JP4164404B2 - シャフト付き棒状体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はシャフト付き棒状体の製造方法に関し、更に詳細には、流動状態にあった熱硬化性樹脂を加熱硬化させ、全体として均一な気泡径が達成された発泡体をなし、かつ中心にシャフトが挿通された棒状体を、連続的に効率良く製造し得る方法に関するものである。なお本件発明に係る方法は、熱硬化性樹脂の発泡体からなる本体部を熱可塑性樹脂の外被で被覆した形態をとるシャフト付き棒状体を製造する工程であっても、製造過程で該外被を剥ぎ取ってシャフト付きの棒状本体部を製造する工程であってもよい。
【0002】
【従来の技術】
コピー機やファクシミリ等の画像処理機器には、潜像転写や送紙・給紙等を行なうロールが多数設けられている。このロールは、例えばマイクロセル構造を有する高機能ウレタン素材を所要長の丸棒体として成形し、これにシャフトを同軸的に挿通配置した構造になっている。前記ロールを構成するマイクロセル構造のウレタン素材を製造するには、ウレタン原料に水や発泡材を添加せず、乾燥エアーや窒素等の造泡用ガスを該原料に混合しながら機械的に攪拌して発泡体とする方法(所謂「メカニカルフロス法」)が好適に採用されている。このメカニカルフロス法の採用により得られるロールは、その内部に含まれる気泡の大きさが略同一で、しかも均質に分散している等の優れた構造的特徴を有している。このため最終製品としてのロールは、例えば紙等のシート状の被搬送物を給送する際に要求される外周面の押圧力、すなわちニップ圧(ニップ量)が一定となって、スリップすることなく円滑に給送をなし得る等の利点を有する。
【0003】
前記メカニカルフロス法によってウレタン発泡体のロールを製造する従来方法を、その製造装置との関係で以下に説明する。このロールは、前述した造泡用ガスとウレタン原料とを混合した流動性のある流動性樹脂原料Mを、図11〜図14に示すように、得るべき製品の外部輪郭形状に略合致するキャビティ218を有する成形型216内に注入することで成形される。すなわち成形型216は、図13に示す如く、複数のキャビティ半体220を分割面上に凹設した一対の金型半体222,222を開閉自在に蝶番軸支したもので、各成形型216は搬送ライン上に所要間隔で多数載置されている。また成形型216の所定位置には、流動性樹脂原料Mを注入するための注入孔224が、夫々のキャビティ218に連通するよう開設されている。更に夫々の金型半体222には、各キャビティ半体220の中心軸線に沿った部位に断面が半円状をなす溝226が形成されており、該成形型216が開放された際に、この溝226に丸棒状の中子228が装着されるようになっている。
【0004】
前記成形型216は、図13に示す工程で使用されて、樹脂ロールRの製造がなされる。すなわち、製造ラインMLの所定位置に設けた中子装着ステーションCSにおいて、上流側から到来した成形型216は停止する。そして成形型216の一方の金型半体222を上方へ回動させて、キャビティ半体220を開放させる。この状態で、他方の金型半体222における夫々のキャビティ半体220に、前記半丸状の溝226を介して中子228を夫々装着する。この中子228は、最終製品となる樹脂ロールRに同心的に挿通配置されるシャフトと同じ外径寸法で、かつ該ロールRに要求される軸方向の長さより充分大きい長さに設定した棒状部材である。すなわち中子228は、前記溝226に装着されることでキャビティ半体220の中心軸心に整列して延在する。
【0005】
前記中子228が装着された成形型216は、上方の金型半体222を回動させることで型閉めがなされ、次いで1ブロック分だけ製造ラインMLに沿って下流側の原料注入ステーションRSへ移動される。また、上流側に位置していた別の成形型216が下流側に搬送され、前記中子装着ステーションCSに到来すると、同様にして各キャビティ218への中子228の装着がなされる。製造ラインMLの原料注入ステーションRSに到来した成形型216へは、原料注入装置232からの流動性樹脂原料Mが、前記注入孔224を介して注入される。この流動性樹脂原料Mが注入された成形型216は、製造ラインMLの下流側に設けたトンネル加熱炉234により加熱される。この加熱により流動性樹脂原料Mは、成形型216のキャビティ218内で反応・硬化し、該キャビティ218の内部輪郭形状を外部輪郭形状とするロールRに成形される。なおトンネル加熱炉234は、製造ラインMLに沿って設けた所要長の加熱炉であって、内部温度が流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要な所要温度に制御・保持されている。
【0006】
トンネル加熱炉234での反応・硬化終了後、前記成形型216は更に下流側に位置する脱型ステーションDSに搬送される。この脱型ステーションDSで成形型216は、上方の金型半体222を回動させることで開放される。この状態下に、前記中子228を前記溝226から持上げることで、発泡体の樹脂ロールRがキャビティ半体220から脱型される。そして、中子228をロールRから引き抜くことで中空の成形品が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記成形型216を使用した製造装置によれば、キャビティ218の内部で流動性樹脂原料Mに熱が加えられ、反応・硬化の過程を経ることで所期の樹脂ロールRが得られる。しかしこの製造装置は、以下の問題点を内在している。
▲1▼ 成形型216の開閉によるバッチ処理を基本とするので、樹脂ロールRを連続的に製造することができず、従って製造効率が低く製造コストも嵩む難点がある。
▲2▼ 流動性樹脂原料Mの加熱は、基本的に成形型216を介して外部から行なう外ない。従って、キャビティ218中における流動性樹脂原料Mの反応・硬化に部分的なバラツキを生じ、得るべき樹脂ロールRの物性が不均質になってしまう。殊に、樹脂ロールRの材質たるウレタン発泡体は良好な断熱体であり、先に反応・硬化する表面側の部位が断熱作用を発揮するので、該反応・硬化後の表面部位より更に内側への熱の効率的な伝達ができなくなる。このため樹脂ロールRの物性が、半径方向に亘って大きく不均質となってしまう。
▲3▼ そこで前記加熱による弊害を少なくすると共に、前記反応・加熱に必要な時間を短縮するために、成形型216および中子228に予熱を施すことが行なわれる。この場合、成形型216へ流動性樹脂原料Mを注入するに先立ち前述の加熱が施されるが、該原料Mは該成形型216の所定部位に設けた注入孔224(図11および図12参照)から注入される。このため、図14に示す如く、注入孔224近傍の流動性樹脂原料Mが最も速く接触する部位から順次反応・硬化が始まってしまう。その結果、得られた樹脂ロールRの物性は、流動性樹脂原料Mの注入経路(樹脂ロールRの軸方向)に沿って異なってしまう、という重大な欠点が指摘される。
