JP2014141462A - ペプチド、並びに、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】アンジオテンシン変換酵素を阻害することにより降圧作用を発揮し、高血圧を効果的、かつ安全に治療、改善、又は予防することが可能な新規ペプチド、並びに、前記新規ペプチドを含む、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品の提供。
【解決手段】Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表されるペプチド、並びに、前記ペプチドを含む、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品である。
【選択図】なし
【解決手段】Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表されるペプチド、並びに、前記ペプチドを含む、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品である。
【選択図】なし
Description
本発明は、Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表される新規ペプチド、並びに、前記新規ペプチドを含むアンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品に関する。
高血圧は世界で最も多い病気で、日本でも約4千万人、即ち、全人口の約3分の1を占めると概算されている。高血圧は自覚症状がなく、脳出血、クモ膜下出血、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、腎硬化症等、種々の深刻な合併症を引き起こすまで放置されてしまうケースが多い。即ち、こうした重篤な合併症の発症を防ぐためには、高血圧に対しては予防医学的な健康管理が求められる。こうしたことから、日常より服用可能な降圧作用を有する機能性食品の開発が推奨されている。
高血圧の発症機序として、アンジオテンシン(Angiotensin、「アンギオテンシン」と称することもある)IIによる血管の収縮作用によることが知られている。アンジオテンシンIIはアンジオテンシン変換酵素(以下、「ACE」と称することがある)により生成される。そのため、前記ACEの活性を阻害することによりアンジオテンシンIIの生成が抑制されて高血圧は改善される。
前記ACEは、特定のペプチドにより効率よく抑制されることが知られている。最初に経口によるACE阻害剤として開発されたカプトプリルもジペプチドからデザインされた薬剤であり、現在でも高血圧症の治療に広く用いられ高い効果を上げている。しかし、医薬品として用いられているACE阻害剤は有機合成化合物であり、顕著な効果が認められるのと同時に空咳、血管浮腫などの副作用を持つことが知られている。高血圧症を予防乃至治療するためには、ACE阻害作用を有する化合物を長期間服用することが必要となるため、前記化合物としては、ACE阻害作用を有しながらも副作用が低いことが重要な要件となる。
これまでに、副作用が少ないと考えられる天然物又はその分解物から得られたペプチドを用いる試みもなされ、ACE阻害活性を有する種々のペプチドが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。そのほとんどは、食品素材タンパク質を酵素分解して得られるペプチドである。前記食品素材タンパク質として、例えば米糠、大豆タンパク質を用いて得られたペプチドが提案されている(例えば、特許文献1から11参照)。その他、前記食品素材タンパク質として、大豆の麹菌発酵物を用いて得られたペプチドが提案されている(例えば、特許文献12参照)。また、納豆由来のペプチドとしてはほとんど報告がないが、近年、Ile−Ile、Ile−Asp、Ile−Phe−Tyr、Leu−Phe−Tyr、及びLeu−Tyr−Tyrの各ペプチドが提案されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかしながら、ACE阻害作用を有し、長期間服用することができ、高血圧症の治療、改善、又は予防に有用な化合物として、十分に満足できる化合物は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く求められているのが現状である。
食品成分のはたらき 朝倉書店(ISBN:4−254−43523−1)2004
食品・臨床栄養 e2011:1−8、2011
本発明は、このような現状に鑑み、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、アンジオテンシン変換酵素を阻害することにより降圧作用を発揮し、高血圧を効果的、かつ安全に治療、改善、又は予防することが可能な新規ペプチド、並びに、前記新規ペプチドを含む、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、大豆米糠発酵組成物(以下、「OE−1」と称することがある)がACE阻害活性を有することを見出し、前記大豆米糠発酵組成物をカラムクロマトグラフィーにより活性画分を分離することによって、強いACE阻害活性を有する画分を得た。前記画分よりペプチドを単離精製し、その構造を決定し、Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表される新規ペプチドを同定し、本発明の完成に至った。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表されることを特徴とするペプチドである。
<2> 前記<1>に記載のペプチドを含むことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤である。
<3> 前記<1>に記載のペプチドを含むことを特徴とする抗高血圧剤である。
<4> 前記<1>に記載のペプチドを含むことを特徴とする飲食品である。
<1> Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表されることを特徴とするペプチドである。
<2> 前記<1>に記載のペプチドを含むことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤である。
<3> 前記<1>に記載のペプチドを含むことを特徴とする抗高血圧剤である。
<4> 前記<1>に記載のペプチドを含むことを特徴とする飲食品である。
本発明によれば、前記目的を達成することができ、アンジオテンシン変換酵素を阻害することにより降圧作用を発揮し、高血圧を効果的、かつ安全に治療、改善、又は予防することが可能な新規ペプチド、並びに、前記新規ペプチドを含む、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品を提供することができる。
(ペプチド)
本発明のペプチドは、Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表されるトリペプチドである。これらの中でも、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proが好ましい。
前記ペプチドは、塩であってもよい。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理学的に許容されるイオンとの塩が挙げられる。
前記生理学的に許容されるイオンとの塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩など無機塩基との塩、並びに、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など無機酸との塩などが挙げられる。
本発明のペプチドは、Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表されるトリペプチドである。これらの中でも、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proが好ましい。
前記ペプチドは、塩であってもよい。
前記塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生理学的に許容されるイオンとの塩が挙げられる。
前記生理学的に許容されるイオンとの塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩など無機塩基との塩、並びに、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸など無機酸との塩などが挙げられる。
前記ペプチドの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、化学合成により合成する方法、大豆米糠発酵組成物から精製する方法などが挙げられる。これらの中でも、効率良くペプチドを生産することができる点で、大豆米糠発酵組成物から精製する方法が好ましい。
前記化学合成により合成する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、Fmoc合成法などが挙げられる。
前記大豆米糠発酵組成物から精製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、以下の方法などが挙げられる。
<大豆米糠発酵組成物(OE−1)の製造>
前記大豆米糠発酵組成物の製造方法は、発酵工程と、プロテアーゼ処理工程とを少なくとも含み、必要に応じて更に抽出工程、濾過工程などのその他の工程を含む。
前記大豆米糠発酵組成物は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させてなる発酵物をプロテアーゼで処理してなる組成物を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記大豆米糠発酵組成物の製造方法は、発酵工程と、プロテアーゼ処理工程とを少なくとも含み、必要に応じて更に抽出工程、濾過工程などのその他の工程を含む。
前記大豆米糠発酵組成物は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させてなる発酵物をプロテアーゼで処理してなる組成物を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<<発酵工程>>
