JP2004351779A - シームレス棒状体 - Google Patents
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Abstract
【課題】全体として均一な気泡径が達成され、分割金型のパーティングラインに起因するシーム(継目)を生ずることのない所謂シームレスの棒状体を提供する。
【解決手段】熱硬化後の熱硬化性樹脂を材質とする棒状本体部46と、固化後の熱可塑性樹脂を材質とし、該棒状本体部46を被覆するよう一体成形した外被12とから構成する。ここで前記熱硬化性樹脂は機械的または化学的に発泡させた発泡体であって、前記棒状本体部46は連通気泡構造とし得る。また前記外被を剥ぎ取ることで、前記棒状本体部46だけとし得る。
【選択図】 図1
【解決手段】熱硬化後の熱硬化性樹脂を材質とする棒状本体部46と、固化後の熱可塑性樹脂を材質とし、該棒状本体部46を被覆するよう一体成形した外被12とから構成する。ここで前記熱硬化性樹脂は機械的または化学的に発泡させた発泡体であって、前記棒状本体部46は連通気泡構造とし得る。また前記外被を剥ぎ取ることで、前記棒状本体部46だけとし得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はシームレス棒状体に関し、更に詳細には、流動状態にあった熱硬化性樹脂を加熱硬化させて、全体として均一な気泡径が達成された発泡体としての棒状体であって、分割金型のパーティングラインに起因する合せ筋(シーム)を生ずることのない所謂シームレスの棒状体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コピー機やファクシミリ等の画像処理機器には、潜像転写や送紙・給紙等を行なうロールが多数設けられている。このロールは、例えばマイクロセル構造を有する高機能ウレタン素材を所要長の丸棒体として成形し、これにシャフトを同軸的に挿通配置した構造になっている。前記ロールを構成するマイクロセル構造のウレタン素材を製造するには、ウレタン原料に水や発泡材を添加せず、乾燥エアーや窒素等の造泡用ガスを該原料に混合しながら機械的に攪拌して発泡体とする方法(所謂「メカニカルフロス法」)が好適に採用されている。このメカニカルフロス法の採用により得られるロールは、その内部に含まれる気泡の大きさが略同一で、しかも均質に分散している等の優れた構造的特徴を有している。このため最終製品としてのロールは、例えば紙等のシート状の被搬送物を給送する際に要求される外周面の押圧力、すなわちニップ圧(ニップ量)が一定となって、スリップすることなく円滑に給送をなし得る等の利点を有する。
【0003】
前記メカニカルフロス法によってウレタン発泡体のロールを製造する従来方法を、その製造装置との関係で以下に説明する。このロールは、前述した造泡用ガスとウレタン原料とを混合した流動性のある流動性樹脂原料Mを、図7〜図10に示すように、得るべき製品の外部輪郭形状に略合致するキャビティ218を有する成形型216内に注入することで成形される。すなわち成形型216は、図9に示す如く、複数のキャビティ半体220を分割面上に凹設した一対の金型半体222,222を開閉自在に蝶番軸支したもので、各成形型216は搬送ライン上に所要間隔で多数載置されている。また成形型216の所定位置には、流動性樹脂原料Mを注入するための注入孔224が、夫々のキャビティ218に連通するよう開設されている。更に夫々の金型半体222には、各キャビティ半体220の中心軸線に沿った部位に断面が半円状をなす溝226が形成されており、該成形型216が開放された際に、この溝226に丸棒状の中子228が装着されるようになっている。
【0004】
前記成形型216は、図9に示す工程で使用されて、樹脂ロールRの製造がなされる。すなわち、製造ラインMLの所定位置に設けた中子装着ステーションCSにおいて、上流側から到来した成形型216は停止する。そして成形型216の一方の金型半体222を上方へ回動させて、キャビティ半体220を開放させる。この状態で、他方の金型半体222における夫々のキャビティ半体220に、前記半丸状の溝226を介して中子228を夫々装着する。この中子228は、最終製品となる樹脂ロールRに同心的に挿通配置されるシャフトと同じ外径寸法で、かつ該ロールRに要求される軸方向の長さより充分大きい長さに設定した棒状部材である。すなわち中子228は、前記溝226に装着されることでキャビティ半体220の中心軸心に整列して延在する。
【0005】
前記中子228が装着された成形型216は、上方の金型半体222を回動させることで型閉めがなされ、次いで1ブロック分だけ製造ラインMLに沿って下流側の原料注入ステーションRSへ移動される。また、上流側に位置していた別の成形型216が下流側に搬送され、前記中子装着ステーションCSに到来すると、同様にして各キャビティ218への中子228の装着がなされる。製造ラインMLの原料注入ステーションRSに到来した成形型216へは、原料注入装置232からの流動性樹脂原料Mが、前記注入孔224を介して注入される。この流動性樹脂原料Mが注入された成形型216は、製造ラインMLの下流側に設けたトンネル加熱炉234により加熱される。この加熱により流動性樹脂原料Mは、成形型216のキャビティ218内で反応・硬化し、該キャビティ218の内部輪郭形状を外部輪郭形状とするロールRに成形される。なおトンネル加熱炉234は、製造ラインMLに沿って設けた所要長の加熱炉であって、内部温度が流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要な所要温度に制御・保持されている。
【0006】
トンネル加熱炉234での反応・硬化終了後、前記成形型216は更に下流側に位置する脱型ステーションDSに搬送される。この脱型ステーションDSで成形型216は、上方の金型半体222を回動させることで開放される。この状態下に、前記中子228を前記溝226から持上げることで、発泡体の樹脂ロールRがキャビティ半体220から脱型される。そして、中子228をロールRから引き抜くことで中空の成形品が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記成形型216を使用した製造装置によれば、キャビティ218の内部で流動性樹脂原料Mに熱が加えられ、反応・硬化の過程を経ることで所期の樹脂ロールRが得られる。しかしこの製造装置は、一対の金型半体222,222に画成されるキャビティ218へ流動性樹脂原料Mを注入し、これを熱硬化させて樹脂ロールRを形成するものであるから、得られる樹脂ロールRの外表面には両金型半体の合わせ面(パーティングライン)に沿って所謂合せ筋(シーム)が残る難点がある。このシームは、製品としての樹脂ロールの商品価値や品質を低下させるものであるので、最終工程でロール表面に研削を施して、該シームを除去する必要があり余分な手間やコストを生ずる難点があった。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、全体として均一な気泡径が達成され、分割金型のパーティングラインに起因するシーム(継目)を生ずることのない所謂シームレスの棒状体を提供することを目的とする。
【0009】
【発明を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係るシームレス棒状体は、熱硬化後の熱硬化性樹脂を材質とする棒状本体部と、固化後の熱可塑性樹脂を材質とし、前記棒状本体部を被覆するよう一体成形した外被とから構成したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係るシームレス棒状体につき、これを好適に製造し得る装置との関係において、好適な実施例を挙げて添付図面と共に以下説明する。本発明に係るシームレス棒状体は、硬化した熱硬化性樹脂の棒状本体部と、該棒状本体部を被覆している熱可塑性樹脂の外被とからなるが、この外被は一般に剥ぎ取られて本体部のみが使用される。但し、外被を有する棒状体そのままで使用される場合もある。また硬化した熱硬化性樹脂の本体部は、後述する如く、メカニカルフロス法による発泡体であっても、また化学的発泡法による発泡体であってもよく、主として事務用機器等の各種ロールとして使用されるが、用途はこれに限定されるものではない。そして棒状体の本体部をなす発泡体は、連通気泡構造であっても、独立気泡構造の何れであってもよいが、従来技術の如く分割金型を使用することなく製造されるため、金型合わせ面に起因するシーム(継ぎ目)を有しない所謂シームレスの発泡体となる。更に棒状体または該棒状体から外被を剥ぎ取った本体部の横断面は、一般に円形とされるが、前記外被は後述するサイジングスリーブによって、それ以外の楕円形や多角形にもなし得る。
