JP3548339B2 - X線撮影装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線撮影装置に関し、特に、X線CT(Computed Tomography)装置における被検体の胸部等の大視野のX線像を精度よく撮像(撮影)するために好適な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被検体のX線像を複数方向から計測し立体的な動画像を観察または記録する方法として、回転DA(Digital Angiography)あるいは回転DSA(Digital Subtraction Angiography)の方法が東芝メディカルレビュー誌45号(1992年)7頁に記載されている。
【0003】
この文献によれば、C字型アーム上の一端にX線管とこのX線管に対向する他端にX線イメージインテンシファイア(X線I.I.)とテレビカメラとが取付けられており、このC字型アームを回転させながらテレビカメラで撮影した連続画像等をモニタに写し出すことにより、立体感のある動画像を観察したり、種々の方向からのDSA画像を得るものである。
【0004】
また、より完全な立体感のあるX線画像を得る方法としては、X線CT装置によって得られた複数枚の断層画像を画像処理によってつなぎ合わせることによって、立体感を表現する方法が一般的であるが、撮影時間が長くなるという問題があった。
【0005】
撮影時間短縮のためには、X線検出器(X線検出手段)として2次元X線検出器、X線源としてX線を円錐(コーン)状に照射するX線源を用いて、2次元X線検出器が検出した被検体の2次元透過像を得て、被検体の3次元CT像の再構成を行うコーンビームCT装置が有利であることが知られている。
【0006】
コーンビームCT装置における3次元画像再構成の代表的なアルゴリズムとしては、文献(1)の「Practical Cone−Beam Algorithm; L.A.Feldkamp, et al. ; J.Optical Society of America, A/Vol. 1(6), (1984), pp.612−619」に記載のフェルドカンプの方法が公知である。
【0007】
しかしながら、従来の2次元X線検出器は被検体を透過したX線を可視光線に変換するために、X線イメージインテンシファイア(X線I.I.)を用いているが、現在、実用化されている、すなわち、十分な感度を有するX線イメージインテンシファイアのサイズは大きなものでも16インチ程度であり、このサイズでは被検体の全ての部位の透過X線を得ることができないという問題があった。
【0008】
また、メディカルイメージングテクノロジー誌、第13巻、第4号(1995年)559〜562頁には、2次元X線検出器としてX線イメージインテンシファイアとテレビカメラを用いたコーンビームCT装置が示されている。
【0009】
このコーンビームCT装置は、円錐状のX線を照射するX線源と、このX線源に対向する位置に設置される高解像度のX線イメージインテンシファイアとを被検体の周りに回転させてX線像を撮像する際に、被検体を固定した寝台天板をX線源の回転軌道面と平行な方向に移動させながら撮像することによって、寝台天板の移動方向にX線像の視野を拡大する手法が記載されている。
【0010】
なお、コーンビームCT装置における3次元画像再構成の代表的なアルゴリズムとしては、フェルドカンプの方法(Practical Cone−Beam Algorithm; L.A.Feldkamp, et al. ; J.Optical Society of America, A/Vol. 1(6), (1984), pp.612−619)や、グランギートの方法(Mathematical framework of cone−beam 3D reconstruction via the first derivative of the radon transform; P.Grangeat; Mathematical Methods in Tomography, A.K.Lous, F.Natterer, Eds., Lecture Notes in mathematics, SpringerVerlag, (1990)に記載される)がある。
【0011】
また、他の方法として、医用電子と生体工学、第33巻特別号(1995年)109頁には、2次元X線検出器として、大型蛍光板とテレビカメラを用いた大視野コーンビームCT装置が示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0013】
従来のX線撮影装置として、特に、2次元X線検出器としてX線イメージインテンシファイア、X線源としてX線を円錐(コーン)状に照射するX線源を用いた回転DAあるいは回転DSA装置では、計測視野はX線イメージインテンシファイアの視野サイズにより制限される。
【0014】
前記医用電子と生体工学誌に記載された装置では、高感度かつ高解像度の蛍光板を得ることが技術的に困難であることから、大視野高画質の立体画像を得ることは困難であるという問題があった。
【0015】
また、前記メディカルイメージングテクノロジー誌記載の装置では、被検体を移動しながら撮影を行う必要があるため、特に診断を目的とした撮影においては被検体への負担が大きく、術中など被検体が安静を要するような場合においては撮影が困難であるという問題があった。
【0016】
また、慣性力により被検体に不本意な動きが生じるため、被検体を正確な位置で撮影することが困難である。
【0017】
このように、これまで検出器のサイズによる視野の制限に対し、被検体の横断断層面方向の視野を拡大するには、被検体を移動しながら撮影を行わねばならないという問題があった。
【0018】
本発明の目的は、被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角のX線像を撮像することが可能な技術を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角の断層像を再構成することが可能な技術を提供することにある。
【0020】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0022】
(1)被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記被検体をX線で撮像するX線撮像手段と、前記X線照射手段および前記X線撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段とを有するX線撮影装置において、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記回転手段を制御し、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とを前記被検体の周りに回転させると共に、前記撮像系移動手段を制御し、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を変化させ、前記X線撮像手段が回転の所定の位置に到達したときには、前記X線照射手段を動作させてX線を照射し、前記被検体のX線撮像を行うX線撮像制御手段とを具備する。
【0023】
(2)被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記被検体をX線で撮像するX線撮像手段と、前記X線照射手段および前記X線撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段とを有するX線撮影装置において、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記回転手段を制御し、前記前記X線照射手段と前記X線撮像手段とを前記被検体の周りに回転させると共に、前記撮像系移動手段を制御し、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を変化させ、前記X線撮像手段が回転の所定の位置に到達したときには、前記X線照射手段を動作させてX線を照射し、前記被検体のX線撮像を行うX線撮像制御手段と所定の重量の錘と、前記錘の位置を前記撮像系の回転面と平行な方向に制御する錘位置制御手段とを具備し、前記撮像系の相対的な位置の移動に伴い変動する撮像系の重心位置あるいは、前記撮像系の角運動量をほぼ一定とするように前記錘の位置を変化させる。
【0024】
(3)前述する(1)あるいは(2)のX線撮影装置において、前記撮像系移動手段は、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との回転中心を中心とする円周上に、前記X線照射手段を移動させるX線照射位置制御手段である。
【0025】
(4)前述する(1)あるいは(2)のX線撮影装置において、前記撮像系移動手段は、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との回転中心と前記X線照射手段とを結ぶ直線と垂直な方向に、前記X線撮像手段を移動させる撮像位置制御手段である。
【0026】
(5)前述する(1)ないし(4)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線撮像制御手段は、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との回転周期と、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置の移動周期とを同期させ、前記被検体のX線撮像を行う。
【0027】
(6)前述する(1)ないし(5)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線撮像制御手段は、前記回転手段を制御し、前記X線照射手段とX線撮像手段とを被検体の周りに2回以上回転させると共に、前記X線照射手段と前記被検体とがなす回転角が同一となる位置において、前記X線撮像手段が前記X線照射手段と前記回転手段の回転中心とを結ぶ直線に対して、互いに線対象となるように、前記撮像系移動手段により、前記X線照射手段と、前記X線撮像手段との相対的な位置を移動させる。
【0028】
(7)前述する(1)ないし(6)のいずれかのX線撮影装置において、前記回転手段は、前記被検体に対する前記X線照射手段の回転速度が常に一定となるように、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とを前記被検体の周りに回転させる。
【0029】
(8)前述する(1)ないし(7)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線照射手段は円錐状にX線を照射する手段であり、前記X線撮像手段は2次元でX線像を撮像する2次元X線撮像手段である。
【0030】
(9)前述する(8)のX線撮影装置において、前記2次元X線撮像手段を2個以上具備し、全ての2次元X線撮像手段が同時にX線像を撮像する。
【0031】
(10)前述する(5)ないし(9)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線照射手段が同一の位置のときに撮像した複数のX線像を合成して、前記X線像を前記位置で撮像されたX線像とするX線像合成手段を具備する。
【0032】
(11)前述する(10)のX線撮影装置において、前記X線像合成手段が合成したX線像を前記被検体の断層像に再構成する再構成手段を具備する。
【0033】
(12)前述する(10)あるいは(11)のX線撮影装置において、前記X線像合成手段が合成したX線像をX線透過像として表示する表示手段を具備する。
【0034】
(13)前述する(12)のX線撮影装置において、前記X線透過像に表れる撮像系の回転に伴う回転軸、あるいは、前記X線透過像上で予め設定した部位が、所定の位置に表示されるように、前記X線透過像を所定量シフトして表示手段に表示する表示制御手段を具備する。
【0035】
(14)前述する(13)のX線撮影装置において、前記表示制御手段は、前記シフト量が前記表示手段の画素間隔と異なる場合、前記シフト量にもっとも近い整数値をシフト量として、前記X線透過像をシフトさせる。
【0036】
前述した(1)〜(14)の手段によれば、例えば、複数方向から被検体のX線透視像,X線撮影像もしくはX線CT計測値を計測する場合において、X線照射手段とこのX線照射手段に対向して配置されるX線撮像手段からなる撮影系を被検体の周囲に回転すると同時に、X線照射手段とX線撮像手段の相対的な位置を撮影系の回転面と平行な方向に変動させながら、X線透視、X線撮影もしくはX線CT計測を行い、X線照射手段が被検体となす角度が等しいときのX線透過像から1枚のX線透過像を合成することにより、X線照射手段の回転面に平行な方向にX線検出器の視野よりも広い領域のX線透過像を得ることができるので、X線透視像,X線撮影像もしくはX線CT画像の横断断層面の視野を拡大することができる。
【0037】
さらには、X線像のS/N比を向上させることができるので、肺癌等の診断能を向上させることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、特に、コーンビームX線CT装置に適用した場合について説明する。
【0041】
図中において、1はX線管(X線照射手段)、2はX線グリッド、3はX線イメージインテンシファイア、4は光学レンズ系、5はテレビカメラ、6は回転板、7は寝台天板、8は錘、9は錘移動用レール、10はX線管移動用レール、12は撮影制御手段(X線撮像制御手段)、13は回転板駆動手段(回転手段)、14はX線管位置制御手段(撮像系移動手段、X線照射位置制御手段)、15は錘位置制御手段、16はX線管位置計測手段、17は回転板角度計測手段、18は画像収集処理手段(X線像合成手段、表示制御手段、再構成手段)、19は画像表示手段(表示手段)を示す。
【0042】
図1中に示す点線は、X線管1から円錐状に照射されるX線(X線ビーム、コーンビーム)を示す。
【0043】
本実施の形態1においては、錘8および錘移動用レール9は、回転板6の裏面上に配置されている。
【0044】
なお、前記各装置および機構は公知のものを用いる。
【0045】
図1において、X線検出器(X線撮像手段、2次元X線撮像手段))はX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる。
【0046】
また、撮影系は前述するX線検出器およびX線管1、錘8、錘移動用レール9、X線管移動用レール10、回転板6からなる。
【0047】
被検体11は寝台天板7上に位置し、撮影体位は仰臥位を標準とする。また、被検体11の撮りたい部位すなわち撮影対象は、撮影系の回転中心付近に設定する。
【0048】
X線管移動用レール10は、回転板6の回転中心を中心とする半径Dの円周上に沿う円弧形状をしており、X線管1がこのX線管移動用レール10上を移動できるように設置されている。
【0049】
このときの構造は、たとえば、まず、回転板6の表面側にX線管移動用レール10となる突起部を設け、また、X線管1に前述の突起部に組み合わされる溝部を設ける。
【0050】
次に、X線管位置制御手段14の制御により、図示しないモータを駆動し、その駆動力を図示しない歯車を介し、X線管1に伝達して照射位置を移動させることによって、X線管1を前述する半径Dの円周上に移動させる。
【0051】
錘移動用レール9は、X線管移動用レール10と同じ構造であり、また、等しい曲率半径Dを持ち、X線管移動用レールと同様に、回転板6の裏面に固定される。
【0052】
また、錘移動用レール9は、X線管移動用レール10に対して、回転板6の回転中心とX線検出器とを結ぶ直線と垂直な方向を向く任意の直線に対称な位置に配置される。ただし、これらは回転板6上で、回転板6の回転中心に対して同一な方向に配置される。
【0053】
錘8は、X線管1と同様に、X線管移動用レール10の突起部に組み合わされる溝部を有しており、図示しないモータの駆動力を図示しない歯車を介し、錘8に伝達してその位置を移動させることにより、錘位置制御手段15の制御により、錘8を半径DのX線管移動用レール10の円周上に移動させる。
【0054】
なお、錘8はX線管1と等しい質量Msを有する。
【0055】
実施の形態1においては、説明の都合上、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器のX線入力面との距離dは380mm、X線検出器のX線入力面の直径wは380mmとする。
【0056】
また、撮影系の回転周期は5秒である。
【0057】
さらには、テレビカメラ6は、撮影素子に高解像度撮像管を使用する周知のテレビカメラを用いる。
【0058】
撮影制御手段12は、X線管1のX線発生とX線検出器の撮影動作を制御する撮影シーケンスを規定しており、たとえば、周知の情報処理装置で実行されるプログラムで実現される。
【0059】
また、撮影制御手段12は、回転板6を回転させる回転シーケンス、X線管1のX線管移動用レール10上での移動を制御する移動シーケンス、錘8の錘移動用レール9上での移動を制御する移動シーケンスをも規定する。
【0060】
回転板角度計測手段17は回転板6の回転角度データを出力する手段であり、たとえば、回転板6と共に回転するポテンショメータにより実現可能である。
【0061】
X線管位置計測手段16は、X線管1のX線管移動用レール10上の位置データを出力する手段であり、たとえば、X線管1を移動させる図示しないモータの回転に連動するポテンショメータによって計測する。
【0062】
次に、図1に基づいて、本実施の形態1のコーンビームX線CT装置の動作を説明すると、X線管1から発生されたX線は被検体11を透過し、X線グリッド2により散乱線が遮断され、X線イメージインテンシファイア3により可視光像に変換され、光学レンズ系4によってテレビカメラ5に結像される。
【0063】
テレビカメラ5は画像をビデオ信号に変換し、画像収集・処理手段18に入力する。このとき、テレビカメラ5のCTスキャンにおける標準走査モードは毎秒60フレーム、走査数525本であるが、毎秒30フレーム、走査線数1050本による撮影も可能である。また、高精細撮影モードとして毎秒7.5フレーム、走査線数2100本による撮影も可能である。また、CTスキャンにおける標準走査モードでは、1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。
【0064】
次に、画像収集処理手段18は、ビデオ信号をA/D変換した後、回転板6の回転角度データおよびX線管1のX線管移動用レール10上の位置データと共に内部のフレームメモリにA/D変換後のX線画像を記憶し、各投影像に対して画像の幾何学的歪の補正と画像の濃度レベルのシェーディング補正とを行った後に3次元再構成を行う。
【0065】
画像表示手段19は3次元再構成したX線CT像を表示する。
【0066】
テレビカメラ5により透視または撮影モードで得られた画像は、そのまま、または、前記補正を行った後に、リアルタイムで画像表示手段19により表示することが可能であることは言うまでもない。
【0067】
図2は、実施の形態1の回転板6の回転およびX線管1と錘8との移動を表現する各種のパラメータを説明するための図であり、図2(A)はXY座標系を被検体に固定したときの座標系の図であり、回転板6の回転中心を原点Oとする。
【0068】
図2(A)において、p軸はX線検出器と回転板6の回転中心とを結ぶ直線上に存在しており、X軸に対するp軸の傾きをφとすると、φは回転板6の回転角に相当する。
【0069】
また、回転板6の回転中心とX線管1とを結ぶ直線とp軸との間の角度をθで表すと、θはX線管1の回転板6に対する位置を表すことになる。さらには、回転板6の回転中心とX線管1とを結ぶ直線のX軸に対する傾きをΦとすると、ΦはX線管1の回転角を表す。ただし、φ,θおよびΦは反時計回りを正としている。また、θ,φおよびΦは、それぞれφ+θ=Φの関係がある。
