JP4324843B2 - 樹脂ロールの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
この発明は、樹脂ロールの製造方法に関し、更に詳細には、例えばメカニカルフロス法(機械的攪拌法)等により調整された気泡を含む流動性樹脂原料から、軸方向(長手方向)および半径方向について硬度の物性における差違をなくし略同ーとなる樹脂ロールを連続的に製造する製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コピー機やファクスその他の事務機器等には、転写ロールや送紙・給紙ロール等の構成部材が配設されている。このロールは、所謂マイクロセル構造を有する高機能ウレタン素材を所要長のロールとして成形し、これに回転支持部材としての軸体を同軸的に挿通配置することで得られるものである。そして前記ロールへの成形に際しては、一般にその原料に対して水や発泡材を添加せずに、乾燥エアーまたは窒素等の不活性の造泡用気体を混合して所要の発泡体を製造する所謂機械的攪拌法(以下、メカニカルフロス法と云う)が好適に採用されている。このメカニカルフロス法を採用することによって得られるロールは、その内部に含まれる気泡の大きさが略同一かつ均質に分散すると共に、その形状の異方性が小さいと云った構造的特徴を有する。このため得られるロールは、例えば印刷用紙等のシート状の被搬送物を給送する際に要求される外周面の押圧力、すなわちニップ圧(ニップ量)が一定となってスリップすることなく給送をなし得る等の優れた利点を有する。
【0003】
従来技術の理解に資するために、以下にメカニカルフロス法によりウレタン発泡体からなる樹脂ロールを製造する方法およびその装置の一例を記載する。ここで得られるロールは、前記造泡用気体と原料とを混合して得られる流動性のある気体混合済み原料(以下、流動性樹脂原料と云う。(ここでは発泡ウレタン樹脂である))Mを、例えば図20〜図23に示すように、得るべき製品の形状に合致するキャビティ218を有する、成形型216内に注入することで成形される。前記成形型216は、複数の独立したキャビティ218を画成する各キャビティ半体220が当接面上に並列状態で凹設された一対の金型半体222を回動可能に軸支したものであって、複数の該成形型216が搬送ラインに沿って並列状態で配設されている。また前記成形型216の所定位置には、前記流動性樹脂原料Mを注入するための注入孔224が、キャビティ218と空間的に連通するよう開設されている。更に前記各キャビティ半体220には、得るべき成形品である発泡した樹脂ロールRの両端部位となる位置から金型半体222の各端部に亘った部位に掛けて断面半円状の溝226が形成されており、該成形型216が開放された際に、この溝226を介して中子228が装着されるようになっている。
【0004】
前記樹脂ロールRを製造するに際しては、前記成形型216を以下のようにして用いる(図22参照)。すなわち、
▲1▼前記樹脂ロールRの製造ラインの所定位置に配置される中子装着位置230に上流側から到来した前記成形型216における一方の金型半体222を回動させ、前記キャビティ半体220を開放させる。
▲2▼この状態で、一方の金型半体222の各キャビティ半体220に、前記溝226を介して中子228を夫々装着する。この中子228自体は、最終製品である前記樹脂ロールRに同心的に挿通配置されるシャフトと同径の外径寸法に設定されると共に、該ロールRの軸方向長さよりも充分に長い寸法に設定された棒状部材であって、当該溝226に装着することで、キャビティ半体220の軸心と整列した状態でその内側面との間に充分な成形用の空間、すなわちキャビティ218を画成する。
【0005】
▲3▼この中子228が装着された前記成形型216は、その一方の金型半体222を回動させることで閉成され、例えば1ブロック分だけ前記製造ラインに沿って下流側の原料注入装置232に移動される。これにより、それまで上流側に位置していた別の成形型216が下流側に搬送され、前記中子装着位置230に到来した時点で、先の成形型216と同様にその一方の金型半体222が開放されて各キャビティ218に中子228が夫々装着される。そしてこの手順が繰り返されることにより、該中子228が装着された成形型216が順次製造ラインに沿って下流側に移送される。
▲4▼製造ライン下流側に搬送された前記成形型216に、前記注入孔224を介して前記流動性樹脂原料Mが注入される。
▲5▼前記流動性樹脂原料Mが注入された成形型216は、製造ラインの更に下流側に設けられているトンネル加熱炉234により加熱される。これにより前記流動性樹脂原料Mは、前記キャビティ218内で反応・硬化し、該キャビティ218の内部輪郭形状を外部輪郭形状とするロールに成形される。前記トンネル加熱炉234は、製造ラインに沿って成形された所要長の加熱炉であって、その内部温度が前記流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要な所要温度に制御・保持されている。
【0006】
▲6▼前記トンネル加熱炉234での加熱による反応・硬化終了後は、前記成形型216は更に下流側に位置する脱型ステーション236に搬送される。この脱型ステーション236において前記成形型216は、一方の前記金型半体222の回動により開放状態となる。この状態において、前記中子228の両端部を前記溝226から離脱させることで、成形品である発泡体の樹脂ロールRをキャビティ半体220から離脱させ、更に該中子228を該ロールRから引き抜くことで成形品が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した成形型216を使用した樹脂ロールRの製造装置の稼働により、前記キャビティ218の内部で前記流動性樹脂原料Mに熱が加えられ、反応・硬化の終了により所期の樹脂ロールRが得られる。しかしながらこの製造工程によるときは、以下の問題点が指摘される。
▲1▼基本的にバッチ処理であり、連続的な製造、すなわち効率的かつ製造コストを大きく低減させた製造が困難である。
▲2▼前記流動性樹脂原料Mへの加熱は、基本的に外部からしか実施できないため、前記キャビティ218内部に注入された該流動性樹脂原料Mの反応・硬化に部位によるバラツキが生じてしまう。これにより、得るべき樹脂ロールRの物性が不均質となり好適なロールRを製造し得ない。殊に得られる樹脂ロールRをなすウレタン発泡体は良好な断熱体であり、先に反応・硬化した表面部位が断熱体として作用するので、該反応・硬化後の表面部位より更に内側へ熱を効率的に伝達することができなくなる。従って、得られる樹脂ロールRの物性が、その半径方向に亘って大きく不均質となってしまう。
▲3▼そこで前記加熱による弊害を少なくすると共に、前記反応・加熱に必要な時間を短縮するために、前記成形型216および中子228に予熱を施すことも一般的である。この場合、製造工程上、前記成形型216に流動性樹脂原料Mを注入する前に前述の加熱が施されるが、該原料Mは該成形型216の所定部位に設けられた注入孔224(図20および図21参照)から注入されるため、図23に示す如く、該注入孔224近傍の前記流動性樹脂原料Mが最も速く接触する部位から順次反応・硬化が始まってしまう。その結果、該流動性樹脂原料Mの注入経路(この場合、得られる樹脂ロールRの軸方向)に沿って、物性の異なる樹脂ロールRが製造されるという重大な欠点が指摘される。
▲4▼前述の▲2▼および▲3▼で述べた問題を回避する手段として、前記流動性樹脂原料Mを、低温から長い時間を掛けることで該原料M内の温度差を解消しつつ、徐々に加熱する方法が考えられる。しかしこの場合、加熱に過度の時間が必要とされ、またバッチ処理はサイクルタイムが短い方が良いという点からも、実際の工業的量産をなす製造に向かないことは明らかである。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来の技術に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、樹脂ロールの軸方向および半径方向における部位による物性の差違がなく略同一、すなわち均一性を高い物性を備える樹脂ロールの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本発明に係る樹脂ロールの製造方法は、
長尺シートを所定方向に供給し、
前記長尺シートを、その長手方向に沿った両端縁を上方で近接させて徐々に成形して長尺円筒体に成形し、
前記長尺円筒体に成形する過程で、前記長尺シートの上方開口領域に対して、流動性樹脂原料を注入すると共に、ダミーシャフトを、得るべき樹脂ロール長尺物の略中心軸線に沿うように供給し、