【0011】
図1〜図5は、本発明に係るシームレス棒状体を製造する装置の実施形態を示し、図1は該製造装置の全体的な構成を示す概略図で、棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置を付加したものであり、図2は同様の概略全体図であるが、前記外被の剥ぎ取り装置を備えていない。
【0012】
図1および図2において、符号Aは熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構、符号Bは棒状体の加熱領域、符号Cは棒状体の引張り機構、符号Dは外被の巻取り機構(但し、図2には存在しない)、符号Eは棒状体の定尺切断機構を示している。また図3は、図1の熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構Aを示し、図4は、図1の棒状体の加熱領域Bを示し、図5は、図1の棒状体の引張り機構Cおよび外被の巻取り機構Dを示している。
【0013】
【全体構成について】
(1) 図1の全体略図において、上流側に位置する樹脂供給機構Aでは、熱可塑性樹脂が筒状の外被として連続成形されると共に、この外被中に流動状態にある熱硬化性樹脂(発泡性の樹脂)が充填供給される。筒状に成形された外被はここで冷却固化され、得るべき棒状体の外部輪郭形状に略合致する外部輪郭形状に規定される。
(2) 筒状をなす外被中に供給された熱硬化性樹脂は未だ流動状態を保持しているので、外被と共に下流側に給送された該熱硬化性樹脂は、加熱領域Bにおいて加熱がなされて硬化する。この加熱領域Bにおける加熱手段としては、後述する如く、誘導加熱原理や誘電加熱原理その他輻射加熱原理が各単体で、または適宜の組合わせとして用いられる。
(3) 加熱領域Bの下流側には引張り機構Cが設けられ、硬化した熱硬化性樹脂の本体部が外被で被覆された棒状体を引張って下流へ連続的に移送する。
(4) 引張り機構Cの下流側には外被の巻取り機構Dが設けられ、前記棒状体から外被を長手方向に剥ぎ取って巻取ることで、中味たる硬化後の熱硬化性樹脂の本体部を露出させる。なお、図2に示す全体構成には、外被の巻取り機構Dは設けられていないので、発泡体の本体部を外被で被覆してなる棒状体が、このラインでは製造されることになる。
(5) 外被が剥ぎ取られて露出した熱硬化性樹脂の本体部は、定尺切断機構Eにおいて所定長に切断される。但し、図2の全体構成では外被を剥ぎ取らないので、前記定尺切断機構Eによる切断対象は発泡体の本体部を外被で被覆した棒状体そのものである。なお、製造者やユーザーの希望するところに従い、棒状体から外被を剥ぎ取った本体部も、また外被を剥ぎ取らないままにした棒状体も、定尺切断機構Eによる定尺切断は行なうことなく、下流側で大径のドラム等に所要長だけ巻取ってから切断分離される場合もある。
【0014】
【熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構Aについて】
図3は、熱可塑性樹脂10を供給して筒状の外被12に成形すると共に、流動状態にある熱硬化性樹脂14を該外被12の内部に供給する樹脂供給機構Aの概略断面図である。すなわち樹脂供給機構Aは、可塑化された熱可塑性樹脂10を筒状の外被12として連続押出しするクロスヘッドダイ16と、筒状の外被12の外部輪郭形状を規制しつつ該外被12を冷却固化させるサイジングスリーブ18と、前記外被12の内部に熱硬化性樹脂14を充填供給する供給管20とから基本的に構成される。
【0015】
ホッパ22に貯留したペレット等の熱可塑性樹脂10は、外周に電熱ヒータ24が巻回配置されると共に、内部に撹拌押出し用のオーガ26を同軸的に備えたシリンダ28に供給され、ここで加熱されて溶融し可塑化状態となる。前記シリンダ28の出口は、クロスヘッド30を介して前記クロスヘッドダイ16に連通接続され、該シリンダ28中の可塑化状態となった熱可塑性樹脂10は、モータ32により回転されるオーガ26により撹拌されつつ、該クロスヘッドダイ16から水平方向へ円錐台状に押出される。このクロスヘッドダイ16は外型16aと心型16bとからなり、2つの型16a,16bの間に画成した円錐台状のキャビティ34は、その開口部を図3の右方(下流側)へ指向させている。このキャビティ34の開口部は、得るべき棒状体の断面輪郭形状に相似した大なる輪郭形状(例えばリング状)となっている。また、クロスヘッドダイ16には、必要に応じて熱可塑性樹脂10の可塑化状態を温度調整するヒータが適宜設けられている。なお、前記熱可塑性樹脂10は、後述する如く棒状体の外被12となるものであり、この外被12は用途に応じて後工程で剥ぎ取られるか、剥ぎ取られることなく残存するものであるので、適宜の熱可塑性樹脂、例えばポリアミド等が好適に使用される。
【0016】
前記クロスヘッドダイ16の下流側、すなわち図3の右方にはサイジングスリーブ18が水平に配設され、その中心軸線を該クロスヘッドダイ16の中心軸線に略整列させている。このサイジングスリーブ18は、クロスヘッドダイ16の前記リング状開口部から円錐台状に押出された熱可塑性樹脂10を筒状の外被12となすべく収束させて外部輪郭形状を規制し、筒状に成形された外被12の冷却固化を行なうものである。例えばサイジングスリーブ18は、ドーナツ状に構成されると共に、その中央に所要径で軸方向に貫通する円筒孔36(すなわちスリーブ内面)を有し、かつスリーブ本体の内部には環状空間をなすジャケット38が画成されている。このサイジングスリーブ18は、中心軸線を整列させて複数個(図示例では3基)が配設され、その一列をなす各円筒孔36の内周面は筒状外被12の外部輪郭形状を規制する。従って円筒孔36の内部輪郭形状は、得るべき棒状体の外部輪郭形状に略合致するよう設定してある。
【0017】
前記サイジングスリーブ18のジャケット38は、以下の如く冷却水が循環供給されたり、負圧に保持されたりするチャンバーとして機能する。例えば、図3において第1列目および第3列目に位置する各サイジングスリーブ18のジャケット38は、図示しない水等の冷却媒体供給部に接続し、該供給部から該ジャケット38へ冷却媒体の循環供給がなされる。そして、前記クロスヘッドダイ16から円錐台状に収束供給され、サイジングスリーブ18の円筒孔36により筒状に成形された熱可塑性樹脂10(可塑状態)を、前記夫々のジャケット38により冷却固化させる。なお、熱可塑性樹脂10を冷却固化させる手段としては、サイジングスリーブ18の外周に多数の放熱用フィンを形成し、該フィンをファンで強制冷却する空冷式としてもよい。
【0018】
また第2列目、すなわち中間に位置するサイジングスリーブ18のジャケット38には、前記円筒孔36に連通する細孔40が所要間隔で周方向に穿設され、該ジャケット38は図示しない負圧源に接続されている。従って、前記負圧源からの真空吸引によりジャケット38を負圧に保持すれば、前記細孔40を介して前記筒状をなす外被12を吸引して前記円筒孔36の内面に密着させることができる。但し、筒状をなす外被12および該外被12の内側に供給される熱硬化性樹脂14(後述)は、同じく後述する引張り機構Cにより下流側へ給送されるので、前記細孔40を介する負圧吸引の程度は該外被12の給送を妨げない強さに設定される。
【0019】
図3において、前記クロスヘッドダイ16には、該ダイ16の中心軸線に軸心を略一致させて、流動状態にある熱硬化性樹脂14を前記筒状をなす外被12の内部に充填供給する供給管20が配設されている。すなわち供給管20は、流動状態にある熱硬化性樹脂14を貯留した供給タンク42に一端部が接続されると共に、その他端部を前記クロスヘッドダイ16を貫通して前記外被12の内側に臨ませている。前記供給タンク42と供給管20との間には、例えばスラリーポンプ44が設けられ、流動状態にある熱硬化性樹脂14の供給を容易化している。この熱硬化性樹脂14は、例えばウレタンを公知のメカニカルフロス法に供して得た樹脂発泡体であるが、先にも述べた如く、化学的発泡法により得た樹脂発泡体であってもよい。
【0020】
前記供給管20を介して筒状外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は、該外被12の内側において軸方向に充満して行き、この外被12はサイジングスリーブ18における円筒孔36の内周面により規制されると共に、該サイジングスリーブ18を通過した後は冷却固化されている。従って供給後の熱硬化性樹脂14が、筒状外被12を半径方向外方へ膨隆することはなく、結果として流動状態にある熱硬化性樹脂14を外被12が被覆することになる。但し、図3に示す時点では、筒状外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は未だ流動状態を保持しているので、該熱硬化性樹脂14を図4に示す加熱領域Bに通過させて、その熱硬化を進行させる。なお、後述の如く熱硬化性樹脂14は熱硬化させられるので、本明細書では、外被12により被覆された熱硬化性樹脂14の熱硬化した棒状部分を本体部46と称し、また該本体部46および外被12からなる棒状部分を全体として棒状体48と称する。
