JP4327371B2 - ディジタルデータ伝送装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、直交周波数分割多重方式のデータ伝送装置に係り、特に、その受信側でのシンボル同期再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplex:OFDM)方式は、互いに同じ周波数fs間隔をもって配置された数10乃至数100本の搬送波を、それぞれシンボル周波数fsy(=1/Tsy)でディジタル変調する方式である。ここで、Tsyはシンボル周期のことである。
【0003】
そして、この方式では、送信すべきデータは所定のデータ量に分割され、その分割されたデータをOFDM方式で変調するようになっているが、このとき、送信側から送出される伝送信号の1シンボルは、OFDM方式で変調して得られた時間軸信号と、ガード区間(時間軸信号の一部を複写した区間のことで、ガードインターバル区間とも呼ばれる)で構成される。
【0004】
ここで、この伝送信号を復調する場合、受信側では、まず受信信号のシンボルの位置を表すシンボル同期信号、或いは受信信号のシンボルの境界位置を表す基準信号を再生する必要がある。
そこで、まず、このときの受信信号からシンボル同期信号を再生する具体的な手段の一例について、図12のブロック構成図と図13のタイミング図により説明する。
【0005】
これは、ガードインターバル区間の信号を利用して相関演算し、送信側と受信側の同期をとる方式で、ガード相関方式と呼ばれているものであり、例えば特開平7−99486号公報に開示されているものであるが、この方式では、図示のように、送信データ10は送信機20でOFDM変調され、伝送信号として受信側に送信される。
【0006】
そして、受信された伝送信号は、受信機のダウンコンバータ21でベースバンド信号に変換されてからA/D変換器22に入力され、ここてディジタル化されて、図13に示すように、データ(上記の時間軸信号のこと)と、「a'」区間(上記の時間軸信号の一部のこと)、それに「a」の部分(ガード区間)からなるシンボルで構成されたディジタル受信信号S22を得る。
【0007】
そこで、復調器70は、このディジタル受信信号S22を入力し、シンボル開始信号S440を復調開始点としてディジタル受信信号S22を復調し、受信データS70を得ることになる。
【0008】
このとき、受信信号を正しく復調するためには、タイミング回路40で発生する基準信号の時間軸上での位置、つまりタイミングが、受信信号のシンボルの境界位置を示す相関ピーク位置にほぼ一致するように制御する必要がある。
そこで、このディジタル受信信号S22は、更に遅延器31と相関演算器32に並列に供給される。
【0009】
そして、図13に示すように、まず遅延器31でディジタル受信信号S22が遅延され、遅延受信信号S31が得られる。
次に、相関演算器32で、この遅延受信信号S31とディジタル受信信号S22の相関を求め、相関演算器出力S32を発生する。
ここで、この相関演算器出力S32には、図13に示すように、大きな雑音が含まれている。そこで、この雑音をLPF33で除去し、図13に示す相関信号S33を得る。
【0010】
ディジタル受信信号S22は、図13に示すように、そのデータの「a'」区間が「a」の部分(ガード区間)に複写されており、従って、ディジタル受信信号S22の区間「a'」と遅延受信信号S31の「a」の区間は一致し、相関性が高くなる。
【0011】
この結果、相関信号S33を見ると、その区間「a"」に、図示のような相関ピークが得られる。
同様に、区間「b'」と区間「b」では相関ピーク「b"」が、区間「C'」と区間「c」では相関ピーク「c"」が得られる。
相関信号S33は相関ピーク検出器34に供給され、相関ピーク位置が検出され、図13に示すように、相関ピーク位置信号S34が得られる。
【0012】
タイミング回路40は、その内部に、シンボル周期を数えるシンボルカウンタが設けられていて、受信機のシンボル同期信号を発生する働きをするが、ここで起動時でのシンボル同期信号の同期位置の初期化を、この相関ピーク位置信号S34を用いて実施するように構成してある。
【0013】
ここで、この相関ピーク位置信号S34は、図13に示すように、シンボル毎に相関ピーク位置(タイミング)を表わす情報として出力されるが、受信開始後、最初に検出された相関ピーク位置、つまり、この例の場合は、最初の相関ピーク「a"」でタイミング回路40が初期化されることになる。
【0014】
このため、タイミング回路40内部では、図13に示すように、最初の相関ピーク「a"」の時点で、初期化マスク信号S401が生成され、この後、伝送信号が切断されて再同期検出動作が開始されるまでは、相関ピーク位置信号S34にマスクがかかり、同期が保護される。
【0015】
この図13の場合、相関ピーク位置S720に示すように、最初の相関ピーク「a"」のタイミングでタイミング回路40が初期化されるが、この同期保護により、後の相関ピーク「b"」と「c"」では初期化マスク信号S401でマスクされ、初期化されないようにされ、この結果、タイミング回路40からは、発生したシンボル同期信号の境界位置を表す基準信号が出力されることになる。
【0016】
ところで、通常、初期化によって、図14の(c)に、基準信号位置E21で示す様に、一時的に相関ピーク位置と基準信号の位置が一致していても、時間の経過と共に、同図(c')に信号位置E22で示す様に、基準信号の位置が相関ピーク位置から徐々にずれて行ってしまう。
【0017】
なお、この図14において、縦軸は、相対レベルを表わし、横軸は、シンボルの境界位置からの受信信号の基準信号位置のずれ量を、クロック数(サンプル数)で表したものである。ここで、横軸における値0の位置は、受信信号のシンボルの境界位置を表わす。なお、通常、相関ピーク位置は、このシンボルの境界位置に一致する。
【0018】