▲4▼ 前述の▲2▼および▲3▼で述べた問題を回避するために、流動性樹脂原料Mを低温から長い時間を掛けて昇温させ、該原料M内の温度差を解消する手段が考えられる。この場合は、所要の加熱を完了するのに長い時間を要するが、しかるにバッチ処理はサイクルタイムが短い方が良いので、この手法は工業的量産に適していないことが明らかである。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、流動状態にある熱硬化性樹脂を加熱硬化させ、全体として均一な気泡径が達成された発泡体としてのシャフト付き棒状体を連続的に効率良く製造し得る方法を提供することを目的とする。この製造方法は、熱硬化性樹脂の発泡体を熱可塑性樹脂の外被で被覆したシャフト付き棒状体を製造するものであっても、製造過程で該外被を剥ぎ取って棒状のシャフト付き発泡体を製造するものであってもよい。
【0009】
【発明を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係るシャフト付き棒状体の製造方法は、加熱して可塑化させた熱可塑性樹脂を、ダイから連続的に押出す工程と、前記押出された熱可塑性樹脂をサイジングスリーブに通過させ、その外部輪郭形状を規制して筒状の外被を成形する工程と、前記筒状に成形された外被の内部へ、その上流側からシャフトを供給する工程と、流動状態にある熱硬化性樹脂を、筒状に成形された外被の内部に供給管を介して充填供給する工程と、シャフト保持手段を前記シャフトへ向け半径方向内方へ移動させて、前記外被および熱硬化性樹脂を陥凹変形させた状態で該シャフトを保持すると共に、該外被の中心軸線に沿って所要距離だけ下流側へ移動した後、該シャフトを解放して原位置へ帰還する動きを反復する工程と、前記各工程の最下流側に配設した移送装置により、前記シャフトを内部に有する棒状体の本体部を前記外被と共に引張り移送する工程とからなることを特徴とする。
【0010】
同じく前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本願の別の発明に係るシャフト付き棒状体の製造方法は、加熱して可塑化させた熱可塑性樹脂を、ダイから連続的に押出す工程と、前記押出された熱可塑性樹脂をサイジングスリーブに通過させ、その外部輪郭形状を規制して筒状の外被を成形する工程と、前記筒状に成形された外被の内部へ、その上流側からシャフトを供給する工程と、流動状態にある熱硬化性樹脂を、筒状に成形された外被の内部に供給管を介して充填供給する工程と、シャフト保持手段を前記シャフトへ向け半径方向内方へ移動させて、前記外被および熱硬化性樹脂を陥凹変形させた状態で該シャフトを保持すると共に、該外被の中心軸線に沿って所要距離だけ下流側へ移動した後、該シャフトを解放して原位置へ帰還する動きを反復する工程と、前記外被の内部に供給されて流動状態にある前記熱硬化性樹脂およびシャフトを加熱領域に通過させ、該熱硬化性樹脂を硬化させて棒状体の本体部となす工程と、前記各工程の最下流側に配設した移送装置により、前記シャフトを内部に有する棒状体の本体部を前記外被と共に引張り移送する工程とからなることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係るシャフト付き棒状体の製造方法について、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。本方法により製造されるシャフト付き棒状体は、硬化した熱硬化性樹脂の本体部と、該本体部を被覆している熱可塑性樹脂の外被とからなるが、この外被は剥ぎ取って本体部のみとして使用しても、外被を有する棒状体そのままとして使用してもよい。また硬化した熱硬化性樹脂の本体部は、後述の如く、メカニカルフロス法による発泡体であっても、また化学的発泡法による発泡体であってもよく、主として事務用機器等の各種シャフト付きロールとして使用されるが、用途はこれに限定されるものではない。更に棒状体または該棒状体から外被を剥ぎ取った本体部の横断面は、一般に円形とされるが、前記外被は後述するサイジングスリーブによって、それ以外の楕円形や多角形にもなし得るものである。
【0012】
図1〜図9は、実施例に係るシャフト付き棒状体の製造方法を好適に実施し得る製造装置の一例を示し、図1は該製造装置の全体的な構成を示す概略図で、棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置を付加したものである。図2は同様の概略全体図であるが、前記外被の剥ぎ取り装置を備えていない。また、本実施例に係る方法により製造される棒状体または該棒状体から外被を剥ぎ取った本体部には、その中心にシャフト80が挿通されている。
【0013】
図1および図2において、符号Aは熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構、符号Bはシャフトを心出し状態で保持するシャフト保持機構、符号Cは棒状体の加熱領域、符号Dは棒状体の引張り機構、符号Eは外被の巻取り機構(但し、図2には存在しない)、符号Fは棒状体の定尺切断機構を示している。また図3は熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構Aとシャフト保持機構Bを拡大して示し、図7は棒状体の加熱領域Cを示し、図8は棒状体の引張り機構Dおよび外被の巻取り機構Eを示している。
【0014】
【全体構成について】
(1) 図1の全体略図において、上流側に位置する樹脂供給機構Aでは、熱可塑性樹脂が筒状の外被として連続成形されると共に、この外被中に長尺のシャフトが連続的に供給される。また筒状に成形された外被の内部に、流動状態にある熱硬化性樹脂が充填供給される。
(2) 図1の樹脂供給機構Aにおいて筒状外被の内側へ長尺のシャフトが供給されるので、該シャフトを筒状外被の長手方向に延在する中心軸線に整列させた状態(所謂心出し状態)で保持するためのシャフト保持機構Bが下流側に設けられている。すなわち図3〜図6に示す如く、進退自在な押圧片により外被の一部を陥凹変形させて、前記シャフトを該外被の中心軸線に沿って心出し保持する。
(3) 筒状をなす外被中に供給された熱硬化性樹脂は未だ流動状態を保持しているので、外被と共に下流側に給送された該熱硬化性樹脂は、加熱領域Cにおいて加熱がなされて硬化する。この加熱領域Cにおける加熱手段としては、後述する如く、誘導加熱原理や誘電加熱原理その他輻射加熱原理が各単体で、または適宜の組合わせとして用いられる。
(4) 加熱領域Cの下流側には引張り機構Dが設けられ、硬化した熱硬化性樹脂の本体部を外被で被覆したシャフト付き棒状体を引張って下流へ連続的に移送する。
(5) 引張り機構Dの下流側には外被の巻取り機構Eが設けられ、前記シャフト付き棒状体から外被を長手方向に剥ぎ取って巻取ることで、中味たる硬化後の熱硬化性樹脂の本体部を露出させる。なお、図2に示す全体構成には、外被の巻取り機構Eは設けられていないので、この場合は発泡体の本体部を外被で被覆してなるシャフト付き棒状体が製造される。