前記長尺円筒体に内包された状態で移送される前記流動性樹脂原料を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物を形成するようにしたことを特徴とする。
また、前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本願の別の発明に係る樹脂ロールの製造方法は、
第1長尺シートを所定方向に供給し、
前記第1長尺シートを徐々に成形して長尺円筒体に成形し、
前記長尺円筒体に成形する過程で、前記第1長尺シートの上方開口領域に対して、流動性樹脂原料を注入すると共に、ダミーシャフトを、得るべき樹脂ロール長尺物の略中心軸線に沿うように供給し、
少なくとも前記第1長尺シートからの流動性樹脂原料の漏洩を防止するよう第2長尺シートにより被覆し、
前記長尺円筒体および第2長尺シートに内包された状態で移送される前記樹脂原料を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物を形成するようにしたことを特徴とする。
更に、前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本願の更に別の発明に係る樹脂ロールの製造方法は、
長尺シートを所定方向に供給し、
前記長尺シートを、その長手方向に沿った両端縁を上方で近接させて徐々に成形して長尺円筒体に成形し、
前記長尺円筒体に成形する過程で、前記長尺シートの上方開口領域に対して、流動性樹脂原料を注入すると共に、シャフトを、得るべき樹脂ロール長尺物の略中心軸線に沿うように供給し、
前記長尺円筒体に内包された状態で移送される前記流動性樹脂原料を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物を形成し、
前記樹脂ロール長尺物を所要長に切断するようにしたことを特徴とする。
また更に、前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本願のまた更に別の発明に係る樹脂ロールの製造方法は、
第1長尺シートを所定方向に供給し、
前記第1長尺シートを徐々に成形して長尺円筒体に成形し、
前記長尺円筒体に成形する過程で、前記第1長尺シートの上方開口領域に対して、流動性樹脂原料を注入すると共に、シャフトを、得るべき樹脂ロール長尺物の略中心軸線に沿うように供給し、
少なくとも前記第1長尺シートからの流動性樹脂原料の漏洩を防止するよう第2長尺シートにより被覆し、
前記長尺円筒体および第2長尺シートに内包された状態で移送される前記樹脂原料を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物を形成し、
前記樹脂ロール長尺物を所要長に切断するようにしたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る樹脂ロールの製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本願の発明者は、例えば前述の如く部位による物性差が生じ易いメカニカルフロス法によるウレタンの発泡樹脂ロール(以下、樹脂ロールと云う)の製造に際して、得るべき樹脂ロールの製造に供される流動性樹脂原料を、その外径を規制しつつ、少なくとも誘電発熱(加熱)原理による加熱を施しつつ移送し得る成形パイプを使用することで、内部における硬度等の物性変動が殆どなく樹脂ロールを連続的に製造し得ることを知見したものである。なお、本発明において円筒体とは、真円に近い形状から楕円形等も含み、更に角部を面取りしたような多角形形状等も含む趣旨である。
【0011】
本発明に係る好適な樹脂ロールの製造方法は、図1に示すように、得るべき樹脂ロールRの外形状を規制し、かつ流動性樹脂原料Mの移送手段となる第1長尺シート(以下、第1シートと云う)92および第2長尺シート(以下、第2シートと云う)94を供給するシート供給工程S1と、供給された該両シート92,94から該樹脂ロールRの外径に略等しい長尺二重円筒体90を成形する共に、該成形の途中に該流動性樹脂原料Mおよびシャフト98を供給する製筒・材料供給工程S2と、供給された該原料Mおよびシャフト98を包囲した該長尺二重円筒体90に少なくとも誘電発熱原理により熱を供給して樹脂ロール長尺物LRとする加熱工程S3と、得られた樹脂ロール長尺物LRの外周面から該長尺二重円筒体90を剥離する剥離工程S4と、更に該樹脂ロール長尺物LRを所要長に切断する切断工程S5とから基本的になる。
【0012】
(樹脂ロールの製造装置の全体構成について)
次に本発明に係る樹脂ロールの製造方法の理解に資するために、以下に製造装置の一例を示す。実施例に係るシャフト付き樹脂ロールを製造する製造装置10は、図2に示すように、該製造装置10の上流側から下流側に向けて直列に複数配置した所要数の成形パイプ20と、所要幅の第1シート92および第2シート94をロール状に巻き付けたシート供給装置24と、該シート供給装置24およびシート剥離装置72の間に配設され、両シート92,94を筒状の長尺二重円筒体90に徐々に成形するシート製筒装置30と、該円筒体90内へ流動性樹脂原料Mを注入する原料注入装置50および所要長のシャフト98を供給するシャフト供給装置52と、該円筒体90内の流動性樹脂原料Mを反応・硬化させて樹脂ロール長尺物LRとする加熱装置60と、該パイプ20の最下流側で該円筒体90を連続的に引張り移送するロール長尺物引張装置70と、該装置70の下流側で得られた樹脂ロール長尺物LRの外周面から該円筒体90を連続的に剥離するシート剥離装置72と、該長尺物LRを所要長に切断するロール切断装置74とから基本的に構成されている。すなわち、前記長尺二重円筒体90に成形された両シート92,94を、前記ロール長尺物引張装置70により引張ることで、前記シート供給装置24に巻き付けられた前記両シート92,94が一定方向(シート剥離装置72に向かう方向)に連続的に引張り移送される構造となっている。
【0013】
シート移送途中に配置されたシート製筒装置30において、前記両シート92,94を長尺二重円筒体90を構成する内側の長尺円筒体93および外側の長尺二重円筒体95に夫々成形し、その成形過程で前記原料注入装置50からの流動性樹脂原料Mの注入およびシャフト供給装置52からのシャフト98の供給とが夫々実施される製筒・材料供給工程S2が実施され、該長尺二重円筒体90に内包された状態で移送される流動性樹脂原料Mを前記加熱装置60により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物LRを形成する加熱工程S3が実施され、その後に樹脂ロール長尺物LRの外周面から長尺二重円筒体90を剥離すると共に、所要長に切断する剥離工程S4・切断工程S5が実施される。なお、以下の説明において、第1シート92および第2シート94の移送方向を基準として上流側および下流側を夫々指称する。
【0014】
(シート供給装置について)
前記シート供給装置24は、図2に示すように、前記第1シート92をロール状に巻き付けた第1シート供給機構26と、前記第2シート94をロール状に巻き付けた第2シート供給機構28とから構成されている。この長尺シート供給装置24は、前記流動性樹脂原料Mを包囲して得るべき樹脂ロールRの外形状に規制すると共に、該パイプ20内を移送する手段となる前記第1シート92および第2シート94を連続供給するものである。そして前記第1シート92および第2シート94は、前記流動性樹脂原料Mおよびシャフト98を包囲して得るべき樹脂ロールRの外形状に規制すると共に、該流動性樹脂原料Mおよびシャフト98の移送手段として機能するものである(図5参照)。前記第1シート92および第2シート94からは、夫々内側の長尺円筒体93および外側の長尺円筒体95が成形され、該両長尺円筒体93,95から長尺二重円筒体90が構成されている。前記第2シート94は、その幅寸法が第1シート92の幅寸法より大きく設定されているため、前記長尺二重円筒体90となった際には該第2シート94から成形される外側の長尺円筒体95が、該第1シート92からなる内側の長尺円筒体93の外周面全体を被覆することになる(図5、図6または図8(a)参照)。なお、前記第1シート92および第2シート94の材質としては、例えば絶縁性であって、離形性処理を施した紙材等が使用され、後述の樹脂ロール長尺物LRから容易に剥離し得るようになっている。また、前記第1シート92および第2シート94の夫々は、前記流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要な反応温度において好適に使用し得るようになっている。
【0015】
(シート製筒装置について)
