038】
一方、タンパク質の非酵素的糖化とは、生体内のタンパク質が非酵素的にグルコースと結合し、シッフ塩基からアマドリ化合物になり、さらに反応過程を経て最終的に後期糖化生成物(Advanced Glycation End-products以下「AGE」と称する)になる反応のことを意味する。なお、この反応はメイラード反応とも呼ばれる。例えば、血中グルコースは酵素の働きなしに血管壁ないしは血球を構成するタンパク質と結合する(グリケーション)。グリケーションはグルコース濃度に依存して進行する。数週間から数ヶ月の経過で脱水、縮合、酸化、転位などの複雑な反応を経て最終的には不可逆的な最終産物AGEが生成される。細胞外基質はAGE化によって細胞外基質蛋白間の架橋形成をきたし、その構造・機能的障害が引き起こされる。
【0039】
タンパク質の非酵素的糖化の抑制作用とは、上述した反応によるAGEの生成を抑制することを意味する。AGEの生成、すなわち、タンパク質の非酵素的糖化反応は、Monnierらの方法(Sience 211, 491-494 (1981))に準じて行うことができる。すなわち、所定のタンパク質をグルコース又はグルコース-6-フォスフェートとともに暗下でインキュベーションしてタンパク質の非酵素的糖化により生じたAGEを、反応溶液の紫外線吸光度及び蛍光強度を測定することによって定量する。したがって、タンパク質の非酵素的糖化の抑制作用は、前述の方法において、測定対象サンプルの存在下で非酵素的糖化反応させ、生成したAGEを定量することで検討することができる。
【0040】
本方法において、タンパク質としては、ウシ血清アルブミン(BSA)、N-ωアセチルリジン等を使用できる。また、グルコース及びグルコース-6-フォスフェートの他に、単糖鎖状構造でヘミアセタール水酸基の存在によるアルデヒド構造を作りうる化合物等を使用できる。また、インキュベーションは、37〜60℃で行うことが好ましく、6〜12時間行うことが好ましい。
【0041】
特に、作用物質非存在下と比較して作用物質存在下でAGE量が75%以下に減少した場合、作用物質がタンパク質の非酵素的糖化抑制作用を有すると定義する。なお、大豆発酵産物を作用物質とした場合、大豆発酵産物は、660μg/mlの濃度で39.4%のタンパク質の非酵素的糖化抑制作用を示す。
【0042】
なお、現在までに、AGEはアルドース還元酵素のメッセンジャーRNAを誘導し、細胞内アルドース還元酵素の蛋白量を増加させることも明らかになっており、AGEと、アルドース還元酵素の関与するポリオール経路活性亢進は糖尿病合併症の重要な成因の1つであると考えられている。
【0043】
さらに、アンジオテンシン変換酵素の阻害作用とは、アンジオテンシン変換活性、すなわち、レニン(腎臓から分泌される分解酵素)の作用で生成したアンジオテンシンIをアンジオテンシンIIに変換する活性を阻害することを意味する。なお、アンジオテンシン変換酵素は、C末端側の活性中心(「Cドメイン」と称する)とN末端側の活性中心(「Nドメイン」と称する)とを有する。したがって、アンジオテンシン変換酵素の阻害作用とは、Cドメインの活性を阻害する及び/又はNドメインの活性を阻害する作用を意味する。
【0044】
アンジオテンシン変換酵素のCドメイン活性は、例えば、Cushman及びCheungらの原理(Biochem. Pharmacol. 20, 1637-1648(1971))をもとにSimonettaが考案したUV検出法(CLIN. CHEM vol. 29, no. 6, 1093-1096 (1983))に従って測定できる。すなわち、基質であるn-(3-[2-フリル]アクリロイル)フェニルアラニル-L-グリシル-L-グリシン(以下、「FAPGG」と称する)を、アンジオテンシン変換酵素によってフリルアクリロイルフェニルアラニンとグリシルグリシンとに加水分解し、その結果として生じる波長328nmにおける吸光度の減少を測定する方法によって、アンジオテンシン変換酵素のCドメイン活性を測定できる。本方法において、基質としてはFAPGG以外にヒプリル-ヒスチジル-ロイシン(HHL)等を使用できる。また、アンジオテンシン変換酵素は、市販のウサギ肺由来のアンジオテンシン変換酵素や、ウシ又はヒト体細胞由来のアンジオテンシン変換酵素等を使用できる。
【0045】