【0070】
図2(B)は、図2(A)におけるX線管1およびX線管移動用レール10の付近を拡大して表示したものである。
【0071】
また、図2(B)は、回転板6の裏面に配置される錘移動用レール9および錘移動用レール9上を移動する錘8が示してある。実施の形態1においては、X線管1および錘8は、X線管1の重心Gsおよび錘の重心GwがそれぞれX線管移動用レール10および錘移動用レール9上に常に位置するようにレール上に配置される。
【0072】
すなわち、X線管移動用レール10と錘移動用レール9との2つの交点を結ぶ直線とP軸との交点をGとした場合、錘8の重心Gwは、X線管1の重心Gsと交点Gに対して常に点対称の位置に存在するように移動する。このとき、X線管1および錘8の質量が等しくMsであることから、X線管1および錘8の重心は常にGに固定されるので、X線管1の移動に伴って撮影系の重心位置が移動することなく、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0073】
また、図2(B)において、X線管1と錘8との重心位置GをXY平面上のベクトルG→で表し、一方、重心位置Gから見た錘8の重心位置GwおよびX線管1の重心位置GsをそれぞれベクトルGw→、Gs→で表すと、X線管1と錘8の角運動量の変化率の合計、すなわち、トルクの合計N→は、次式(1)で表される。
【0074】
【数1】
【0075】
ただし、演算×はベクトルの外積、tは時間を示す。
【0076】
式(1)の右辺第1項は、X線管1と錘8の重心の運動に関する項であるが、本実施の形態1では重心位置Gが回転板に固定されるので、X線管1および錘8の回転板6上の動きには影響されず、回転板6の回転速度のみに影響される。
【0077】
また、式(1)の右辺第2項および第3項は、X線管1と錘8との重心のまわりの運動に関する項であるが、Gw→=−Gs→であることから、これらの合計は0となる。
【0078】
以上のことから、本実施の形態1のX線撮影装置においては、X線管1の移動に起因する角運動量の変化は0となり、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0079】
図3は、実施の形態1のX線撮影装置における回転板6の回転とX線管1の移動との関係の一例を説明するための図であり、図3においてはX線管1の移動は、−θa〜θaの範囲を回転板6に対して一定の角速度で行う。また、回転板6の回転は2回転行い、1回転目と2回転目とで回転方向を逆転する。
【0080】
次に、図3に基づいて、回転板6の回転とX線管1の移動との関係について説明すると、起点(A)では、X線管1の回転板6に対する位置θは0である。
【0081】
回転板6が反時計回り方向に回転を始めると同時に、X線管1はθについて負の方向に移動を開始し、透視または撮影を開始する。
【0082】
X線管1の回転角Φが+90度となった時点(B)で、X線管1の移動方向を反転し、正とする。
【0083】
X線管1の回転角Φが+180度となった時点(C)で、X線管1の回転板6に対する位置θは0に戻る。
【0084】
X線管1の回転角Φが+270度となった時点(D)で、X線管1の移動方向を反転し、負とする。
【0085】
X線管1の回転角Φが+360度となった時点(E)で、回転板6の回転方向を反転し、時計回りとする。このとき、X線管1の回転板6に対する位置θは、0に戻る。
【0086】
回転板6が時計回りに回転を始めると同時に、X線管1はひきつづき負の方向に移動する。
【0087】
X線管1の回転角Φが再び+270度となった時点(F)で、X線管1の移動方向を反転し、正とする。
【0088】
X線管1の回転角Φが再び+180度となった時点(G)で、X線管1の回転板6に対する位置θは0に戻る。
【0089】
X線管1の回転角Φが再び+90度となった時点(H)で、X線管1の移動方向を反転し、負とする。
【0090】
X線管1の回転角Φが再び0度となった時点(I)で、回転板6の回転およびX線管1の移動を停止し、透視または撮影を終了する。
【0091】
また、図3には補足のため、X線管1の回転角ΦおよびX線管1の回転板6に対する位置θの時間変化を図示してある。ただし、図3中のTはX線管1が被検体の周囲を1回転するのにかかる回転周期を示している。
【0092】
図3によれば、X線管1の回転角は、時点(E)に対して偶関数である。したがって、X線管1が所定の回転角Φ1に存在する時点が必ず2回存在する。
【0093】
ここで、これらの時点をそれぞれt1、t2とすると、t1、t2におけるX線管1の回転板6に対する位置θ1、θ2は、θの時間変化が時点(E)に対して奇関数であることから、θ1=−θ2という関係が常に成り立つ。
【0094】
したがって、X線管1の所定の回転角Φに対して、回転板6および回転板6上に固定されるX線検出器は、常に+θ方向および−θ方向の対称な位置に存在する。
【0095】
また、図3から明らかなように、被検体11に対するX線管1の回転角位置に相当するΦが時間に対して直線的に変化する。したがって、それぞれの回転における撮影シーケンスを等しく設定することにより、撮影時の被検体11に対するX線管1の位置を2回の回転において一致させることができることは言うまでもない。
【0096】
次に、図4に実施の形態1におけるX線管1の回転板6に対する位置θと、このときのX線管1に対するX線検出器の検出面20の視野角αとの関係を表す図を示し、以下、図4に基づいて、実施の形態1におけるX線管1の回転板6に対する位置θと、このときのX線管1に対するX線検出器の検出面20の視野角αとの関係を説明する。
【0097】
なお、図4は簡単のため視野角αをX線管1の回転軌道面(以下、ミッドプレーンと記す)である2次元面上においてのみ示してある。
【0098】
図4において、角度βは次式(2)で示される。
【0099】
【数2】
【0100】
このとき、X線管1に対するX線検出器の検出面20の視野角αは、次式(3)で示される。
【0101】
【数3】
【0102】
ここで、図3で示したように、X線管1の同一の回転角Φに対して、回転板6および回転板6上に固定されるX線検出器は、常に+θ方向および−θ方向の対称な位置に存在する。
【0103】
したがって、撮影系の2回転の撮影において、X線管1に対するX線検出器の検出面20の全視野角は2αとなる。
【0104】
図5は実施の形態1におけるX線管1の回転板6に対する位置θと、このときのX線管1に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を示す図であり、この図は式(3)を用いて、X線管1の回転板6に対する位置θとX線管1に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を計算し、グラフ化したものである。
【0105】
なお、図5はX線管1の回転半径Dを720mm、回転板6の回転中心とX線検出器との距離dを380mm、X線検出器のX線入力面の直径wを380mmであるものとして、計算を行っている。
【0106】
図5から明らかなように、たとえば、X線管1の位置θが0度の時は、全視野角2αは19.6度であり、X線管1の位置θが10度の時は、全視野角2αは26.8度である。
【0107】
したがって、図3において、X線管1の移動の振幅θaを10度とした場合、X線管1の位置が(A),(C),(E),(G)あるいは(I)に存在する場合は検出器の全視野角2αは最小値19.6度をとり、また、X線管1の位置が(B),(H),(D)あるいは(F)に存在する場合は、検出器の全視野角は最大値26.8度をとることがこの図から明らかとなる。
【0108】
図6は実施の形態1のX線撮影装置において、回転板6の回転角φの時間変化と、回転板6の角速度ωとの時間変化を示した図であり、図6中の(A)〜(I)の各時点は、図3に示す(A)〜(I)の各時点に相当する。
【0109】
前述するように、X線管1の回転板6に対する位置θと回転板6の回転角φとX線管1の回転角Φとの間には、φ+θ=Φの関係があるので、図6における回転板6の回転角φは、図3中に示されるΦ、θの時間変化に対してφ=Φ−θとして求めることができる。
【0110】
また、回転板6の角速度ωはω=dφ/dtとして求めることができる。
【0111】
したがって、たとえば、時点(A)〜(B)の間においては、時間間隔T/4の間にφがπ/2+θaだけ変化するので、角速度ωは(2π+4θa)/Tと表すことができる。
【0112】
一方、図6に示すように、本実施の形態1においては、回転板6の角速度は時間に対して不連続に変化する。
【0113】
このような角速度の変化は、たとえば、回転板6の回転を駆動する図示しないステッピングモータに入力するパルス信号数を、図6に示す角速度にしたがって変化させることにより、容易に実現することができる。
【0114】
図7は実施の形態1のX線撮影装置で透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図であり、図7(A)は被検体11とX線管1と検出面20との関係を説明するための図であり、図7(B)は表示位置を補正する前の表示の一例を示す図であり、図7(C)は表示位置の補正後の表示の一例を示す図である。
【0115】
図7において、70は被検体の中心位置、71は被検体の中心位置70を通過するX線ビームの投影位置、72はX線検出器の検出面20上の中央位置、73は表示上の中央位置、74は表示部分、75は表示画面を示す。
【0116】
次に、図7に基づいて、実施の形態1のX線撮影装置で透視または撮影した被検体のX線透過像の表示方式を説明すると、X線管1は回転板6に対して移動するので、回転板6に固定されたX線検出器とX線管1との位置関係が変化する。
【0117】
たとえば、図7(A)に示すように、被検体11を乗せた寝台天板7の位置は、被検体の中心位置70がXY平面の原点O、すなわち、回転板6の回転中心位置にくるように設定される。
【0118】
このとき、X線管1から放射されて被検体の中心位置70を通過するX線ビーム(点線で示す)は、X線検出器の検出面20上の投影位置71で検出される。また、このときの投影位置71の検出面20上の中央位置72に対する位置は、d・tanθである(ただし、d・tanθはdとtanθの乗算を示す)。
【0119】
ただし、このときの位置は、X線管1から見た検出面左側を正としている。
【0120】
図7(A)から明らかなように、被検体11の中心位置70の投影位置71は、X線管1の回転板6に対する位置θに依存し、撮影の途中において、X線検出器の検出面20上を移動する。
【0121】
このため、一般にはX線検出器の検出面20上の中央位置72は、図7(B)に示される、表示画面75の中央位置73に固定されるため、被検体の中心70の投影位置71が表示画面75上を左右に移動し、検者が観測しにくいという問題があった。
【0122】
そこで本実施例では、図7(C)に示すように、被検体11の中心位置70の投影位置71が前記の表示画面75の中央位置73に常に固定されるように、表示を行う。
【0123】
具体的には、たとえば、メモリに格納された画像情報を検出面20に対して−d・tanθだけずらした位置で表示することでこれを実現することができる。
【0124】
すなわち、画像収集処理手段18が表示用の画像表示信号を生成するときに、前述するように表示する画像表示信号を生成するように構成することによって、図示しない作業者は、被検体11の中心位置70の投影位置71を常に表示画面75上の中央位置73に固定したまま被検体11のX線透視像または撮影像を観察することができる。
【0125】
この場合、図7(C)に示すように、被検体11のX線透視像または撮影像を示す表示部分74が表示画面75に対して左右に変動して表示されることから、表示画面75として横長のものを用いることにより、表示画面75内にて被検体11のX線透視像または撮影像をその欠損が生じることなく全て表示することができることは言うまでもない。
【0126】
また、前述するX線透過像または撮影像がデジタル画像信号である場合は、前述するように、表示画面75に対して表示部分74を左右にシフトさせることは、画面を構成する画素を画面上で左右にシフトすることに相当する。
【0127】
しかしながら、このシフト量は画像の画素間隔を単位として常に整数値になるとは限らないことから、正確に画像をシフトさせることが困難となる。
【0128】
したがって、本実施の形態1では、表示部分74のシフトを正確に行うため、画素間のデータを補間する周知の方法を用いて、前記のシフト量を画素間隔を単位として整数値となるようにしている。
【0129】
また、他の方法として、前述するシフト量を最も近い整数値で近似するようにしても、同じ効果が得られることは言うまでもない。
【0130】
前述する表示方式は、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まるという欠点がある。
【0131】
しかしながら、被検体11のX線透視像または撮影像を、撮影と同時にリアルタイムで観察することができるという利点がある。
【0132】
図8は実施の形態1のX線撮影装置において、同一のX線発生点において照射されたX線によって透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法および合成によって得られた合成画像を説明するための図であり、図8(A)は同一のX線発生点において照射されたX線によって透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法を説明するための図であり、図8(B)は図8(A)に示す画像合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【0133】
前述する図7に示す表示方式においては、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まっている。
【0134】
一方、図8(A)に示す表示方式においては、同一のX線管1の位置に対して、θおよび−θという異なる2方向に存在するX線検出器の位置における被検体11のX線透視像または撮影像を得ることができる。
【0135】
したがって、θおよび−θのそれぞれの位置で収集される画像を合成して、大視野の1枚の画像を作成し、表示することが可能であり、たとえば、図示しないメモリに格納された画像情報に対して、図8(A)に示す仮想検出面80を考える。
【0136】
このとき、仮想検出面80は撮影系の回転中心Oを含み、X線管1と撮影系の回転中心Oとを結ぶ直線に垂直に配置されているものとする。
【0137】
次に、同一のX線管1の位置に対してθおよび−θという異なる2方向に存在するそれぞれのX線検出器から収集された画像情報を仮想検出面80上に投影して、1枚の合成画像を作成する。
【0138】
このとき、前述する画像情報の投影は、仮想検出面80上を構成する検出点82に対し、X線管1から放射され、前記の検出点82を通過するX線ビーム83による被検体の投影像84を仮想検出面80上に投影することで実現することができる。
【0139】
また、仮想検出面80の中央付近を通過するX線ビーム85に対しては、図8(A)中に示されるように、投影データが2つの検出器の位置に対して得られるので、これらの平均値を仮想検出面80上に投影することで、投影画像のS/Nを向上をすることができる。
【0140】
図8(B)に示すように、仮想検出面80上で合成した被検体11のX線透過像の表示が可能となる。ただし、図8(B)に示すX線透過像は、仮想検出面80上の中央位置81が、表示画面75上の中央位置71と一致するように表示を行っている。
【0141】
したがって、被検体の中心位置70は、前記の仮想検出面上の中央位置81と常に一致するので、作業者は被検体の中心位置70を表示画面75上の中央位置71に常に固定した状態で、被検体11のX線透視像または撮影像を観測することができる。
【0142】
次に、図8に示す画像合成により得られた合成画像からX線CT像の再構成の方法について説明する。
【0143】
図8に示す仮想検出面80上に投影された被検体の合成画像は、実際のX線検出器の視野よりも広い視野もつ仮想検出器80によって検出された被検体のX線透過像と考えることができる。
【0144】
したがって、X線管1の被検体に対するあらゆる回転角方向について前記の合成画像を作成し、信号処理することで従来よりも広い視野を持つ被検体の3次元X線CT像を再構成することができる。
【0145】
次に、図9に実施の形態1のX線撮影装置の動作を説明するためのブロック図を示し、以下、図9に基づいて、その動作を説明すると、まず、テレビカメラ5により収集された被検体のビデオ信号はA/D変換器90によってデジタル信号に変換された後、イメージメモリ91に格納される。
【0146】
イメージメモリ91においては、Φ=0、Φ=ΔΦ、・・・、Φ=2π−ΔΦは、X線管1のそれぞれの回転角Φにおいて収集されたX線像である画像情報(イメージデータ)を格納するメモリバンクを示す。
【0147】
また、ΔΦはX線管1の回転ステップ角であり、撮影はX線管1のΔΦの回転ステップ毎に行われる。ΔΦの代表値は1.25度である。
【0148】
各Φにおいて、(1),(2)は、それぞれ撮影系の1回転目および2回転目において収集されるイメージデータを格納するメモリバンクを示す。
【0149】
前述する図3に示す手順で撮影を行った場合、A/D変換されたイメージデータは、撮影系の1回目の回転に対して、まず、Φ=0(1)に格納され、続いて、Φ=ΔΦ(1)、・・・、Φ=2π−ΔΦ(1)の順番で格納される。
【0150】
次に、撮影系の2回転目の回転に対して、まず、Φ=0(2)に格納され、続いて、Φ=2π−ΔΦ(2)、・・・、Φ=ΔΦ(2)の順番で格納され、イメージデータの格納を終了する。
【0151】
前述する順番でイメージデータのイメージメモリ91への格納が全て終了した後、幾何学歪補正手段92はそれぞれのΦにおける(1)および(2)のイメージデータを読み出して、X線検出器によって生じる画像の幾何学歪の補正をそれぞれの画像について行う。
【0152】
なお、幾何学歪補正の方法としては、医用電子と生体光学誌、第33回日本ME学会大会論文集(1994年)222頁に記載の方法が挙げられる。
【0153】
また、幾何学歪補正を行われたイメージデータは、画像合成手段(X線像合成手段)93により画像合成を行う。
【0154】
ただし、画像合成は、前述する図8で示す手順に従って行う。
【0155】
このとき、画像合成された合成画像は、それぞれ合成前の画像が格納されていたメモリバンクΦに上書きされ、再びイメージメモリ91に格納される。
【0156】
図9(B)は、図9(A)において全てのメモリバンクΦに対して画像合成を行い、合成画像の格納を全て終了した状態を示す。
【0157】
このとき、それぞれのメモリバンクΦには、対応するX線管1の回転角Φにおいて得られる被検体の合成画像が格納されている。
【0158】
したがって、透視画像または撮影画像を観察する場合、それぞれのメモリバンクに格納されるイメージデータを、直接、画像表示手段19によって表示する。
【0159】
また、前述する合成画像から、再構成処理手段(再構成手段)94を用いて画像再構成することによって、視野角の大きい被検体のX線3次元CT像を得ることができる。
【0160】
なお、再構成処理としては、前述するフェルドカンプの方法やグランギートの方法等をそのまま用いることができる。
【0161】
画像再構成の途中において、再構成像の途中結果は、順次、再構成像を格納するイメージメモリ95に格納される。イメージメモリ95に格納された被検体11の再構成像は、再構成処理の途中あるいは再構成処理が全て終了した後に、画像表示手段19に表示される。
【0162】
したがって、たとえば、再構成処理の途中結果を画像手段19に順次表示する場合は、再構成像の評価に緊急を要するときに、再構成が完全に終了するのを待つことなく、再構成の途中結果像によって評価ができるという効果がある。
