JP4327801B2 - X線断層撮影装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医療用のX線断層撮影技術に係り、特に、被検体にX線を多重露光して得た複数フレームの投影データを加算処理するだけで、任意スライス面の断層像を得ることができるX線断層撮影装置に関する。
従来、断層像を得ることのできる医療用のモダリティとして、X線CTスキャナ、X線断層撮影装置、磁気共鳴イメージング(MRI)装置、超音波診断装置など各種のものが使用されている。
この内、X線断層撮影装置は、比較的簡単に断層像を得ることができる装置として過去の一時期に利用されていたが、X線CTスキャナや磁気共鳴イメージング装置の発達により、医療現場からは過去殆ど遠い存在になっていた。しかし、近年になって、画像処理の簡便さなどに拠り、再び脚光を浴び初めている。
このX線断層撮影装置はアナログ式のものと、デジタル式のものとが知られている。アナログ式のX線断層撮影装置では、X線検出器として主にX線フィルムが使用される。X線管(X線焦点)とX線フィルムとを被検体を挟んだ状態で対向配置し、X線管から曝射されたX線ビームは必ず被検体の任意の一断面を常に含むように両者を相対的に順次移動させる。X線管の移動軌跡としては、直線、8の字曲線など種々の軌跡が選択される。この結果、X線の多重露光を通してスライス面以外の画像情報をぼかし、スライス面だけの情報にピントとを合わせて画像化することができる。
このアナログ式X線断層撮影装置では、スライス面を設定する毎に、X線フィルムを入れ替え、X線管の軌道を変えてスキャンする必要があった。このため、フィルム入替えの手間が必要になる一方で、患者の被曝が大きくなる。また、患者にはスキャン毎に呼吸止めが要求されるので、スライス面を多く設定するほど呼吸止めの乱れが多くなり、位相ずれが発生し易くなり、その分、画像にアーチファクトを現れ易くなる。
そこで、この問題を解決すべく、例えば特開昭57−203430号公報で知られているデジタル式X線断層撮影装置が提案されている。このX線断層撮影装置はアナログ式と同様に、X線管とデジタル形X線検出器とを相対的に反対方向に移動させるとともに、その両者の移動位置を検出し、X線検出器からの画像情報を移動位置毎に関連付けて記憶し、この画像情報から任意スライス面の画像を得るものである。これにより、1回のX線スキャンのデータで任意のスライス面の画像を得ることができる。
このデジタル式のX線断層撮影装置に使用されるデジタル形X線検出器には、イメージングプレート(IP)、I.I.−TV方式、X線/光変換層(例えば増感紙、セラミック・シンチレータなど)と光/電荷変換層(例えばTFTなどの液晶、フォトダイオードなど)とを有する間接変換方式の平面検出器、X線/電荷変換を行う直接変換方式の平面検出器などが知られている。
特開昭57−203430号公報
しかしながら、上述したアナログ形およびデジタル形のいずれのタイプのX線断層撮影装置にあっても、未だ以下のような未解決の問題がある。
第1に、X線管とX線検出器とを同期して移動させる制御が技術的に非常に難しいという状況にある。この同期制御の精度は断層像の画質に非常に敏感に効いてくる。高精度に同期制御しようとするほど、制御機構や制御回路が非常に複雑になり、装置の製造コストも非常に上昇してしまう。
第2に、X線管(焦点)の位置ずれに関する問題がある。従来の断層撮影装置はこの点に何等対策を講じていないので、かかるX線管の位置ずれに因ってアーチファクトが生じるなど、画質が低下するという問題がある。
第3に、X線管の移動軌道に関する問題がある。従来の断層撮影装置はこの点にも何等格別な対策を講じていないので、移動の軌道に伴うアーチファクトが画像上で目立ってしまうという問題がある。例えば、直線軌道の場合、画像には直線状の目立つアーチファクトが表れていた。
第4に、コントラスト分解能に関する問題がある。この種のX線断層撮影装置は基本的に、目的とするスライス面以外の構造物をぼかすことによってそのスライス面の画像を得る手法であるので、コントラスト分解能が低い。上記デジタル形の装置にあっても勿論、この点を何等考慮した構成になっていないので、同様の問題がある。
第5に、画像の拡大率に関する問題がある。従来の断層撮影装置ではスライス面毎の画像拡大率を考慮に入れた撮影を行っていない。このため、例えば、複数のスライス位置の異なるコロナル像などの断層像を動画表示すると、画像毎の拡大率の差が目立ってしまう。この結果、患部の視認性を低下させるなど、読影作業に影響を与えてしまうという問題がある。
第6に、収集したスライス面の画像データを十分に活用しきれていない。例えば上述したデジタル式X線断層撮影装置の場合、1回のスキャンによって、例えば複数のコロナル面の画像データを得ることが可能であるが、従来の装置の場合、そのコロナル像を表示する程度にしか画像データを活用していない。
さらに、第7に、上述した特開昭57−203430号公報記載のデジタル形のX線断層撮影装置にあっては、X線管と検出器とを相対的に反対方向に移動させるというスキャン軌道上の制限があるとともに、検出器からの画像情報を移動位置毎に関連付けてメモリに記憶するというデータ処理上の制限があった。スキャン軌道上の制限やデータ処理上の制限は、システムを設計する上での機器配置に関わる自由度や画像処理手順の自由度を低下させるという問題があった。
さらに、第8に、このデジタル形のX線断層撮影装置にあっては、X線管や検出器を2次元または3次元的に移動させたときの断層像を得るプロセスについては、何等具体的な提案はなされていない。
本発明は、上述した従来の装置に係る問題を解決するもので、以下の目的を有する。
本発明の主な目的は、従来行っていたX線管とX線検出器との同期移動制御に伴う困難を軽減または排除し、スキャンに必要なX線ビームを移動制御する機構および電気系の構成を簡素化できるようにすることである。
本発明の他の目的は、X線管(焦点)の位置ずれに因るアーチファクトの発生を防止または抑制して、断層像の画質を向上させることである。
本発明のさらに他の目的は、X線管の移動軌道に因るアーチファクトが画像上で目立ってしまう状態を防止し、断層像の画質を向上させることである。
本発明の別の目的は、コントラスト分解能を向上させることである。
本発明のさらに別の目的は、複数のスライス位置の異なる断層像に対する拡大率の差の発生を防止し、表示能や読影能力を向上させることである。
本発明の他の目的は、従来のスキャン軌道上の制約や画像処理プロセス上の制約を緩和または排除し、システムデザインや画像処理プロセスの自由度を高めることである。
本発明の別の目的は、X線管や検出器のスキャン軌道を1次元に限定することなく、2次元または3次元に移動させた場合でも、任意スライス面の断層像の得るための画像データ処理が可能な高機能のシステムを提供することである。
上述した目的を達成するため、本発明のX線断層撮影装置によれば、被検体に向けて焦点からX線を曝射するX線管と、前記X線管を支持する第1支持手段と、前記焦点および前記天板の少なくとも一方の位置を移動させて前記焦点と被検体の相対的な位置関係を変える駆動手段と、前記焦点と前記被検体の相対的位置が異なるX線像を順次撮影するX線検出手段と、前記X線検出手段を支持する第2支持手段と、前記X線像撮影時の前記焦点と前記X線検出手段の相対的な位置関係を求める位置関係検出手段と、前記X線検出手段と位置関係検出手段の出力に基づいて前記被検体の断層像を求める画像処理手段と、前記画像処理手段により処理された画像を表示する表示手段とを有し、前記画像処理手段は、前記X線像間の減算結果に基づいて、前記X線像中の動き成分を除去し、除去する動き成分は、目的とする断層像に対応する位置以外の構造物の投影に基づく成分であり、この動き成分を除去したX線像に基づいて前記被検体の断層像を求めることを特徴とする。
この発明のX線断層撮影装置によれば、検出器は必ずしも移動させずに固定状態に設置し、管球のみを移動させれば足りる。あるいは、検出器および管球を移動させずに、被検体のみを移動させれば足りる。このため、従来のように無理して、同期をとる制御が難しい検出器と管球との同期移動を行う必要がない。したがって、同期制御に因る断層像の画質劣化を回避できる一方で、同期制御のための複雑な制御機構や制御回路が不要になり、装置の製造コストを低減させることができる。
また、この発明のX線断層撮影装置は、前述した特開昭57−203430号公報記載のデジタル形のX線断層撮影装置とは異なり、管球と検出器とを相対的に反対方向に移動させるというスキャン軌道上の制限を排除した。また、検出器からの画像情報を移動位置毎に関連付けてメモリに記憶するというデータ処理上の制限も排除した。そして、管球(または、管球および検出器)を2次元または3次元的に任意に移動させても画像再結合できるようにした。このように、スキャン軌道上の制限やデータ処理上の制限を著しく撤廃したので、システムを設計する上での機器配置に関わる自由度や画像処理手順の自由度を大幅に上げるアップさせることができ、汎用性の高い、使い勝手の良い、また低コストのX線断層撮影装置を提供することができる。
まず、本発明及びその実施形態で使用される重要な用語の定義を説明する。
座標系座標系として、説明の便宜のために、図1に示すように、寝台10の天板10aの長手方向をZ軸(通常、患者の体軸方向)、これに直交する天板10aの横方向をY軸、およびZ、Y軸に直交する上下方向をX軸とする直交座標系を導入する。
スキャン断層像の生成に必要な複数フレームの投影データを得るために行われるX線曝射と撮影系(X線管12、X線検出器14、被検体P)の移動との一連の動作を言う。
投影データ1つのビューにおいてX線ビームが被検体Pを透過して形成された2次元の投影データで、スライス面の断層像を得るには同一スライス面について複数フレームの投影データが必要である。
スライス面
被検体Pの身体断面を言う。
ボリューム・データ
複数のスライス面の断層像データから成る3次元データを言う。
ボクセル
3次元データの1つの画素を言う。
画像再結合
スライス面の断層像を得るための処理で、具体的には、複数フレームの投影データの位置を合わせて加算する処理を言う。
(本発明に適用可能な特徴を網羅した実施形態)
最初に、本発明のX線断層撮影装置に適用可能な特徴(機能)をカテゴリ別にリストアップし、それらを網羅した実施形態を説明する。本発明に関わるX線断層撮影装置は、そのような特徴(機能)の中の任意の1つ、または、複数を組み合わせて実施(搭載)可能になっている。
まず、本実施形態のX線断層撮影装置の概略的な全体構成を図1に示す。
このX線断層撮影装置は、寝台10、X線管12、X線検出器14、支持機構16、および制御・処理装置18を備える。制御・処理装置18には入力装置19および表示装置20が接続されている。
寝台10はその長手方向にスライド自在な天板10aを備える。天板10aには被検体Pが通常、仰向けに寝かされ、この状態で撮影を受ける。X線管12およびX線検出器14は被検体を挟んで互いに対向するように支持機構16によって支持される。この支持機構16において、少なくともX線管12は3次元的に移動可能に支持される。
X線管12は被検体Pに向けてX線を曝射する。X線検出器14はX線検出手段として機能するもので、被検体Pを透過してきたX線を検出する。制御・処理装置18はメモリ(収集画像用メモリ18a、3次元データ用メモリ18bを含む)、CPUなどの必要な要素を有し、撮影装置全体の制御およびデータ処理を担うもので、被検体Pの任意スライス面の断層像をも得る。さらに、このX線断層撮影装置には、被検体にX線用造影剤を注入するための造影剤注入装置141および被検体の心電データを得る心電データ測定装置142が併設されている。
なお、本発明との対応では、制御・処理装置18が本発明の駆動手段、X線検出手段の一部、位置関係検出手段、画像処理手段、記憶手段、位置合せ手段を機能的に構成している。また、これらの手段はそれぞれ、後述する種々の制御および演算のための手段を機能的に達成するものである。
本発明のX線断層撮影装置の撮影原理を図2とともに説明しておく。同図に示すように、被検体P内にスライス面SPを想定し、そのスライス面SPが多数のボクセルVで形成されているとする。1つのボクセルVに着目し、このボクセルVをX線管12の焦点Sから1本のX線パスXpが透過するものとする。実際には、焦点Sから曝射されるX線はコーンビームであり、コーンビーム内で無数のX線パスが存在する。1つのボクセルVを透過するX線パスの角度θがビュー毎に変わるようにX線管12、X線検出器14および被検体P(具体的には、寝台10の天板10a)の間の位置関係(ジオメトリ)を制御し、X線検出器14でビュー毎の投影データを得る。この複数フレームの投影データをその位置関係の変化量に応じた分だけ移動させて加算する。これにより、想定したスライス面のみにピントが合って各フレームの投影データが足し込まれ画像データができ、ほかのスライス面SPの画像データがぼける。この画像のボケの相対的な差によってスライス面SPの断層像が得られる。
このX線断層撮影装置に関する機械的および電気的な特徴、実施例のそれぞれをカテゴリ別に分類し、それぞれの特徴、実施例の構成および/または動作を以下に詳述する。なお、個々の特徴を説明するに際し、そのバリエーションも併せて説明する。これらの特徴、実施例およびそのバリエーションは、互いに適宜組み合わせて実施できるし、また適宜に単独で実施することもできる。
ン、2)機構、3)検出器と管球、4)スキャン軌道、5)データ収集、6)データ選択、7)画像再結合前のデータ処理、8)画像再結合、9)画像処理・画像切出し・補正、10)マルチモダリティ、11)システム全体動作、および、12)その他の特徴、をピックアップし、この順に説明する。
1.システムデザイン
X線断層撮影装置全体のシステムデザインに関する特徴としては、以下のように1.1.〜1.4.まで各アイテムを挙げることができ、適宜に取捨選択して実施できる。なお、以下において必要に応じて、X線管12は管球と、X線検出器14は検出器と短縮形で呼ぶこともある。
1.1.管球と検出器の取付け角度・位置
X線管12およびX線検出器14は、被検体P(すなわち天板10a)に対して種々の取付け角度・位置で配置することができる。本発明に係るX線断層撮影装置では、原則として、X線検出器14はX線管12を移動させながらX線照射したときの透過X線を受けることができれば足り、X線検出器自体は移動させても、させなくてもよい。この配置の各種の例を以下に示す。
1.1.1.検出器横置きシステム
この例は「検出器横置きシステム」と呼ぶことにするシステムである。この検出器横置きシステムは、図3に示すように、X線管12およびX線検出器14を被検体Pを挟んで互いに対向するように、Y軸方向の左右の横位置に(被検体Pが仰向けのときは被検体の左右に)それぞれ配置したものである。このため、X線管12およびX線検出器14は床に対しては横向きとなる。
この検出器横置きシステムを採用すると、手術中において、術者が患者の患部へ上方から容易にアクセスできるという利点がある。
なお、X線管12およびX線検出器14を被検体Pの左右の斜め横に置いてもよい。
1.1.2.検出器下置システム
別の例は「検出器下置システム」と呼ぶことにするシステムに関する。この検出器下置システムは、図4に示すように、X線管12およびX線検出器14を被検体Pを挟んで互いに対向させるとともに、X線管12が被検体PのX軸方向下側で且つX線検出器14が被検体PのX軸方向上側にそれぞれ配置するシステムである。
1.1.3.検出器上置システム
さらに別の例は「検出器上置システム」と呼ぶことにするシステムに関する。この検出器上置システムは、図5、6に示すように、X線管12およびX線検出器14を被検体Pを挟んで互いに対向させるとともに、X線管12が被検体のX軸方向上側で且つX線検出器14が被検体のX軸方向下側にそれぞれ配置するシステムである。この検出器上置システムには、以下のように2通りの実施例を提案できる。
1.1.3.1.X線管12を移動させる機構を有するシステム
