JP4324839B2 - ガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えばメカニカルフロス(機械的攪拌)法等により調整された気泡を含む流動性樹脂原料から、少なくとも軸方向(長手方向)における、更には半径方向における硬度等を略同一となし得るようにした樹脂ロールを連続的に製造するに際して、得るべき樹脂ロールの外径に略等しい内径を有してその外径を規制する成形パイプ内に、該成形パイプの製造に係る不具合を回避するべく配設されるガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法に関するものである
【0002】
【従来の技術】
コピー機やファクスその他の事務機器等には、転写ロールや送紙・給紙ロール等の構成部材が配設されている。このロールは、所謂マイクロセル構造を有する高機能ウレタン素材を所要長のロールとして成形し、これに回転支持部材としての軸体を同軸的に挿通配置することで得られるものである。そして前記ロールへの成形に際しては、一般にその原料に対して水や発泡材を添加せずに、乾燥エアーまたは窒素等の不活性の造泡用気体を混合して所要の発泡体を製造する所謂機械的攪拌法(以下、メカニカルフロス法と云う)が好適に採用されている。このメカニカルフロス法を採用することによって得られるロールは、その内部に含まれる気泡の大きさが略同一かつ均質に分散すると共に、その形状の異方性が小さいと云った構造的特徴を有する。このため得られるロールは、例えば印刷用紙等のシート状の被搬送物を給送する際に要求される外周面の押圧力、すなわちニップ圧(ニップ量)が一定となってスリップすることなく給送をなし得る等の優れた利点を有する。
【0003】
従来技術の理解に資するために、以下にメカニカルフロス法によりウレタン発泡体からなる樹脂ロールを製造する方法およびその装置の一例を記載する。ここで得られるロールは、前記造泡用気体と原料とを混合して得られる流動性のある気体混合済み原料(以下、流動性樹脂原料と云う。(ここでは発泡ウレタン樹脂である))Mを、例えば図14〜図17に示すように、得るべき製品の形状に合致するキャビティ218を有する、成形型216内に注入することで成形される。前記成形型216は、複数の独立したキャビティ218を画成する各キャビティ半体220が当接面上に並列状態で凹設された一対の金型半体222を回動可能に軸支したものであって、複数の該成形型216が搬送ラインに沿って並列状態で配設されている。また前記成形型216の所定位置には、前記流動性樹脂原料Mを注入するための注入孔224が、キャビティ218と空間的に連通するよう開設されている。更に前記各キャビティ半体220には、得るべき成形品である発泡した樹脂ロールRの両端部位となる位置から金型半体222の各端部に亘った部位に掛けて断面半円状の溝226が形成されており、該成形型216が開放された際に、この溝226を介して中子228が装着されるようになっている。
【0004】
前記樹脂ロールRを製造するに際しては、前記成形型216を以下のようにして用いる(図16参照)。すなわち、
▲1▼前記樹脂ロールRの製造ラインの所定位置に配置される中子装着位置230に上流側から到来した前記成形型216における一方の金型半体222を回動させ、前記キャビティ半体220を開放させる。
▲2▼この状態で、一方の金型半体222の各キャビティ半体220に、前記溝226を介して中子228を夫々装着する。この中子228自体は、最終製品である前記樹脂ロールRに同心的に挿通配置されるシャフトと同径の外径寸法に設定されると共に、該ロールRの軸方向長さよりも充分に長い寸法に設定された棒状部材であって、当該溝226に装着することで、キャビティ半体220の軸心と整列した状態でその内側面との間に充分な成形用の空間、すなわちキャビティ218を画成する。
【0005】
▲3▼この中子228が装着された前記成形型216は、その一方の金型半体222を回動させることで閉成され、例えば1ブロック分だけ前記製造ラインに沿って下流側の原料注入装置232に移動される。これにより、それまで上流側に位置していた別の成形型216が下流側に搬送され、前記中子装着位置230に到来した時点で、先の成形型216と同様にその一方の金型半体222が開放されて各キャビティ218に中子228が夫々装着される。そしてこの手順が繰り返されることにより、該中子228が装着された成形型216が順次製造ラインに沿って下流側に移送される。
▲4▼製造ライン下流側に搬送された前記成形型216に、前記注入孔224を介して前記流動性樹脂原料Mが注入される。
▲5▼前記流動性樹脂原料Mが注入された成形型216は、製造ラインの更に下流側に設けられているトンネル加熱炉234により加熱される。これにより前記流動性樹脂原料Mは、前記キャビティ218内で反応・硬化し、該キャビティ218の内部輪郭形状を外部輪郭形状とするロールに成形される。前記トンネル加熱炉234は、製造ラインに沿って成形された所要長の加熱炉であって、その内部温度が前記流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要な所要温度に制御・保持されている。
【0006】
▲6▼前記トンネル加熱炉234での加熱による反応・硬化終了後は、前記成形型216は更に下流側に位置する脱型ステーション236に搬送される。この脱型ステーション236において前記成形型216は、一方の前記金型半体222の回動により開放状態となる。この状態において、前記中子228の両端部を前記溝226から離脱させることで、成形品である発泡体の樹脂ロールRをキャビティ半体220から離脱させ、更に該中子228を該ロールRから引き抜くことで成形品が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述した成形型216を使用した樹脂ロールRの製造装置の稼働により、前記キャビティ218の内部で前記流動性樹脂原料Mに熱が加えられ、反応・硬化の終了により所期の樹脂ロールRが得られる。しかしながらこの製造工程によるときは、以下の問題点が指摘される。
▲1▼基本的にバッチ処理であり、連続的な製造、すなわち効率的かつ製造コストを大きく低減させた製造が困難である。