【0163】
以上説明したように、本実施の形態1のX線撮影装置によれば、複数方向から被検体11のX線透視像,X線撮影像もしくはX線CT計測値を計測する場合において、X線管1とこのX線管1に対向するX線検出器からなる撮影系を被検体の周囲に回転すると同時に、X線管1とX線検出器の相対的な位置を撮影系の回転面と平行な方向に変動させながら、X線透視,X線撮影もしくはX線CT計測を行い、X線管1が被検体となす角度が等しいときのX線透過像から1枚のX線透過像を合成することにより、X線管1の回転面に平行な方向にX線検出器の視野よりも広い領域のX線透過像を得ることができるので、X線透視像,X線撮影像もしくはX線CT画像の横断断層面の視野を拡大することができる。
【0164】
さらには、X線像のS/N比を向上させることができるので、肺癌等の診断能を向上させることができる。
【0165】
なお、本実施の形態1においては、X線検出器としてX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる系を用いたが、周知のTFT素子を用いた2次元X線検出器等でこれを代用しても、同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0166】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、特に、コーンビームX線CT装置に適用した場合について説明する。
【0167】
図中において、101はX線検出器(X線撮像手段、2次元X線撮像手段)、102は錘、103は錘移動用レール、104は撮影制御手段(X線撮像制御手段)、105は錘位置制御手段、106は画像収集処理手段(表示制御手段、X線像合成手段、再構成手段)、107はX線検出器移動用レール、108はX線検出器位置制御手段(撮像位置制御手段)、109はX線検出器位置計測手段を示す。
【0168】
なお、前記各装置および機構は公知のものを用いる。
【0169】
図10において、X線検出器101は、周知のTFT素子を用いた薄型軽量の2次元X線センサを用いる。
【0170】
撮影系はX線検出器101、X線管1、錘102、錘移動用レール103、X線検出器移動用レール107および回転板6からなる。
【0171】
X線管1およびX線検出器移動用レール107は、回転板6に固定され、特に、X線検出器移動用レール107は、X線管1と回転板6の回転中心とを結ぶ直線と垂直な方向に配置する。
【0172】
また、X線検出器移動用レール107の構造は、たとえば、実施の形態1のX線管移動用レール10と同様であり、本実施の形態2では、レールが直線である点が異なる。
【0173】
グリッド2は、X線検出器101の前面に固定され、X線検出器101と共にX線検出器移動用レール107の上を移動することができ、このX線検出器101は、実施の形態1のX線管1と同様の構造によって、X線検出器移動用レール107上を移動できる。
【0174】
錘102および錘移動用レール103は、回転板6に固定され、特に、錘移動用レール103は、X線検出器移動用レール107と平行になるように、回転板6上に配置する。また、その構造は、たとえば、実施の形態1の錘移動用レール9と同様であり、本実施の形態2では、レールが直線である点が異なる。
【0175】
錘102は、錘移動用レール103の上を移動することができ、その構造は実施の形態1と同じであり、錘102の質量はX線検出器101と等しい質量Mdを有する。
【0176】
撮影制御手段104は、X線管1のX線発生とX線検出器101の撮影動作とを制御する撮影シーケンスを規定する。また、回転板6を回転させる回転シーケンス、X線検出器101のX線検出器移動用レール107上での移動を制御する移動シーケンス、錘102の錘移動用レール103上での移動を制御する移動シーケンスを規定する。
【0177】
なお、撮影制御手段104は、前述する実施の形態1の撮影制御手段12と同様に、周知の情報処理装置で実行されるプログラムによって、前述する各シーケンスを実現する。
【0178】
錘位置制御手段は105は、撮影制御手段104の出力に基づいて、たとえば、錘102を移動させるための図示しないモータを制御し、X線検出器101を所定の位置に移動させるための手段であり、周知の制御回路によって実現される。
【0179】
画像収集処理手段106は、回転板角度計測手段17およびX線検出器位置計測手段109の出力に基づいて、X線検出器101で撮像されるX線像をX線画像として、後述する画像処理を行う手段であり、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現可能である。
【0180】
X線検出器位置制御手段108は、撮影制御手段104の出力に基づいて、たとえば、X線検出器101を移動させるための図示しないモータを制御し、X線検出器101を所定の位置に移動させるための手段であり、周知の制御回路によって実現される。
【0181】
X線検出器位置計測手段109は、X線検出器101のX線検出器移動用レール107上の位置データを出力する手段であり、たとえば、実施の形態1のX線管位置計測手段16と同様に、X線検出器101を移動させる図示しないモータの回転に連動するポテンショメータの出力を計測することにより、位置データに変換する。
【0182】
なお、図10において、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器101のX線入力面との距離dは380mm、X線検出器101のX線入力面は正方形であり、その幅wは260mmである。また、撮影系の回転周期の代表例は5秒である。
【0183】
次に、本実施の形態2のコーンビームX線CT装置の動作を説明すると、X線管1から発生されたX線は被検体11を透過し、X線グリッド2により散乱線が遮断された後、X線検出器101によって検出される。
【0184】
X線検出器101は、画像をデジタル信号に変換し、画像収集処理手段106に入力する。このとき、X線検出器101のCTスキャンにおける標準走査モードは毎秒60フレーム、走査数525本である。また、CTスキャンにおける標準走査モードでは、1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。
【0185】
次に、画像収集処理手段106は、デジタル画像信号を回転板6の回転角度データおよびX線検出器101のX線検出器移動用レール107上の位置データと共に内部のフレームメモリに記憶し、3次元再構成演算を行う。
【0186】
画像表示手段19は3次元再構成したX線CT像を表示する。
【0187】
X線検出器101により透視または撮影モードで得られた画像は、リアルタイムで画像表示手段19によって表示することが可能であることは言うまでもない。
【0188】
図11は、実施の形態2の回転板6の回転およびX線検出器101と錘102の移動を表現する各種のパラメータを説明するための図であり、特に、図11(A)は被検体に固定したXY座標系におけるパラメータを説明するための図であり、回転板6の回転中心OをXY座標系の原点とする。
【0189】
図11(A)において、X軸に対するX線管1の傾きをΦとすると、Φは回転板6の回転角に相当する。
【0190】
q軸はX線管1と回転板6の回転中心Oとを結ぶ直線に垂直な方向を向き、X線管1からX線検出器101を見た場合に、向かって左側をq軸の正の方向としている。またq軸はX線管1と回転板6の回転中心Oとを結ぶ前記直線とq軸が交わる点を原点としており、位置qはX線検出器101の中心軸110のq軸上の位置を表す。
【0191】
ここで、X線検出器101の中心軸110はq軸に垂直であり、X線検出器101の検出面上の中央位置72を通過する。
【0192】
図11(B)は図11(A)におけるX線検出器101およびX線検出器移動用レール107の付近を拡大して表示したものである。
【0193】
また、図11(B)には、錘移動用レール103および錘移動用レール103上を移動する錘102が示してある。実施の形態2においては、錘移動用レール103は、X線検出器移動用レール107と平行となるように回転板6上に配置される。
【0194】
また、錘102およびX線検出器101は、錘102の重心GwおよびX線検出器101の重心Gdが、それぞれ錘移動用レール103およびX線検出器移動用レール107上の位置と一致するようにレール上に配置される。
【0195】
回転板6の回転中心Oを通り、X線検出器移動用レール107および錘移動用レール103に垂直な直線上の、X線検出器移動用レール107と錘移動用レール103との中間の位置をGとすると、錘102の重心Gwは、X線検出器101の重心Gwと中間の位置(点)Gに対して、常に、点対称の位置に存在するように移動する。
【0196】
このとき、X線検出器101および錘102の質量が等しくMdであることから、X線検出器101および錘102の重心は、常に、点Gに固定されるので、X線検出器101の移動に伴い、撮影系の重心位置が移動することなく、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0197】
また、図11(B)において、X線検出器101および錘102の重心位置GをXY平面上のベクトルG→で表し、また、Gから見た錘102の重心位置GwおよびX線検出器101の重心位置GdをそれぞれベクトルGw→、Gd→で表すと、X線検出器101と錘102の角運動量の変化率の合計、すなわち、トルクの合計N→は、次式(4)で表される。
【0198】
【数4】
【0199】
ただし、演算×はベクトルの外積、tは時間を示す。
【0200】
前述する式(4)の右辺第1項は、X線検出器101と錘102の重心の運動に関する項であるが、本実施の形態2ではGが回転板6に固定されることから、X線検出器101および錘102の回転板6上の動きには影響されず、回転板6の回転速度のみに影響される。
【0201】
また、前述する式(4)の右辺第2項および第3項は、X線検出器101と錘102の重心のまわりの運動に関する項であるが、Gw→=−Gd→であることから、これらの合計は0となる。
【0202】
したがって、本実施の形態2においては、X線検出器101の移動に起因する角運動量の変化は0となり、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0203】
図12は、実施の形態2における回転板6の回転、および、X線検出器101の移動の関係の一例を説明するための図であり、X線検出器101の移動は、−qa〜qaの範囲を回転板6に対して、等速度あるいは正弦的に行う。
【0204】
また、回転板6の回転は2回転行い、1回転目と2回転目とで回転方向を逆転する。
【0205】
次に、図12に基づいて、回転板6の回転およびX線検出器101の移動の関係について説明すると、まず、起点(A)ではX線管1の回転角Φは0度、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0である。
【0206】
次に、回転板6が反時計回り方向に回転を始めると同時に、X線検出器101はqについて正の方向に移動を開始し、透視または撮影を開始する。
【0207】
X線管1の回転角Φが+90度となった時点(B)で、X線検出器101の移動方向を反転し、負の方向とする。
【0208】
X線管1の回転角Φが+180度となった時点(C)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻る。
【0209】
X線管1の回転角Φが+270度となった時点(D)で、X線検出器101の移動方向を反転し、正の方向とする。
【0210】
X線管1の回転角Φが+360度となった時点(E)で、回転板6の回転方向を反転し、時計回りとする。このとき、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻る。
【0211】
回転板6が時計回りに回転を始めると同時に、X線検出器101はひきつづき正の方向に移動し、X線管1の回転角Φが再び+270度となった時点(F)で、X線検出器101の移動方向を反転し、負の方向とする。
【0212】
X線管1の回転角Φが再び+180度となった時点(G)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻る。
【0213】
X線管1の回転角Φが再び+90度となった時点(H)で、X線検出器101の移動方向を反転し、正の方向とする。
【0214】
X線管1の回転角Φが再び0度となった時点(I)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻り、このとき回転板6の回転およびX線検出器101の移動を停止し、透視または撮影を終了する。
【0215】
図12には補足のため、X線管1の回転角ΦおよびX線検出器101の回転板6に対する位置qの時間変化を図示してある。
【0216】
なお、ここでは、X線検出器101の移動の例として、回転板6に対してX線検出器101を等速度的に移動する場合と正弦的に移動する場合との2種類の場合が図示されている。
【0217】
図中に示す、TはX線管1が被検体の周囲を1回転するのにかかる回転周期を示している。また、同図によれば、X線管1の回転角は時点(E)に対して偶関数である。よって、X線管1がある回転角Φ1に存在する時点が必ず2回存在する。
【0218】
ここで、これらの時点をそれぞれt1、t2とすると、t1、t2におけるX線検出器101の回転板6に対する位置q1、q2は、qの時間変化が時点(E)に対して奇関数であることから、q1=−q2という関係が常に成り立つ。
【0219】
したがって、X線管1の所定の回転角Φに対して、X線検出器101は常に+q方向、および、−q方向の対称な位置に存在する。
【0220】
また、図12から明らかなように、被検体11に対するX線管1の回転角位置に相当するΦが時間に対して直線的に変化する。このため、それぞれの回転における撮影シーケンスを等しく設定することにより、撮影時の被検体11に対するX線管1の位置を2回の回転において一致させることができる。
【0221】
図13は実施の形態2におけるX線検出器101の回転板6に対する位置qと、このときのX線管1に対するX線検出器101の検出面20の視野角αとの関係を説明するための図である。
【0222】
図13は簡単のために、視野角αをX線管1の回転軌道面(以下、ミッドプレーンと記す)である2次元面上においてのみ示してある。
【0223】
図13において、X線管1に対するX線検出器101の検出面20の視野角αは、次式(5)で示される。
【0224】
【数5】
【0225】
ここで、図12に示したように、X線管1の同一の回転角Φに対して、X線検出器101は常に+q方向および−q方向の対称な位置に存在する。
【0226】
したがって、撮影系の2回転の撮影において、X線管1に対するX線検出器101の検出面20の全視野角は2αとなる。
【0227】
図14は実施の形態2におけるX線検出器101の回転板6に対する位置qと、このときのX線管1に対するX線検出器101の全視野角2αとの関係を説明するための図である。なお、図14においては、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器101との距離dは380mm、X線検出器101のX線入力面の直径wは260mmであるものとして計算を行っている。
【0228】
したがって、たとえば、X線検出器101の位置qが0の時は全視野角2αは13.5度であり、X線検出器101の位置qが120mmの時は全視野角2αは25.6度である。
【0229】
図12において、X線検出器101の移動の振幅qaを120mmとした場合、X線管1の位置が(A),(C),(E),(G)および(I)に存在する場合は、検出器の全視野角2αは最小値13.5度をとり、一方、X線管1の位置が(B),(H),(D)あるいは(F)に存在する場合は、検出器の全視野角は最大値25.6度をとる。
【0230】
図15は実施の形態2における透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図であり、図15(A)は被検体11とX線管1および検出面20との関係を説明するための図であり、図15(B)はX線透過像の表示位置を補正する前の表示の一例を示す図であり、図15(C)はX線透過像の表示位置を補正した後の表示の一例を示す図である。
【0231】
次に、図15に基づいて、実施の形態2のX線撮影装置で透視または撮影した被検体のX線透過像の表示方法を説明すると、X線検出器101が回転板6に対して移動するため、回転板6に固定されたX線管1とX線検出器101との位置関係が変化する。
【0232】
たとえば、図15(A)に示すように、被検体11を乗せた寝台天板7の位置は、被検体の中心位置70がXY平面の原点O、すなわち、回転板6の回転中心位置にくるように設定される。
【0233】
このとき、X線管1から放射されて被検体の中心位置70を通過するX線ビーム(点線で示す)は、X線検出器101の検出面20上の投影位置71において検出される。
【0234】
また、このときの投影位置71の検出面20上の中央位置72に対する位置は、−qである。
【0235】
ただし、このときの位置はX線管1から見た検出面左側を正としている。
【0236】
図15(A)から明らかなように、投影位置71はX線検出器101の回転板6に対する位置qに依存し、撮影の途中において、X線検出器101の検出面20上を移動する。
【0237】
このため、一般にはX線検出器101の検出面20上の中央位置72は、被検体11のX線透視または撮影画像を表示する表示画面75の中央位置73に固定されることから、被検体の中心70の投影位置71が表示画面上を左右に移動し、作業者が観測しにくいという問題がある。
【0238】
そこで本実施の形態2では、図15(C)に示すように、被検体の中心70の投影位置71が表示画面75の中央位置73に、常に、固定されるようになっている。
【0239】
具体的には、たとえば、メモリに格納された画像情報を検出面20に対して、qだけずらした位置で表示することでこれを実現することができる。
【0240】
このような構成にすることによって、作業者は被検体11の中心位置70の投影位置71を常に表示画面75上の中央位置73に固定したまま被検体11のX線透視像、または、撮影像を観察することができる。
【0241】
この場合、図15(C)に示すように、被検体11のX線透視像または撮影像を示す表示部分74が表示画面75に対して左右に変動して表示されることから、表示画面75として横長のものを用いることにより、表示画面75内にて被検体11のX線透視像または撮影像をその欠損が生じることなく、全て表示することができる。
【0242】
また、X線透過像または撮影像がデジタル画像信号である場合は、前述するように、表示画面75に対して表示部分74を左右にシフトさせることは、画面を構成する画素を画面上で左右にシフトすることに相当する。
【0243】
しかしながら、このシフト量は画像の画素間隔を単位として常に整数値になるとは限らないことから、正確に画像をシフトさせることが困難となる。
【0244】
したがって、本実施の形態2では、表示部分74のシフトを正確に行うため、画素間のデータを補間する周知の方法を用いて、前記のシフト量を画素間隔を単位として整数値となるようにしている。
【0245】
また、他の方法として、前述するシフト量を最も近い整数値で近似するようにしても、同じ効果が得られることは言うまでもない。
【0246】
前述する表示方式は、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器101の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まるという欠点がある。
【0247】
しかしながら、被検体11のX線透視像または撮影像を、撮影と同時にリアルタイムで観察することができるという利点がある。
【0248】