上記したように、復調器70で受信信号を正しく復調するためには、タイミング回路40で発生する基準信号の位置が、受信信号のシンボルの境界位置を示す相関ピーク位置にほぼ一致するように制御する必要があるが、ここで、この基準信号の位置を制御する部分が、ずれ量算出回路50と積算器61、D/A変換器62、それに周波数可変型クロック発生器63である。
【0019】
まず、ずれ量算出回路50は、図14の(c)に示す基準信号E21の位置と、今現在受信した信号から検出した相関ピーク位置(図14(b)の相関ピーク位置信号S34)とのずれ量を検出する回路であり、従って、このずれ量算出回路50には、タイミング回路40から出力される基準信号と、相関ピーク検出器34から出力される相関ピーク位置信号S34(図14(c)のE21)が入力される。
【0020】
そして、基準信号の位置の値Δt0と相関ピーク位置信号が表わす相関ピーク位置の値Δtpとの差であるずれ量i=Δt0−Δtpが、ここで算出されて出力される。
例えば、図14(c')に示す基準信号E22の場合、ずれ量算出回路50は、ずれ量i=+5−0=+5を算出して出力することになる。
【0021】
ここで算出されたずれ量i=+5は、積算器61で積算された後、D/A変換器62を介して周波数可変型クロック発生器63に入力される。
そして、この繰作によりクロック周波数が上昇され、受信機で発生するシンボル同期信号の周期が、ずれ量に比例した長さだけ短くなるように制御される。
【0022】
従って、この場合、E22にある基準信号の位置は、図14(c')に示す矢印51の方向に移動し、一定期間後には、基準信号の位置と相関ピーク位置が一致するように制御されることになり、この結果、復調器70は、シンボル開始信号S440を復調開始点としてディジタル受信信号S22を復調することになり、受信信号を正しく復調することができるのである。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術は、受信側において、クロックが不安定になり易い点について配慮がされているとはいえず、クロックジッタが発生してデータの復調が正しくできなくなってしまうという問題があった。
以下、この従来技術の問題について説明する。
【0024】
図15は、OFDM方式において、任意の3シンボルの相関信号の波形を重ねて示した模式図で、ここで縦軸と横軸の意味は図14と同じで、値0の位置は受信信号のシンボルの境界位置を表わしている。また、ここでは、基準信号の位置が受信信号のシンボルの境界位置に正しく同期された状態が示されている。
【0025】
従って、この図15における基準信号の位置は、値Δt0=0の位置にあり、この状態では、相関信号Cllとして図示したように、値0の点でピークを持つ波形になる筈である。
しかし、OFDM信号は、その波形自身が雑音に近い波形を有しているため、相関信号の波形は、相関信号C12或いは相関信号C13として示してあるように、実際には大きく歪む。
【0026】
この場合、実際に検出される相関ピーク位置は、受信信号のシンボルの境界位置から大きくずれた位置に移動してしまう。例えば、図15の相関信号C12の場合、相関ピーク位置の値はΔtp=−15となり、このため、ずれ量算出回路50で算出されるずれ量iは、本来はi=0となるべきところ、i=Δt0−tp=0−(−15)=+15となってしまう。
【0027】
この値は回路の精度から考えると極めて大きな値であるといえる。例えば、回路の精度として、以下の条件を想定した場合、送信機と受信機のクロック周期の差は、最大でも1sec(秒)当り200クロック(サンプル)である。
クロック周波数fs:20MHz
シンボル周期fm:50μs
送信機と受信機のクロック周波数差△f:10ppm
【0028】
この場合、1シンボル期間では200クロック(サンプル)×50μs=0.01クロック(サンプル)の差しかなく、iは100シンボルに1回、i=±1になるに過ぎず、その他のシンボルでは、i=0であり、従って、多く見積もってもi=±1の範囲で制御してやれば充分である。
【0029】
しかるに、従来技術では、この図15の相関信号C12の場合、本来は、上記したように、多く見積もってもi=±1で良いところ、i=+15であるとして周波数可変型クロック発生器63が制御されてしまうことになり、この結果、発生するクロックの周波数が必要以上に高くなってしまう。
【0030】
従って、従来技術の場合、制御にオーバーシュートが現われ、この結果、受信機のクロックが不安定になり、クロックジッタが発生してデータの復調が正しくできなくなるという問題が生じてしまうのである。
【0031】
以上は第1の理由であるが、次に、第2の理由について説明する。
データの伝送路に電磁波空間が含まれている場合には、マルチパスフェージングの発生がほとんど不可避である。
このマルチパスフェージングが生じると、受信機では、送信機から無反射で伝送されてきた直接波と、建物などで反射されて生じた反射波(遅延波)とが合成されて受信される。
【0032】
この場合、図16の(a)に示すように、実線で示す直接波と、破線で示す反射波が合成された信号が受信されるため、同図の(b)に示すように、直接波のシンボルの境界位置にある第1のピークClの他に、反射波のシンボルの境界位置に第2のピークC6が生じる。
【0033】
ところで、このように第2のピークC6が現われても、第1のピークC1のレベルの方が常に大きければ、ずれ量算出回路50から出力されるずれ量iも常に0になるため、特に問題は生じない。
しかし、マルチパスフェージングの場合、一般に直接波のレベルと反射波のレベルが時間と共に相対的に大きく変化し、図17の(a)に示すように、そのレベルが逆転する場合が頻繁に生じてしまう。
【0034】
この場合、図17の(b)に示すように、直接波のピークClのレベルより遅延波のピークC6のレベルの方が大きくなってしまうので、検出される相関ピーク位置の値Δtp=+23となり、この結果、ずれ量算出回路50から出力されるずれ量は、本来あるペき値0以外の値i=0−(+23)=一23になる。