前記発酵工程は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させて発酵物を得る工程である。
前記発酵工程は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させて発酵物を得る工程である。
−発酵物−
前記発酵物は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させた発酵物である。前記発酵物は、必要に応じて更にその他の成分を前記大豆蛋白質及び前記米糠と共に発酵させた発酵物でもよく、その他の成分を前記大豆蛋白質及び前記米糠とは別に発酵させた発酵物を更に含んでいてもよい。
前記発酵物は、少なくとも大豆蛋白質及び米糠を発酵させた発酵物である。前記発酵物は、必要に応じて更にその他の成分を前記大豆蛋白質及び前記米糠と共に発酵させた発酵物でもよく、その他の成分を前記大豆蛋白質及び前記米糠とは別に発酵させた発酵物を更に含んでいてもよい。
−−大豆蛋白質−−
前記大豆蛋白質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離大豆蛋白質、濃縮大豆蛋白質、脱脂豆乳、脱脂大豆などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記大豆蛋白質としては、適宜調製したものを用いても、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ニューフジプロSE、ニューフジプロ1700、フジプロE(以上、粉末状大豆蛋白質、不二製油株式会社製)、ニューフジニックP50、アペックス600(以上、粒状大豆蛋白質、不二製油株式会社製)などが挙げられる。
前記大豆蛋白質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分離大豆蛋白質、濃縮大豆蛋白質、脱脂豆乳、脱脂大豆などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記大豆蛋白質としては、適宜調製したものを用いても、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、ニューフジプロSE、ニューフジプロ1700、フジプロE(以上、粉末状大豆蛋白質、不二製油株式会社製)、ニューフジニックP50、アペックス600(以上、粒状大豆蛋白質、不二製油株式会社製)などが挙げられる。
前記大豆蛋白質としては、原料として大豆又はその類縁種を用いた大豆摩砕物の固形画分を用いてもよい。前記大豆摩砕物の固形画分は、例えば、豆腐を製造する過程で副生されるオカラであり、原料となる大豆の種類、製造条件などは特に制限されない。前記固形画分としては、その製造過程において濾過されたままのものでも、それを乾燥したものでもよい。
前記大豆固形画分の組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾物における含有量が、粗蛋白質20質量%〜30質量%、粗脂肪10質量%〜15質量%、可溶無窒素物25質量%〜35質量%、粗繊維10質量%〜20質量%であることが好ましく、前記固形画分における水分含有量が、75質量%〜80質量%であることが好ましい。
前記大豆固形画分の組成としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、乾物における含有量が、粗蛋白質20質量%〜30質量%、粗脂肪10質量%〜15質量%、可溶無窒素物25質量%〜35質量%、粗繊維10質量%〜20質量%であることが好ましく、前記固形画分における水分含有量が、75質量%〜80質量%であることが好ましい。
−−米糠−−
前記米糠としては、米糠、脱脂米糠、米胚芽、及び脱脂米胚芽の少なくともいずれかを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、玄米を白米に精米する過程で除去される米の果皮、種皮、糊粉層、胚芽等を含む通常の米糠をそのまま用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記米糠としては、適宜調製したものを用いても、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、オリザジャーム−DLP、オリザジャーム−DLS、オリザドリム、脱脂コメヌカ(以上、脱脂米糠、オリザ油化株式会社製)、脱脂糠(築野食品工業株式会社製)などが挙げられる。
前記米糠としては、米糠、脱脂米糠、米胚芽、及び脱脂米胚芽の少なくともいずれかを含む限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、玄米を白米に精米する過程で除去される米の果皮、種皮、糊粉層、胚芽等を含む通常の米糠をそのまま用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記米糠としては、適宜調製したものを用いても、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、オリザジャーム−DLP、オリザジャーム−DLS、オリザドリム、脱脂コメヌカ(以上、脱脂米糠、オリザ油化株式会社製)、脱脂糠(築野食品工業株式会社製)などが挙げられる。
前記大豆蛋白質と前記米糠との質量比(大豆蛋白質/米糠)としては、特に制限はなく適宜選択することができるが、1/5〜10/1が好ましく、1/2〜5/1がより好ましい。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶カテキン、アントシアニン、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、イソフラボン、タンニン、クロロゲン酸、エラグ酸、クルクミン、リグナン、サポニン、食物繊維、ビタミン類などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、茶カテキン、アントシアニン、ルチン、ヘスペリジン、ケルセチン、イソフラボン、タンニン、クロロゲン酸、エラグ酸、クルクミン、リグナン、サポニン、食物繊維、ビタミン類などが挙げられる。
前記大豆蛋白質及び前記米糠に対する前記その他の成分の質量比(その他の成分/大豆蛋白質及び米糠)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記大豆蛋白質及び前記米糠を発酵させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、飲食品用途、菌自体の有する栄養素、発酵香などの観点から、納豆菌、テンペ菌、乳酸菌、及び酵母菌の少なくともいずれかを用いて発酵させることが好ましい。
なお、前記納豆菌、テンペ菌、乳酸菌、及び酵母菌としては、安全性が保証されている限り、自然的に、又は人為的な変異手段により生成し、菌学的性質が変異した変異株も用いることができる。
なお、前記納豆菌、テンペ菌、乳酸菌、及び酵母菌としては、安全性が保証されている限り、自然的に、又は人為的な変異手段により生成し、菌学的性質が変異した変異株も用いることができる。
前記納豆菌(Bacillus subtilis var. natto)としては、特に制限はなく、市販されている一般的な納豆菌を用いることができ、例えば、株式会社成瀬醗酵化学研究所から入手することができる。前記納豆菌は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記テンペ菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Rhizopus oligosporus、Rhizopus oryzae、Rhizopus stoloniferなどが挙げられる。これらの中でも、発酵の容易さの観点から、Rhizopus oligosporusが好ましい。なお、これらのテンペ菌は、インドネシアからの輸入品として、或いは日本の種麹業者から容易に入手することができる。前記テンペ菌は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記乳酸菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラクトバシルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバシルス・ビフィズス(Lactobacillus bifidus)、ストレプトコッカス・フェカリス(Streptococcus faecalis)、ラクトバシルス・ブルガリカス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバシルス・サンフランシスコ(Lactobacillus sanfrancisco)、ラクトバシルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ストレプトマイセス・ラクチス(Streptomyces lactis)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの乳酸菌は、いずれも公知の菌で、容易に入手することができる。
前記酵母菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、サッカロミセス属、シゾサッカロミセス属、カンジダ属、クルイベロミセス属などが挙げられる。これらの中でも、飲食品用途の観点から、サッカロミセス属の酵母が好ましく、清酒酵母、ビール酵母が特に好ましい。これらの酵母菌は、例えば、財団法人日本醸造協会から入手することができる。前記酵母菌は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記菌の接種量としては、菌が増殖し得る限り特に制限はなく、菌の種類に応じて適宜選択できるが、発酵の対象物が液体である場合には、通常1×103個/mL〜1×108個/mLであり、発酵の対象物が固体である場合には、通常1×103個/g〜1×108個/gである。前記接種量が、1×103個/mL又は1×103個/g未満であると、菌による発酵に時間がかかることがあり、1×108個/mL又は1×108個/gを超えると、菌の増殖が抑制されて発酵が進まないことがある。
前記発酵の条件、例えば、発酵温度、発酵時間、発酵の形態、pH、通気条件等も適宜決定されうるが、使用する菌の増殖等の特性に適した条件とすることが好ましい。