▲2▼前記流動性樹脂原料Mへの加熱は、基本的に外部からしか実施できないため、前記キャビティ218内部に注入された該流動性樹脂原料Mの反応・硬化に部位によるバラツキが生じてしまう。これにより、得るべき樹脂ロールRの物性が不均質となり好適なロールRを製造し得ない。殊に得られる樹脂ロールRをなすウレタン発泡体は良好な断熱体であり、先に反応・硬化した表面部位が断熱体として作用するので、該反応・硬化後の表面部位より更に内側へ熱を効率的に伝達することができなくなる。従って、得られる樹脂ロールRの物性が、その半径方向に亘って大きく不均質となってしまう。
▲3▼そこで前記加熱による弊害を少なくすると共に、前記反応・加熱に必要な時間を短縮するために、前記成形型216および中子228に予熱を施すことも一般的である。この場合、製造工程上、前記成形型216に流動性樹脂原料Mを注入する前に前述の加熱が施されるが、該原料Mは該成形型216の所定部位に設けられた注入孔224(図14および図15参照)から注入されるため、図17に示す如く、該注入孔224近傍の前記流動性樹脂原料Mが最も速く接触する部位から順次反応・硬化が始まってしまう。その結果、該流動性樹脂原料Mの注入経路(この場合、得られる樹脂ロールRの軸方向)に沿って、物性の異なる樹脂ロールRが製造されるという重大な欠点が指摘される。
▲1▼前述の▲2▼および▲3▼で述べた問題を回避する手段として、前記流動性樹脂原料Mを、低温から長い時間を掛けることで該原料M内の温度差を解消しつつ、徐々に加熱する方法が考えられる。しかしこの場合、加熱に過度の時間が必要とされ、またバッチ処理はサイクルタイムが短い方が良いという点からも、実際の工業的量産をなす製造に向かないことは明らかである。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来の技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、得るべき樹脂ロールの外径に略等しい内径を有する成形パイプを使用し、ここに該樹脂ロールの外形状を規制する長尺のシートを用いて流動性樹脂原料を移送しつつ加熱して反応・硬化させることで、連続的にかつ部位により硬度等の差違がなく物性が均一となっている樹脂ロールを製造し得る装置において、該成形パイプ内に挿通される円筒体とされた長尺のシートと、該成形パイプの内表面との間の摩擦性を低減させて良好な製造をなし得るガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本発明に係るガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法は、
得るべき樹脂ロールの外径に略等しい内径を有し、製造ラインの上流側から下流側に向けて直列に配置した所要数の成形パイプ内に、流動性樹脂原料を内部に伴った長尺の円筒体を移送させ、その移送過程において少なくとも誘電発熱原理により前記流動性樹脂原料を反応・硬化させることで樹脂ロール長尺物を製造するに際し、
前記所要数の成形パイプの全長に亘り、該パイプの内周面を全て被覆する低摩擦性を発現するガイドシートを該内周面に沿って配置し、
前記成形パイプの内部に配置した前記ガイドシート内に前記長尺の円筒体を通過させることを特徴とする。
また前述した課題を解決し、所期の目的を好適に達成するため本願の別発明に係るガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法は、
製造ラインの上流側から下流側に向けて直列に配置した所要数の成形パイプ内に、流動性樹脂原料を内部に伴った長尺の円筒体を移送させ、その移送過程において前記流動性樹脂原料を加熱して反応・硬化させることで樹脂ロール長尺物を製造するに際し、
前記所要数の成形パイプの全長に亘り、該パイプの内周面を全て被覆する低摩擦性を発現するガイドシートを該内周面に沿って配置し、
前記成形パイプの内部に配置した前記ガイドシート内に前記長尺の円筒体を通過させることを特徴とする
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。先ず実施例に係るガイドシートの理解に資するべく、該ガイドシートを使用すると共に、2枚の長尺のシートを用いてシャフトを備える樹脂ロールを好適に製造する製造装置にガイドシートを配設した例を挙げて以下に説明する。なお、本発明において長手方向に沿った両端縁が近接するとは、該両端縁同士が接触した状態を含むものとする。また円筒体とは、真円に近い形状から楕円形等も含み、更に角部を面取りしたような多角形形状等も含む趣旨である。
【0011】
(ガイドシートを備える樹脂ロールの製造装置の全体構成について)
本実施例に係るガイドシート76を使用し、例えばメカニカルフロス法により調整された流動性樹脂原料Mを使用して所要のロール(以下、樹脂ロールRと云う)を製造する製造装置10は、図1に示す如く、基本的に直線的なライン状に構成され、該製造装置10の上流側から下流側に向けて直列に複数配置した所要数の成形パイプ20と、その最上流に配設され、該ラインに沿って第1長尺シート(以下、第1シートと云う)92および該第1シート92より幅広の第2長尺シート(以下、第2シートと云う)94を連続的に供給する長尺シート供給装置24と、この下流側に配設され、該両シート92および94を徐々に筒状に成形して得られる内側の第1長尺円筒体(以下、第1円筒体と云う)93および外側の第2長尺円筒体(以下、第2円筒体と云う)95からなる長尺二重円筒体(以下、二重円筒体と云う)90となす長尺シート製筒装置30と、該二重円筒体90内への流動性樹脂原料Mの注入およびシャフト98の供給を夫々行なう原料注入装置50およびシャフト供給装置52と、該円筒体90内の流動性樹脂原料Mを加熱する加熱装置60と、該パイプ20の最下流側で該円筒体90を連続的に引っ張り移送するロール長尺物引張装置70と、該装置70の下流側で得られた樹脂ロール長尺物LRの外周面から該円筒体90を連続的に剥離して該両シート92および94戻す長尺シート剥離装置72と、該長尺物LRを所要長に切断するロール切断装置74とから基本的に構成されている。更に、所要長に切断された前記樹脂ロールRは、得られた後加工ステーション78で外周面の研削等の後処理が施される。なお、本実施例において上流側および下流側とは、所定の位置を基点として夫々前記製造ラインにおける起点側および終点側を夫々指すものとする。