(6) 外被が剥ぎ取られて露出した熱硬化性樹脂のシャフト付き本体部は、定尺切断機構Fにおいて所定長に切断される。但し、図2の全体構成では外被を剥ぎ取らないので、前記定尺切断機構Fによる切断対象は発泡体の本体部を外被で被覆したシャフト付き棒状体そのものである。
【0015】
【樹脂供給機構Aについて】
図3は、熱可塑性樹脂10を供給して筒状の外被12に成形すると共に、流動状態にある熱硬化性樹脂14を該外被12の内部に供給する機構Aの概略断面図である。すなわち樹脂供給機構Aは、可塑化された熱可塑性樹脂10を円錐台状の外被12として連続押出しするクロスヘッドダイ16と、この外被12の外部輪郭形状を筒状に規制しつつ該外被12を冷却固化させるサイジングスリーブ18と、前記外被12の内部に熱硬化性樹脂14を充填供給する供給管20とから基本的に構成される。なお、樹脂供給機構Aにおけるサイジングスリーブ18の上流側には、シャフト供給源(図示せず)から長尺のシャフト80を筒状外被12の内側へ連続的に供給し得るようになっている。
【0016】
図3において、ホッパ22に貯留したペレット等の熱可塑性樹脂10は、外周に電熱ヒータ24が巻回配置され、内部に撹拌押出し用のオーガ26を同軸的に備えたシリンダ28に供給され、ここで加熱されて溶融し可塑化状態となる。前記シリンダ28の出口は、クロスヘッド30を介して前記クロスヘッドダイ16に連通接続され、該シリンダ28中の可塑化状態となった熱可塑性樹脂10は、モータ32により回転されるオーガ26により撹拌されつつ、該クロスヘッドダイ16から水平方向へ円錐台状に押出される。このクロスヘッドダイ16は外型16aと心型16bとからなり、2つの型16a,16bの間に画成した円錐台状のキャビティ34は、その開口部を図3の右方(下流側)へ指向させている。このキャビティ34の開口部は、得るべき棒状体の断面輪郭形状に相似した大なる輪郭形状(例えばリング状)となっている。また、クロスヘッドダイ16には、必要に応じて熱可塑性樹脂10の可塑化状態を温度調整するヒータが適宜設けられている。なお、前記熱可塑性樹脂10は、後述する如く棒状体の外被12となるものであり、この外被12は用途に応じて後工程で剥ぎ取られるか、剥ぎ取られることなく残存するものであるので、適宜の熱可塑性樹脂、例えばポリアミド等が好適に使用される。
【0017】
本実施例では、中心にシャフト80を予め挿通した棒状体48が製造され、従って若干の仕上げ工程を経ることで、例えばシャフト付きの事務用ロールを簡単かつ大量に生産することができる。すなわち図1〜図3において、前述の如く長尺のシャフト80が、サイジングスリーブ18の上流側に設けたシャフト供給源(図示せず)から、筒状に成形された外被12の内側へ連続的に供給される。このシャフト80は、最終製品の用途に応じて金属材質であっても、硬質または軟質のプラスチック等の樹脂系材質であってもよい。但し、図9で後述する如く、棒状体の加熱領域Bに誘導加熱装置100を使用する場合は、前記シャフト80の材質として、鉄系金属の如く誘導作用により自己発熱し得る磁性体が採用される。
【0018】
前記クロスヘッドダイ16は、その心型16bの中央に所要径の開口部84が設けられ、この開口部84に先に述べた熱硬化性樹脂14を供給する供給管20が、中心軸線を上方へ偏位させた形で挿入されている。前記クロスヘッドダイ16の下流側、すなわち図3の右方にはサイジングスリーブ18が水平に配設され、その中心軸線を該クロスヘッドダイ16の中心軸線に略整列させている。このサイジングスリーブ18は、クロスヘッドダイ16の前記リング状開口部から円錐台状に押出された熱可塑性樹脂10を筒状の外被12となすべく収束させて外部輪郭形状を規制し、筒状に成形された外被12の冷却固化を行なうと共に、前記シャフト心出し機構88が併設されるものである。
【0019】
例えばサイジングスリーブ18は、ドーナツ状に構成されると共に、その中央に所要径で軸方向に貫通する円筒孔36を有し、かつスリーブ本体の内部には環状空間をなすジャケット38が画成されている。このサイジングスリーブ18は、中心軸線を整列させて複数個(図示例では3基)が配設され、その一列をなす各円筒孔36の内周面は筒状外被12の外部輪郭形状を規制する。従って円筒孔36の内部輪郭形状は、得るべき棒状体の外部輪郭形状に略合致するよう設定してある。
【0020】
図3に示すサイジングスリーブ18のジャケット38は、以下の如く負圧が供給されたり、冷却水が循環供給されたりするチャンバーとして機能する。すなわち図3の第2列目に位置するサイジングスリーブ18のジャケット38には、前記円筒孔36に連通する細孔40が所要間隔で周方向に穿設され、該ジャケット38は図示しない負圧源に接続されている。従って、前記負圧源からの真空吸引によりジャケット38を負圧に保持すれば、前記細孔40を介して前記筒状をなす外被12を吸引して前記円筒孔36の内面に密着させることができる。但し、筒状をなす外被12および該外被12の内側に供給される熱硬化性樹脂14(後述)は、同じく後述する引張り機構Dにより下流側へ給送されるので、前記細孔40を介する負圧吸引の程度は該外被12の給送を妨げない強さに設定される。
【0021】
また、図3の第1列目および第3列目に位置するサイジングスリーブ18のジャケット38は、図示しない水等の冷却媒体供給部に接続し、該供給部から該ジャケット38へ冷却媒体の循環供給がなされる。そして、前記クロスヘッドダイ16から円錐台状に収束供給され、サイジングスリーブ18の円筒孔36により筒状に成形された熱可塑性樹脂10(可塑状態)を、前記ジャケット38により冷却固化させる。なお、熱可塑性樹脂10を冷却固化させる手段としては、サイジングスリーブ18の外周に多数の放熱用フィンを形成し、該フィンをファンで強制冷却する空冷式としてもよい。また図3には、長尺のシャフト80を連続的に筒状外被12の内側へ供給する場合に、該シャフト80を心出し状態で保持する心出し補助機構が示されている。例えば、前記クロスヘッドダイ16の左側、すなわち上流側の所要位置に、筒状外被12の中心軸線と整列する所要数の支持ローラ96が遊転状態で枢支されている。
【0022】
図3において、前記クロスヘッドダイ16には、流動状態にある熱硬化性樹脂14を前記筒状をなす外被12の内部に充填供給する供給管20が配設されている。すなわち供給管20は、流動状態にある熱硬化性樹脂14を貯留した供給タンク42に一端部が接続されると共に、その他端部を前記クロスヘッドダイ16を貫通して前記外被12の内側に臨ませている。前記供給タンク42と供給管20との間には、例えばスラリーポンプ44が設けられ、流動状態にある熱硬化性樹脂14の供給を容易化している。この熱硬化性樹脂14は、例えばウレタンを公知のメカニカルフロス法に供して得た樹脂発泡体であるが、先にも述べた如く、化学的発泡法により得た樹脂発泡体であってもよい。
【0023】