この検出器上置システムは図5に示すように、被検体Pの下側に位置させたX線管12を被検体P下側の所定スペース内で移動可能な移動機構22を備える。これにより、X線管12をその所定スペース内で1次元的、2次元的、または3次元的に移動させることができる。
1.1.3.2.可搬型X線検出器を有するシステム
この検出器上置システムを採用する場合、X線検出器14は被検体Pの上方に位置することになる。そこで、別の実施例の検出器上置システムでは、X線検出器14を例えば図6に示すようにキャスタ付きの可搬装置24の先端に吊持するように取り付ける一方で、X線管12は被検体Pの下方に可搬装置24とは別体の支持機構により支持されている。つまり、X線管12とX線検出器14が互いに独立した支持機構により支持されている。X線検出器14を支持する機構は必ずしも可搬装置14に限定されず、他の別体の支持機構であってもよい。
これにより、X線検出器14をセッティングするときの利便性が向上する。例えば、被検体Pが天板10aに仰向けになった後で、可搬装置24を天板10aの横位置まで移動させ、X線検出器14を被検体Pの上方所定高さにセッティングできる。この結果、被検体Pが寝台に乗り降りするときの邪魔にならない。
1.2.検出器固定システム
システムデザインの別の特徴として、「検出器固定システム」と呼ぶことにするシステムが提供される。このシステムはX線検出器14を固定状態で保持するシステムである。
1.2.1.検出器を寝台に差し込むシステム
検出器固定システムの好適な1つの例として、図7に示す如く、X線検出器14をカセッテとして形成し、このカセッテを寝台10の本体に着脱自在に差し込むように構成する。カセッテを差し込むと、X線検出器14は例えば被検体Pの下方の所定位置に固定状態で装着される。
この場合、通常のX線撮影のフィルム装填用のカセッテとX線検出器装着用の上記カセッテとを共用できるようにすれば、利便性に優れたものになる。
1.3.カバー付きシステムシステム
デザインの別の特徴は、「カバー付きシステム」と呼ぶことにするシステムにある。このシステムは、図8に示すように、例えばX線管12およびX線検出器14が移動する所定の空間領域を保護用のカバー26a,26bで各々囲ったものである。これにより、X線管やX線検出器が移動して他の物を巻き込むといった事態を防止できるし、また被検体Pに安心感を与えることもできる。
このカバー付きシステムは、X線管12およびX線検出器14の内の撮影時に移動させる方のみについて採用すればよい。また、このカバー付きシステムは、前述した検出器横置きシステムのみならず、検出器下側システム、検出器上側システムのいずれに用いてもよい。また、寝台本体そのものが上記カバーの機能を果たすように、寝台本体内にX線管12またはX線検出器14を移動可能に収納してもよい。
1.4.寝台の天板(被検体)を移動させるシステム
別の特徴は、寝台10の天板10aを例えばZ軸方向にスライドさせることである。このとき、X線管12を天板10aのスライドに非同期で移動させてもよいし、X線管12およびX線検出器14を天板10aのスライドに非同期で一緒に移動させてもよい。また、X線管12およびX線検出器14を固定状態にしておいて、天板10aのみ、つまり被検体Pのみを例えばZ軸方向にスライドさせながらスキャンしてもよい。これにより、被検体PがX線ビームに対して相対的に移動することになる。
1.5.管球・検出器の取外し可能または退避可能なシステム
システムデザインのさらに別の特徴を図9に基づき説明する。この特徴はX線管および/またはX線検出器の取外しまたは退避に関する。寝台10の天板10aの下方には、レールおよびモータ機構などのX線管12を移動可能な移動機構28が設置される。このため、X線管12は移動機構28により例えばZ軸方向に沿って直線的に移動される。X線管12は高圧発生装置30に接続される。X線管28は撮影目的に応じて取外し・装着可能になっている。天板10aに載せられた被検体Pの上方位置には、例えば前述した可搬装置24を採用してX線検出器14を退避可能に位置させることができる。このシステムは複数の撮影モード間の切換えに対処可能である。
1.5.1.撮影モード切換(その1)
典型的な撮影モード切換の一つは、単純撮影モードと断層撮影モードとの間の切換である。まず、単純撮影を行うとする。この場合、X線管12を移動機構28に装着する(図9(a),(a′)参照)。次いで、可搬装置24′に取り付けられたX線検出器14′を寝台サイドに運んできて、X線検出器14を被検体Pの上方の所定位置に設置する(図9(b),(b′)参照)。この単純撮影におけるX線検出器14′は、通常、空間分解能が高いものが選択される。この設置状態で単純撮影(収集パラメータは例えば、空間分解能0.05mm,収集サイズ17”,静止画像である)が実施される。このとき、コンソール側のパラメータ(ダイナミックレンジなど)も単純撮影用に合わせられる。
この単純撮影が終わると、断層撮影モードの断層撮影に移行する。そのための準備として、それまでのX線検出器14′を可搬装置24′と共に退避させて(または、邪魔にならない場所(横)によけて)、断層撮影用のX線検出器14”を可搬装置24”と共に搬送してきて、設置する(図9(c),(c′)参照)。この断層撮影モードのX線検出器14”としては、収集レートが大きい(速い)ものが適している。この状態で、断層撮影(収集パラメータは例えば、空間分解能0.2mm,収集サイズ10”,収集レート30フレーム/secである)が実施される。
また、断層撮影から単純撮影に戻る場合、上述したとは反対の手順によって作業を行う。
1.5.2.撮影モード切換(その2)
典型的な撮影モード切換の別の一つは、アンギオ撮影モードと断層撮影モードとの間の切換である。この場合、図9(b),(b′)の撮影ステップのところでアンギオ透視撮影が実施される。
このようにX線管および/またはX線検出器を容易に取外しまたは退避可能に構成しているので、断層撮影の前後に別の検査を簡単に同一の場所で行うことができ、非常に汎用性に優れたシステムを提供できる。
2.機構
X線断層撮影装置の「機構」のカテゴリに分類できる種々の特徴を図面を参照して説明する。
2.1.管球と検出器の同期移動
本発明では、例えば、X線管12とX線検出器14とを移動させながらスキャンを実行し、またはX線検出器14を固定しかつX線管12のみを移動させながらスキャンを実行する。X線管12とX線検出器14とを移動させる場合、両者を同期して移動させることが望ましい。つまり、X線透過データの後処理を簡単にするには、「どの位置」でX線照射した透過データを「どの位置」で検出したかを認識することが必要になる。この管球と検出器の同期移動には、以下のように2つの例が挙げられる。
2.1.1.電気的同期
この実施例は、X線管12およびX線検出器14の同期移動を電気的に行うものである。図10に示すように、X線管12およびX線検出器14は、例えばU字状に形成されたUアームと呼ばれる支持アーム30の両端の移動サブアーム30a,30bに各々取り付けられている。移動サブアーム30a,30bは移動機構32a,32bにより支持アーム30に対して移動可能になっている。移動機構32a,32bは例えばサーボ機構を備える。移動機構32a,32bには同期駆動回路34から同一の駆動信号P1が与えられる。このため、移動機構32a,32bが共に駆動信号P1に応答して移動し、X線管12およびX線検出器14が同期して移動する。移動機構32a,32bにはエンコーダなどの位置センサ34a,34bが各々取り付けられている。位置センサ36a,36bによりX線管12およびX線検出器14が移動した実際位置が各々検出され、同期駆動回路34に取り込まれる。このため、同期駆動回路34ではX線管12およびX線検出器14の位置をリアルタイムに認識することができる。
2.1.2.機械的同期
別の例を図11により説明する。この実施例は管球12と検出器14を機械的に同期させるものである。図11に示すX線管12およびX線検出器14は、図10における支持機構と同様に構成された支持アーム(Uアーム)30により移動可能に支持されている。支持アーム30の両端部の移動機構32a,32bには、同期駆動機構38からの軸、アームなどの駆動伝達手段38aが機械的に結合している。同期駆動機構38はモータ、歯車などの要素を備え、制御回路40からの指令信号に応答して駆動する。このため、X線管12およびX線検出器14は同期駆動機構38により機械的に駆動され、同期して移動する。
2.2.スリップリング
機構のカテゴリにおける別の特徴はスリップリングの使用にある。上述のように本発明では、少なくともX線管12を移動させながらスキャンするため、電力供給線や信号線が絡まらないようにスリップリングを使用することが望まれる。とくに、X線管12を2次元的にまたは3次元的に複雑な軌跡で移動させるときに好適である。
2.2.1.低圧スリップリング
このスリップリングの1つの実施例として低圧スリップリング42が使用される。図11に示すように、X線管12に至る電力供給線の途中には低圧スリップリング42が介挿されている。この低圧スリップリング42を介して交流100Vの電力が管球側に供給される。管球側には、支持アーム30aに取り付けられたジェネレータ44を備える。このジェネレータ44が低圧から高圧を発生させ、X線管12に供給する。
2.2.2.高圧スリップリング
スリップリングの別の実施例は高圧スリップリング46である。図10に示すように、X線管12に至る電力供給線の途中には高圧スリップリング46が介挿されている。この高圧スリップリング46を介して例えばDC120kVの高圧電源がX線管12に供給される。
なお、スリップリング42,46はUアームに使用する場合に限らず、後述するCアームにも好適に実施できる。
2.3.ノン・スリップリング方式
また別の特徴として、上述したスリップリングを使用しない管球の移動機構も提供できる。かかる一例を図60、61に示す。
同図に示す移動機構は、X線管12、すなわちそのリード線12a,12bに回転運動をさせず、往復の円弧状運動と往復の直線運動をさせるだけで済むように構成されている。具体的には、X線管12が肩部を有するスライド部材100に固定支持され、スライド部材100が支持棒102に固定支持されている。支持棒102はアーム104の一端のリング104aを回動自在に貫通している。アーム104の他端はモータ106の出力軸に連結されている。このため、モータ106が矢印AR1のように回転すると、アーム104が矢印AR2のように回転し、この回転に付勢されて支持棒102も矢印AR2方向に回転する。
スライド部材100は、また、図示のように、短冊状の支持板108の長手方向に沿って形成した溝108aにその肩部を介してスライド可能に係止している。支持板108の一端は図示のように固定軸110に回動自在に取り付けられている。このため、モータ106が矢印AR1の方向に回転すると、その回転と同一の方向にスライド部材100も回転しようとする(矢印AR3参照)。このとき、アーム104は支持棒102、すなわちスライド部材100に固定されていないし、支持板108は固定軸110を中心に自由に回転できる。したがって、スライド部材100は、矢印AR3方向に移動(回転)するとともに、支持板108を矢印AR4方向に回転させて、溝108に沿った直線移動に変換される(直線矢印AR5参照)。つまり、スライド部材100は溝108内では直線運動するだけである。
このため、モータ106を連続的に回転させたとき、スライド部材100の位置および向き(すなわち、X線管12の位置および向きに相当)は図61に示すように変化することになる。X線管12自体はモータ106の回転に伴って360度連続的に回転するが、X線管12の向きは支持板108の円弧状の開き角分変わるだけである。したがって、この円弧状の移動分はリード線12a,12b自体の撓み性などによって吸収できるので、リード線12a,12bの途中にスリップリングを設置する必要がない。
一方、X線管12の下方には、X線コリメータ112が設置されており、このX線コリメータ112の支持棒114は、例えばC字状の図示しないアームなどを介してモータ106の出力軸に機械的に結合している。このため、X線管12とX線コリメータ112とが同期した動きとなり、X線管12から曝射されたX線ビームは常にX線コリメータ112で絞ることができる。
2.4.Uアーム
機構のカテゴリにおける別の特徴はUアーム30の使用にある。前記図10、11に示すように、Uアーム30はそのアーム支柱部の長さを制御できるようになっている(図中矢印A参照)。この長さ制御により、画像の拡大率を所定範囲で自在に制御できる。
2.5.Cアーム
機構のカテゴリに分類される、さらに別の特徴はCアームの使用にある。
2.5.1.Cアームに直接取り付ける方式
Cアームの1つの実施例として図12に示す構成が提供される。つまり、従来周知のCアーム50の両端部にX線管12およびX線検出器14をそれぞれ取り付けている。Cアーム50は、そのアーム円周方向に沿ってスライド回転することができるとともに(矢印B1参照)、アーム支軸50aを中心に回転させることができる(矢印B2参照)。これにより、X線管12およびX線検出器14を移動させることができる。
2.5.2.Cアームから子アームを伸ばす方式
Cアームの別の例として図13に示す構成が提供されている。この実施例の構成によると、Cアーム50の両端部に移動・回転機構52a,52bをそれぞれ取り付け、この移動・回転機構52a,52bから例えば子アーム54a,54bをそれぞれ取り付ける。この子アーム54a,54bにはX線管12およびX線検出器14がそれぞれ取り付けられる。移動・回転機構52a,52bは図示しない制御回路から移動・回転の指令信号を受け、それぞれ独立してまたは同期して駆動する。
このため、例えばCアーム50そのものを固定した場合でも、移動・回転機構52a,52bに指令を与えて、子アーム54a,54bを移動・回転させることで、X線管12およびX線検出器14を移動させることができる(矢印C1,C2参照)。さらに、この子アーム54a,54bの移動に、前述したようにCアーム50自体のアーム円周方向の動きとアーム支軸回りの回転(矢印B1,B2参照)とを加え、断層撮影のためのX線管12およびX線検出器14を移動の自由度を上げるようにしてもよい。例えば、図14に示すように、同一長さの子アーム54aを実線Diから仮想線Djの角度に変えた場合、Cアーム50自体は同一の動きであっても、X線管12の移動範囲が変わるので、撮影範囲を制御できる。
これに対し、動きの制御を簡単にするには、X線検出器14の方は固定状態に保持し、X線管12のみを移動させることで断層撮影を行うこともできる。
なお、図13の支持構成において、X線検出器14は移動・回転機構を設けないで、直接Cアーム50に固設してもよい。
2.5.2.1.子アームの長さを調節する方式
この子アーム54a,54bを用いる実施例の変形として、子アーム54a,54bの長さを調節する機構を提供できる。例えば図13で説明した移動・回転機構52a,52bの少なくとも管球側は、少なくとも子アーム54aの長さを調節できるように構成する(図13、矢印D1,D2参照)。これにより、例えば子アーム54aを回転移動させる場合の回転半径を変えることができ、子アーム54aの長さを調節するだけで撮影範囲を容易に制御することができる(図13、矢印E1,E2参照)。
このように、UアームおよびCアームにあっては装置単独で管球12および検出器の支持機構を有している。このため、従来のアナログ式X線断層撮影装置にみられたように、X線管を天井から吊持し、天井面に設けたレールなどに沿ってX線管を移動させるなどの複雑で、大掛かりな仕掛けが不要になる。
2.6.駆動機構
各種の支持機構の駆動機構の駆動源には、サーボモータが搭載されており、これにより電気的制御量が機械的移動量に好適に変換される。しかしながら、必ずしもサーボモータに限定されることなく、任意のものを使用できる。
3.検出器と管球
「検出器と管球」のカテゴリでは、本発明のX線断層撮影装置に適用可能なX線検出器14およびX線管12を例示する。
3.1.蛍光板と読出し手段
X線検出器の一例として、X線を光に変換する蛍光板と、その光を読み出す高感度カメラなどの読出し手段とで構成された検出器を使用できる。
3.2.I.I.