前記発酵温度としては、前記菌による発酵が進む限り特に制限はなく、使用する菌の種類に応じて適宜選択することができるが、通常10℃〜55℃であり、20℃〜50℃が好ましく、25℃〜45℃がより好ましい。
前記発酵時間としては、菌が増殖し得る限り特に制限はなく、菌の種類に応じて適宜選択することができるが、通常1時間〜5日間であり、3時間〜3日間が好ましく、6時間〜2日間がより好ましい。
前記発酵の対象としては、固体でもよく、液体でもよく、また、適宜通気を行ってもよい。前記発酵の対象が液体である場合、振とう又は攪拌しながら発酵を行ってもよいし、静置で発酵を行ってもよいが、前記菌の増殖を促進し、発酵を促進させる点で、振とう又は攪拌を行うことが好ましい。
前記振とうの条件としては、特に制限はなく、よく攪拌されていればよい。
前記振とうの条件としては、特に制限はなく、よく攪拌されていればよい。
前記発酵時のpHとしては、菌が増殖し得る限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常4.5〜8.5であり、5.5〜7.5が好ましい。なお、pHの調整には、pH調整用の塩酸又は水酸化ナトリウムを使用してもよいし、pH調整用バッファーを使用してもよい。
<<プロテアーゼ処理工程>>
前記プロテアーゼ処理工程は、前記発酵物をプロテアーゼで処理する工程である。
本明細書においては、前記プロテアーゼによる処理を「プロテアーゼ消化」又は「蛋白質分解」とも呼ぶ。この処理は、前記発酵物に由来する蛋白質又はペプチドの分解を目的としたものである。
前記プロテアーゼ処理工程は、前記発酵物をプロテアーゼで処理する工程である。
本明細書においては、前記プロテアーゼによる処理を「プロテアーゼ消化」又は「蛋白質分解」とも呼ぶ。この処理は、前記発酵物に由来する蛋白質又はペプチドの分解を目的としたものである。
−プロテアーゼ−
前記プロテアーゼは、ペプチド結合加水分解酵素の総称であり、蛋白質分解酵素ともいう。
前記プロテアーゼとしては、前記発酵物に含まれる蛋白質又はペプチドを分解することができる限り特に制限はなく、蛋白質分子のペプチド結合を加水分解するプロテイナーゼを用いてもよいし、ペプチド鎖のアミノ末端或いはカルボキシ末端のペプチド結合を加水分解するペプチダーゼを用いてもよい。また、前記プロテアーゼは、至適pHによって、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、及びアルカリ性プロテアーゼに分類されるが、これらの中でも、酵素処理効率が高く、高い機能性を持った生成物が得られる点で、中性プロテアーゼが好ましい。
前記プロテアーゼの具体例としては、金属プロテアーゼ(サーモライシン等)、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、トロンビン、プラスミン、エラスターゼ、ズブチリシン等)、チオールプロテアーゼ(パパイン、フィシン、ブロメライン、カテプシンB等)、アスパラギン酸プロテアーゼ(ペプシン、キモシン、カテプシンD等)、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酵素処理効率が高く、高い機能性を持った生成物が得られる点で、セリンプロテアーゼ及びアミノペプチダーゼを含むものが好ましい。
なお、これらのプロテアーゼは、精製されていても、或いは精製されていなくてもよく、また、それらの起源は、微生物由来、植物由来及び動物由来のいずれであってもよい。
前記プロテアーゼは、ペプチド結合加水分解酵素の総称であり、蛋白質分解酵素ともいう。
前記プロテアーゼとしては、前記発酵物に含まれる蛋白質又はペプチドを分解することができる限り特に制限はなく、蛋白質分子のペプチド結合を加水分解するプロテイナーゼを用いてもよいし、ペプチド鎖のアミノ末端或いはカルボキシ末端のペプチド結合を加水分解するペプチダーゼを用いてもよい。また、前記プロテアーゼは、至適pHによって、酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、及びアルカリ性プロテアーゼに分類されるが、これらの中でも、酵素処理効率が高く、高い機能性を持った生成物が得られる点で、中性プロテアーゼが好ましい。
前記プロテアーゼの具体例としては、金属プロテアーゼ(サーモライシン等)、セリンプロテアーゼ(トリプシン、キモトリプシン、トロンビン、プラスミン、エラスターゼ、ズブチリシン等)、チオールプロテアーゼ(パパイン、フィシン、ブロメライン、カテプシンB等)、アスパラギン酸プロテアーゼ(ペプシン、キモシン、カテプシンD等)、アミノペプチダーゼ、カルボキシペプチダーゼなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酵素処理効率が高く、高い機能性を持った生成物が得られる点で、セリンプロテアーゼ及びアミノペプチダーゼを含むものが好ましい。
なお、これらのプロテアーゼは、精製されていても、或いは精製されていなくてもよく、また、それらの起源は、微生物由来、植物由来及び動物由来のいずれであってもよい。
前記プロテアーゼとしては、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、デナチームAP(Aspergillus oryzae由来中性プロテアーゼ、ナガセケムテックス株式会社製)、プロテアーゼN「アマノ」G、プロチンSD−NY10、プロチンSD−PC10F(以上、Bacillus subtilis由来中性プロテアーゼ、天野エンザイム株式会社製)、プロテアーゼA「アマノ」G(Aspergillus oryzae由来中性プロテアーゼ、天野エンザイム株式会社製)、プロテアーゼS「アマノ」G(Bacillus stearothermophilus由来中性プロテアーゼ、天野エンザイム株式会社製)、パパインW−40(パパイヤラテックス由来中性プロテアーゼ、天野エンザイム株式会社製)、プロメラインF(Ananas comosus M由来中性プロテアーゼ、天野エンザイム株式会社製)、PTN(豚の膵臓由来中性プロテアーゼ、ノボザイムズジャパン株式会社製)、オリエンターゼ90N、ヌクレイシン、オリエンターゼ10NL(以上、Bacillus subtilis由来中性プロテアーゼ、エイチビィアイ株式会社製)、オリエンターゼONS(Aspergillus oryzae由来中性プロテアーゼ、エイチビィアイ株式会社製)などが挙げられる。
前記プロテアーゼ処理における処理条件、例えば、前記発酵物に対するプロテアーゼ量、処理温度、処理時間、pHなどは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記発酵物の固形分に対する前記プロテアーゼの質量比(プロテアーゼ/発酵物の固形分)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常1/500〜1/10であり、1/200〜1/20が好ましい。前記質量比が、1/500未満であると、蛋白質分解反応(プロテアーゼ消化)が不十分であり、或いは反応に長時間を要することがあり、1/10を超えると、経済的に好ましくない。
前記処理温度としては、使用するプロテアーゼの至適温度を考慮して決定すべきであるが、通常15℃〜70℃であり、40℃〜65℃が好ましい。
前記処理時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜決定されるが、反応性及び雑菌混入防止の観点から、通常、10分間〜2日間であり、3時間〜24時間が好ましい。
前記プロテアーゼ処理のpHとしては、使用するプロテアーゼの至適pHを考慮して決定すべきであり、通常3〜10である。前記中性プロテアーゼを用いる場合のpHとしては、4.5〜8.0が好ましく、5〜7.5がより好ましい。
pHの調整には、pH調整用の塩酸又は水酸化ナトリウムを使用してもよいし、pH調整用バッファーを使用してもよい。
pHの調整には、pH調整用の塩酸又は水酸化ナトリウムを使用してもよいし、pH調整用バッファーを使用してもよい。
前記プロテアーゼ処理においては、前記発酵物の他に、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脱脂米糠、米胚芽、茶カテキンなどが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脱脂米糠、米胚芽、茶カテキンなどが挙げられる。
<<その他の工程>>
−抽出工程−
前記抽出工程は、前記大豆米糠発酵組成物を熱水及びエタノールのいずれかで抽出する工程である。効率的に活性物質を抽出できる点で、熱水による抽出が好ましい。
抽出の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、熱水及びエタノールのいずれかを前記大豆米糠発酵組成物に加え、攪拌して抽出後、遠心分離機により固液分離する方法などが挙げられる。前記遠心分離機としては、例えば、デカンター連続式横型遠心分離機、自動バスケット型遠心分離機などが挙げられ、これらは組み合わせて用いてもよい。
−抽出工程−
前記抽出工程は、前記大豆米糠発酵組成物を熱水及びエタノールのいずれかで抽出する工程である。効率的に活性物質を抽出できる点で、熱水による抽出が好ましい。
抽出の方法としては、特に制限はなく、公知の方法を用いることができ、例えば、熱水及びエタノールのいずれかを前記大豆米糠発酵組成物に加え、攪拌して抽出後、遠心分離機により固液分離する方法などが挙げられる。前記遠心分離機としては、例えば、デカンター連続式横型遠心分離機、自動バスケット型遠心分離機などが挙げられ、これらは組み合わせて用いてもよい。
−濾過工程−
前記濾過工程は、前記大豆米糠発酵組成物を濾過する工程である。
前記濾過の方法としては、特に制限はなく、公知の濾過装置を用いることができ、例えば、フィルタープレス、ラインフィルターなどを用いることができる。なお、これらは併用してもよい。
前記濾過工程は、前記大豆米糠発酵組成物を濾過する工程である。
前記濾過の方法としては、特に制限はなく、公知の濾過装置を用いることができ、例えば、フィルタープレス、ラインフィルターなどを用いることができる。なお、これらは併用してもよい。
−濃縮工程−
前記濃縮工程は、前記大豆米糠発酵組成物を濃縮する工程である。前記濃縮の方法としては、特に制限はなく、公知の濃縮方法を用いることができる。
前記濃縮工程は、前記大豆米糠発酵組成物を濃縮する工程である。前記濃縮の方法としては、特に制限はなく、公知の濃縮方法を用いることができる。