前記供給管20を介して筒状外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は、該外被12の内側において軸方向に充満して行くが、この外被12はサイジングスリーブ18における円筒孔36の内周面により規制されると共に、該サイジングスリーブ18を通過した後は冷却固化されている。従って供給後の熱硬化性樹脂14が、筒状外被12を半径方向外方へ膨隆させることはなく、結果として流動状態にある熱硬化性樹脂14を外被12が被覆することになる。但し、図3に示す時点では、筒状外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は未だ流動状態を保持しているので、該熱硬化性樹脂14を図7に示す加熱領域Cに通過させて、その熱硬化を進行させる。なお、後述の如く熱硬化性樹脂14は熱硬化させられるので、本明細書では、外被12により被覆された熱硬化性樹脂14の熱硬化した棒状部分を本体部46と称し、また該本体部46および外被12からなる棒状部分を全体として棒状体48と称する。
【0024】
【シャフト保持機構Bについて】
図3はシャフト保持機構Bの概略構成も示す側断面図であり、図4は、図3に示すシャフト保持機構BのIV−IV線横断面図である。また図5の(a),(b)および図6の(a),(b)は、シャフト保持機構Bが外被12の送りに従って動作する際の状態を要部拡大断面で示すものである。図3に示す如く、シャフト保持機構Bの中核をなすシャフト保持手段88は、前記サイジングスリーブ18の直下流に設けられ、矢印a,b,c,dの順序で矩形状軌跡を描いて移動するようになっている。
【0025】
すなわち、▲1▼シャフト保持手段88が矢印aの方向(半径方向内方)に移動すると、熱可塑性樹脂10からなる外被12および該外被12の内部へ供給されたばかりの熱硬化性樹脂14を介してシャフト80を保持して、該シャフト80を外被12の中心軸線に整列させた心出しを行ない、また▲2▼シャフト保持手段88は外被12の下流側への移動と同期して、該シャフト80を保持した状態のまま矢印bの方向に移動する。そして、▲3▼シャフト保持手段88が所要距離だけ下流側へ移動すると、シャフト80に対する保持を解放して矢印cの方向(半径方向外方)に移動し、次いで矢印dに示す如く、外被12の給送方向と逆の方向へ移動して原位置へ帰還する一連の動き(所謂ブロックモーション)を行なう。
【0026】
図4は、図3に示すシャフト保持手段88のIV−IV線横断面図であって、前記サイジングスリーブ18の直下流でかつ筒状外被12の半径方向外方にリング状枠体90が配設されて、その中心を該外被12の中心軸線と整列させている。図示例のリング状枠体90には、周方向に中心角90度で4つの押圧片92が設けられ、夫々の押圧片92は、適宜のリニアアクチュエータを駆動源とする進退駆動機構93により、半径方向内方へ進退自在に前進可能となっている。すなわちリング状枠体90に中心角90度で設けた4つの押圧片92は、同期的に前進指令を受けて半径方向内方へ一斉に前進し、図5および図6に関して説明する如く、シャフト80に対する保持をなし得るようになっている。また4つの押圧片92は、同期的に後退指令を受けて半径方向外方へ一斉に後退し、シャフト80に対する保持を解放し得るようになっている。更に、前記リング状枠体90は、図示しないブロックモーション機構に連携接続されて、図3に示した矢印a→b→c→dの順序で、適時の所謂ブロックモーションを反復し得るよう構成されている。
【0027】
前記押圧片92は、図4〜図6から判明する如く、例えば筒状外被12が移動する方向に沿って整列配置した複数の舌片状をなすスライダ94からなり、各スライダ94a,94b,94cは所要の順番と時間差とをもって、前記シャフト80へ向けて半径方向内方へ進退自在に前進し得るよう構成されている。例えば図5および図6に示す押圧片92は、5枚のスライダ94を積層させた構造になっており、最外側の左右2枚のスライダ94a,94a、内側における左右2枚のスライダ94b,94bおよび真中の1枚のスライダ94cは、前記進退駆動機構93に個別に接続されている。そして、これら5枚のスライダ94は、図5の(a),(b)および図6の(a),(b)に示す動作シーケンスをもって駆動される。
【0028】
すなわち図5の(a)では、前記サイジングスリーブ18を通過した直後の熱可塑性樹脂10からなる外被12および該外被12の内部へ供給されたばかりの熱硬化性樹脂14に対し、シャフト保持手段88の押圧片92は原位置にあって、前記シャフト80の保持を待機している。そして図示しない制御部から所要のタイミングで前記進退駆動機構93に前進指令が出力されると、図5の(b)に示すように、前記押圧片92を構成する5枚のスライダ94の内で最外側に位置する左右2枚のスライダ94a,94aが半径方向内方へ一斉に前進して、筒状外被12を内側へ所要寸法だけ陥凹変形させて停止する。
【0029】
次いで図6の(a)に示すように、前記押圧片92の内側に位置する左右2枚のスライダ94b,94bが半径方向内方へ一斉に前進して、筒状外被12を内側へ所要寸法だけ陥凹変形させて停止する。この場合のスライダ94b,94bの前進距離は、スライダ94a,94aの前進距離より僅かに大きく設定してあるので、前記筒状外被12の陥凹変形量はスライダ94a,94aによる陥凹変形量より大きくなっている。その後に、図6の(b)に示す如く、前記押圧片92における真中の1枚のスライダ94cが半径方向内方へ前進して筒状外被12を内側へ更に所要寸法だけ陥凹変形させ、前記シャフト80を押圧保持した状態で停止する。この場合のスライダ94cの前進距離は、スライダ94b,94bの前進距離より僅かに大きく設定してあるから、前記筒状外被12の陥凹変形量はスライダ94b,94bによる陥凹変形量より大きくなる(勿論、スライダ94cの先端は、陥凹変形した前記筒状外被12および熱硬化性樹脂14を介してシャフト80を保持している)。
【0030】
このように、スライダ94が図5の(a)から図6の(b)に進む間に、筒状外被12は除々に斜面状に陥凹変形されるものであって、外被12に無理な外力が加わることがなく、破れたり過度に変形したりする不都合を回避することができる。但し、仮にスライダ94での押圧により外被12が破れることがあっても、この時点で内部の熱硬化性樹脂14は未だ熱い状態にある外被12に接触して硬化が進行しつつあるので、その破孔から熱硬化性樹脂14が滲出することは殆どなく、以後のシャフト80に対する心出し機能は引続き維持される。なお、前記スライダ94に例えば電気ヒータを設けて、該スライダ94を所要温度に加熱するようにしておけば、筒状外被12の材質をなす熱可塑性樹脂10が固化しかけた状態であっても、該スライダ94により該外被12を好適に陥凹変形させることができる。また、前記スライダ94が筒状外被12に当接する部位周辺に熱風吹付けを行なって、該外被12の当該部位を軟化状態に保持するようにしておいても、同じく該スライダ94による該外被12の陥凹変形を好適に実施することができる。
【0031】