X線検出器の別の例として、I.I.(イメージ・インテシファイヤ)を使用できる。
3.3.平面検出器
X線検出器のさらに別の例として、平面検出器を使用できる。この平面検出器は、間接変換型および直接変換型のいずれであってもよい。
上述した各種の検出器は好適には、2次元の大きいX線入射面サイズを有する2次元検出器であることである。2次元検出器のサイズが大きければ、検出器固定の場合でも、管球を動かしたときの全ての焦点位置からのX線を入射させるこができる。
また上述した各種の検出器には、A/D変換器を内蔵または付加して、読み出したX線透過データを最終的にデジタル量で出力することが望ましい。
3.4.固定陽極X線管
X線管の一例として、固定陽極X線管を使用できる。固定陽極X線管は、スリップリングを用いる場合、低圧スリップリングでよく、また焦点サイズを小さくできるので、分解能が向上する。
3.5.回転陽極X線管
X線管の別の例として、回転陽極X線管を使用できる。回転陽極X線管は、スリップリングを用いる場合、高圧スリップリングとなる。
4.スキャン軌道
断層撮影を行うには、一般には、管球と検出器、または管球を移動させながらスキャンを実施する必要がある。このスキャンにおいて、管球と検出器、または管球を移動させる軌跡がスキャン軌道と呼ばれる。原則的には、管球のみを移動させることで撮影は可能であるが、撮影視野を稼ぐために検出器も合わせて移動させることが多い。
このスキャン軌道は通常、予め設定されている。撮影時には、設定してあるスキャン軌道に基づき管球と検出器、または管球の移動が制御される。スキャン軌道は撮影時間や撮影の質を決める重要なファクタの1つである。
4.1.スキャン軌道
管球と検出器、または管球のスキャン軌道は、図15(a)〜(c)に示す如く直線であってもし、図16(a)〜(c)に示す如く同一面状で2次元曲線であってもよいし、さらに、図17に示す如く3次元曲線であってもよい。すなわち任意の軌道が可能である。
4.2.検出器のスキャン軌道
検出器を移動させる場合、座標系において平行(2次元または1次元)に移動させてもよいし、また、円弧など3次元状に移動させてもよい。回転による移動も可能である。すなわち、任意の軌道が可能である。
4.3.検出器の管球への正対
スキャン軌道に関わる例の一つに、検出器14を常に管球12に正対させる(X線の曝射中心方向に対して検出面が垂直になること)移動制御がある。図18に示す如く、例えば、X線管12が実線図示の状態F1から仮想線図示の状態F2に円弧状に移動したとする。これに呼応して、X線検出器14を実線図示の状態F1(この状態でX線検出器のX線入射面はX線管に正対している)から仮想線図示の状態F2に円弧状に移動させ、X線検出器14をX線管12に再び正対させる。
これにより、X線管12が例えば3次元曲線を軌道として移動する場合でも、X線検出器14のX線入射面とX線管12との正対関係を常に保持することができる。この結果、従来のアナログ式X線断層撮影装置とは異なり、X線検出器14の視野を常に最大限に利用できる。
4.4.閉曲線のスキャン軌道
スキャン軌道の別の例として、閉曲線のスキャン軌道が挙げられる。例えば図16(b),(c)に示すスキャン軌道は、始点と終点とが一致する閉曲線になっている。このスキャン軌道を採用すると、スキャン終了位置はスキャン開始位置になるので、連続的に間断無くスキャンを複数回実行できる。
また、この閉曲線のスキャン軌道を使って、間欠スキャンを実施してもよい。例えば1回スキャンを実行した後は、スキャンを所定時間休止し、休止後に再びスキャンを実行するものである。これは造影剤を血管に注入して、その広がりを撮影するダイナミック収集に好適となる。
4.5.非閉曲線のスキャン軌道
スキャン軌道のさらに別の例として、非閉曲線のスキャン軌道が挙げられる。例えば図16(a)に示すスキャン軌道は、始点と終点とが一致しておらず、開く曲線になっている。しかしながら、1回スキャンが終了する度に、軌道終点から軌道始点までスキャン位置を戻すことで間欠スキャンが可能になる。この間欠スキャンはダイナミック収集に好適である。
4.6.周天円運動のスキャン軌道
スキャン軌道のさらに別の例として、周天円運動が挙げられる。このスキャン軌道は例えて説明すると、太陽の周りを回る衛星の軌道である。このスキャン軌道を達成するには、例えば図19(a)に示す如く、X線管12を回転可能な2軸で支持させる。支持アーム60から回転支持機構62を介して子アーム64がYZ面で回転可能に支持され、この子アーム64から別の回転支持機構66を介して孫アーム68が同じくYZ面で回転可能に支持されている。
これにより、子アーム64を回転させながら、孫アーム68を回転させることにより、図19(b)に示す如く、周天円運動のスキャン軌道となる。このスキャン軌道を実現するには、逆に、子アーム64および孫アーム68の回転速度などの情報を予め設定しておけばよい。この周天円運動のスキャン軌道により、管球自体の移動量は少なくても、また検出器のX線入射面が比較的小さくても、大きな撮影範囲を得ることができる。
4.7.撮影視野を移動させるスキャン軌道
スキャン軌道のさらに別の例として、撮影視野を移動させながら複数回スキャンするためのスキャン軌道がある。このスキャン軌道は、例えば図20に示すように、管球および検出器がYZ面において同期して円状を描き、この円状軌道が完了すると、管球および検出器をZ軸方向に移動させて再びYZ面において同期して円状を描かせ、以下、これを複数回繰り返すものである。このスキャン軌道を得るには、例えば前述した図19において、孫アーム68のみを回転させながら、支持アーム60全体を間欠的に直線的に移動させればよい。
これにより、円状のスキャン軌道を例えばZ軸方向に並べた軌道ができ、撮影視野を除去にZ軸方向にずらすことができる。撮影視野をずらす方向はZ軸方向以外であってもよいし、また各回のスキャンの軌道は円状以外の形状、例えば楕円状であってもよい。このスキャン軌道は焦点軌道および検出器サイズが比較的小さいときに有利で、複数回のスキャン全体で広い撮影範囲になる。
なお、図20において、管球および検出器を回転させながら、かつ両者を連続的に直線移動させてもよい。これにより、円状軌跡が直線的に連なったスキャン軌跡が得られる。
4.8.管球と検出器の周期をずらすスキャン軌道
スキャン軌道のさらに別の例として、管球と検出器の周期をずらしながらスキャンするための軌道がある。このスキャン軌道を図21に例示する。この例の場合、管球をn回(n>1、例えば10回、各回の周期は例えば1sec)連続的に回転させてその焦点に円状のスキャン軌道を描かせている間に、検出器を図中の位置aから位置bまで直線的に所定時間毎(例えば1秒毎)または連続的に移動させる。
これにより、同一の所望スライス面Sにおいて、管球と検出器の周期(時間)が位置により互いにずれる。このため、スライス面Sに沿って流れる血流BDの観察に的しており、また、所望スライス面以外の画像を良好にぼかすことができる。
管球のスキャン軌道は円状ではなく、周天円運動を行うスキャン軌道であってもよい。検出器のスキャン軌道も直線状でなくてもよい。
4.9.管球の2軸運動と検出器の1軸運動によるスキャン軌道
また別の例として、管球を前述した19(a)のように2軸64、68で動かし、かつ、検出器を1軸で動かすときのスキャン軌道がある。管球側および検出器側の双方の軸の動かし方により、例えば、管球の周天円運動によるスキャン軌道と、検出器の直線運動によるスキャン軌道とを組み合わせたスキャン軌道ができる。
4.10.スキャン軌道、軌道半径の選択
スキャン軌道に関わるさらに別の例は、スキャン軌道および/または軌道半径の選択に関わる。従来のX線断層撮影装置ではスキャン軌道の形状や軌道半径は予め固定されており、決められたスキャン軌道、軌道半径しか使用できない。しかし、この実施形態では、前述したように装置自体で(天井から支持せずに)管球および検出器を多自由度で支持するUアームやCアームを用いることができる。そこで、このアームを駆動する制御装置に、予め複数のスキャン軌道や軌道半径を指令するデータを記憶させておき、オペレータがそのスキャン軌道や軌道半径を選択できるようにする。これにより、撮影視野や撮影部位に応じたスキャンを的確にかつ迅速に指令できるようになる。
4.11.複数のスキャン軌道の機構の組み合わせ
さらに別の例は、複数のスキャン軌道を実現できる機構を任意に組み合わせることである。例えば、管球側に周天円運動、円運動、および直線運動のいずれかスキャン軌道を描く支持機構を採用し、検出器側に直線運動のスキャン軌道を描く支持機構を採用する組み合わせがある。
4.12.数値的に任意のスキャン軌道
さらに別の例は、任意の数値を与え、その数値に沿ったスキャン軌道を描かせる手法に関する。スキャン軌道を得る上で、前述したように装置自体に固有の管球・検出器支持機構を備え、その支持機構が複数の支持軸を有しているので、その支持軸の運動を数値で制御し、例えば任意のサイン波状のスキャン軌道を得ることができる。
5.データ収集
次いで、本発明に係るX線断層撮影装置の「データ収集」に関するカテゴリに分類される特徴を説明する。
このX線断層撮影装置では、少なくとも管球を連続的に又は間欠的に移動させながら、管球焦点から曝射されかつ被検体を透過してきたX線を検出器で検出することで、各曝射時のX線投影データ(フレームデータ)が収集される。この曝射/検出を複数回繰り返して1回のスキャンが達成される。後述するように、少なくとも1回のスキャンを行って得た複数フレームの投影データに基づき、任意スライス面の画像再結合を行ってそのスライス面の断層像が得られる。スキャンは必要であれば複数回、実施される。
「データ収集」のカテゴリに関する特徴は、このスキャン時の種々の特徴を表すものである。この例を以下に項目別に詳述する。
5.1.イメージインテンシファイヤ(I.I.)の分解能可変
特徴の一つの例は、検出器にI.I.を使用した場合に関する。I.I.において電子拡大によって分解能を可変にする。これにより、簡単に分解能を制御できる。
5.2.スキャン軌道に合わせたデータ収集
別の例は、データ収集の例えばタイミングをスキャン軌道の、とくに形状に合わせることである。例えば図22(a)に示すように、管球、検出器共に楕円状のスキャン軌道を採用していたとする。このような形状のスキャン軌道の場合、楕円の小さい曲率の円弧部分でその他の部分よりも軌道運動速度が下がることがある。このような場合、検出器の投影データ収集のタイミングが同図(a)のように時間的に均等であるとすると、小さい曲率の円弧部分での空間的な収集密度が等価的に他の部分よりも高くなる。この結果、同図(b)に示すように再結合画像に、かかる小さい曲率の円弧部分の形状に似たアーチファクトAFが表れることがある。
これを防止するため、同図(c)に示すように、小さい曲率の円弧部分の投影データ収集のタイミングをそのほかの部分よりも時間的に粗にする。つまり、スキャン軌道の形状に合わせてデータ収集タイミングに粗密を設ける。このタイミング制御は、制御装置が現在の管球、検出器の位置がスキャン軌道上のどの位置にあるかを認識し、その認識結果に応じて収集タイミングを制御すればよい。この結果、スキャン全体としては空間的に均等な周期のデータ、つまり、時間的に不均等に設定することにより、空間的に均等にする。
このデータ収集タイミングは、検出器によるデータ検出タイミングであるのみならず、管球がパルスX線を曝射するようになっている場合、管球の曝射タイミングでもある。
なお、データ収集タイミングを変える手法に代えて、スキャン軌道上の移動速度を例えば曲率が大きくなるほど遅く(曲率が小さくなるほど早く)するなど、相対的に、移動速度の方を制御してもよい。
5.3.パルスX線の利用
また別の例として、管球から曝射するX線をパルスX線に設定してもよい。この場合、検出器のデータ検出のタイミングもこれに準じる。
5.4.投影データに基づくダイナミックレンジの制御
さらに別の例は、検出器が検出した透過X線の投影データ(フレームデータ)を使って検出器のダイナミックレンジを制御する、ことである。この実施例には、以下の2通りの態様がある。
5.4.1.管球の出力調整によるダイナミックレンジの制御
例えば、投影データの画素値を判断して、この判断結果を管球にフィードバックさせる。例えば、画素値がダイナミックレンジのオーバフローを示している場合、管球出力を下げる調整を自動的に行わせ、オーバフローを防止する。
5.4.2.検出器のゲイン調整によるダイナミックレンジの制御
また別の例として、検出器のゲイン調整がある。X線検出器には前述したようにA/D変換器が搭載されているから、そのA/D変換器の積分器のゲイン(感度)を投影データの画素値の判断結果に応じて調整する。例えば、画素値がダイナミックレンジのオーバフローを示している場合、ゲインを下げる調整を自動的に行わせ、オーバフローを防止する。
5.5.連続X線の利用
別の特徴として、管球を連続X線のモードで稼働させることが挙げられる。
5.5.1.データ収集タイミング(位置)を点で定義
連続X線モードの場合、管球の焦点からは時間的に連続してX線が照射されている。このため、検出器は図23に示すように、フレームデータの収集期間毎に、透過X線のエネルギ(電荷)を時間と共に蓄積(積分)させ、そのフレーム期間の適宜な点位置のタイミングで蓄積エネルギを検出するようにする。この点位置に設定には、以下の2つの態様がある。
5.5.1.1.収集時間の重心
この例の場合、あるフレームデータの収集期間が図23に示す如く、t1〜t2(スキャン軌跡L上の位置はL1〜L2)であるとすると、この態様の場合、収集時間の重心、すなわち中心時刻の位置で決める。例えば、かかる1フレームに対する収集タイミング=(t1+t2)/2で決まる。
この態様での収集タイミングは、フレームデータの収集時間t1,t2,t3,…から予め計算しておいて、スキャン実行時には計算してある収集タイミングに沿って検出器に収集指令を与えるようにすればよい。
5.5.1.2.スキャン軌跡の重心
この例によれば、フレーム毎のスキャン軌跡の重心(距離)を予め計算しておいて、この点位置としての重心位置に到達した収集タイミングを検出器に指令する。図23の場合、例えば、かかる1フレームに対する収集タイミング=(L1+L2)/2で決まる。
なお、直線のスキャン軌跡上を等速度で移動している場合のみ、収集時間の重心による収集タイミングとスキャン軌跡の重心による収集タイミングとが一致する。
5.6.複数回のスキャンによるDSA
さらに別の特徴として、被検体の同一部位を複数回スキャンしてDSA(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィ:Digital Subtraction Angiography)を行うことができる。これにより、血管に注入した造影剤の動き(変化)を検出したり、ある部位の手術の前後における変化を診る場合に好適となる。
5.6.1.投影データでの差分
この例としては、投影データ同士の差分がある。最初のスキャンにおいて各ビューで得た投影データをマスクデータとして保存する。次回以降のスキャンにおいて各ビュー毎に、マスクデータ(投影データ)と収集した投影データとの差分を演算する。そして、後述する画像の再結合においては、複数フレームの差分データを加算して断層像を得る。
5.6.2.断層像データまたはボクセルデータでの差分
別の例としては、再結合して得たあるスライス面の2次元の断層像データまたは複数のスライス面それぞれについて再結合して得た3次元のボリュームデータの状態で差分をとってもよい。この場合も、例えば最初のスキャンで得た断層像データまたはボリュームデータをマスク像として、それ以降のスキャンで得た断層像データまたはボリュームデータとの差分をピクセル毎に演算する。これにより、経時的な変化を診ることができる。
5.6.3.マスク像データの収集タイミング
上記マスク像を収集するタイミングは、必ずしも第1回目のスキャンに限定されず、観察したい変化量の性質、状態に応じて、複数回のスキャンの内の中間のスキャン、最終スキャンなど任意に時期に設定できる。
5.6.4.差分後に非線形処理
さらに、この差分演算後の処理例として、非線形処理を行うことができる。
5.6.4.1.非線形処理はしきい処理
具体的な非線形処理として、しきい値処理がある。差分演算によって得たデータを所定のしきい値でさらに弁別し、しきい値以下の差分データを強制的に零に設定する。これにより、背景のコントラストを圧縮し、全体のデータ量を減らすことができる。
5.7.補償機構の設置
さらに別の特徴として、ウオーターベットやX線CTスキャナで実施されているウェッジフィルタのような補償機構を設けてもよい。これにより、ダイナミックレンジを拡大させることができる。
5.8.ストロボ撮影
さらに別の特徴として、パルス造影によるストロボ撮影が挙げられる。
5.9.心電同期スキャン
さらに別の特徴として、心電同期スキャンを実施してもよい。パルス造影の周期に代わるものとして、心拍周期を用いる。