【0035】
そして、この値i=−23で周波数可変型クロック発生器63が制御されてしまうことになり、このため、周波数可変型クロック発生器63の制御がオーバーシュートしてしまうので、クロック周波数が不安定になり、正しくデータを復調できなくなってしまうという問題が生じてしまうのである。
しかも、ここで極端な場合には、基準信号の位置が反射波の相関ピーク位置に移動してしまい、同期が外れてしまうという問題が生じる虞れもある。
【0036】
最後に、第3の理由について説明する。
前述したマルチパスフェージングは、それが現われると、直接波だけでなく、受信信号そのもののレベルが著しく低下する現象が発生する。
そうすると、この場合は、相関信号の波形は雑音の中に埋もれてしまうので、雑音波形のピーク位置を相関ピーク位置として検出してしまうという誤動作が発生し、この結果、周波数可変型クロック発生器63で発生するクロックの周波数が不安定になり、データの復調が正しくできなくなってしまうという問題が生じるのである。
【0037】
また、起動時に同様の現象が発生すると、図13の相関信号S910に示すように、最初に検出された雑音波形のピーク位置「d"」のタイミングでタイミング回路40が初期化されるため、受信信号に正しく同期できないという問題が生じる。
【0038】
本発明の目的は、安定したクロックが生成でき、正しいデータ復調が常時得られるようにしたディジタルデータ伝送装置を提供することにある。
【0039】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、伝送すべきデータを所定データ量に順次分割し、この分割されたデータから生成した時間軸信号とガード区間で形成したシンボルを送信する方式の送信部と、受信信号と遅延受信信号の間の相関の強さが最大となる相関ピーク位置を数値で検出し、該相関ピーク位置が所定の範囲に収まるようにクロック周波数を制御して同期検出とクロック同期をとり、データを復調する方式の受信部とを備えたディジタルデータ伝送装置において、前記受信側にある動作タイミング発生用のシンボルカウンタが示すシンボル開始点を基準時刻とし、或るシンボルの相関ピーク位置が前記基準時刻以前に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がn(n>0の整数)以上のとき、前記サンプル数をn以下の値に制限する手段と、或るシンボルの相関ピーク位置が前記基準時刻以後に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がm(m>0の整数)以上のとき、前記サンプル数をm以下の値に制限する手段とを備え、前記nの値とmの値について、n>mの関係を成立させることにより、前記相関ピーク位置を表わす数値の変化範囲に所定の限度を与える制限手段を設け、前記クロック周波数の制御範囲に上限と下限が設定されるようにして達成される。
【0040】
つまり、受信側にある動作タイミング発生用のシンボルカウンタが示すシンボル開始点を基準時刻とし、或るシンボルの相関ピーク位置が基準時刻以前に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がn(n>0の整数)以上のとき、サンプル数をn以下の値に制限する手段と、或るシンボルの相関ピーク位置が基準時刻以後に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がm(m>0の整数)以上のとき、サンプル数をm以下の値に制限する手段とで構成されるようにしたのである
【0041】
また、このとき、前記nの値とmの値について、n≧mの関係が成立するようにしてもよく、ここで、前記mの値について、2≦m≦4の条件が成立するようにしても良い。
【0042】
更に、このとき、受信側で求めた相関の最大値が有意であるか否かを、受信側で受信された信号のレベルに基づいて判断する手段が設けられているようにしても良い。
【0043】
同じく、このとき、更に受信信号のシンボル周期を計数するタイミング回路のカウンタ値kを入力し、ずれカウント値iに変換する変換器と、このずれカウント値iと、相関ピーク検出器から出力される相関ピーク位置信号を入力し、相関ピーク位置を表すパルスタイミングにおけるずれカウント値iをサンプリングする回路を設け、この回路により前記相関ピーク位置を表す数値が算出されるようにしても良い。
【0044】
これらの手段によれば、例えば、ずれ量算出回路で算出されるずれ量の値iに制限をかけ、制限後の値を積算器に加える。
すなわち、受信機内部の動作タイミングを発生するためのシンボルカウンタが示すシンボル開始点を基準時刻とすると、第1の手段では、或るシンボルの相関ピーク位置が前述の基準時刻より前側に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がn(n>0の整数)以上のときn以下の備に制限するようにした。
【0045】
また、或るシンボルの相関ピーク位置が前述の基準時刻より後側に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がm(m>0の整数)以上のときm以下の値に制限するようにした。
次に、第2の手段では、相関ピーク位置が前述の基準時刻より前側で検出された場合の制限値nと、相関ピーク位置が前述の基準時刻より後側で検出された場合の制限値mの関係をn≧mとした。
【0046】
そして、第3の手段では、相関ピーク位置が前述の基準時刻より後側で検出された場合の制限値mを2≦m≦4とした。
更に、第4の手段では、受信側で求めた相関の最大値が有意であるかを受信した信号のレベルをもとに判断するようにした。
【0047】
ここで、受信側で動作タイミングを発生するためのシンボルカウンタが示すシンボル開始点を基準時刻とすると、第1の働きとして、受信機が持つ基準時刻と伝送信号から検出される相関ピーク位置との差iが所定の値を越えたとき、所定の値に制限してクロック発生器に与えられ、よって徒に大きな誤差信号を加えて周波数を大きくずらすことがなくなるのでクロックジッタが低減し、クロック周波数を安定化することができる。