また、本方法において、アンジオテンシン変換酵素の非存在条件での波長328nmにおける吸光度を基準とし、アンジオテンシン変換酵素及び作用物質の存在下で波長328nmにおける吸光度が上記基準の吸光度と比較して65%以下であることをもって、作用物質がアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有すると定義する。なお、大豆発酵産物を作用物質とした場合、大豆発酵産物は、570μg/mlの濃度で36.7%のアンジオテンシン変換酵素阻害作用を示す。
【0046】
アンジオテンシン変換酵素のNドメイン活性は、例えば、Aziziら(Hypertension June 2000 1226-1231)が考案した高速液体クロマトグラフィ(以下、HPLCと称する)法により測定できる。すなわち、基質であるアセチル-セリル-アスパルチル-(N-アセチル)-リシル-プロリン(以下、AcSDAcKPと称する)をアンジオテンシン変換酵素により加水分解し、生じたアセチル-リシル-プロリン(以下、AcKPと称する)をHPLCにより波長200nmで測定する方法によって、アンジオテンシン変換酵素のNドメイン活性を測定できる。本方法において、基質としてはAcSDAcKP以外にAcSDKP等を使用できる。また、アンジオテンシン変換酵素は、ヒト体細胞由来のアンジオテンシン変換酵素や、Cドメインの活性を低下させた変異型アンジオテンシン変換酵素、ヒト腸閉塞由来アンジオテンシン変換酵素等を使用できる。
【0047】
また、本方法において、AcKPに起因する波長200nmをHPLCで検出し、作用物質を含まない場合と比較してAcKP生成量を65%以下に低下させることをもって、作用物質がアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有すると定義する。したがって、大豆発酵産物を作用物質とした場合、大豆発酵産物は、反応溶液中のアンジオテンシン変換酵素活性を阻害し、波長200nmにおけるピークを65%以下に抑える。
【0048】
なお、現在までに、アンジオテンシン変換酵素に関しては以下の知見が得られている。糖尿病性腎症の発症に腎臓内血行動態異常が関与しており、その本体は主として輸入細動脈系の拡張に起因する糸球体高血圧であることが知られている。その是正には、輸出細動脈系を拡張させる機能を有するアンジオテンシン変換酵素阻害剤(以下、ACE阻害剤)が有効である。更に、ACE阻害剤が、微量アルブミン尿、尿中アルブミン排泄量を減少させるとともに、早期腎症から顕性腎症への進展率を抑制するため、血圧管理とは別に、ACE阻害剤の意義が確認されている。
【0049】
大豆発酵産物は、上述した3つ全ての作用について、発酵前の大豆を含む試料と比較して優れた作用を示す。大豆発酵産物がこれら3つの優れた作用を示すため、本発明に係る組成物は、上述したような糖尿病合併症の予防に優れた効果を示すといえる。糖尿病合併症の予防効果は、例えば、高血圧モデル動物における降圧作用を確認することによって検証できる。また、糖尿病合併症の予防効果は、例えば、赤血球ソルビトール生成量の測定、水晶体AGE量の測定及び尿中微量アルブミン量の測定等によって検証できる。
本発明に係る組成物は、糖尿病合併症を予防する目的で、以下のようにして使用することができる。例えば、上述した組成物を滅菌処理した後、健康食品、食品添加原料として使用できる。
【0050】
健康食品としては、エキス剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、液剤、浸剤、煎剤、トローチ剤、流エキス剤等の形態であってもよい。これらは当該分野で知られている方法により製剤化することができる。これらの製剤形態の健康食品は、医薬品を製剤化する際に一般的に使用される補助剤を含有していてもよい。
【0051】
健康食品としては、一般加工食品等の食品に、本発明に係る組成物を添加した食品、いわゆる機能性食品であってもよい。機能性食品としては、例えば、上記組成物を添加した飴、ガム、ゼリー、ビスケット、クッキー、煎餅、パン、麺、魚肉・畜肉練製品、茶、清涼飲料、コーヒー飲料、乳飲料、乳清飲料、乳酸菌飲料、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン等が挙げられる。さらに、健康食品は、上記組成物を飲用アルコールにつけて得られる健康酒であってもよい。さらにまた、健康食品は、上記組成物を、生、乾燥、または加熱(醤油、砂糖、アミノ酸等の調味料と共に茹でる、煮る又は油で炒める場合を含む)した状態のものであってもよい。