<大豆米糠発酵組成物からの精製>
前記大豆米糠発酵組成物から本発明のトリペプチドを精製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種のカラムを用いて精製する方法が挙げられる。
前記カラムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル濾過カラム、ODS(オクタデシルシリル)カラム、RP−Amideカラムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、ゲル濾過カラムと、ODSカラムと、RP−Amideカラム又はTKSgel Amideカラムとをこの順で用いて精製することが好ましい。
前記大豆米糠発酵組成物から本発明のトリペプチドを精製する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種のカラムを用いて精製する方法が挙げられる。
前記カラムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル濾過カラム、ODS(オクタデシルシリル)カラム、RP−Amideカラムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、ゲル濾過カラムと、ODSカラムと、RP−Amideカラム又はTKSgel Amideカラムとをこの順で用いて精製することが好ましい。
前記精製で得られたフラクションが本発明のトリペプチドを含んでいることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アンジオテンシン変換酵素阻害活性を有するか否かを指標として確認することが好ましい。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害活性の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する試験例に示すような遊離馬尿酸測定法により測定することができる。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害活性の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、後述する試験例に示すような遊離馬尿酸測定法により測定することができる。
前記精製された物が、本発明のトリペプチドであることを確認する方法としては、特に制限はなく、公知の方法を適宜選択することができ、例えば、N末端アミノ酸配列解析、LC−MS/MS解析により確認することができる。前記N末端アミノ酸配列解析に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロテインシーケンサー(PPSQ−23A、株式会社島津製作所製)が挙げられる。前記LC−MS/MS解析に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばLC−MS/MS(Xevo G2 Q−TOF,# yba037,Waters社製)が挙げられる。
<用途>
本発明のペプチドは、優れたアンジオテンシン変換酵素阻害作用、及び降圧作用を有し、安全性に優れるので、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、飲食品、医薬品として好適に用いることができる。
本発明のペプチドは、優れたアンジオテンシン変換酵素阻害作用、及び降圧作用を有し、安全性に優れるので、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、飲食品、医薬品として好適に用いることができる。
(アンジオテンシン変換酵素阻害剤)
本発明のアンジオテンシン変換酵素阻害剤は、本発明のペプチドを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤における前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、前記ペプチドそのものであってもよい。
前記ペプチドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proを含むことが好ましい。
本発明のアンジオテンシン変換酵素阻害剤は、本発明のペプチドを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤における前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、前記ペプチドそのものであってもよい。
前記ペプチドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proを含むことが好ましい。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ルチン、ヘスペリジン、タンニン、リコピン、テアニン、セサミン、ギャバなどが挙げられる。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、液体状などが挙げられる。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、優れたアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有し、かつ、安全性に優れるため、例えば、医薬品、飲食品として好適に用いることができる。
前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、優れたアンジオテンシン変換酵素阻害活性を有し、かつ、安全性に優れるため、例えば、医薬品、飲食品として好適に用いることができる。
(抗高血圧剤)
本発明の抗高血圧剤は、本発明のペプチドを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記抗高血圧剤における前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、前記ペプチドそのものであってもよい。
前記ペプチドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proを含むことが好ましい。
本発明の抗高血圧剤は、本発明のペプチドを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
前記抗高血圧剤における前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤は、前記ペプチドそのものであってもよい。
前記ペプチドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proを含むことが好ましい。
前記抗高血圧剤における前記その他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記アンジオテンシン変換酵素阻害剤におけるその他の成分と同様のものが挙げられる。
前記抗高血圧剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記抗高血圧剤における前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記抗高血圧剤の剤形としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉末状、顆粒状、錠剤状、液体状などが挙げられる。
前記抗高血圧剤は、優れた降圧効果を有し、かつ、安全性に優れるため、例えば、医薬品、飲食品として好適に用いることができる。
前記抗高血圧剤は、優れた降圧効果を有し、かつ、安全性に優れるため、例えば、医薬品、飲食品として好適に用いることができる。
(飲食品)
本発明の飲食品は、本発明のペプチドを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
本発明の飲食品としては、例えば、本発明のペプチドをそのまま、或はペレット、粉末、顆粒などの形態として使用してもよく、食品添加物、調味料、ふりかけとして使用してもよい。また、本発明のペプチドを食材中に含有せしめて使用してもよい。これにより、機能性食品或いは健康食品を得ることができる。
本発明の飲食品における前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、飲食品に対して、0.01質量%〜1質量%が好ましい。
前記ペプチドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proを含むことが好ましい。
前記その他の成分としては、飲食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記飲食品における前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
本発明の飲食品は、本発明のペプチドを含み、必要に応じて更にその他の成分を含む。
本発明の飲食品としては、例えば、本発明のペプチドをそのまま、或はペレット、粉末、顆粒などの形態として使用してもよく、食品添加物、調味料、ふりかけとして使用してもよい。また、本発明のペプチドを食材中に含有せしめて使用してもよい。これにより、機能性食品或いは健康食品を得ることができる。
本発明の飲食品における前記ペプチドの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、飲食品に対して、0.01質量%〜1質量%が好ましい。
前記ペプチドは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよいが、ACE阻害活性に優れる点で、Tyr−Asn−Proを含むことが好ましい。
前記その他の成分としては、飲食品に用いることができるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記飲食品における前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
以下、試験例、製造例、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの試験例、製造例、実施例に何ら限定されるものではない。
(試験例1:新規ペプチドの探索−1)
<大豆米糠発酵組成物の製造>