【0048】
次に、第2の働きとして、受信機が最初直接波に同期した後に直接波より大きい反射波を受信したとき、相関ピーク位置は反射波の位置に検出される。この場合も第1の働きの場合と同様に、差iが所定の値を越えたとき、所定の値に制限してクロック発生器に与える。よってクロックジッタが少なくなり、同期外れが低減できる。
【0049】
更に、第3の働きとして、基準時刻より後側で検出された場合の制限を、n≧m、2≦m≦4とすることにより、i≧−4(m=4の場合)となり、クロック発生器を制御する値を正の値に偏らせることができ、この結果、受信機が最初反射波に同期した場合でも、受信機の周波数は上昇する方向に制御されるため、その同期位置を反射波より以前の時刻で受信される直接波の位置に徐々に移動させることができる。そして、同期位置が直接波に位置に移動した後は、上記の制限があるため、反射波の影響を受け難くすることができる。
【0050】
そして、第4の働きとして、受信した信号のレベルを検出し、このレベルを用いて閾値を生成する。そして、相関の大きさが、この閾値より大きい値になった場合は、相関の値に有意性が有ると判断して制御に用いるが、相関の最大値が閾値に達しない小さな値の場合はこれを無視する。この結果、フェージングのある条件下でも正しく同期検出する確度を向上させることができる。
【0051】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるディジタルデータ伝送装置について、図示の実施の形態により詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態で、この図1の実施形態による回路構成が、図12で説明した従来技術の回路構成との第1の相違点は、破線枠で示す相関ピークレベル判定回路部80を新たに設けた点にある。
【0052】
そして、これと共に、この相関ピークレベル判定回路部80から出力される有意信号を用い、同じく破線枠で示すタイミング回路部41内のシンボルカウンタ43の初期化タイミングを制御するようにしたものであり、ここで、このタイミング回路部41は、図12の従来技術におけるタイミング回路40に相当する回路である。
【0053】
次に、第2の相違点は、上記の相関ピークレベル判定回路部80から出力される有意信号の制御の下に、ずれ量算出回路50から出力されるずれ量iに、第1の処理を実施するスイッチ回路90を新たに設けた点にあり、更に第3の相違点は、ずれ量算出回路50から出力されるずれ量iに、第2の処理を実施する制限器91を新たに設けた点にある。
【0054】
そして、この図1の実施形態でも、その他の構成と動作は、図12で説明した従来技術の回路と同様である。
すなわち、ずれ量算出回路50から出力されたずれ量iは、最終的には積算器61で積算され、D/A変換器62で電圧に変換された後、周波数可変型クロック発生器63に入力される。
【0055】
そして、周波数可変型クロック発生器63で発生するクロックの周波数を制御し、シンボル同期信号の同期を確立する。そして、復調器70は、シンボル開始信号S440(デコーダ44の出力)を復調開始点としてディジタル受信信号S22を復調し、受信データS70を得るのであり、その他の動作も従来の回路と同様である。
【0056】
そこで、以下では、上記の相違点を中心に説明する。
初めに、第1の相違点について、図2のタイミング図を用いて説明すると、図1において、A/D変換器22でディジタル信号に変換されたディジタル受信信号S22は、従来の回路と同様、相関演算器32に入力され、ここで相関演算器出力S32が算出される。
【0057】
そして、相関ピーク検出器34では、LPF33から出力される相関信号S33から、相関値が最大になるサンプル点を検出し、相関ピーク位置信号S34を得る。
これまでは図12の従来技術と同じであるが、このとき、この図1の実施形態では、このディジタル受信信号S22を、相関ピークレベル判定回路部80内の電力算出器81にも入力する。
【0058】
そして、この電力算出器81で、ディジタル受信信号S22の電力を検出し、これを平均電力算出器82に供給し、ここで平均電力S82を求める。
判定回路83では、平均電力算出器82から出力される平均電力S82を定数倍して閾値とし、この閾値と、LPF33から出力される相関信号S33を比較し、相関信号S33の有意性を判定する。
【0059】
例えば、図2に示すように、相関信号S33のピーク「a"」とピーク「c"」は閾値レベル以上なので有意性有りと判定され、ピーク「b"」は閾値より小さいので有意性無しと判断されるのである。
そして、判定回路83は、相関信号S33のレベルが閾値より大きい期間には有意性が有ることを表わす判定出力S83を発生する。
【0060】
相関ピーク検出器34から出力された相関ピーク位置信号S34と判定回路83から出力された判定出力S83は、破線枠で示すタイミング回路部41に入力される。
このタイミング回路部41は、図12の従来技術におけるタイミング回路40に相当する回路の内部を詳細に示したものであり、ここで、制御器42が新設されている点が従来の回路と異なる。
【0061】
シンボルカウンタ43は受信機内部の動作タイミングを発生するためのカウンタで、このシンボルカウンタ43のカウント値をk(kは正数)とし、1シンボルがSサンプル(Sは正数)で構成されているとすれば、kの値は0〜S−1を繰り返す。
そして、制御器42は、このシンボルカウンタ43が初期化されるタイミングを制御する回路である。
【0062】
このため、制御器42には、相関ピーク位置信号S34と判定出力S83が入力され、相関ピーク位置信号S34が最初に有意と判定されたときの相関ピーク位置信号S34を相関ピーク位置S42に出力する。
そして、この相関ピーク位置S42のタイミングで、シンボルカウンタ43を初期化(k=0)する。