図16は実施の形態2のX線撮影装置において、同一のX線発生点において照射されたX線によって、透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法およびこの合成によって得られた合成画像を説明するための図であり、図16(A)は同一のX線発生点で照射されたX線によって透視または撮像された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法を説明するための図であり、図16(B)は図16(A)に示す画像合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【0249】
前述する表示方式においては、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器101の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まっている。
【0250】
一方、図16(A)に示す表示方式においては、同一のX線管1の位置に対して、qおよび−qという異なる2方向に存在するX線検出器101の位置において、被検体11のX線透視像または撮影像を得ることができる。
【0251】
したがって、qおよび−qのそれぞれの位置で収集される画像を合成して、大視野の1枚の画像を作成し、表示することが可能であり、たとえば、図示しないメモリに格納された画像情報に対して、図16(A)に示す仮想検出面80を考える。
【0252】
このとき、仮想検出面80は撮影系の回転中心Oを含み、X線管1と撮影系の回転中心Oとを結ぶ直線に垂直に配置されているものとして、それぞれのX線検出器101から収集された画像情報をこの仮想検出面80上に投影して、1枚の合成画像を作成する。
【0253】
このとき、画像情報の投影は、仮想検出面80上を構成する検出点82に対し、X線管1から放射され、前記の検出点82を通過するX線ビーム83による被検体の投影像84を仮想検出面80上に投影することで実現することができる。
【0254】
また、仮想検出面80の中央付近を通過するX線ビーム85に対しては、図8(A)に示すように、投影データが2つの検出器の位置に対して得られるので、これらの平均値を仮想検出面80上に投影することにより、投影画像のS/Nを向上できる。
【0255】
したがって、図16(B)に示すように、仮想検出面80上で合成した被検体11のX線透過像の表示例が可能となる。ただし、図16(B)に示すX線透過像は、仮想検出面80上の中央位置81が、表示画面75上の中央位置71と一致するように表示を行っている。
【0256】
したがって、被検体の中心70は、仮想検出面上の中央位置81と常に一致するので、作業者は被検体の中心70を表示画面75上の中央位置71に常に固定した状態で、被検体11のX線透視像または撮影像を観測することができる。
【0257】
本実施の形態2における合成画像の作成手順については、実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるので、その説明は省略する。
【0258】
一方、図16に示す仮想検出面80上に投影された被検体の合成画像は、実際のX線検出器101の視野よりも広い視野もつ仮想検出器80によって検出された被検体のX線透過像と考えることができる。
【0259】
したがって、X線管1の被検体に対するあらゆる回転角方向について、合成画像を作成し、信号処理することによって、従来と同じ視野のX線検出器101を用いることにより、このX線検出器101の視野よりも広い視野を持つ被検体の3次元X線CT像を再構成することができる。
【0260】
なお、本実施の形態2における合成画像の作成手順、X線CT像の再構成方法、再構成の手順および再構成像の表示手段については、実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるため、ここでは省略する。
【0261】
以上説明したように、本実施の形態2のX線撮影装置によれば、複数方向から被検体11のX線透視像、X線撮影像またはX線CT計測値を得るX線装置において、X線管1とこのX線管1に対向するX線検出器101とからなる撮影系を被検体の周囲に回転すると同時に、X線管1とX線検出器101との相対的な位置を撮影系の回転面と平行な方向に変動させながらX線透視、X線撮影またはX線CT計測を行い、X線管1が同一位置の時の2枚のX線透過像から1枚のX線透過像を合成し、この合成したX線透過像を前記X線管1の位置におけるX線透過像とすることにより、X線管1の回転面に平行な方向にX線検出器101の視野よりも広い領域のX線透過像を得ることができる。
【0262】
したがって、X線透視像、X線撮影像またはX線CT画像の横断断層面の視野を拡大することができる。
【0263】
さらには、X線像のS/N比を向上させることができるので、肺癌等の診断能を向上させることができる。
【0264】
なお、本実施の形態2においては、X線検出器としてTFT素子を用いた2次元X線検出器を用いたが、X線イメージインテンシファイアおよびテレビカメラからなる系を2次元X線検出器として用いても同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0265】
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、特に、コーンビームX線CT装置に適用した場合について説明する。
【0266】
図中において、171は撮影制御手段(X線撮像制御手段)、172は画像収集処理手段(表示制御手段、X線像合成手段、再構成手段)を示す。
【0267】
前記各装置および機構は公知のものを用いる。特に、X線検出器101は、実施の形態2のX線検出器と同じであり、周知のTFT素子を用いた薄型軽量の2次元X線センサを用いる。
【0268】
図17(A)において、各構成装置およびその動作は、図10に示す実施の形態2で説明したものとほぼ同一であるため、図10と異なる点のみ、以下、説明する。その他については、図10に対する説明と同一であるため、ここでは省略する。
【0269】
本実施の形態3においては、X線検出器101を回転板6の回転方向に3台並列に配置する。このとき、各X線検出器101の前面には、X線グリッド2がそれぞれ固定される。
【0270】
各X線検出器101は、お互いの相対位置を固定したまま、X線検出器移動用レール107上を移動する。また、各X線検出器101のX線入力面は正方形であり、幅wは260mmであり、その質量はそれぞれMdである。
【0271】
錘102の質量は、X線検出器101の質量の合計である3Mdに等しい。
【0272】
撮影制御手段171は、X線管1のX線発生と全てのX線検出器101の撮影動作を制御する撮影シーケンスを規定する。また、撮影は全てのX線検出器101において同時に行う。
【0273】
各X線検出器101のCTスキャンにおける標準走査モードは、毎秒60フレーム、走査数525本である。また、CTスキャンにおける標準走査モードでは、各X線検出器において1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。
【0274】
各X線検出器101で撮影されたデジタル画像信号は、画像収集処理手段172によって同時によみだされ、その後、回転板6の回転角度データおよびX線検出器101のX線検出器移動用レール107上の位置データと共に内部のフレームメモリに記憶される。
【0275】
各X線検出器101により透視または撮影モードで得られた画像は、リアルタイムで画像表示手段19に同時に表示することが可能である。
【0276】
図17(B)は各X線検出器101のならびを説明するための図であり、この図からも明らかなように、各々のX線検出器101の間には隙間(gで示す)が存在する。なお、隙間の大きさgの代表値は5mmである。
【0277】
X線検出器101と錘102との位置関係は、実施の形態2の図11において説明したものと同じであるため、ここでは省略する。
【0278】
図18は、実施の形態3において、回転板6の回転およびX線検出器101の移動の関係の一例を説明するための図である。
【0279】
なお、図18中に記載の各パラメータ、すなわちX線管1の回転角ΦおよびX線検出器101の位置qについては、実施の形態2の図11において説明したものと同一のものを用いる。
【0280】
図18では、X線検出器101の移動例として2つの例を示す。
【0281】
一つ目の例は、回転板6を2回転して撮影を行う方法であり、他の例は回転板6を1回転して撮影を行う方法である。
【0282】
まず、回転板6を2回転して撮影を行う方法について説明すると、回転板6を2回転して撮影を行う場合、X線検出器101を位置ga〜−gaの間で等速度で移動しながら撮影を行う。
【0283】
また、回転板6の回転方向は、1回転目と2回転目とで同一方向とし、等速度で回転を行う。このとき、回転板6の1回転の周期をTとすると、X線検出器101は2Tの間に−2gaだけ等速移動するので、X線検出器101の回転板6に対する速度は−ga/Tである。
【0284】
ただし、回転板6の1回転に対するX線検出器101の移動距離gaは、各々のX線検出器101の隙間の大きさgに対してga≧gとなるように設定する。
【0285】
また、回転周期Tの代表値は、4.8秒である。X線検出器101の隙間の大きさgの代表値は5mmであり、X線検出器101の全移動距離2gaの代表値は15mmである。
【0286】
図18において、起点(A)では、X線管1の回転角Φは0度、X線検出器101の回転板6に対する位置qはgaである。
【0287】
ここで、回転板6が反時計回り方向に回転を始めると同時に、X線検出器101はqの方向に速度−ga/Tで移動を開始し、透視または撮影を開始する。
【0288】
X線管1の回転角Φが+360度となった時点(C)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0である。
【0289】
回転板6は引き続き反時計回り方向に回転を続け、X線検出器101も引き続きqの方向に等速度−ga/Tで移動を続ける。X線管1の回転角Φが+720度となった時点(E)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは−gaとなり、このとき回転板6の回転およびX線検出器101の移動を停止し、透視または撮影を終了する。
【0290】
図18には補足のため、X線管1の回転角ΦおよびX線検出器101の回転板6に対する位置qの時間変化を図示してある。
【0291】
いま、X線管1の1回転目の任意の回転角Φ1に対するX線検出器101の位置をg1とすると、X線管1の2回転目の回転角Φ1+2πにおけるX線検出器101の位置は、X線検出器101が等速度−ga/Tで移動することから、g1−gaとなる。
【0292】
すなわち、被検体11に対するX線管1の位置が1回転目と2回転目で同一となる時点において、それぞれのX線検出器101の位置は、常にga(≧g)だけずれた位置に存在する。
【0293】
したがって、1回転目で各X線検出器101の隙間であったために検出できない被検体11のX線透過像を2回転目で検出することができるので、これらのX線透過像を1枚に合成することにより、被検体11全体を包含する大視野のX線透過像を作成することができる。
【0294】
なお、前述するX線透過像の表示方法および合成方法については、実施の形態2に記載の方法と同一であるためここでは省略する。
【0295】
また、合成画像の作成手順、X線CT像の再構成方法および再構成の手順、および再構成像の表示については、実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるので、ここでは省略する。
【0296】
次に、回転板6を1回転して撮影を行う方法について説明すると、回転板6を1回転して撮影を行う場合、X線検出器101を位置ga/2〜−ga/2の間で等速度で移動しながら撮影を行う。
【0297】
このとき、回転板6の1回転の周期をTとすると、X線検出器101はTの間に−gaだけ等速移動するので、X線検出器101の回転板6に対する速度は−ga/Tである。
【0298】
ただし、回転板6の1回転に対するX線検出器101の移動距離gaは、各々のX線検出器101の隙間の大きさgに対してga≧gとなるように設定する。
【0299】
また、回転周期Tの代表値は4.8秒である。X線検出器101の隙間の大きさgの代表値は5mmであり、X線検出器101の全移動距離gaの代表値は7.5mmである。
【0300】
回転板6を1回転して撮影を行う場合、各X線検出器101の隙間であったために検出できない被検体11のX線透過像を、検出されたX線透過像のデータから補間処理より求めて、1枚のX線透過像にする必要がある。
【0301】
補間処理の代表的な例としては、周知の線形補間法が挙げられる。このような補完処理を行った場合、補完部分における被検体11のX線透過像の推定が完全ではないことから、X線CT像の再構成画像上にアーチファクトが生じる。
【0302】
このようなアーチファクトは、X線検出器101の移動量gaがX線検出器101の隙間の大きさgに対して非常に小さい場合、特に、移動量が0である場合には再構成画像上にリング状のアーチファクトとして鮮明に現れるが、X線検出器101を移動しながら撮影を行うことによりこれを軽減することができる。
【0303】
なお、X線CT像の再構成方法および再構成の手順、および再構成像の表示については実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるので、ここでは省略する。
【0304】
以上説明したように、本実施の形態3のX線撮影装置によれば、複数方向から被検体11のX線透視像、X線撮影像またはX線CT計測値を得る場合、被検体11の体軸と垂直な方向に一列に配置された複数台のX線検出器101と、このX線検出器101に対向するX線管1からなる撮影系を被検体の周囲に回転しながら、X線透視、X線撮影またはX線CT計測を行うことにより、撮影系の回転面に平行な方向に全X線検出器101を見込む広い視野範囲で、被検体11のX線透過像を得ることができる。
【0305】
また、撮影系の回転と同時に、X線検出器101の位置を撮影系の回転面と平行な方向に各検出器の隙間程度の距離だけ変動させることにより、僅かなX線検出器101の移動で被検体11を通過する全てのX線を検出することができるので、小規模なX線検出器101の移動機構を用いて被検体11の大視野かつ高画質のX線透視像、X線撮影像またはX線CT画像を得ることができる。
【0306】
なお、本実施の形態3においては、X線検出器としてTFT素子を用いた2次元X線検出器を用いたが、X線イメージインテンシファイアおよびテレビカメラからなる系を2次元X線検出器として用いても同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0307】
なお、本発明は一般的なX線透視装置、X線撮影装置、立体X線撮影装置等にも適用できることは言うまでもない。
【0308】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0309】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0310】
(1)被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角のX線像を撮像することができる。
【0311】
(2)被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角の断層像を再構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の回転板の回転およびX線管と錘との移動を表現する各種のパラメータを説明するための図である。
【図3】実施の形態1のX線撮影装置における回転板の回転とX線管の移動との関係の一例を説明するための図である。
【図4】実施の形態1におけるX線管の回転板に対する位置θと、このときのX線管に対するX線検出器の検出面の視野角αとの関係を表す図である。
【図5】実施の形態1におけるX線管の回転板に対する位置θと、このときのX線管に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を示す図である。
【図6】実施の形態1のX線撮影装置の回転板の回転角φの時間変化と、回転板の角速度ωとの時間変化を示した図である。
【図7】実施の形態1のX線撮影装置で透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図である。
【図8】同一のX線発生点において照射されたX線によって透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法および合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【図9】実施の形態1のX線撮影装置の動作を説明するためのブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態2の回転板の回転およびX線検出器と錘の移動を表現する各種のパラメータを説明するための図である。
【図12】実施の形態2における回転板の回転、および、X線検出器の移動の関係の一例を説明するための図である。
【図13】実施の形態2におけるX線検出器の回転板に対する位置qと、このときのX線管に対するX線検出器の検出面の視野角αとの関係を説明するための図である。
【図14】実施の形態2におけるX線検出器の回転板に対する位置qと、このときのX線管に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を説明するための図である。
【図15】実施の形態2における透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図である。
【図16】実施の形態2の同一のX線発生点において照射されたX線によって、透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法およびこの合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態3のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態3のX線撮影装置における回転板の回転およびX線検出器の移動の関係の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線グリッド、3…X線イメージインテンシファイア、4…光学レンズ系、5…テレビカメラ、6…回転板、7…寝台天板、8…錘、9…錘移動用レール、10…X線管移動用レール、12…撮影制御手段、13…回転板駆動手段、14…X線管位置制御手段、15…錘位置制御手段、16…X線管位置計測手段、17…回転板角度計測手段、18…画像収集処理手段、19…画像表示手段、71…被検体の中心位置を通過するX線ビームの投影位置、72…X線検出器の検出面上の中央位置、73…表示上の中央位置、74…表示部分、75…表示画面、90…A/D変換器、91,95…イメージメモリ、92…幾何学歪補正手段、93…画像合成手段、94…再構成処理手段、101…X線検出器、102…錘、103…錘移動用レール、104…撮影制御手段、105…錘位置制御手段、106…画像収集処理手段、107…X線検出器移動用レール、108…X線検出器位置制御手段、109…X線検出器位置計測手段、171…撮影制御手段、172…画像収集処理手段。
【発明の属する技術分野】