前記シート製筒装置30は、図3に示す如く、前記シート供給装置24の下流側に所定間隔離間して設けられる規制部材としての複数の板状部材32と、各板状部材32を直立支持可能な共通基台38とから構成されている。前記共通基台38は、前記シート製筒装置30の主要部をなし、その上部側に各シート92,94の延在方向に直交する複数の溝部38aが所定間隔毎に設けられており、各溝部38aに前記各板状部材32が着脱交換可能に直立支持されている。また、前記複数の板状部材32には、前記第1シート92を挿通可能な第1スリット34と、第2シート94を挿通可能な第2スリット36とが夫々穿設されている。ここで、前記シート供給装置24に最も近接して配設される板状部材32には、前記第1および第2スリット34,36の形状が略V字状となるよう穿設され、該板状部材32の下流側に隣接する板状部材32には、各スリット34,36の形状が略U字状となるよう穿設されている。そして、前記各板状部材32に穿設される第1スリット34の形状は、上流側から下流側に向かうにつれて徐々に円形に近くなるよう設定される。この第1スリット34が略円形になった段階では、各板状部材32に形成した第2スリット36だけに前記第1シート92および第2シート94を挿通させればよい。なお、第2スリット36の形状も下流に向かうにつれて徐々に円形に近くなるよう設定される(図3および図4参照)。
【0016】
図3または図4に示すように、前記各板状部材32に穿設した各第1スリット34に前記第1シート92を順次挿通することで、該第1シート92の長手方向に沿った両端縁92a,92aが上方で重ね合わされた内側の第1長尺円筒体93が徐々に成形される。そして前記第1長尺円筒体93の成形と略同時または遅れて、前記第2シート94を前記各板状部材32に穿設した各第2スリット36に順次挿通させることで、該第2シート94の長手方向に沿った両端縁94a,94aが上方で重ね合わされた外側の第2長尺円筒体95が成形される。このようにして、前記第1シート92および第2シート94は、前記シート製筒装置30において長尺二重円筒体90とされる。ここで、前記第2シート94の幅寸法は、前述の如く、前記第1シート92の幅寸法より大きく設定されているため、前記第1長尺円筒体93の外周面全体は第2長尺円筒体95により被覆可能となっている。なお、前記第1および第2スリット34,36の夫々は、前記各シート92,94の延在方向に整列して、各スリット34,36に対応のシート92,94が略直線的に挿通してある。なお、本発明において長手方向に沿った両端縁が近接するとは、該両端縁同士が接触した状態を含むものとする。
【0017】
前記シート製筒装置30の下流側には、図2または図6に示すように、伝熱ヒータを内蔵した熱良導体の金属ブロックや金属ローラ等から構成され、前記各シート92,94における両端縁92a,92a,94a,94aの重なり合った重合部92b,94bに摺動可能に当接する封止装置80が配設されている。この封止装置80は前記重合部92b,94bを加熱することで、当該部位に位置する流動性樹脂原料Mを反応・硬化させて当該重合部92b,94bの封止を行ない、流動性樹脂原料Mの漏洩を防止する(図7参照)。また、前記封止装置80の下流側に、前記長尺二重円筒体90を挿通可能な成形パイプ20(後述)が配設され、流動性樹脂原料Mを内包した状態で長尺二重円筒体90が成形パイプ20内を移送される。
【0018】
(原料注入装置およびシャフト供給装置について)
前記第1シート92および第2シート94から前記長尺二重円筒体90を得る成形過程において、各シート92,94の断面形状は徐々に上方に開口したU字形状を経て、次第に円形に移行する。そして、前述の上方開口状態、すなわち上方開口領域を有する状態となった前記第1シート92に、図3または図5に示す如く、前記原料注入装置50による流動性樹脂原料Mの注入およびシャフト供給装置52によるシャフト98の供給が行なわれる。前記前記原料注入装置50およびシャフト供給装置52は、前記上方開口領域が形成される近傍位置に配設されている。
【0019】
前記原料注入装置50は、図5に示す如く、前記流動性樹脂原料Mを貯留する原料タンク(図示しない)に連通されて、前記第1シート92における上方開口領域に該流動性樹脂原料Mを制御下に注入するものである。本実施例で前記流動性樹脂原料Mは、ポリオールおよびイソシアネート等のウレタン樹脂原料に、乾燥エアーまたは窒素等の不活性ガス等の造泡用気体を略均質に攪拌することで製造される。本実施例では、ウレタン樹脂原料に造泡用気体を混合した混合組成物を略均一に攪拌した流動性樹脂原料Mを使用するようにしたが、これに限らず、誘電率が1.1以上で、誘電損失(係数)が1×10-3を超える組成物が使用され、好適に後述の誘電発熱原理による発熱を行なわせることが可能である。従って、本発明に係る樹脂ロールの製造方法では、例えばウレタン樹脂、ウレア樹脂、NBRラテックス、PVCラテックス等の一般的な樹脂が使用可能である。また原料性状についても、前述の如く、使用温度域で流動状態をなすものであればソリッド、機械的発泡による発泡原料または化学的発泡がなされる発泡原料が何れも使用可能である。また、前記原料注入装置50からの流動性樹脂原料Mの単位時間当たりの注入量は、長尺二重円筒体90の単位時間当たりに移送される体積と略等しくなるよう設定される。すなわち、前記長尺二重円筒体90の断面積がA(cm2)、移送速度がB(cm/sec)の場合には、A×B(cm3/sec)の流動性樹脂原料Mが注入される。なお、前記流動性樹脂原料Mの単位時間当たりの供給重量は、該原料Mの密度から単位時間当りの供給重量も算出し得る。また、前記流動性樹脂原料Mとして、発泡剤が混合された化学的発泡法による発泡原料が使用された際には、前述の各要素の他、該原料における発泡倍率による体積増加を考慮して注入量の決定がなされる。更に、前記シャフト98が前記原料注入装置50の上流で供給される場合、該シャフト98および位置決め部材99の体積を考慮した計算がなされる。
【0020】
前記シャフト供給装置52は、図2,3または図5に示すように、前記原料注入装置50の下流側に配置されて、該原料注入装置50から流動性樹脂原料Mを注入した後に、所要長のシャフト98を前記第1シート92における上方開口領域へ間欠的に供給するものである。本実施例では、流動性樹脂原料Mを注入した後にシャフト98を供給するようにしたが、該シャフト98を供給した後に該原料Mを注入するよう構成することも可能である。前記シャフト98としては、得るべき樹脂ロールRに必要となる所要長の中実または中空の棒部材が使用される。また後述([0025])する加熱装置60において誘導発熱(加熱)原理を利用した内部加熱機構62を使用する際には、少なくともその外周面98bに誘導発熱され得る物質を付与した中実または中空のシャフト98が使用される(本実施例においては中実構造)。前記物質としては、後述([0025])する誘導発熱原理による熱供給を効率的に実施すべく、鉄等の磁性体が採用される。この他、得るべき樹脂ロールRを軽量性にする必要がある場合等には、軽量なABS樹脂をシャフト98の本体として採用すると共に、シャフト外周面98bとして誘導発熱され得る、例えばメッキ等による金属薄片を付与するようにしてもよい。このように誘導発熱され得る物質をシャフト外周面98bに備えていれば、シャフト本体の材質としてはステンレス、ガラス、セメント或いはPOM(ポリオキシメチレン)またはPES(ポリエーテルサルホン)等の各種樹脂が採用可能である。
【0021】
前記シャフト98の両端部98a,98aには、前記長尺二重円筒体90の内径寸法に略等しい外径寸法に設定され、シリコーンゴム等の非磁性体を材質とした位置決め部材99,99が着脱可能に装着されている(図2または図3参照)。前記位置決め部材99としては、アルミニウム等の非磁性体も好適に使用される。前記位置決め部材99,99は、前記シャフト98の中心軸線を、前記長尺二重円筒体90(得るべき樹脂ロールR)の中心軸線に沿って供給するためのものである。また、前記位置決め部材99,99を装着することで、前記流動性樹脂原料Mを反応・硬化させて得られる樹脂ロール長尺物LRを内包した長尺二重円筒体90を、サンドイッチコンベアとして機能する前記ロール長尺物引張装置70([0028]に後述)により引張り移送する際に、該樹脂ロール長尺物LRの過度の圧縮変形を抑制可能である。なお、図12に示すように、複数の前記シャフト98を、前記位置決め部材99で順次連結して、前記第1シート92の上方開口領域から連続的に供給することも可能である。
【0022】
(成形パイプについて)