ここで、図2では、シンボルカウンタ値S43が「a'」のタイミングで初期化される場合の例を示してある。
【0063】
デコーダ44は、シンボルカウンタ値S43の値をデコードして、受信機で必要なタイミングパルス、すなわちシンボル開始信号S440を出力する回路である。
【0064】
制御器42は、最初に相関ピーク位置S42を出力すると、その後で図2に示す初期化マスク信号S401を出力する。そして、この初期化マスク信号S401により相関ピーク位置信号S34をマスクする。
図2の例では、相関ピーク位置信号S34がピーク「a"」とピーク「b"」、それにピーク「c"」のタイミングで出力されている。
【0065】
そして、ピーク「a"」は最初に検出された相関ピークのタイミングなので、相関ピーク位置信号S42の当該タイミングで出力が発生される。
次に、ピーク「b"」は、レベルが相関ピークの値が平均電力S82から求めた閾値以下で有意信号が無いので、このタイミングでは、相関ピーク位置信号S42は出力されない。
また、ピーク「C"」の時点では、前述のマスク処理により、相関ピーク位置信号S42は出力されない。
【0066】
従って、この相関ピーク位置信号S42は、相関ピークの中で最初に現われたピーク「a"」のタイミングで出力された後、伝送信号が切断された場合等で再同期検出動作が開始されるまでは制御器42でマスクされ、この結果、同期が保護されることになる。
【0067】
こうして、第1の相違点が存在した結果、フェージング等によって受信信号レベルが低下した場合においても、図2の相関演算器出力S32に示すように、最初に雑音波形のピーク「d"」が検出されたとしても、このタイミングではシンボルカウンタ43が誤って初期化されることがなくなり、従って、受信信号に正しく同期させることができる。
【0068】
次に、第2の相違点について説明する。
上記したタイミング回路部41のデコーダ44からは、従来技術の回路と同様に、基準位置を表わす基準信号が出力されているが、この基準信号は、相関ピーク位置信号S34と共にずれ量算出回路50に入力される。
そして、これも従来技術の回路と同様に、相関ピーク位置に対する基準信号のずれ量i=Δt0−Δtpが算出され、出力される。
【0069】
このとき、ずれ量算出回路50から出力されたずれ量iは、まず、新たに設けたスイッチ回路90に入力されるが、このスイッチ回路90は有意信号で制御されるスイッチ回路で、有意信号が無いとき、当該基準位置に対するずれ量iの値を0にして出力する回路である。
【0070】
この処理により、フェージング等により受信信号のレベルが低下した場合は、検出されるずれ量が0値にされてしまい、この結果、積算器61に入力される値も0になり、周波数可変型クロック発生器63の制御電圧の値は変化せずに保持される。
【0071】
従って、この第2の相違点の存在により、雑音波形のピーク位置を相関ピーク位置と誤って、クロック周波数を徒に変動させ、不安定にしてしまうことが防止され、この結果、クロック周波数を安定させることができることになる。
【0072】
最後に、第3の相違点について説明する。
既に説明したように、LPF33から出力される相関信号は、図15に示すように大きく歪み、検出される相関ピーク位置は、ガウス分布に従って広範囲にばらつき、この結果、ずれ量算出回路50で算出されるずれ量iも広い範囲にばらついてしまう。
【0073】
ここで、新たに設けた制限器91は、この広範囲にばらついてしまうずれ量の大きさを制限する回路であり、これによる制限特性は、例えば一例として図3に示すようにしてある。
【0074】
この図3では、横軸にずれ量算出回路50で算出されたずれ量iをとり、縦軸には制限器91から出力される制限後のずれ量i'が示されているが、ここでは破線の直線で示してある入力68に対して、正の区間ではn=+7で制限し、負の区間はm=−7で制限した場合の制限特性を一例として示したものである。
【0075】
そうすると、いま、例えば図4の相関信号C12の場合、基準信号の位置Δt0=0、相関ピーク位置Δtp=−9なので、このとき算出されるずれ量i=0−(−9)=+9となり、正の制限値n=+7を越えている。
従って、この場合は制限器91による制限が働き、制限後のずれ量i'=+7となる。
【0076】
また、図4の相関信号C13の場合、基準信号の位置Δt0=0、相関ピーク位置Δtp=+8である。よって、算出されるずれ量i=0−(+8)=−8となり、負の制限値−m=−7を越えている。
従って、このときも制限器91で制限され、制限後のずれ量はi'=−7となる。
【0077】
これに対して、図4の相関信号Cllの場合は、基準信号の位置Δt0=0、相関ピーク位置Δtp=+1なので、ずれ量i=0−(+1)=−1となり、正負の制限値を越えない。
従って、この場合は、ずれ量i=−1をそのまま制限されたずれ量i'=i=−1として制限器91から出力する。
【0078】
この結果、ずれ量算出回路50で算出されたずれ量iは、一定の範囲内の値に制限されてから積算器61に加えられることになり、周波数可変型クロック発生器63で発生するクロックの周波数が不必要に大きく変更されてしまう虞れが無くなるので、クロック周波数を安定化することができる。
【0079】
従って、この実施形態によれば、フェージング等によって受信信号レベルが低下した場合でも、雑音波形のピーク位置に誤って初期化されることがなく、無駄無く1度で受信信号に正しく同期させることができる。
また、この結果、雑音波形のピーク位置を相関ピーク位置と誤って周波数可変型クロック発生器63が制御されてしまう虞れがなくなり、クロックの周波数を充分に安定化させることができる。
【0080】
更に、この実施形態では、積算器61に加えられるずれ量の大きさが一定範囲内に限定されるので、相関信号の歪みに因るずれ量の大きなばらつきによってクロック周波数が不必要に制御され、不安定になってしまう虞れがなくなるので、この点でも、クロック周波数を安定化させることができる。
【0081】