<<工程1:大豆固形画分発酵物の調製>>
大豆を水に17時間浸漬し十分に吸水させ、豆挽機(スーパーマスコロイダー、増幸産業株式会社製)を用いて水とともに大豆を摩砕した。
前記摩砕された大豆の懸濁液(以下、「摩砕大豆懸濁液」と称することがある)をよく撹拌しながら20分間、100℃で加熱した。加熱後、絞り器(KM−1000、ミナミ産業株式会社製)を用いて摩砕大豆懸濁液から液相を除去し、固相(大豆固形画分)を回収した。このとき、液相の除去は、自然落下によって行った。得られた大豆固形画分100kgを適度に加温し、十分に攪拌した後に、納豆菌(成瀬醗酵化学研究所から入手)0.6L(菌数1.0×1010個)を均一に添加した。納豆菌接種後の大豆固形画分をステンレス容器若しくはポリエチレン袋に移し、通気性を確保した状態で、40℃の恒温培養器若しくは恒温室内で18時間発酵を行った。得られた大豆固形画分発酵物は、使用時まで冷凍保管した。
<大豆米糠発酵組成物の製造>
<<工程1:大豆固形画分発酵物の調製>>
大豆を水に17時間浸漬し十分に吸水させ、豆挽機(スーパーマスコロイダー、増幸産業株式会社製)を用いて水とともに大豆を摩砕した。
前記摩砕された大豆の懸濁液(以下、「摩砕大豆懸濁液」と称することがある)をよく撹拌しながら20分間、100℃で加熱した。加熱後、絞り器(KM−1000、ミナミ産業株式会社製)を用いて摩砕大豆懸濁液から液相を除去し、固相(大豆固形画分)を回収した。このとき、液相の除去は、自然落下によって行った。得られた大豆固形画分100kgを適度に加温し、十分に攪拌した後に、納豆菌(成瀬醗酵化学研究所から入手)0.6L(菌数1.0×1010個)を均一に添加した。納豆菌接種後の大豆固形画分をステンレス容器若しくはポリエチレン袋に移し、通気性を確保した状態で、40℃の恒温培養器若しくは恒温室内で18時間発酵を行った。得られた大豆固形画分発酵物は、使用時まで冷凍保管した。
<<工程2:大豆米糠発酵液の調製>>
原料として、大豆蛋白質(ニューフジプロSE、不二製油株式会社製)、脱脂米糠及び米胚芽(以上、オリザ油化株式会社製)を用いた。ステンレス製のタンクに水3,000Lを入れ、続いて大豆蛋白質200kg、脱脂米糠50kg、米胚芽50kgを投入した。その後、90℃になるまで加温し、昇温後1時間攪拌した。攪拌終了後、42℃まで冷却し、得られた大豆米糠液に、前記工程1で用いたものと同じ納豆菌を1L(菌数1.0×1011個)添加した。納豆菌接種後、42℃で28時間撹拌し、大豆米糠発酵液を得た。
原料として、大豆蛋白質(ニューフジプロSE、不二製油株式会社製)、脱脂米糠及び米胚芽(以上、オリザ油化株式会社製)を用いた。ステンレス製のタンクに水3,000Lを入れ、続いて大豆蛋白質200kg、脱脂米糠50kg、米胚芽50kgを投入した。その後、90℃になるまで加温し、昇温後1時間攪拌した。攪拌終了後、42℃まで冷却し、得られた大豆米糠液に、前記工程1で用いたものと同じ納豆菌を1L(菌数1.0×1011個)添加した。納豆菌接種後、42℃で28時間撹拌し、大豆米糠発酵液を得た。
<<工程3:プロテアーゼ処理>>
前記工程2で得られた大豆米糠発酵液に、前記工程1で得られた大豆固形画分発酵物200kg、脱脂米糠50kg、米胚芽50kg、及び茶カテキン260gを投入した。
これを3時間攪拌しながら混合した後、50℃になるまで加温した。昇温後、Aspergillus oryzae由来中性プロテアーゼ(デナチームAP、ナガセケムテックス株式会社製)を10kg投入し、50℃で15時間撹拌してプロテアーゼ消化を行った。
その後、90℃で10分間加熱することによりプロテアーゼを失活させ、プロテアーゼ処理物を得た。
前記工程2で得られた大豆米糠発酵液に、前記工程1で得られた大豆固形画分発酵物200kg、脱脂米糠50kg、米胚芽50kg、及び茶カテキン260gを投入した。
これを3時間攪拌しながら混合した後、50℃になるまで加温した。昇温後、Aspergillus oryzae由来中性プロテアーゼ(デナチームAP、ナガセケムテックス株式会社製)を10kg投入し、50℃で15時間撹拌してプロテアーゼ消化を行った。
その後、90℃で10分間加熱することによりプロテアーゼを失活させ、プロテアーゼ処理物を得た。
<<工程4:抽出>>
前記工程3で得られたプロテアーゼ処理物を2時間攪拌し、熱水(90℃)抽出を行った。抽出後、遠心分離機(デカンター連続式横型遠心分離機、タナベウィルテック社製;3,000rpm、30分間)を用いて固液分離を行った。液相のみを回収し、クエン酸ナトリウムを用いてpHを3.8に調整した。pH調整後、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃で12時間静置させた。
前記工程3で得られたプロテアーゼ処理物を2時間攪拌し、熱水(90℃)抽出を行った。抽出後、遠心分離機(デカンター連続式横型遠心分離機、タナベウィルテック社製;3,000rpm、30分間)を用いて固液分離を行った。液相のみを回収し、クエン酸ナトリウムを用いてpHを3.8に調整した。pH調整後、90℃で10分間加熱殺菌し、10℃で12時間静置させた。
<<工程5:濾過>>
前記工程4で得られた抽出物をフィルタープレス及び0.5μmラインフィルターを組み合わせて濾過を行い、澄明な溶液を回収した。得られた澄明液を大豆米糠発酵組成物(OE−1)とした。
前記工程4で得られた抽出物をフィルタープレス及び0.5μmラインフィルターを組み合わせて濾過を行い、澄明な溶液を回収した。得られた澄明液を大豆米糠発酵組成物(OE−1)とした。
<大豆米糠発酵組成物の高血圧自然発症ラットへの投与による降圧効果の評価>
本評価には、10週齢の雄性SHR/Hosラットを株式会社星野試験動物飼育所より入手して使用した。前記ラットを、室温23±1℃、相対湿度55±10%、照明時間12時間/日(8時〜20時)の条件で、日本クレア社の固形飼料CE−2を与えて飼育し、飲料水としては水道水を自由に摂取させた。入荷後、1週間の予備飼育を行い、健康状態に異常を認めない動物を試験に用いた。
本評価には、10週齢の雄性SHR/Hosラットを株式会社星野試験動物飼育所より入手して使用した。前記ラットを、室温23±1℃、相対湿度55±10%、照明時間12時間/日(8時〜20時)の条件で、日本クレア社の固形飼料CE−2を与えて飼育し、飲料水としては水道水を自由に摂取させた。入荷後、1週間の予備飼育を行い、健康状態に異常を認めない動物を試験に用いた。
−血圧の測定−
ラットの収縮期血圧(systolic blood pressure、以下「SBP」と称する)の測定は、実験動物用ラット・マウス非観血血圧測定装置(Softron BP−98A、株式会社ソフトロン製)を用い、ラットを39℃で保温して、非観血的にtail−cuff法にて行った。測定は、各測定点(前記大豆米糠発酵組成物の投与前、並びに投与後1時間、4時間、7時間、及び24時間)において少なくとも6回ずつ行い、その平均値をSBPとした。
試験に使用するラットは、予備飼育後、SBPが185mmHg以上を示す動物を用いた。各ラットを試験前日より一昼夜絶食させ、試験開始前の血圧及び体重を指標として、動物を1群あたり6匹〜7匹ずつに群分けした。前記大豆米糠発酵組成物は、1回300mg/kgの投与量でゾンデによる単回投与を行った。コントロール群には同量の精製水(10mL/kg)を投与した。対照薬群としては、ACE阻害剤の1つであるカプトプリルを用い、30mg/kgの投与量で経口投与した。
ラットの収縮期血圧(systolic blood pressure、以下「SBP」と称する)の測定は、実験動物用ラット・マウス非観血血圧測定装置(Softron BP−98A、株式会社ソフトロン製)を用い、ラットを39℃で保温して、非観血的にtail−cuff法にて行った。測定は、各測定点(前記大豆米糠発酵組成物の投与前、並びに投与後1時間、4時間、7時間、及び24時間)において少なくとも6回ずつ行い、その平均値をSBPとした。
試験に使用するラットは、予備飼育後、SBPが185mmHg以上を示す動物を用いた。各ラットを試験前日より一昼夜絶食させ、試験開始前の血圧及び体重を指標として、動物を1群あたり6匹〜7匹ずつに群分けした。前記大豆米糠発酵組成物は、1回300mg/kgの投与量でゾンデによる単回投与を行った。コントロール群には同量の精製水(10mL/kg)を投与した。対照薬群としては、ACE阻害剤の1つであるカプトプリルを用い、30mg/kgの投与量で経口投与した。
SBP値の変動について、投与開始前のSBP値と投与後各時間におけるSBP値を図1に示した。図1中、「○」は、コントロール群(対照)を示し、「▲」は、大豆米糠発酵組成物を投与した群(試験物質投与群)を示し、「■」は、対照薬群(カプトプリルを投与した群)を示す。
なお、得られた値は、平均値±標準偏差(mean±S.D.)で表記した。コントロール群と試験物質投与群間におけるSBP値の統計学的な差の検定は、Dunnetの多重比較検定法を用いて行った。検定での有意水準は、5%未満とし、図1中には、**:1%未満として表示した。
なお、得られた値は、平均値±標準偏差(mean±S.D.)で表記した。コントロール群と試験物質投与群間におけるSBP値の統計学的な差の検定は、Dunnetの多重比較検定法を用いて行った。検定での有意水準は、5%未満とし、図1中には、**:1%未満として表示した。
図1から、大豆米糠発酵組成物は、投与後1時間より持続的な血圧降下作用を示し、その最大反応(−36.4mmHgの低下)は投与後7時間にみられた。対照薬として用いたカプトプリルは、30mg/kg投与で投与後1時間に最大反応(−36.4mmHgの低下)を示した。
<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製1>
前記大豆米糠発酵組成物50.04gに、純水150.04gを添加し、25質量%の懸濁液とした。この懸濁液をセパビーズSP825(三菱化学株式会社製) 500mLを充填し純水で平衡化したオープンカラムに添加し、純水 2L、10容量%エタノール 3L、20容量%エタノール 2L、40容量%エタノール 2L、70容量%エタノール 2L、100容量%エタノール 2Lで順次溶出し、順に、フラクションF1〜F6とした。得られた各フラクションをエバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥した。回収量を算出し、乳鉢で粉砕後ガラス製サンプル瓶に入れ、デシケーター内で室温保存した。