前記シート製筒装置30の下流側には、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸させて筒状に形成した複数の成形パイプ20が直線的に配設され、該シート製筒装置30で成形された前記長尺二重円筒体90の通過を許容し得るようになっている。また、前記成形パイプ20は、図8(b)に示すように、前記加熱装置60における各加熱機構62,64,66([0025]に後述)の内部に延在すると共に、基本的に各加熱機構62,64,66に対応的に配設されている。そして流動性樹脂原料Mおよびシャフト98を内包した前記長尺二重円筒体90を、前記加熱装置60からの加熱作用を受けつつ移送をなし得るよう構成されている。なお、前記成形パイプ20の材質は実施例の物に限られず、前記流動性樹脂原料Mより誘電損失の小さい誘電体が好適に採用される。
【0023】
(ガイドシートについて)
前記成形パイプ20の内周面20aには、該内周面20aに接触しながら移送される前記第1シート92および第2シート94との間の摩擦を低減するガイドシート76が、該成形パイプ20の長手方向に沿って延在している。前記ガイドシート76には、使用する前記流動性樹脂原料Mの種類等により長尺二重円筒体90と内周面20aとの間に摩擦力が発生するが、該長尺二重円筒体90と内周面20aとの間に介在することで該摩擦力を低減して、該長尺二重円筒体90の移送を容易にする役割と、前記両シート92,94により包囲されて流動状態にある流動性樹脂原料Mが外部に漏洩した場合に、該漏洩による弊害を軽微な程度に抑制する役割とを有している。従って前記ガイドシート76は、少なくとも前記流動性樹脂原料Mが漏洩する可能性がある成形パイプ20における部位に配置される必要があるが、交換時の容易性を確保するために、最上流から最下流に至る該成形パイプ20の全長に亘って連続的に設けることが望ましい。この点を考慮して本実施例では、前記ガイドシート76の基点および終点を夫々成形パイプ20の最上流および最下流に位置させて、該パイプ20の全長に亘ってパイプ内周面20aに延在させてある。また前記基点においてガイドシート76をガイドシート供給機構22から連続的に導出し、その終点において該ガイドシート76をガイドシート回収機構23によりロール状に巻き取るようにして、必要に応じて成形パイプ20内のガイドシート76を交換可能としてある。また前記ガイドシート76の材質等としては、前記加熱装置60による加熱と摩擦低減性とを考慮し、アラミド繊維を主体とし、これを所要のシート状に織り上げてフッ素樹脂またはシリコーン樹脂等をコートした長尺物が好適に使用される。前記ガイドシート76の主体としては、アラミド繊維の他、アラミド紙、ポリミドフィルムまたはPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム等が採用可能である。前記成形パイプ20の長さおよび内径並びに必要とされる耐熱性等の要素から、その内周面20aに対するフッ素樹脂またはシリコーン樹脂等を直接的に付与する低摩擦化加工は困難となる場合がある。このような場合において、前記ガイドシート76の存在は、非常に簡便かつ有効な低摩擦化加工の代替手段である。
【0024】
(加熱装置について)
前記加熱装置60は、前記シート製筒装置30の下流側に配設されて、前記長尺二重円筒体90に内包されて移送される流動性樹脂原料Mに、反応・硬化に必要な熱量を供給するものである。図8(b)に示すように、前記加熱装置60は、誘導発熱原理を利用して前記流動性樹脂原料Mを加熱する内部加熱機構62、外部加熱機構64および予備加熱機構68と、誘電発熱原理を利用して流動性樹脂原料Mを加熱する中間加熱機構66とから基本的に構成されている。そして上流側から下流側に向けて、前記内部加熱機構62、外部加熱機構64、予備加熱機構68、中間加熱機構66の順で配設されている。ここで、前記誘導発熱原理は、前記成形パイプ20に巻回した誘導コイル63に概ね50Hz〜40MHzの交流電流を流すことで、その磁束中に存在する磁性体に誘導電流を生起させて、該磁性体を自己発熱させるものである。誘電発熱原理は、成形パイプ20を挟んで対向的に配置した一対の電極67,67に概ね350KHz〜40MHzの交流電流を印加し、発生する電界中に存在する被加熱物(誘電体)の分子運動を活性化させて自己発熱させるものである。
【0025】
前記内部加熱機構62および予備加熱機構68では、前記成形パイプ20内を移送される前記流動性樹脂原料Mの中心に位置した前記シャフト98を、誘導発熱原理により自己発熱させて、該シャフト98を取巻く流動性樹脂原料Mの内周領域IPを選択的に反応・硬化させる(図9参照)。また、前記外部加熱機構64では、筒状体64a(図8(b)参照)が成形パイプ20の外周部に配設され、前記誘導発熱原理により該筒状体64aを自己発熱させて、この熱により成形パイプ20の近傍に位置する流動性樹脂原料Mの外周領域OPを選択的に反応・硬化させるようになっている(図9参照)。従って前記筒状体64aとしては、熱伝導効率の良好な磁性体、例えば金属が好適に採用される。また前記筒状体4aを用いず、対応部分の成形パイプ20を磁性体として、該成形パイプ20を誘導発熱させるようにしてもよい。この他、前記筒状体64aまたは成形パイプ20は、外部に対して露出した形となっているので、伝熱ヒータを巻き付けた所謂伝導加熱による加熱を行なうようにしてもよい。
【0026】
また、前記中間加熱機構66では、前記流動性樹脂原料Mにおける前記内周領域IPおよび外周領域OPに挟まれた中間領域MP(図9参照)を誘電発熱原理により自己発熱させ、この熱により該中間領域MPの流動性樹脂原料Mを選択的に反応・硬化させるようになっている。これら一連の加熱機構62,64,66を使用して、前記長尺二重円筒体90に内包された流動性樹脂原料Mをその移送中に反応・硬化させることで、前記成形パイプ20の内径と略同等の外径を有する樹脂ロール長尺物LRが該長尺二重円筒体90内に得られる。なお、前記加熱装置60の下流側には、前記各加熱機構62,64,66により加熱された後の前記樹脂ロール長尺物LRの熱養生を行なう保温機構69が設けられている。前記保温機構69は断熱材69aで囲繞され、少なくとも前記各加熱機構62、64および66により与えられた熱を維持するよう構成してある。なお、前記断熱材69aに換えて所定の加熱手段を使用することで積極的に加熱し保温効果を得るよう構成することもできる。
【0027】
(ロール長尺物引張装置について)
前記ロール長尺物引張装置70は、前記加熱装置60および成形パイプ20の下流側に配設されて、ここまでの各装置を経ることで得られた樹脂ロール長尺物LRを内包する前記長尺二重円筒体90を制御下に連続して引っ張り移送する一対のベルト70a,70aからなるサンドイッチコンベアから構成されている(図11参照)。ここで、前記一対のベルト70a,70aは、水平方向かつ同期的に回転可能に構成されると共に、その平坦な外周面が夫々対向するよう配置され、両ベルト70a,70aの間に樹脂ロール長尺物LRが内部に形成された長尺二重円筒体90が挟み込まれるようになっている。すなわち、前記各ベルト70aを、所要の制御下において所定速度で連続回転させることにより、前述の如く各シート92,94が所定方向(シート供給装置24からシート剥離装置72に向かう方向)に連続的に供給されるようになっている。従って、前記加熱装置60において反応・硬化された樹脂ロール長尺物LRを内包している前記長尺二重円筒体90は、前記成形パイプ20を通過した後に前記両ベルト70a,70aの間に挟持された状態で、順次下流側に所定速度で移送される。
【0028】
(シート剥離装置について)
前記シート剥離装置72は、図2に示すように、前記ロール長尺物引張装置70の下流側に回転可能に枢支されており、図示しない駆動源の駆動により回転させることで、該ロール長尺物引張装置70の下流側に移送された長尺二重円筒体90を構成する第1シート92および第2シート94を夫々シート状に剥離すると共に、巻き取り回収するようになっている。従って、前記シート剥離装置72は、前記第1シート92を巻き取り回収するシート回収機構72aと、前記第2シート94を巻き取り回収する第2シート回収機構72bとから構成され、各シート92,94を夫々独立して回収し得るよう構成されている。すなわち、巻き取り回収した各シート92,94の再利用が可能となっている。また、前記シート剥離装置72の巻き取り速度は、前記ロール長尺物引張装置70による移送速度と同等に設定され、各シート92,94が弛みを生じないようになっている。
【0029】
(ロール切断装置について)
