JP4142335B2 - 樹脂製チューブの製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンピューター用プリンター、複写機、ファクシミリ等における感光体基体ベルト、又は中間転写ベルト等を製造するのに用いられる樹脂製チューブの製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述のような用途に用いられる樹脂製チューブの製造方法の1つとして、押出機及び環状ダイを使用する押出法が知られている。
例えば、特許第2617975号公報には、押出機に装着した環状ダイより押し出された溶融樹脂製チューブの内側に、供給圧力と供給量とを制御した気体を、連続的に供給し、排出させながら、溶融樹脂製チューブの内面を、冷却マンドレルの外周面と接触させて、冷却、固化させ、チューブ状態を維持したまま、連続して引き取るようにするチューブ状樹脂フィルムの製造方法が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この製造方法によれば、製造される樹脂製チューブの形状及び膜厚等の安定化は、溶融樹脂製チューブの内側に供給する気体の圧力を高精度で制御することによって行われる。
【0004】
しかし、このような高精度の制御を、気体の供給及び排出により行うことは極めて困難であり、充分な制御を行うことは容易ではない。従って、溶融樹脂製チューブの形状が不安定となり、チューブの周長及び厚さにおいて要求される精度を充分に満足させることができない。
【0005】
本出願人は、先の特許出願(特開2001-138380号公報参照)において、樹脂製チューブ内に気体を導入することなく、環状ダイスから吐出される樹脂製チューブの厚さ精度の向上を図り、品質の優れた薄肉のシームレスベルトを製造できるようにした方法及び装置を提供している。
【0006】
この薄肉シームレスベルトの製造方法は、押出機より押し出された熱可塑性樹脂を、歯車ポンプを介して環状ダイスに定量的に押し出し、前記環状ダイスのリップ部から吐出する樹脂製チューブを、冷却マンドレルの表面に接触させて冷却固化させた後、案内マンドレルの表面に接触させつつ、送り機構により引き取り、その後、円周方向に裁断することを特徴としている。
【0007】
また、この薄肉シームレスベルトの製造装置は、押出機と環状ダイスとの間に、押出機より押し出される熱可塑性樹脂を定量的に前記環状ダイスに押し出す歯車ポンプを設け、前記環状ダイスの軸線の延長線上に、冷却マンドレルと、案内マンドレルとを順次設け、前記案内マンドレルの表面と対向する側に、樹脂製チューブを環状ダイスから引き出す方向に送り出す送り機構を設けたことを特徴としている。
【0008】
本発明は、本出願人に係る先の特許出願と同様に、樹脂製チューブ内に気体を導入することなく、しかし、これとは異なる手段によって、製造される樹脂製チューブの形状の安定化を図り、品質の優れた薄肉シームレスベルトを製造できるようにした樹脂製チューブの製造方法及び装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)樹脂製チューブの製造方法において、環状ダイのリップ部の内外の温度を均一に保った状態で、押出機により、前記環状ダイのリップ部から溶融樹脂を吐出させ、前記リップ部から吐出された溶融状態の樹脂製チューブを、前記環状ダイのリップ部から3 mm 〜20 mm の間隔をもって配置した冷却マンドレルの表面と接触させることにより、冷却固化させた後、送り機構により、前記環状ダイから離れる方向に引き取る。
【0010】
(2)上記(1)項において、環状ダイのリップ部の内外の温度を、±1゜C以内に保つように、環状ダイのリップ部を温度制御する。
【0011】
(3)上記(1)または(2)項において、樹脂製チューブ内における環状ダイと冷却マンドレルとの間の空間を、大気圧に保つ。
【0012】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、冷却マンドレルを、その樹脂製チューブとの接触面における上流側部分が、下流側部分より高温となるように、温度制御する。