前記大豆米糠発酵組成物50.04gに、純水150.04gを添加し、25質量%の懸濁液とした。この懸濁液をセパビーズSP825(三菱化学株式会社製) 500mLを充填し純水で平衡化したオープンカラムに添加し、純水 2L、10容量%エタノール 3L、20容量%エタノール 2L、40容量%エタノール 2L、70容量%エタノール 2L、100容量%エタノール 2Lで順次溶出し、順に、フラクションF1〜F6とした。得られた各フラクションをエバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥した。回収量を算出し、乳鉢で粉砕後ガラス製サンプル瓶に入れ、デシケーター内で室温保存した。
<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製2>
前記フラクションF2 270mgについて、分取用HPLCにてゲル濾過カラムを用いた精製を実施した。以下に条件を記す。
LCシステム : PU−980 intelligent HPLC pump with UV−970 intelligent UV/VIS detector (日本分光社製)
カラム : Superdex Peptide 10/300 GL(GEヘルスケア社製)
アイソクラティック溶出 : 溶媒 アセトニトリル:水=1:9(0.1%TFA)
注入量 : 100μL
流量 : 0.6mL/min
検出波長 : 220nm
カラム温度 : 室温
前記フラクションF2 270mgについて、分取用HPLCにてゲル濾過カラムを用いた精製を実施した。以下に条件を記す。
LCシステム : PU−980 intelligent HPLC pump with UV−970 intelligent UV/VIS detector (日本分光社製)
カラム : Superdex Peptide 10/300 GL(GEヘルスケア社製)
アイソクラティック溶出 : 溶媒 アセトニトリル:水=1:9(0.1%TFA)
注入量 : 100μL
流量 : 0.6mL/min
検出波長 : 220nm
カラム温度 : 室温
前記HPLC(分取HPLC)のクロマトグラムを図2に示した。図2において、F21からF24は、フラクション名を示す。
得られたフラクションF21〜F24について、それぞれの画分ごとにまとめ、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥した。分取は計27回実施し、回収量を算出した後、粉砕後、デシケーター内で室温保存した。
得られたフラクションF21〜F24について、それぞれの画分ごとにまとめ、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥した。分取は計27回実施し、回収量を算出した後、粉砕後、デシケーター内で室温保存した。
得られたフラクションF21〜F24、及び前記大豆米糠発酵組成物について、Micro BCAプロテインアッセイキット(PIERCE社製)によりタンパク質の定量を行った。
また、得られたフラクションF21〜F24、及び前記大豆米糠発酵組成物について、以下のようにして、ACE阻害活性を測定した。なお、ACE阻害活性測定用の試料は、タンパク質濃度が0.1mg protein/mLとなるように純水で調製し、終濃度0.02mg/mLにおけるACE活性阻害率の測定を実施した。前記F23、F24についてはタンパク質含量が100%を超えたため、タンパク質含量を100%として扱った。結果を表1に記す。
−ACE阻害活性の測定−
ACE阻害活性の測定は、遊離馬尿酸測定法により行った。
具体的には、基質溶液(終濃度3.5μM、Hippuryl−His−Leu、ペプチド研究所製)150μLに被験試料50μLを添加し、アンジオテンシン変換酵素(ACE 1unit、シグマアルドリッチ製)を50μL加え、37℃で、30分間反応させた。反応後、1N塩酸250μLを添加し反応を止めた。前記反応液に酢酸エチル(ナカライテスク株式会社製)1.5mLを加え、遊離馬尿酸を溶媒抽出した。前記抽出物を3,000rpm、10分間室温で遠心分離を行い、上層の酢酸エチル層1mLをスピッツ管に分取した。真空乾燥機(40℃)にて蒸発乾固定を行い、純水2.5mLを加え、馬尿酸を再溶解した。前記馬尿酸を再溶解させた溶液の228nmの吸光度を分光光度計(UV−2500PC;島津社製)により、測定し、以下の式から、ACE活性阻害率を算出した。
ACE活性阻害率(%)={1−(B−C)/(A−C)}×100
A:被験試料なし、ACEありのときの228nmの吸光度
B:被験試料あり、ACEありのときの228nmの吸光度
C:被験試料なし、ACEなしのときの228nmの吸光度
また、得られたフラクションF21〜F24、及び前記大豆米糠発酵組成物について、以下のようにして、ACE阻害活性を測定した。なお、ACE阻害活性測定用の試料は、タンパク質濃度が0.1mg protein/mLとなるように純水で調製し、終濃度0.02mg/mLにおけるACE活性阻害率の測定を実施した。前記F23、F24についてはタンパク質含量が100%を超えたため、タンパク質含量を100%として扱った。結果を表1に記す。
−ACE阻害活性の測定−
ACE阻害活性の測定は、遊離馬尿酸測定法により行った。
具体的には、基質溶液(終濃度3.5μM、Hippuryl−His−Leu、ペプチド研究所製)150μLに被験試料50μLを添加し、アンジオテンシン変換酵素(ACE 1unit、シグマアルドリッチ製)を50μL加え、37℃で、30分間反応させた。反応後、1N塩酸250μLを添加し反応を止めた。前記反応液に酢酸エチル(ナカライテスク株式会社製)1.5mLを加え、遊離馬尿酸を溶媒抽出した。前記抽出物を3,000rpm、10分間室温で遠心分離を行い、上層の酢酸エチル層1mLをスピッツ管に分取した。真空乾燥機(40℃)にて蒸発乾固定を行い、純水2.5mLを加え、馬尿酸を再溶解した。前記馬尿酸を再溶解させた溶液の228nmの吸光度を分光光度計(UV−2500PC;島津社製)により、測定し、以下の式から、ACE活性阻害率を算出した。
ACE活性阻害率(%)={1−(B−C)/(A−C)}×100
A:被験試料なし、ACEありのときの228nmの吸光度
B:被験試料あり、ACEありのときの228nmの吸光度
C:被験試料なし、ACEなしのときの228nmの吸光度
表1の結果から、F21からF24の4つのフラクションのうち、F21とF22のACE阻害活性が高く、F23は大豆米糠発酵組成物よりも低かった。
<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製3>
前記フラクションF22について、分取用HPLCにてODSカラムを用いた精製を実施した。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module(Waters社製)
カラム : Develosil ODS HG−5 φ4.6×250mm(Develosil社製)
溶媒 : A液 0.1%TFA/H2O、B液 0.1%TFA/CH3CN
グラジエント溶出 : B液 1%(0min) → B液 6%(50min) → 洗浄 → 平衡化
注入量 : 2μL
流量 : 1mL/min
スペクトル : 210nm〜600nm
カラム温度 : 40℃
前記フラクションF22について、分取用HPLCにてODSカラムを用いた精製を実施した。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module(Waters社製)
カラム : Develosil ODS HG−5 φ4.6×250mm(Develosil社製)
溶媒 : A液 0.1%TFA/H2O、B液 0.1%TFA/CH3CN
グラジエント溶出 : B液 1%(0min) → B液 6%(50min) → 洗浄 → 平衡化
注入量 : 2μL
流量 : 1mL/min
スペクトル : 210nm〜600nm
カラム温度 : 40℃
前記HPLC(分取HPLC)のクロマトグラムを図3に示した。図3において、F221、F224、及びF225は、フラクション名を示す。
得られたフラクションF221、F224、及びF225について、それぞれの画分ごとにまとめ、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥し、冷凍保存した。なお、分取は、計55回実施した。
得られたフラクションF221、F224、及びF225について、それぞれの画分ごとにまとめ、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥し、冷凍保存した。なお、分取は、計55回実施した。
<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製4>
−F224の精製−
前記フラクションF224について、RP−Amideカラムにより分析したところ、主要なピークが2本存在することが判明した(図4参照)。
そこで、前記フラクションF224をRP−Amideカラムを用いて更に精製した。試料には、前記F224の凍結乾燥品全量を純水500μLに溶解した溶液を用いた。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module&Waters 996 PDA(Waters社製)
カラム : Ascentis RP−Amide φ4.6×75mm
溶媒 : A液 0.1%TFA/H2O、B液 0.1%TFA/CH3CN
アイソラクティック溶出 : A液:B液=97:3
注入量 : 5μL〜50μL
流量 : 1mL/min
スペクトル : 210nm〜350nm
カラム温度 : 40℃
−F224の精製−
前記フラクションF224について、RP−Amideカラムにより分析したところ、主要なピークが2本存在することが判明した(図4参照)。
そこで、前記フラクションF224をRP−Amideカラムを用いて更に精製した。試料には、前記F224の凍結乾燥品全量を純水500μLに溶解した溶液を用いた。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module&Waters 996 PDA(Waters社製)
カラム : Ascentis RP−Amide φ4.6×75mm
溶媒 : A液 0.1%TFA/H2O、B液 0.1%TFA/CH3CN
アイソラクティック溶出 : A液:B液=97:3
注入量 : 5μL〜50μL
流量 : 1mL/min
スペクトル : 210nm〜350nm
カラム温度 : 40℃