前記シート剥離装置72の下流側には、所定間隔で往復移動するカッター74aと、前記長尺二重円筒体90から各シート92,94を剥離・回収した樹脂ロール長尺物LRを載置可能な台部74bとを備え、該樹脂ロール長尺物LRをカッター74aにより所要長に切断するロール切断装置74が配設されている。前記ロール切断装置74による切断速度は、前記ロール長尺物引張装置70により引張り移送される樹脂ロール長尺物LRの移送速度に対応する等により、前記樹脂ロール長尺物LR内のシャフト98を一単位として切断し得るよう設定される。すなわち、切断して得られる樹脂ロールRの夫々には、1本のシャフト98が内蔵されることになる。また切断後の樹脂ロールRは、前記ロール切断装置74の下流側に設けた後加工ステーション78において外周面の研削等の後加工がなされる。この後加工ステーション78で施される後加工としては、前記樹脂ロールRの両端部加工、すなわち前記位置決め部材99,99の取り外しおよび両端部の切断や、該樹脂ロールRの外周面の研削による高真円度の達成またはセルの露出等がなされる。
【0030】
【各製造工程について】
次に、実施例に係る樹脂ロールの製造方法につき、該樹脂ロールの製造装置との関係で説明する。なお、製造工程の説明において、前記製造装置10は既に稼働中であり、前記ロール長尺物引張装置70およびロール切断装置72は稼働状態にあるものとする。
【0031】
(シート供給工程について)
前記シート供給装置24によって実施されるシート供給工程S1は、前記製造装置10の所要位置に得るべき樹脂ロールRの外形を規制し、かつ流動性樹脂原料Mの移送手段となる前記第1シート92および第2シート94を供給する工程である。実際には、前述した如く、前記ロール長尺物引張装置70の引張力によって、前記第1シート92および第2シート94の供給、すなわち該ロール長尺物引張装置70のベルト70a,70aが回転して、前記シート供給装置24に夫々巻き付けられた前記第1および第2シート92,94が上流から下流に向かって連続的に供給される。
【0032】
(製筒工程・材料供給工程について)
前記シート製筒装置30、原料注入装置50およびシャフト供給装置52によって実施される製筒工程・材料供給工程S2は、該シート製筒装置30によって連続的になされる製筒段階S21と、該製筒段階S21の進行中において原料注入装置50およびシャフト供給装置52によってなされる材料供給段階S22とからなる。前記製筒段階S21においては、前記シート製筒装置30に移送された前記両シート92,94が、前記板状部材32に形成した第1および第2スリット34,36を通過することでなされ、該両シート92,94は上方に開口するU字状に徐々に成形される。そして、前記U字状に上方へ開口した前記両シート92,94は、供給された前記流動性樹脂原料Mおよびシャフト98と伴に下流側に移送される際に、前記板状部材32の第1および第2スリット34,36を順次通過して、その長手方向に沿った両端縁92a,94aが上方で重なり合う長尺二重円筒体90に最終的に成形される。前記材料供給段階S22は、前記製筒段階S21の途上で実施され、前記両シート92,94は上方に開口するU字状に徐々に成形されている際に、この上方開口領域を介して前記原料注入装置50から前記流動性樹脂原料Mが注入され、その後にシャフト供給装置52から前記シャフト98が供給される。
【0033】
従って、前記シャフト98は、前記長尺二重円筒体90内に、所定間隔毎に配置された状態で移送されるようになる。また、前記シャフト98の両端部98a,98aに位置決め部材99,99を取付けてあるため、該シャフト98を供給するだけで、前記長尺二重円筒体90の中心軸線上に当該シャフト98を容易に整列して配置させることが可能となっている。また前記第2シート94は、前述の如く、前記第1シート92より幅寸法を大きく設定してあるため、図10(a),(b)に示すように、該第1シート92の重合部92bからの流動性樹脂原料Mの外部漏洩を該第2シート94により防止し得る。更に、前記シート製筒装置30の下流に配設した前記封止装置80により、漏洩した流動性樹脂原料Mの反応・硬化を促進させるため、両シート92,94の重合部92b,94bが該反応・硬化した原料Mによりシールされて、以後の漏洩を確実に防止し得る。なお、前記長尺二重円筒体90と成形パイプ20との間には、更に前記ガイドシート76が介在しているため、前記該漏洩による弊害を軽微な程度に抑制し得る。また前記ガイドシート76は、前記ガイドシート回収機構23により回収することで、新たなシート76が前記ガイドシート供給機構22から導出・供給され、従ってその表面に前記流動性樹脂原料Mが付着した場合の交換を容易に行ない得る。
【0034】
(加熱工程について)
前記加熱装置60によって実施される加熱工程S3は、前記流動性樹脂原料Mを内包した長尺二重円筒体90に対して、順次誘導発熱原理および誘電発熱原理により熱を供給して樹脂ロール長尺物LRとする工程である。前記シート製筒装置30において成形された前記長尺二重円筒体90は、前記流動性樹脂原料Mおよびシャフト98を内包した状態で前記成形パイプ20内を通って前記加熱装置60に移送される。ここで、前記内部加熱機構62における誘導発熱原理により前記シャフト98の外周面98bが自己発熱して、流動性樹脂原料Mにおける該シャフト98を囲繞している内周領域IPの反応・硬化がなされる。このように、前記シャフト98を加熱させてその近傍に位置する流動性樹脂原料Mを反応・硬化させることで、樹脂ロールRそのものとなる樹脂発泡体とシャフト98とを効率的に接着(前記流動性樹脂原料Mによっては密着)させることが可能となる。次いで、外部加熱機構64に移送されると、前記成形パイプ20に対して同心的に設けられている筒状体64aが誘導発熱原理により自己発熱し、流動性樹脂原料Mにおける外周領域OPが反応・硬化される。すなわち、この時点においては、流動性樹脂原料Mの内周領域IPおよび外周領域OPが反応・硬化される。
【0035】
前記流動性樹脂原料Mの外周領域OPを反応・硬化させた長尺二重円筒体90を前記予備加熱機構68に移送して、誘導発熱原理により前記シャフト98の再加熱をした後に、誘電発熱原理により該樹脂流動性樹脂原料Mの中間領域MPを自己発熱させて反応・硬化を行なう。ところで、前記流動性樹脂原料Mを反応・硬化させて得られる樹脂ロールRを構成する樹脂発泡体の断熱性は高いため、該原料Mにおける内周領域IPおよび外周領域OPが、夫々前記内部加熱機構62および外部加熱機構64により反応・硬化された後は、該領域IP,OPに挟まれた中間領域MPを迅速かつ効率的に加熱することは困難である。しかし前記誘電発熱原理を利用すれば、中間領域MPの流動性樹脂原料Mに電場を与えて分子運動による自己発熱をさせることができ、断熱材として作用する樹脂発泡体に囲まれた中間領域MPの迅速かつ均質な加熱が可能となる。また前記誘電発熱原理は、全体のエネルギー準位を均一にするように一定確率的(ランダム)で平均的にエネルギーが供給されるため加熱均一性も高い。
【0036】
すなわち、前記内部加熱機構62、外部加熱機構64および中間部加熱機構66の順序で配置されており、この順序の配置とすることで以下の効果が得られる。
▲1▼前記各領域IP、OPおよびMPにおける反応・硬化の時間的なズレは、得るべき樹脂ロールRにおいて半径方向における、例えば硬度の差違といった物性差の原因となる。しかし、先に前記各領域IPおよびOPを得るべく制御された熱を加え、該各領域IP,OPとして、最小限の厚さだけを反応・硬化させた後に、残留した流動性樹脂原料Mの大部分を一度に誘電発熱原理によって反応・硬化させることで、前記物性差は最小限に抑制され、その結果、均質な物性を有する良好な樹脂ロールRを製造可能となる。
▲2▼流動性のある流動性樹脂原料Mの均質性が最も高い状態、すなわち該原料Mの全てが流動物である状態下において、前記内周領域IPの流動性樹脂原料Mの反応・硬化を最初に実施することで、得るべき樹脂ロールRに必要とされるロール部分とシャフト98との確実かつ強固な接合を実現し得る。
▲3▼前記流動性樹脂原料Mの大部分が反応・硬化されていない状態、すなわち加熱および該反応による体積膨張の影響を受ける前に、前記外周領域OPの流動性樹脂原料Mの反応・硬化を実施することで、前記長尺二重円筒体90外への該流動性樹脂原料Mの効果的な漏洩防止をなし得る。
【0037】
また、前記流動性樹脂原料Mにおける各領域IP、OPおよびMPは直接加熱されることとなるため、該流動性樹脂原料Mの反応・硬化によって形成されるウレタン発泡体(本実施例の場合)による断熱作用による弊害が生じず、その結果、必要とされる熱量の供給に要する時間、すなわち製造時間を短縮し得る。なお、前記各加熱機構62、64および66の配列順序は、殊にこの順序に限定されるものではない。なお、前記内周領域IPの加熱については、前記内部加熱機構62を省略してシャフト98を前記流動性樹脂原料Rが反応を開始しない程度に予熱した状態で供給し、後述の中間加熱機構66による加熱により、前記中間領域MPと共に加熱するようにしてもよい。