【0021】
【棒状体の加熱領域Bについて】
図4は、前記筒状の外被12の内側に充填された流動性を有する熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる加熱領域Bを示している。すなわち加熱領域Bは、図1に示すように、前記サイジングスリーブ18の下流側に中心軸線を整列させて水平に配置した加熱装置50から基本的に構成され、この加熱装置50により流動状態にある前記熱硬化性樹脂14を加熱硬化させ、該熱硬化性樹脂14を棒状をなす発泡体の本体部46とするようになっている。
【0022】
前記加熱装置50は、筒状の外被12の内側に充填供給された流動性を有する熱硬化性樹脂14を、該外被12と共に下流側へ給送する途次において加熱硬化させるものであるから、そのような目的に適うものであれば、加熱原理としては、例えば誘導加熱、誘電加熱、輻射加熱等の各種提案がなされる。すなわち図4は、一例として、誘導加熱装置52と誘電加熱装置58とをその順序で直列に配設した状態を示す概略断面図であって、個々の装置の詳細は以下に説明される通りである。なお、これら各種の加熱原理による装置は、所要に応じて単独使用としても、複数基の使用としても、また配列順序を逆にするようにしてもよい。
【0023】
(誘導加熱装置について)
図4において符号52は、誘導加熱の原理により流動状態にある熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる装置を示している。この誘導加熱装置52は、流動状態にある熱硬化性樹脂14が内部に充填供給された筒状の外被12を内部通過させる、例えば鉄系金属のような磁性材質のパイプ54と、該パイプ54の外周に所要回数だけ巻回した誘導コイル56とから構成される。誘導コイル56は、図示しない高周波電流供給源に接続され、該誘導コイル56に所要の高周波電流を流すことで、該コイル56が巻回された前記磁性材質のパイプ54に誘導電流が生起される。このため前記パイプ54が自己発熱して所定温度まで昇温され、該パイプ54の内側を通過する筒状外被12が下流側へ給送される間に、該外被12中の熱硬化性樹脂14を加熱して硬化させるものである。
【0024】
すなわち筒状外被12に充填された熱硬化性樹脂14は、誘導加熱されたパイプ54の内部を通過するにつれて、該外被12により被覆された樹脂14の外側から中心軸(半径方向内方)へ向けて、次第にその硬化が進行することになる。なお、前述した如く外被12は、前記サイジングスリーブ18において熱可塑性樹脂10を冷却固化させて得られたものであるから、この誘導加熱されたパイプ54を通過するに際し、該外被12が熱損傷することのないよう、該パイプの温度上昇が抑制されていることは勿論である。
【0025】
(誘電加熱装置について)
図4において符号58は、誘電加熱の原理により流動状態にある熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる装置を示している。この誘電加熱装置58は、流動状態にある熱硬化性樹脂14が充填された前記外被12を通過させる、例えば塩化ビニル等の非金属を材質とするパイプ60と、該パイプ60の外周に所要数で配設した電極62とから構成されている。この電極62は、図示しないマグネトロン等の高周波供給源に接続され、該電極から例えば3,000MHzの極超短波(マイクロウェーブ)を発生させる。この極超短波は、非金属材質のパイプ60を透過して、外被12により被覆されている熱硬化性樹脂14に照射される。すなわち流動状態にあった熱硬化性樹脂14は、前記パイプ60の内側を通過する筒状外被12と共に下流側へ給送される間に、所謂分子振動を生じて摩擦熱を発生することで硬化される。
【0026】
この誘電加熱装置58によれば、筒状外被12に充填された熱硬化性樹脂14が前記パイプ60の内部を通過する際に、該熱硬化性樹脂14に照射された極超短波が樹脂全体を均一に分子振動させて、次第にその硬化を進行させるものである。なお、このように誘電加熱装置58によって熱硬化性樹脂14を誘電加熱させる場合も、前記外被12が過度に誘電加熱されて熱損傷することのないよう、該誘電加熱装置58に対する調節制御がなされている。
【0027】
(養生装置について)
図4において符号64は、加熱硬化後の熱硬化性樹脂14を引続き熱エネルギーの損失の少ない環境を通過させて、その硬化を更に緩徐に進行させるための養生装置を示している。この養生装置64は、例えば塩化ビニル等を材質とするパイプ66の外側に充分な断熱被覆68を施した断熱領域を構成するものである。すなわち、上流側に設けた前記加熱装置52,58を通過して硬化した直後の熱硬化性樹脂14に関して、該熱硬化性樹脂14からの急激な熱逃失を養生装置64により防止することで、前記本体部46(熱硬化性樹脂の発泡体からなる)における気泡の分散状態を均一かつ安定化させることができる。図示例の養生装置64では、充分な断熱処理を施した構成としたが、このように厳密に施した断熱構造に加えて、所要の電熱ヒータ等の積極加熱手段を設けるようにしてもよい。
【0028】
また図4では、上流側から下流側に向けて誘導加熱装置52,誘電加熱装置58および養生装置64の順で配列したが、この配列関係は本発明を限定するものでないことは勿論である。例えば、養生装置64は必須の構成部材ではないし、また誘導加熱装置52および誘電加熱装置58は選択的に1基だけとしてもよいし、更に配設順序は誘電加熱装置58を上流側に設け、その下流側に誘導加熱装置52を設けるようにしてもよい。
【0029】
(輻射加熱装置について)
図4には示さないが、前記加熱装置としては、流動状態にある熱硬化性樹脂14が充填された前記外被12を通過させる耐熱性に富む非金属材質のパイプと、該パイプの外周に巻回した電熱ヒータとから構成し、該ヒータに通電して輻射加熱を行なうことで、前記熱硬化性樹脂14を硬化させて前記本体部46とする輻射加熱装置を採用してもよい。
【0030】
【棒状体の引張り機構Cについて】
図5は、前記加熱領域Bを経た棒状体48(すなわち熱硬化性樹脂14が硬化した棒状の本体部46と、該本体部46を被覆した外被12)を引張って下流側へ移送する棒状体引張り機構Cを示す概略斜視図である。すなわち引張り機構Cは、長尺の棒状体48における給送軌跡を挟んで対向する一対のベルトコンベヤ70,70からなり、各ベルトコンベヤ70は、所要間隔だけ長手方向に離間させたプーリ72,72に巻掛けられている。対向し合う両ベルトコンベヤ70,70の間隙寸法は、給送すべき棒状体48の断面寸法より僅かに小さい程度に設定され、各コンベヤ70における少なくとも1つのプーリ72を回転駆動することで、該棒状体48を両側から押圧した状態下に下流側へ強制的に引張り移送し得るものである。従って図示例に係る引張り機構Cは、所謂サンドイッチコンベヤを基本としており、この機構Cによって、最上流側に位置する前記樹脂供給機構Aにおける外被12の下流側への給送および加熱領域Bにおける棒状体48の下流側への給送が達成されている。
【0031】
図5には、前記引張り機構Cの下流側において外被12の巻取りを行なう外被巻取り機構Dが設けられている。この巻取り機構Dは、引張り機構Cにより下流側へ引張り移送される棒状体48(熱硬化性樹脂14を硬化させた発泡体の本体部46および外被12)から、外被12を長手方向に剥ぎ取ってリール等の巻取体74に巻取るもので、これにより前記棒状体48の中味をなす発泡体としての本体部46が全面的に露出される。なお、棒状体48から外被12を剥ぎ取るに際しては、引張り機構Cの直下流にナイフ(図示せず)を設け、該ナイフを外被12の下面に当てがって刺通することで、該棒状体48の移送に伴い該外被12の長手方向の切開がなされるようになっている。但し、外被12の巻取りは必ずしも要件ではない。従って図2の全体構成に示す如く、外被12の巻取り機構Dを設けなければ、発泡体をなす本体部46を外被12で被覆してなる棒状体48が連続的に製造されることになる。
【0032】
(棒状体の定尺切断機構Eについて)