【0052】
これら機能性食品は、各々の食品原料に、上記組成物を所要量添加すること以外は、通常の製造方法により製造することができる。この場合、上記組成物の所要量は、機能性食品の種別により異なるが、上記大豆発酵産物が乾燥重量として例えば、0.001〜20重量%、好ましくは0.01〜10重量%となるようにする。また、大豆醗酵産物の抽出物または分画物として配合する場合には、大豆醗酵産物の抽出物または分画物を0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜0.1重量%とする。
【0053】
また、本発明に係る組成物は、いわゆる健康茶の形態で提供されてもよい。この場合は、上記組成物を半乾燥及び/又は粉末化することが好ましい。この場合、上記健康茶には、緑茶、紅茶、ウーロン茶、プーアール茶、ハトムギ茶、ドクダミ茶、クワ茶、ムギ茶、ハブ茶等の他の茶葉、一般に用いられている健康茶及びこれら茶葉並びに健康茶の原料から選ばれる一種類以上が配合されていてもよい。
【0054】
本発明に係る組成物は、上述したようないかなる形態であっても、人体にとって無毒性であるからその摂取量について特に制限はないが、糖尿病合併症予防を目的とする観点からは、大豆発酵産物の抽出物として1〜1000mg/kg体重/日、好ましくは、10〜5000mg/kg体重/日程度の摂取量とすることが好ましい。また、食品の特性、呈味性あるいは経済性等を考慮した場合、本発明に係る組成物の食品に対する添加量としては0.1〜20%、好ましくは0.2〜10%程度であればよい。
【0055】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明に係る組成物を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
<大豆発酵産物の調製>
乾燥大豆を、重量換算で10倍量の水に一夜浸せきした後、ミキサーで破砕し弱火にかけ約1時間煮た後、ガーゼで濾した液をさらにオートクレーブ滅菌(115℃、10分)したものに菌を接種し37℃で144時間培養し、40LのL6培養物を得た。菌としては、ラクトバチルス・デルゴルエキイ、ラクトバチルス・アシドフィラス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・ファーメンタム、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ラムノーサス、ラクトコッカス・ラクティス、サッカロマイセス・セレビジエとの混合微生物を用いた。
【0056】
次に、L6培養液を減圧下で濃縮し、4℃にて一晩放置後、析出した淡黄白色の沈殿物を3G11グラスフィルター(IWAKI社製)で除去した。得られたろ液を再度濃縮し、沈殿が析出しなくなるまで、上述した除去及び濃縮を繰り返し行い、L6培養液から水溶性画分を分離した。
【0057】
次に、分離した水溶性画分をダイアイオンHP-20カラムクロマトグラフィー(三菱化学社製)に供し、H2O、20%-MeOH、40%-MeOH、70%-MeOH、100%-MeOHにて順次溶出させ、5フラクションに分画した。そして、H2Oで分画したフラクションをI分画とし、20%-MeOHで分画したフラクションと40%-MeOHで分画したフラクションとを併せてII分画とし、70%-MeOHで分画したフラクションをIII分画とし、100%-MeOHで分画したフラクションをIV分画とした。
【0058】
なお、IV分画を順相及び逆相の低温カラムクロマトグラフィーを繰り返し行うことによってダイジン、ゲニスチン、ダイゼイン及びゲニステインを単離・精製できた。また、III分画を逆相の高速液体クロマトグラフィーを繰り返し行うことによって3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オールを単離・精製できた。さらに、II分画からは、1-メチル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸を単離・精製できた。また、これら4つの分画の他に、L6培養液に等量のエタノールで抽出して得られたL6-50%エタノール抽出物を調製した。