前記HPLC(分取HPLC)のクロマトグラムを図4に示した。図4において、F2242及びF2243は、フラクション名を示す。
得られたフラクションF2242及びF2243について、それぞれの画分ごとにまとめ、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥し、冷凍保存した。なお、分取は、計33回実施した。
得られたフラクションF2242及びF2243について、それぞれの画分ごとにまとめ、エバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥し、冷凍保存した。なお、分取は、計33回実施した。
前記F2242について、RP−Amideカラムにより分析した結果を図5に示した。図5より、前記F2242は、単一なピークであることがわかった。
<N末端アミノ酸配列解析>
前記単離されたフラクションF2242のアミノ酸配列について、試料を精製水で溶解後、N末端から5サイクルまでをプロテインシーケンサー(PPSQ−23A、株式会社島津製作所製)で分析した(株式会社東レリサーチセンター)。
前記N末端アミノ酸配列解析の結果、前記F2242から、Tyr−Asn−Proのペプチドが得られた。
前記単離されたフラクションF2242のアミノ酸配列について、試料を精製水で溶解後、N末端から5サイクルまでをプロテインシーケンサー(PPSQ−23A、株式会社島津製作所製)で分析した(株式会社東レリサーチセンター)。
前記N末端アミノ酸配列解析の結果、前記F2242から、Tyr−Asn−Proのペプチドが得られた。
(製造例1:ペプチド合成)
前記Tyr−Asn−Proの配列からなるペプチドをFmoc合成法により、合成した(株式会社東レリサーチセンター)。
前記Tyr−Asn−Proの配列からなるペプチドをFmoc合成法により、合成した(株式会社東レリサーチセンター)。
(実施例1:合成ペプチドのACE阻害活性の測定)
前記製造例1で合成したペプチドのACE阻害活性を、上記した遊離馬尿酸測定法により測定した。なお、本実施例では、IC50値を算出するために、複数の異なる濃度の被験試料について測定した。
その結果、IC50値は245.3μg/mL(TFA塩として484μmol/L)であった。
したがって、本発明のトリペプチドが、ACE阻害活性を有することが示された。
前記製造例1で合成したペプチドのACE阻害活性を、上記した遊離馬尿酸測定法により測定した。なお、本実施例では、IC50値を算出するために、複数の異なる濃度の被験試料について測定した。
その結果、IC50値は245.3μg/mL(TFA塩として484μmol/L)であった。
したがって、本発明のトリペプチドが、ACE阻害活性を有することが示された。
(試験例2:新規ペプチドの探索−2)
<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製5>
−F221の精製−
前記試験例1の<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製3>で得られたフラクションF221について分析用HPLCにてODSカラムを用いた精製を実施した。試料にはF221の凍結乾燥品全量を純水500μLに溶解した溶液を用いた。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module&Waters 996 PDA(Waters社製)
カラム : Develosil ODS−HG5 φ4.6×250mm(野村化学社製)
溶媒 : A液 0.1%TFA/H2O、B液 0.1%TFA/CH3CN
グラジエント溶出 : B液1%(0min) → B液6%(50min) → 洗浄 → 平衡化
注入量 : 10μL〜20μL
流量 : 1.0mL/min
スペクトル : 210nm〜600nm
カラム温度 : 40℃
<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製5>
−F221の精製−
前記試験例1の<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製3>で得られたフラクションF221について分析用HPLCにてODSカラムを用いた精製を実施した。試料にはF221の凍結乾燥品全量を純水500μLに溶解した溶液を用いた。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module&Waters 996 PDA(Waters社製)
カラム : Develosil ODS−HG5 φ4.6×250mm(野村化学社製)
溶媒 : A液 0.1%TFA/H2O、B液 0.1%TFA/CH3CN
グラジエント溶出 : B液1%(0min) → B液6%(50min) → 洗浄 → 平衡化
注入量 : 10μL〜20μL
流量 : 1.0mL/min
スペクトル : 210nm〜600nm
カラム温度 : 40℃
前記HPLC(分析HPLC)では、F221のフラクションを図6Aの点線で示したように1分間〜3.5分間の間隔で分取し、F221−1からF221−17まで17分割し、それぞれの画分を凍結乾燥した。前記HPLC(分析HPLC)のクロマトグラムを図6Aに示した。図6Aにおいて、F221−9、F221−13は、フラクション名を示す。なお、図6Aは、30分間までのクロマトグラムである。
−ACE阻害活性の測定−
前記各フラクション(F221−1〜F221−17)の凍結乾燥品を純水500μLに溶解し、上記した遊離馬尿酸測定法によりACE阻害活性を測定した。結果を図6Bに示す。なお、図6B中、1〜17は、それぞれF221−1〜F221−17に対応する。
図6Bの結果から、フラクションF221−9、及びF221−13に強い活性が認められた。
前記各フラクション(F221−1〜F221−17)の凍結乾燥品を純水500μLに溶解し、上記した遊離馬尿酸測定法によりACE阻害活性を測定した。結果を図6Bに示す。なお、図6B中、1〜17は、それぞれF221−1〜F221−17に対応する。
図6Bの結果から、フラクションF221−9、及びF221−13に強い活性が認められた。
<大豆米糠発酵組成物からのペプチド精製6>
−F221−9の精製−
前記フラクションF221−9について、TKSgel Amideカラムを用いた精製を実施した。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module&Waters 996 PDA(Waters社製)
カラム : TSK−gel Amide80 φ4.6×250mm(東ソー社製)
溶媒 : A液 0.1%TFA/CH3CN、B液 0.1%TFA/H2O
グラジエント溶出 : B液 3%(0min) → 21%(30min) → 洗浄 →平衡化
注入量 : 30μL
流量 : 1mL/min
スペクトル : 210nm〜600nm
カラム温度 : 40℃
−F221−9の精製−
前記フラクションF221−9について、TKSgel Amideカラムを用いた精製を実施した。以下に条件を記す。
LCシステム : Waters 2695 separation Module&Waters 996 PDA(Waters社製)
カラム : TSK−gel Amide80 φ4.6×250mm(東ソー社製)
溶媒 : A液 0.1%TFA/CH3CN、B液 0.1%TFA/H2O
グラジエント溶出 : B液 3%(0min) → 21%(30min) → 洗浄 →平衡化
注入量 : 30μL
流量 : 1mL/min
スペクトル : 210nm〜600nm
カラム温度 : 40℃
前記TKSgel Amideカラムを用いた精製では、F221−9のフラクションを図7Aの点線で示したように1分間〜2分間の間隔で分取し、F221−9−1からF221−9−18まで18分割し、それぞれの画分を合一して濃縮した後、凍結乾燥した。前記TKSgel Amideカラムを用いた精製のクロマトグラムを図7Aに示した。図7Aにおいて、F221−9−15、F221−9−16、F221−9−17は、フラクション名を示す。なお、図7Aは、30分間までのクロマトグラムである。
−ACE阻害活性の測定−
前記各フラクション(F221−9−1〜F221−9−18)の凍結乾燥品を純水500μLに溶解し、上記した遊離馬尿酸測定法によりACE阻害活性を測定した。結果を図7Bに示す。なお、図7B中、1〜18は、それぞれF221−9−1〜F221−9−18に対応する。
図7Bの結果から、フラクションF221−9−15、F221−9−16、及びF221−9−17に強い活性が認められた。
前記各フラクション(F221−9−1〜F221−9−18)の凍結乾燥品を純水500μLに溶解し、上記した遊離馬尿酸測定法によりACE阻害活性を測定した。結果を図7Bに示す。なお、図7B中、1〜18は、それぞれF221−9−1〜F221−9−18に対応する。
図7Bの結果から、フラクションF221−9−15、F221−9−16、及びF221−9−17に強い活性が認められた。
<LC−MS/MS分析によるペプチド配列解析>
ACE阻害活性が求められたフラクションのF221−9−15、F221−9−16、及びF221−9−17についてLC−MS/MS分析を行った。
LC−MS/MS分析では、各試料に、0.2%ギ酸含超純水を加えて、2倍希釈したものを以下のLC及びおよびMS条件で測定した。
ACE阻害活性が求められたフラクションのF221−9−15、F221−9−16、及びF221−9−17についてLC−MS/MS分析を行った。
LC−MS/MS分析では、各試料に、0.2%ギ酸含超純水を加えて、2倍希釈したものを以下のLC及びおよびMS条件で測定した。
−LC条件−
LCシステム : LC−MS/MS(Xevo G2 Q−TOF,# yba037、Waters社製)
カラム : ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1×100mm、Waters社製)
溶媒 : A液0.1%ギ酸/H2O、B液0.1%ギ酸/CH3CN
グラジエント溶出 : B液0%(0min) → 100%(8min)→ 洗浄 → 平衡化
注入量 : 0.1μL〜2.0μL
流量 : 0.2mL/min
スペクトル : 200nm〜400nm
カラム温度 : 40℃
LCシステム : LC−MS/MS(Xevo G2 Q−TOF,# yba037、Waters社製)
カラム : ACQUITY UPLC BEH C18(1.7μm、2.1×100mm、Waters社製)