【0013】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、冷却マンドレルを、その樹脂製チューブとの接触面における上流側部分の温度が、環状ダイのリップ部から吐出した直後の溶融状態の樹脂製チューブの温度となるように、温度制御する。
【0014】
(6)樹脂製チューブの製造装置において、溶融樹脂を押し出す押出機と、前記押出機より供給された溶融樹脂をチューブ形状で吐出させるリップ部を備える環状ダイと、前記環状ダイの軸線と同軸的に、かつ前記環状ダイのリップ部から3 mm 〜20 mm の間隔をもって設けられ、かつ前記環状ダイのリップ部から吐出された溶融状態の樹脂製チューブの内面と接触して、樹脂製チューブを冷却固化させる冷却マンドレルと、冷却固化された樹脂製チューブを、前記冷却マンドレルの下流側から、前記環状ダイから離れる方向に引き取る送り機構と、前記環状ダイに設けられ、環状ダイのリップ部の内外の温度を均一に保つように温度制御する温度制御手段とを備えるものとする。
【0015】
(7)上記( 6 ) 項において、温度制御手段が、環状ダイのリップ部の内外に設けられた温度センサと、前記環状ダイのリップ部の少なくとも内側に設けられたヒータと、前記両温度センサの検出温度に基づいて、その検出温度の差が予め定めた値を越えたとき、前記ヒータを作動させるように制御する制御手段とを備えるものとする。
【0016】
(8)上記(6)または ( 7 ) 項において、冷却マンドレルまたはその支持手段に、樹脂製チューブ内における環状ダイと冷却マンドレルとの間の空間を大気に連通させる連通路を設ける。
【0017】
(9)上記(6)〜( 8 )項のいずれかにおいて、冷却マンドレルに、その樹脂製チューブとの接触面における上流側部分が、下流側部分より高温となるように、温度制御する温度制御手段を設ける。
【0018】
(10)上記( 9 )項において、温度制御手段を、密閉された中空円筒状の冷却マンドレル内に螺旋状の仕切板を設け、冷却媒体を、前記仕切板に沿って、下流側部分から上流側部分に向かって螺旋状に循環させるようにした手段により形成する。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の製造方法を実施する樹脂製チューブの製造装置の要部の縦断正面図、図2は、図1のII−II線に沿う横断平面図である。
【0020】
これらの図において、(1)は、シームレスベルトを形成するための素材である熱可塑性合成樹脂材料(以下単に樹脂という)を、加熱、溶融、混練して、溶融状態で出口から押し出す押出機を示し、(2)は、スパイラル溝(2a)を有する環状ダイである。
【0021】
環状ダイ(2)は、スパイラル溝(2a)の下方に連なる薄い円筒状のスリットであるリップ部(2b)を備えている。押出機(1)によって環状ダイ(2)に送給されてきた溶融樹脂(3A)は、環状ダイ(2)のスパイラル溝(2a)及びリップ部(2b)を介して、樹脂製チューブ(3B)として、連続的に下方へ吐出される。
【0022】
環状ダイ(2)には、そのリップ部(2b)の内外の温度をほぼ均一に保つように温度制御する温度制御手段(4)が設けられている。
この例では、温度制御手段(4)は、環状ダイ(2)におけるリップ部(2b)の表面の内外に設けられた温度センサ(5)(6)と、環状ダイ(2)におけるリップ部(2b)の内側に設けられたシーズヒータ等のヒータ(7)と、両温度センサ(5)(6)の検出温度に基づいて、その検出温度の差が予め定めた値を越えたとき、ヒータ(7)を作動させるように制御する制御手段(8)とを備えるものとしてある。
【0023】
この種の環状ダイ(2)においては、リップ部(2b)の内側の方が外側より低温となる傾向があるので、この例では、内側の温度センサ(5)の検出温度が、外側の温度センサ(6)の検出温度より1゜Cだけ低くなったとき、ヒータ(7)を作動させ、内側の温度センサ(5)の検出温度が、外側の温度センサ(6)の検出温度より1゜Cだけ高くなったとき、ヒータ(7)の作動を停止するように、制御手段(8)により制御することにより、環状ダイ(2)のリップ部(2b)の内外の温度を、ほぼ±1゜C以内に保つようにしている。