【0038】
なお、前記中間加熱機構66に移送されるに先立ち、予備加熱機構68による前記シャフト98の再加熱がなされるため、中間領域MPの前記流動性樹脂原料Mが自己発熱した際の熱量がシャフト98へ吸収されるのを効率的に抑制し、該流動性樹脂原料Mの反応・硬化を促進させることが可能である。また、前記各加熱機構62,64,66を移送する段階で形成され、長尺二重円筒体90に内包された樹脂ロール長尺物LRは、前記保温機構69を通過することにより充分な熱養生を実施されるので、これにより充分な反応・硬化がなされる。すなわち前記保温機構69は、所要長に亘って断熱材69aで前記成形パイプ20を囲繞してあり、該保温機構69内を移送される樹脂ロール長尺物LRに前記各加熱機構62,64,66で付与した熱エネルギーを保持可能としている。すなわち、前記流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要な反応温度および反応時間が確保し得るため、確実かつ良好な樹脂ロール長尺物LRが得られるようになる。
【0039】
また、前記流動性樹脂原料Mの反応・硬化が進行すると、該流動性樹脂原料Mの体積増加(膨張)によって成形パイプ20の内周面20aを押圧する状態となり、該パイプ20内の長尺二重円筒体90の移送が阻害されることになる。しかし、本発明においては、前記ガイドシート76を該成形パイプ20の長手方向に延在させつつ、その内周面20aを全て覆うようにすることで、前記長尺二重円筒体90と該内周面20aとの摩擦抵抗を低減させ、該長尺二重円筒体90の移送を容易化し得る。
【0040】
(剥離工程について)
前記剥離工程S4は、前記シート剥離装置72により前記加熱装置60から移送される樹脂ロールRを内包する長尺二重円筒体90から、該長尺二重円筒体90を剥離させる工程である。そして本実施例においては、前記長尺二重円筒体90は第1シート92および第2シート94として夫々独立して剥離され、順次シート状にされると共にロール形状に巻き取り回収される。このように、前記第1シート92および第2シート94を剥離回収することで、樹脂ロールRの製造運転に各シート92,94を再度利用することが可能となり、製造コスト低減を図り得ると共に廃棄物を減少させることができる。
【0041】
(切断工程および後処理工程について)
そして、前記樹脂ロール長尺物LRから長尺二重円筒体90(第1シート92および第2シート94)を剥離回収した後に、前記ロール切断装置74により該樹脂ロール長尺物LRを切断する切断工程S5を経ることで、所要長の樹脂ロールRが得られる。ここで前記ロール切断装置74は、シャフト98の存在しない部分を切断するよう設定されているため、切断して得られる全ての樹脂ロールRはその内部に該シャフト98が備えられることになる。
【0042】
そして、前記ロール切断装置74の下流側に配置される前記後加工ステーション78において、前記樹脂ロールRにおける外周面を研削するシャフト98の両端部98a,98aに取付けられている位置決め部材99,99の取り外し等の各種後処理を実施する後処理工程が実施されることで所要の外形を有する樹脂ロールRが得られる。このように、後加工を施すことで前記長尺二重円筒体90(第1シート92)における重合部92bの転写により発生する微小な段差は、前記外周面研削により容易に除去され、製品外観や性能が低下を防止し得ると共に、樹脂ロールRの真円度を向上させ、セル(気孔)を外周面に露出させることができる。
【0043】
このように、前記製造装置10では、連続的に一方向に供給する両シート92,94に流動性樹脂原料Mおよびシャフト98を注入・供給し、該流動性樹脂原料Mを反応・硬化させることで、シャフトを備えた樹脂ロールRの良好な連続製造が可能となり、連続生産による製造の効率化および製造コストの低減を図り得る。また前記流動性樹脂原料Mを、内周領域IP、外周領域OP、中間領域MPの各領域に応じて誘導発熱原理および誘電発熱原理により加熱するようにしたので、該流動性樹脂原料Mの反応・硬化の部位による、例えば硬度等の物性の差違が抑制され、均質な樹脂ロールRを製造し得るようになる。更に、流動性樹脂原料Mの各領域IP,OP,MPを直接加熱するようにしたので、該流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要とされる熱量の供給に要する時間、すなわち製造時間を短縮し得る。
【0044】
【変更例】
なお、樹脂ロールの製造方法を実施する製造装置としては、前述の実施例のものに限られず、各種の変更が可能である。例えば、前記第1シート92および第2シート94を長尺二重円筒体90に成形するタイミングについては、流動性樹脂原料Mの注入およびシャフト98の供給を行なった後であれば、所要のタイミングで行なうことが可能である。また、前記シャフト98に換えて、所謂ダミーシャフトを使用して、一旦シャフト付き樹脂ロールの製造をなし、その後に該ダミーシャフトを引き抜いて中空円筒状の樹脂ロールになし、その後に必要に応じて所要のシャフト部材を挿入するようにしてもよい。この場合、前記ダミーシャフトの外周面には、反応・硬化した流動性樹脂原料Mからの離形性を高めるべく、所要の離形処理を施すのが好ましい。このようにすることで、後述する後加工ステーション78において個々にシャフト98を対応的に挿入する方法が採用され、例えば軸方向に短尺の樹脂ローラを効率的に製造し得る。また、前記ダミーシャフトの存在により、該ダミーシャフトと前記流動性樹脂原料Mとの境界面には積極的にスキン層が形成される。そして前記スキン層の存在により、前記シャフト98を樹脂ロールRへ装着する際の圧入性および接着性等の加工性が向上する。なお前記ダミーシャフトとして、前記樹脂ロールRに挿入されるシャフト98と略同一な直径および柔軟性を備える長尺部材を使用してもよい。この長尺のダミーシャフトは、例えば前記流動性樹脂原料Mの注入前には前記板状部材32に別途該ダミーシャフトを支持し得るよう設けられた孔部と、注入後には別途設けられた支持部材とによって位置決めされ、これにより略中心軸線に該長尺のダミーシャフトを備えた該樹脂ロール長尺物LRが得られる。
【0045】
また、前記各シート92,94を長尺二重円筒体90に成形する板状部材32の配設枚数および配設箇所や該板状部材32に穿設するスリット34の形状を変更することで、該長尺二重円筒体90に成形するまでに要する長さを変更することが可能となり、装置全体の大きさ等を勘案して決定することができる。なお、前記各長尺シート92,94を円筒体に成形する長尺シート製筒装置30の規制部材は、実施例の板状部材32に限られず、例えば図13に示すように、前記長尺二重円筒体90の外側をなす第2シート94の進行方向に対して略垂直に配置された複数のローラ102を備える長尺シート製筒装置100を採用することも可能である。前記複数のローラ102は、前記第2シート94を得るべき長尺円筒体95へと成形するように、その配置位置に応じて、すなわち該第2シート94の長尺円筒体85への成形の度合いに応じて配置角度並びに配置数等が適宜設定される。ここでは外側に位置する前記第2シート94の成形を行なうよう記載しているが、該第2シート94の内側に存在し、かつ幅の狭い前記第1シート92は該第2シート94の長尺円筒体95への成形に伴って必然的に長尺円筒体93に成形されるため殊に問題は生じない。この他規制部材としては、、必要とされる前記第2スリット36の各部位における形状を連続的に有するようにしたブロック体からなる長尺シート製筒装置や、前記ローラ102を所要長のコンベアに換えた構成としてもよい。
【0046】
更に、実施例では各長尺シート92,94の両端縁92a,92bを重ね合わせるようにしたが、第1シート92の両端縁92a,92aを夫々近接させると共に、該第1シート92の両端縁92a,92aの間に第2シート94が位置するよう構成することもできる。更にまた、前記第1シート92の幅寸法より大きな第2シート94を使用して、長尺円筒体93と長尺円筒体95とから長尺二重円筒体90を形成するようにしたが、図18または図19に示すように該第2シート94の幅寸法を第1シート92の幅寸法より小さくして、第1シート92の両端縁92a,92a間または重合部92bを第2シート94により被覆することでも、前記樹脂ロール長尺物LR(樹脂ロールR)を製造することができる。なお、実施例では、前記第1シート92および第2シート94のみを使用して2重構造の長尺二重円筒体90を成形するようにしたが、例えばガイドシート76を該両シート92,94と伴に移送するよう構成し、シート製筒装置30において3重構造の長尺円筒体に成形して、樹脂ロールRを製造することも可能である。また、前記長尺二重円筒体90と成形パイプ20との間にガイドシート76を介在させて該長尺二重円筒体90と成形パイプ20との摩擦抵抗を低減するようにしたが、当該成形パイプ20の内周面20aに対するフッ素樹脂またはシリコーン樹脂等を直接的に付与することも可能である。