【0059】
<アルドース還元酵素阻害作用の検討>
得られた4つの分画及びL6-50%エタノール抽出物を用いてアルドース還元酵素に対する活性阻害作用を検討した。アルドース還元酵素としては、組換え体ヒト筋肉由来アルドースレダクターゼ(和光純薬社製、試薬生化学用547-00581)を用いた。アルドース還元酵素の活性は、1mMのDL-グリセルアルデヒド(SIGMA社製 G5001)と、0.1Mの(NH4)2SO4を含む0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.0)とを含む反応溶液(全量200μL)中で、β-NADPH(SIGMA社製 N1630)から生成されるNADPの蛍光強度を測定することによって評価した。
【0060】
具体的には、I〜IV分画及びL6-50%エタノール抽出物のいずれかを反応溶液に混合した後にアルドース還元酵素を添加し、37℃で20分間インキュベーションした後、0.5MのHClを0.03mL添加することで酵素反応を停止させた。反応停止後の反応溶液に、10mMのイミダゾールを含有する6MのNaOHを0.1mL加え、60℃で10分間インキュベーションした後、励起波長360nm、測定波長450nmにて、生成したNADP量を測定した。測定には、Fluoroskan Ascent FL(Labsystems社製)を用いた。なお、コントロールとしてはIII画分、IV画分およびL6-50%エタノール抽出物に代えてDMSOを添加したものを、陽性コントロールとしてはIII画分、IV画分およびL6-50%エタノール抽出物に代えてケルセチン(SIGMA社製、Q0125)を使用した。なお、検体は終濃度300μMとなるようにDMSOに溶解し、調整した。活性の測定は下記式により阻害率を算出した。
阻害率 (%)=(1−(Sample-Blank))/((Control-Blank))×100
式中、Sampleは測定した試料溶液についての蛍光値、Blankは酵素をあらかじめ反応停止させ、インキュベートした溶液の蛍光値であり、Controlは試料を含まない試料溶解溶液(DMSO)の蛍光値である。
【0061】
結果を図1に示す。なお、図1において、縦軸はアルドース還元酵素の活性阻害率を示し、横軸はI〜IV分画及びL6-50%エタノール抽出液の最終濃度を示している。図1から判るように、III分画、IV分画及びL6-50%エタノール抽出液に関しては、優れたアルドース還元酵素の活性阻害作用を示した。
【0062】
また、上述した方法と同様にして、豆乳を用いてアルドース還元酵素の活性阻害作用を検討したところ、豆乳の反応溶液における濃度が300μg/mLで、アルドース還元酵素の活性阻害率が7.2%であった。したがって、大豆発酵産物は、豆乳と比較して優れたアルドース還元酵素の活性阻害作用を示すことが明らかとなった。
【0063】
<タンパク質の非酵素的糖化抑制作用の検討>
得られた4つの分画及びL6-50%エタノール抽出液を用いてタンパク質の非酵素的糖化抑制作用を検討した。本例では、BSA(ウシ血清アルブミン 和光純薬社製 013-07492)の非酵素的糖化に対する阻害作用について検討した。
【0064】
具体的には、BSA50 mg/mL、リン酸緩衝液(SIGMA社製 D-1408)、0.5M-D(−)リボース(SIGMA社製 R7500)及びリン酸緩衝溶液を等量混和し、I〜IV画分および、L6-50%エタノール抽出物のいずれかを含む反応溶液に混合した。混合後に、直ちにFluoroskan Ascent FL (Labsystems社製)を用いて、励起波長370nm、測定波長440nmにて蛍光測定し、0時間反応液の値とした。
【0065】
非酵素的糖化反応は、40℃、モイストチャンバー内にて一晩以上インキュベートすることにより生成する蛍光物質を励起波長370nm、測定波長440nmにて蛍光強度を測定し、試料反応液の値とした。なお、コントロールとしてはIII画分、IV画分およびL6-50%エタノール抽出物に代えてDMSOを添加したものを、陽性コントロールとしてはIII画分、IV画分およびL6-50%エタノール抽出物に代えてケルセチンを用いたものを使用した。なお、検体は終濃度660μMとなるようにDMSOに溶解し、調整した。活性の測定は下記式により阻害率を算出した。