本発明は、X線撮影装置に関し、特に、X線CT(Computed Tomography)装置における被検体の胸部等の大視野のX線像を精度よく撮像(撮影)するために好適な技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、被検体のX線像を複数方向から計測し立体的な動画像を観察または記録する方法として、回転DA(Digital Angiography)あるいは回転DSA(Digital Subtraction Angiography)の方法が東芝メディカルレビュー誌45号(1992年)7頁に記載されている。
【0003】
この文献によれば、C字型アーム上の一端にX線管とこのX線管に対向する他端にX線イメージインテンシファイア(X線I.I.)とテレビカメラとが取付けられており、このC字型アームを回転させながらテレビカメラで撮影した連続画像等をモニタに写し出すことにより、立体感のある動画像を観察したり、種々の方向からのDSA画像を得るものである。
【0004】
また、より完全な立体感のあるX線画像を得る方法としては、X線CT装置によって得られた複数枚の断層画像を画像処理によってつなぎ合わせることによって、立体感を表現する方法が一般的であるが、撮影時間が長くなるという問題があった。
【0005】
撮影時間短縮のためには、X線検出器(X線検出手段)として2次元X線検出器、X線源としてX線を円錐(コーン)状に照射するX線源を用いて、2次元X線検出器が検出した被検体の2次元透過像を得て、被検体の3次元CT像の再構成を行うコーンビームCT装置が有利であることが知られている。
【0006】
コーンビームCT装置における3次元画像再構成の代表的なアルゴリズムとしては、文献(1)の「Practical Cone−Beam Algorithm; L.A.Feldkamp, et al. ; J.Optical Society of America, A/Vol. 1(6), (1984), pp.612−619」に記載のフェルドカンプの方法が公知である。
【0007】
しかしながら、従来の2次元X線検出器は被検体を透過したX線を可視光線に変換するために、X線イメージインテンシファイア(X線I.I.)を用いているが、現在、実用化されている、すなわち、十分な感度を有するX線イメージインテンシファイアのサイズは大きなものでも16インチ程度であり、このサイズでは被検体の全ての部位の透過X線を得ることができないという問題があった。
【0008】
また、メディカルイメージングテクノロジー誌、第13巻、第4号(1995年)559〜562頁には、2次元X線検出器としてX線イメージインテンシファイアとテレビカメラを用いたコーンビームCT装置が示されている。
【0009】
このコーンビームCT装置は、円錐状のX線を照射するX線源と、このX線源に対向する位置に設置される高解像度のX線イメージインテンシファイアとを被検体の周りに回転させてX線像を撮像する際に、被検体を固定した寝台天板をX線源の回転軌道面と平行な方向に移動させながら撮像することによって、寝台天板の移動方向にX線像の視野を拡大する手法が記載されている。
【0010】
なお、コーンビームCT装置における3次元画像再構成の代表的なアルゴリズムとしては、フェルドカンプの方法(Practical Cone−Beam Algorithm; L.A.Feldkamp, et al. ; J.Optical Society of America, A/Vol. 1(6), (1984), pp.612−619)や、グランギートの方法(Mathematical framework of cone−beam 3D reconstruction via the first derivative of the radon transform; P.Grangeat; Mathematical Methods in Tomography, A.K.Lous, F.Natterer, Eds., Lecture Notes in mathematics, SpringerVerlag, (1990)に記載される)がある。
【0011】
また、他の方法として、医用電子と生体工学、第33巻特別号(1995年)109頁には、2次元X線検出器として、大型蛍光板とテレビカメラを用いた大視野コーンビームCT装置が示されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、前記従来技術を検討した結果、以下の問題点を見いだした。
【0013】
従来のX線撮影装置として、特に、2次元X線検出器としてX線イメージインテンシファイア、X線源としてX線を円錐(コーン)状に照射するX線源を用いた回転DAあるいは回転DSA装置では、計測視野はX線イメージインテンシファイアの視野サイズにより制限される。
【0014】
前記医用電子と生体工学誌に記載された装置では、高感度かつ高解像度の蛍光板を得ることが技術的に困難であることから、大視野高画質の立体画像を得ることは困難であるという問題があった。
【0015】
また、前記メディカルイメージングテクノロジー誌記載の装置では、被検体を移動しながら撮影を行う必要があるため、特に診断を目的とした撮影においては被検体への負担が大きく、術中など被検体が安静を要するような場合においては撮影が困難であるという問題があった。
【0016】
また、慣性力により被検体に不本意な動きが生じるため、被検体を正確な位置で撮影することが困難である。
【0017】
このように、これまで検出器のサイズによる視野の制限に対し、被検体の横断断層面方向の視野を拡大するには、被検体を移動しながら撮影を行わねばならないという問題があった。
【0018】
本発明の目的は、被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角のX線像を撮像することが可能な技術を提供することにある。
【0019】
本発明の他の目的は、被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角の断層像を再構成することが可能な技術を提供することにある。
【0020】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかになるであろう。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記のとおりである。
【0022】
(1)被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記被検体をX線で撮像するX線撮像手段と、前記X線照射手段および前記X線撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段とを有するX線撮影装置において、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記回転手段を制御し、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とを前記被検体の周りに回転させると共に、前記撮像系移動手段を制御し、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を変化させ、前記X線撮像手段が回転の所定の位置に到達したときには、前記X線照射手段を動作させてX線を照射し、前記被検体のX線撮像を行うX線撮像制御手段とを具備する。
【0023】
(2)被検体にX線を照射するX線照射手段と、前記被検体をX線で撮像するX線撮像手段と、前記X線照射手段および前記X線撮像手段を前記被検体の周りに回転させる回転手段とを有するX線撮影装置において、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とからなる撮像系が描く回転面と平行な方向に前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を移動させる撮像系移動手段と、前記回転手段を制御し、前記前記X線照射手段と前記X線撮像手段とを前記被検体の周りに回転させると共に、前記撮像系移動手段を制御し、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置を変化させ、前記X線撮像手段が回転の所定の位置に到達したときには、前記X線照射手段を動作させてX線を照射し、前記被検体のX線撮像を行うX線撮像制御手段と所定の重量の錘と、前記錘の位置を前記撮像系の回転面と平行な方向に制御する錘位置制御手段とを具備し、前記撮像系の相対的な位置の移動に伴い変動する撮像系の重心位置あるいは、前記撮像系の角運動量をほぼ一定とするように前記錘の位置を変化させる。
【0024】
(3)前述する(1)あるいは(2)のX線撮影装置において、前記撮像系移動手段は、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との回転中心を中心とする円周上に、前記X線照射手段を移動させるX線照射位置制御手段である。
【0025】
(4)前述する(1)あるいは(2)のX線撮影装置において、前記撮像系移動手段は、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との回転中心と前記X線照射手段とを結ぶ直線と垂直な方向に、前記X線撮像手段を移動させる撮像位置制御手段である。
【0026】
(5)前述する(1)ないし(4)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線撮像制御手段は、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との回転周期と、前記X線照射手段と前記X線撮像手段との相対的な位置の移動周期とを同期させ、前記被検体のX線撮像を行う。
【0027】
(6)前述する(1)ないし(5)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線撮像制御手段は、前記回転手段を制御し、前記X線照射手段とX線撮像手段とを被検体の周りに2回以上回転させると共に、前記X線照射手段と前記被検体とがなす回転角が同一となる位置において、前記X線撮像手段が前記X線照射手段と前記回転手段の回転中心とを結ぶ直線に対して、互いに線対象となるように、前記撮像系移動手段により、前記X線照射手段と、前記X線撮像手段との相対的な位置を移動させる。
【0028】
(7)前述する(1)ないし(6)のいずれかのX線撮影装置において、前記回転手段は、前記被検体に対する前記X線照射手段の回転速度が常に一定となるように、前記X線照射手段と前記X線撮像手段とを前記被検体の周りに回転させる。
【0029】
(8)前述する(1)ないし(7)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線照射手段は円錐状にX線を照射する手段であり、前記X線撮像手段は2次元でX線像を撮像する2次元X線撮像手段である。
【0030】
(9)前述する(8)のX線撮影装置において、前記2次元X線撮像手段を2個以上具備し、全ての2次元X線撮像手段が同時にX線像を撮像する。
【0031】
(10)前述する(5)ないし(9)のいずれかのX線撮影装置において、前記X線照射手段が同一の位置のときに撮像した複数のX線像を合成して、前記X線像を前記位置で撮像されたX線像とするX線像合成手段を具備する。
【0032】
(11)前述する(10)のX線撮影装置において、前記X線像合成手段が合成したX線像を前記被検体の断層像に再構成する再構成手段を具備する。
【0033】
(12)前述する(10)あるいは(11)のX線撮影装置において、前記X線像合成手段が合成したX線像をX線透過像として表示する表示手段を具備する。
【0034】
(13)前述する(12)のX線撮影装置において、前記X線透過像に表れる撮像系の回転に伴う回転軸、あるいは、前記X線透過像上で予め設定した部位が、所定の位置に表示されるように、前記X線透過像を所定量シフトして表示手段に表示する表示制御手段を具備する。
【0035】
(14)前述する(13)のX線撮影装置において、前記表示制御手段は、前記シフト量が前記表示手段の画素間隔と異なる場合、前記シフト量にもっとも近い整数値をシフト量として、前記X線透過像をシフトさせる。
【0036】
前述した(1)〜(14)の手段によれば、例えば、複数方向から被検体のX線透視像,X線撮影像もしくはX線CT計測値を計測する場合において、X線照射手段とこのX線照射手段に対向して配置されるX線撮像手段からなる撮影系を被検体の周囲に回転すると同時に、X線照射手段とX線撮像手段の相対的な位置を撮影系の回転面と平行な方向に変動させながら、X線透視、X線撮影もしくはX線CT計測を行い、X線照射手段が被検体となす角度が等しいときのX線透過像から1枚のX線透過像を合成することにより、X線照射手段の回転面に平行な方向にX線検出器の視野よりも広い領域のX線透過像を得ることができるので、X線透視像,X線撮影像もしくはX線CT画像の横断断層面の視野を拡大することができる。
【0037】
さらには、X線像のS/N比を向上させることができるので、肺癌等の診断能を向上させることができる。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、発明の実施の形態(実施例)とともに図面を参照して詳細に説明する。
【0039】
なお、発明の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、特に、コーンビームX線CT装置に適用した場合について説明する。
【0041】
図中において、1はX線管(X線照射手段)、2はX線グリッド、3はX線イメージインテンシファイア、4は光学レンズ系、5はテレビカメラ、6は回転板、7は寝台天板、8は錘、9は錘移動用レール、10はX線管移動用レール、12は撮影制御手段(X線撮像制御手段)、13は回転板駆動手段(回転手段)、14はX線管位置制御手段(撮像系移動手段、X線照射位置制御手段)、15は錘位置制御手段、16はX線管位置計測手段、17は回転板角度計測手段、18は画像収集処理手段(X線像合成手段、表示制御手段、再構成手段)、19は画像表示手段(表示手段)を示す。
【0042】
図1中に示す点線は、X線管1から円錐状に照射されるX線(X線ビーム、コーンビーム)を示す。
【0043】
本実施の形態1においては、錘8および錘移動用レール9は、回転板6の裏面上に配置されている。
【0044】
なお、前記各装置および機構は公知のものを用いる。
【0045】
図1において、X線検出器(X線撮像手段、2次元X線撮像手段))はX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる。
【0046】
また、撮影系は前述するX線検出器およびX線管1、錘8、錘移動用レール9、X線管移動用レール10、回転板6からなる。
【0047】
被検体11は寝台天板7上に位置し、撮影体位は仰臥位を標準とする。また、被検体11の撮りたい部位すなわち撮影対象は、撮影系の回転中心付近に設定する。
【0048】
X線管移動用レール10は、回転板6の回転中心を中心とする半径Dの円周上に沿う円弧形状をしており、X線管1がこのX線管移動用レール10上を移動できるように設置されている。
【0049】
このときの構造は、たとえば、まず、回転板6の表面側にX線管移動用レール10となる突起部を設け、また、X線管1に前述の突起部に組み合わされる溝部を設ける。
【0050】
次に、X線管位置制御手段14の制御により、図示しないモータを駆動し、その駆動力を図示しない歯車を介し、X線管1に伝達して照射位置を移動させることによって、X線管1を前述する半径Dの円周上に移動させる。
【0051】
錘移動用レール9は、X線管移動用レール10と同じ構造であり、また、等しい曲率半径Dを持ち、X線管移動用レールと同様に、回転板6の裏面に固定される。
【0052】
また、錘移動用レール9は、X線管移動用レール10に対して、回転板6の回転中心とX線検出器とを結ぶ直線と垂直な方向を向く任意の直線に対称な位置に配置される。ただし、これらは回転板6上で、回転板6の回転中心に対して同一な方向に配置される。
【0053】
錘8は、X線管1と同様に、X線管移動用レール10の突起部に組み合わされる溝部を有しており、図示しないモータの駆動力を図示しない歯車を介し、錘8に伝達してその位置を移動させることにより、錘位置制御手段15の制御により、錘8を半径DのX線管移動用レール10の円周上に移動させる。
【0054】
なお、錘8はX線管1と等しい質量Msを有する。
【0055】
実施の形態1においては、説明の都合上、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器のX線入力面との距離dは380mm、X線検出器のX線入力面の直径wは380mmとする。
【0056】
また、撮影系の回転周期は5秒である。
【0057】
さらには、テレビカメラ6は、撮影素子に高解像度撮像管を使用する周知のテレビカメラを用いる。
【0058】
撮影制御手段12は、X線管1のX線発生とX線検出器の撮影動作を制御する撮影シーケンスを規定しており、たとえば、周知の情報処理装置で実行されるプログラムで実現される。
【0059】
また、撮影制御手段12は、回転板6を回転させる回転シーケンス、X線管1のX線管移動用レール10上での移動を制御する移動シーケンス、錘8の錘移動用レール9上での移動を制御する移動シーケンスをも規定する。
【0060】
回転板角度計測手段17は回転板6の回転角度データを出力する手段であり、たとえば、回転板6と共に回転するポテンショメータにより実現可能である。
【0061】
X線管位置計測手段16は、X線管1のX線管移動用レール10上の位置データを出力する手段であり、たとえば、X線管1を移動させる図示しないモータの回転に連動するポテンショメータによって計測する。
【0062】
次に、図1に基づいて、本実施の形態1のコーンビームX線CT装置の動作を説明すると、X線管1から発生されたX線は被検体11を透過し、X線グリッド2により散乱線が遮断され、X線イメージインテンシファイア3により可視光像に変換され、光学レンズ系4によってテレビカメラ5に結像される。
【0063】
テレビカメラ5は画像をビデオ信号に変換し、画像収集・処理手段18に入力する。このとき、テレビカメラ5のCTスキャンにおける標準走査モードは毎秒60フレーム、走査数525本であるが、毎秒30フレーム、走査線数1050本による撮影も可能である。また、高精細撮影モードとして毎秒7.5フレーム、走査線数2100本による撮影も可能である。また、CTスキャンにおける標準走査モードでは、1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。
【0064】
次に、画像収集処理手段18は、ビデオ信号をA/D変換した後、回転板6の回転角度データおよびX線管1のX線管移動用レール10上の位置データと共に内部のフレームメモリにA/D変換後のX線画像を記憶し、各投影像に対して画像の幾何学的歪の補正と画像の濃度レベルのシェーディング補正とを行った後に3次元再構成を行う。
【0065】
画像表示手段19は3次元再構成したX線CT像を表示する。
【0066】
テレビカメラ5により透視または撮影モードで得られた画像は、そのまま、または、前記補正を行った後に、リアルタイムで画像表示手段19により表示することが可能であることは言うまでもない。
【0067】
図2は、実施の形態1の回転板6の回転およびX線管1と錘8との移動を表現する各種のパラメータを説明するための図であり、図2(A)はXY座標系を被検体に固定したときの座標系の図であり、回転板6の回転中心を原点Oとする。
【0068】
図2(A)において、p軸はX線検出器と回転板6の回転中心とを結ぶ直線上に存在しており、X軸に対するp軸の傾きをφとすると、φは回転板6の回転角に相当する。
【0069】
また、回転板6の回転中心とX線管1とを結ぶ直線とp軸との間の角度をθで表すと、θはX線管1の回転板6に対する位置を表すことになる。さらには、回転板6の回転中心とX線管1とを結ぶ直線のX軸に対する傾きをΦとすると、ΦはX線管1の回転角を表す。ただし、φ,θおよびΦは反時計回りを正としている。また、θ,φおよびΦは、それぞれφ+θ=Φの関係がある。