【0024】
なお、リップ部(2b)の外側の方が内側より低温となる傾向がある場合や、状況によって外側が低温となったり、内側が低温となったりする場合は、ヒータ(7)をリップ部(2b)の外側のみに設けたり、または内外両方に設けたりして、その低温となった方のヒータ(7)を作動させるように、制御手段(8)により制御するようにしてもよい。
【0025】
環状ダイ(2)の中央には、下方に向かって延出する円筒形の垂直の支持杆(9)の上部が貫通するようにして固着され、この支持杆(9)には、上下の端部が閉塞され、かつ環状ダイ(2)のリップ部(2b)から吐出された溶融状態の樹脂製チューブ(3B)の内面と接触して、樹脂製チューブ(3B)を冷却固化させる円筒状の冷却マンドレル(10)が、環状ダイ(2)の中心軸線と同軸的に、リップ部(2b)に近接するようにして固着されている。
【0026】
この冷却マンドレル(10)の外径は、リップ部(2b)の内径とほぼ等しくするのが好ましいが、状況に応じて、リップ部(2b)の内径より小径または大径とすることもある。
【0027】
環状ダイ(2)と冷却マンドレル(10)との間隔Xは、0<X≦100mm、好ましくは、環状ダイ(2)と冷却マンドレル(10)とが直接熱伝達せず、しかもなるべく近い値である3mm〜20mmとするのがよい。
【0028】
冷却マンドレル(10)内には、樹脂製チューブ(3B)との接触面における上流側部分が、下流側部分より高温となるように温度制御する温度制御手段(11)として、螺旋状の仕切板(12)が、その内外の端部が冷却マンドレル(10)の中央を挿通する支持杆(9)の外周面と冷却マンドレル(10)の内面とに固着されるようにして設けられている。
【0029】
支持杆(9)内には、冷却マンドレル(10)における底壁(10a)と仕切板(12)の下端部との間に開口する冷媒供給管(13)と、冷却マンドレル(10)における上端壁(10b)と仕切板(12)の上端部との間に開口する冷媒排出管(14)とが設けられており、冷媒供給管(13)より供給された冷媒が、仕切板(12)に沿って冷却マンドレル(10)内を螺旋状に上方に向かって循環する間に、冷却マンドレル(10)の外周壁を介して樹脂製チューブ(3B)と熱交換され、冷却マンドレル(10)の上部において、冷媒排出管(14)により排出される際には暖められて、好ましくは、樹脂製チューブ(3B)のリップ部(2b)より吐出されたときの温度に近い温度(例えば温度差10゜C以内)に到達するようにするのがよい。
また、冷媒の温度がそのように変化するように、冷媒の初期温度及び流速を制御するのがよい。
【0030】
冷却マンドレル(10)内を通る冷媒をこのように制御することにより、冷却マンドレル(10)は、外周面における上流側部分が、同じく下流側部分より高温となり、かつ、環状ダイ(2)のリップ部(2b)から吐出した直後の溶融状態の樹脂製チューブ(3B)の温度に近い値となり、樹脂製チューブ(3B)が最初に冷却マンドレル(10)に接触したときに急冷されるのを防止し、そのような急冷によるしわの発生や不均一な収縮を防止することができ、また樹脂製チューブ(3B)が冷却マンドレル(10)に沿って移動する間に徐々に冷却され、均質な樹脂製チューブ(3B)を安定して製造することができる。
【0031】
冷却マンドレル(10)の下方の、適宜の距離を隔てた個所には、その外径とほぼ同一の外径を有し、かつ上下の端部が閉塞された円筒状の案内マンドレル(15)が、その中央を貫通する支持杆(9)に固着して、配設されている。
【0032】
案内マンドレル(15)の周囲には、4組のゴム製の送りベルト(16)が、90度間隔で配設されている。各送りベルト(16)は、上下1対のプーリ(17)(18)に掛け回されており、上下のプーリ(17)(18)の少なくともいずれか一方を、モータ等の駆動手段(図示略)により所要の方向に回転させることにより、図1に矢印で示すように、内側走行部が下降する方向にそれぞれ無端回走させられ、各送りベルト(16)と案内マンドレル(15)との間に挟まれた樹脂製チューブ(3B)を、下方に向かって均一に引き下げるようになっている。