図5および図6には、筒状外被12を挟んで上下に2つの押圧片92,92が示されているが、先に述べた如く、本実施例では該押圧片92はリング状枠体90に中心角90度で4基設けられている。そして4基の押圧片92における各スライダ94は、同期的に前進指令を受けて半径方向内方へ一斉に前進するものであるが、個々のスライダ94の動作を経時的に観察すると、図5の(a)から図6の(b)に示すように、スライダ94a,94aが先ず前進動作し、次いでスライダ94b,94bが前進動作し、最後にスライダ94cが前進動作するシーケンスを採るようになっている。この一連の前進動作が終了し、かつ真中のスライダ94cによりシャフト80を心出し保持した状態で筒状外被12と同期して所要距離だけ下流側へ移動した後は、スライダ94a,94b,94cは、先と逆の動作を行なって(すなわち図6の(b)から図5の(a)の順で)、次回におけるシャフト80に対する保持を待機する。ちなみに各スライダ94a(94b,94c)は、図6の(b)に示すように、筒状外被12および内容物である熱硬化性樹脂14を介してシャフト80を心出し保持するものであるが、前記の如くスライダ94が筒状外被12を破ってしまう場合もあり得る。このときは、前記スライダ94はシャフト80に直接接触して保持することになる。この意味で前記シャフト保持手段88の実体をなす各スライダ94a(94b,94c)は、シャフト80を直接的または間接的に保持するものである。
【0032】
【棒状体の加熱領域Cについて】
図7は、前記筒状の外被12の内側に充填された流動性を有する熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる加熱領域Cを示している。すなわち加熱領域Cは、図1に示すように、前記サイジングスリーブ18の下流側に中心軸線を整列させて水平に配置した加熱装置50から基本的に構成され、この加熱装置50により流動状態にある前記熱硬化性樹脂14を加熱硬化させ、該熱硬化性樹脂14を棒状をなす発泡体の本体部46とするようになっている。
【0033】
前記加熱装置50は、筒状の外被12の内側に充填供給された流動性を有する熱硬化性樹脂14を、該外被12と共に下流側へ給送する途次において加熱硬化させるものであるから、そのような目的に適うものであれば、加熱原理としては、例えば誘導加熱、誘電加熱、輻射加熱等の各種提案がなされる。すなわち図7は、一例として、誘導加熱装置52と誘電加熱装置58とをその順序で直列に配設した状態を示す概略断面図であって、個々の装置の詳細は以下に説明される通りである。なお、これら各種の加熱原理による装置は、所要に応じて単独使用としても、複数基の使用としても、また配列順序を逆にするようにしてもよい。
【0034】
(誘導加熱装置について)
図7において符号52は、誘導加熱の原理により流動状態にある熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる装置を示している。この誘導加熱装置52は、流動状態にある熱硬化性樹脂14が内部に充填供給された筒状の外被12を内部通過させる、例えば鉄系金属のような磁性材質のパイプ54と、該パイプ54の外周に所要回数だけ巻回した誘導コイル56とから構成される。誘導コイル56は、図示しない高周波電流供給源に接続され、該誘導コイル56に所要の高周波電流を流すことで、該コイル56が巻回された前記磁性材質のパイプ54に誘導電流が生起される。このため前記パイプ54が自己発熱して所定温度まで昇温され、該パイプ54の内側を通過する筒状外被12が下流側へ給送される間に、該外被12中の熱硬化性樹脂14を加熱して硬化させるものである。
【0035】
すなわち筒状外被12に充填された熱硬化性樹脂14は、誘導加熱されたパイプ54の内部を通過するにつれて、該外被12により被覆された樹脂14の外側から中心軸(半径方向内方)へ向けて、次第にその硬化が進行することになる。なお、前述した如く外被12は、前記サイジングスリーブ18において熱可塑性樹脂10を冷却固化させて得られたものであるから、この誘導加熱されたパイプ54を通過するに際し、該外被12が熱損傷することのないよう、該パイプの温度上昇が抑制されていることは勿論である。
【0036】
(誘電加熱装置について)
図7において符号58は、誘電加熱の原理により流動状態にある熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる装置を示している。この誘電加熱装置58は、流動状態にある熱硬化性樹脂14が充填された前記外被12を通過させる、例えば塩化ビニル等の非金属を材質とするパイプ60と、該パイプ60の外周に所要数で配設した電極62とから構成されている。この電極62は、図示しないマグネトロン等の高周波供給源に接続され、該電極から例えば3,000MHzの極超短波(マイクロウェーブ)を発生させる。この極超短波は、非金属材質のパイプ60を透過して、外被12により被覆されている熱硬化性樹脂14に照射される。すなわち流動状態にあった熱硬化性樹脂14は、前記パイプ60の内側を通過する筒状外被12と共に下流側へ給送される間に、所謂分子振動を生じて摩擦熱を発生することで硬化される。
【0037】
この誘電加熱装置58によれば、筒状外被12に充填された熱硬化性樹脂14が前記パイプ60の内部を通過する際に、該熱硬化性樹脂14に照射された極超短波が樹脂全体を均一に分子振動させて、次第にその硬化を進行させるものである。なお、このように誘電加熱装置58によって熱硬化性樹脂14を誘電加熱させる場合も、前記外被12が過度に誘電加熱されて熱損傷することのないよう、該誘電加熱装置58に対する調節制御がなされている。
【0038】
(養生装置について)
図7において符号64は、加熱硬化後の熱硬化性樹脂14を引続き熱エネルギーの損失の少ない環境を通過させて、その硬化を更に緩徐に進行させるための養生装置を示している。この養生装置64は、例えば塩化ビニル等を材質とするパイプ66の外側に充分な断熱被覆68を施した断熱領域を構成するものである。すなわち、上流側に設けた前記加熱装置52,58を通過して硬化した直後の熱硬化性樹脂14に関して、該熱硬化性樹脂14からの急激な熱逃失を養生装置64により防止することで、前記本体部46(熱硬化性樹脂の発泡体からなる)における気泡の分散状態を均一かつ安定化させることができる。図示例の養生装置64では、充分な断熱処理を施した構成としたが、このように厳密に施した断熱構造に加えて、所要の電熱ヒータ等の積極加熱手段を設けるようにしてもよい。
【0039】
また図7では、上流側から下流側に向けて誘導加熱装置52,誘電加熱装置58および養生装置64の順で配列したが、この配列関係は本発明を限定するものでないことは勿論である。例えば、養生装置64は必須の構成部材ではないし、また誘導加熱装置52および誘電加熱装置58は選択的に1基だけとしてもよいし、更に配設順序は誘電加熱装置58を上流側に設け、その下流側に誘導加熱装置52を設けるようにしてもよい。
【0040】
(輻射加熱装置について)
