JP5940872B2 - 抗糖尿病組成物及び飲食品 - Google Patents
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Description
糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、血管障害が生じ、神経障害、網膜症、白内障、腎障害、壊疽等の重篤な合併症が引き起こされる。
前記II型糖尿病を引き起こす原因は、過栄養、運動不足、ストレス過剰、高脂肪食過剰摂取等の生活習慣に基づく肥満と考えられている。この肥満により、血糖や血圧、血中のコレステロールの量を調節するインスリンに対する感受性が低下し、インスリン抵抗性II型糖尿病が発症する。
したがって、前記消化酵素を阻害することにより、グルコースの生成を抑制することで、摂取された糖類は吸収されることなく体外へ排出される。これにより、炭水化物摂取による急激な血糖値上昇は抑制され、特に糖尿病患者での高血糖値の維持状態は緩和されると考えられる。
これに対し、脂肪細胞から産生されるアディポネクチンは、TNF−αに拮抗的な作用を示し、インスリンに対する感受性を増強させることが知られている(非特許文献2参照)。
成熟脂肪細胞は、脂肪を細胞内へ取り込む細胞であるが、その蓄積量が増えると脂肪細胞は次第に肥大化し肥大脂肪細胞となる。成熟脂肪細胞が肥大脂肪細胞になると、TNF−αの分泌は上昇し、一方、アディポネクチンの分泌は低下する。即ち、高脂肪食による肥満などの環境因子により肥大脂肪細胞の増加と共にインスリン抵抗性が惹起される。
したがって、前駆脂肪細胞からアディポネクチンを産生する成熟脂肪細胞への分化を誘導し、更にマクロファージや肥大肥満細胞からのTNF−α産生を抑制することにより、インスリンに対する感受性を高め、II型糖尿病の予防、改善、又は治療が可能となる。
糖尿病治療薬として開発されたDPP−IV阻害剤は、臨床において優れた成績を上げており、新しい作用機序を持つ薬剤として、現在最も注目されている医薬品の1つである。
更に、DPP−IV阻害剤は、飽満に導く作用も有しており、食欲を調整する、肥満症の治療薬としても開発されている(非特許文献5参照)。即ち、DPP−IV阻害剤は、肥満によって誘導されるII型糖尿病治療において有用な薬剤であると思われる。
したがって、AGE阻害組成物は、II型糖尿病治療において有用であると思われる。
<1> 少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させた発酵物をプロテアーゼで処理してなる大豆米糠発酵組成物を含有することを特徴とする抗糖尿病組成物である。
<2> 発酵物が、納豆菌、テンペ菌、乳酸菌、及び酵母菌の少なくともいずれかを用いて発酵された前記<1>に記載の抗糖尿病組成物である。
<3> プロテアーゼが中性プロテアーゼであり、pH4.5〜8.0で発酵物を処理してなる前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗糖尿病組成物である。
<4> 大豆米糠発酵組成物が、更に熱水及びエタノールのいずれかで抽出されてなる前記<1>から<3>のいずれかに記載の抗糖尿病組成物である。
<5> 少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させた発酵物をプロテアーゼで処理してなる大豆米糠発酵組成物を含有し、脂肪細胞分化誘導作用、アディポネクチン産生誘導作用、腫瘍壊死因子−α産生抑制作用、消化酵素阻害作用、血糖値上昇阻害作用、ジペプチジルペプチダーゼ−IV酵素活性阻害作用、及び終末糖化産物群生成抑制作用の少なくともいずれかを有することを特徴とする組成物である。
<6> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の抗糖尿病組成物を含有することを特徴とする飲食品である。
<7> 前記<5>に記載の組成物を含有することを特徴とする飲食品である。
本発明の抗糖尿病組成物は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させた発酵物をプロテアーゼで処理してなる大豆米糠発酵組成物を含み、必要に応じてその他の成分を含む。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カテキン、アントシアニン、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、イソフラボン、タンニン、クロロゲン酸、エラグ酸、クルクミン、リグナン、サポニン、食物繊維、ビタミン類などが挙げられる。