図1および図2には、前記サンドイッチコンベヤからなる移送装置70の下流側に切断装置76が配設されている。すなわち切断装置76は上下一対のカッタ78,78からなり、両カッタ78,78はオリジナルポジションとなる切断待機位置で相互に大きく離間待機しているが、前記本体部46(棒状体48)が下流側へ給送されるのに同期して、相互に近接しつつ下流側へ所要距離だけ移動して該本体部46を切断し、次いで相互に離間した後、上流側へ所要距離だけ移動して切断待機位置に復帰する所謂ブロックモーションを行なうようになっている。この切断装置76によって、図1では外被12が剥ぎ取られた本体部46の定尺切断がなされ、また図2では外被12により本体部46が被覆された棒状体48の定尺切断がなされる。なお、所定長さでの切断がなされた本体部46または棒状体48は、図示しない次の工程に移送されて事務用機器のロール等に仕上げられる。
【0033】
(棒状体の製造工程について)
次に、前述した各機構(領域)A〜Eを経由して棒状体48を製造する工程を概略的に説明する。図6は、実施例に係る製造工程の一連の流れを示す概略図であって、経時的に樹脂供給機構A→棒状体の加熱領域B→棒状体の引張り機構C→外被の巻取り機構D→棒状体の定尺切断機構Eに大別される。すなわち各工程は、上流側から下流側へ向けて、熱可塑性樹脂の押出し工程(1)と、筒状外被の成形・冷却工程(2)と、流動状態にある熱硬化性樹脂の充填工程(3)と、熱硬化性樹脂の熱硬化工程(4)と、棒状体の引張り移送工程(5)と、外被の剥ぎ取り工程(6)と、棒状体等の定尺切断工程(7)とから構成されている。
【0034】
図6における熱可塑性樹脂の押出し工程(1)では、前記ホッパ22中の熱可塑性樹脂10はオーガ26を備えたシリンダ28に供給され、該シリンダ28中で加熱されて溶融し可塑化状態となる。可塑化された熱可塑性樹脂10は、クロスヘッドダイ16から円錐台状に連続的に押出される。そして前記円錐台状に押出された熱可塑性樹脂10は、筒状外被の成形・冷却工程(2)へ送られ、サイジングスリーブ18を通過して外部輪郭形状が規制され、筒状の外被12として成形されると共に、該外被12の冷却固化がなされる。次いで熱硬化性樹脂の充填工程(3)では、前記筒状をなす外被12の内部へ流動状態にある熱硬化性樹脂14が、前記供給管20を介して供給される。前記供給管20から外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は、該外被12の内側において軸方向へ次第に充満して行く。なお、熱硬化性樹脂14が充填された筒状外被12は、前記サイジングスリーブ18における円筒孔36の内周面により半径方向外方への拡開が規制阻止されている。
【0035】
筒状外被12に充填供給された熱硬化性樹脂14は、未だ流動状態を保持しているので、これを硬化させるために次の熱硬化工程(4)へ送られる。すなわち加熱領域50には、前述した誘導加熱原理、誘電加熱原理および輻射加熱原理等を適宜選択的または併合的に採用した加熱装置52,58および必要に応じて養生装置64が配設され、流動状態にあった熱硬化性樹脂14を熱硬化させることで、得るべき棒状体48における本体部46を製造する。なお、棒状体48は、先に述べた如く、筒状外被12および該外被12により被覆された本体部46の全体を指称するものである。前記引張り移送工程(5)では、前記各工程の最下流側に配設した移送装置70、例えば一対の対向配置したサンドイッチコンベヤによって、前記棒状体48の本体部46を、外被12と共に引張って下流側へ連続的に移送する工程が実施される。
【0036】
図6に示す外被の剥ぎ取り工程(6)は、選択的に入る工程であるが、必要度から云えば、むしろ必須の工程と考えられる。すなわち本実施例に係る棒状体48は、硬化した熱硬化性樹脂の本体部46と、該本体部46を被覆している熱可塑性樹脂の筒状外被12とからなる。但し、一般に外被12は剥ぎ取り工程(6)において剥ぎ取られ、図1および図5に示すリール等の巻取体74にロール状に巻取られる。棒状体48から外被12が剥ぎ取られると、長尺な棒状の本体部46が露出することになる。この本体部46は、前述の如く熱硬化性樹脂14を熱硬化させた発泡体であるが、前記外被12の剥ぎ取りにより該本体部46の表面には全くシーム(継目)が存在せず、所謂シームレスの棒状発泡体が得られることになる。
【0037】
前記剥ぎ取り工程(6)を経たシームレスの棒状発泡体からなる本体部46または該剥ぎ取り工程(6)を経ない棒状体48(本体部46を筒状外被12で被覆したもの)は、必要に応じて定尺切断工程(7)に送られ、前記切断装置76に設けたカッタ78により所要長に順次切断される。所要長に切断された本体部46または棒状体48は、必要に応じて仕上げ工程に送られ、例えば棒状発泡体からなる本体部46にシャフトを挿通取付けしたり、表面の研削加工がなされたりして事務機器用ロールとして仕上げられる。なお、本体部46を外被12で被覆してなる棒状体48にあっては、前記切断工程(7)で切断することは必ずしも要件でなく、図示しない大径リール等に巻取って別工程へ送り出したり、一般ユーザーへ向けて出荷したりしてもよい。
【0038】
本実施例では、所謂メカニカルフロス法により機械的に発泡させた熱硬化性樹脂14を使用して、微細かつ気泡径が長手方向に均一に揃った気泡(セル)を有する発泡体の棒状体48を製造する例を挙げ、かつ断面が円形で事務機器用ロールとして最適な棒状体48を想定したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば断面が楕円形であったり、多角形であったりする発泡体の棒状体48を製造することもできる。また、棒状体48から外被12を剥ぎ取って、中味をなす本体部46を露出させることは要件でなく、用途によっては、外被12による被覆を設けたままの棒状体48として使用してもよい。更に棒状体48は、定尺寸法物であっても、任意寸法長のものであってもよい。更に熱硬化性樹脂14は、流動状態を維持している間に化学的に発泡させたものであってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係るシームレス棒状体によれば、流動状態にあった熱硬化性樹脂を加熱硬化させて、全体として均一な気泡径が達成された発泡体としての棒状体でありながら、分割金型のパーティングラインに起因するシーム(継目)を有さない所謂シームレスの棒状体が得られる、という優れた効果が奏される。また本発明のシームレス棒状体は、全体に均一な気泡径の分布が確保されているので、該棒状体の全体に亘って硬度差がなく、使用時の方向性等の制約を少なくし得る等の利点がある。更に本発明に係る棒状体は、シームレスであるため略全面に亘りスキン層が形成され、例えばシール材としての用途等に好適に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシームレス棒状体を好適に製造し得る棒状体製造装置の全体的な構成を示す概略図であって、棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置が付加されている。
【図2】図1に係る棒状体製造装置の全体的な構成を示す概略図で、棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置は設けられていない。
【図3】熱可塑状態にある熱可塑性樹脂および流動状態にある熱硬化性樹脂を供給する機構の概略断面図である。
【図4】一例として、誘導加熱装置と誘電加熱装置とを直列に配設した状態を示す概略断面図である。
【図5】加熱領域を経た棒状体(中味をなす本体部と外側の外被)を引張って下流側へ移送する棒状体引張り機構の概略斜視図である。
【図6】実施例に係るシームレス棒状体の製造過程を概略的に示す工程図である。
【図7】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、流動性樹脂原料の発泡に使用するロール成形金型を示す平面図である。
【図8】図7に示すロール成形金型に樹脂ロールが成形された際の内部状態を示す断面図である。
【図9】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、ロール成形金型による樹脂ロール製造装置および工程を概略的に示す構成図である。
【図10】図7に示すロール成形金型に流動性樹脂原料を注入した際の、該原料の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 熱可塑性樹脂 12 外被
14 熱硬化性樹脂 16 ダイ(クロスヘッドダイ)
16a 外型 16b 心型
18 サイジングスリーブ 20 供給管
22 ホッパ 24 電熱ヒータ
26 オーガ 28 シリンダ28
30 クロスヘッド 32 モータ
34 キャビティ 36 円筒孔(スリーブ内面)
38 ジャケット 40 細孔
42 供給タンク(供給源) 44 スラリーポンプ
46 本体部 48 棒状体
50 加熱装置 52 誘導加熱装置