図7には示さないが、前記加熱装置としては、流動状態にある熱硬化性樹脂14が充填された前記外被12を通過させる耐熱性に富む非金属材質のパイプと、該パイプの外周に巻回した電熱ヒータとから構成し、該ヒータに通電して輻射加熱を行なうことで、前記熱硬化性樹脂14を硬化させて前記本体部46とする輻射加熱装置を採用してもよい。
【0041】
【棒状体の引張り機構Dについて】
図8は、前記加熱領域Cを経た棒状体48(すなわち熱硬化性樹脂14が硬化した棒状の本体部46と、該本体部46を被覆した外被12)を引張って下流側へ移送する棒状体引張り機構Dを示す概略斜視図である。すなわち引張り機構Dは、長尺の棒状体48における給送軌跡を挟んで対向する一対のベルトコンベヤ70,70からなり、各ベルトコンベヤ70は、所要間隔だけ長手方向に離間させたプーリ72,72に巻掛けられている。対向し合う両ベルトコンベヤ70,70の間隙寸法は、給送すべき棒状体48の断面寸法より僅かに小さい程度に設定され、各コンベヤ70における少なくとも1つのプーリ72を回転駆動することで、該棒状体48を両側から押圧した状態下に下流側へ強制的に引張り移送し得るものである。従って図示例に係る引張り機構Dは、所謂サンドイッチコンベアを基本としており、この機構Dによって、最上流側に位置する前記樹脂供給機構Aにおける外被12の下流側への給送および加熱領域Cにおける棒状体48の下流側への給送が達成されている。
【0042】
図8には、前記引張り機構Dの下流側において外被12の巻取りを行なう外被巻取り機構Eが設けられている。この巻取り機構Eは、引張り機構Dにより下流側へ引張り移送される棒状体48(熱硬化性樹脂14を硬化させた発泡体の本体部46および外被12)から、外被12を長手方向に剥ぎ取ってリール等の巻取体74に巻取るもので、これにより前記棒状体48の中味をなす発泡体としての本体部46が全面的に露出される。なお、棒状体48から外被12を剥ぎ取るに際しては、引張り機構Dの直下流にナイフ(図示せず)を設け、該ナイフを外被12の下面に当てがって刺通することで、該棒状体48の移送に伴い該外被12の長手方向の切開がなされるようになっている。但し、外被12の巻取りは必ずしも要件ではない。従って図2の全体構成に示す如く、外被12の巻取り機構Eを設けなければ、発泡体をなす本体部46を外被12で被覆してなる棒状体48が連続的に製造されることになる。
【0043】
(棒状体の定尺切断機構Fについて)
図1および図2には、前記サンドイッチコンベヤからなる移送装置70の下流側に切断装置76が配設されている。すなわち切断装置76は上下一対のカッタ78,78からなり、両カッタ78,78はオリジナルポジションとなる切断待機位置で相互に大きく離間待機しているが、前記本体部46(棒状体48)が下流側へ給送されるのに同期して、相互に近接しつつ下流側へ所要距離だけ移動して該本体部46およびシャフト80を切断し、次いで相互に離間した後上流側へ所要距離だけ移動して切断待機位置に復帰する所謂ブロックモーションを行なうようになっている。この切断装置76によって、図1では外被12が剥ぎ取られた本体部46およびシャフト80の定尺切断がなされ、また図2では外被12により本体部46が被覆された棒状体48およびシャフト80の定尺切断がなされる。
【0044】
前述した定尺切断の場合に、前記シャフト80が所要の樹脂を材質としていれば、カッタ78,78による切断は容易であるが、該シャフト80の材質が金属等の硬いものであっても、これを排除するものではない。また、ここで使用されるシャフト80は、予め所要寸法長に定まったものであっても、コイル状に巻回された線材巻取体から順次繰出される長尺シャフトとしてのものであってもよい。なお、所定寸法長での切断がなされた本体部46または棒状体48は、図示しない次の工程に移送されて事務用機器のロール等に仕上げられる。
【0045】
図9は、図7と同じく棒状体48の加熱領域Cを示すものであって、前述した誘導加熱装置52、誘電加熱装置58または代替的に輻射加熱装置が、棒状体48(外被12で被覆された本体部46)の給送方向に沿って直列に適宜の配設パターンで設けられている。また棒状体48の給送経路には、前述した養生装置64も適宜配設してある。但し、棒状体48は前記シャフト80を備えているので、該シャフト80が鉄系金属のような磁性材質で構成されている場合は、次に述べる誘導加熱原理による加熱装置が好適に使用される。
【0046】
図9の棒状体加熱領域Cにおける誘導加熱装置52の上流側には、該誘導加熱装置52とは構成を若干異にする別の誘導加熱装置100が配設されている。すなわち誘導加熱装置100は、前記筒状の外被12(熱硬化性樹脂14が充填されている)を通過させる塩化ビニル等の非磁性体を材質とするパイプ102と、この非磁性材質のパイプ102の外周に巻回した誘導コイル104とから構成されている。前記誘導コイル104は、図示しない高周波電流供給源に接続してある。そして前記非磁性体を材質とするパイプ102中を、前記磁性材質のシャフト80を熱硬化性樹脂14と共に給送する過程で、前記誘導コイル104に通電すると、該シャフト80に誘導電流が生起される。このためシャフト80が自己発熱して所定温度まで昇温され、該シャフト80を取り囲んでいる熱硬化性樹脂14が加熱されて、棒状体48の中心側からの硬化が進行する。
【0047】
このように中心側から加熱されて硬化が進行し始めた棒状体48は、更に下流側の前記誘導加熱装置52に送られ、ここで該棒状体48における外周側の硬化を進行させる。なお、図9の実施例では、誘導加熱装置52の下流側にも、別の誘導加熱装置100が配設されている。この下流側の誘導加熱装置100は、前記誘導加熱装置52を通過する間に棒状体48の中心付近の温度が降下することがあるので、再度別の誘導加熱装置100を通過させることで、シャフト80の再加熱を行ない、これにより棒状体48の全体に亘る均一な加熱を達成するものである。また図9の例では、更に下流側に誘電加熱装置58および養生装置64が設けられており、これらの装置も、棒状体48における均一な径の気泡分布の確保に大きく貢献する。なお、下流側に誘導加熱装置100を設置することは必ずしも要件でなく、これは実際の稼働状況に応じて設ければ足りる。
【0048】
この加熱領域Cを通過した後の棒状体48は、図1または図2に示す如く、外被12の剥ぎ取りを行なって、または外被12の剥ぎ取りを行なうことなく、所定寸法長または任意の長さに切断される。これらの工程は、先に説明したところと全く同じなので、詳細説明は省略する。但し、棒状体48はシャフト80を備えているので、該棒状体48は図示しない後工程で、例えば事務機器用のシャフト付きロールとして仕上げられる。
【0049】
(シャフト付き棒状体の製造工程について)
次に、前述した各機構(領域)A〜Fを経由してシャフト付き棒状体48を製造する工程を概略的に説明する。図10は、実施例に係る製造方法の一連の流れを示す概略図であって、経時的に樹脂供給工程A→シャフト保持工程B→棒状体の加熱工程C→棒状体の引張り工程D→外被の巻取り工程E→棒状体の定尺切断工程Fに大別される。すなわち各工程を更に詳しく観察すると、上流側から下流側へ向けて熱可塑性樹脂の押出し工程(1)と、筒状外被の成形工程(2)と、長尺のシャフトを筒状外被の内側へ供給する工程(3)と、流動状態にある熱硬化性樹脂の充填工程(4)と、シャフトを筒状外被の中心軸線に整列するよう心出し保持する工程(5)と、熱硬化性樹脂の熱硬化工程(6)と、棒状体の引張り移送工程(7)と、外被の剥ぎ取り工程(8)と、棒状体等の定尺切断工程(9)とから構成されている。