【0070】
図2(B)は、図2(A)におけるX線管1およびX線管移動用レール10の付近を拡大して表示したものである。
【0071】
また、図2(B)は、回転板6の裏面に配置される錘移動用レール9および錘移動用レール9上を移動する錘8が示してある。実施の形態1においては、X線管1および錘8は、X線管1の重心Gsおよび錘の重心GwがそれぞれX線管移動用レール10および錘移動用レール9上に常に位置するようにレール上に配置される。
【0072】
すなわち、X線管移動用レール10と錘移動用レール9との2つの交点を結ぶ直線とP軸との交点をGとした場合、錘8の重心Gwは、X線管1の重心Gsと交点Gに対して常に点対称の位置に存在するように移動する。このとき、X線管1および錘8の質量が等しくMsであることから、X線管1および錘8の重心は常にGに固定されるので、X線管1の移動に伴って撮影系の重心位置が移動することなく、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0073】
また、図2(B)において、X線管1と錘8との重心位置GをXY平面上のベクトルG→で表し、一方、重心位置Gから見た錘8の重心位置GwおよびX線管1の重心位置GsをそれぞれベクトルGw→、Gs→で表すと、X線管1と錘8の角運動量の変化率の合計、すなわち、トルクの合計N→は、次式(1)で表される。
【0074】
【数1】
【0075】
ただし、演算×はベクトルの外積、tは時間を示す。
【0076】
式(1)の右辺第1項は、X線管1と錘8の重心の運動に関する項であるが、本実施の形態1では重心位置Gが回転板に固定されるので、X線管1および錘8の回転板6上の動きには影響されず、回転板6の回転速度のみに影響される。
【0077】
また、式(1)の右辺第2項および第3項は、X線管1と錘8との重心のまわりの運動に関する項であるが、Gw→=−Gs→であることから、これらの合計は0となる。
【0078】
以上のことから、本実施の形態1のX線撮影装置においては、X線管1の移動に起因する角運動量の変化は0となり、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0079】
図3は、実施の形態1のX線撮影装置における回転板6の回転とX線管1の移動との関係の一例を説明するための図であり、図3においてはX線管1の移動は、−θa〜θaの範囲を回転板6に対して一定の角速度で行う。また、回転板6の回転は2回転行い、1回転目と2回転目とで回転方向を逆転する。
【0080】
次に、図3に基づいて、回転板6の回転とX線管1の移動との関係について説明すると、起点(A)では、X線管1の回転板6に対する位置θは0である。
【0081】
回転板6が反時計回り方向に回転を始めると同時に、X線管1はθについて負の方向に移動を開始し、透視または撮影を開始する。
【0082】
X線管1の回転角Φが+90度となった時点(B)で、X線管1の移動方向を反転し、正とする。
【0083】
X線管1の回転角Φが+180度となった時点(C)で、X線管1の回転板6に対する位置θは0に戻る。
【0084】
X線管1の回転角Φが+270度となった時点(D)で、X線管1の移動方向を反転し、負とする。
【0085】
X線管1の回転角Φが+360度となった時点(E)で、回転板6の回転方向を反転し、時計回りとする。このとき、X線管1の回転板6に対する位置θは、0に戻る。
【0086】
回転板6が時計回りに回転を始めると同時に、X線管1はひきつづき負の方向に移動する。
【0087】
X線管1の回転角Φが再び+270度となった時点(F)で、X線管1の移動方向を反転し、正とする。
【0088】
X線管1の回転角Φが再び+180度となった時点(G)で、X線管1の回転板6に対する位置θは0に戻る。
【0089】
X線管1の回転角Φが再び+90度となった時点(H)で、X線管1の移動方向を反転し、負とする。
【0090】
X線管1の回転角Φが再び0度となった時点(I)で、回転板6の回転およびX線管1の移動を停止し、透視または撮影を終了する。
【0091】
また、図3には補足のため、X線管1の回転角ΦおよびX線管1の回転板6に対する位置θの時間変化を図示してある。ただし、図3中のTはX線管1が被検体の周囲を1回転するのにかかる回転周期を示している。
【0092】
図3によれば、X線管1の回転角は、時点(E)に対して偶関数である。したがって、X線管1が所定の回転角Φ1に存在する時点が必ず2回存在する。
【0093】
ここで、これらの時点をそれぞれt1、t2とすると、t1、t2におけるX線管1の回転板6に対する位置θ1、θ2は、θの時間変化が時点(E)に対して奇関数であることから、θ1=−θ2という関係が常に成り立つ。
【0094】
したがって、X線管1の所定の回転角Φに対して、回転板6および回転板6上に固定されるX線検出器は、常に+θ方向および−θ方向の対称な位置に存在する。
【0095】
また、図3から明らかなように、被検体11に対するX線管1の回転角位置に相当するΦが時間に対して直線的に変化する。したがって、それぞれの回転における撮影シーケンスを等しく設定することにより、撮影時の被検体11に対するX線管1の位置を2回の回転において一致させることができることは言うまでもない。
【0096】
次に、図4に実施の形態1におけるX線管1の回転板6に対する位置θと、このときのX線管1に対するX線検出器の検出面20の視野角αとの関係を表す図を示し、以下、図4に基づいて、実施の形態1におけるX線管1の回転板6に対する位置θと、このときのX線管1に対するX線検出器の検出面20の視野角αとの関係を説明する。
【0097】
なお、図4は簡単のため視野角αをX線管1の回転軌道面(以下、ミッドプレーンと記す)である2次元面上においてのみ示してある。
【0098】
図4において、角度βは次式(2)で示される。
【0099】
【数2】
【0100】
このとき、X線管1に対するX線検出器の検出面20の視野角αは、次式(3)で示される。
【0101】
【数3】
【0102】
ここで、図3で示したように、X線管1の同一の回転角Φに対して、回転板6および回転板6上に固定されるX線検出器は、常に+θ方向および−θ方向の対称な位置に存在する。
【0103】
したがって、撮影系の2回転の撮影において、X線管1に対するX線検出器の検出面20の全視野角は2αとなる。
【0104】
図5は実施の形態1におけるX線管1の回転板6に対する位置θと、このときのX線管1に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を示す図であり、この図は式(3)を用いて、X線管1の回転板6に対する位置θとX線管1に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を計算し、グラフ化したものである。
【0105】
なお、図5はX線管1の回転半径Dを720mm、回転板6の回転中心とX線検出器との距離dを380mm、X線検出器のX線入力面の直径wを380mmであるものとして、計算を行っている。
【0106】
図5から明らかなように、たとえば、X線管1の位置θが0度の時は、全視野角2αは19.6度であり、X線管1の位置θが10度の時は、全視野角2αは26.8度である。
【0107】
したがって、図3において、X線管1の移動の振幅θaを10度とした場合、X線管1の位置が(A),(C),(E),(G)あるいは(I)に存在する場合は検出器の全視野角2αは最小値19.6度をとり、また、X線管1の位置が(B),(H),(D)あるいは(F)に存在する場合は、検出器の全視野角は最大値26.8度をとることがこの図から明らかとなる。
【0108】
図6は実施の形態1のX線撮影装置において、回転板6の回転角φの時間変化と、回転板6の角速度ωとの時間変化を示した図であり、図6中の(A)〜(I)の各時点は、図3に示す(A)〜(I)の各時点に相当する。
【0109】
前述するように、X線管1の回転板6に対する位置θと回転板6の回転角φとX線管1の回転角Φとの間には、φ+θ=Φの関係があるので、図6における回転板6の回転角φは、図3中に示されるΦ、θの時間変化に対してφ=Φ−θとして求めることができる。
【0110】
また、回転板6の角速度ωはω=dφ/dtとして求めることができる。
【0111】
したがって、たとえば、時点(A)〜(B)の間においては、時間間隔T/4の間にφがπ/2+θaだけ変化するので、角速度ωは(2π+4θa)/Tと表すことができる。
【0112】
一方、図6に示すように、本実施の形態1においては、回転板6の角速度は時間に対して不連続に変化する。
【0113】
このような角速度の変化は、たとえば、回転板6の回転を駆動する図示しないステッピングモータに入力するパルス信号数を、図6に示す角速度にしたがって変化させることにより、容易に実現することができる。
【0114】
図7は実施の形態1のX線撮影装置で透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図であり、図7(A)は被検体11とX線管1と検出面20との関係を説明するための図であり、図7(B)は表示位置を補正する前の表示の一例を示す図であり、図7(C)は表示位置の補正後の表示の一例を示す図である。
【0115】
図7において、70は被検体の中心位置、71は被検体の中心位置70を通過するX線ビームの投影位置、72はX線検出器の検出面20上の中央位置、73は表示上の中央位置、74は表示部分、75は表示画面を示す。
【0116】
次に、図7に基づいて、実施の形態1のX線撮影装置で透視または撮影した被検体のX線透過像の表示方式を説明すると、X線管1は回転板6に対して移動するので、回転板6に固定されたX線検出器とX線管1との位置関係が変化する。
【0117】
たとえば、図7(A)に示すように、被検体11を乗せた寝台天板7の位置は、被検体の中心位置70がXY平面の原点O、すなわち、回転板6の回転中心位置にくるように設定される。
【0118】
このとき、X線管1から放射されて被検体の中心位置70を通過するX線ビーム(点線で示す)は、X線検出器の検出面20上の投影位置71で検出される。また、このときの投影位置71の検出面20上の中央位置72に対する位置は、d・tanθである(ただし、d・tanθはdとtanθの乗算を示す)。
【0119】
ただし、このときの位置は、X線管1から見た検出面左側を正としている。
【0120】
図7(A)から明らかなように、被検体11の中心位置70の投影位置71は、X線管1の回転板6に対する位置θに依存し、撮影の途中において、X線検出器の検出面20上を移動する。
【0121】
このため、一般にはX線検出器の検出面20上の中央位置72は、図7(B)に示される、表示画面75の中央位置73に固定されるため、被検体の中心70の投影位置71が表示画面75上を左右に移動し、検者が観測しにくいという問題があった。
【0122】
そこで本実施例では、図7(C)に示すように、被検体11の中心位置70の投影位置71が前記の表示画面75の中央位置73に常に固定されるように、表示を行う。
【0123】
具体的には、たとえば、メモリに格納された画像情報を検出面20に対して−d・tanθだけずらした位置で表示することでこれを実現することができる。
【0124】
すなわち、画像収集処理手段18が表示用の画像表示信号を生成するときに、前述するように表示する画像表示信号を生成するように構成することによって、図示しない作業者は、被検体11の中心位置70の投影位置71を常に表示画面75上の中央位置73に固定したまま被検体11のX線透視像または撮影像を観察することができる。
【0125】
この場合、図7(C)に示すように、被検体11のX線透視像または撮影像を示す表示部分74が表示画面75に対して左右に変動して表示されることから、表示画面75として横長のものを用いることにより、表示画面75内にて被検体11のX線透視像または撮影像をその欠損が生じることなく全て表示することができることは言うまでもない。
【0126】
また、前述するX線透過像または撮影像がデジタル画像信号である場合は、前述するように、表示画面75に対して表示部分74を左右にシフトさせることは、画面を構成する画素を画面上で左右にシフトすることに相当する。
【0127】
しかしながら、このシフト量は画像の画素間隔を単位として常に整数値になるとは限らないことから、正確に画像をシフトさせることが困難となる。
【0128】
したがって、本実施の形態1では、表示部分74のシフトを正確に行うため、画素間のデータを補間する周知の方法を用いて、前記のシフト量を画素間隔を単位として整数値となるようにしている。
【0129】
また、他の方法として、前述するシフト量を最も近い整数値で近似するようにしても、同じ効果が得られることは言うまでもない。
【0130】
前述する表示方式は、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まるという欠点がある。
【0131】
しかしながら、被検体11のX線透視像または撮影像を、撮影と同時にリアルタイムで観察することができるという利点がある。
【0132】
図8は実施の形態1のX線撮影装置において、同一のX線発生点において照射されたX線によって透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法および合成によって得られた合成画像を説明するための図であり、図8(A)は同一のX線発生点において照射されたX線によって透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法を説明するための図であり、図8(B)は図8(A)に示す画像合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【0133】
前述する図7に示す表示方式においては、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まっている。
【0134】
一方、図8(A)に示す表示方式においては、同一のX線管1の位置に対して、θおよび−θという異なる2方向に存在するX線検出器の位置における被検体11のX線透視像または撮影像を得ることができる。
【0135】
したがって、θおよび−θのそれぞれの位置で収集される画像を合成して、大視野の1枚の画像を作成し、表示することが可能であり、たとえば、図示しないメモリに格納された画像情報に対して、図8(A)に示す仮想検出面80を考える。
【0136】
このとき、仮想検出面80は撮影系の回転中心Oを含み、X線管1と撮影系の回転中心Oとを結ぶ直線に垂直に配置されているものとする。
【0137】
次に、同一のX線管1の位置に対してθおよび−θという異なる2方向に存在するそれぞれのX線検出器から収集された画像情報を仮想検出面80上に投影して、1枚の合成画像を作成する。
【0138】
このとき、前述する画像情報の投影は、仮想検出面80上を構成する検出点82に対し、X線管1から放射され、前記の検出点82を通過するX線ビーム83による被検体の投影像84を仮想検出面80上に投影することで実現することができる。
【0139】
また、仮想検出面80の中央付近を通過するX線ビーム85に対しては、図8(A)中に示されるように、投影データが2つの検出器の位置に対して得られるので、これらの平均値を仮想検出面80上に投影することで、投影画像のS/Nを向上をすることができる。
【0140】
図8(B)に示すように、仮想検出面80上で合成した被検体11のX線透過像の表示が可能となる。ただし、図8(B)に示すX線透過像は、仮想検出面80上の中央位置81が、表示画面75上の中央位置71と一致するように表示を行っている。
【0141】
したがって、被検体の中心位置70は、前記の仮想検出面上の中央位置81と常に一致するので、作業者は被検体の中心位置70を表示画面75上の中央位置71に常に固定した状態で、被検体11のX線透視像または撮影像を観測することができる。
【0142】
次に、図8に示す画像合成により得られた合成画像からX線CT像の再構成の方法について説明する。
【0143】
図8に示す仮想検出面80上に投影された被検体の合成画像は、実際のX線検出器の視野よりも広い視野もつ仮想検出器80によって検出された被検体のX線透過像と考えることができる。
【0144】
したがって、X線管1の被検体に対するあらゆる回転角方向について前記の合成画像を作成し、信号処理することで従来よりも広い視野を持つ被検体の3次元X線CT像を再構成することができる。
【0145】
次に、図9に実施の形態1のX線撮影装置の動作を説明するためのブロック図を示し、以下、図9に基づいて、その動作を説明すると、まず、テレビカメラ5により収集された被検体のビデオ信号はA/D変換器90によってデジタル信号に変換された後、イメージメモリ91に格納される。
【0146】
イメージメモリ91においては、Φ=0、Φ=ΔΦ、・・・、Φ=2π−ΔΦは、X線管1のそれぞれの回転角Φにおいて収集されたX線像である画像情報(イメージデータ)を格納するメモリバンクを示す。
【0147】
また、ΔΦはX線管1の回転ステップ角であり、撮影はX線管1のΔΦの回転ステップ毎に行われる。ΔΦの代表値は1.25度である。
【0148】
各Φにおいて、(1),(2)は、それぞれ撮影系の1回転目および2回転目において収集されるイメージデータを格納するメモリバンクを示す。
【0149】
前述する図3に示す手順で撮影を行った場合、A/D変換されたイメージデータは、撮影系の1回目の回転に対して、まず、Φ=0(1)に格納され、続いて、Φ=ΔΦ(1)、・・・、Φ=2π−ΔΦ(1)の順番で格納される。
【0150】
次に、撮影系の2回転目の回転に対して、まず、Φ=0(2)に格納され、続いて、Φ=2π−ΔΦ(2)、・・・、Φ=ΔΦ(2)の順番で格納され、イメージデータの格納を終了する。
【0151】
前述する順番でイメージデータのイメージメモリ91への格納が全て終了した後、幾何学歪補正手段92はそれぞれのΦにおける(1)および(2)のイメージデータを読み出して、X線検出器によって生じる画像の幾何学歪の補正をそれぞれの画像について行う。
【0152】
なお、幾何学歪補正の方法としては、医用電子と生体光学誌、第33回日本ME学会大会論文集(1994年)222頁に記載の方法が挙げられる。
【0153】
また、幾何学歪補正を行われたイメージデータは、画像合成手段(X線像合成手段)93により画像合成を行う。
【0154】
ただし、画像合成は、前述する図8で示す手順に従って行う。
【0155】
このとき、画像合成された合成画像は、それぞれ合成前の画像が格納されていたメモリバンクΦに上書きされ、再びイメージメモリ91に格納される。
【0156】
図9(B)は、図9(A)において全てのメモリバンクΦに対して画像合成を行い、合成画像の格納を全て終了した状態を示す。
【0157】
このとき、それぞれのメモリバンクΦには、対応するX線管1の回転角Φにおいて得られる被検体の合成画像が格納されている。
【0158】
したがって、透視画像または撮影画像を観察する場合、それぞれのメモリバンクに格納されるイメージデータを、直接、画像表示手段19によって表示する。
【0159】
また、前述する合成画像から、再構成処理手段(再構成手段)94を用いて画像再構成することによって、視野角の大きい被検体のX線3次元CT像を得ることができる。
【0160】
なお、再構成処理としては、前述するフェルドカンプの方法やグランギートの方法等をそのまま用いることができる。
【0161】
画像再構成の途中において、再構成像の途中結果は、順次、再構成像を格納するイメージメモリ95に格納される。イメージメモリ95に格納された被検体11の再構成像は、再構成処理の途中あるいは再構成処理が全て終了した後に、画像表示手段19に表示される。
【0162】
したがって、たとえば、再構成処理の途中結果を画像手段19に順次表示する場合は、再構成像の評価に緊急を要するときに、再構成が完全に終了するのを待つことなく、再構成の途中結果像によって評価ができるという効果がある。
【0163】