54 パイプ(磁性材質) 56 誘導コイル
58 誘電加熱装置 60 パイプ(非金属材質)
62 電極 64 養生装置
66 パイプ(塩化ビニル) 68 断熱被覆
70 ベルトコンベヤ 72 プーリ
74 巻取体(リール) 76 切断装置
78 カッタ
A 樹脂供給機構 B 棒状体の加熱領域
C 棒状体の引張り機構 D 外被の巻取り機構
E 棒状体の定尺切断機構
【発明の属する技術分野】
この発明はシームレス棒状体に関し、更に詳細には、流動状態にあった熱硬化性樹脂を加熱硬化させて、全体として均一な気泡径が達成された発泡体としての棒状体であって、分割金型のパーティングラインに起因する合せ筋(シーム)を生ずることのない所謂シームレスの棒状体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コピー機やファクシミリ等の画像処理機器には、潜像転写や送紙・給紙等を行なうロールが多数設けられている。このロールは、例えばマイクロセル構造を有する高機能ウレタン素材を所要長の丸棒体として成形し、これにシャフトを同軸的に挿通配置した構造になっている。前記ロールを構成するマイクロセル構造のウレタン素材を製造するには、ウレタン原料に水や発泡材を添加せず、乾燥エアーや窒素等の造泡用ガスを該原料に混合しながら機械的に攪拌して発泡体とする方法(所謂「メカニカルフロス法」)が好適に採用されている。このメカニカルフロス法の採用により得られるロールは、その内部に含まれる気泡の大きさが略同一で、しかも均質に分散している等の優れた構造的特徴を有している。このため最終製品としてのロールは、例えば紙等のシート状の被搬送物を給送する際に要求される外周面の押圧力、すなわちニップ圧(ニップ量)が一定となって、スリップすることなく円滑に給送をなし得る等の利点を有する。
【0003】
前記メカニカルフロス法によってウレタン発泡体のロールを製造する従来方法を、その製造装置との関係で以下に説明する。このロールは、前述した造泡用ガスとウレタン原料とを混合した流動性のある流動性樹脂原料Mを、図7〜図10に示すように、得るべき製品の外部輪郭形状に略合致するキャビティ218を有する成形型216内に注入することで成形される。すなわち成形型216は、図9に示す如く、複数のキャビティ半体220を分割面上に凹設した一対の金型半体222,222を開閉自在に蝶番軸支したもので、各成形型216は搬送ライン上に所要間隔で多数載置されている。また成形型216の所定位置には、流動性樹脂原料Mを注入するための注入孔224が、夫々のキャビティ218に連通するよう開設されている。更に夫々の金型半体222には、各キャビティ半体220の中心軸線に沿った部位に断面が半円状をなす溝226が形成されており、該成形型216が開放された際に、この溝226に丸棒状の中子228が装着されるようになっている。
【0004】
前記成形型216は、図9に示す工程で使用されて、樹脂ロールRの製造がなされる。すなわち、製造ラインMLの所定位置に設けた中子装着ステーションCSにおいて、上流側から到来した成形型216は停止する。そして成形型216の一方の金型半体222を上方へ回動させて、キャビティ半体220を開放させる。この状態で、他方の金型半体222における夫々のキャビティ半体220に、前記半丸状の溝226を介して中子228を夫々装着する。この中子228は、最終製品となる樹脂ロールRに同心的に挿通配置されるシャフトと同じ外径寸法で、かつ該ロールRに要求される軸方向の長さより充分大きい長さに設定した棒状部材である。すなわち中子228は、前記溝226に装着されることでキャビティ半体220の中心軸心に整列して延在する。
【0005】
前記中子228が装着された成形型216は、上方の金型半体222を回動させることで型閉めがなされ、次いで1ブロック分だけ製造ラインMLに沿って下流側の原料注入ステーションRSへ移動される。また、上流側に位置していた別の成形型216が下流側に搬送され、前記中子装着ステーションCSに到来すると、同様にして各キャビティ218への中子228の装着がなされる。製造ラインMLの原料注入ステーションRSに到来した成形型216へは、原料注入装置232からの流動性樹脂原料Mが、前記注入孔224を介して注入される。この流動性樹脂原料Mが注入された成形型216は、製造ラインMLの下流側に設けたトンネル加熱炉234により加熱される。この加熱により流動性樹脂原料Mは、成形型216のキャビティ218内で反応・硬化し、該キャビティ218の内部輪郭形状を外部輪郭形状とするロールRに成形される。なおトンネル加熱炉234は、製造ラインMLに沿って設けた所要長の加熱炉であって、内部温度が流動性樹脂原料Mの反応・硬化に必要な所要温度に制御・保持されている。
【0006】
トンネル加熱炉234での反応・硬化終了後、前記成形型216は更に下流側に位置する脱型ステーションDSに搬送される。この脱型ステーションDSで成形型216は、上方の金型半体222を回動させることで開放される。この状態下に、前記中子228を前記溝226から持上げることで、発泡体の樹脂ロールRがキャビティ半体220から脱型される。そして、中子228をロールRから引き抜くことで中空の成形品が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記成形型216を使用した製造装置によれば、キャビティ218の内部で流動性樹脂原料Mに熱が加えられ、反応・硬化の過程を経ることで所期の樹脂ロールRが得られる。しかしこの製造装置は、一対の金型半体222,222に画成されるキャビティ218へ流動性樹脂原料Mを注入し、これを熱硬化させて樹脂ロールRを形成するものであるから、得られる樹脂ロールRの外表面には両金型半体の合わせ面(パーティングライン)に沿って所謂合せ筋(シーム)が残る難点がある。このシームは、製品としての樹脂ロールの商品価値や品質を低下させるものであるので、最終工程でロール表面に研削を施して、該シームを除去する必要があり余分な手間やコストを生ずる難点があった。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、前述した従来技術に内在している課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、全体として均一な気泡径が達成され、分割金型のパーティングラインに起因するシーム(継目)を生ずることのない所謂シームレスの棒状体を提供することを目的とする。
【0009】
【発明を解決するための手段】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明に係るシームレス棒状体は、熱硬化後の熱硬化性樹脂を材質とする棒状本体部と、固化後の熱可塑性樹脂を材質とし、前記棒状本体部を被覆するよう一体成形した外被とから構成したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明に係るシームレス棒状体につき、これを好適に製造し得る装置との関係において、好適な実施例を挙げて添付図面と共に以下説明する。本発明に係るシームレス棒状体は、硬化した熱硬化性樹脂の棒状本体部と、該棒状本体部を被覆している熱可塑性樹脂の外被とからなるが、この外被は一般に剥ぎ取られて本体部のみが使用される。但し、外被を有する棒状体そのままで使用される場合もある。また硬化した熱硬化性樹脂の本体部は、後述する如く、メカニカルフロス法による発泡体であっても、また化学的発泡法による発泡体であってもよく、主として事務用機器等の各種ロールとして使用されるが、用途はこれに限定されるものではない。そして棒状体の本体部をなす発泡体は、連通気泡構造であっても、独立気泡構造の何れであってもよいが、従来技術の如く分割金型を使用することなく製造されるため、金型合わせ面に起因するシーム(継ぎ目)を有しない所謂シームレスの発泡体となる。更に棒状体または該棒状体から外被を剥ぎ取った本体部の横断面は、一般に円形とされるが、前記外被は後述するサイジングスリーブによって、それ以外の楕円形や多角形にもなし得る。
【0011】
図1〜図5は、本発明に係るシームレス棒状体を製造する装置の実施形態を示し、図1は該製造装置の全体的な構成を示す概略図で、棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置を付加したものであり、図2は同様の概略全体図であるが、前記外被の剥ぎ取り装置を備えていない。
【0012】