従って、この実施形態によれば、同期引き込みが速くなり、クロック周波数が安定化された結果、符号の復調性能が大きく向上されるので、使い勝手が良好なOFDM方式の伝送装置を容易に得ることができる。
【0082】
次に、本発明の第2の実施形態について説明すると、この実施形態は、マルチパスフェージングによる遅延波が含まれた信号を受信したときでも、受信機のクロック周波数が受信信号に安定して追従できるようにしたものである。
【0083】
そして、この第2の実施形態の場合、制限器91の制限特性が異なる点を除けば、上記した第1の実施形態と同じ構成なので、以下、この制限器91を中心にして説明する。
図5は、この第2の実施形態における制限器91の制限特性を示したもので、図示のように、破線の直線で示してある入力68に対して、正の区間の制限値nを、負の区間の制限値mの絶対値より大きな値に、つまり、n>|m|に設定したもので、このとき、n=7、|m|=−2に設定したものである。
【0084】
前述したように、マルチパスフェージングが発生しても、図16の(b)に示すように、基準信号が同期している直接波のピークClの方が、遅延波のピークC6よりレベルが大きければ問題はない。
実際、この場合は、基準信号の位置Δt0=0、相関信号のピークClの位置Δtp=0となるので、算出されるずれ量i=Δt0−Δtp=0−0=0となり、正しいずれ量が算出される。
【0085】
しかし、この状態で、図17(b)に示すように、反射波の方が直接波より大きくなった場合、位置Δtp=+23にある遅延波のピークC6のレベルの方が、直接波のピークClより大きくなってしまうため、算出されるずれ量は、i=0−(+23)=−23となり、正しい値0から大きくかけ離れた値が得られてしまうことになる。
【0086】
この場合、このまま周波数可変型クロック発生器63が制御されたとすると、発生するクロック周波数は大きく乱れ、不安定になってしまう。
しかし、この第2の実施形態の場合、図5に示す制限特性を持った制限器91を介して周波数可変型クロック発生器63が制御されるので、算出されたずれ量がi=一23であっても、ずれ量i=−2に制限されてから制御されることになるので、クロック周波数が大きく乱されることはない。
【0087】
従って、この第2の実施形態によれば、反射波が一時的に直接波より大きくなったとしても、積算器61に不要な値が加えられてしまう虞れがなくなり、この結果、クロック周波数が乱されてしまう頻度を大幅に低減することができる。
【0088】
ところで、このように遅延波の方が直接波より大きい状態が続くと、図6に示すように、同じく遅延波のピークC6の方が直接波のピークClより大きくなる状態が連続する。
この場合、基準信号の位置Δt0は、遅延波のシンボルの境界位置Δtp=+23に引き込まれ、一定時間後にはΔt0=+23になってしまう。
【0089】
ここで、OFDM方式の受信機は、基準信号の位置より遅れた遅延波に対しては大きな耐性が有り、従って、このような遅れが生じても、復調符号にほとんど影響が現われない。
しかし、基準信号の位置より先行する先行波に対しては耐性が無く、先行波が有ると復調符号の符号誤り率は急激に劣化してしまう。
【0090】
ここで、図7の直接波の状態は、正にこの状態にあり、ここでピークClで示すように、直接波が反射波より大きくなった場合は、可能な限り迅速に基準信号の位置を直接波に同期し直す必要がある。
【0091】
実際の伝搬経路では、マルチパスフェージングが常に同じ状態で続くことはないため、一旦、図6の遅延波のピークC6に同期させたとしても、一定期間後には図7のように、Δtp=0に有る直接波のピークClの方が遅延波のピークC6より大きくなり、算出されるずれ量は、i=(+23)−0=+23となる。
【0092】
このずれ量iを、図5の制限特性を有する制限器91に通すと、算出されたずれ量i=+23はずれ量i'=+7に制限される。
【0093】
しかし、この第2の実施形態の場合、制限器91の正の区間での制限値は、負の区間に対する制限値−2より大きく設定してあるので、上記した場合でも、基準信号の位置を直接波に迅速に同期し直させることができる。
そして、これが、この第2の実施形態において、制限器91の制限特性に関して、正の区間の制限値nを負の区間の制限値mの絶対値より大きな値に、つまりn>|m|に設定した所以である。
【0094】
従って、この第2の実施形態によれば、マルチパスフェージングが発生し、図6と図7に示す状態が繰り返される状況下でも、基準信号の位置を直接波のシンボルの境界位置の方に引き込まれ易くなり、この結果、図16に示すように、容易に直接波のピークClに引き込まれ、符号誤り率の低い復調符号を得ることができるようになる。
【0095】
また、この結果、この第2の実施形態によれば、マルチパスフェージングによって直接波よりレベルが高い遅延波が受信信号に混入しても、基準信号の位置が遅延波のシンボルの境界位置に引き込まれてしまうのを確実に防止することができ、且つ、一旦遅延波のシンボルの境界位置に引き込まれても、迅速に直接波のシンボルの境界位置に引き込み直すことができる。
【0096】
このため、この第2の実施形態によれば、マルチパスフェージング下においても符号誤り率が低い復調符号を得ることができ、性能の良いOFDM方式の伝送装置を容易に得ることができる。
【0097】
次に、上記実施形態における制限器91とずれ量算出回路50の詳細について説明する。
始めに制限器91について説明する。
まず、図8は、この制限器91の第1の回路構成例で、入力68には、図1のずれ量算出回路50で算出したずれ量iが供給される。そして、この入力68に供給された相関ピーク位置情報が正の区間のときと負の区間のときと異なる制限値で制限されることになる。
【0098】
そのため、定数器172と比較器171、それにセレクタ173で、ずれ量iの正の区間の制限を行い、定数器72と比較器71、それにセレクタ73では、同じく負の区間の制限を行う。