【0050】
図10の熱可塑性樹脂の押出し工程(1)において、前記ホッパ22中の熱可塑性樹脂10は、オーガ26を備えたシリンダ28に供給され、該シリンダ28中で加熱されて溶融し可塑化状態となる。可塑化された熱可塑性樹脂10は、クロスヘッドダイ16から円錐台状に連続的に押出される。そして前記円錐台状に押出された熱可塑性樹脂10は、筒状外被の成形工程(2)へ送られ、サイジングスリーブ18で外部輪郭形状を規制されて筒状の外被12に成形される。またシャフト供給工程(3)において、筒状に成形された外被12の内部へ、長尺のシャフト80が上流側から連続的に供給される。
【0051】
更に熱硬化性樹脂の充填工程(4)では、前記筒状をなす外被12の内部へ流動状態にある熱硬化性樹脂14が、前記供給管20を介して供給される。前記供給管20から外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は、該外被12の内側において軸方向へ次第に充満して行く。なお、熱硬化性樹脂14が充填された筒状外被12は、前記サイジングスリーブ18における円筒孔36の内周面により半径方向外方への拡開が規制阻止されている。
【0052】
シャフトを外被の内側で心出し保持する工程(5)では、図5の(a)に示す原位置にあるシャフト保持手段88の押圧片92が、制御部から所要のタイミングで前進指令を受け、図5の(b)に示すように、前記押圧片92における最外側のスライダ94a,94aが半径方向内方へ前進して、筒状外被12を内側へ所要寸法だけ陥凹変形させる。次に図6の(a)に示す如く、押圧片92の内側に位置するスライダ94b,94bが半径方向内方へ前進して、筒状外被12を内側へ所要寸法だけ更に陥凹変形させる。最後に、図6の(b)に示す如く、押圧片92における真中のスライダ94cが半径方向内方へ前進して筒状外被12を内側へ更に陥凹変形させ、前記シャフト80を押圧保持した状態で停止する。
【0053】
なお、前記一連の動作を行なっている間も、筒状外被12は下流側へ所要の速度で移送されているから、シャフト保持手段88もこれと同期した速度で同じく下流側へ移動していることは前述した通りである。また前記一連の前進動作が終了し、かつ真中のスライダ94cによりシャフト80を心出し保持した状態で筒状外被12と同期して所要距離だけ下流側へ移動した後は、各スライダ94は、先と逆の動作を行なって図5の(a)に示す原位置に復帰し、次回におけるシャフト80に対する保持を待機する。
【0054】
筒状外被12に充填供給された熱硬化性樹脂14は、未だ流動状態を保持しているので、これを硬化させるために次の熱硬化工程(6)へ送られる。すなわち加熱領域50には、前述した誘導加熱原理、誘電加熱原理および輻射加熱原理等を適宜選択的または併合的に採用した加熱装置52,58および必要に応じて養生装置64が配設され、流動状態にあった熱硬化性樹脂14を熱硬化させることで、得るべきシャフト付き棒状体48における本体部46を製造する。なお、シャフト付き棒状体48は、先に述べた如く、筒状外被12および該外被12により被覆された本体部46の全体を指称するものである。前記引張り移送工程(7)では、前記各工程の最下流側に配設した移送装置70、例えば一対の対向配置したサンドイッチコンベヤによって、前記棒状体48の本体部46を、外被12と共に引張って下流側へ連続的に移送する工程が実施される。
【0055】
図10に示す外被の剥ぎ取り工程(8)は、選択的に入る工程であるが、必要度から云えば、むしろ必須の工程と考えられる。すなわち本製造方法により製造されるシャフト付き棒状体48は、硬化した熱硬化性樹脂の本体部46と、該本体部46を被覆している熱可塑性樹脂の筒状外被12とからなる。但し、一般に外被12は剥ぎ取り工程(8)において剥ぎ取られ、図1および図8に示すリール等の巻取体74にロール状に巻取られる。シャフト付き棒状体48から外被12が剥ぎ取られると、長尺な棒状の本体部46が露出することになる。この本体部46は、前述の如く熱硬化性樹脂14を熱硬化させた発泡体であるが、前記外被12の剥ぎ取りにより該本体部46の表面には全く継目が現われず、所謂シームレスの棒状発泡体が得られることになる。
【0056】
前記剥ぎ取り工程(8)を経たシームレスの棒状発泡体からなる本体部46または該剥ぎ取り工程(8)を経ない棒状体48(本体部46を筒状外被12で被覆したもの)は、定尺切断工程(9)に送られ、前記切断装置76に設けたカッタ78により所要長に順次切断される。所要長に切断された本体部46または棒状体48は、必要に応じて仕上げ工程に送られ、例えば表面の研削加工がなされて事務機器用ロールとして仕上げられる。なお、本体部46を外被12で被覆してなるシャフト付き棒状体48にあっては、前記切断工程(9)で切断することは必ずしも要件でなく、そのまま別工程へ送り出したり、一般のユーザーへ長尺物として出荷したりしてもよい。
【0057】
本実施例では、所謂メカニカルフロス法により機械的に発泡させた熱硬化性樹脂14を使用して、微細かつ気泡径が長手方向に均一に揃った連続発泡の気泡(セル)を有する発泡体のシャフト付き棒状体48を製造する例を挙げ、かつ断面が円形で事務機器用ロールとして最適な棒状体48を想定したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば断面が楕円形であったり、多角形であったりする発泡体の棒状体48を製造することもできる。また、シャフト付き棒状体48から外被12を剥ぎ取って、中味をなす本体部46を露出させることは要件でなく、用途によっては、外被12による被覆を設けたままのシャフト付き棒状体48として使用してもよい。更にシャフト付き棒状体48は、定尺寸法物であっても、任意寸法長のものであってもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係るシャフト付き棒状体の製造方法によれば、流動状態にあった熱硬化性樹脂を加熱硬化させて、全体として均一な気泡径が達成された発泡体としての棒状体を連続的に効率良く製造し得る、という優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法を好適に実施し得る棒状体製造装置の全体的な構成を示す概略図であって、シャフト付き棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置が付加されている。
【図2】図1に係る棒状体製造装置の全体的な構成を示す概略図で、シャフト付き棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置は設けられていない。