【0012】
(成形パイプ20について)
前記成形パイプ20は、最終的に得るべき樹脂ロールRの外径に略等しい内径を有し、前記製造装置10をなす製造ラインの上流側から下流側に向けて、複数かつ直列に配置され部位毎の加熱をなす後述の各加熱機構62、64および66に対応している。前記複数の成形パイプ20は、互いにその中心軸線を整列させるように配列され、成形パイプ20の材質としては、基本的に前記加熱装置60による所定温度への加熱に耐え得ると共に、後述する誘導発熱原理・誘電発熱原理による流動性樹脂原料Mの効率的な加熱を行ない得るよう、例えばガラスシートに高耐熱性のエポキシ樹脂を含浸させた、所謂非磁性体で誘電損失の小さい物質の採用が奨励される。
【0013】
(長尺シート供給装置24について)
前記長尺シート供給装置24は、前記製造ラインにおける一連の装置の最上流に配置され、前記第1シート92のロール体を備える第1長尺シート供給機構26と、前記第2シート94のロール体を備える第2長尺シート供給機構28とから構成され、前記流動性樹脂原料Mを包囲して得るべき樹脂ロールRの外形状に規制すると共に、該樹脂ロールRを前記成形パイプ20内を移送する手段として機能する該両シート92および94を連続的または間欠的に供給する。本実施例では、前記流動性樹脂原料Mを包囲して樹脂ロールRを成形する長尺のシートとして、第1シート92および第2シート94を使用する。なお前記第1シート92および第2シート94は、後述([0014])するロール長尺物引張装置70により引っ張られることで供給されるため、殊に積極供給はされないが、必要に応じて前記ロール体を積極駆動して繰り出し供給するようにしてもよい。
【0014】
(ロール長尺物引張装置70について)
前記ロール長尺物引張装置70は、基本的にサンドイッチコンベアであって、図2に示す如く、最下流に配置される前記成形パイプ20の下流側に配設され、前記二重円筒体90に内包された前記樹脂ロール長尺物LRを該二重円筒体90と共に制御下に連続して引っ張り移送する一対のベルト70a,70aから構成されている。前記一対のベルト70a,70aからなるサンドイッチコンベアは、水平方向かつ同期的に回転可能に構成されると共に、その平坦な外周面が夫々対向するよう配置されている。また前記一対のベルト70a,70aは、任意に離接可能で、かつ互いが接近する方向に常に一定の力が付勢されるよう構成され、これにより前記樹脂ロール長尺物LRの直径寸法の如何に依存することなく(前記二重円筒体90だけでも)確実に狭持可能となっている。すなわち二重円筒体90を、前記樹脂ロール長尺物LRと共に、その両側からサンドイッチ状態に挟持しつつ下流側へ引っ張るものである。
【0015】
前記第1シート92および第2シート94は、前述した如く、前記流動性樹脂原料Mを包囲して得るべき樹脂ロールRの外形状に規制すると共に、該パイプ20内を移送する手段として機能するものである。このため両シート92,94は、前記流動性樹脂原料Mを反応・硬化させる際に加えられる熱に対する耐熱性、得られる樹脂ロールRからの離形性、前記成形パイプ20内を移送される際の低摩擦性および前記ロール長尺物引張装置70の引張力に耐え得る機械的強度(引張強度)を備えることが要求される。例えば電気的な絶縁性を有し表面離形処理を施した紙材や樹脂シート等が好適に使用される。また本実施例の場合、その内部に内包されて移送される流動性樹脂原料Mの漏洩を効率的に防止するため、2枚の前記第1シート92および第2シート94の長手方向に沿った両端縁92a,92aおよび94a,94aを夫々重ね合わせた重合部92bおよび94bを有する二重円筒体90を使用するようにしている(後述([0016]))。また前記両シート92および/または94の所要面については、得られる樹脂ロール長尺物LRからの離形性に資する加工や、前記成形パイプ20に対する低摩擦性に資する加工が施される。
【0016】
(長尺シート製筒装置30について)
前記長尺シート製筒装置30は、図3に示す如く、前記長尺シート供給装置24と最上流の前記成形パイプ20との間に配置され、所定間隔離間して設けられる規制部材としての複数の板状部材32と、各板状部材32を直立支持可能な共通基台38とから構成されている。そして前記第1シート92および第2シート94を徐々に筒状に成形し、最終的に前記成形パイプ20の内部通過を許容させるものである。本実施例においては、前記第1シート92および第2シート94は、該両シート92および94における夫々の長手方向に沿った両端縁92a,92aおよび94a,94aを夫々重ね合わせた重合部92bおよび94bを有する二重円筒体90とするようになっている。前記二重円筒体90は、図4に示す如く、前記第1シート92からなり流動性を有する流動性樹脂原料Mの漏洩を防止しつつ直接的に包囲する内側の第1円筒体93と、前記第2シート94からなり該第1円筒体93を更に外側から包囲する外側の第2円筒体95とから構成されている。
【0017】
前記複数の板状部材32には、図5に示す如く、その配置位置に応じて前記第1シート92および第2シート94に要求される夫々の断面形状と略同一な第1スリット34および第2スリット36が個々に穿設され、該第1シート92および第2シート94を挿通可能となっている。また前記複数の板状部材32は前記溝38aに対する配置位置の微調整を行なうことで、前記第1スリット34および第2スリット36の穿設位置に拘わらず、該両スリット34および36を通過する前記第1シート92および第2シート94が、製造ラインに対して供給経路に沿う中心軸線に整列して、ここでは略平行状態を維持するよう構成されている。
【0018】
このようにして、その断面形状が徐々に円筒形状である第1円筒体93および第2円筒体95にされる前記第1シート92および第2シート94は、前記長尺シート製筒装置30の経路途中においては、その断面形状がU字形状、所謂上方開口状態となった上方開口状態(円弧状)とされる。そして上方開口状態、すなわち上方開口領域を有する状態となった前記第1シート92に対して、図6に示す如く、前記流動性樹脂原料Mの注入およびシャフト98の供給が行なわれる(詳細は後述([0020]))。そして前記流動性樹脂原料Mの注入およびシャフト98の供給が行なわれた後は、前記第1シート92における上部開口は徐々に閉口されると共に、その外周側を幅広の前記第2シート94により全周的に覆われることになる。