図1および図2において、符号Aは熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構、符号Bは棒状体の加熱領域、符号Cは棒状体の引張り機構、符号Dは外被の巻取り機構(但し、図2には存在しない)、符号Eは棒状体の定尺切断機構を示している。また図3は、図1の熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構Aを示し、図4は、図1の棒状体の加熱領域Bを示し、図5は、図1の棒状体の引張り機構Cおよび外被の巻取り機構Dを示している。
【0013】
【全体構成について】
(1) 図1の全体略図において、上流側に位置する樹脂供給機構Aでは、熱可塑性樹脂が筒状の外被として連続成形されると共に、この外被中に流動状態にある熱硬化性樹脂(発泡性の樹脂)が充填供給される。筒状に成形された外被はここで冷却固化され、得るべき棒状体の外部輪郭形状に略合致する外部輪郭形状に規定される。
(2) 筒状をなす外被中に供給された熱硬化性樹脂は未だ流動状態を保持しているので、外被と共に下流側に給送された該熱硬化性樹脂は、加熱領域Bにおいて加熱がなされて硬化する。この加熱領域Bにおける加熱手段としては、後述する如く、誘導加熱原理や誘電加熱原理その他輻射加熱原理が各単体で、または適宜の組合わせとして用いられる。
(3) 加熱領域Bの下流側には引張り機構Cが設けられ、硬化した熱硬化性樹脂の本体部が外被で被覆された棒状体を引張って下流へ連続的に移送する。
(4) 引張り機構Cの下流側には外被の巻取り機構Dが設けられ、前記棒状体から外被を長手方向に剥ぎ取って巻取ることで、中味たる硬化後の熱硬化性樹脂の本体部を露出させる。なお、図2に示す全体構成には、外被の巻取り機構Dは設けられていないので、発泡体の本体部を外被で被覆してなる棒状体が、このラインでは製造されることになる。
(5) 外被が剥ぎ取られて露出した熱硬化性樹脂の本体部は、定尺切断機構Eにおいて所定長に切断される。但し、図2の全体構成では外被を剥ぎ取らないので、前記定尺切断機構Eによる切断対象は発泡体の本体部を外被で被覆した棒状体そのものである。なお、製造者やユーザーの希望するところに従い、棒状体から外被を剥ぎ取った本体部も、また外被を剥ぎ取らないままにした棒状体も、定尺切断機構Eによる定尺切断は行なうことなく、下流側で大径のドラム等に所要長だけ巻取ってから切断分離される場合もある。
【0014】
【熱可塑性および熱硬化性樹脂の供給機構Aについて】
図3は、熱可塑性樹脂10を供給して筒状の外被12に成形すると共に、流動状態にある熱硬化性樹脂14を該外被12の内部に供給する樹脂供給機構Aの概略断面図である。すなわち樹脂供給機構Aは、可塑化された熱可塑性樹脂10を筒状の外被12として連続押出しするクロスヘッドダイ16と、筒状の外被12の外部輪郭形状を規制しつつ該外被12を冷却固化させるサイジングスリーブ18と、前記外被12の内部に熱硬化性樹脂14を充填供給する供給管20とから基本的に構成される。
【0015】
ホッパ22に貯留したペレット等の熱可塑性樹脂10は、外周に電熱ヒータ24が巻回配置されると共に、内部に撹拌押出し用のオーガ26を同軸的に備えたシリンダ28に供給され、ここで加熱されて溶融し可塑化状態となる。前記シリンダ28の出口は、クロスヘッド30を介して前記クロスヘッドダイ16に連通接続され、該シリンダ28中の可塑化状態となった熱可塑性樹脂10は、モータ32により回転されるオーガ26により撹拌されつつ、該クロスヘッドダイ16から水平方向へ円錐台状に押出される。このクロスヘッドダイ16は外型16aと心型16bとからなり、2つの型16a,16bの間に画成した円錐台状のキャビティ34は、その開口部を図3の右方(下流側)へ指向させている。このキャビティ34の開口部は、得るべき棒状体の断面輪郭形状に相似した大なる輪郭形状(例えばリング状)となっている。また、クロスヘッドダイ16には、必要に応じて熱可塑性樹脂10の可塑化状態を温度調整するヒータが適宜設けられている。なお、前記熱可塑性樹脂10は、後述する如く棒状体の外被12となるものであり、この外被12は用途に応じて後工程で剥ぎ取られるか、剥ぎ取られることなく残存するものであるので、適宜の熱可塑性樹脂、例えばポリアミド等が好適に使用される。
【0016】
前記クロスヘッドダイ16の下流側、すなわち図3の右方にはサイジングスリーブ18が水平に配設され、その中心軸線を該クロスヘッドダイ16の中心軸線に略整列させている。このサイジングスリーブ18は、クロスヘッドダイ16の前記リング状開口部から円錐台状に押出された熱可塑性樹脂10を筒状の外被12となすべく収束させて外部輪郭形状を規制し、筒状に成形された外被12の冷却固化を行なうものである。例えばサイジングスリーブ18は、ドーナツ状に構成されると共に、その中央に所要径で軸方向に貫通する円筒孔36(すなわちスリーブ内面)を有し、かつスリーブ本体の内部には環状空間をなすジャケット38が画成されている。このサイジングスリーブ18は、中心軸線を整列させて複数個(図示例では3基)が配設され、その一列をなす各円筒孔36の内周面は筒状外被12の外部輪郭形状を規制する。従って円筒孔36の内部輪郭形状は、得るべき棒状体の外部輪郭形状に略合致するよう設定してある。
【0017】
前記サイジングスリーブ18のジャケット38は、以下の如く冷却水が循環供給されたり、負圧に保持されたりするチャンバーとして機能する。例えば、図3において第1列目および第3列目に位置する各サイジングスリーブ18のジャケット38は、図示しない水等の冷却媒体供給部に接続し、該供給部から該ジャケット38へ冷却媒体の循環供給がなされる。そして、前記クロスヘッドダイ16から円錐台状に収束供給され、サイジングスリーブ18の円筒孔36により筒状に成形された熱可塑性樹脂10(可塑状態)を、前記夫々のジャケット38により冷却固化させる。なお、熱可塑性樹脂10を冷却固化させる手段としては、サイジングスリーブ18の外周に多数の放熱用フィンを形成し、該フィンをファンで強制冷却する空冷式としてもよい。
【0018】
また第2列目、すなわち中間に位置するサイジングスリーブ18のジャケット38には、前記円筒孔36に連通する細孔40が所要間隔で周方向に穿設され、該ジャケット38は図示しない負圧源に接続されている。従って、前記負圧源からの真空吸引によりジャケット38を負圧に保持すれば、前記細孔40を介して前記筒状をなす外被12を吸引して前記円筒孔36の内面に密着させることができる。但し、筒状をなす外被12および該外被12の内側に供給される熱硬化性樹脂14(後述)は、同じく後述する引張り機構Cにより下流側へ給送されるので、前記細孔40を介する負圧吸引の程度は該外被12の給送を妨げない強さに設定される。
【0019】
図3において、前記クロスヘッドダイ16には、該ダイ16の中心軸線に軸心を略一致させて、流動状態にある熱硬化性樹脂14を前記筒状をなす外被12の内部に充填供給する供給管20が配設されている。すなわち供給管20は、流動状態にある熱硬化性樹脂14を貯留した供給タンク42に一端部が接続されると共に、その他端部を前記クロスヘッドダイ16を貫通して前記外被12の内側に臨ませている。前記供給タンク42と供給管20との間には、例えばスラリーポンプ44が設けられ、流動状態にある熱硬化性樹脂14の供給を容易化している。この熱硬化性樹脂14は、例えばウレタンを公知のメカニカルフロス法に供して得た樹脂発泡体であるが、先にも述べた如く、化学的発泡法により得た樹脂発泡体であってもよい。
【0020】
前記供給管20を介して筒状外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は、該外被12の内側において軸方向に充満して行き、この外被12はサイジングスリーブ18における円筒孔36の内周面により規制されると共に、該サイジングスリーブ18を通過した後は冷却固化されている。従って供給後の熱硬化性樹脂14が、筒状外被12を半径方向外方へ膨隆することはなく、結果として流動状態にある熱硬化性樹脂14を外被12が被覆することになる。但し、図3に示す時点では、筒状外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は未だ流動状態を保持しているので、該熱硬化性樹脂14を図4に示す加熱領域Bに通過させて、その熱硬化を進行させる。なお、後述の如く熱硬化性樹脂14は熱硬化させられるので、本明細書では、外被12により被覆された熱硬化性樹脂14の熱硬化した棒状部分を本体部46と称し、また該本体部46および外被12からなる棒状部分を全体として棒状体48と称する。
【0021】
【棒状体の加熱領域Bについて】
図4は、前記筒状の外被12の内側に充填された流動性を有する熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる加熱領域Bを示している。すなわち加熱領域Bは、図1に示すように、前記サイジングスリーブ18の下流側に中心軸線を整列させて水平に配置した加熱装置50から基本的に構成され、この加熱装置50により流動状態にある前記熱硬化性樹脂14を加熱硬化させ、該熱硬化性樹脂14を棒状をなす発泡体の本体部46とするようになっている。