前記大豆米糠発酵組成物は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させた発酵物をプロテアーゼで処理してなる組成物を含む。前記発酵物は、必要に応じて更にその他の成分を前記大豆蛋白質及び前記米糠と共に発酵させた発酵物でもよく、その他の成分を前記大豆蛋白質及び前記米糠とは別に発酵させた発酵物を更に含んでいてもよい。
前記大豆蛋白質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離大豆蛋白質、濃縮大豆蛋白質、脱脂豆乳、脱脂大豆などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記大豆蛋白質としては、適宜調製したものを用いても、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ニューフジプロSE、ニューフジプロ1700、フジプロE(以上、粉末状大豆蛋白質、不二製油株式会社製)、ニューフジニックP50、アペックス600(以上、粒状大豆蛋白質、不二製油株式会社製)などが挙げられる。
前記大豆固形画分の組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾物における含有量が、粗蛋白質20質量%〜30質量%、粗脂肪10質量%〜15質量%、可溶無窒素物25質量%〜35質量%、粗繊維10質量%〜20質量%であることが好ましく、前記固形画分における水分含有量が、75質量%〜80質量%であることが好ましい。
前記米糠としては、米糠、脱脂米糠、米胚芽、及び脱脂米胚芽の少なくともいずれかを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、玄米を白米に精米する過程で除去される米の果皮、種皮、糊粉層、胚芽等を含む通常の米糠をそのまま用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記米糠としては、適宜調製したものを用いても、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、オリザジャーム−DLP、オリザジャーム−DLS、オリザドリム、脱脂コメヌカ(以上、脱脂米糠、オリザ油化株式会社製)、脱脂糠(築野食品工業株式会社製)などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶カテキン、アントシアニン、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、イソフラボン、タンニン、クロロゲン酸、エラグ酸、クルクミン、リグナン、サポニンなどが挙げられる。前記茶カテキンの原料である茶の種類、抽出方法などとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有効成分であるポリフェノールを多く含むことが好ましい。前記茶カテキンにおける具体的な総ポリフェノール含量としては、60質量%以上が好ましい。
なお、前記菌としては、安全性が保証されている限り、自然的に、又は人為的な変異手段により生成し、菌学的性質が変異した変異株も用いることができる。
前記振とうの条件としては、特に制限はなく、よく攪拌されていればよい。
本発明で用いられる大豆米糠発酵組成物は、前記発酵物をプロテアーゼで処理してなる。前記プロテアーゼは、ペプチド結合加水分解酵素の総称であり、蛋白質分解酵素ともいう。本明細書においては、前記プロテアーゼによる処理を「プロテアーゼ消化」又は「蛋白質分解」とも呼ぶ。この処理は、前記発酵物に由来する蛋白質又はペプチドの分解を目的としたものである。
前記プロテアーゼの具体例としては、金属プロテアーゼ(サーモライシン等)、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、トロンビン、プラスミン、エラスターゼ、ズブチリシン等)、チオールプロテアーゼ(パパイン、フィシン、ブロメライン、カテプシンB等)、アスパラギン酸プロテアーゼ(ペプシン、キモシン、カテプシンD等)、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酵素処理効率が高く、高い機能性を持った生成物が得られる点で、セリンプロテアーゼ及びアミノペプチダーゼを含むものが好ましい。