【0019】
また、図7に示す如く、前記長尺二重円筒体90の外側をなす第2シート94の進行(供給)方向に対して略垂直に配置された複数のローラ102を規制部材として備える長尺シート製筒装置100を採用することも可能である。前記複数のローラ102は、前記第2シート94を得るべき第2円筒体95へと成形するように、その配置位置に応じて、すなわち該第2シート94の第2円筒体95への成形の度合いに応じて、配置角度並びに配置数等が適宜設定されている。ここでは外側に位置する前記第2シート94の成形を行なうよう記載しているが、該第2シート94の内側に存在し、かつ幅の狭い前記第1シート92は、該第2シート94の長尺円筒体95への成形に伴って必然的に第1円筒体93に成形されるため殊に問題は生じない。この他、長尺シート製筒装置としては、必要とされる第2スリット36の各部位における形状を連続的に有するブロック体や、前記ロール102を所要長のコンベアに換装した構成としてもよい。
【0020】
(原料注入装置50およびシャフト供給装置52について)
前記原料注入装置50は、予め準備された流動性樹脂原料Mの前記第1シート92における上方開口領域への注入を制御下に、例えば連続的に実施する装置であり、該流動性樹脂原料Mを貯留する原料タンク(図示せず)に連通されたノズルにより構成されている。本実施例で使用される流動性樹脂原料Mは、前述の如く、メカニカルフロス法によってウレタン樹脂となるポリオールおよびイソシアネート等の原料と、該原料に反応・硬化後にセルとなる乾燥エアーまたは窒素等の不活性ガス等の造泡用気体とを混合して製造される。また前記流動性樹脂原料Mは、成形時の温度において注入等を許容し得る流動性を有する樹脂原料一般が使用可能であり、得られる樹脂ロールRに求められる物性等により、適宜原料における素材および発泡するか否かといった性状が決定される。前記素材としては、例えばウレタン、ウレア、NBRラテックス、アクリルラテックスまたはPVCラテックス等の一般的な樹脂が使用可能である。殊に本発明の加熱方法に鑑み、その誘電率が1.1以上で、誘電損失(係数)が1×10-3を超える物質の使用が好適である。また原料性状についても、前述の如く、使用温度域で流動状態をなせばソリッド、機械的発泡による発泡原料または化学的発泡がなされる発泡原料の何れであってもよい。前記原料注入装置50から注入される流動性樹脂原料Mの注入量は、順次移送される第1シート92において、供給される該原料Mを包囲して得るべき樹脂ロールRの体積となるように算出されている。この際、前記シャフト98が前記原料注入装置50の上流で供給される場合、該シャフト98および位置決め部材99の体積を考慮した計算がなされる。また前記流動性樹脂原料Mが化学的発泡法による原料である場合には、その発泡倍率も考慮する必要がある。なお、前記原料注入装置50による流動性樹脂原料Mの注入は、例えば制御を施さず手動下に実施することも可能である
【0021】
また前記シャフト供給装置52は、得るべき樹脂ロールRに必要とされるシャフト98を得るべき樹脂ロール長尺物LRの略中心軸線に沿って、前記第1シート92における上方開口領域へ(本実施例の場合、間欠的に)供給するものである。なお、前記原料注入装置50およびシャフト供給装置52の配置位置については、前記長尺シート製筒装置30において前記流動性樹脂原料Mおよびシャフト98を、前記第1シート92の上方開口領域に注入・供給し得る位置であれば殊に問題はない。前記シャフト98としては、得るべき樹脂ロールRに必要とされる所要長を有する中実または中空の物質が使用される。また後述([0024])する加熱装置60において誘導発熱原理を利用した内部加熱機構62を使用する際には、少なくともその外周面98bに誘導発熱され得る物質が付与等された中実または中空の物質が使用される(本実施例においては中実構造)。前記誘導発熱され得る物質としては、後述([0025])する誘導発熱原理による熱供給を効率的に実施すべく、鉄等の磁性体を採用してもよく、この他、得るべき樹脂ロールRに軽量性等が必要とされる場合には、軽量なABS樹脂を採用すると共に、該シャフト98の外周面98bとして、例えば誘導発熱され得る金属片や金属メッキを付与するようにしてもよい。このように誘導発熱され得る物質をシャフト98の外周面98bに備えていれば、内部の物質にはステンレス等の非磁性体、ガラス、セメント或いはPOM(ポリオキシメチレン)またはPES(ポリエーテルサルホン)等の各種樹脂が採用可能である。なお、本実施例ではシャフトを備えた樹脂ロールについて説明しているが、該シャフト98を有さない樹脂ロールRであってもよい。この場合、前記シャフト供給装置52の他、前記シャフト98の外周面98bを介して流動性樹脂原料Mを加熱する内部加熱機構62(後述[0024])は必要なくなる。
【0022】
また前記シャフト98は、その両端部98a,98aに非磁性体からなり、得るべき樹脂ロールRの外径に略等しい内径を有する位置決め部材99,99が装着された状態で供給される。前記位置決め部材99は、前記シャフト98の中心軸線を得るべき樹脂ロールRにおける中心軸線に沿わせるための部材であり、該部材99を装着することで前記第1円筒体93および第2円筒体95の内径の規制も可能となる。前記位置決め部材99を構成する非磁性体としては、素材自体が弾性を有するシリコーンゴム等や、弾性は有しないがアルミニウム等が好適である。なお、本発明に係る製造装置10については、前記シャフト98に換えて、所謂ダミーシャフトを使用して、一旦シャフト付き樹脂ロールの製造をなし、その後に該ダミーシャフトを引き抜いて中空円筒状の樹脂ロールになし、その後に必要に応じて所要のシャフト部材を挿入するようにしてもよい。この場合、前記ダミーシャフトの外周面には、反応・硬化した流動性樹脂原料Mからの離形性を高めるべく、所要の離形処理を施すのが好ましい。このようにすることで、後述する後加工ステーション78において個々にシャフト98を対応的に挿入する方法が採用され、例えば軸方向に短尺の樹脂ローラを効率的に製造し得る。また、前記ダミーシャフトの存在により、該ダミーシャフトと前記流動性樹脂原料Mとの境界面には積極的にスキン層が形成される。そして前記スキン層の存在により、前記シャフト98を樹脂ロールRへ装着する際の圧入性および接着性等の加工性が向上する。なお前記ダミーシャフトとして、前記樹脂ロールRに挿入されるシャフト98と略同一な直径および柔軟性を備える長尺部材を使用してもよい。この長尺のダミーシャフトは、例えば前記流動性樹脂原料Mの注入前には前記板状部材32に別途該ダミーシャフトを支持し得るよう設けられた孔部と、注入後には別途設けられた支持部材とによって位置決めされ、これにより略中心軸線に該長尺のダミーシャフトを備えた該樹脂ロール長尺物LRが得られる。