【0033】
この案内マンドレル(15)と4組の送りベルト(16)とにより、冷却固化された樹脂製チューブ(3B)を、冷却マンドレル(10)の下流側から、環状ダイ(2)から離れる方向に引き取る送り機構(19)が形成されている。
【0034】
支持杆(9)の上下の端部は開口しており、支持杆(9)の中間部には、樹脂製チューブ(3B)内における環状ダイ(2)と冷却マンドレル(10)との間の空間(20)を大気に連通させる連通孔(連通路)(21)と、同じく冷却マンドレル(10)と案内マンドレル(15)との間の空間(22)を大気に連通させる連通孔(連通路)(23)とが設けられている。
【0035】
これらの連通孔(21)(23)を設けたことにより、樹脂製チューブ(3B)の繰り出しに伴うポンプ作用によって、各空間(20)(22)は減圧され、樹脂製チューブ(3B)が求心方向に引き寄せられるのが未然に防止される。
【0036】
すなわち、このような連通孔(21)(23)を設けないと、樹脂製チューブ(3B)が冷却マンドレル(10)及び案内マンドレル(15)の外周面に沿って下方に連続して移動する間に、樹脂製チューブ(3B)の内面と冷却マンドレル(10)及び案内マンドレル(15)の外周面との間から空間(20)(22)内の空気がわずかずつ排気され、空間(20)(22)内が徐々減圧されるが、連通孔(21)(23)を設けることにより、これを防止することができる。
【0037】
次に、上述の製造装置の作用、並びにそれを用いて行われる樹脂製チューブの製造方法の一実施要領について説明する。
押出機(1)の出口より押し出された溶融樹脂(3A)は、環状ダイ(2)のスパイラル溝(2a)に導かれ、リップ部(2b)から、溶融状態で樹脂製チューブ(3B)として吐出される。
【0038】
吐出された樹脂製チューブ(3B)は、ほぼ直後に、冷却マンドレル(10)の表面と接触する。この冷却マンドレル(10)は、上記の如く、温度制御手段(11)によって温度制御されているため、溶融状態で吐出された樹脂製チューブ(3B)は、冷却マンドレル(10)と接触する際にも、スティックスリップを生ずることはなく、内径を規制されつつ、均一に徐々に内側から冷却固化される。
【0039】
ついで、案内マンドレル(15)の表面と接触した樹脂製チューブ(3B)は、送り機構(19)の送りベルト(16)により引き下げられた後、裁断機(図示していない)により、所定の長さとなるように、円周方向に裁断される。裁断された樹脂製チューブ(10)は、薄肉シームレスベルトとして、プリンター、複写機、ファクシミリ等の機能性ベルトとして利用される。
【0040】
樹脂製チューブ(3B)の形状及び厚さを、さらに安定化させるには、環状ダイ(2)のリップ部(2b)の内径と冷却マンドレル(10)の外径とを、ほぼ同一とするのがよい。
【0041】
樹脂製チューブ(3B)の素材としては、例えば、ナイロン、ポリカーボネート、PET等の熱可塑性樹脂を用いることができるが、特に制限はない。
【0042】
また、上記実施形態においては、支持杆(9)の中間部に、空間(20)(22)を大気に連通させる連通孔(連通路)(21)を設けたが、これに代えて、例えば図1に想像線で示してあるように、冷却マンドレル(10)及び案内マンドレル(15)に、空間(20)(22)同士、及び空間(22)と案内マンドレル(15)よりさらに下方の空間とを連通させる連通管(連通路)(24)(25)等を設けてもよい。
【0043】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、環状ダイのリップ部の内外の温度を均一に保った状態で、押出機により、溶融樹脂を環状ダイのリップ部から吐出させるようにしたので、樹脂製チューブの形状の安定化を図り、品質の優れた樹脂製チューブ、ひいては薄肉シームレスベルトを製造することができる。
【0044】
請求項2記載の発明によると、環状ダイのリップ部から吐出される溶融状態の樹脂製チューブの内外の温度差をほとんどなくすことができ、もって均質な樹脂製チューブ(3B)を安定して製造することができる。
