JP4327316B2 - 熱伝導性シート複合体及び熱伝導性シートの取付方法 - Google Patents

熱伝導性シート複合体及び熱伝導性シートの取付方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱伝導性シート複合体及び熱伝導性シートの取付方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CPUやパワートランジスタ、あるいは液晶等のように、使用によって発熱する電子部品は、温度上昇によって性能が低下する性質を有するため、ヒートシンク等の放熱部品が表面に装着されて冷却されることが多い。その場合、発熱部品の表面に放熱部品を直接装着すると、発熱部品と放熱部品間に隙間を生じて放熱部品への熱伝導が損なわれたり、放熱部品の導電性によって発熱部品の性能(CPU等)に不具合を生じたりする。
【0003】
そこで、前記不具合をなくすため、発熱部品と放熱部品との間に絶縁性の熱伝導性材料を介在させることが広く行われている。前記熱伝導性材料の材質は、シリコーンゴム等に熱伝導性充填剤を配合したものが用いられている。
【0004】
しかし、前記熱伝導性材料を発熱部品及び放熱部品間に設ける際、発熱部品や放熱部品と熱伝導性材料との間に空気が閉じこめられ易く、それにより発熱部品から熱伝導性材料を介して放熱部品へ熱が伝わり難くなって、所期の放熱効果が得られない問題や、放熱部品が液晶板の場合には残像や変色等の性能低下を生じる問題が発生する。
【0005】
なお、熱伝導性シートに貫通孔を開けたもの、あるいは剥離シートに熱伝導性材料を間隔を設けて並設したものも提案されているが、それらは次のような問題がある。すなわち、前者にあっては、良好な空気の放出効果を得るには熱伝導性シートに形成する貫通孔の数を多くしなければがならず、その結果、全貫通孔の合計面積が大きくなって、その面積分だけ発熱部品と熱伝導性シートの接触面積が減少し、熱伝導性が低下するようになる。また、後者のように熱伝導性材料間に間隔を設ける場合も、熱伝導性材料と発熱部品との接触面積が小さくなって優れた熱伝導性が得られない問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は前記の問題を解決するためになされたもので、熱伝導性シートと発熱部品及び放熱部品等との間に空気を閉じ込めることがなく、しかも発熱部品から放熱部品等への良好な熱伝導性を得ることのできる、熱伝導性シート複合体及び熱伝導性シートの取付方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、熱伝導性シートとその片面に剥離可能に積層一体化された剥離シートとよりなる熱伝導性シート複合体であって、前記熱伝導性シートが該シートの端辺に至る複数のスリットによって複数のシート片に分離され、前記剥離シートが前記スリットに至る貫通孔を複数有するものからなることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、前記熱伝導性シートが平面視略長方形または正方形からなり、全スリットが前記熱伝導性シートの端辺に対して傾斜していることを特徴とする。
【0009】
それに対し、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の熱伝導性シート複合体を、熱伝導性シートが発熱部品と接触するようにして当該発熱部品に載置し、次いで前記熱伝導性シートの剥離シート上から押圧して熱伝導性シートを発熱部品に圧着し、その後に、前記剥離シートを熱伝導性シートから剥がして該剥離により露出した熱伝導性シート表面に他部品を圧着することを特徴とする熱伝導性シートの取付方法に係る。
【0010】
また請求項4の発明は、請求項3における剥離シート上からの押圧により、前記熱伝導性シート複合体と発熱部品間の空気を前記スリット及び貫通孔を介して熱伝導性シート複合体外へ放出し、前記剥離シート剥離後の熱伝導性シート表面への前記他部品の圧着により、該他部品と熱伝導性シート表面間の空気を前記スリットを介して熱伝導性シート外へ放出することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下この発明の実施形態について説明する。図1はこの発明の第1実施例に係る熱伝導性シート複合体の斜視図、図2はその2−2断面図、図3は第1実施例に係る熱伝導性シート複合体の裏面図、図4はこの発明の第2実施例に係る熱伝導性シート複合体の斜視図、図5はその5−5断面図、図6はこの発明の第3実施例に係る熱伝導性シート複合体の斜視図、図7はその7−7断面図、図8はこの発明の取付方法における一実施例の押圧時を示す斜視図、図9はその拡大部分断面図、図10は剥離シートの剥離時を示す拡大部分断面図、図11は放熱部品による押圧時を示す拡大部分断面図である。
【0012】
図1ないし図3に示す第1実施例の熱伝導性シート複合体10は、液晶板やCPU等の発熱部品に放熱部品等を取り付ける際に用いられるものであって、熱伝導性シート21と剥離シート31とよりなる。
【0013】