【0047】
そして、加熱装置60における各加熱機構62,64,66等の配置順序は、実施例のものに限定されず、流動性樹脂原料Mの内周領域IPおよび外周領域OPの何れかを反応・硬化させた後に、中間領域MPを反応・硬化させるよう構成されていれば、所要に応じた変更は可能である。また、誘導発熱原理を利用した外部加熱機構64により、前記流動性樹脂原料Mの外周領域OPを加熱するよう構成したが、図14に示す如く、該外部加熱機構64として電熱ヒータ65等の伝導加熱を採用してもよい。また、前記内周領域IPの加熱については、前記内部加熱機構62を省略してシャフト98を前記流動性樹脂原料Rが反応を開始しない程度に予熱した状態で供給し、後述の中間加熱機構66による加熱により、前記中間領域MPと共に実施するようにしてもよい。なお、前記シャフト98が比較的高温を維持した状態で、長尺二重円筒体90を中間加熱機構66に移送し得る場合には、予備加熱機構68による予備加熱を省略することも可能である。
【0048】
また、前記長尺二重円筒体90(樹脂ロール長尺物LR)を引張り移送するロール長尺物引張装置70として、ベルト70aの表面が平坦なサンドイッチコンベアを採用したが、これに換えて、該長尺二重円筒体90の挟持部位を該長尺二重円筒体90に対応させて円弧状に凹設したサンドイッチコンベアを使用するようにしてもよい(図15参照)。この場合、前記樹脂ロール長尺物LRに対して、強制的な挟持を行なうことなく、また前記長尺二重円筒体90との接触面積も拡大するため、該長尺物LRの変形を排除すると共に、良好な引張り移送を行ない得るようになる。更に、前記ロール長尺物引張装置70を単独で設けるようにしたが、シート剥離装置72およびガイドシート回収機構23に駆動源を用意し、これにより巻き取り回収することで長尺二重円筒体90を引張り移送させることも可能である。
【0049】
【第2実施例】
次に、第2実施例に係る樹脂ロールの製造方法につき説明する。なお、第2実施例における前記樹脂ロールの製造装置の構成は基本的に前述の実施例のものと同一であり、同一の部材については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0050】
この第2実施例では、図16または図17に示すように、流動性樹脂原料Mおよびシャフト98は、前記第1シート92のみで包囲されると共に、外形規制されるよう構成される。この場合には、シート製筒装置110において、前記第1シート9の長手方向に沿った両端縁92a,92aを重ね合わせ、1重の長尺円筒体93(前述の実施例における長尺円筒体93と同一)に成形するようになっている。従って、前記ロール長尺物引張装置70により第1シート92を引張ることで連続的に供給し、該第1シート92における両端縁92aが上方で重なり合う長尺円筒体93に徐々に成形され、該長尺円筒体93を成形する過程において、第1シート92が上方に開口する上方開口領域から前記流動性樹脂原料Mおよびシャフト98を注入・供給する。次いで前記長尺円筒体93に内包された状態で前記成形パイプ20を移送される前記流動性樹脂原料Mに、前記加熱装置60において少なくとも誘電発熱原理および誘導発熱原理によりシャフト98の外周面98bを発熱させて流動性樹脂原料Mにのける該シャフト98を囲繞する内周領域IPを加熱を施し、反応・硬化させて樹脂ロール長尺物LRを成形する。更にその後に、前記樹脂ロール長尺物LRの外周面から、シート剥離装置72により前記第1シート92を剥離すると共に、該樹脂ロール長尺物LRを前記ロール切断装置74によりシャフト98を一単位として切断することで、シャフト付き樹脂ロールRが得られる。
【0051】
すなわち、第2実施例に係るシャフト付き樹脂ロールを製造する製造装置を使用した場合でも、前述の実施例と同様の作用効果を得ることが可能である。また、前記シート製筒装置110を使用して長尺円筒体93を成形するに際して、実施例と異なり前記第2シート94が使用しないため、図16に示すように前記板状部材32に第1シート92が通過する第1スリット34のみを穿設すればよい。この場合、第2シート94に関する各装置・機構等が不必要となるため、初期投資コストおよび装置運用コストを低減させる効果を奏する。その一方で、前記長尺円筒体93に掛かる単位当たりの力が大きくなるため、前記ロール長尺物引張装置70の引張力に対する前記第1シート92の引張強度について留意する必要がある。
【0052】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係る樹脂ロールの製造方法によれば、所定方向に連続的に供給する長尺シートを用いて流動性樹脂原料およびシャフトを移送すると伴に、少なくとも誘電発熱原理により該流動性樹脂原料を加熱して反応・硬化させるようにしたので、連続的にかつ少なくとも軸方向(長手方向)に関して、更には半径方向に関して物性の差違が小さい樹脂ロール長尺物を製造することができる。また、誘電発熱原理を使用することで流動性樹脂原料を加熱するようにしたので、前述の軸方向および半径方向に物性の差違がなく略同一となるシャフト付き樹脂ロールを効率的にかつ短時間で製造し得る効果を奏する。更に前記長尺シートを複数枚重ねて使用することで、前記成形パイプ中を移送する流動性樹脂原料の漏洩等も効率的に防止し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るシャフト付き樹脂ロールの製造方法を概略で示す工程図である。
【図2】本発明の好適な実施例に係るシャフト付き樹脂ロールの製造装置全体を示す概略側面図である。
【図3】実施例に係るシート製筒装置の部分を拡大して示す斜視図である。
【図4】図3に示したシート製筒装置を構成する複数の板状部材における夫々の第1スリットおよび第2スリットの形状を流れに沿って示す説明図である。
【図5】図3に示したシート製筒装置で実施される流動性樹脂原料の注入、シャフトの供給並びに第1シートおよび第2シートの各長尺円筒体への夫々の成形を段階的に示す工程図である。
【図6】実施例に係る封止装置の部分を拡大して示す斜視図である。
【図7】長尺シートの長手方向に沿った両端縁が重ね合わされた際に、図6に示した封止装置で実施される接合部分の流動性樹脂原料の反応・硬化の様子を示した断面図である。
【図8】実施例に係る加熱装置の部分を拡大して示す断面図(図8(a))と、側面図(図8(b))である。
【図9】実施例に係る加熱装置により実施される各加熱方式で加熱され得る各領域を示す断面図である。
【図10】長尺シートの長手方向に沿った両端縁が重ね合わされると共に、流動性樹脂原料が漏洩した際に、図6に示した封止装置で実施される接合部分の流動性樹脂原料の反応・硬化の様子を示した断面図である。
【図11】実施例に係るロール長尺物引張装置を拡大して示す斜視図である。
【図12】実施例に係る長尺シート製筒装置を使用し、シャフトを連続的に供給する状態を示す概略斜視図である。
【図13】ローラを用いて第1シートおよび第2シートから長尺二重円筒体をえる長尺シート製筒装置の概略を示す斜視図および製筒段階における断面図である。
【図14】外部加熱機構として伝導加熱を利用した場合を示す概略図である。
【図15】ロール長尺物引張装置として、その形状が得られる樹脂ロール長尺物に対応したサンドイッチコンベアを使用した場合を示す斜視図である。
【図16】第2実施例に係る第1シートのみを用いて樹脂ロールを製造するシート製筒装置を拡大して示す斜視図である。
【図17】第2実施例に係る第1シートの長手方向に沿った両端縁の接合部分を示す概略断面図である。
【図18】変更例に係るシート製筒装置を拡大して示す斜視図である。
【図19】変更例に係る第1シートおよび第2シートの長手方向に沿った両端縁の接合部分を示す概略断面図である。
【図20】従来の技術に係る樹脂ロールの製造において、流動性樹脂原料の発泡に使用するロール成形金型を示す平面図である。
【図21】図20に示すロール成形金型に樹脂ロールが成形された際の内部状態を示す断面図である。
【図22】従来の技術に係る樹脂ロールの製造において、ロール成形金型による樹脂ロール製造工程を概略的に示す構成図である。
【図23】図20に示すロール成形金型に流動性樹脂原料を注入する際の、該原料の状態を示す状態図である。
【符号の説明】
20 成形パイプ
32 板状部材(規制部材)
34 スリット(第1スリット)
36 第2スリット