【0023】
(封止装置80について)
本実施例において前記長尺シート製筒装置30には、図8に示す如く、前記重合部92bが形成される直後位置に電熱ヒータを内蔵した熱良導体の金属ブロック82を備え、上下方向に自在に移動して該重合部92bに当接・押圧されることで、該押圧部分の前記流動性樹脂原料Mを局所的かつ瞬時に反応・硬化させる封止装置80が備えられている。この封止装置80は、漏洩の可能性がある部分の流動性樹脂原料Mを積極的に反応・硬化させることによって、それ以上の該流動性樹脂原料Mの漏洩を防止するものである。また前記金属ブロック82に換えて、同じく電熱ヒータを内蔵した熱良導体の金属ローラを使用するようにしてもよい。
【0024】
(加熱装置60について)
前記加熱装置60は、前記長尺シート製筒装置30の下流側に配設され、該製筒装置30を経て移送状態にある長尺二重円筒体90の内部に夫々注入・供給された流動性樹脂原料Mおよびシャフト98に反応・硬化に必要な熱量を供給するものである。すなわち前記加熱装置60は、図9に示す如く、成形パイプ20の外周に巻回された誘導コイル63へ交流電圧を印加する誘導発熱原理により加熱されるシャフト98の外周面98bを介して該シャフト98を囲繞している前記流動性樹脂原料Mにおける内周領域IPを選択的に加熱する内部加熱機構62と、前記成形パイプ20の外周部に同心的に配置されると共に、同じく誘導発熱原理により発熱される筒状体64aを介して該流動性樹脂原料Mにおける外周領域OPを加熱する外部加熱機構64と、該パイプ20を挟んで対向的に配置される一対の電極67,67に高周波電圧を印加する誘電発熱原理により該両領域OPおよびIPに挟まれた該流動性樹脂原料Mにおける中間領域MPを加熱する中間加熱機構66とから基本的に構成されている。また前記中間加熱機構66の直前には前記シャフト98に誘導発熱原理により予熱(本実施例においては再加熱)するための予備加熱機構68が設けられ、該中間加熱機構66の下流側には前記加熱装置60の各機構62、64および66から供給された熱量を効率的に利用してまたは積極的に加熱を施すことで樹脂ロール長尺物LRの熱養生を行なう保温機構69が設けられている。なお、前記内周領域IPの加熱については、前記内部加熱機構62を省略してシャフト98を前記流動性樹脂原料Rが反応を開始しない程度に予熱した状態で供給し、後述の中間加熱機構66による加熱により、前記中間領域MPと共に実施するようにしてもよい。同時に前記外周領域MPの加熱を後述([0025])する伝導加熱により実施すれば、誘電発熱原理による加熱は不要となる。
【0025】
この加熱装置60において、誘導発熱原理により作動する内部加熱機構62および外部加熱機構64の配置部位においては、加熱すべきシャフト98以外の物質、具体的には前記第1シート92および第2シート94、流動性樹脂原料M並びに成形パイプ20については非磁性体であることが望ましい。また誘電発熱原理により作動する中間加熱機構66の配置位置においては、加熱すべき流動性樹脂原料Mの中間領域MP以外の部分、具体的には前記第1シート92および第2シート94並びに成形パイプ20については、誘電損失の小さい物質であることが望ましい。なお、前記筒状体64aは成形パイプ20の外周部にあるため、通常の電熱ヒータ65等による、所謂伝導加熱による直接加熱も可能である。この場合、前記筒状体64aとしては、熱伝導効率の良好な、例えば金属が好適に採用される。
【0026】
ここまでの各装置を経ることで、得るべき樹脂ロールRの基となる樹脂ロール長尺物LRが得られる。従って、得られた前記樹脂ロール長尺物LRに対して、必要とされる、例えば前記樹脂ロールRの外形状を規制等している前記二重円筒体90の剥離や、該樹脂ロール長尺物LRの所要長への切断等の後加工一般を実施することで樹脂ロールRが得られることになる。この各後加工については、手動または自動といった様々な形態が考えられる。
【0027】
(長尺シート剥離装置72、ロール切断装置74および後加工ステーション78について)
前記長尺シート剥離装置72は、前記二重円筒体90を前記樹脂ロール長尺物LRからシート状に剥離すると共に、このシート状剥離により得られた第1シート92および第2シート94の双方を長尺シート回収機構72aおよび第2長尺シート回収機構72bにより別々にシート状としつつロール状に巻き取り回収する装置である。そしてロール状に回収された前記第1シート92および第2シート94は、そのままの形で前記第1長尺シート供給機構26および第2長尺シート供給機構28からの該第1シート92および第2シート94の供給に供される。前記ロール切断装置74は、所定間隔で往復移動するカッター74aと、前記二重円筒体90から前記第1シート92および第2シート94を剥離・回収した樹脂ロール長尺物LRを載置可能な台部74bとを備え、前記樹脂ロール長尺物LRを所要長に切断することで得るべき樹脂ロールRとする装置である(図1参照)。そして前記ロール長尺物引張装置70の引張速度に同期しつつ、製造される樹脂ロールRの内部に配置されるシャフト98の位置を検知または予め知得して該シャフト98間の切断をなし得るようされている。そして前記ロール切断装置74の下流側には、所要長に切断された樹脂ロールRに外周面の研削等の後加工を施す後加工ステーション78が設けられている(図1参照)。この後加工ステーション78で施される後加工としては、前記樹脂ロールRの両端部加工、すなわち前記位置決め部材99,99の取り外しおよび両端部98aの切断や、該樹脂ロールRの外周面研削による高真円度の達成またはセルの露出等が挙げられる。また前記第1円筒体93における重合部92bの転写により発生する微小な段差は、前記外周面研削により容易に除去可能である。ここまでの各装置による加工を経ることで、得るべき樹脂ロールRが得られる。