なお、これらのプロテアーゼは、精製されていても、或いは精製されていなくてもよく、また、それらの起源は、微生物由来、植物由来及び動物由来のいずれであってもよい。
pHの調整は、pH調整用の塩酸又は水酸化ナトリウムを使用してもよいし、pH調整用バッファーを使用してもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脱脂米糠、米胚芽、茶カテキンなどが挙げられる。
これらの種類、含有量、及び好ましい範囲などは、前述したのと同様である。
濃縮後の前記大豆米糠発酵組成物のBrix値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜12が好ましい。
本発明の飲食品は、本発明の抗糖尿病組成物を含有してなり、必要に応じてその他の成分を含有してなる。本発明の飲食品としては、例えば、本発明の抗糖尿病組成物をそのまま、或いはペレット、粉末、顆粒などの形態として使用してもよく、食品添加物、調味料、ふりかけとして使用してもよい。また、本発明の抗糖尿病組成物を食材中に含有せしめて使用してもよい。これにより、機能性食品或いは健康食品を得ることができる。
<<工程1:大豆固形画分発酵物(FSB−01)の調製>>
大豆を水で洗浄し、水に17時間浸漬して十分に吸水させた。大豆が吸水して十分に柔らかくなったことを確認し、豆挽機を用いて水とともに大豆を摩砕した。摩砕された大豆をタンクに移し、均一になるように攪拌した。その後、摩砕大豆懸濁液をよく撹拌しながら20分間、100℃で加熱した。加熱後、絞り器を用いて摩砕大豆懸濁液から液相を除去し、固相(大豆固形画分)を回収した。得られた大豆固形画分100kgを適度に加温し、十分に攪拌した後に、納豆菌(成瀬醗酵化学研究所から入手)0.6L(菌数1.0×1010個)を均一に添加した。納豆菌接種後の大豆固形画分をステンレス容器若しくはポリエチレン袋に移し、通気性を確保した状態で、40℃の恒温培養器若しくは恒温室内で18時間発酵を行った。得られた大豆固形画分発酵物(FSB−01)は、使用時まで冷凍保管した。
原料として、大豆蛋白質(ニューフジプロSE、不二製油株式会社製)、脱脂米糠及び米胚芽(以上、オリザ油化株式会社製)を用いた。ステンレス製のタンクに水3,000Lを入れ、続いて大豆蛋白質200kg、脱脂米糠50kg、米胚芽50kgを投入した。その後、90℃になるまで加温し、昇温後1時間攪拌した。攪拌終了後、42℃まで冷却し、得られた大豆米糠液、工程1で用いたものと同じ納豆菌を1L(菌数1.0×1011個)添加した。納豆菌接種後、42℃で28時間撹拌し、大豆米糠発酵液を得た。
前記工程2で得られた大豆米糠発酵液に、前記工程1で得られたFSB−01 200kg、脱脂米糠50kg、米胚芽50kg、及び茶カテキン260gを投入した。
これを3時間攪拌しながら混合した後、50℃になるまで加温した。昇温後、Aspergillus oryzae由来中性プロテアーゼ(デナチームAP、ナガセケムテックス株式会社製)を10kg投入し、50℃で15時間撹拌してプロテアーゼ消化を行った。
その後、90℃で10分間加熱することによりプロテアーゼを失活させた。
前記工程3で得られた大豆米糠発酵組成物を2時間攪拌し、熱水抽出を行った。抽出後、遠心分離機を用いて固液分離を行った。液相のみを回収し、クエン酸ナトリウムを用いてpHを3.8に調整した。pH調整後、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃で12時間静置させた。
その後、フィルタープレス及び0.5μmラインフィルターを組み合わせて濾過を行い、澄明な溶液を回収した。得られた澄明液を製造例1の大豆米糠発酵組成物とした。
以上のようにして得られた大豆米糠発酵組成物を用いて、以下の実施例1〜9を行った。