阻害率 (%)=(1−(試料反応液-0時間反応液))/((Control-Blank))×100
式中、Blankは0時間反応の試料溶解溶液(DMSO)の蛍光値であり、インキュベート後の試料溶解溶液(DMSO)の蛍光値ある。
【0066】
結果を図2に示す。なお、図2において、縦軸はコントロールの蛍光強度を基準とした阻害率を示している。図2からわかるように、III画分、IV画分およびL6-50%エタノール抽出物を用いた場合、BSAに対する非酵素的糖化を抑制している。これに対して、豆乳を用いた場合にはBSAに対する非酵素的糖化を抑制しているとは言えない。このことから、大豆醗酵産物は、タンパク質の非酵素的糖化を抑制することが明らかとなった。
【0067】
<アンジオテンシン変換酵素阻害作用の検討>
得られたL6-50%エタノール抽出液を用いてアンジオテンシン変換酵素に対する活性阻害作用を検討した。本例では、アンジオテンシン変換酵素として、ウサギ肺由来のアンジオテンシン変換酵素(SIGMA社製、A6778)を用い、FAPGG(SIGMA社製、F7131)を基質とした酵素反応により当該アンジオテンシン変換酵素のCドメインの活性に対する活性阻害作用を検討し、AcSDAcKP(アコード社製合成受託)を基質とした酵素反応により当該アンジオテンシン変換酵素のNドメインの活性に対する活性阻害作用を検討した。
【0068】
I.アンジオテンシン変換酵素のCドメインの活性
具体的に、所定の濃度のL6-50%エタノール抽出液、1mMのFAPGG及び0.25Unitのウサギ肺由来のアンジオテンシン変換酵素を、10nMのZnSO4と0.5MのNaClを含む100mMのトリス-マレイン酸塩緩衝液(pH8.3)中で37℃で20分間インキュベーションした。インキュベーション後、FAPGGに起因する328nmの吸光度を測定し、吸光度の減少をCドメインに基づく活性として評価した。
【0069】
L6-50%エタノール抽出液の濃度を変えて、ウサギ肺由来のアンジオテンシン変換酵素のCドメインに基づく活性を評価した結果を図3に示す。図3において、縦軸はCドメインの阻害率を、横軸はL6-50%エタノール抽出物の濃度を示している。活性の測定は下記式により阻害率を算出した。
阻害率 (%)=(1−(試料の吸光度減少))/((Control吸光度減少))×100
式中、試料の吸光度減少は37℃、20分間328nmの吸光度の減少率であり、Control吸光度減少は、37℃、20分間328nmの試料溶解溶液(DMSO)の吸光度の減少率である。
【0070】
図3から判るように、L6-50%エタノール抽出物は、ウサギ肺由来アンジオテンシン変換酵素のCドメインに基づく活性を阻害することが判った。このことから、大豆発酵産物は、アンジオテンシン変換酵素のCドメインに基づく活性を阻害することが明らかとなった。これに対して、L6-50%エタノール抽出液の代わりに同用量の豆乳を用いた場合には阻害率が5%程度であり、豆乳にはアンジオテンシン変換酵素のCドメインに基づく活性を阻害する作用が認められなかった。
【0071】
II.アンジオテンシン変換酵素のNドメインの活性
所定の濃度のL6-50%エタノール抽出物、2mMのAcSDAcKP及び0.25Unitのウサギ肺由来のアンジオテンシン変換酵素を、0.05MのNaCl及び10nMのZnSO4を含む100mMのトリス-マレイン酸塩緩衝液(pH 7.5、全量200μL)中で 37℃で1時間インキュベーションした。次いで、50μLの5%トリフルオロ酢酸(TFA)を加えることで反応を停止した。
【0072】
反応停止後、5μm CapcellPak C18 column (資生堂HPLC機器社製のカラム:CapcellPak C18, 1.5 mm i.d.×250 mm)を用いた逆相HPLCで、AcKPとAcSDAcKPとを分離し、定量した。逆相HPLCは、0.1%のTFA中のCH3CN濃度を10分間で1%〜25%に上昇させ、その後、5分間で50%まで上昇させる濃度勾配とし、展開液の流速を200μL/min(200nm)とし、200nmの吸光度にて検出した。酵素反応により生成されるAcKPの保持時間は8.5分であり、AcSDAcKPの保持時間は12分であった。活性の測定をピーク面積法により測定し、下記式により阻害率を算出した。
阻害率 (%)=(1−(サンプル添加時のAcKP量))/(Control AcKP量)×100