6.データ選択
次いで、本発明に係るX線断層撮影装置の「データ選択」に関するカテゴリに分類される特徴、例を説明する。
このX線断層撮影装置における画像再結合は、各フレームの投影データから「データを選択」し、そのデータをスライス面のボクセルそれぞれに足し込む処理が行われる。このときの「データ選択」の処理は、管球および検出器を互いに平行に移動させたときに最も簡単な処理になる。
つまり、焦点(管球)および検出器の位置を検出して、画像再結合に必要な各フレームの投影データのシフト量を算出するとともに、そのシフト量を適宜に補正するようになっている。つまり、最初からシフト量を決めておくのではなく、焦点および検出器、または、焦点を適宜に移動させてスキャンを実施してからシフト量を算出することを可能にしている。このようにシフト量を後から自在に算出できるので、スキャン時の焦点、検出器の移動パターンの選択の幅が広がるなど、スキャン条件の設定の容易化が計られる。
6.1.位置検出手段の利用
1つの特徴は、位置検出手段によって、焦点および検出器、または焦点の位置を検出する手法である。この場合、各ビューの透過データ検出時の位置情報を記憶し、この位置情報に合致する画素の投影データを各フレーム毎に選択する。
6.1.1.内部に設けた位置検出手段
位置検出手段の例として、まず、移動機構16内に設けたエンコーダ、ポテンショメータなどの位置検出手段が挙げられる。この位置検出手段は、例えば図10、図11で示した位置センサ36a,36bで構成される。
6.1.2.外部に設けた位置検出手段
位置検出手段の別の例は、装置の移動機構16の外部に設けた手段である。この例として、例えば、焦点の熱から焦点位置を検出する赤外線検出器がある。この赤外線検出器を焦点の移動空間範囲に向けて固定設置しておけばよい。
6.2.マーカの利用
位置検出の別の特徴として、X線透過率が被検体とは異なるマーカを付する手法がある。これにより、各投影データにマーカも写り込む。複数フレームの投影データについて、このマーカの位置を算出することで、画像再結合のためのデータ選択に必要な投影データ内の位置情報を得ることができる。
具体的一例として、図24に示すように、マーカM1(x1,y1,z1)、M2(x2,y2,z3)、M3(x3,y3,z3)を焦点S(x,y,z)と検出器14との間に与える。投影データからマーカM1,M2,M3の座標について9個の連立法定式を解けば、焦点Sの位置が分かり、焦点の相対的な移動量が分かる。つまり、図24の場合、マーカは3個在るので、検出器14の6変数も解けて、検出器14と焦点Sの位置が分かる。なお、検出器14の位置がわかっている場合、3変数になるので、マーカは1つでもよい。
6.2.1.マーカを被検体に付与
マーカはその一例として、被検体に付してもよい。
6.2.2.マーカを寝台に付与
また、マーカは寝台(天板)に付してもよい。
6.3.マーカを利用した定常的位置ずれの補正
データ選択に係る別の特徴として、マーカを利用して定常的な位置ずれを補正することもできる。例えば図25に示すように、カバー体70内で移動するX線管12の前面に板体62を設け、この板体62にマーカとしてのピンホールM1〜M3を形成しておく。スキャン前に、このピンホールM1〜M3を使って位置補正用データを収集しておき、スキャン時の投影データをその位置補正データで補正するようにすればよい。これにより、機械的がたつきなどの定常的な位置ずれを補正することができる。
このマーカM1〜M3は寝台側に付してもよい。
7.画像再結合前のデータ処理
次いで、本発明に係るX線断層撮影装置の「画像再結合前のデータ処理」に関するカテゴリに分類される実施例(特徴)を説明する。このカテゴリのデータ処理は原理的には必ずしも実施しなくてもよい。しかしながら、後に再結合する断層像の品質を向上させるためにも、以下に例示する特徴(処理)の1つまたは複数を適宜に組み合わせて実施することが望ましい。
7.1.散乱線補正
1つの特徴として、散乱線補正の実施が挙げられる。この散乱線補正は原理的には任意の手法や機構でよい。被検体や寝台で散乱したX線の除去、または補正により取り除くことが望ましい。
7.1.1.グリッドなどによる物理的除去
散乱線補正の具体例として、図26に示す如く、グリッドなどの遮断体76(以下、グリッド)をX線検出器14のX線入射側前面に配置する手法がある。これにより、散乱線が検出器に入射しないように物理的に遮断する。
7.1.1.1.グリッドは常に固定
好適なグリッド配置の例として、グリッドを固定配置する。検出器により検出される投影データにはグリッドの跡は写るが、投影データからのデータ選択の位置は各ビュー毎に変わる。したがって、グリッドの跡は再結合された断層像からは自動的に消える。
7.1.1.2.グリッドの移動
グリッド配置の別の例として、スキャン中にグリッド76全体を移動させてもよい(図26参照)。このとき、好適には、グリッド自体が自分の跡を消すように移動させると、なお良い。
7.1.1.2.1.具体的軌道
配置したグリッド76を移動させるときの具体的な軌道としては、例えば、円軌道、8の字軌道、往復軌道などである。
7.1.1.3.グリッドの形状の例
グリッドの別の例として、図27に示すように、グリッド76を形成している各羽根が焦点S(X線管)を向くようにコーン状を成していてもよい。これにより、透過X線を効率良く入射させ、散乱X線を効率良く遮断できる。
7.1.1.4.可動式グリッド
グリッドのさらに別の例として、図28(a),(b)に示すように、グリッド76を形成している複数の羽根のそれぞれを可動式にした構造を挙げることができる。この複数の羽根がスキャン中に常に焦点Sの方向を向くように制御すればよい。
7.1.2.散乱線の数学的除去
散乱線補正に係る別の例は、散乱線を演算により数学的に除去するものである。この数学的除去は、上述したグリッドに拠る物理的除去と併用してもよいし、単独で実施してもよい。
この数学的除去の具体的手法としては、例えば、
・"A technique of scatter-glare correction using a digitalfiltration" Michitaka Honda et al., Med. Phys. 20(1), Jan/Feb 1993 pp.59-70
が知られている。このため、投影データを収集した段階で、画像再結合前に、これらの適宜な数学的除去の演算(PSFなど)を例えば、制御・処理装置18内のコンピュータを使って実施すればよい。
7.1.3.散乱線量の算出
さらに別の例は、散乱線量を算出し、この算出値で収集データを補正する構成に関する。この散乱線量はスキャンパラメータなどの情報を基づいて算出する。スキャンパラメータとしては、ビームエネルギ、被検体厚、視野サイズ、被検体と検出器との間の距離などが加味される。この算出例としては、例えば下記の文献のものが知られている。
・"Method for estimating the intensity of scattered radiation usinga scatter generation model" Michitaka Honda et al., Med. Phys. 18(2),Mar/Apr 1991 pp. 219-226
7.2.非線形処理
また別の特徴として、収集した投影データの各画素データに非線形処理を施し、コントラスト改善を図ることが挙げられる。
7.2.1.ガンマ変換
具体的な非線形処理の一例は非線形なガンマ変換であり、例えばルックアップテーブルで処理できる。
7.2.2.フィルタ処理
また別の非線形処理の例として、しきい値処理やメジアンフィルタなどの適宜なフィルタ処理であってもよい。
7.3.対数処理
さらに別の特徴として、収集した投影データの各画素データに対数演算を施すことが挙げられる。これにより画素データのレンジを圧縮できるとともに、線吸収係数を直接反映させた再結合用の画像データが得られる。
7.4.ビーム広がり/検出器傾斜角を補正
さらに別の特徴として、「cos項」でX線ビームの広がりや検出器の傾斜角の補正がある。
7.4.1.
具体的な一例として、図29に示すように、被検体のスライス面の厚さ方向のパスを補正する。あるボクセルに対するペンシルビームX線の角度(焦点Sを通る鉛直線からの振り角)をθとするとき、投影データの各画素データに「cosθ」を掛ける。
7.5.再結合前のフィルタ処理
さらに別の特徴として、再結合する前に、各種のフィルタ処理を施すようにしてもよい。このフィルタ処理は、例えば制御・処理装置18によりソフト的に実施される。
7.5.1.等方的フィルタ処理
このフィルタ処理の一例としては、フィルタの処理方向が等方的なフィルタ処理がある。
7.5.2.非等方的フィルタ処理
また別の例として、フィルタの処理方向が非等方的なフィルタ処理がある。
7.5.2.1.この非等方的なフィルタ処理の処理方向として、焦点の移動方向に合わせる手法が好適である。これにより、焦点の移動方向に沿って生じる恐れがあるアーチファクトを除去できる。
7.6.動き成分(ほかのスライス成分)の除去
この特徴は、同一スライス面の複数フレームの投影データについて動き成分を除去することに関する。この除去演算は、例えば制御・処理装置18のコンピュータによって実施する。
ここでの「動き」は、フォトンノイズに加え、目的とするスライス面以外のスライス面(ほかのスライス面)の構造物の投影位置が、焦点の移動方向および移動距離に対応した方向と距離に変わる状態を言う。例えば図30に示すように、X=X1のスライス面におけるX=X2の構造物の動きMは、
[数1]
M(X1,X2)=B(X2,A(n))−B(X1,A(n))…… (1)
で表される。A(n)は焦点の動きを表す。A(n)が2次元の量のときは、当然に構造物の動きMも2次元の量であるが、パルスX線で1フレーム毎に動き検出するときは直線になる。
例えば100フレームの投影データを加算(再結合)する場合、目的とするスライス面のデータは同一画素位置に100回加算されるが、ほかのスライス面の構造物のデータは同一画素位置には1回しか加算されない。これにより、ほかのスライス面の構造物の信号が目的スライス面の信号から相対的に低くなって、目的スライス面の画像が生成される(再結合)。これはまた本発明の撮像原理でもある。しかしながら、逆の見方をすれば、目的スライス面にはほかのスライス面の構造物の信号が必ず100か所に加算されている。これは、本発明の画像原理上の宿命でもあるが、コントラスト分解能を低下させる。
そこで、この目的スライス面に加算されたほかのスライス面成分(ここでは、動き成分という)を除去する。
7.6.1.データ差分による動き検出
この動き成分の除去処理に関する一例として、フレーム間の差分を演算することで、動き成分を検出する。例えば図31に示すように、2つのフレームの投影データA,Bがあるとき、双方の対応する画素毎に「A−B」の差分を演算する。この差分データ(フレームデータ)が動き成分となる。
この動き成分「A−B」が求まると、その絶対値|A−B|を使って、例えば、最初のフレームの投影データAについて「A+B−|A−B|」の演算を行って動き成分を除去する。この動き成分除去の演算を例えば隣接フレーム間で繰り返していくことにより、動き成分が各フレームから良好に除去される。このため、ほかのスライス面の成分が殆ど無い高画質の投影データのみを使って、後述する再結合処理を行うことができる。
7.6.2.しきい値付き動き成分検出
別の動き検出の例としては、上記差分演算にしきい値弁別を加えた方式が在る。つまり、図31に模式的に示すように「A−B」の差分を演算した後、所定のしきい値処理を行う(図32の差分データの変動の様子の例を参照)。このしきい値は例えばノイズ成分を除去できる値に設定しておけば、動き検出とノイズ成分の除去とを併せて実行できる。
7.6.3.隣接しないデータ間の動き成分検出
さらに別の例として、上述した動き成分の検出を隣接しないフレーム間、例えば第1フレームと第11フレームとの間のように、1または数フレームを飛ばしたフレーム間で動き成分を検出してもよい。これにより、隣接フレーム間では検出できないような微細な動き成分も検出できる。
7.6.4.検出方向制限付き動き成分検出
ところで、この動き成分(他のスライス面の成分)は焦点の移動方向とは相対的に反対の方向に動き、それ以外の方向には動かない。そこで、動き成分検出の別の例として、動き成分の検出方向を特定の方向に制限して、検出の容易化を図ってもよい。
7.6.4.1.焦点移動方向に依存する方向
具体的には、検出方向は焦点の移動方向に沿った±の2方向のみに限定した動き成分検出が好適である。例えば、フレーム毎に焦点の移動方向を追跡する処理を行い、動き成分検出はその方向に沿った±の2方向についてのみ行う。
7.6.5.動き成分検出の処理の停止
この例は、動き成分検出の処理を強制的に停止する態様に関する。例えばDSAを行うときのように、造影剤を被検体に注入して、造影剤をフレーム毎に追跡するような場合、造影剤の動きそのものが観察対象である。そのようなときには上述した動き成分の検出処理を強制的に停止させる。例えば制御・処理装置18がオペレータからの情報に応答して、かかる停止を行えばよい。
7.6.6.複数フレーム加算後の動き成分検出
動き成分検出のさらに別の例は、検出時のフレーム数のバリエーションに関する。上述した検出例はフレーム1枚ずつ検出する場合を想定していたが、本例では複数フレームを合体して同様に行うことができる。例えば、第1〜第3の3フレームの投影データを相互に加算し、第4〜第6のフレームの投影データを相互に加算し、この加算した両グループの投影データ間で上述したと同様の差分演算、しきい値付き差分演算、検出方向制限付き差分演算などを実行する。
このように、複数フレームの加算をベースにすることで、S/N比を向上させることができる。
7.6.6.1.しきい値の可変
しきい値付き差分演算を行うときには、しきい値を加算数に合わせて変えることができる。
7.6.7.動き成分検出の別の方法
動き成分を検出する別の方法は、2のフレームの投影データA,Bがあるとき、画素毎に、A+B−ω|A−B|(ω:重み付け係数)の式に基づく重み付け(しきい値も)を加味した差分によって求めることができる。
7.7.検出器内部の歪みを補正
本カテゴリに分類される特徴のさらに別の1つは、検出器内部の歪みの補正に関する。検出器内部とは、I.I.などの検出器のX線入射面から内部のD/A変換器に至る経路全体を言う。この歪みが在ると、例えば直線を表すX線が入射しても、曲線を表す信号として出力される、などの現象が生じる。この結果、再結合される断層像に歪みが生じる。
そこで、検出器のX線入射面にX線透過率が異なるマーカを付し、補正データを収集して、この補正データに基づいて検出器内部の歪みを補正するものである。この補正演算は制御・処理装置18で実施できる。図33および図34にマーカMの例を示す。
7.7.1.スキャンと同時に補正
この歪み補正の一例として、例えば図33に示すように、点状の複数のマーカMが2次元的に分布するようにX線検出器14の入射面に付すことができる。この点状のマーカの場合、実際の投影データに写り込んでも、そのデータ内容に殆ど影響を与えない。したがって、スキャンと同時に補正データを収集してダイナミックに補正演算を行うことができる。
7.7.2.スキャン前の補正データ収集
また別の例として、例えば図34に示すように、格子状のマーカMをX線検出器14の入射面に付すことができる。この場合には、スキャンと同時の補正データ収集は難しいので、スキャン前に補正データを収集・演算しておいて記憶しておく。そして、スキャンのときには、記憶しておいた補正データを読み出し、この補正データにしたがって収集した投影データを補正演算する。
7.7.2.1.スキャン軌道との一致
スキャン前に補正データを収集しておく場合、その収集のためのスキャン軌道を投影データ収集のためのスキャン軌道に一致させることが望ましい。
7.8.他スライス面の構造物の除去
さらに別の特徴として、リプロダクションデータから他のスライス面の構造物のデータを計算し、除去することが挙げられる。
8.画像再結合
さらに、本発明に係るX線断層撮影装置の「画像再結合」のカテゴリに分類される特徴、実施例、バリエーションを説明する。この画像再結合は、複数のビューで収集した複数フレームの投影データを加算して任意スライス面の断層像を得る処理である。具体的には、ビュー毎の管球焦点、スライス面、検出器の幾何学的関係(ジオメトリ)にしたがって、複数フレームそれぞれの投影データからスライス面のボクセルそれぞれに該当するデータを選択し、加算する処理である。すなわち、画像再結合を行うには、所望のスライス面に対して、各フレームの投影データのどのデータを選択すべきかを示すデータ選択の情報が必要である。