【図3】熱可塑状態にある熱可塑性樹脂および流動状態にある熱硬化性樹脂を供給する機構並びにシャフト保持機構の概略断面図である。
【図4】図3に示すシャフト保持機構のIV−IV線横断面図である。
【図5】 (a)および(b)は、シャフト保持機構が外被の送りに従って動作する際の経時状態を示す要部拡大断面図である。
【図6】同じく(a)および(b)は、シャフト保持機構が外被の送りに従って動作する際の経時状態を示す要部拡大断面図である。
【図7】一例として、誘導加熱装置と誘電加熱装置とを直列に配設した状態を示す概略断面図である。
【図8】加熱領域を経たシャフト付き棒状体を引張って下流側へ移送する棒状体引張り機構の概略斜視図である。
【図9】別の実施形態で使用される加熱領域の概略断面図である。
【図10】実施例に係るシャフト付き棒状体の製造方法を概略的に示す工程図である。
【図11】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、流動性樹脂原料の発泡に使用するロール成形金型を示す平面図である。
【図12】図11に示すロール成形金型に樹脂ロールが成形された際の内部状態を示す断面図である。
【図13】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、ロール成形金型による樹脂ロール製造装置および工程を概略的に示す斜視図である。
【図14】図11に示すロール成形金型に流動性樹脂原料を注入した際の、該原料の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 熱可塑性樹脂 12 外被
14 熱硬化性樹脂 16 ダイ(クロスヘッドダイ)
16a 外型 16b 心型
18 サイジングスリーブ 20 供給管
22 ホッパ 24 電熱ヒータ
26 オーガ 28 シリンダ28
30 クロスヘッド 32 モータ
34 キャビティ 36 円筒孔(スリーブ内面)
38 ジャケット 40 細孔
42 供給タンク(供給源) 44 スラリーポンプ
46 本体部 48 棒状体
50 加熱装置 52 誘導加熱装置
54 パイプ(磁性材質) 56 誘導コイル
58 誘電加熱装置 60 パイプ(非金属材質)
62 電極 64 養生装置
66 パイプ(塩化ビニル) 68 断熱被覆
70 ベルトコンベヤ 72 プーリ
74 巻取体(リール) 76 切断装置
78 カッタ 80 シャフト
84 開口部 88 シャフト保持手段
90 リング状枠体 92 押圧片
93 進退駆動機構 94 スライダ
96 支持ローラ
100 誘導加熱装置 102 パイプ(非磁性材質)
104 誘導コイル
A 樹脂供給機構 B シャフト保持機構
C 棒状体の加熱領域
D 棒状体の引張り機構 E 外被の巻取り機構
F 棒状体の定尺切断機構

Claims (6)

  1. 加熱して可塑化させた熱可塑性樹脂(10)を、ダイ(16)から連続的に押出す工程と、
    前記押出された熱可塑性樹脂(10)をサイジングスリーブ(18)に通過させ、その外部輪郭形状を規制して筒状の外被(12)を成形する工程と、
    前記筒状に成形された外被(12)の内部へ、その上流側からシャフト(80)を供給する工程と、
    流動状態にある熱硬化性樹脂(14)を、筒状に成形された外被(12)の内部に供給管(20)を介して充填供給する工程と、
    シャフト保持手段(88)を前記シャフト(80)へ向け半径方向内方へ移動させて、前記外被(12)および熱硬化性樹脂(14)を陥凹変形させた状態で該シャフト(80)を保持すると共に、該外被(12)の中心軸線に沿って所要距離だけ下流側へ移動した後、該シャフト(80)を解放して原位置へ帰還する動きを反復する工程と、
    前記各工程の最下流側に配設した移送装置(70)により、前記シャフト(80)を内部に有する棒状体(48)の本体部(46)を前記外被(12)と共に引張り移送する工程とからなることを特徴とするシャフト付き棒状体の製造方法。
  2. 加熱して可塑化させた熱可塑性樹脂(10)を、ダイ(16)から連続的に押出す工程と、
    前記押出された熱可塑性樹脂(10)をサイジングスリーブ(18)に通過させ、その外部輪郭形状を規制して筒状の外被(12)を成形する工程と、
    前記筒状に成形された外被(12)の内部へ、その上流側からシャフト(80)を供給する工程と、
    流動状態にある熱硬化性樹脂(14)を、筒状に成形された外被(12)の内部に供給管(20)を介して充填供給する工程と、
    シャフト保持手段(88)を前記シャフト(80)へ向け半径方向内方へ移動させて、前記外被(12)および熱硬化性樹脂(14)を陥凹変形させた状態で該シャフト(80)を保持すると共に、該外被(12)の中心軸線に沿って所要距離だけ下流側へ移動した後、該シャフト(80)を解放して原位置へ帰還する動きを反復する工程と、
    前記外被(12)の内部に供給されて流動状態にある前記熱硬化性樹脂(14)およびシャフト(80)を加熱領域(50)に通過させ、該熱硬化性樹脂(14)を硬化させて棒状体(48)の本体部(46)となす工程と、
    前記各工程の最下流側に配設した移送装置(70)により、前記シャフト(80)を内部に有する棒状体(48)の本体部(46)を前記外被(12)と共に引張り移送する工程とからなることを特徴とするシャフト付き棒状体の製造方法。
  3. 前記シャフト保持手段(88)は、前記サイジングスリーブ(18)の下流側に位置すると共に、前記筒状外被(12)の半径方向外方において周方向に所要間隔で設けた所要数の押圧片(92)からなり、夫々の押圧片(92)は前記シャフト(80)へ向けて半径方向内方へ進退自在に前進することで、該シャフト(80)を直接的または間接的に保持する請求項1または2記載のシャフト付き棒状体の製造方法。
  4. 前記押圧片(92)は、筒状外被(12)の移動方向に沿って整列配置した複数枚のスライダ(94)からなり、夫々のスライダ(94)は所要の順番と時間差とをもって前記シャフト(80)へ向けて半径方向内方へ進退自在に前進するようになっている請求項3記載のシャフト付き棒状体の製造方法。
  5. 前記流動状態にある熱硬化性樹脂(14)は機械的または化学的に発泡させた発泡体であって、該熱硬化性樹脂(14)を硬化させて得られた棒状体(48)における本体部(46)は連通気泡構造となっている請求項1〜4の何れかに記載のシャフト付き棒状体の製造方法。
  6. 前記流動状態にある熱硬化性樹脂(14)は機械的または化学的に発泡させた発泡体であって、該熱硬化性樹脂(14)を硬化させた本体部(46)に前記熱可塑性樹脂(10)からなる外被(12)を一体的に成形して前記棒状体(48)となし、該本体部(46)は連通気泡構造または独立気泡構造となっている請求項1〜4の何れかに記載のシャフト付き棒状体の製造方法。
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