【0022】
前記加熱装置50は、筒状の外被12の内側に充填供給された流動性を有する熱硬化性樹脂14を、該外被12と共に下流側へ給送する途次において加熱硬化させるものであるから、そのような目的に適うものであれば、加熱原理としては、例えば誘導加熱、誘電加熱、輻射加熱等の各種提案がなされる。すなわち図4は、一例として、誘導加熱装置52と誘電加熱装置58とをその順序で直列に配設した状態を示す概略断面図であって、個々の装置の詳細は以下に説明される通りである。なお、これら各種の加熱原理による装置は、所要に応じて単独使用としても、複数基の使用としても、また配列順序を逆にするようにしてもよい。
【0023】
(誘導加熱装置について)
図4において符号52は、誘導加熱の原理により流動状態にある熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる装置を示している。この誘導加熱装置52は、流動状態にある熱硬化性樹脂14が内部に充填供給された筒状の外被12を内部通過させる、例えば鉄系金属のような磁性材質のパイプ54と、該パイプ54の外周に所要回数だけ巻回した誘導コイル56とから構成される。誘導コイル56は、図示しない高周波電流供給源に接続され、該誘導コイル56に所要の高周波電流を流すことで、該コイル56が巻回された前記磁性材質のパイプ54に誘導電流が生起される。このため前記パイプ54が自己発熱して所定温度まで昇温され、該パイプ54の内側を通過する筒状外被12が下流側へ給送される間に、該外被12中の熱硬化性樹脂14を加熱して硬化させるものである。
【0024】
すなわち筒状外被12に充填された熱硬化性樹脂14は、誘導加熱されたパイプ54の内部を通過するにつれて、該外被12により被覆された樹脂14の外側から中心軸(半径方向内方)へ向けて、次第にその硬化が進行することになる。なお、前述した如く外被12は、前記サイジングスリーブ18において熱可塑性樹脂10を冷却固化させて得られたものであるから、この誘導加熱されたパイプ54を通過するに際し、該外被12が熱損傷することのないよう、該パイプの温度上昇が抑制されていることは勿論である。
【0025】
(誘電加熱装置について)
図4において符号58は、誘電加熱の原理により流動状態にある熱硬化性樹脂14を加熱硬化させる装置を示している。この誘電加熱装置58は、流動状態にある熱硬化性樹脂14が充填された前記外被12を通過させる、例えば塩化ビニル等の非金属を材質とするパイプ60と、該パイプ60の外周に所要数で配設した電極62とから構成されている。この電極62は、図示しないマグネトロン等の高周波供給源に接続され、該電極から例えば3,000MHzの極超短波(マイクロウェーブ)を発生させる。この極超短波は、非金属材質のパイプ60を透過して、外被12により被覆されている熱硬化性樹脂14に照射される。すなわち流動状態にあった熱硬化性樹脂14は、前記パイプ60の内側を通過する筒状外被12と共に下流側へ給送される間に、所謂分子振動を生じて摩擦熱を発生することで硬化される。
【0026】
この誘電加熱装置58によれば、筒状外被12に充填された熱硬化性樹脂14が前記パイプ60の内部を通過する際に、該熱硬化性樹脂14に照射された極超短波が樹脂全体を均一に分子振動させて、次第にその硬化を進行させるものである。なお、このように誘電加熱装置58によって熱硬化性樹脂14を誘電加熱させる場合も、前記外被12が過度に誘電加熱されて熱損傷することのないよう、該誘電加熱装置58に対する調節制御がなされている。
【0027】
(養生装置について)
図4において符号64は、加熱硬化後の熱硬化性樹脂14を引続き熱エネルギーの損失の少ない環境を通過させて、その硬化を更に緩徐に進行させるための養生装置を示している。この養生装置64は、例えば塩化ビニル等を材質とするパイプ66の外側に充分な断熱被覆68を施した断熱領域を構成するものである。すなわち、上流側に設けた前記加熱装置52,58を通過して硬化した直後の熱硬化性樹脂14に関して、該熱硬化性樹脂14からの急激な熱逃失を養生装置64により防止することで、前記本体部46(熱硬化性樹脂の発泡体からなる)における気泡の分散状態を均一かつ安定化させることができる。図示例の養生装置64では、充分な断熱処理を施した構成としたが、このように厳密に施した断熱構造に加えて、所要の電熱ヒータ等の積極加熱手段を設けるようにしてもよい。
【0028】
また図4では、上流側から下流側に向けて誘導加熱装置52,誘電加熱装置58および養生装置64の順で配列したが、この配列関係は本発明を限定するものでないことは勿論である。例えば、養生装置64は必須の構成部材ではないし、また誘導加熱装置52および誘電加熱装置58は選択的に1基だけとしてもよいし、更に配設順序は誘電加熱装置58を上流側に設け、その下流側に誘導加熱装置52を設けるようにしてもよい。
【0029】
(輻射加熱装置について)
図4には示さないが、前記加熱装置としては、流動状態にある熱硬化性樹脂14が充填された前記外被12を通過させる耐熱性に富む非金属材質のパイプと、該パイプの外周に巻回した電熱ヒータとから構成し、該ヒータに通電して輻射加熱を行なうことで、前記熱硬化性樹脂14を硬化させて前記本体部46とする輻射加熱装置を採用してもよい。
【0030】
【棒状体の引張り機構Cについて】
図5は、前記加熱領域Bを経た棒状体48(すなわち熱硬化性樹脂14が硬化した棒状の本体部46と、該本体部46を被覆した外被12)を引張って下流側へ移送する棒状体引張り機構Cを示す概略斜視図である。すなわち引張り機構Cは、長尺の棒状体48における給送軌跡を挟んで対向する一対のベルトコンベヤ70,70からなり、各ベルトコンベヤ70は、所要間隔だけ長手方向に離間させたプーリ72,72に巻掛けられている。対向し合う両ベルトコンベヤ70,70の間隙寸法は、給送すべき棒状体48の断面寸法より僅かに小さい程度に設定され、各コンベヤ70における少なくとも1つのプーリ72を回転駆動することで、該棒状体48を両側から押圧した状態下に下流側へ強制的に引張り移送し得るものである。従って図示例に係る引張り機構Cは、所謂サンドイッチコンベヤを基本としており、この機構Cによって、最上流側に位置する前記樹脂供給機構Aにおける外被12の下流側への給送および加熱領域Bにおける棒状体48の下流側への給送が達成されている。
【0031】
図5には、前記引張り機構Cの下流側において外被12の巻取りを行なう外被巻取り機構Dが設けられている。この巻取り機構Dは、引張り機構Cにより下流側へ引張り移送される棒状体48(熱硬化性樹脂14を硬化させた発泡体の本体部46および外被12)から、外被12を長手方向に剥ぎ取ってリール等の巻取体74に巻取るもので、これにより前記棒状体48の中味をなす発泡体としての本体部46が全面的に露出される。なお、棒状体48から外被12を剥ぎ取るに際しては、引張り機構Cの直下流にナイフ(図示せず)を設け、該ナイフを外被12の下面に当てがって刺通することで、該棒状体48の移送に伴い該外被12の長手方向の切開がなされるようになっている。但し、外被12の巻取りは必ずしも要件ではない。従って図2の全体構成に示す如く、外被12の巻取り機構Dを設けなければ、発泡体をなす本体部46を外被12で被覆してなる棒状体48が連続的に製造されることになる。
【0032】
(棒状体の定尺切断機構Eについて)
図1および図2には、前記サンドイッチコンベヤからなる移送装置70の下流側に切断装置76が配設されている。すなわち切断装置76は上下一対のカッタ78,78からなり、両カッタ78,78はオリジナルポジションとなる切断待機位置で相互に大きく離間待機しているが、前記本体部46(棒状体48)が下流側へ給送されるのに同期して、相互に近接しつつ下流側へ所要距離だけ移動して該本体部46を切断し、次いで相互に離間した後、上流側へ所要距離だけ移動して切断待機位置に復帰する所謂ブロックモーションを行なうようになっている。この切断装置76によって、図1では外被12が剥ぎ取られた本体部46の定尺切断がなされ、また図2では外被12により本体部46が被覆された棒状体48の定尺切断がなされる。なお、所定長さでの切断がなされた本体部46または棒状体48は、図示しない次の工程に移送されて事務用機器のロール等に仕上げられる。
【0033】
(棒状体の製造工程について)