このデータ選択の情報は、管球および検出器が例えば相対的に平行して直線で移動するときには、その直線方向のシフト量として表現できる。本発明では、管球/検出器がそのように1次元で移動する場合は勿論のこと、3次元の任意の移動までをカバーして画像再結合できるようにしたことが、基本的な特徴の一つである。
8.1.画像再結合処理の一般化表現
本発明では前述したように、スキャンとしては、少なくとも管球の焦点を被検体および/または検出器に対して相対的に移動させながら複数ビューの投影を行えば足りる。つまり、スキャンに伴うコンポーネントの移動の態様としては、管球(焦点)のみの移動、管球と検出器の移動、それらの移動と天板(被検体)の移動との組み合わせ、天板(被検体)のみの移動がある。管球および検出器の移動の軌道は任意の3次元まで可能である。
そこで、最初に本発明で実施される画像再結合処理を3次元まで拡張して、管球焦点や検出器の移動軌道に依存しないように一般化した画像再結合の表現を説明する。本発明はいずれの断層撮像の場合も、この画像再結合を実施することを必須とする。この画像再結合の処理は制御・処理装置18で実施される。
いま、図35に示すように、
管球焦点の座標:S(sx,sy,sz)
所望のスライス面のボクセルの座標:V(vx,vy,vz)
検出器面または投影データの位置を表す平面の法線ベクトル:
(e1,e2,e3)
検出器面または投影データの位置を表す平面に含まれるある点:
(pl1,pl2,pl3)
とすると、焦点とボクセルを結ぶ直線の方程式は、
Figure 0004327801
が求まる。
上記直線の方程式(2)と検出器の交点に、ボクセルV(vx,vy,vz)の画像再結合に使うデータが存在することになる。したがって、一般的には、検出器面または投影データの位置を表す面(平面または曲面)と上記直線の交点を求めればよい。検出器面または投影データを表す面を平面とすると(かかる面が曲面であっても、一度リサンプリングを行えば平面に作り替えることができるので、かかる面を平面とする)、
[数3]
el・(x−pl1)+e2・(y−pl2)+e3・(z−pl3)
=0 ……(3)
が得られる。式(3)を満たす座標(x,y,z)は、ベクトル(e1,e2,e3)を法線とし、座標(pl1,pl2,pl3)を含む平面内に存在することになる。交点は式(2)と式(3)の連立方程式を解けばよい。すなわち、式(2)を式(3)に代入して、
Figure 0004327801
が得られるので、この式(4)を式(2)に代入して交点の座標P(x,y,z)が得られる。すなわち、この座標P(x,y,z)が、画像再結合のために選択する投影データの絶対座標系での位置座標である。
画像再結合の処理では、フレーム毎に移動している複数フレームの投影データから、この絶対座標系の座標Pに相当する画素位置の投影データを選択してボクセルVに加算すればよい。この投影データの選択には、管球焦点、被検体(寝台)、検出器のジオメトリの相対的移動の情報を使用する。この加算はスライス面の全ボクセルについて実行される。
ところで、上述した点Pの座標(x,y,z)は絶対座標系であるから、図36のように、検出器のある位置pc(xc,yc,zc)を基準にした相対座標系p(i,j)に変換した方が、検出器の素子の特定(データ選択)はより容易になる。このためには、
[数5]
p(i,j)=あるビューで検出器が検出したi行j列の投影データ
i=F[P(x,y,z)−pc(xc,yc,zc)]
j=G[P(x,y,z)−pc(xc,yc,zc)]
F,G:変換関数
……(5)
に基づく算出を行う。
このように求めた交点P(x,y,z)の投影データp(i,j)を順次加算していけばよいので、一般化表現の最終式は、
Figure 0004327801
で表される。この複数ビューを加算するときに、特定のビューには重み付け係数を大きく(または小さく)するなどの重み付け処理を併用してもよい。
なお、算出位置p(i,j)に検出器の検出素子が無い場合、投影データは算出位置pに最も近い検出素子が検出した投影データを採用してもよいし、算出位置pの近傍の複数の検出素子が検出している投影データを補間して、その補間データを採用してもよい。
また、前述したように検出器の面は必ずしも平面でなくてもよい。例えば検出器の面は、図37(a)のように円筒状の一部の形状であってもよいし、同図(b)のように凸面状に膨脹した面など、任意形状であってよい。また、検出器面の面内の回転も自在に可能である。一方、スライス面についても、スライス面のボクセル単位で再結合の計算を行うので、平面に限定されず、任意の曲面であってよい。勿論、このスライス面は任意角度に傾斜した平面であってもよい(後述する9.1.項において、MPR像を直接に作ることに相当する)。
8.1.1.画像再結合のための軌道例 (その1)
画像再結合のための管球(焦点)の移動軌道としては、床面(水平と考える)に平行なスライス面内の直線軌道である1次元軌道に限らず、回転を含む2次元軌道、または3次元軌道であってもよい。または予め定めた軌道が無い軌道であってもよい。
8.1.2.画像再結合のための軌道例 (その2)
画像再結合のための検出器の移動軌道としては、床面に平行な1次元または2次元の軌道であっても、また3次元軌道(円弧など)あるいは回転軌道であってもよい。
8.1.3.画像再結合の処理例
この実施例は、収集された複数フレームの投影データから断層画像を得る画像再結合の処理例に関する。図1に示すX線断層撮影装置においては、制御・処理装置18が本発明の画像再結合用の画像処理手段を構成している。この制御・処理装置18により上述した一般化表現に沿って実施される、図67のソフトウエア処理に基づく画像再結合の処理例を以下に説明する。
8.1.3.1 処理例(その1)
制御・処理装置18は、例えば入力装置19からの入力情報に基づいて、被検体の一部を少なくとも含むスライス面としての平面を表示面として設定する(ステップS31)。この平面の被検体に対する傾きは変更可能であり、所望の傾きに設定できる。つまり、被検体の一部を少なくとも含む任意角度のスライス平面を設定できる。次いで、設定した平面に含まれる各座標を決定する(ステップS32)。次いで、焦点と検出器の相対的位置関係に基づき各ビューの投影データから足し込む投影データを選択する(ステップS33)。この投影データの選択は前述した原理(8.1.項)に沿って行われる。次いで、選択した投影データを、決定している座標に足し込む(ステップS34)。この投影データの選択および足し込みは各ビュー及び平面の各座標について繰り返される(ステップS35)。
図67において、ステップS31の処理が本発明の設定手段に相当し、ステップS32の処理が本発明の座標決定手段に相当し、ステップS33〜S35の処理が本発明の断層データ作成手段に相当する。
8.1.3.2 処理例(その2)
制御・処理装置18は、例えば入力装置19からの入力情報に基づき、被検体Pの一部を少なくとも含むスライス面としての曲面を表示領域として設定する(ステップS31)。つまり、被検体の一部を少なくとも含む任意曲面のスライス面を設定できる。次いで、設定した曲面に含まれる各座標を決定する(ステップS32)。次いで、焦点と検出器の相対的位置関係に基づき各ビューの投影データから足し込む投影データを選択する(ステップS33)。この投影データの選択は前述した原理(8.1.項)に沿って行う。次いで、選択した投影データを、決定している座標に足し込む(ステップS34)。この投影データの選択および足し込みは各ビューおよび平面の各座標について繰り返される(ステップS35)。
8.1.3.3 処理例(その3)
制御・処理装置18は、例えば入力装置19からの入力情報に基づき、被検体の一部を少なくとも含む任意の3次元形状のROIを設定する(ステップS31)。次いで、設定したROI内に含まれる各座標を決定する(ステップS32)。次いで、焦点と検出器の相対的位置関係に基づき各ビューの投影データから足し込む投影データを選択する(ステップS33)。この投影データの選択は前述した原理(8.1.項)に沿って行う。次いで、選択した投影データを、決定している座標に足し込む(ステップS34)。この投影データの選択および足し込みは各ビューおよび平面の各座標について繰り返される(ステップS35)。
このように上記8.1.3.1〜8.1.3.3.項のいずれかの処理を実施すれば、オペレータが指定した必要な断面、すなわちスライス面の内部の各座標、または、必要なボリュームの3次元ROI内の各座標についてのみ画像再結合の演算を行えば済むので、画像再結合の演算が早くなるとともに、制御・処理装置18に設けるメモリの容量も少なくて済むという利点がある。
8.1.4.複数スライス面の画像再結合
この実施例は、1回のスキャンで収集された複数フレームの投影データから複数枚の断層画像を得る画像再結合に関する。つまり、この再結合方法を使うと、スキャンを複数回繰り返す必要が無く、最初に1回だけスキャンを行っておいて、投影データを再結合処理する過程で複数枚のスライス面位置を指定して、それらの断層像を得ることができる。
具体的には、前述した式(2)〜(4)または(2)〜(6)の中で、
(i):vx=指定値、vy,vz=可変
にしてあるスライス面の画像再結合を行う。次いで、
(ii):vx=vx+Δx(スライス面間の距離:図38参照)、vy,vz
=可変
にして別のスライス面の画像再結合を行う。以下、任意枚数のスライス面について、(ii)の処理を繰り返す。
これにより、1回のスキャンの投影データから任意位置の複数枚の断層像を得ることができる。
8.1.5.ビューの投影データからのデータ選択法
画像再結合の別の実施例は、ある(各)ビューの投影データからデータを選択する方法に関する。
この実施例は、図39(a)に示すように、4つのボクセルV1,V2,V3,V4で指定される、ある平面状のスライス面内の領域を画像再結合するものである。具体的にはまず、上述した8.1.項で説明した再結合処理をボクセルV1,V2,V3,V4のそれぞれについて合計4回繰り返して、検出器面または投影データの位置を表す面上の対応する位置P1,P2,P3,P4を算出する。次に、スライス面内の任意のボクセルを4つのボクセルV1,V2,V3,V4を用いて一義的に表わす。例えば、任意ボクセルの位置は、図39(b)に示すようにボクセルV1〜V4内の領域を内分する格子に対する点として表される。次に、その任意ボクセルのための投影データの位置を位置P1,P2,P3,P4を用いて表す。例えば図39(c)に示す如く、P1〜P4の領域を内分する格子に対する位置として容易に算出される。
このようにして前もって与えられる4つのボクセルV1,V2,V3,V4の位置を利用して投影データを指定することで、全ボクセルについて前記連立方程式を解くという膨大な量の計算を避け、高速な処理が可能になるといった利点がある。
なお、ここでは4点を直線で結んだ領域の例を示したが、中心位置、長径、短径を与えて楕円領域にするなど、領域の形状と与える座標位置の組み合わせは任意である。
8.1.6.リサンプリングを併用する画像再結合
画像再結合のさらに別の実施例はリサンプリングを併用する手法に関する。
平面状のスライス面を画像再構成する場合、検出器面または投影データを表す面が非平面であると、直線を投影しても直線にならない。直線の投影が非直線になるので、前述した交点Pの計算や加算する投影データの特定が非常に難しく、複雑な計算を大量に行う必要が生じ、実用化が困難になることも想定される。とくに、複数枚のスライス面を画像再結合する場合、かかる傾向が顕著になると考えられる。反対に、検出器面が平面でかつスライス面が非平面の場合も状況は反対であるが、同様の不具合がある。
そこで、直線はあたかも直線で投影されたかの如く画像再結合するとともに、複雑な計算を行わなくても済むように、複雑な計算を1回で計算して高速化することを目的とする。
この実施例では、例えば図40のように検出器面が非平面で、かつスライス面が平面の場合、平面のリサンプリング用の面(リサンプリング面)を用意する。このリサンプリング面はメモリ上に仮想的に設定された面で、スキャン中の全てのビューにおいて管球焦点とリサンプリング面との間の距離は一定値に保持され、かつ、画像再結合するスライス面と平行に設定される。なお、スライス面のボクセル列とリサンプリング面のリサンプリング列を平行に設定することが、より望ましい。しかも、このリサンプリング面はスライス面の形状に合致させるもので、例えば図40に示すようにスライス面が平面の場合、リサンプリング面も平面に設定される。図41に示すように、スライス面が曲面パノラマ状のであれば、リサンプリング面もその形状に合わせる。
そして、図40の場合、非平面の検出器で収集した投影データを、一度、平面状のリサンプリング面にリサンプリングする。次いで、このリサンプリング面にリサンプリングされた投影データを用いて画像再結合のためのデータ選択(サンプリング)し、投影データの加算計算を行う。このリサンプリング面での投影データのサンプリングにおいて、そのサンプリングピッチは、オリジナル(検出器面)のデータサンプリングピッチより小さく設定される。これにより、補間の誤差が抑制される。
このリサンプリング処理によって、検出器の形状および/または移動方向に依存せずに、複数枚のスライス面の断層像を常に高速で再結合できる。
なお、図42にはスライス面および検出器面共に平面状であるが、その傾きが一致しない場合のリサンプリングの様子を示す。この場合のリサンプリング面も上述した原理に基づいて設定される。
8.1.7.検出器が平行移動、焦点が3次元的に移動するときのデータ選択および画像再結合
この画像再結合に関する実施例では、各コンポーネントの移動の態様の典型的な1つとして、検出器を床面(装置の座標系における水平面)に平行に移動させるとともに、管球焦点を3次元的に移動させるときの画像再結合を説明する。
図43(a)に示すように、焦点SがS1からS3に向けて3次元的に移動したことを想定する。焦点Sの移動量を、平行方向移動成分と、垂直方向移動成分とに分解する。つまり、焦点SはS1から平行にS2に移動し、次いでS2からS3に垂直に移動したとものと考える。
i)まず、平行方向移動成分について、スライス面の任意のボクセルVに対し、下式(7)から移動した焦点位置S2からのシフト位置P2(px2,py2,pz0)を求める。
Figure 0004327801
この式(7)の右辺第2項がシフト量(この場合、ベクトル量)である。
なお、この例では任意のボクセルVについて説明したが、前述した図39で説明したように、スライス面内のある領域を限定するためのいくつかの基準ボクセルV1〜Vn(図39の例ではV1〜V4)それぞれに式(7)を適用してシフトした位置を求めてもよい。
ii)次いで、焦点のS2からS3への垂直方向移動成分に関するシフト位置を求める。焦点位置S2およびS3からスライス面と検出器面に下ろした垂線の交点RV(sx2,sy2,vz)とRD(sx2,sy2,pz0)とから、下記式(8)にしたがってシフト位置(px3,py3,pz0)を求め、その位置のデータ選択を行う。
Figure 0004327801
なお、この2回目のシフト位置計算のときにも、第1回目のそれと同様に、スライス面内のある領域を限定するためのいくつかの基準ボクセルV1〜Vn(図39の例ではV1〜V4)それぞれに式(8)を適用して拡大縮小したシフトした位置を求め、残りのボクセルについては、基準ボクセルの位置を利用して計算するようにしてもよい。
8.1.8.管球および検出器を共に平行移動するときのデータ選択
(拡大縮小が必要な場合)
画像再結合を行うには、なんらかの形で各フレームの投影データの中からスライス面の対象ボリュームに加算するデータを選択(データ選択)する必要がある。このデータ選択の位置を最も簡単に算出できる移動の態様は、管球および検出器を共に床面(装置の座標系における水平面)に平行に移動させる場合である。
そこで、本実施例では、これについて説明する。管球および検出器を平行移動させてスキャンする場合、各ビューの投影データを所望のスライス面毎にその平行移動方向のシフト量を変えて加算し、画像再結合することになる。
しかし、投影データにおけるサンプリングピッチ数(例えば400ピクセル×400ピクセルのピッチ)が全部のスライス面を通して等しい。このため、このまま加算したのでは、図44に示すように、複数のスライス面と管球焦点S、検出器面Dの幾何学的関係(ジオメトリ)に因ってスライス面それぞれの空間的なサンプリングピッチは異なる。したがって、加算によって画像再結合したスライス画像は、メモリ上でのサンプリングピッチは等しいものの、空間的なサンプリングピッチ(拡大率)は図44に示す如く異なる。このサンプリングピッチの異なる複数枚のスライス画像を3次元処理したり、シネ表示したりすると、位置、形状などに歪みが生じるという問題があった。
そこで、本実施例では、画像再結合した複数枚のスライス画像をスライス面上で(空間的に)等間隔なピッチでリサンプリングし、例えば図44(a)から同図(b)に示す如く、サンプリングピッチを合わせる(すなわち、拡大縮小処理)。このとき、等間隔ピッチとして、複数枚のスライス画像の内の任意の1枚のピッチを採用する。このようにサンプリングピッチの調整によって、上述した不都合を回避できる。