【0028】
(ガイドシート76について)
そして本実施例に係るガイドシート76は、その製造ラインの大部分に配置される前記複数の成形パイプ20の内周面20aに、該成形パイプ20の長手方向に延在して、すなわち該複数の成形パイプ20の最上流から最下流に至る全長に亘って、具体的には前記長尺シート製筒装置30の直下流部位からロール長尺物引張装置70の直上流部位まで連続的に配置させてもよい。また前記ガイドシート76は、前記長尺シート製筒装置30の直下流部位に設定されている起点において、ロール状とされたガイドシート76を備えるガイドシート供給機構22から導出され、前記ロール長尺物引張装置70の直上流部位に設定されている終点に配置され、所定の駆動手段を有するガイドシート回収機構23によりロール状に巻き取り回収可能な構造となっている。
【0029】
また前記ガイドシート76は、基本的にアラミド繊維を主体とし、これを所要のシート状に織り上げてフッ素樹脂またはシリコーン樹脂等をコートした長尺物として製造されている。前記ガイドシート76の主体としては、アラミド繊維の他、アラミド紙、ポリイミドフィルムまたはPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルム等が採用可能である。このような材質から製造されることで、高い耐熱性と低い摩擦性の併有を達成している。そして前記ガイドシート76の幅寸法は、少なくとも成形パイプ20の内周面20aの内周長以上に設定され、該内周面20aを全て被覆可能な寸法とされている。
【0030】
ここまでの製造装置10の説明から分かる通り、得るべき樹脂ロールRの外径に略等しい内径を有する所要数の成形パイプ20と、該樹脂ロールRとされる流動性樹脂原料Mの外形状を規制し、移送する前記第1シート92および第2シート94とは不可欠な構成要素である。そして前記成形パイプ20内における前記第1シート92および第2シート94の移送状態、すなわち筒状とされた後の二重円筒体90の移送状態が、樹脂ロールRの良好な連続製造のための大きな要素の1つとなっている。このため、前述の如く、前記成形パイプ20の内周面20aと前記二重円筒体90との間に、前記ガイドシート76を介在させてその移送抵抗を低減し、該二重円筒体90の移送状態を良好化させている。
【0031】
これは前記両シート92および94には低摩擦化加工([0015]))等が容易に実施可能であるのに対して、前記成形パイプ20の内周面20aについては、その長さおよび内径並びに必要とされる耐熱性等の要素から、その内周面20aに対するフッ素樹脂またはシリコーン樹脂等を直接的に付与する低摩擦化加工は困難となる場合があるからである。すなわち、このような場合において、前記ガイドシート76の存在は非常に簡便かつ有効な低摩擦化加工の代替手段となる。
【0032】
前述の低摩擦化加工は、殊に前記流動性樹脂原料Mを加熱して反応・硬化させて得るべき樹脂ロールRとする製造工程で大きな意味を持つ。これは加熱に際して前記流動性樹脂原料Mが若干の体積増加を伴うためであり、このような状態が生起されると該流動性樹脂原料Mを内包した状態の各第1シート92および第2シート94からなる二重円筒体90が前記内周面20aに対して押圧的な状態となり、その結果、成形パイプ20および該二重円筒体90の間の摩擦が増大してしまう。このような状況下にあっては、常に前記二重円筒体90に対し、前記ロール長尺物引張装置70からの引張力が付勢されても移送が困難な状態となるため、該ロール長尺物引張装置70の過負荷や、該二重円筒体90の引っ張りによる断絶等の、樹脂ロールRの連続製造の実施にとっての大きな危険性を回避し得なくなる。この問題についても、本実施例に係るガイドシート76の使用による摩擦性の低減で容易に回避が可能となっている。殊にこの体積増加については、前記流動性樹脂原料Mとして化学発泡法に係る発泡原料を使用し、その発泡倍率が予め正確に把握不能な場合等に留意すべきである。なお、前記シャフト98が前記原料注入装置50の上流で供給される場合、該シャフト98および位置決め部材99の体積を考慮した計算がなされる。
【0033】
また前述([0018])した如く、前記流動性樹脂原料Mを移送する前記第1シート92および第2シート94は、基本的にその供給時点においては該流動性樹脂原料Mおよび/またはシャフト98を完全に内包した状態とはなっておらず、移送の進行に伴って前記長尺シート製筒装置30や封止装置80の働きにより二重円筒体90とされて完全な内包化をなし得る、すなわち該流動性樹脂原料Mの漏洩の防止をなし得るものである。しかし、前記流動性樹脂原料Mの粘度等の物性等を原因として、前述の漏洩が起こる場合も想定される。このように前記二重円筒体90外へ漏洩した前記流動性樹脂原料Mは、その移送において前記成形パイプ20の内周面20aに付着し、該パイプ20に施される各種加熱により反応・硬化してしまう。
【0034】
前記内周面20a上で反応・硬化してしまった流動性樹脂原料Mの硬化物は、前記二重円筒体90の移送を阻害するため、前述したロール長尺物引張装置70の過負荷や、該二重円筒体90の引っ張りによる断絶等の発生要因となる。この問題は、前記流動性樹脂原料Mが内周面20aに付着することで発生するものであるので、該付着を防止することで回避が可能である。本発明においては、前記二重円筒体90の封止を行なうと共に、仮に前記流動性樹脂原料Mが外部に漏洩した場合に、該漏洩による弊害を軽微な程度に抑制する。すなわち、少なくとも前記二重円筒体90に流動性樹脂原料Mが注入されて完全に反応・硬化される段階に至るまでの間、該円筒体90の周りを前記ガイドシート76により完全に覆うようにして該円筒体90から漏洩した該原料Mを該ガイドシート76に付着させ、これにより前記内周面20aへの付着を防止している。
【0035】