溶媒 : A液0.1%ギ酸/H2O、B液0.1%ギ酸/CH3CN
グラジエント溶出 : B液0%(0min) → 100%(8min)→ 洗浄 → 平衡化
注入量 : 0.1μL〜2.0μL
流量 : 0.2mL/min
スペクトル : 200nm〜400nm
カラム温度 : 40℃
−MS条件−
イオン化モード : ESI positive(Sensitivity Mode, MSE)
キャピラリー電圧 : 2.8kV
サンプルコーン電圧 : 15V
エクストラクションコーン電圧 : 4.0V
イオン源ヒーター : 120℃
脱溶媒ガス : 800L/hr(450℃)
コーンガス : 50L/hr
スキャン範囲 : m/z 50−1000
コリジョンエネルギー : MSE Low energy:6eV, High energy:15−45eV ramping
スキャン時間 : 0.2sec、Lock spray:3.0μL/min、Interval:10sec
イオン化モード : ESI positive(Sensitivity Mode, MSE)
キャピラリー電圧 : 2.8kV
サンプルコーン電圧 : 15V
エクストラクションコーン電圧 : 4.0V
イオン源ヒーター : 120℃
脱溶媒ガス : 800L/hr(450℃)
コーンガス : 50L/hr
スキャン範囲 : m/z 50−1000
コリジョンエネルギー : MSE Low energy:6eV, High energy:15−45eV ramping
スキャン時間 : 0.2sec、Lock spray:3.0μL/min、Interval:10sec
−ペプチド配列解析−
前記分析後、215nm及び280nmにおけるUVクロマトグラムにてピークを確認した。検出されたピークについてPeptide sequenceソフトウェアで解析し、ペプチド配列を推定した。なお、解析時に考慮したタンパク質翻訳後の修飾は、トリプトファン及びメチオニンの酸化、アスパラギン及びグルタミンの脱アミド化、N末グルタミンのピロリドカルボン酸化である。
また、イオンピークの元素組成解析を行い、推定されたペプチド配列の元素組成と比較した。
これらの結果から、前記フラクションF221−9−15は、Tyr−Gly−Serの可能性が推測され、F221−9−16は、Tyr−Gln−Glyの可能性が推測され、F221−9−17は、Tyr−Ser−Asn、及びSer−Tyr−Asnいずれか、並びにTyr−Asp−Gln、及びAsp−Tyr−Glnのいずれかである可能性が推測された。
前記分析後、215nm及び280nmにおけるUVクロマトグラムにてピークを確認した。検出されたピークについてPeptide sequenceソフトウェアで解析し、ペプチド配列を推定した。なお、解析時に考慮したタンパク質翻訳後の修飾は、トリプトファン及びメチオニンの酸化、アスパラギン及びグルタミンの脱アミド化、N末グルタミンのピロリドカルボン酸化である。
また、イオンピークの元素組成解析を行い、推定されたペプチド配列の元素組成と比較した。
これらの結果から、前記フラクションF221−9−15は、Tyr−Gly−Serの可能性が推測され、F221−9−16は、Tyr−Gln−Glyの可能性が推測され、F221−9−17は、Tyr−Ser−Asn、及びSer−Tyr−Asnいずれか、並びにTyr−Asp−Gln、及びAsp−Tyr−Glnのいずれかである可能性が推測された。
(製造例2:ペプチド合成)
前記推測された各ペプチド(Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Tyr−Ser−Asn、Ser−Tyr−Asn、Tyr−Asp−Gln、又はAsp−Tyr−Glnの配列からなるペプチド)をFmoc合成法により、合成した(株式会社東レリサーチセンター)。
前記推測された各ペプチド(Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Tyr−Ser−Asn、Ser−Tyr−Asn、Tyr−Asp−Gln、又はAsp−Tyr−Glnの配列からなるペプチド)をFmoc合成法により、合成した(株式会社東レリサーチセンター)。
<精製ペプチドと合成ペプチドの比較>
前記フラクションのF221−9−15、F221−9−16、又はF221−9−17から精製されたペプチド(以下、「精製ペプチド」と称することがある)と、上記Fmoc合成法により合成されたペプチド(Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Tyr−Ser−Asn、Ser−Tyr−Asn、Tyr−Asp−Gln、又はAsp−Tyr−Glnの配列からなるペプチド;以下、「合成ペプチド」と称することがある)とについて、イオンクロマトグラム及び280nmにおけるピークの保持時間及び質量を確認し、一致した場合は精製ペプチドと合成ペプチドは同じアミノ酸配列であると判断した。
その結果、前記F221−9−15の配列は、Tyr−Gly−Serであり、前記F221−9−16の配列は、Tyr−Gln−Glyであり、前記F221−9−17の配列は、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnであることが示された。
前記フラクションのF221−9−15、F221−9−16、又はF221−9−17から精製されたペプチド(以下、「精製ペプチド」と称することがある)と、上記Fmoc合成法により合成されたペプチド(Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Tyr−Ser−Asn、Ser−Tyr−Asn、Tyr−Asp−Gln、又はAsp−Tyr−Glnの配列からなるペプチド;以下、「合成ペプチド」と称することがある)とについて、イオンクロマトグラム及び280nmにおけるピークの保持時間及び質量を確認し、一致した場合は精製ペプチドと合成ペプチドは同じアミノ酸配列であると判断した。
その結果、前記F221−9−15の配列は、Tyr−Gly−Serであり、前記F221−9−16の配列は、Tyr−Gln−Glyであり、前記F221−9−17の配列は、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnであることが示された。
(実施例2:合成ペプチドのACE阻害活性の測定)
前記製造例2で合成した各ペプチド(Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Gln)のACE阻害活性を、上記した遊離馬尿酸測定法により測定した。なお、本実施例では、IC50値を算出するために、複数の異なる濃度の被験試料について測定した。
その結果、各合成ペプチドのIC50値は、以下のとおりであった。
・ Tyr−Gly−Ser : 470.1μg/mL(TFA塩として1,070μmol/L)
・ Tyr−Gln−Gly : 839.1μg/mL(TFA塩として1,747μmol/L)
・ Ser−Tyr−Asn : 882.6μg/mL(TFA塩として1,778μmol/L)
・ Tyr−Asp−Gln : 934.8μg/mL(TFA塩として1,736μmol/L)
したがって、本発明のトリペプチドが、ACE阻害活性を有することが示された。
前記製造例2で合成した各ペプチド(Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Gln)のACE阻害活性を、上記した遊離馬尿酸測定法により測定した。なお、本実施例では、IC50値を算出するために、複数の異なる濃度の被験試料について測定した。
その結果、各合成ペプチドのIC50値は、以下のとおりであった。
・ Tyr−Gly−Ser : 470.1μg/mL(TFA塩として1,070μmol/L)
・ Tyr−Gln−Gly : 839.1μg/mL(TFA塩として1,747μmol/L)
・ Ser−Tyr−Asn : 882.6μg/mL(TFA塩として1,778μmol/L)
・ Tyr−Asp−Gln : 934.8μg/mL(TFA塩として1,736μmol/L)
したがって、本発明のトリペプチドが、ACE阻害活性を有することが示された。
上記試験例、製造例、及び実施例の結果から、本発明のトリペプチドは、アンジオテンシン変換酵素を阻害することができ、高血圧を効果的、かつ安全に治療、改善、又は予防することが可能であることが示された。
本発明のトリペプチドは、アンジオテンシン変換酵素を阻害し、アンジオテンシンIIの生成を抑制することにより、血圧降下作用を示すことから、高血圧の治療、改善、又は予防において有用であり、高血圧症の予防、改善又は治療のための飲食品、医薬品などに好適に用いることができる。また、前記トリペプチドは、大豆米糠発酵組成物より効率よく得ることができ、天然物由来であることから、副作用がなく、安全性に優れている。
Claims (4)
- Tyr−Asn−Pro、Tyr−Gly−Ser、Tyr−Gln−Gly、Ser−Tyr−Asn、及びTyr−Asp−Glnのいずれかで表されることを特徴とするペプチド。
- 請求項1に記載のペプチドを含むことを特徴とするアンジオテンシン変換酵素阻害剤。
- 請求項1に記載のペプチドを含むことを特徴とする抗高血圧剤。
- 請求項1に記載のペプチドを含むことを特徴とする飲食品。
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JP2013255762A JP2014141462A (ja) | 2012-12-27 | 2013-12-11 | ペプチド、並びに、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品 |
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JP2012284975 | 2012-12-27 | ||
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JP2013255762A JP2014141462A (ja) | 2012-12-27 | 2013-12-11 | ペプチド、並びに、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗高血圧剤、及び飲食品 |
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