90 長尺二重円筒体
92 第1シート(長尺シート、第1長尺シート)
92a 両端縁
93 長尺円筒体(内側の第1長尺円筒体)
94 第2シート(第2長尺シート)
94a 両端縁
95 外側の第2長尺円筒体
102 ローラ(規制部材)
M 流動性樹脂原料
LR 樹脂ロール長尺物
IP 内周領域
MP 中間領域
OP 外周領域
Claims (19)
- 長尺シート(92)を所定方向に供給し、
前記長尺シート(92)を、その長手方向に沿った両端縁(92a,92a)を上方で近接させて徐々に成形して長尺円筒体(93)に成形し、
前記長尺円筒体(93)に成形する過程で、前記長尺シート(92)の上方開口領域に対して、流動性樹脂原料(M)を注入すると共に、ダミーシャフトを、得るべき樹脂ロール長尺物(LR)の略中心軸線に沿うように供給し、
前記長尺円筒体(93)に内包された状態で移送される前記流動性樹脂原料(M)を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物(LR)を形成するようにした
ことを特徴とする樹脂ロールの製造方法。 - 前記流動性樹脂原料(M)は、前記長尺円筒体(93)に内包された状態で所要数の成形パイプ(20)内を移送されつつ加熱して反応・硬化される請求項1記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記長尺シート(92)は、該長尺シート(92)の移送過程に設けた規制部材(32,102)により徐々に長尺円筒体(93)に成形されて、前記成形パイプ(20)の内部を通過可能になっている請求項2記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記規制部材は、前記長尺シート(92)の供給方向に沿って所定間隔離間させて配設した板状部材(32)からなり、この板状部材(32)に穿設したスリット(34)に該長尺シート(92)を連続的に通過させることで前記長尺円筒体(93)が成形される請求項3記載の樹脂ロールの製造方法。
- 第1長尺シート(92)を所定方向に供給し、
前記第1長尺シート(92)を徐々に成形して長尺円筒体(93)に成形し、
前記長尺円筒体(93)に成形する過程で、前記第1長尺シート(92)の上方開口領域に対して、流動性樹脂原料(M)を注入すると共に、ダミーシャフトを、得るべき樹脂ロール長尺物(LR)の略中心軸線に沿うように供給し、
少なくとも前記第1長尺シート(92)からの流動性樹脂原料(M)の漏洩を防止するよう第2長尺シート(94)により被覆し、
前記長尺円筒体(93)および第2長尺シート(94)に内包された状態で移送される前記樹脂原料(M)を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物(LR)を形成するようにした
ことを特徴とする樹脂ロールの製造方法。 - 前記流動性樹脂原料(M)は、前記長尺円筒体(93)に内包された状態で所要数の成形パイプ(20)内を移送されつつ加熱して反応・硬化される請求項5記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記第1長尺シート(92)は、該第1長尺シート(92)の移送過程に設けた規制部材(32,102)により徐々に長尺円筒体(93)に成形されて、前記成形パイプ(20)の内部を通過可能になっている請求項5または6記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記規制部材(32,102)は、前記第1長尺シート(92)の供給方向に沿って所定間隔離間させて配設した板状部材(32)からなり、この板状部材(32)に穿設した第1スリット(34)に該第1長尺シート(92)を連続的に通過させることで前記長尺円筒体(93)が成形される請求項7記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記第2長尺シート(94)は、前記第1長尺シート(92)より幅広に設定され、両長尺シート(92,94)は、その移送過程に設けた規制部材(32,102)により内側の第1長尺円筒体(93)および該第1長尺円筒体(93)を被覆する外側の第2長尺円筒体(95)に夫々成形されて、前記成形パイプ(20)の内部を通過可能な長尺二重円筒体(90)を構成する請求項6記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記規制部材(32,102)は、前記第1長尺シート(92)および第2長尺シート(94)の供給方向に沿って所定間隔離間させて配設した板状部材(32)からなり、この板状部材(32)に穿設した第1スリット(34)に該第1長尺シート(92)を連続的に通過させると共に、該板状部材(32)に穿設した第2スリット(36)に該第2長尺シート(94)を連続的に通過させることで、前記長尺二重円筒体(90)の成形がなされる請求項9記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記ダミーシャフトは、少なくとも外周面に誘導発熱され得る素材が使用され、該ダミーシャフトは誘導発熱原理により発熱されて前記流動性樹脂原料(M)の反応・硬化を行なう請求項1〜10の何れか一項に記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記流動性樹脂原料(M)の反応・硬化は、前記誘導発熱原理により発熱される前記ダミーシャフトを囲繞している内周領域(IP)の加熱と、該誘導発熱原理または伝導加熱により発熱させた前記成形パイプ(20)による前記長尺円筒体(93)の内周面に近接する外周領域(OP)の加熱と、該内周領域(IP)および外周領域(OP)に挟まれた中間領域(MP)の前記誘電発熱原理による加熱とにより達成される請求項1〜11の何れか一項に記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記樹脂ロール長尺物(LR)は、所要長に切断される請求項1〜12の何れか一項に記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記樹脂ロール長尺物(LR)は、前記ダミーシャフトの存在しない部分で切断される請求項13記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記ダミーシャフトを引き抜いて中空円筒状となった樹脂ロールに、所要のシャフト部材を挿入するようにした請求項1〜14の何れか一項に記載の樹脂ロールの製造方法。
- 長尺シート(92)を所定方向に供給し、
前記長尺シート(92)を、その長手方向に沿った両端縁(92a,92a)を上方で近接させて徐々に成形して長尺円筒体(93)に成形し、
前記長尺円筒体(93)に成形する過程で、前記長尺シート(92)の上方開口領域に対して、流動性樹脂原料(M)を注入すると共に、シャフト(98)を、得るべき樹脂ロール長尺物(LR)の略中心軸線に沿うように供給し、
前記長尺円筒体(93)に内包された状態で移送される前記流動性樹脂原料(M)を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物(LR)を形成し、
前記樹脂ロール長尺物(LR)を所要長に切断するようにした
ことを特徴とする樹脂ロールの製造方法。 - 第1長尺シート(92)を所定方向に供給し、
前記第1長尺シート(92)を徐々に成形して長尺円筒体(93)に成形し、
前記長尺円筒体(93)に成形する過程で、前記第1長尺シート(92)の上方開口領域に対して、流動性樹脂原料(M)を注入すると共に、シャフト(98)を、得るべき樹脂ロール長尺物(LR)の略中心軸線に沿うように供給し、
少なくとも前記第1長尺シート(92)からの流動性樹脂原料(M)の漏洩を防止するよう第2長尺シート(94)により被覆し、
前記長尺円筒体(93)および第2長尺シート(94)に内包された状態で移送される前記樹脂原料(M)を、少なくとも誘電発熱原理により加熱して反応・硬化させて樹脂ロール長尺物(LR)を形成し、
前記樹脂ロール長尺物(LR)を所要長に切断するようにした
ことを特徴とする樹脂ロールの製造方法。 - 前記樹脂ロール長尺物(LR)は、前記シャフト(98)の存在しない部分で切断される請求項16または17記載の樹脂ロールの製造方法。
- 前記流動性樹脂原料(M)は、前記長尺円筒体(93)に内包された状態で所要数の成形パイプ(20)内を移送されつつ加熱して反応・硬化される請求項16〜18の何れか一項に記載の樹脂ロールの製造方法。
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