そして前記ガイドシート76に付着した硬化物は、前記ガイドシート供給機構22およびガイドシート回収機構23を使用することで、容易に前記成形イプ20内から取り出し可能である。そして前記ガイドシート76は連続した長尺物であるため、前記成形パイプ20内に既に配置されている部分を全て該成形パイプ20外へ取り出せば、これに伴って新しいガイドシート76が該成形パイプ20内に配置されることになる。すなわち、前記成形パイプ20において前記二重円筒体90内から流動性樹脂原料Mが漏洩した場合であっても、該原料は成形パイプ20の内周面20aに付着することがなく、また該原料Mが付着したガイドシート76は単に前記ガイドシート回収機構23に巻き取るだけで容易に交換が完了する。前記流動性樹脂原料Mについて、その性状が所謂ソリッドのものを使用した場合、前述の製造における加熱による体積膨張による弊害は余り考えられないが、その一方で該原料Mの漏洩に関する問題回避については本実施例に係るガイドシート76の使用が好適である。
【0036】
ここまで前記シャフト98を備える樹脂ロールRの製造について説明したが、該シャフト98を備えない樹脂ロールRを製造する際には、前述の製造装置10から該シャフト98に係る設備、図10に示す如く、具体的にはシャフト供給装置52、前記内周領域IPを該シャフト98を介して加熱する内部加熱機構62および該シャフト98の予熱を行なう予備加熱機構68を取り外した製造装置110が使用される。そして得るべき樹脂ロールRは、流動性樹脂原料Mの外周領域OPに対する誘導発熱原理による加熱並びに中間領域MPおよび内周領域IPに対する誘電発熱原理による加熱の実施により製造されることになる。このような差違が前記製造装置10との間には存在するが、本実施例に係るガイドシート76は、その役割等について変わることがなく好適に使用される。
【0037】
【変更例】
前述の実施例において前記ガイドシート76は、成形パイプ20と該成形パイプ20内を移送される二重円筒体90との間の摩擦を低減させることを主目的としていたが、本発明はこれに限定されず、該ガイドシート76を該二重円筒体90と共に移送するように構成し、長尺のシートとして機能させるようにしてもよい。この場合、長尺シート製筒装置130において、前記第1円筒体93および第2円筒体95と、該ガイドシート76からなる長尺円筒体77とから構成される3重構造の長尺三重円筒体91に成形して、樹脂ロールRを内包するようにすることも可能である。前記長尺三重円筒体91は、図11に示す如く、前記長尺の円筒体77、93および95における長手方向に沿った両端縁76a,76a,92a,92a,94a,94aは、上下の関係で重ね合わされて夫々の重合部76b,92bおよび94bを形成するようになっている。この場合、前記ガイドシート供給機構22により、前記ガイドシート76を適宜供給すると共に、前記ガイドシート回収機構23によりシート状にされつつ回収される。また移送に必要な駆動力は、前記二重円筒体90と同様に前記ロール長尺物引張装置70によって付勢されるため、前記ガイドシート回収機構23の配置位置は該引張装置70の下流側に設定されることになる。またこの変更例においては、前記ガイドシート76が前記第2シート94を更に外側から覆うため、該ガイドシート76の幅寸法は、前記成形パイプ20の内周面20aにおける内周長以上であると共に、該第2シート94より幅広に設定される。
【0038】
前記長尺シート製筒装置130の構成は、図12に示す如く、前記長尺シート製筒装置30と基本的に同一であり、前記板状部材32に前記第1シート92および第2シート94が通過する第1スリット34および第2スリット36が穿設され、更に前記ガイドシート76が挿通され該第2シート94を覆うように、段階的に筒状となす第3スリット35が穿設されている。この他、前記第3スリット35を設けずに、前記第2シート94等と一緒に第2スリットに挿通させて円筒状にすることも可能である。
【0039】
前記長尺シート製筒装置130を用いた樹脂ロールRの製造においては、前記ガイドシート76が使用されるため、前記二重円筒体90と比較して引張時に掛かる力に対する長尺円筒体全体の強度が増す。このため、例えばより径の大きな樹脂ロール長尺物LRの移送や移送速度を上げることが可能である。
【0040】
また、前記長尺円筒体77については、単一のガイドシート76から成形する必要はなく、例えばその幅寸法が前記成形パイプ20の内周面20aの内周長の少なくとも1/4以上に設定された4枚のガイドシート76を使用し、これらが該長尺円筒体77の一部をなし全体として該長尺円筒体77をなすようにしてもよい。この場合、図13に示す如く、夫々のガイドシート76が、その幅方向の一部を相互に重ね合わされるようにして前記長尺円筒体77を成形する。前記複数のガイドシート76は夫々にガイドシート供給機構22およびガイドシート回収機構23を有するため、該機構22および23を必要に応じて任意の位置に配設し得る。すなわち前記ガイドシート76の取り回しが容易になると共に、一枚当たりに掛かる負荷等が低減されるため、修理コストおよ運転コスト等の削減も期待できる。ここでは前記ガイドシート76が4枚の例を挙げているが、殊にこれに限定されるものではない。
【0041】
【発明の効果】
以上説明した如く、本発明に係るガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法によれば、得るべき樹脂ロールの外径に略等しい内径を有する成形パイプを使用し、ここに該樹脂ロールの外形状を規制する長尺のシートを用いて流動性樹脂原料を移送しつつ加熱して反応・硬化させることで、連続的にかつ部位により硬度等の差違がなく物性が均一となっている樹脂ロールを製造し得る装置で、該成形パイプ内に挿通される円筒体とされた長尺のシートと、該成形パイプの内表面との間に低摩擦性等を発現する所要のガイドシートを配置するようにしたので、摩擦性を低減させて良好な樹脂ロールの製造が可能となった。また、円筒体から流動性樹脂原料が漏洩した場合であっても、該原料が成形パイプの内周面に付着するのをガイドシートで防止することができる。
更に、円筒体から漏洩した流動性樹脂原料が付着したガイドシートは、単にガイドシート回収機構に巻き取るだけで容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例に係るシャフト付き樹脂ロールの製造装置全体を示す概略側面図である。
【図2】実施例に係るロール長尺物引張装置の部分を拡大して示す斜視図である。
【図3】実施例に係る長尺シート製筒装置の部分を拡大して示す斜視図である。
【図4】実施例に係る成形パイプ内の長尺二重円筒体を示す断面図である。
【図5】図3に示した長尺シート製筒装置を構成する複数の板状部材における夫々のスリットおよび第2スリットの形状を製造ラインの流れに沿って示す説明図である。