式中、サンプル添加時のAcKP量は、試料添加し37℃、60分間インキュベートした後のAcKPのピーク面積であり、Control AcKP量は、試料溶解溶液(DMSO)添加し37℃、60分間インキュベートした後のAcKPのピーク面積である。
【0073】
L6-50%エタノール抽出物の濃度を変えて、ウサギ肺由来アンジオテンシン変換酵素のNドメインの活性を評価した結果を図4に示す。なお、図4において、縦軸はNドメインの阻害率を、横軸はL6-50%エタノール抽出物の濃度を示している。図4から判るように、L6-50%エタノール抽出物は、ウサギ肺由来アンジオテンシン変換酵素のNドメインに基づく活性に対しては影響を及ぼさないことが判った。
したがって、大豆発酵産物は、アンジオテンシン変換酵素のNドメインよりもCドメインに基づく活性を阻害する作用を有することが判った。
【0074】
実施例2
本実施例では、実施例1で得られた培養液、III分画及びIV分画に含まれるイソフラボノイド類(ゲニステイン、ゲニスチン、ダイゼイン及びダイジン)を定量し、豆乳に含まれるイソフラボノイド量と比較した。イソフラボノイド類の定量はHPLCを用いて行った。
【0075】
HPLCは、0.1%のTFA中のCH3CN濃度を30分間で10%〜90%に上昇させる濃度勾配とし、展開液の流速を1000μL/min(200nm)とし、262nmの吸光度にて検出した。定量は、ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン及びゲニスチンの標準品を用いた絶対検量線法による検量線を作成し、これら検量線に基づいて算出した。ダイゼインの検量線は、y=6465.2x(R2=0.9996)で与えられる。ゲニステインの検量線は、y=9135.8x(R2=1)で与えられる。ダイジンの検量線は、y=9683.2x(R2=0.9998)で与えられる。ゲニスチンの検量線は、y=8831.3x(R2=0.9998)で与えられる。なお、上記式中R2は相関係数である。なお、ダイゼインの保持時間は21.6分であり、ゲニステインの保持時間は24.6分であり、ダイジンの保持時間は15.6分であり、ゲニスチンの保持時間は18.5分である。
結果を表1及び図5に示す。
【0076】
【表1】
【0077】
表1及び図5から判るように、イソフラボノイド類は、発酵前(豆乳)及び発酵後(培養液、III分画及びIV分画)との間で異なる組成で存在している。特に、発酵後においては、アグリコン(ゲニステイン及びダイゼイン)の含有量が配糖体(ゲニスチン及びダイジン)の含有量と比較して顕著に増加していることが判る。
【0078】
アグリコンは、配糖体と比較して消化管等における吸収速度や、エストロゲン作用に優れていることが知られている。このことからも、大豆発酵産物は、実施例1で示したアルドース還元酵素の活性阻害作用、タンパク質の非酵素的糖化抑制作用及びアンジオテンシン変換酵素の活性阻害作用を、体内において効果的に発揮することが考えられる。したがって、大豆発酵産物は、糖尿病合併症を予防する作用を有することが明らかとなった。
【0079】
実施例3
本例では、大豆発酵産物に含まれるイソフラボノイド類、3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オール(本例において「化合物5」と呼ぶ)及び1-メチル-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-β-カルボリン-3-カルボン酸(本例において「化合物6」と呼ぶ)について、実施例1と同様にして、アルドース還元酵素の活性阻害作用、タンパク質の非酵素的糖化抑制作用及びアンジオテンシン変換酵素の活性阻害作用を検討した。
【0080】
アルドース還元酵素の活性阻害作用について、実施例1と同様に検討した結果を図6及び7に示す。なお、図6は、イソフラボノイド類、すなわち、ダイゼイン、ゲニステイン、ビオカニンA、ダイジン及びゲニスチンにおけるアルドース還元酵素の活性阻害率を示している。図7は、化合物5及び化合物6並びに対照として用いたてケルセチン(フラボノイド類)におけるアルドース還元酵素の活性阻害率を示している。
【0081】