なお、画像再構成の処理前に、各ビューの投影データをリサンプリング処理して、空間的なサンプリングピッチが等しくなるようにメモリ上でサンプリングピッチを調整し、その後で再結合を行うようにしてもよい。
8.1.9.管球および検出器を共に平行移動するときのデータ選択
(拡大縮小が不要な場合)
この実施例は、管球および検出器を共に平行移動してスキャンするときの別のデータ選択の手法に関する。
(i)最初のビューの投影データを使い、複数のスライス面それぞれについて、前述した8.1.4.項の処理(図38参照)を行う。これにより、画像再結合に使用される投影データがそれぞれのスライス面の各ボクセル毎に特定される。(なお、8.1.項の処理を行って、全ボクセルについて特定するようにしてもよい)。
(ii)次のビューおよびそれ以降のビューの投影データについては、各スライス面に対するシフト量を前記式(6)から求める。直前のビューで画像再結合に使ったデータから求めたシフト量だけずらした位置のデータを、今回のビューの各ボクセルの画像再結合に使用する。(または、あるスライス面に対するシフト量から、幾何学的関係を元に、目的のスライス面のシフト量を求めてもよい。)
このように、複数のスライス面全部でボクセルのピッチ(間隔)を等しく設定しておけば、拡大率の問題に関係なく、データ選択して再結合できる。
8.2.拡大縮小(拡大率)の処理
画像再結合の処理に関する別の特徴として、スライス画像の拡大・縮小して拡大率を合わせる処理を提供できる。スライス画像(ボクセルの画像)の拡大率は焦点側のスライス画像の方が検出器側のそれよりも大きい。つまり、スライス面の高さXに依存してスライス画像の拡大率が異なるので、これを合わせる必要がある。この処理は例えば下記式に基づき実施される。
[数9]
S2(X,Y0,Z0)=S1(X,aY,bZ)
係数a=a(X), 係数b=b(X) ……(9)
なお、画像再結合を上述した8.1.項の一般化表現の式に基づき処理する場合、この拡大率を合わせる処理は不要である。
8.2.1.画像再結合と拡大率調整を1回の処理で実施
投影データを加算(再結合)するときに、加算するデータを指定(選択)するが、そのときに指定位置に一致した位置の画素が無い場合、例えば近傍4点補間を実施することになる。これにより、実質的に画素サイズが大きくなる。この補間データに上述したようにさらに拡大率の調整を行うとなると、データの空間分解能が低下(ぼけ)してしまうので、これを回避するため、下記式により、拡大率の揃った複数のスライス画像を一度に得る処理が望ましい。
[数10]
S3(X,Y,Z)
=Σ(P{n,aY,b(Z+B[X,A(n)])})/N ……(10)
これにより、補間演算は1回で済み、空間分解能は劣化しない。
8.3.ボリュームデータからの任意角度のスライス画像の切出し
さらに別の特徴として、ボリュームデータから任意角度でスライス画像を切り出す処理を提供できる。この処理は、例えば制御・処理装置18により、オペレータとの対話処理の中で実施される。スライス面の指定位置を変えて複数のスライス画像を作成することで、3次元のボリュームデータが得られる。このボリュームデータに対して任意角度を指定し、MPR(断面変換)の処理を施すことで、その任意角度でのスライス画像が得られる。これにより、例えば、コロナル像のボリュームデータからオブリーク像、アキシャル像、サジタル像を任意に作成することができる。
なお、本発明において任意角度のスライス像を得るには、上述したように必ずしも断面変換の手法を用いた切出しを行う必要は無い。本発明では、3次元まで一般化した画像再結合の処理を行ってスライス面のボクセル単位で加算している。このため、画像再結合のときに任意角度のオブリーク面を指定すれば、そのオブリーク面を形成する、空間的に傾いたボクセルそれぞれに投影データが足し込まれる。この結果、投影データから直接、任意角度のスライス面のオブリーク画像を生成することもできる。
8.4.収集と同時の画像再結合
上述した種々の態様にあっては、投影データを収集した後で画像再結合を行うという前提であったが、本発明の画像再結合のタイミングは必ずしもこれに限定されない。つまり、画像再結合のタイミングに係る別の特徴として、投影データの収集と画像再結合(投影データの加算)とを同時に(並行して)実施できるようにしてもよい。この具体例を下記に示す。これは制御・処理装置18の制御および処理によって実現できる。
8.4.1.同時再結合の具体例
この同時の再結合を行うには、スキャン軌道と投影データの収集タイミングとを予め決めておく。つまり、スライス画像を生成するには、各フレームの投影データのどの位置の画素値をスライス面のどの位置のボクセルに足し込めばよいかのデータ選択の情報が予め分かっている。これにより、図45に模式的に示すように、あるビューの投影データを収集したら、その投影データを直ちにスライス面の各ボクセルデータに加算する。その加算の間に別のビューの投影データを収集する。以下、所定のビューにわたってこれを繰り返すことで、投影データの収集と同時に(並行して)画像再結合の処理を行うことができ、迅速にスライス面の断層像を得ることができる。
8.5.重み付け加算処理
さらに別の特徴として、投影データの収集位置(すなわち、スキャン軌道)に依存して重み付け加算をする手法を提供できる。この加算処理も制御・処理装置18による画像再結合処理の中で選択的に実施される。
例えば前述した図22(a)に示す如く、管球が2次元のYZ面上で楕円形のスキャン軌道を描くとする。この場合、曲率半径が小さい部位のビューで収集した投影データには、曲率半径が大きな部位のビューで収集したそれよりも、小さな重み付け係数を乗じて加算する。曲率半径の大小に応じて滑らかに重み付け係数を変えることで、軌道の局所的な偏りに因るアーチファクト発生を抑制または防止できる。さらに、前述した5.2.項で説明した軌道の形状に応じて収集タイミングや軌道上の移動速度を調整するといった複雑な制御を実施しなくても済む利点がある。
8.6.大視野撮影(1)
断層像を得る場合、その断層像の中には医学的に真に関心のある領域が含まれていることは勿論必要であるが、その一方で、関心領域の周辺の部位も極力広く画像化されていた方が都合がよい場合が多い。つまり、視野は広い方が便利である。
この理由から画像再結合の別の特徴として、検出器サイズ以上の大視野撮影が提供されている。この大視野撮影は画像再結合の段階で制御・処理装置18によりデータ処理として実現できる。例えば図46(a)に示すように、X線管12およびX線検出器14が共に円形のスキャン軌道を移動しながらデータ収集を行ったときに、X線パスが1回でも通過した端部の空間領域までをもスライス面領域として指定し、このスライス面全体に画像再結合を実施する。ただし、再結合処理としては加算平均を採用し、単なる加算による画像の濃淡の偏りを排除または抑制することが望ましい。
この結果、再結合した大視野スライス面の断層像は検出器サイズよりも広い視野を有する。この断層像において、中心部ほど加算回数が多く、画像としての精細度、分解能は高くなり、その周辺に加算回数の少ない精細度、分解能が劣る画像領域が並ぶことになる。真に関心の在る領域はスライス面の中心部に合わせておけばよい。これにより、関心領域を取り囲んだ極力、視野の広い断層像を提供できる。
8.7.大視野撮影(2)
大視野撮影に係る別の態様を説明する。この大視野撮影は、撮影視野を移動させながら複数回スキャンし、それぞれのスキャンの再結合画像を位置を合わせてオーバーラップさせるものである。この撮影法は、複数回スキャンさせてデータ収集し、再結合画像を生成した後は、制御・処理装置18による後処理で達成できる。
例えば図47(a)に示すように、管球および検出器を共に円形のスキャン軌道を描かせながら被検体Pの体軸方向に沿って複数回スキャンする。寝台の天板にはマーカM,…,Mを付しておく。各回のスキャンは隣のスキャンで写し込んだマーカを必ず含むようにスキャン軌道を決めておく。この結果、図47(b)のように各回のスキャンに対応して再結合画像IG1,IG2,…が得られるのでマーカの位置を合わせるように再結合画像IG1,IG2,…をオーバーラップ合成させる。この結果、図47(c)に示すように、体軸方向に長い大視野の断層像が合成される。これにより、例えば血流の走行状態を容易に把握できる。
なお、再結合画像をオーバーラップ合成する場合のマーカとしては、必ずしも天板に付したものに限らず、血管など、観察対象そのものをトレースし、これを使って位置決めしてもよい。
また、この大視野撮影において、各画像のオーバーラップした部分を重み付け加算し、その重み付け係数を図47(d)に示す如く滑かに変化させて、各つなぎ目の画像に与える影響を抑制するようにしてもよい。
8.8.加算平均の採用
さらに、画像再結合時の特徴として挙げられるのは、再結合処理として加算平均でもよい、ことである。単純な加算に代えて、この加算平均を使えば、加算回数の違いに伴う画素濃度のばらつきを抑えることができる。
8.9.範囲選択(限定)の画像再結合法
さらに別の特徴として、1つの撮影の中で、画像再結合の対象となる投影データの範囲を選択または限定する手法を提供できる。この特徴は、本発明の画像再結合を行うには、スライス面の各ボクセルを通るX線パスの角度が異なる複数フレーム分の投影データがあれば足りることに由来している。この特徴はダイナミック撮影にも有効である。この特徴は、制御・処理装置18によってデータ収集後に、画像再結合の処理の過程で実施できる。
8.9.1.収集データの一部を使用
この範囲選択(限定)の画像再結合の例を図48に示す。例えば、仮にX線管および検出器のスキャン軌道が図48(a)に示す如く楕円状で、この同一スキャン軌道を複数回周回しながらスキャンを行って1回の撮影を行うものとする。1回の周回には例えば1秒掛かるものとする。
この場合、例えば図48(b)に示すように、各1周のスキャンの間に得られた複数フレームの投影データから1枚の画像を再結合する。つまり、1回目の周回スキャン(時間t=0〜1秒)、2回目の周回スキャン(時間t=1〜2秒)、3回目の周回スキャン(時間t=2〜3秒)、…で夫々断層像が得られる。
また図48(c)に示す如く、画像間の時間ピッチを変えて同様に画像再結合してもよい。つまり、1回目の周回スキャン(時間t=0〜1秒)で1枚の画像を再結合した後、ピッチを変えて時間t=0.1〜1、1秒の間の投影データから次の画像を再結合する。さらに、ピッチを変えて時間t=0.2〜1、2秒の間の投影データから次の画像を再結合する。このように、画像間の時間ピッチを変えることで、画像間で時間分解能を変えることができる。
さらに図48(d)に示す如く、画像内の時間ピッチを変えて同様に画像再結合してもよい。つまり、最初に例えば時間t=0〜0.3秒の間に収集された複数フレームの投影データから1枚の画像を再結合し、その後、ピッチを変えて時間t=0.4〜0、6秒の間の投影データから次の画像を再結合する。さらに、ピッチを変えて時間t=0.8〜0、9秒の間の投影データから次の画像を再結合する。このように、再結合に使用する時間ピッチを変えることで、画像の時間分解能を画像毎に変えることができる。この時間ピッチは任意に変えてもよい。
8.9.1.1.一部のビューの使用
前述した図48(d)の例は、スキャン中の一部のビューで収集される複数フレームの投影データを使用していることになる。この様子は、図49にように模式的に表すことができる。
8.9.1.2.一部の投影データの使用
また別の態様として、例えば図50に示すように、管球および検出器が所定のスキャン軌道を移動して撮影するときに、その視野内に障害物(例えば、管球や検出器の支持機構のアーム端部、骨などの構造物)が入る場合がある。この場合、検出器軌道の所定範囲内で検出される投影データの一部には、障害物の投影が部分的に写り込むが、障害物が写らない部分も存在する(図中、非斜線部NHの部分)。そこで、この投影データの一部の部分NHのみを使って再結合すれば、障害物に影響されないで断層像を得ることができる。
8.9.2.スライス位置に応じた変更
別の例として、上述した再結合に用いる範囲選択(限定)の幅は、スライス位置に応じて変更できるようにしてもよい。
8.9.3.ずらし再結合
さらに別の例として、再結合に用いる投影データを収集するときの時間帯の時間軸上の位置を少しずつ、ずらしながら同一のスライス面を再結合し、またはボリューム領域(複数のスライス面)を再結合してもよい(図48(c)参照)。
8.9.3.1.時間分解可変
このずらし再結合のときに、画像間または画像の時間分解能を可変にしてもよい(図48(c),(d)参照)。
8.10.反復収束法
画像再結合の処理のさらに別の特徴として、反復収束法を提供できる。この反復収束法は、差分値によるリプロジェクション(再投影)、再結合処理、各ボクセルの差分(つまりアーチファクト)に至る一連の処理を繰り返すか、または、差分値によるリプロジェクション(再投影)、各ボクセルの差分、再結合処理に至る一連の処理を繰り返し、各差分値が所定値以下に収束したときの再結合画像が真の画像とする手法である。
8.11.移動補正付きサブトラクション
この特徴は、例えば手術の前後のスライス面の断層像を比較する場合に好適なサブトラクション法である。上述してきたスライス面は絶対座標系において指定されるものであったが、この特徴に係る移動補正付きサブトラクション法ではスライス面を被検体を中心に考えるものである。そのためには、被検体の体軸方向の移動量および/またはねじれ量を、位置検知するから、または被検体に付したマーカ、あるいは、骨などの特徴位置を目印にして、動きの分だけ指定スライス面を移動させて、そのスライス面に投影データを再結合する。このように再結合した2枚の画像の画素毎の差分を演算すれば、例えば手術の前後などの2枚の画像間の変化を容易に画像化できる。
9.画像処理、画像切出し、および後補正
さらに、X線断層撮影装置の「画像処理、画像切出し、および後補正」のカテゴリに分類される特徴及び例を説明する。この項目の特徴および例は、制御・処理装置18により実行される。
9.1.ボクセルデータの任意角度の切出し
この特徴は断層像を2次的に任意角度の断面で切り出すものである。前述したように、例えばコロナル面としてのスライス面を複数枚指定して、それらのスライス面それぞれに画像再結合すれば、3次元のボリュームデータが作成される。このボリュームデータに任意角の断面を指定して断面変換(MPR)処理を行うことで、オブリーク像などの任意断面の画像が得られる。断面角度の設定に仕方により、アキシャル像、サジタル像も得られる。
9.2.パノラマ展開
この特徴は、断面が平面ではなく、パノラマ状になった断面に関する。上記9.1.項で得たボリュームデータ内に任意断面を指定するとき、曲率、曲率中心、曲率中心での円弧角度などの情報を指定してパノラマ状の曲面を指定する。この曲面に断面変換処理を施すことで、パノラマ状の曲面の断層像が得られる(パノラマ展開)。これは、例えば歯科の歯茎などの診療において有益である。
なお、上述した9.1.項および9.2.項の特徴に係る画像処理は、後処理としてではなく、複数フレームの投影データを再結合するときに、かかる任意角度の断面やパノラマ状の曲面をスライス面として選択することで、投影データから直接作成することもできる。
9.3.対象物の追跡切出し
この特徴は、例えば肺の血管など、対象物を追跡した自由な面に沿って画像を切り出すものである。この場合も、複数のスライス面に再結合して形成されたボリュームデータに、そのような自由な面を設定して断面変換することで、その面に沿った断層像を2次的に作成することができる。
9.4.対話処理/プラン処理による画像切出しこの特徴は、MPRに基づく画像切出し処理を、オペレータとの対話で処理(on demand)、または、プランにより処理することに関する。例えば、ボリュームデータからMPRにより切り出した画像を観察しながら、オペレータが「隣の面」という指令を出すと、予め決めた方向に微小平行移動した隣接スライス面の画像をMPRにより生成したり、「何度回転」という指令を出すと、予め決めた方向に微小回転移動させたスライス面の画像をMPRにより生成する、というものである。これを、プラン処理により、予め手順で一連の画像生成処理を行うようにしてもよい。
9.5.DCボケ成分の除去
さらに別の特徴は、再結合画像に薄く、ぼんやりと平均的に重畳している、いわゆるDCボケ成分を除去する手法に関する。
本発明の断層像の生成処理は前述したように投影データの加算を基礎としていることから、目的とするスライス面に必ず他のスライス面の成分がDCボケ成分として入り込んでしまうことは避けられない。このDCボケ成分は目的画像のコントラストを低下させてしまうことから、本発明では、これを極力除去することを目的の一つとしている。