熱伝導性シート21は、熱伝導性に優れる材質、さらに好ましくは電気絶縁性があり、発熱部品の凹凸に密着する柔軟な粘着性材質で構成される。例えば、熱伝導性充填剤が充填されたアクリル樹脂、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、あるいは種々のポリウレタンエラストマー等を挙げることができる。特に好ましくは、シリコーンゲル剤と酸化アルミニウム等の熱伝導性充填剤とから形成されたものであり、公知の材料を用いることができる。
【0014】
前記熱伝導性シート21は、スリット22によって分離した複数のシート片23で構成される。前記スリット22は、この熱伝導性シート21を発熱部品の表面に取り付ける際及び放熱部品等を熱伝導性シートに固定する際に、発熱部品及び放熱部品等と熱伝導性シート21との間の空気を、当該スリット22を介して外部へ逃がすためのものである。スリット22の幅は、1mm以下が好ましい。なお、このスリット22は平板状の熱伝導性シート21に対してカッター等で形成される。
【0015】
また、前記スリット22は、その両端23,24が熱伝導性シート21の端辺25に至るように設けられる。そのようなスリット22とすることによって、前記熱伝導性シート21を発熱部品表面に取り付ける際に、前記熱伝導性シート21と発熱部品間の空気を剥離シート31に邪魔されることなく熱伝導性シート21の端から確実に逃がすことができるようになる。
【0016】
さらに、前記スリット22の全ては、平面視略長方形や正方形等の四角形からなる熱伝導性シート21の端辺25に対し傾斜しているのが好ましい。このようにスリット22を傾斜させると、後述するように、熱伝導性複合シート10を発熱部品に取り付ける際に、熱伝導性シート21と発熱部品間の空気をより効率よく外部へ逃がすことができるようになる。傾斜角aは90°未満の適宜の角度とされるが、通常20〜70°程度が好ましい。なお、前記スリット22は、この例のように、全てが互いに平行な直線状のものである必要はなく、両端23,24間が円弧状等の曲線であってもよい。
【0017】
剥離シート31は、前記熱伝導性シート21を構成する複数のシート片23を、発熱部品に取り付けるまでの間分散するのを防止するとともに、熱伝導性シート21を発熱部品に取り付けるための作業を容易にするためのもので、前記熱伝導性シート21の接着性等により、該熱伝導性シート21の片面に剥離可能に積層されている。この剥離シート31の材質としては、可撓性があって、前記熱伝導性シート21に対して剥離性のある紙、箔、プラスチックフィルム等で形成される。また、剥離シート31のサイズは、前記熱伝導性シート21と同じあるいはそれより大きくされる。
【0018】
前記剥離シート31には、その両面を貫通する複数の貫通孔32が、前記熱伝導性シート21のスリット22に至るように形成されている。この貫通孔32は、熱伝導性シート複合体10を発熱部品に取り付ける際に、発熱部品と熱伝導性シート21間の空気を前記スリット22を介して効率良く熱伝導性シート複合体10外へ逃がすものである。前記貫通孔32は、各スリット22に対して少なくとも1つ設けられるのが好ましい。また、貫通孔32のサイズは、前記スリット22の幅等に応じて適宜とされるが、例として1mm以下のものを挙げる。
【0019】
図4及び図5に示す第2実施例に係る熱伝導性シート複合体10Aは、スリット22Aが、平面視略長方形からなる熱伝導性シート21Aの短辺26と平行に形成され、そのスリット22Aに通じるように貫通孔32Aが剥離シート31Aに形成されている点を除き、第1実施例と同様の構成からなる。
【0020】
図6及び図7に示す第3実施例に係る熱伝導性シート複合体10Bは、スリット22Bが熱伝導性シート21Bに格子状に形成され、そのスリット22Aの格子点に通じるように貫通孔32Bが剥離シート31Bに形成されている点を除き、第1実施例と同様の構成からなる。なお、前記各実施例において、剥離シートが積層されていない熱伝導性シートの他面にも、熱伝導性シート複合体の使用(取付)まで、剥離シートを設けておいてもよい。
【0021】
次にこの発明における熱伝導性シートの取付方法を、前記第1実施例の熱伝導性シート複合体10を用いる場合について説明する。
【0022】
まず、図8及び図9に示すように、液晶板等の発熱部品40の裏面等に前記熱伝導性シート複合体10を、その熱伝導性シート21が発熱部品40と接触するようにして載置する。その時、熱伝導性シート21と発熱部品40との向きを合わせて、正しい位置に熱伝導性シート21が配置されるようにする。
【0023】
次に、前記熱伝導性シート21を剥離シート31上から押圧することにより、前記熱伝導性シート21を発熱部品40に圧着する。その際、前記熱伝導性シート21が粘着剤の場合、前記圧着によって、前記熱伝導性シート21が発熱部品40に接着される。なお、適宜の接着剤を発熱部品40と熱伝導性シート21間に設けてもよい。
【0024】
前記圧着時、熱伝導性シート21と発熱部品40間に介在する空気は、前記スリット22を通って熱伝導性シート21の端面から、また、前記スリット22及び貫通孔32を通って熱伝導性シート21外へ放出される。
【0025】