図6及び7に示すように、大豆発酵産物に含まれるイソフラボノイド類、化合物5及び化合物6は、アルドース還元酵素の活性阻害作用を有することが明らかとなった。特に、アグリコンであるダイゼイン、ゲニステイン及びビオカニンAは、優れたアルドース還元酵素の活性阻害作用を示すことが明らかとなった。
【0082】
また、タンパク質の非酵素的糖化抑制作用について、実施例1と同様に検討した結果を図8及び9に示す。なお、図8は、イソフラボノイド類、すなわち、ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン及びゲニスチンにおけるタンパク質の非酵素的糖化抑制作用を示している。図9は、化合物5及び化合物6におけるタンパク質の非酵素的糖化抑制作用を示している。
【0083】
図8及び9に示すように、大豆発酵産物に含まれるイソフラボノイド類、化合物5及び化合物6は、タンパク質の非酵素的糖化抑制作用を有することが明らかとなった。特に、アグリコンであるダイゼイン及びゲニステインは、優れたタンパク質の非酵素的糖化抑制作用を示すことが明らかとなった。
【0084】
さらに、アンジオテンシン変換酵素の活性阻害作用について、実施例1と同様に検討した。アンジオテンシン変換酵素のCドメインに対する活性阻害作用を検討した結果を図10に示す。図10に示すように、大豆発酵産物に含まれるイソフラボノイド類は、アンジオテンシン変換酵素のCドメインに対する活性阻害作用を有することが明らかとなった。特に、ビオカニンAは、優れたオテンシン変換酵素のCドメインに対する活性阻害作用を有することが明らかとなった。
【0085】
アンジオテンシン変換酵素のNドメインに対する活性阻害作用を検討した結果を図11に示す。図11に示すように、大豆発酵産物に含まれるダイゼインは、アンジオテンシン変換酵素のNドメインに対する阻害活性を有することが明らかとなった。
【0086】
以上、図6〜11に示した結果から、大豆発酵産物に含まれるイソフラボノイド、化合物5及び化合物6は、糖尿病合併症の予防に効果を示すことが示唆された。すなわち、大豆発酵産物にも糖尿病合併症の予防に効果を示すことが示唆された。特に、大豆発酵産物に比較的多量に含まれるイソフラボンアグリコンは、糖尿病合併症の予防に特に効果的であることが示唆された。言い換えると、大豆発酵産物は、実施例2で示したようにイソフラボンアグリコンを比較的多量に含むため、糖尿病合併症の予防に特に効果的であることが示唆された。
【0087】
実施例4
本例では、大豆発酵産物に含まれるイソフラボノイド類をモデル動物に投与し、降圧作用について検討した。モデル動物としては、日本チャールズリバー株式会社より購入した雄性の実験的高血圧モデル動物(以下、「雄性SHR」と呼ぶ)を用いた。雄性SHRは、ステンレスケージ内で1〜2週間個別に予備飼育した後、本実験に用いた。なお、予備飼育は、固形飼料(オリエンタル酵母工業株式会社製、CMF)を用い、水道水を自由に摂取させた。
【0088】
先ず、予備飼育後、体重薬200gの雄性SHR(10〜12週齢)の体重と血圧を測定し、各群の体重及び血圧の平均値がほぼ均一になるように、1群3匹に群分けした。投与物質としては、カプトプリル(陽性対照、SIGMA社製、C4042)、生理食塩水(陰性対照)、ダイゼイン、ダイジン、ゲニステイン、ゲニスチン及びビオカニンAを用いた。なお、カプトプリルは1.0mg/kg体重となるように投与した。ダイゼイン、ダイジン、ゲニステイン、ゲニスチン及びビオカニンAは、15mg/kg体重となるように投与した。上記投与物質は全て経口投与とし、それぞれ3群に1回投与した。
【0089】
投与前、投与2時間後及び投与5時間後の収縮期血圧を測定した。収縮期血圧の測定は、雄性SHRの尾部で測定した。結果を図12に示す。図12に示すように、大豆発酵産物に含まれるフラボノイドのうちで、ダイゼイン及びビオカニンAは、雄性SHRの血圧を降下させる作用を有することが明らかとなった。この結果より、ダイゼイン及びビオカニンAを含む大豆発酵産物は、雄性SHRに対する血圧降下作用を有するものであり、糖尿病合併症に対する予防作用を示すことが判る。
【0090】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、アルドース還元酵素阻害作用、タンパク質非酵素的糖化抑制作用及びアンジオテンシン変換酵素阻害作用を有し、糖尿病合併症を効果的に予防できる組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 I〜IV分画及びL6-50%エタノール抽出液について濃度とアルドース還元酵素の活性阻害率との関係を示す特性図である。