そして、比較器75で入力68が正の区間か負の区間かを判定し、判定結果に応じてセレタタ273を制御し、セレタタ173又はセレクタ73の出力を選択して出力69に出力するのである。
【0099】
次に、図9は、制限器91の第2の回路構成例で、これは、数値の制限を変換テーブルメモリ74で行う例で、予め入力68と出力69の関係が、図5の特性に従って与えられるように、アドレスADRとデータDATAOUTの関係が記憶してある変換テーブルメモリ74を用い、入力68をアドレスに入れて所定の制限値が出力69に出力されるようにしたものである。
【0100】
次に、ずれ量算出回路50について説明する。
まず、一般的にいって、このずれ量算出回路50は、図12の従来技術で説明したように、タイミング回路40から出力される基準信号と相関ピーク検出器34から出力される相関ピーク位置信号S34の間のクロック数をカウントする回路で実現でき、従って、図1の実施形態では、この回路構造のものを前提として説明してある。
【0101】
しかし、上記の説明からも明らかなように、基準信号と相関ピーク位置信号については、その一方の信号が他方の信号より常に先行するとは限らないので、上記したずれ量算出回路50の場合、先行して入力した信号の種類を判別した後、カウントを開始するという処理が必要になる。
【0102】
そこで、以下の実施形態では、このような判別をせずに、ずれ量が算出できるようにしたずれ量算出回路の一例について、図10により、それを備えたディジタルデータ伝送装置と共に説明する。なお、この図10では、このずれ量算出回路については、図1の場合と区別するため、ずれ量算出回路501として示してあり、これは、本来のずれ量算出回路52と変換器53で構成されている。
【0103】
そして、まず、図1の実施形態においては、そのずれ量算出回路50には、タイミング回路部41内のデコーダ44から出力される基準信号と相関ピーク検出器34から出力される相関ピーク位置信号S34が入力されている。
【0104】
これに対して、図10のずれ量算出回路501の場合、相関ピーク位置信号S34が入力されている点は同じであるが、基準信号に代えて、タイミング回路401のシンボルカウンタ43から出力されるシンボルカウンタ値S43と、判定回路83から出力される判定出力S83が入力されている。
【0105】
図11は、このずれ量算出回路501による信号処理の過程を模式的に示したもので、以下、この図11により、ずれ量算出回路501の動作について説明する。
変換器53に入力されてくるシンボルカウンタ値S43は、上記したように、k=0〜S−1の値を繰り返す。
【0106】
そこで、変換器53では、図11の(a)に示すように、シンボルカウンタ値S43の値kに演算を施し、同図(b)に示すように、ずれカウント値i=−k(k≦S/2)、i=S−k(k>S/2)に変換し、それを変換器出力S53として出力する。
【0107】
なお、この図11(b)では、縦軸の極性が反転して示されているので、留意する必要がある。
【0108】
そうすると、この変換によって算出されたずれカウント値iは、k=0となる基準信号点と各サンプル点の間の符号も考慮したクロック数になっている。
例えば、相関演算器出力S32のピーク位置が、図11(b)の相関演算器出力S701に示すように、基準の0サンプル点に対してDf=|△tp−△t0|サンプル(Df≧0の整数)前に検出されたとする。
【0109】
この場合、変換器出力S53から出力されるカウント値iの中から相関ピーク位置信号S34のパルス位置の値をサンプリングすると、サンプリング値i=+Df=−(△tp−△t0)=△t0−△tpとなり、求めているずれ量i=△t0−△tpそのものになる。
【0110】
反対に、図11(b)の相関演算器出力S702に示すように、ピーク位置が基準の0サンプル点に対して、Dr=|△tp−△t0|サンプル後に検出されたとする。
この場合、変換器出力S53から出力されるカウント値iの中から相関ピーク位置信号S34のパルス位置の値をサンプリングすると、サンプリング値i=−Dr=−(△tp−△t0)=△t0−△tpとなり、やはり求めているずれ量i=△t0−△tpそのものになる。
【0111】
従って、このずれ量算出回路501によれば、その変換器53から出力される信号S53であるカウント値iの中から、相関ピーク位置信号S34のパルス位置の値をサンプリングするだけで、複雑な処理を要することなく、必要なずれ量iを容易に算出することができる。
【0112】
ここで、この図10の実施形態の場合、図1の実施形態におけるLPF33は不要で、図示のように削除する方が好ましい。
何故なら、このLPF33があると、図2に示されている相関演算器出力S32のピーク「a"」、「b'」、「C"」がLPF33により平坦化され、波形S700のピーク「e"」、「f"」、「g"」で示すように、ピークの先が平坦になって相関ピーク位置が不明確になるためである。
【0113】
また、このLPF33を削除したことにより、マルチパスフェージングが生じた場合でも直接波と反射波の各々の相関ピーク値が平滑されないため、直接波と反射波の識別が明確になり、従って、直接波に同期し易くなるという利点も得られることになる。
【0114】
なお、この図10の第2の実施形態においても、制限器91による正の区間の制限値nと負の区間の制限値の絶対値mの値については、図1の実施形態と同じく、n>mであれば任意の値で良いが、実験的には、2≦m≦4に設定したとき良好な特性が得られている。
【0115】
ところで、以上の実施形態では、制限器91の特性について、図3と図5に示した特性では、ずれ量算出回路50、又は501から出力されるずれ量が一定値n又は一定値mを越えたとき、直ちに同じ一定値n又は一定値mに制限して固定していた。
【0116】
しかし、本発明の実施形態としては、この制限器91の特性について、ずれ量iの大きさによって段階的に、或いは緩やかに増加する特性曲線を持たせても良いことは明らかである。
【0117】