特に、前記押圧に際し、押圧ローラ50を熱伝導性シート21の一短辺27(又は長辺)と平行となるように剥離シート31上に配置し、該押圧ローラ50を熱伝導性シート21の反対側短辺(又は長辺)へ向けて移動させることにより熱伝導性シート21を押圧すれば、スリット22が押圧ローラ50の軸方向51と傾斜した状態で押圧されるため、押圧ローラ50の移動によって各スリット22が一端23側から他端24側へ向かって押圧されることになる。したがって、押圧ローラ50による押圧部位でスリット22が密着して隙間がなくなることがあっても、そのスリット22の密着部位が前記スリット22の一端23側から他端24側へ移動するため、前記空気がスリット22に沿って押し出され、確実に熱伝導性シート複合体10外へ放出されるようになる。しかも、押圧ローラ50を一方向へ移動させるだけで、前記スリット22を介して空気を放出させることができる。
【0026】
次いで、図10のように、前記剥離シート31を熱伝導性シート21から剥がし、熱伝導性シート21の表面28を露出させる。そして、図11のように、前記熱伝導性シート21の露出した表面28に、放熱部品等の他物体45を押し付けて圧着する。この圧着により、他物体45が熱伝導性シート21の表面28に粘着固定される。前記熱伝導性シート21の表面28と他物体45間には接着剤を設けてもよい。
【0027】
前記他物体45の圧着時、前記熱伝導性シート21の表面28と他物体45間に存在する空気は、前記スリット22を通って熱伝導性シート21の端面から熱伝導性シート21外へ放出される。これによって、熱伝導性シート21が発熱部品40及び他物体45に空気の介在なく密着して取り付けられる。
【0028】
なお、前記第2実施例の熱伝導性シート複合体10Aや第3実施例の熱伝導性シート複合体10Bの場合も、前記と同様にして熱伝導性シートを発熱部品及び他物体に取り付けることができる。また、前記熱伝導性シート複合体を発熱部品に圧着する作業は、押圧ローラを用いる方法に限られず、他の押圧手段を用いるものでもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明の熱伝導性シート複合体及び熱伝導性シートの取付方法によれば、発熱部品及び放熱部品等と熱伝導性シート間に空気が閉じ込められことなく熱伝導性シートを発熱部品及び放熱部品等に簡単に取り付けることができ、前記閉じ込められた空気によって生じる、発熱部品の性能低下や熱伝導性阻害を防止するこができ、発熱部品の性能を最大限に発揮できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る熱伝導性シート複合体の斜視図である。
【図2】その2−2断面図である。
【図3】第1実施例に係る熱伝導性シート複合体の裏面図である。
【図4】この発明の第2実施例に係る熱伝導性シート複合体の斜視図である。
【図5】その5−5断面図である。
【図6】この発明の第3実施例に係る熱伝導性シート複合体の斜視図である。
【図7】その7−7断面図である。
【図8】この発明の取付方法における一実施例の押圧時を示す斜視図である。
【図9】その拡大部分断面図である。
【図10】剥離シートの剥離時を示す拡大部分断面図である。
【図11】他物体による押圧時を示す拡大部分断面図である。
【符号の説明】
10,10A,10B 熱伝導性シート複合体
21,21A,21B 熱伝導性シート
22,22A,22B スリット
23 シート片
25 端辺
31,31A,31B 剥離シート
32,32A,32B 貫通孔
40 発熱部品
45 他物体
50 押圧ローラ

Claims (4)

  1. 熱伝導性シートとその片面に剥離可能に積層一体化された剥離シートとよりなる熱伝導性シート複合体であって、
    前記熱伝導性シートが該シートの端辺に至る複数のスリットによって複数のシート片に分離され、
    前記剥離シートが前記スリットに至る貫通孔を複数有するものからなることを特徴とする熱伝導性シート複合体。
  2. 熱伝導性シートが平面視略長方形または正方形からなり、全スリットが前記熱伝導性シートの端辺に対して傾斜していることを特徴とする請求項1記載の熱伝導性シート複合体。
  3. 請求項1または2に記載の熱伝導性シート複合体を、熱伝導性シートが発熱部品と接触するようにして当該発熱部品に載置し、
    次いで前記熱伝導性シートを剥離シート上から押圧して当該熱伝導性シートを発熱部品に圧着し、
    その後に、前記剥離シートを熱伝導性シートから剥がし、該剥離により露出した熱伝導性シート表面に他部品を圧着することを特徴とする熱伝導性シートの取付方法。
  4. 請求項3において、前記剥離シート上からの押圧により、前記熱伝導性シート複合体と発熱部品間の空気を前記スリット及び貫通孔を介して熱伝導性シート複合体外へ放出し、前記剥離シート剥離後の熱伝導性シート表面への前記他部品の圧着により、該他部品と熱伝導性シート表面間の空気を前記スリットを介して熱伝導性シート外へ放出することを特徴とする熱伝導性シートの取付方法。
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