前駆脂肪細胞(3T3−L1:ヒューマンサイエンス研究資源バンクから入手可能)を96ウェルのマイクロプレートに3×104個/ウェルで播種し、37℃、5体積% CO2インキュベーターで24時間培養した。細胞がコンフルエントになったのを確認後、更に2日間インキュベーションした。培地を除去し、分化誘導培地I(DMEM培地:10μg/mLインスリン、10%牛胎児血清、4.5g/Lグルコース)90μLに置換し、大豆米糠発酵組成物を10μL添加した。2日毎に各被験物質を含む分化誘導培地Iに培地交換しながら8日間培養した。
細胞をPBS(リン酸緩衝液)で2回洗浄した後、10%ホルマリンを加え、室温で10分間処理した。細胞をPBSで2回洗浄した後、オイルレッドO染色液(SIGMA社製)を加え、室温で20分間染色した。60体積%イソプロパノールで1回洗浄し、その後、PBSで2回洗浄し、顕微鏡下、細胞内脂肪滴の蓄積を観察して細胞内脂肪滴が認められる細胞を分化成熟した脂肪細胞と見なし、写真を撮影した。結果を図1に示す。
対照として、分化誘導を行わなかった(基本培地のみで培養した)無処置のもの(無処置群)、大豆米糠発酵組成物の代わりに純水を添加した対照(対照群)、大豆米糠発酵組成物の代わりにトリグリタゾン(TGZ)を添加した陽性対照(陽性対照(TGZ)群)も同様の試験を行った。なお、前記大豆米糠発酵エキスは、発酵抽出液を純水で128倍に希釈し、陽性対照として用いたTGZは、3μMの濃度に調整して細胞に添加した。
実施例1において、希釈倍率128倍、64倍、32倍、16倍、8倍又は4倍の大豆米糠発酵組成物を加えて培養した3T3−L1細胞の培養終了時に各ウェルの培養上清を回収し、含まれるアディポネクチン量をアディポネクチン測定キット(マウス・アディポネクチンELISAキット;CycLex社製)を用いて定量した。結果を図2に示す。
なお、対照として、前記大豆米糠発酵組成物の代わりに純水を添加した対照、並びに前記大豆米糠発酵組成物の代わりに3μM又は10μMのTGZを添加した陽性対照も同様の試験を行った。
Raw264細胞(理化学研究所バイオリソースセンターから入手)を24ウェルのマイクロプレートに5×105個/ウェルで播種し、希釈倍率16倍、8倍、4倍、2倍又は1倍の大豆米糠発酵組成物を1/10量の容量で加えて、37℃、5体積% CO2インキュベーターで2時間培養した。LPS(Lipopolysaccharide;SIGMA社製)を0.01μg/mLの濃度で加え、更に18時間〜22時間培養した。培養後、各ウェルの培養上清を回収し、含まれるTNF−α量をTNF−α測定キット(レビスTNFα−マウス;株式会社シバヤギ製)を用いて定量した。培養終了時にトリパンブルー(和光純薬工業株式会社製)染色により細胞のバイアビリティを確認し、細胞毒性が認められない濃度での評価を行った。結果を図3に示す。
なお、対照として、前記大豆米糠発酵組成物の代わりに純水を添加した対照(LPS刺激+)、及びLPSを添加しなかった対照(LPS刺激−)も同様に評価した。
前記Raw264細胞を5×105個/mLに調整し、希釈倍率128倍、64倍、32倍、又は16倍の大豆米糠発酵組成物を加え、37℃、5体積% CO2インキュベーターで2時間処理した。実施例1と同様に96ウェルのマイクロプレート培養して分化させた3T3−L1細胞の各ウェルに大豆米糠発酵組成物で処理したRaw264細胞を5×104個/ウェルで重層し、48時間培養した。培養後、各ウェルの培養上清を回収し、含まれるアディポネクチン量をアディポネクチン測定キット(マウス・アディポネクチンELISAキット;株式会社サイクレックス製)を用いて定量した。測定値は、3T3−L1単独の培養上清の値を100%とし、それに対する%を縦軸に示した。結果を図4に示す。
なお、対照として、前記大豆米糠発酵組成物の代わりに純水を添加した対照(Raw264+)、及びRaw264を重層しなかった対照(Raw264−)も同様に評価した
7U/mLのα−アミラーゼ溶液(和光純薬工業株式会社製)50μLに希釈倍率320倍、160倍、80倍、40倍、20倍、又は10倍の大豆米糠発酵組成物20μLを加え5分間処理した後、4質量%デンプン溶液50μLを加えた。7.5分間反応させた後、0.01Nのヨウ素液50μL、及び蒸留水150μLを加え、波長450nmで吸光度を測定した。大豆米糠発酵組成物の代わりに同量の純水を使ったものを対照とし、阻害率は下記式により算出した。結果を図5に示す。
α−アミラーゼ阻害率(%)={(対照吸光度−検体吸光度)/対照吸光度}×100