【図2】豆乳、III分画、IV分画、L6-50%エタノール抽出液及びケルセチンについて、タンパク質の非酵素的糖化作用の阻害率を示す特性図である。
【図3】 L6-50%エタノール抽出液について、濃度とアンジオテンシン変換酵素のCドメイン活性に対する阻害率との関係を示す特性図である。
【図4】 L6-50%エタノール抽出液について、濃度とアンジオテンシン変換酵素のNドメイン活性に対する阻害率との関係を示す特性図である。
【図5】豆乳、培養物、及び、III分画及びIV分画の混合に含まれるイソフラボノイドを定量した結果を示す特性図である。
【図6】ダイゼイン、ゲニステイン、ビオカニンA、ダイジン及びゲニスチンについて、濃度とアルドース還元酵素の活性阻害率との関係を示す特性図である。
【図7】化合物5、化合物6及びケルセチンについて、濃度とアルドース還元酵素の活性阻害率との関係を示す特性図である。
【図8】ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン及びゲニスチンについて、濃度とタンパク質の非酵素的糖化阻害率との関係を示す特性図である。
【図9】化合物5及び化合物6について、濃度とタンパク質の非酵素的糖化阻害率との関係を示す特性図である。
【図10】ビオカニンA、ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン及びゲニスチンについて、濃度とアンジオテンシン変換酵素のCドメイン活性阻害率との関係を示す特性図である。
【図11】ビオカニンA、ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン及びゲニスチンについて、濃度とアンジオテンシン変換酵素のNドメイン活性阻害率との関係を示す特性図である。
【図12】ビオカニンA、ダイゼイン、ゲニステイン、ダイジン及びゲニスチンについて、投与後時間と雄性SHRの収縮血圧変化との関係を示す特性図である。
Claims (6)
- 大豆をラクトバチルス属、ラクトコッカス属及びサッカロマイセス属の混合微生物により発酵させた大豆発酵産物から分離した水溶性画分をカラムクロマトグラフィーに供し、水、20%メタノール、40%メタノール、70%メタノール、100%メタノールにて順次溶出させて得られた5フラクションに分画したうちの、70%メタノール画分又は100%メタノール画分からなるアルドース還元酵素阻害用組成物。
- 上記70%メタノール画分は3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オールを含むことを特徴とする請求項1記載のアルドース還元酵素阻害用組成物。
- 大豆をラクトバチルス属、ラクトコッカス属及びサッカロマイセス属の混合微生物により発酵させた大豆発酵産物から分離した水溶性画分をカラムクロマトグラフィーに供し、水、20%メタノール、40%メタノール、70%メタノール、100%メタノールにて順次溶出させて得られた5フラクションに分画したうちの、70%メタノール画分又は100%メタノール画分からなるタンパク質非酵素的糖化抑制用組成物。
- 上記70%メタノール画分は3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オールを含むことを特徴とする請求項3記載のタンパク質非酵素的糖化抑制用組成物。
- 大豆をラクトバチルス属、ラクトコッカス属及びサッカロマイセス属の混合微生物により発酵させた大豆発酵産物から分離した水溶性画分をカラムクロマトグラフィーに供し、水、20%メタノール、40%メタノール、70%メタノール、100%メタノールにて順次溶出させて得られた5フラクションに分画したうちの、70%メタノール画分又は100%メタノール画分からなるアンジオテンシン変換酵素阻害用組成物。
- 上記70%メタノール画分は3-O-[α-L-アラビノピラノシル-(1→6)-β-D-グルコピラノシル]オクト-1-エン-3-オールを含むことを特徴とする請求項5記載のアンジオテンシン変換酵素阻害用組成物。
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