そこで、被検体前後(上下)の空気中のスライス面、寝台のスライス面など、成分が既知の参照用スライス面を指定して、その参照用スライス面の画像を再結合する。空気中のスライス面は、例えば図51(a)に示すN1〜N5,M1〜M5のように、1枚または複数枚設定される。
この参照用スライス面の再結合画像の例えば所定位置(1つ、または複数の位置)におけるX線強度分布データから目的とするスライス面のDCボケ成分を推定し、補正値を作成する。例えば、空気中の複数枚の参照用スライス面から推定した、ある2次元位置(Y,Z)における1次元のX軸方向のX線強度分布が例えば図51(b)のようになったとすると、目的スライス面の位置X=x1に対応する強度I=I1が目的スライス面のDCボケ成分に相当する。このようなX線強度分布は予め求めて記憶しておいてもよいし、DCボケ成分の除去演算の度に求めてもよい。さらに、このようなX線強度分布を求めずに、参照用スライス面の再結合画像データから直接に補正演算してDCボケ成分を求めるようにしてもよい。
そして、この補正値を、目的スライス面の各画素から減算することで、DCボケ成分の除去が行われる。この一連の処理の流れの概要を図52に示す。この処理は、制御・処理装置18において、投影データ収集および画像再結合の後の処理として実施できる。
なお、補正値は、目的スライス面の画素毎に形成して画素毎に除去演算を行う構成でもよいし、また、画像単位で1つの補正値を求めるようにしてもよい。
9.5.1.複数枚の参照用スライス面の利用
具体例としては上述したように、複数枚の参照用スライス面の再結合画像を利用してDCボケ成分の補正値を求めることが望ましい。これにより、DCボケ成分補正の信頼性が向上する。
9.5.1.1.非線形補間の利用
複数枚の参照用スライス面の再結合画像を利用する場合、これらの画像データを非線形補間して補正値を求めてもよい。
9.5.2.前後2枚の参照用スライス面の利用また好適な一例として、被検体の前後、すなわち図51(a)の例では図中の上下2枚の参照用スライス面N1,M1(またはN2,M2、N1,M2など)を利用することである。
9.5.2.1.線形補間
このように被検体前後の2枚のスライス面を利用した場合、それらの再結合データを線形補間して、X軸方向の前記X線強度分布(目的スライス面のDCボケ成分の補正値を含む)、または、目的スライス面のDCボケ成分の補正値を容易に推定することができる。
9.5.2.2.係数の乗算
上述のように線形補間で生成されたX軸方向の前記X線強度分布、または、目的スライス面のDCボケ成分の補正値に、目的スライス面の位置や撮影条件を考慮した係数を乗算して最終的な補正値を求めるようにしてもよい。
9.5.3.1枚の参照用スライス面の利用
さらに、補正演算を簡略化できる一例として、参照用スライス面を1枚だけ利用する手法がある。この場合、参照用スライス面は被検体の前後の1枚、例えば図51(a)の場合には前側の1枚N1(N2,…)または後側の1枚M1(M2,…)である。
9.5.3.1.参照用スライス面のデータそのものを利用
この場合の具体的な態様の1つは、求めた参照用スライス面1枚の再結合画像データそのものを補正値として採用することである。このとき、補正値を画素毎に形成してもよいし、画像全体で1つの値に統合してもよい。
9.5.3.2.係数の乗算
この場合の具体的な態様の別のものは、求めた参照用スライス面1枚の再結合画像データに、目的スライス面の位置や撮影条件を考慮した係数を乗算して最終的な補正値を求めるようにしてもよい。このとき、補正値を画素毎に形成してもよいし、画像全体で1つの値に統合してもよい。
9.6.3次元画像フィルタ処理
上述した特徴はDCボケ成分の除去であったが、ボケ成分全般を3次元画像フィルタで除去することが本項の特徴である。
9.6.1.エンハンスフィルタ(ボケ回復フィルタ)
本撮影の原理から、スライス面の各ボクセルの成分はX線パスの方向に沿ってはみだすとも考えられ、これによりX線パスの方向にぼけてしまう。例えば、図53に示すように、焦点および検出器が共に円形のスキャン軌道を描いている場合、スライス面のあるボクセルVの成分は、ロート状の斜めの方向(図53の斜め方向NN)に沿ってぼける。そこで、このボケを補正するフィルタを掛ける。そこで、エンハンスの3次元フィルタ(ボケ回復フィルタ)を掛ける。
9.6.2.フィルタは等方的
このエンハンスの3次元フィルタとしては、例えば等方的なフィルタが使用できる。
9.6.3.フィルタは非等方的
また、このエンハンスの3次元フィルタは、特定の方向にのみフィルタリングを掛ける非等方的なフィルタ特性を有していてもよい。
9.6.3.1.フィルタリングは一方向
その場合の特定方向として例えば図53の上下方向VTを全部のX線パスを代表する方向として選択し、この方向にフィルタリングを掛けてボケを除去することができる。
9.6.3.2.フィルタリングはX線パスの方向
また、かかる特定方向の例として、例えば図53に示す斜めのX線パスNNの方向それぞれにフィルタリングを掛け、より確実にボケを除去するようにしてもよい。
9.7.3次元画像処理
さらに、本発明の画像処理にあっては、ボリューム・レンダリング、MIP(最大強度投影)、サーフェース・レンダリング、再投影(リプロジェクション)の処理など、多種多様な3次元画像処理・表示を行うことができる。
10.マルチモダリティ
さらに、「マルチモダリティ」のカテゴリに分類される特徴、例を説明する。ここで言及する「マルチモダリティ」は、本発明に係るX線断層撮影装置をX線CTスキャナ、MRI装置など、ほかのモダリティとのシステム的な結合を意味している。このマルチモダリティは、個々のモダリティの特徴を生かしかつ補完し合いながら、診療現場の様々なニーズに応えることを目的としている。
10.1.他のモダリティとの座標系の位置合わせ
本発明に係るX線断層撮影装置は、位置合わせを非常に簡単に行えることを特徴の1つとする。そこで、被検体にX線透過率の異なるマーカを付けておいてスキャンを行う。これにより、再結合された画像にはマーカが写り込むから、この画像中のマーカ位置を使って、ほかのモダリティの座標系との位置合わせをすればよい。具体的には、画像中のマーカ位置によって被検体の座標が一義的に決まり、ほかのモダリティで撮影した画像中のマーカと合わせるように、再結合画像を回転、移動させることで、例えば、複数種類のモダリティで収集した画像同士を位置合わせできる。
10.1.1.マーカ数
具体的な一例として、マーカの数を不明な変数の数に合わせる例が挙げられる。通常、3個のマーカが使用される。
10.1.2.マーカ位置
また別の例として、被検体にマーカを付けるとき、再結合する画像の端にマーカが写り込み、中心部の重要な部分には写らないようにマーカの貼り付け位置を決め、より少ないビューで再結合する。
10.1.3.位置合わせの利用
さらに、このような位置合わせを、手術計画、放射線治療計画、術中ナビゲータに利用する。
10.1.4.座標入力装置の位置合わせ
とくに、術中ナビゲータの座標入力装置のポインタ(ペンなど)との位置合わせも可能である。被検体の手術部分を含む領域を本発明のX線断層撮影装置で事前に撮影し、再結合画像データまたはそのボリュームデータを得ておく。手術に際し、一度、かかるポインタで被検体のマーカ部分を指示し、マーカ位置(絶対位置)を記憶させておく。この状態で、術中に、被検体内の知りたい空間位置をポインタで指示する。これにより、指示位置と絶対位置との距離、方向が演算され、この演算値に基づき、事前に撮影してある再結合画像またはボリュームデータの画像に指示位置が重ね合わせられて表示される。これにより、例えばメスを使って頭部を掘る手術をしているときに、術者が表示像を観察すれば現在の手術位置(座標入力装置のポインタで指した位置)を目視で知ることができる。これにより、さらに掘り進んでよいか否かなどの、手術をアシストする情報を簡単に得ることができる。
11.システム全体動作
さらに、本発明に係るX線断層撮影装置の「システム全体動作」のカテゴリに分類される特徴や例を説明する。
11.1.パルス造影によるストロボ撮影
最初に説明する特徴は、造影剤をパルス状に注入(パルス造影(またはパルス注入))してストロボ撮影し、血流などがゆっくり走行しているように見せる手法である。
このストロボ撮影は例えば頭部などの血流速度が比較的早い部位の血流をイメージングする場合に好適なものである。図54に示すように、造影剤と生理的食塩水とを交互に血管にパルス状に注入する。このパルス注入周期(位相)をTpとすると、この周期から微妙にずれた回転周期Tsで連続的にスキャンする。この状況の一例を図55に示す。この結果得られた投影データの中から、パルス注入周期が同じ位置のデータ、例えば図55中のパルス注入周期φ=φ1に対応するスキャン位相のデータを選択する。この選択したデータだけを再結合すると、パルス注入周期の各位相におけるボリュームデータが得られる。
11.1.1.血流速度の計算
この特徴を利用した一例として、各時刻(各位相)の造影剤位置から血流速度を計算できる。
11.1.2.パルス造影
パルス造影に好適な例としては、細いチューブに造影剤と生理的食塩水とを交互に詰めておいて(図54参照)、これを前述したパルス注入周期で送出する構成がある。
11.2.心電同期スキャン
また別の特徴は心電同期スキャンに関する。スキャン軌道が円状であるとすると、このスキャン軌道に、ECGによって得られる心電波形信号を模式的に図56に示すように重畳して表すことができる。この心電波形信号の中から心拍周期の同じデータ(例えば拡張期のデータ)だけを選択して画像再結合する。つまり、上述したストロボ撮影におけるパルス注入周期を心拍周期に置き換え、心拍周期の同じデータだけで画像再結合する手法である。
11.3.術中ナビゲータ/術中モニタ
さらに別の特徴は、定位脳手術などに好適な術中ナビゲータまたは術中モニタとしての使用である。術中ナビゲータや術中モニタにおいては、どのスライス面の画像を再結合して術者に見せるかが重要である。
そこで、本特徴を実施したX線断層撮影装置では、針を含む平面(図57の平面H1)、および/または、針の先端を通りかつ針と垂直な平面(同図の平面H2)の断面画像を生成して表示する。この画像生成は、術中にスキャンを実施して得た投影データから直接、上記平面の画像を再結合する手法であってもよいし、術中にスキャンを実施して得た投影データを一度、複数のスライス面について再結合し、このボリュームデータから断面変換によって上記平面の画像を切り出してもよい。これにより、針の先端の少し先に何が在るかを容易に且つ迅速に判断することができる。つまり、この術中ナビゲータや術中モニタの手法によって、針を進める上で、針をさらに進めてよいか否かなどの正確な位置情報を術者にタイムリに且つ目視的に提供することができる。
11.4.ボリュームROIによる定量化
システム全体動作に関わる別の特徴として、ボリュームROIを使用した病変状態の定量化の手法を提供できる。
この手法を実施する場合、1)被検体の病変部を含む領域を予めスキャンして得た投影データから複数のスライス面について画像再結合を実施し、ボリュームデータを得ておく。2)このボリュームデータ中に、図58に示すように、ボリュームROIとして3次元の関心領域(ROI)を設定する。次いで、3)被検体の病変部に造影合を注入しながら、ボリュームROIを含む3次元領域を複数回スキャンする。4)この複数回のスキャンそれぞれについて、収集した投影データを複数のスライス面に再結合してボリュームROIのデータを得る。この結果、ボリュームROIを形成する複数組の血流濃度(ボクセル値)データが経時的に得られる。5)このデータからボリュームROIのタイム・デンシティ・カーブ(time density curve)あるいは造影剤の平均通過時間などの情報を演算する。
このように、平面ではなく、立体としてのROIを設定することで、病変部全体の時間−濃度情報だけを容易に得ることができ、病変部の動態観察がより定量的な状態で可能になる。
11.5.フィルタ処理
さらに別の特徴として、フィルタ処理がある。前述した投影データを2次元フィルタで処理する手法と、前述した画像再結合で得たボクセルデータを1次元フィルタで処理する手法とを組み合わせたものである。
11.5.1.1次元フィルタのフィルタリング方向
上記1次元フィルタのフィルタリング方向は、例えば、管球−検出器の方向に設定することが好適である。
11.6.しきい値処理
さらに別の特徴として、投影データをしきい値で弁別してから画像再結合する手法が挙げられる。この特徴は、前述した5.6.4.項の非線形処理を発展させたものとして捕らえることもできる。投影データに所定のしきい値を設定して濃度の薄い画素を切り捨てる処理を行い、画像圧縮を図るものである。
12.その他
最後に、この実施形態に係るX線断層撮影装置の「その他」の特徴、例を説明する。
12.1.X線診断装置の様々な技術の採用
このX線断層撮影装置には、X線診断装置で採用されている様々な技術(ガンマ補正、画像圧縮、自動輝度制御(ABC)の技術など)は基本的に採用し、機能向上を図ることができる。
12.2.X線照射範囲の確認
また別の特徴は、スキャンに伴うX線の照射範囲を事前に確認する技術に関する。
図59に示すように、X線管12から照射されたX線ビームがX線コリメータ80を通って伝播する経路内に、X線は透過させるが、光を反射させるミラー82を設置しておく。X線管12の焦点Sと幾何学的に対象な位置に光源84を設置し、この光源84から出射された光が光コリメータ86を通ってミラー82に至る。光コリメータ86の開口面積およびその位置はX線コリメータ80のそれに常に一致させる。このため、光源84から出た光はミラー82で反射し、被検体上に投影される。この投影位置および面積はX線を照射させたときのそれと同一である。
これにより、スキャン前に、各ビューの位置で光源84から光を出射させることで、光だけでスキャン時のX線照射範囲を確認でき、この確認結果に応じてビューの位置を修正できる。この結果、スキャン軌道に伴って管球や検出器を移動させたときのX線照射範囲の移動範囲の確認が可能になるとともに、X線を重要臓器に当てないなどの被爆を考慮したスキャン位置決めができる。
このX線照射範囲の確認のための光システムは、X線管およびX線コリメータからなるX線照射機構と一体に設定されていても、また別体に設定されていてもよい。
本発明のX線断層撮影装置に実施可能な特徴および実施例は以上のように構成され、機能する。
撮影および画像処理の手順の一例
いま上述のX線断層撮影装置について、撮影から画像処理に至る手順の一例を図62に示す。ここで、本装置の「システムデザイン」、「機構」、「検出器と管球」、「スキャン軌道」、「データ収集」、「データ選択」、「マルチモダリティ」、「システム全体動作」、および「その他」に関する特徴および例は予め選択されているとする。
図62のステップS1で、最初に、オペレータは入力装置19を介して、スライス部位、スライス厚さ、スライス枚数、管電圧、管電流、スキャン軌道、データ収集法などのスキャン条件を制御・処理装置18に与える。次いで、ステップS2に移行し、オペレータは入力装置19を介して、制御・処理装置18にX線の照射野を設定させる。この照射野の確認は、例えば前述した12.2.項の手法に基づきなされる。
次いでステップS3にて、制御・処理装置18は入力装置19からのスキャン指令信号に応答してスキャンを開始させる。このスキャンは、少なくともX線管12、または、少なくとも被検体P(すなわち天板10a)をスキャン軌道に沿って移動させることで実施される。これにより、設定したスキャン軌道上の複数のビューで投影データがX線検出器14から収集され、制御・処理装置18のメモリに一次格納される。
このデータ収集が終わると、制御・処理装置18はその処理をステップS4に移行させ、「画像再結合前のデータ処理」を実行する。この処理にあっては、前述した7.1.項〜7.8.項に記載の特徴(実施例)の1つ、または、幾つかを組み合わせたものを併せて実行してもよい。
次いで、制御・処理装置18はステップS5で、入力装置19を介してオペレータから与えられた情報から、1枚または複数枚のスライス面を設定する。
次いで、制御・処理装置18はステップS6で、記憶している複数フレームの投影データの各フレームから、各設定スライス面の各ボクセルの画像再結合に供するべき投影データを選択し、加算(再結合)する。この加算処理は前述した8.1.項の好適な実施例に基づいて実施される。さらに、この「画像再結合」の処理にあっては、前述した8.2.項〜8.11.項に記載の特徴(実施例)の1つ、または、幾つかを組み合わせて実行してもよい。
この後、制御・処理装置18はステップS7に移行し、「画像処理、画像切出し、および後補正」を実行する。この処理にあっては、前述した9.1.項〜9.7.項に記載の特徴(実施例)の1つ、または、幾つかが組み合わせて実行される。