以上説明したように、本実施の形態1のX線撮影装置によれば、複数方向から被検体11のX線透視像,X線撮影像もしくはX線CT計測値を計測する場合において、X線管1とこのX線管1に対向するX線検出器からなる撮影系を被検体の周囲に回転すると同時に、X線管1とX線検出器の相対的な位置を撮影系の回転面と平行な方向に変動させながら、X線透視,X線撮影もしくはX線CT計測を行い、X線管1が被検体となす角度が等しいときのX線透過像から1枚のX線透過像を合成することにより、X線管1の回転面に平行な方向にX線検出器の視野よりも広い領域のX線透過像を得ることができるので、X線透視像,X線撮影像もしくはX線CT画像の横断断層面の視野を拡大することができる。
【0164】
さらには、X線像のS/N比を向上させることができるので、肺癌等の診断能を向上させることができる。
【0165】
なお、本実施の形態1においては、X線検出器としてX線イメージインテンシファイア3、光学レンズ系4およびテレビカメラ5からなる系を用いたが、周知のTFT素子を用いた2次元X線検出器等でこれを代用しても、同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0166】
(実施の形態2)
図10は、本発明の実施の形態2のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、特に、コーンビームX線CT装置に適用した場合について説明する。
【0167】
図中において、101はX線検出器(X線撮像手段、2次元X線撮像手段)、102は錘、103は錘移動用レール、104は撮影制御手段(X線撮像制御手段)、105は錘位置制御手段、106は画像収集処理手段(表示制御手段、X線像合成手段、再構成手段)、107はX線検出器移動用レール、108はX線検出器位置制御手段(撮像位置制御手段)、109はX線検出器位置計測手段を示す。
【0168】
なお、前記各装置および機構は公知のものを用いる。
【0169】
図10において、X線検出器101は、周知のTFT素子を用いた薄型軽量の2次元X線センサを用いる。
【0170】
撮影系はX線検出器101、X線管1、錘102、錘移動用レール103、X線検出器移動用レール107および回転板6からなる。
【0171】
X線管1およびX線検出器移動用レール107は、回転板6に固定され、特に、X線検出器移動用レール107は、X線管1と回転板6の回転中心とを結ぶ直線と垂直な方向に配置する。
【0172】
また、X線検出器移動用レール107の構造は、たとえば、実施の形態1のX線管移動用レール10と同様であり、本実施の形態2では、レールが直線である点が異なる。
【0173】
グリッド2は、X線検出器101の前面に固定され、X線検出器101と共にX線検出器移動用レール107の上を移動することができ、このX線検出器101は、実施の形態1のX線管1と同様の構造によって、X線検出器移動用レール107上を移動できる。
【0174】
錘102および錘移動用レール103は、回転板6に固定され、特に、錘移動用レール103は、X線検出器移動用レール107と平行になるように、回転板6上に配置する。また、その構造は、たとえば、実施の形態1の錘移動用レール9と同様であり、本実施の形態2では、レールが直線である点が異なる。
【0175】
錘102は、錘移動用レール103の上を移動することができ、その構造は実施の形態1と同じであり、錘102の質量はX線検出器101と等しい質量Mdを有する。
【0176】
撮影制御手段104は、X線管1のX線発生とX線検出器101の撮影動作とを制御する撮影シーケンスを規定する。また、回転板6を回転させる回転シーケンス、X線検出器101のX線検出器移動用レール107上での移動を制御する移動シーケンス、錘102の錘移動用レール103上での移動を制御する移動シーケンスを規定する。
【0177】
なお、撮影制御手段104は、前述する実施の形態1の撮影制御手段12と同様に、周知の情報処理装置で実行されるプログラムによって、前述する各シーケンスを実現する。
【0178】
錘位置制御手段は105は、撮影制御手段104の出力に基づいて、たとえば、錘102を移動させるための図示しないモータを制御し、X線検出器101を所定の位置に移動させるための手段であり、周知の制御回路によって実現される。
【0179】
画像収集処理手段106は、回転板角度計測手段17およびX線検出器位置計測手段109の出力に基づいて、X線検出器101で撮像されるX線像をX線画像として、後述する画像処理を行う手段であり、周知の情報処理装置上で動作するプログラムによって実現可能である。
【0180】
X線検出器位置制御手段108は、撮影制御手段104の出力に基づいて、たとえば、X線検出器101を移動させるための図示しないモータを制御し、X線検出器101を所定の位置に移動させるための手段であり、周知の制御回路によって実現される。
【0181】
X線検出器位置計測手段109は、X線検出器101のX線検出器移動用レール107上の位置データを出力する手段であり、たとえば、実施の形態1のX線管位置計測手段16と同様に、X線検出器101を移動させる図示しないモータの回転に連動するポテンショメータの出力を計測することにより、位置データに変換する。
【0182】
なお、図10において、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器101のX線入力面との距離dは380mm、X線検出器101のX線入力面は正方形であり、その幅wは260mmである。また、撮影系の回転周期の代表例は5秒である。
【0183】
次に、本実施の形態2のコーンビームX線CT装置の動作を説明すると、X線管1から発生されたX線は被検体11を透過し、X線グリッド2により散乱線が遮断された後、X線検出器101によって検出される。
【0184】
X線検出器101は、画像をデジタル信号に変換し、画像収集処理手段106に入力する。このとき、X線検出器101のCTスキャンにおける標準走査モードは毎秒60フレーム、走査数525本である。また、CTスキャンにおける標準走査モードでは、1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。
【0185】
次に、画像収集処理手段106は、デジタル画像信号を回転板6の回転角度データおよびX線検出器101のX線検出器移動用レール107上の位置データと共に内部のフレームメモリに記憶し、3次元再構成演算を行う。
【0186】
画像表示手段19は3次元再構成したX線CT像を表示する。
【0187】
X線検出器101により透視または撮影モードで得られた画像は、リアルタイムで画像表示手段19によって表示することが可能であることは言うまでもない。
【0188】
図11は、実施の形態2の回転板6の回転およびX線検出器101と錘102の移動を表現する各種のパラメータを説明するための図であり、特に、図11(A)は被検体に固定したXY座標系におけるパラメータを説明するための図であり、回転板6の回転中心OをXY座標系の原点とする。
【0189】
図11(A)において、X軸に対するX線管1の傾きをΦとすると、Φは回転板6の回転角に相当する。
【0190】
q軸はX線管1と回転板6の回転中心Oとを結ぶ直線に垂直な方向を向き、X線管1からX線検出器101を見た場合に、向かって左側をq軸の正の方向としている。またq軸はX線管1と回転板6の回転中心Oとを結ぶ前記直線とq軸が交わる点を原点としており、位置qはX線検出器101の中心軸110のq軸上の位置を表す。
【0191】
ここで、X線検出器101の中心軸110はq軸に垂直であり、X線検出器101の検出面上の中央位置72を通過する。
【0192】
図11(B)は図11(A)におけるX線検出器101およびX線検出器移動用レール107の付近を拡大して表示したものである。
【0193】
また、図11(B)には、錘移動用レール103および錘移動用レール103上を移動する錘102が示してある。実施の形態2においては、錘移動用レール103は、X線検出器移動用レール107と平行となるように回転板6上に配置される。
【0194】
また、錘102およびX線検出器101は、錘102の重心GwおよびX線検出器101の重心Gdが、それぞれ錘移動用レール103およびX線検出器移動用レール107上の位置と一致するようにレール上に配置される。
【0195】
回転板6の回転中心Oを通り、X線検出器移動用レール107および錘移動用レール103に垂直な直線上の、X線検出器移動用レール107と錘移動用レール103との中間の位置をGとすると、錘102の重心Gwは、X線検出器101の重心Gwと中間の位置(点)Gに対して、常に、点対称の位置に存在するように移動する。
【0196】
このとき、X線検出器101および錘102の質量が等しくMdであることから、X線検出器101および錘102の重心は、常に、点Gに固定されるので、X線検出器101の移動に伴い、撮影系の重心位置が移動することなく、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0197】
また、図11(B)において、X線検出器101および錘102の重心位置GをXY平面上のベクトルG→で表し、また、Gから見た錘102の重心位置GwおよびX線検出器101の重心位置GdをそれぞれベクトルGw→、Gd→で表すと、X線検出器101と錘102の角運動量の変化率の合計、すなわち、トルクの合計N→は、次式(4)で表される。
【0198】
【数4】
【0199】
ただし、演算×はベクトルの外積、tは時間を示す。
【0200】
前述する式(4)の右辺第1項は、X線検出器101と錘102の重心の運動に関する項であるが、本実施の形態2ではGが回転板6に固定されることから、X線検出器101および錘102の回転板6上の動きには影響されず、回転板6の回転速度のみに影響される。
【0201】
また、前述する式(4)の右辺第2項および第3項は、X線検出器101と錘102の重心のまわりの運動に関する項であるが、Gw→=−Gd→であることから、これらの合計は0となる。
【0202】
したがって、本実施の形態2においては、X線検出器101の移動に起因する角運動量の変化は0となり、安定した回転および撮影を行うことができる。
【0203】
図12は、実施の形態2における回転板6の回転、および、X線検出器101の移動の関係の一例を説明するための図であり、X線検出器101の移動は、−qa〜qaの範囲を回転板6に対して、等速度あるいは正弦的に行う。
【0204】
また、回転板6の回転は2回転行い、1回転目と2回転目とで回転方向を逆転する。
【0205】
次に、図12に基づいて、回転板6の回転およびX線検出器101の移動の関係について説明すると、まず、起点(A)ではX線管1の回転角Φは0度、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0である。
【0206】
次に、回転板6が反時計回り方向に回転を始めると同時に、X線検出器101はqについて正の方向に移動を開始し、透視または撮影を開始する。
【0207】
X線管1の回転角Φが+90度となった時点(B)で、X線検出器101の移動方向を反転し、負の方向とする。
【0208】
X線管1の回転角Φが+180度となった時点(C)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻る。
【0209】
X線管1の回転角Φが+270度となった時点(D)で、X線検出器101の移動方向を反転し、正の方向とする。
【0210】
X線管1の回転角Φが+360度となった時点(E)で、回転板6の回転方向を反転し、時計回りとする。このとき、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻る。
【0211】
回転板6が時計回りに回転を始めると同時に、X線検出器101はひきつづき正の方向に移動し、X線管1の回転角Φが再び+270度となった時点(F)で、X線検出器101の移動方向を反転し、負の方向とする。
【0212】
X線管1の回転角Φが再び+180度となった時点(G)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻る。
【0213】
X線管1の回転角Φが再び+90度となった時点(H)で、X線検出器101の移動方向を反転し、正の方向とする。
【0214】
X線管1の回転角Φが再び0度となった時点(I)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0に戻り、このとき回転板6の回転およびX線検出器101の移動を停止し、透視または撮影を終了する。
【0215】
図12には補足のため、X線管1の回転角ΦおよびX線検出器101の回転板6に対する位置qの時間変化を図示してある。
【0216】
なお、ここでは、X線検出器101の移動の例として、回転板6に対してX線検出器101を等速度的に移動する場合と正弦的に移動する場合との2種類の場合が図示されている。
【0217】
図中に示す、TはX線管1が被検体の周囲を1回転するのにかかる回転周期を示している。また、同図によれば、X線管1の回転角は時点(E)に対して偶関数である。よって、X線管1がある回転角Φ1に存在する時点が必ず2回存在する。
【0218】
ここで、これらの時点をそれぞれt1、t2とすると、t1、t2におけるX線検出器101の回転板6に対する位置q1、q2は、qの時間変化が時点(E)に対して奇関数であることから、q1=−q2という関係が常に成り立つ。
【0219】
したがって、X線管1の所定の回転角Φに対して、X線検出器101は常に+q方向、および、−q方向の対称な位置に存在する。
【0220】
また、図12から明らかなように、被検体11に対するX線管1の回転角位置に相当するΦが時間に対して直線的に変化する。このため、それぞれの回転における撮影シーケンスを等しく設定することにより、撮影時の被検体11に対するX線管1の位置を2回の回転において一致させることができる。
【0221】
図13は実施の形態2におけるX線検出器101の回転板6に対する位置qと、このときのX線管1に対するX線検出器101の検出面20の視野角αとの関係を説明するための図である。
【0222】
図13は簡単のために、視野角αをX線管1の回転軌道面(以下、ミッドプレーンと記す)である2次元面上においてのみ示してある。
【0223】
図13において、X線管1に対するX線検出器101の検出面20の視野角αは、次式(5)で示される。
【0224】
【数5】
【0225】
ここで、図12に示したように、X線管1の同一の回転角Φに対して、X線検出器101は常に+q方向および−q方向の対称な位置に存在する。
【0226】
したがって、撮影系の2回転の撮影において、X線管1に対するX線検出器101の検出面20の全視野角は2αとなる。
【0227】
図14は実施の形態2におけるX線検出器101の回転板6に対する位置qと、このときのX線管1に対するX線検出器101の全視野角2αとの関係を説明するための図である。なお、図14においては、X線管1の回転半径Dは720mm、回転板6の回転中心とX線検出器101との距離dは380mm、X線検出器101のX線入力面の直径wは260mmであるものとして計算を行っている。
【0228】
したがって、たとえば、X線検出器101の位置qが0の時は全視野角2αは13.5度であり、X線検出器101の位置qが120mmの時は全視野角2αは25.6度である。
【0229】
図12において、X線検出器101の移動の振幅qaを120mmとした場合、X線管1の位置が(A),(C),(E),(G)および(I)に存在する場合は、検出器の全視野角2αは最小値13.5度をとり、一方、X線管1の位置が(B),(H),(D)あるいは(F)に存在する場合は、検出器の全視野角は最大値25.6度をとる。
【0230】
図15は実施の形態2における透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図であり、図15(A)は被検体11とX線管1および検出面20との関係を説明するための図であり、図15(B)はX線透過像の表示位置を補正する前の表示の一例を示す図であり、図15(C)はX線透過像の表示位置を補正した後の表示の一例を示す図である。
【0231】
次に、図15に基づいて、実施の形態2のX線撮影装置で透視または撮影した被検体のX線透過像の表示方法を説明すると、X線検出器101が回転板6に対して移動するため、回転板6に固定されたX線管1とX線検出器101との位置関係が変化する。
【0232】
たとえば、図15(A)に示すように、被検体11を乗せた寝台天板7の位置は、被検体の中心位置70がXY平面の原点O、すなわち、回転板6の回転中心位置にくるように設定される。
【0233】
このとき、X線管1から放射されて被検体の中心位置70を通過するX線ビーム(点線で示す)は、X線検出器101の検出面20上の投影位置71において検出される。
【0234】
また、このときの投影位置71の検出面20上の中央位置72に対する位置は、−qである。
【0235】
ただし、このときの位置はX線管1から見た検出面左側を正としている。
【0236】
図15(A)から明らかなように、投影位置71はX線検出器101の回転板6に対する位置qに依存し、撮影の途中において、X線検出器101の検出面20上を移動する。
【0237】
このため、一般にはX線検出器101の検出面20上の中央位置72は、被検体11のX線透視または撮影画像を表示する表示画面75の中央位置73に固定されることから、被検体の中心70の投影位置71が表示画面上を左右に移動し、作業者が観測しにくいという問題がある。
【0238】
そこで本実施の形態2では、図15(C)に示すように、被検体の中心70の投影位置71が表示画面75の中央位置73に、常に、固定されるようになっている。
【0239】
具体的には、たとえば、メモリに格納された画像情報を検出面20に対して、qだけずらした位置で表示することでこれを実現することができる。
【0240】
このような構成にすることによって、作業者は被検体11の中心位置70の投影位置71を常に表示画面75上の中央位置73に固定したまま被検体11のX線透視像、または、撮影像を観察することができる。
【0241】
この場合、図15(C)に示すように、被検体11のX線透視像または撮影像を示す表示部分74が表示画面75に対して左右に変動して表示されることから、表示画面75として横長のものを用いることにより、表示画面75内にて被検体11のX線透視像または撮影像をその欠損が生じることなく、全て表示することができる。
【0242】
また、X線透過像または撮影像がデジタル画像信号である場合は、前述するように、表示画面75に対して表示部分74を左右にシフトさせることは、画面を構成する画素を画面上で左右にシフトすることに相当する。
【0243】
しかしながら、このシフト量は画像の画素間隔を単位として常に整数値になるとは限らないことから、正確に画像をシフトさせることが困難となる。
【0244】
したがって、本実施の形態2では、表示部分74のシフトを正確に行うため、画素間のデータを補間する周知の方法を用いて、前記のシフト量を画素間隔を単位として整数値となるようにしている。
【0245】
また、他の方法として、前述するシフト量を最も近い整数値で近似するようにしても、同じ効果が得られることは言うまでもない。
【0246】
前述する表示方式は、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器101の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まるという欠点がある。
【0247】
しかしながら、被検体11のX線透視像または撮影像を、撮影と同時にリアルタイムで観察することができるという利点がある。
【0248】