0.07U/mLのα−グルコシダーゼ溶液(SIGMA社製)50μLに希釈倍率8倍、4倍、又は2倍の大豆米糠発酵組成物10μLを加え、5分間処理した後、p−nitrophenyl−α−D−glucopyranoside(ナカライテスク株式会社製)の5mM溶液50μLを加えた。5分間反応させた後、波長405nmで吸光度を測定した。大豆米糠発酵組成物の代わりに同量の純水を使ったものを対照とし、阻害率は下記式により算出した。結果を図6に示す。
α−グルコシダーゼ阻害率(%)={(対照吸光度−検体吸光度)/対照吸光度}×100
予備飼育した7週齢の雄性ICRマウス(日本エスエルシー株式会社から入手)を、20時間絶食させた後、蒸留水に懸濁した大豆米糠発酵組成物100mg/kg又は300mg/kgとデンプンとを胃ゾンデを用いて強制的に経口投与した。対照群には蒸留水を同様に投与した。デンプンは、2g/kgで経口投与し、投与30分間、60分間、120分間後に非麻酔下尾静脈より採血し、直接血糖測定器(エキストラ、アボットジャパン株式会社製)を用いて血中グルコース濃度を測定した。得られた値は、平均値±標準偏差で表記した。対照群と被験物質投与群間における統計学的な差の検定は、Dunnetの多重比較検定法を用いて行った。検定での有意水準は5%未満とし、図中には、**:1%未満、*:5%未満で表示した。結果を図7に示す。
製造例で得られた大豆米糠発酵組成物について、希釈倍率32倍、16倍、8倍、4倍、2倍、又は1倍のDPP−IV阻害活性をDPP−IV阻害活性測定キット(DPP−IV Inhibitor Screening Assay Kit:Cayman Chemical社製)を用いて付属のプロトコルに準じて測定した。対照には、同量の純水を用い、DPP−IV阻害率は、下記式により算出した。結果を図8に示す。
DPP−IV阻害率(%)={(対照吸光度−検体吸光度)/対照吸光度}×100
製造例で得られた大豆米糠発酵組成物について、希釈倍率4倍、2倍、又は1倍のAGE生成阻害率を以下の方法により測定した。
10%グリシン(和光純薬工業株式会社製)450μL、10%グルコース(和光純薬工業株式会社製)450μL及び被験物質100μLを混合して60℃で反応させた。24時間反応させた後、波長450nmで吸光度を測定した。対照には同量の純水を用い、AGE生成阻害率は次の式により算出した。結果を図9に示す。
AGE生成阻害率(%)={(対照吸光度−検体吸光度)/対照吸光度}×100
(1)製造例1の工程3で得られた大豆米糠発酵組成物、及び(2)製造例1の工程5で得られた大豆米糠発酵組成物をそれぞれ検体として、α−アミラーゼ阻害活性の測定を行った。これと同時に、比較対照として、製造例1の工程2における、(3)納豆菌を接種する前の大豆米糠液(無処理)、(4)製造例1の工程2で得られた大豆米糠発酵液(発酵のみ)、及び(5)製造例1の工程2で発酵処理を行わず、工程3のプロテアーゼ処理のみを行って得られた組成物(プロテアーゼ処理のみ)をそれぞれ検体として、α−アミラーゼ阻害活性の測定を行った。
7U/mLのα−アミラーゼ溶液(和光純薬工業株式会社製)50μLに各検体20μLを加えて5分間処理した後、4%デンプン溶液50μLを加えた。7.5分間反応させた後、0.01Nのヨウ素液50μL、及び蒸留水150μLを加え、波長450nmで吸光度を測定した。大豆米糠発酵組成物の代わりに同量の純水を使ったものを対照とし、阻害率は下記式により算出した。結果を図10に示す。
α−アミラーゼ阻害率(%)={(対照吸光度−検体吸光度)/対照吸光度}×100
Claims (5)
- 少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させた発酵物をプロテアーゼで処理してなる大豆米糠発酵組成物を含有することを特徴とする抗糖尿病組成物。
- 発酵物が、納豆菌、テンペ菌、乳酸菌、及び酵母菌の少なくともいずれかを用いて発酵された請求項1に記載の抗糖尿病組成物。
- プロテアーゼが中性プロテアーゼであり、pH4.5〜8.0で発酵物を処理してなる請求項1から2のいずれかに記載の抗糖尿病組成物。
- 大豆米糠発酵組成物が、更に熱水及びエタノールのいずれかで抽出されてなる請求項1から3のいずれかに記載の抗糖尿病組成物。
- 請求項1から4のいずれかに記載の抗糖尿病組成物を含有することを特徴とする抗糖尿病用飲食品。
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