【図6】図3に示した長尺シート製筒装置で実施される流動性樹脂原料の注入、シャフトの供給並びに第1長尺シートおよび第2長尺シートの長尺円筒体および長尺円筒体への夫々の成形を段階的に示す工程図である。
【図7】ローラを用いて第1シートおよび第2シートから長尺二重円筒体をえる長尺シート製筒装置の概略を示す斜視図および各製筒段階の断面図である。
【図8】実施例に係る封止装置の部分を拡大して示す斜視図である。
【図9】実施例に係る加熱装置により実施される各加熱方式で加熱され得る各領域を示す断面図である。
【図10】シャフトを備えない樹脂ロールの製造装置全体を示す概略側面図である。
【図11】実施例に係る成形パイプ内の長尺三重円筒体を示す断面図である。
【図12】両長尺シートおよびガイドシートを用いて3重構造の長尺円筒体をなし、樹脂ロールを製造する更に別の変更例に係る製造装置における長尺シート製筒装置の部分を拡大して示す斜視図である。
【図13】成形パイプ内で一部を相互に重ね合わせた複数のガイドシートによる長尺三重円筒体を示す断面図である。
【図14】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、流動性樹脂原料の発泡に使用するロール成形金型を示す平面図である。
【図15】図14に示すロール成形金型に樹脂ロールが成形された際の内部状態を示す断面図である。
【図16】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、ロール成形金型による樹脂ロール製造装置および工程を概略的に示す構成図である。
【図17】図14に示すロール成形金型に流動性樹脂原料を注入した際の、該原料の状態を示す状態図である。
【符号の説明】
20 成形パイプ
22 ガイドシート供給機構
23 ガイドシート回収機構
76 ガイドシート
76a 長手方向の両端縁
76b 重合部
77 長尺円筒体
93 長尺の円筒体(内側の長尺円筒体)
95 長尺の円筒体(外側の長尺円筒体)
LR 樹脂ロール長尺物
M 流動性樹脂原料
R 樹脂ロール

Claims (8)

  1. 得るべき樹脂ロール(R)の外径に略等しい内径を有し、製造ラインの上流側から下流側に向けて直列に配置した所要数の成形パイプ(20)内に、流動性樹脂原料(M)を内部に伴った長尺の円筒体(93,95)を移送させ、その移送過程において少なくとも誘電発熱原理により前記流動性樹脂原料(M)を反応・硬化させることで樹脂ロール長尺物(LR)を製造するに際し、
    前記所要数の成形パイプ(20)の全長に亘り、該パイプ(20)の内周面(20a)を全て被覆する低摩擦性を発現するガイドシート(76)を該内周面(20a)に沿って配置し、
    前記成形パイプ(20)の内部に配置した前記ガイドシート(76)内に前記長尺の円筒体(93,95)を通過させる
    ことを特徴とするガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法
  2. 製造ラインの上流側から下流側に向けて直列に配置した所要数の成形パイプ(20)内に、流動性樹脂原料(M)を内部に伴った長尺の円筒体(93,95)を移送させ、その移送過程において前記流動性樹脂原料(M)を加熱して反応・硬化させることで樹脂ロール長尺物(LR)を製造するに際し、
    前記所要数の成形パイプ(20)の全長に亘り、該パイプ(20)の内周面(20a)を全て被覆する低摩擦性を発現するガイドシート(76)を該内周面(20a)に沿って配置し、
    前記成形パイプ(20)の内部に配置した前記ガイドシート(76)内に前記長尺の円筒体(93,95)を通過させる
    ことを特徴とするガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法
  3. 最上流の前記成形パイプ(20)の上流側に設けたガイドシート供給機構(22)から導出されて成形パイプ(20)内に配置された前記ガイドシート(76)を、最下流の前記成形パイプ(20)の下流側に設けたガイドシート回収機構(23)で巻き取るようにした請求項1または2記載のガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法
  4. 前記ガイドシート回収機構(23)でガイドシート(76)を巻き取り、前記ガイドシート(76)における前記成形パイプ(20)内に配置されていた部分が成形パイプ(20)外へ取り出されるのに伴い前記ガイドシート供給機構(22)から引き出された新しいガイドシート(76)が成形パイプ(20)内に配置されたときに、前記ガイドシート回収機構(23)の巻き取りを完了する請求項3記載のガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法。
  5. 前記ガイドシート(76)として、アラミド繊維にフッ素樹脂またはシリコーン樹脂のコートを施した長尺物が使用される請求項1〜4の何れか一項に記載のガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法
  6. 前記ガイドシート(76)は、前記長尺の円筒体(93,95)が最上流の前記成形パイプ(20)内に移送されるまでに、該長尺の円筒体(93,95)における外側を覆う長尺円筒体(77)に成形される請求項1〜の何れか一項に記載のガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法
  7. 枚以上のガイドシート(76)からなり、これらガイドシート(76)をその長手方向に沿った端縁を相互に重ね合わせることで、前記長尺円筒体(77)を構成するようになっている請求項記載のガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法
  8. 前記長尺円筒体(77)は、前記ガイドシート(76)における長手方向に沿った両端縁(76a,76a)、上下の関係で重ね合わされて重合部(76b)を形成するようにされる請求項記載のガイドシートを用いた樹脂ロールの製造方法
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