次に、前述した各機構(領域)A〜Eを経由して棒状体48を製造する工程を概略的に説明する。図6は、実施例に係る製造工程の一連の流れを示す概略図であって、経時的に樹脂供給機構A→棒状体の加熱領域B→棒状体の引張り機構C→外被の巻取り機構D→棒状体の定尺切断機構Eに大別される。すなわち各工程は、上流側から下流側へ向けて、熱可塑性樹脂の押出し工程(1)と、筒状外被の成形・冷却工程(2)と、流動状態にある熱硬化性樹脂の充填工程(3)と、熱硬化性樹脂の熱硬化工程(4)と、棒状体の引張り移送工程(5)と、外被の剥ぎ取り工程(6)と、棒状体等の定尺切断工程(7)とから構成されている。
【0034】
図6における熱可塑性樹脂の押出し工程(1)では、前記ホッパ22中の熱可塑性樹脂10はオーガ26を備えたシリンダ28に供給され、該シリンダ28中で加熱されて溶融し可塑化状態となる。可塑化された熱可塑性樹脂10は、クロスヘッドダイ16から円錐台状に連続的に押出される。そして前記円錐台状に押出された熱可塑性樹脂10は、筒状外被の成形・冷却工程(2)へ送られ、サイジングスリーブ18を通過して外部輪郭形状が規制され、筒状の外被12として成形されると共に、該外被12の冷却固化がなされる。次いで熱硬化性樹脂の充填工程(3)では、前記筒状をなす外被12の内部へ流動状態にある熱硬化性樹脂14が、前記供給管20を介して供給される。前記供給管20から外被12の内部に供給された熱硬化性樹脂14は、該外被12の内側において軸方向へ次第に充満して行く。なお、熱硬化性樹脂14が充填された筒状外被12は、前記サイジングスリーブ18における円筒孔36の内周面により半径方向外方への拡開が規制阻止されている。
【0035】
筒状外被12に充填供給された熱硬化性樹脂14は、未だ流動状態を保持しているので、これを硬化させるために次の熱硬化工程(4)へ送られる。すなわち加熱領域50には、前述した誘導加熱原理、誘電加熱原理および輻射加熱原理等を適宜選択的または併合的に採用した加熱装置52,58および必要に応じて養生装置64が配設され、流動状態にあった熱硬化性樹脂14を熱硬化させることで、得るべき棒状体48における本体部46を製造する。なお、棒状体48は、先に述べた如く、筒状外被12および該外被12により被覆された本体部46の全体を指称するものである。前記引張り移送工程(5)では、前記各工程の最下流側に配設した移送装置70、例えば一対の対向配置したサンドイッチコンベヤによって、前記棒状体48の本体部46を、外被12と共に引張って下流側へ連続的に移送する工程が実施される。
【0036】
図6に示す外被の剥ぎ取り工程(6)は、選択的に入る工程であるが、必要度から云えば、むしろ必須の工程と考えられる。すなわち本実施例に係る棒状体48は、硬化した熱硬化性樹脂の本体部46と、該本体部46を被覆している熱可塑性樹脂の筒状外被12とからなる。但し、一般に外被12は剥ぎ取り工程(6)において剥ぎ取られ、図1および図5に示すリール等の巻取体74にロール状に巻取られる。棒状体48から外被12が剥ぎ取られると、長尺な棒状の本体部46が露出することになる。この本体部46は、前述の如く熱硬化性樹脂14を熱硬化させた発泡体であるが、前記外被12の剥ぎ取りにより該本体部46の表面には全くシーム(継目)が存在せず、所謂シームレスの棒状発泡体が得られることになる。
【0037】
前記剥ぎ取り工程(6)を経たシームレスの棒状発泡体からなる本体部46または該剥ぎ取り工程(6)を経ない棒状体48(本体部46を筒状外被12で被覆したもの)は、必要に応じて定尺切断工程(7)に送られ、前記切断装置76に設けたカッタ78により所要長に順次切断される。所要長に切断された本体部46または棒状体48は、必要に応じて仕上げ工程に送られ、例えば棒状発泡体からなる本体部46にシャフトを挿通取付けしたり、表面の研削加工がなされたりして事務機器用ロールとして仕上げられる。なお、本体部46を外被12で被覆してなる棒状体48にあっては、前記切断工程(7)で切断することは必ずしも要件でなく、図示しない大径リール等に巻取って別工程へ送り出したり、一般ユーザーへ向けて出荷したりしてもよい。
【0038】
本実施例では、所謂メカニカルフロス法により機械的に発泡させた熱硬化性樹脂14を使用して、微細かつ気泡径が長手方向に均一に揃った気泡(セル)を有する発泡体の棒状体48を製造する例を挙げ、かつ断面が円形で事務機器用ロールとして最適な棒状体48を想定したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば断面が楕円形であったり、多角形であったりする発泡体の棒状体48を製造することもできる。また、棒状体48から外被12を剥ぎ取って、中味をなす本体部46を露出させることは要件でなく、用途によっては、外被12による被覆を設けたままの棒状体48として使用してもよい。更に棒状体48は、定尺寸法物であっても、任意寸法長のものであってもよい。更に熱硬化性樹脂14は、流動状態を維持している間に化学的に発泡させたものであってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に説明した如く、本発明に係るシームレス棒状体によれば、流動状態にあった熱硬化性樹脂を加熱硬化させて、全体として均一な気泡径が達成された発泡体としての棒状体でありながら、分割金型のパーティングラインに起因するシーム(継目)を有さない所謂シームレスの棒状体が得られる、という優れた効果が奏される。また本発明のシームレス棒状体は、全体に均一な気泡径の分布が確保されているので、該棒状体の全体に亘って硬度差がなく、使用時の方向性等の制約を少なくし得る等の利点がある。更に本発明に係る棒状体は、シームレスであるため略全面に亘りスキン層が形成され、例えばシール材としての用途等に好適に使用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るシームレス棒状体を好適に製造し得る棒状体製造装置の全体的な構成を示す概略図であって、棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置が付加されている。
【図2】図1に係る棒状体製造装置の全体的な構成を示す概略図で、棒状体から熱可塑性樹脂の外被を剥ぎ取る装置は設けられていない。
【図3】熱可塑状態にある熱可塑性樹脂および流動状態にある熱硬化性樹脂を供給する機構の概略断面図である。
【図4】一例として、誘導加熱装置と誘電加熱装置とを直列に配設した状態を示す概略断面図である。
【図5】加熱領域を経た棒状体(中味をなす本体部と外側の外被)を引張って下流側へ移送する棒状体引張り機構の概略斜視図である。
【図6】実施例に係るシームレス棒状体の製造過程を概略的に示す工程図である。
【図7】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、流動性樹脂原料の発泡に使用するロール成形金型を示す平面図である。
【図8】図7に示すロール成形金型に樹脂ロールが成形された際の内部状態を示す断面図である。
【図9】従来技術に係る樹脂ロールの製造において、ロール成形金型による樹脂ロール製造装置および工程を概略的に示す構成図である。
【図10】図7に示すロール成形金型に流動性樹脂原料を注入した際の、該原料の状態を示す説明図である。
【符号の説明】
10 熱可塑性樹脂 12 外被
14 熱硬化性樹脂 16 ダイ(クロスヘッドダイ)
16a 外型 16b 心型
18 サイジングスリーブ 20 供給管
22 ホッパ 24 電熱ヒータ
26 オーガ 28 シリンダ28
30 クロスヘッド 32 モータ
34 キャビティ 36 円筒孔(スリーブ内面)
38 ジャケット 40 細孔
42 供給タンク(供給源) 44 スラリーポンプ
46 本体部 48 棒状体
50 加熱装置 52 誘導加熱装置
54 パイプ(磁性材質) 56 誘導コイル
58 誘電加熱装置 60 パイプ(非金属材質)
62 電極 64 養生装置
66 パイプ(塩化ビニル) 68 断熱被覆
70 ベルトコンベヤ 72 プーリ
74 巻取体(リール) 76 切断装置
78 カッタ
A 樹脂供給機構 B 棒状体の加熱領域
C 棒状体の引張り機構 D 外被の巻取り機構
E 棒状体の定尺切断機構
Claims (3)
- 熱硬化後の熱硬化性樹脂(14)を材質とする棒状本体部(46)と、固化後の熱可塑性樹脂(10)を材質とし、前記棒状本体部(46)を被覆するよう一体成形した外被(12)とから構成した
ことを特徴とするシームレス棒状体。 - 前記熱硬化性樹脂(14)は機械的または化学的に発泡させた発泡体であって、該熱硬化性樹脂(14)を材質とする前記棒状本体部(46)は連通気泡構造となっている請求項1記載のシームレス棒状体。
- 前記外被(12)を剥ぎ取ることで、前記棒状本体部(46)だけとされる請求項1記載のシームレス棒状体。
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