図16は実施の形態2のX線撮影装置において、同一のX線発生点において照射されたX線によって、透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法およびこの合成によって得られた合成画像を説明するための図であり、図16(A)は同一のX線発生点で照射されたX線によって透視または撮像された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法を説明するための図であり、図16(B)は図16(A)に示す画像合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【0249】
前述する表示方式においては、被検体11のX線透視像または撮影像をX線検出器101の視野範囲のみで表示するため、表示される画像は被検体11の一部を表示するに留まっている。
【0250】
一方、図16(A)に示す表示方式においては、同一のX線管1の位置に対して、qおよび−qという異なる2方向に存在するX線検出器101の位置において、被検体11のX線透視像または撮影像を得ることができる。
【0251】
したがって、qおよび−qのそれぞれの位置で収集される画像を合成して、大視野の1枚の画像を作成し、表示することが可能であり、たとえば、図示しないメモリに格納された画像情報に対して、図16(A)に示す仮想検出面80を考える。
【0252】
このとき、仮想検出面80は撮影系の回転中心Oを含み、X線管1と撮影系の回転中心Oとを結ぶ直線に垂直に配置されているものとして、それぞれのX線検出器101から収集された画像情報をこの仮想検出面80上に投影して、1枚の合成画像を作成する。
【0253】
このとき、画像情報の投影は、仮想検出面80上を構成する検出点82に対し、X線管1から放射され、前記の検出点82を通過するX線ビーム83による被検体の投影像84を仮想検出面80上に投影することで実現することができる。
【0254】
また、仮想検出面80の中央付近を通過するX線ビーム85に対しては、図8(A)に示すように、投影データが2つの検出器の位置に対して得られるので、これらの平均値を仮想検出面80上に投影することにより、投影画像のS/Nを向上できる。
【0255】
したがって、図16(B)に示すように、仮想検出面80上で合成した被検体11のX線透過像の表示例が可能となる。ただし、図16(B)に示すX線透過像は、仮想検出面80上の中央位置81が、表示画面75上の中央位置71と一致するように表示を行っている。
【0256】
したがって、被検体の中心70は、仮想検出面上の中央位置81と常に一致するので、作業者は被検体の中心70を表示画面75上の中央位置71に常に固定した状態で、被検体11のX線透視像または撮影像を観測することができる。
【0257】
本実施の形態2における合成画像の作成手順については、実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるので、その説明は省略する。
【0258】
一方、図16に示す仮想検出面80上に投影された被検体の合成画像は、実際のX線検出器101の視野よりも広い視野もつ仮想検出器80によって検出された被検体のX線透過像と考えることができる。
【0259】
したがって、X線管1の被検体に対するあらゆる回転角方向について、合成画像を作成し、信号処理することによって、従来と同じ視野のX線検出器101を用いることにより、このX線検出器101の視野よりも広い視野を持つ被検体の3次元X線CT像を再構成することができる。
【0260】
なお、本実施の形態2における合成画像の作成手順、X線CT像の再構成方法、再構成の手順および再構成像の表示手段については、実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるため、ここでは省略する。
【0261】
以上説明したように、本実施の形態2のX線撮影装置によれば、複数方向から被検体11のX線透視像、X線撮影像またはX線CT計測値を得るX線装置において、X線管1とこのX線管1に対向するX線検出器101とからなる撮影系を被検体の周囲に回転すると同時に、X線管1とX線検出器101との相対的な位置を撮影系の回転面と平行な方向に変動させながらX線透視、X線撮影またはX線CT計測を行い、X線管1が同一位置の時の2枚のX線透過像から1枚のX線透過像を合成し、この合成したX線透過像を前記X線管1の位置におけるX線透過像とすることにより、X線管1の回転面に平行な方向にX線検出器101の視野よりも広い領域のX線透過像を得ることができる。
【0262】
したがって、X線透視像、X線撮影像またはX線CT画像の横断断層面の視野を拡大することができる。
【0263】
さらには、X線像のS/N比を向上させることができるので、肺癌等の診断能を向上させることができる。
【0264】
なお、本実施の形態2においては、X線検出器としてTFT素子を用いた2次元X線検出器を用いたが、X線イメージインテンシファイアおよびテレビカメラからなる系を2次元X線検出器として用いても同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0265】
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図であり、本実施の形態では、特に、コーンビームX線CT装置に適用した場合について説明する。
【0266】
図中において、171は撮影制御手段(X線撮像制御手段)、172は画像収集処理手段(表示制御手段、X線像合成手段、再構成手段)を示す。
【0267】
前記各装置および機構は公知のものを用いる。特に、X線検出器101は、実施の形態2のX線検出器と同じであり、周知のTFT素子を用いた薄型軽量の2次元X線センサを用いる。
【0268】
図17(A)において、各構成装置およびその動作は、図10に示す実施の形態2で説明したものとほぼ同一であるため、図10と異なる点のみ、以下、説明する。その他については、図10に対する説明と同一であるため、ここでは省略する。
【0269】
本実施の形態3においては、X線検出器101を回転板6の回転方向に3台並列に配置する。このとき、各X線検出器101の前面には、X線グリッド2がそれぞれ固定される。
【0270】
各X線検出器101は、お互いの相対位置を固定したまま、X線検出器移動用レール107上を移動する。また、各X線検出器101のX線入力面は正方形であり、幅wは260mmであり、その質量はそれぞれMdである。
【0271】
錘102の質量は、X線検出器101の質量の合計である3Mdに等しい。
【0272】
撮影制御手段171は、X線管1のX線発生と全てのX線検出器101の撮影動作を制御する撮影シーケンスを規定する。また、撮影は全てのX線検出器101において同時に行う。
【0273】
各X線検出器101のCTスキャンにおける標準走査モードは、毎秒60フレーム、走査数525本である。また、CTスキャンにおける標準走査モードでは、各X線検出器において1.25度毎に毎秒60枚の画像を計測し、4.8秒間に288枚の画像を得る。
【0274】
各X線検出器101で撮影されたデジタル画像信号は、画像収集処理手段172によって同時によみだされ、その後、回転板6の回転角度データおよびX線検出器101のX線検出器移動用レール107上の位置データと共に内部のフレームメモリに記憶される。
【0275】
各X線検出器101により透視または撮影モードで得られた画像は、リアルタイムで画像表示手段19に同時に表示することが可能である。
【0276】
図17(B)は各X線検出器101のならびを説明するための図であり、この図からも明らかなように、各々のX線検出器101の間には隙間(gで示す)が存在する。なお、隙間の大きさgの代表値は5mmである。
【0277】
X線検出器101と錘102との位置関係は、実施の形態2の図11において説明したものと同じであるため、ここでは省略する。
【0278】
図18は、実施の形態3において、回転板6の回転およびX線検出器101の移動の関係の一例を説明するための図である。
【0279】
なお、図18中に記載の各パラメータ、すなわちX線管1の回転角ΦおよびX線検出器101の位置qについては、実施の形態2の図11において説明したものと同一のものを用いる。
【0280】
図18では、X線検出器101の移動例として2つの例を示す。
【0281】
一つ目の例は、回転板6を2回転して撮影を行う方法であり、他の例は回転板6を1回転して撮影を行う方法である。
【0282】
まず、回転板6を2回転して撮影を行う方法について説明すると、回転板6を2回転して撮影を行う場合、X線検出器101を位置ga〜−gaの間で等速度で移動しながら撮影を行う。
【0283】
また、回転板6の回転方向は、1回転目と2回転目とで同一方向とし、等速度で回転を行う。このとき、回転板6の1回転の周期をTとすると、X線検出器101は2Tの間に−2gaだけ等速移動するので、X線検出器101の回転板6に対する速度は−ga/Tである。
【0284】
ただし、回転板6の1回転に対するX線検出器101の移動距離gaは、各々のX線検出器101の隙間の大きさgに対してga≧gとなるように設定する。
【0285】
また、回転周期Tの代表値は、4.8秒である。X線検出器101の隙間の大きさgの代表値は5mmであり、X線検出器101の全移動距離2gaの代表値は15mmである。
【0286】
図18において、起点(A)では、X線管1の回転角Φは0度、X線検出器101の回転板6に対する位置qはgaである。
【0287】
ここで、回転板6が反時計回り方向に回転を始めると同時に、X線検出器101はqの方向に速度−ga/Tで移動を開始し、透視または撮影を開始する。
【0288】
X線管1の回転角Φが+360度となった時点(C)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは0である。
【0289】
回転板6は引き続き反時計回り方向に回転を続け、X線検出器101も引き続きqの方向に等速度−ga/Tで移動を続ける。X線管1の回転角Φが+720度となった時点(E)で、X線検出器101の回転板6に対する位置qは−gaとなり、このとき回転板6の回転およびX線検出器101の移動を停止し、透視または撮影を終了する。
【0290】
図18には補足のため、X線管1の回転角ΦおよびX線検出器101の回転板6に対する位置qの時間変化を図示してある。
【0291】
いま、X線管1の1回転目の任意の回転角Φ1に対するX線検出器101の位置をg1とすると、X線管1の2回転目の回転角Φ1+2πにおけるX線検出器101の位置は、X線検出器101が等速度−ga/Tで移動することから、g1−gaとなる。
【0292】
すなわち、被検体11に対するX線管1の位置が1回転目と2回転目で同一となる時点において、それぞれのX線検出器101の位置は、常にga(≧g)だけずれた位置に存在する。
【0293】
したがって、1回転目で各X線検出器101の隙間であったために検出できない被検体11のX線透過像を2回転目で検出することができるので、これらのX線透過像を1枚に合成することにより、被検体11全体を包含する大視野のX線透過像を作成することができる。
【0294】
なお、前述するX線透過像の表示方法および合成方法については、実施の形態2に記載の方法と同一であるためここでは省略する。
【0295】
また、合成画像の作成手順、X線CT像の再構成方法および再構成の手順、および再構成像の表示については、実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるので、ここでは省略する。
【0296】
次に、回転板6を1回転して撮影を行う方法について説明すると、回転板6を1回転して撮影を行う場合、X線検出器101を位置ga/2〜−ga/2の間で等速度で移動しながら撮影を行う。
【0297】
このとき、回転板6の1回転の周期をTとすると、X線検出器101はTの間に−gaだけ等速移動するので、X線検出器101の回転板6に対する速度は−ga/Tである。
【0298】
ただし、回転板6の1回転に対するX線検出器101の移動距離gaは、各々のX線検出器101の隙間の大きさgに対してga≧gとなるように設定する。
【0299】
また、回転周期Tの代表値は4.8秒である。X線検出器101の隙間の大きさgの代表値は5mmであり、X線検出器101の全移動距離gaの代表値は7.5mmである。
【0300】
回転板6を1回転して撮影を行う場合、各X線検出器101の隙間であったために検出できない被検体11のX線透過像を、検出されたX線透過像のデータから補間処理より求めて、1枚のX線透過像にする必要がある。
【0301】
補間処理の代表的な例としては、周知の線形補間法が挙げられる。このような補完処理を行った場合、補完部分における被検体11のX線透過像の推定が完全ではないことから、X線CT像の再構成画像上にアーチファクトが生じる。
【0302】
このようなアーチファクトは、X線検出器101の移動量gaがX線検出器101の隙間の大きさgに対して非常に小さい場合、特に、移動量が0である場合には再構成画像上にリング状のアーチファクトとして鮮明に現れるが、X線検出器101を移動しながら撮影を行うことによりこれを軽減することができる。
【0303】
なお、X線CT像の再構成方法および再構成の手順、および再構成像の表示については実施の形態1に記載の方法と同一の方法で行うことができるので、ここでは省略する。
【0304】
以上説明したように、本実施の形態3のX線撮影装置によれば、複数方向から被検体11のX線透視像、X線撮影像またはX線CT計測値を得る場合、被検体11の体軸と垂直な方向に一列に配置された複数台のX線検出器101と、このX線検出器101に対向するX線管1からなる撮影系を被検体の周囲に回転しながら、X線透視、X線撮影またはX線CT計測を行うことにより、撮影系の回転面に平行な方向に全X線検出器101を見込む広い視野範囲で、被検体11のX線透過像を得ることができる。
【0305】
また、撮影系の回転と同時に、X線検出器101の位置を撮影系の回転面と平行な方向に各検出器の隙間程度の距離だけ変動させることにより、僅かなX線検出器101の移動で被検体11を通過する全てのX線を検出することができるので、小規模なX線検出器101の移動機構を用いて被検体11の大視野かつ高画質のX線透視像、X線撮影像またはX線CT画像を得ることができる。
【0306】
なお、本実施の形態3においては、X線検出器としてTFT素子を用いた2次元X線検出器を用いたが、X線イメージインテンシファイアおよびテレビカメラからなる系を2次元X線検出器として用いても同等の効果が得られることは言うまでもない。
【0307】
なお、本発明は一般的なX線透視装置、X線撮影装置、立体X線撮影装置等にも適用できることは言うまでもない。
【0308】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【0309】
【発明の効果】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
【0310】
(1)被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角のX線像を撮像することができる。
【0311】
(2)被検体を静止させたままで、X線検出器の視野角よりも大きい視野角の断層像を再構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1の回転板の回転およびX線管と錘との移動を表現する各種のパラメータを説明するための図である。
【図3】実施の形態1のX線撮影装置における回転板の回転とX線管の移動との関係の一例を説明するための図である。
【図4】実施の形態1におけるX線管の回転板に対する位置θと、このときのX線管に対するX線検出器の検出面の視野角αとの関係を表す図である。
【図5】実施の形態1におけるX線管の回転板に対する位置θと、このときのX線管に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を示す図である。
【図6】実施の形態1のX線撮影装置の回転板の回転角φの時間変化と、回転板の角速度ωとの時間変化を示した図である。
【図7】実施の形態1のX線撮影装置で透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図である。
【図8】同一のX線発生点において照射されたX線によって透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法および合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【図9】実施の形態1のX線撮影装置の動作を説明するためのブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態2のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図11】実施の形態2の回転板の回転およびX線検出器と錘の移動を表現する各種のパラメータを説明するための図である。
【図12】実施の形態2における回転板の回転、および、X線検出器の移動の関係の一例を説明するための図である。
【図13】実施の形態2におけるX線検出器の回転板に対する位置qと、このときのX線管に対するX線検出器の検出面の視野角αとの関係を説明するための図である。
【図14】実施の形態2におけるX線検出器の回転板に対する位置qと、このときのX線管に対するX線検出器の全視野角2αとの関係を説明するための図である。
【図15】実施の形態2における透視または撮影された被検体のX線透過像の表示方式を説明するための図である。
【図16】実施の形態2の同一のX線発生点において照射されたX線によって、透視または撮影された2枚の被検体のX線透過像を1枚に合成する方法およびこの合成によって得られた合成画像を説明するための図である。
【図17】本発明の実施の形態3のX線撮影装置の概略構成を示すブロック図である。
【図18】実施の形態3のX線撮影装置における回転板の回転およびX線検出器の移動の関係の一例を説明するための図である。
【符号の説明】
1…X線管、2…X線グリッド、3…X線イメージインテンシファイア、4…光学レンズ系、5…テレビカメラ、6…回転板、7…寝台天板、8…錘、9…錘移動用レール、10…X線管移動用レール、12…撮影制御手段、13…回転板駆動手段、14…X線管位置制御手段、15…錘位置制御手段、16…X線管位置計測手段、17…回転板角度計測手段、18…画像収集処理手段、19…画像表示手段、71…被検体の中心位置を通過するX線ビームの投影位置、72…X線検出器の検出面上の中央位置、73…表示上の中央位置、74…表示部分、75…表示画面、90…A/D変換器、91,95…イメージメモリ、92…幾何学歪補正手段、93…画像合成手段、94…再構成処理手段、101…X線検出器、102…錘、103…錘移動用レール、104…撮影制御手段、105…錘位置制御手段、106…画像収集処理手段、107…X線検出器移動用レール、108…X線検出器位置制御手段、109…X線検出器位置計測手段、171…撮影制御手段、172…画像収集処理手段。
Claims (1)
- 被検体に照射するX線を発生するX線管と、前記被検体のX線透過像を撮像する2次元X線検出器と、前記X線管と前記2次元X線検出器が配置される回転板を前記被検体の周りに回転させる回転手段と、前記回転板を回転しながら複数の回転角度において撮影した前記被検体のX線透過像に基づいて前記被検体の3次元CT像を再構成するX線撮影装置において、
前記X線管と前記2次元X線検出器の相対的な位置関係を前記回転板の回転面と略平行な方向に移動させる移動手段と、前記回転手段による2回の回転及び前記移動手段による移動を同期させながら同時に行う制御手段と、前記2回の回転において前記回転板の回転角度位置が略同一の時点において撮像された2枚のX線透過像を1枚に合成する合成手段を有し、前記合成手段によって合成されたX線透過像に基づいて前記被検体の3次元CT像を再構成することを特徴とするX線撮影装置。
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