なお、上述したステップS4の「画像再結合前のデータ処理」、およびステップS7の「画像処理、画像切出し、および後補正」の処理は必要に応じて省略すすることもできる。
次いでステップS8に移行し、制御・処理装置18は、ステップS6で再結合した断層像、またはステップS7で処理、切出しもしくは補正した断層像を表示装置20に表示する。
このため、このX線断層撮影装置はアナログ形およびデジタル形の従来装置に対して以下の利点を有する。
第1に、検出器は必ずしも移動させずに固定状態に設置し、管球のみを移動させれば足りる。あるいは、検出器および管球を移動させずに、被検体のみを移動させれば足りる。このため、従来のように無理して、同期をとる制御が難しい検出器と管球との同期移動を行う必要がない。したがって、同期制御に因る断層像の画質劣化を回避できる一方で、同期制御のための複雑な制御機構や制御回路が不要になり、装置の製造コストを低減させることができる。
第2に、管球(焦点)の位置ずれを補正する機能を搭載しているので、この位置ずれに起因したアーチファクトの発生を防止または抑えることができ、画質を著しく向上させることができる。
第3に、管球のスキャン軌道のパターンに関連して生じるアーチファクト(例えば、直線軌道の場合、画像には直線状のアーチファクト)の発生を除去または補正する機能を搭載したので、画像の質を一段と向上させることができる。
第4に、撮影の原理上、犠牲になりがちなコントラスト分解能を向上させる機能(散乱性補正、動き成分除去、非線形処理、DCボケ成分の除去など)を搭載したので、コントラスト分解能を従来よりも飛躍的に改善させ、視認性の高い、診断能に優れた断層像を提供できる。
第5に、画像の拡大率を考慮した、しかも3次元に一般化した画像再結合の処理を行うようになっている。このため、例えば、複数の異なるスライス面位置のコロナル像を動画表示した場合でも、違和感が生じないなど、患部の視認性の向上および読影作業の能率向上に寄与する画像を提供することができる。
第6に、従来のデジタル形X線断層撮影装置に比べても、収集したスライス面の画像データを存分に活用する機能を搭載している。例えば、任意角度の画像切出し、曲面スライス面での画像切出し、ストロボ撮影、心電同期スキャン、座標入力装置から入力された位置情報との重ね合わせ表示、術中ナビゲータ、術中モニタなどである。これにより、収集データを有効に活用し、治療現場で欲している様々なニーズに応える高機能のX線断層撮影装置を提供することができる。
第7に、前述した公報記載のデジタル形のX線断層撮影装置とは異なり、管球と検出器とを相対的に反対方向に移動させるというスキャン軌道上の制限を排除した。また、検出器からの画像情報を移動位置毎に関連付けてメモリに記憶するというデータ処理上の制限も排除した。そして、管球(または、管球および検出器)を2次元または3次元的に任意に移動させても画像再結合できるようにした。このように、スキャン軌道上の制限やデータ処理上の制限を著しく撤廃したので、システムを設計する上での機器配置に関わる自由度や画像処理手順の自由度を大幅に上げるアップさせることができ、汎用性の高い、使い勝手の良い、また低コストのX線断層撮影装置を提供することができる。
(別の実施形態)
続いて、本発明の別の実施形態を図63〜図66に基づき説明する。この実施形態は、管球および検出器の移動を簡素化し、画像再結合の処理を簡単に行えるようにしたX線断層撮影装置に関する。
図63に示すX線断層撮影装置は、検出器および被検体を固定式にし、管球のみを移動させるように構成している。具体的には、X線検出器14は直接変換型の大形デジタル検出器から成り、この検出器14が天板10aの下側に設置されて、検出器下置システムを構成している。ここでの「大形」の用語は、X線管12を移動させて複数のビューで透過X線を検出するとき、全部のビューの透過X線を検出器固定で検出できる2次元的な大きさを意味している。
X線検出器14は、所定の間隔(例えば100回/秒)で投影データを収集し、出力する。X線検出器14の出力側はメモリ120を介して、制御・処理装置としてのCPU122に接続されている。このため、X線検出器14で収集されたデジタルの投影データはメモリ120に記憶される。
X線管12は被検体PのX軸方向上側に位置し、設定するスライス面に平行な面上を例えば直線的に移動するように移動機構16により支持されている。X線管12はパルスX線照射および連続X線照射のモード間で切換可能になっている。X線管12は高圧発生器124、X線制御器126を介してCPU122に接続されている。CPU122は装置全体の制御および処理の中枢を担うもので、内蔵メモリにその制御および処理の手順を記憶している。これにより、X線制御器122へのX線制御情報の伝達、寝台制御、画像再結合などを予め定めた手順で実行できる。CPU122は、オペレータとの間の情報伝達のために、入力装置128および表示装置130に接続されている。
このX線断層撮影装置の動作を説明する。
X線管12(焦点S)を所定のスキャン軌道(例えば図64に示す如く直線のスキャン軌道)に沿って移動させながら連続的にX線を照射させる。この間に複数Nフレームの投影データP(N,X,Y)をX線検出器14で収集させる。この複数Nフレームの投影データはフレーム毎にメモリ120に格納される。
CPU122は、メモリ120に記憶している複数Nフレームの投影データを読み出し、画像再結合のための投影データのシフト量をフレーム毎に演算する。第nフレームに対するシフト量Bは、図65に示すように、焦点移動量A(n)、焦点移動面とスライス面の距離X(スライス位置)、焦点移動面と検出器の距離Lとすると、
[数11]
B(X,A(n))=−(L−X)/X・A(n) ……(11)
の式にしたがって計算できる。焦点移動量A(n)はフレーム毎に異なる値で、例えば、座標系のある点(例えば第1投影データ収集時の焦点位置(例えば初期位置)、あるいは座標の任意の位置)や、被検体Pの体表に付したマーカの画像位置を基準位置とし、この基準位置からのずれとして演算で求める。また、この焦点移動量を求めるには、赤外線焦点検出器やエンコーダなどの検出器を装置に付加することもきる。
このシフト量演算の後、CPU122は、複数フレームの投影データをシフト量Bに応じてシフトさせ、投影データを相互に加算する(図66参照)か、または加算平均する。フレーム毎に変わるシフト量Bが画素サイズの整数倍でないときには、投影データを補間処理して新たな投影データを作成してもよい。この加算または加算平均の結果、スライス位置Xで再結合される断層像のデータS1は、
[数12]
S1(X,Y,Z)
=Σ(P{n,Y,Z+B[X,A(n)]})/N ……(12)
として求められる。これにより、スライス位置Xの断層像が得られる。
このように、X線検出器14を固定式とし、X線管12をスライス面に平行な面上で移動させる場合、簡単な再結合処理によりスライス画像を提供することができる。また、X線管12を例えば直線状のスキャン軌道に沿って移動させるだけであるから、その移動制御の簡単で、管球と検出器とを同期して制御させるときの同期精度の困難さを回避できる。
なお、上述した別の実施形態は1回のスキャンで1枚のスライス画像を得るものであったが、1回のスキャンデータから複数枚のスライス画像を得る場合、上述したシフト量の演算を、前記(11)式でX=X+ΔXとして、複数のスライス位置毎かつフレーム毎に演算する。そして、上述と同様に、各スライス位置に対して、シフト量にしたがって投影データをフレーム毎にシフトさせ、加算する。このとき、焦点側のスライス画像の拡大率が大きく、検出器側のスライス画像のそれは小さい。すなわち、スライス位置に依存してスライス画像の拡大率が異なるので、前述した拡大率を合わせる処理を行うことが望ましい。このように生成された複数枚のある方向のスライス画像(例えばコロナル像)のデータ(ボリュームデータ)から、他の方向の画像、例えばアキシャル画像、サジタル画像、オブリークを断面変換(MPR)の手法で切り出す。これにより、1回のスキャンによる投影データから複数枚のスライス画像を同時に得て、さらに断面変換したほかのスライス画像をも合わせて得ることができる。
またなお、上述した別の実施形態の構成において、さらなる処理の簡素化および画像再結合の迅速化が可能である。この手法は集団検診などにとくに有効である。具体的には、焦点のスキャン軌道、検出器のデータ収集タイミング、スライス位置などを予め決め、かつ、それらの値に基づき投影データのシフト量を予め決定しておく手法である。この状態でスキャンを実行しながら、各ビューで投影データを収集した後、直ぐにその投影データをシフト、必要ならば補間して加算するものである。これにより、収集と同時(並行)の画像再結合が可能になる。再結合の処理が簡単で、またスキャンから再結合完了までを高速に行える。
このX線断層撮影装置によれば、従来のアナログ形およびデジタル形の装置と比較して以下の利点を有する。
第1に、検出器は必ずしも移動させずに固定状態に設置し、管球のみを移動させれば足りる。あるいは、検出器および管球を移動させずに、被検体のみを移動させれば足りる。このため、従来のように無理して、同期をとる制御が難しい検出器と管球との同期移動を行う必要がない。したがって、同期制御に因る断層像の画質劣化を回避できる一方で、同期制御のための複雑な制御機構や制御回路が不要になり、装置の製造コストを低減させることができる。
第2に、管球(焦点)の位置ずれを補正する機能を搭載しているので、この位置ずれに起因したアーチファクトの発生を防止または抑えることができ、画質を著しく向上させることができる。
第3に、管球のスキャン軌道のパターンに関連して生じるアーチファクト(例えば、直線軌道の場合、画像には直線状のアーチファクト)の発生を除去または補正する機能を搭載したので、画像の質を一段と向上させることができる。
第4に、撮影の原理上、犠牲になりがちなコントラスト分解能を向上させる機能を搭載したので、コントラスト分解能を従来よりも飛躍的に改善させ、視認性の高い、診断能に優れた断層像を提供できる。
第5に、画像の拡大率を考慮した、しかも3次元に一般化した画像再結合の処理を行うようになっている。このため、例えば、複数の異なるスライス面位置のコロナル像を動画表示した場合でも、違和感が生じないなど、患部の視認性の向上および読影作業の能率向上に寄与する画像を提供することができる。
第6に、従来のデジタル形X線断層撮影装置に比べても、収集したスライス面の画像データを存分に活用する機能を搭載している。これにより、収集データを有効に活用し、治療現場で欲している様々なニーズに応える高機能のX線断層撮影装置を提供することができる。
第7に、前述した特開昭57−203430号公報記載のデジタル形のX線断層撮影装置とは異なり、管球と検出器とを相対的に反対方向に移動させるというスキャン軌道上の制限を排除した。また、検出器からの画像情報を移動位置毎に関連付けてメモリに記憶するというデータ処理上の制限も排除した。そして、管球(または、管球および検出器)を2次元または3次元的に任意に移動させても画像再結合できるようにした。このように、スキャン軌道上の制限やデータ処理上の制限を著しく撤廃したので、システムを設計する上での機器配置に関わる自由度や画像処理手順の自由度を大幅に上げるアップさせることができ、汎用性の高い、使い勝手の良い、また低コストのX線断層撮影装置を提供することができる。
本発明の1つの実施形態に係るX線断層撮影装置の概略的な構成を示す図。 本発明の撮影原理を説明するための図。 検出器横置システムを説明する図。 検出器下置システムを説明する図。 検出器上置システムを説明する図。 検出器上置システムを説明する図。 検出器を寝台に差し込むシステムを説明する図。 カバー付きシステムを説明する図。 管球/検出器の取り外し可能または退避可能なシステムを説明する図。 管球と検出器との電気的同期をとるための機構を説明する図。 管球と検出器との機械的同期をとるための機構を説明する図。 管球と検出器のCアームへの取り付けを示す図。 Cアームから伸びる子アームを使った管球と検出器の取り付けを示す図。 子アームの動きを説明する図。 各種の1次元のスキャン軌道を説明する図。 各種の2次元のスキャン軌道を説明する図。 3次元のスキャン軌道を説明する図。 検出器の管球への正対の様子を示す図。 周天円運動のスキャン軌道を説明するための図。 撮影視野を移動させるスキャン軌道の説明図。 管球と検出器の周期をずらすスキャン軌道を例示する図。 スキャン軌道に合わせたデータ収集タイミングの制御を説明する図。 連続X線を用いたときのデータ収集タイミングの設定法を説明する図。 マーカの利用を説明する図。 マーカを利用した定常的位置ずれの補正を説明するための図。 グリッドの配置状況を示す図。 グリッドの羽根の向きを示す図。 可動式グリッドの羽根の向き制御を示す図。 COS項による投影データの補正を説明するための図。 動き成分を説明する図。 動き成分の検出の一例を説明する図。 しきい値付き動き成分の検出を説明する図。 検出器内部の歪み補正のために検出器前面に付すマーカの一例を示す図。 検出器内部の歪み補正のために検出器前面に付すマーカの別の例を示す図。 画像再結合の処理を一般化した表現で説明するための図。 画像再結合の一般化表現を絶対座標から相対座標に変換するための説明図。 検出器面のバリエーションを示す図。 複数のスライス面の画像再結合の処理を説明するための模式図。 各ビューの投影データからのデータ選択の一例を説明する図。 リサンプリングを伴う画像再結合の一例を説明する図。 リサンプリングを伴う画像再結合の別の例を説明する図。 リサンプリングを伴う画像再結合の別の例を説明する図。 データ選択および画像再結合のさらに別の例を説明する図。 データ選択および画像再結合のさらに別の例を説明する図。 投影データの収集と同時の画像再結合の処理の流れを説明する図。 大視野撮影の一例を説明する図。 大視野撮影の別の例を説明する図。 範囲選択(限定)の画像再結合法の一例を説明する図。 範囲選択(限定)の画像再結合法の別の例を説明する図。 範囲選択(限定)の画像再結合法のさらに別の例を説明する図。 DCボケ成分の除去を説明する図。 DCボケ成分の除去処理の流れの概要を示すフローチャート。 ボケ回復処理を行ためのフィルタリングの方向を説明する図。 ストロボ撮影における造影剤のパルス注入を模式的に説明する図。 ストロボ撮影における造影剤のパルス注入周期とスキャン周期との関係を説明するタイミングチャート。 心電同期スキャンにおけるデータ収集タイミングを説明する図。 術中ナビゲータまたは術中モニタを行うときの画像生成の面を説明する図。 ボリュームROIの設定の様子を例示する図。 光によるX線照射範囲の確認のための機構の概要を説明する図。 スリップリングを使用しないX線管の移動機構を説明する斜視図。 図60に記載の移動機構の動きを説明する平面図。 実施形態のX線断層撮影装置の撮影およびデータ処理の手順を示す概略フローチャート。 本発明の別の実施形態に係るX線断層撮影装置の概略構成を示す図。 検出器を固定し、管球を移動させるスキャン方式を説明する図。 この別の実施形態におけるシフト量を説明する図。 この別の実施形態における投影データの加算を説明する図。 画像再結合の処理例を示す概略フローチャート。
符号の説明
10 寝台
10a 天板
12 X線管(焦点、管球)
14 X線検出器(検出器)
16,24,30,30a,30b,32a,32b,38,38a,38b,40,50,52a,52b,54a,54b,60,62,64,66,68支持機構
18 制御・処理装置
19 入力装置
20 表示装置
120 メモリ
122 CPU
124 高圧発生器
126 X線制御器
128 入力装置
130 表示装置
141 造影剤注入装置
142 心電データ測定装置

Claims (1)

  1. 被検体に向けて焦点からX線を曝射するX線管と、
    前記X線管を支持する第1支持手段と、
    前記焦点および前記天板の少なくとも一方の位置を移動させて前記焦点と被検体の相対的な位置関係を変える駆動手段と、
    前記焦点と前記被検体の相対的位置が異なるX線像を順次撮影するX線検出手段と、
    前記X線検出手段を支持する第2支持手段と、
    前記X線像撮影時の前記焦点と前記X線検出手段の相対的な位置関係を求める位置関係検出手段と、
    前記X線検出手段と位置関係検出手段の出力に基づいて前記被検体の断層像を求める画像処理手段と、
    前記画像処理手段により処理された画像を表示する表示手段とを有し、
    前記画像処理手段は、前記X線像間の減算結果に基づいて、前記X線像中の動き成分を除去し、除去する動き成分は、目的とする断層像に対応する位置以外の構造物の投影に基づく成分であり、この動き成分を除去したX線像に基づいて前記被検体の断層像を求めることを特徴とするX線断層撮影装置。
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