また、上記の実施形態では、判定回路83において、相関信号S32と比較すべき閾値としては、受信信号の平均電力を定数倍した値を用いた場合について説明したが、閾値に固定値を用いても良いことは明らかであり、このとき、更に、これらを併用して、平均電力を定数倍した値が、予め設定してある所定値以下になったときだけ一定値に固定するようにしても良い。
【0118】
【発明の効果】
ガード相関方式で同期検出してクロック同期をとるOFDM方式の受信機の場合、算出すべき相関波形が伝送されるデータの内容によってシンボル毎に歪み、検出される相関ピーク位置がばらついてしまう。
しかし、本発明によれば、この相関ピーク位置のばらつきが抑えられるので、このばらつきに起因するクロックジッタが低減され、安定したOFDM復調を容易に得ることが出来る。
【0119】
また、本発明によれば、マルチパスフェージングを伴った信号でも、直接波に容易に同期させることができるので、直接波に同期するときの確度を向上させることができ、更に、最初、反射波に同期させてしまったときでも、容易に直接波に同期を戻すことができる。
【0120】
更に、本発明によれば、相関値の有意性を受信借号のレベルで判定するようにしているので、受信信号のレベルが低いときでも受信信号に正しく同期する確度が向上する。
これらの結果、本発明によれば、安定した同期検出ができ、符号誤り率が低い良好な特性のディジタルデータ伝送装置を容易に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるディジタルデータ伝送装置の一実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】本発明の一実施形態における各部の信号波形図である。
【図3】本発明の一実施形態における制限器の一例による特性図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるガード相関波形図である。
【図5】本発明の一実施形態における制限器の他の一例による特性図である。
【図6】直接波のレベルの方が小さい場合のガード相関演算値と同期位置の説明図である。
【図7】直接波のレベルの方が大きい場合の
【図8】本発明の一実施形態における制限器の一例を示すブロック構成図である。
【図9】本発明の一実施形態における制限器の他の一例を示すブロック構成図である。
【図10】本発明によるディジタルデータ伝送装置の他の一実施形態を示すブロック構成図である。
【図11】本発明によるディジタルデータ伝送装置の他の一実施形態による受信機のシンボルカウンタと相関ピーク位置検出の説明図である。
【図12】従来技術によるディジタルデータ伝送装置の一例を示すブロック構成図である。
【図13】従来技術における各部の信号波形図である。
【図14】ガード相関演算値と同期位置の説明図である。
【図15】ばらつき有りの状態におけるガード相関演算値と同期位置の説明図である。
【図16】直接波大の状態におけるガード相関演算値と同期位置の説明図である。
【図17】直接波小の状態におけるガード相関演算値と同期位置の説明図である。
【符号の説明】
10 送信データ
20 送信機
21 ダウンコンバータ
22 A/D変換器
S22 ディジタル受信信号
31 遅延器
S31 遅延受信信号
32 相関演算器
S32 相関演算器出力
33 LPF
S33 相関信号
34 相関ピーク検出器
S34 相関ピーク位置信号
40 タイミング回路
41 タイミング回路部
42 制御器
S42 相関ピーク位置
43 シンボルカウンタ
S43 シンボルカウンタ値
44 デコーダ
S401 初期化マスク信号
S440 シンボル開始信号
50 ずれ量算出回路
51 矢印
501 ずれ量算出回路
52 ずれ量算出回路
53 変換器
S53 変換器出力
61 積算器
62 D/A変換器
63 周波数可変型クロック発生器
68 入力
69 出力
70 復調器
S70 受信データ
S700 相関演算器出力
80 相関ピークレベル判定回路部
81 電力算出器
82 平均電力算出器
S82 平均電力
83 判定回路
S83 判定出力
90 スイッチ回路
91 制限器
S910 相関信号

Claims (3)

  1. 伝送すべきデータを所定データ量に順次分割し、この分割されたデータから生成した時間軸信号とガード区間で形成したシンボルを送信する方式の送信部と、受信信号と遅延受信信号の間の相関の強さが最大となる相関ピーク位置を数値で検出し、該相関ピーク位置が所定の範囲に収まるようにクロック周波数を制御して同期検出とクロック同期をとり、データを復調する方式の受信部とを備えたディジタルデータ伝送装置において、
    前記受信側にある動作タイミング発生用のシンボルカウンタが示すシンボル開始点を基準時刻とし、或るシンボルの相関ピーク位置が前記基準時刻以前に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がn(n>0の整数)以上のとき、前記サンプル数をn以下の値に制限する手段と、或るシンボルの相関ピーク位置が前記基準時刻以後に検出された場合、基準時刻と相関ピーク位置間のサンプル数がm(m>0の整数)以上のとき、前記サンプル数をm以下の値に制限する手段とを備え、前記nの値とmの値について、n>mの関係を成立させることにより、前記相関ピーク位置を表わす数値の変化範囲に所定の限度を与える制限手段を設け、
    前記クロック周波数の制御範囲に上限と下限が設定されるように構成したことを特徴とするディジタルデータ伝送装置。
  2. 請求項1に記載の発明において、
    前記mの値について、2≦m≦4の条件が成立するように構成したことを特徴とするディジタルデータ伝送装置。
  3. 請求項1に記載の発明において、
    受信側で求めた相関の最大値が有意であるか否かを、受信側で受信された信号のレベルに基づいて判断する手段が設けられていることを特徴とするディジタルデータ伝送装置。
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