【0045】
請求項3記載の発明によると、環状ダイと冷却マンドレルとの間の空間内の圧力を従来のように高精度で制御する必要がなく、単に大気圧に開放するだけでよいので、容易に実施することができる。
【0046】
請求項4記載の発明によると、環状ダイのリップ部から吐出された溶融状態の樹脂製チューブは、冷却マンドレルとの接触時に急冷されることなく、冷却マンドレルに沿って移動する間に徐々に冷却されるので、急冷によるしわの発生や不均一な収縮を防止することができ、均質な樹脂製チューブを安定して製造することができる。
【0047】
請求項5記載の発明によると、環状ダイのリップ部から吐出された溶融状態の樹脂製チューブが、冷却マンドレルと最初に接触したときに急冷されるのを確実に防止することができ、急冷によるしわの発生や不均一な収縮、及び急激な固化に伴うスティックスリップの発生等を防止することができる。
したがって、環状ダイのリップ部から吐出された直後の樹脂製チューブ内に、高精度で圧力を制御された気体を導入しなくても、充分な精度を維持することができる。
【0048】
請求項6記載の発明によると、請求項1記載の発明によるのと同様の効果を奏することができるだけでなく、装置の構造を簡素化し、複雑な制御を行うことなく、簡単に実施することができる。
【0049】
さらに、冷却マンドレルを環状ダイに近接させたことにより、樹脂製チューブを、環状ダイのリップ部から吐出された直後の溶融状態の時から外形が変化しないように案内することができ、均質な樹脂製チューブを安定して製造することができ、さらに、環状ダイの軸線方向の装置全体の長さを短くすることができるとともに、製造作業時間を短縮することができる。しかも、環状ダイと冷却マンドレルとは、直接熱伝達しない程度に離れているので、環状ダイの熱が、冷却マンドレルの冷却を阻害することはない。
【0050】
請求項7記載の発明によると、温度制御手段を簡単な構造のものとすることができる。
【0051】
請求項8記載の発明によると、樹脂製チューブが冷却マンドレルの外周面に沿って連続して移動する際に、樹脂製チューブの内面と冷却マンドレルの外周面との間から、樹脂製チューブ内における環状ダイと冷却マンドレルとの間の空間内の空気がわずかずつ排気され、その空間内が徐々に減圧されるおそれがあるが、上記空間を大気に連通させる連通路を設けたことにより、その空間内が減圧されるのを防止し、溶融状態の樹脂製チューブに望ましくない内圧が掛かって、樹脂製チューブに予期しない変形が生じるのを未然に防止することができる。
【0052】
請求項9記載の発明によると、請求項4記載の発明によるのと同様の効果を奏することができる。
【0053】
請求項10記載の発明によると、冷却マンドレル用の温度制御手段を、極めて簡単な構造とすることができ、安価に製造できるとともに、容易に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の製造装置の一実施形態の要部の縦断正面図である。
【図2】 図1のII−II線に沿う横断平面図である。
【符号の説明】
(1)押出機
(2)環状ダイ
(2a)スパイラル溝
(2b)リップ部
(3A)溶融樹脂
(3B)樹脂製チューブ
(4)温度制御手段
(5)(6)温度センサ
(7)ヒータ
(8)制御手段
(9)支持杆
(10)冷却マンドレル
(11)温度制御手段
(12)仕切板
(13)冷媒供給管
(14)冷媒排出管
(15)案内マンドレル
(16)送りベルト
(17)(18)プーリ
(19)送り機構
(20)(22)空間
(21)(23)連通孔(連通路)
(24)(25)連通管(連通路)
Claims (10)
- 環状ダイのリップ部の内外の温度を均一に保った状態で、押出機により、前記環状ダイのリップ部から溶融樹脂を吐出させ、前記リップ部から吐出された溶融状態の樹脂製チューブを、前記環状ダイのリップ部から3 mm 〜20 mm の間隔をもって配置した冷却マンドレルの表面と接触させることにより、冷却固化させた後、送り機構により、前記環状ダイから離れる方向に引き取ることを特徴とする樹脂製チューブの製造方法。
- 環状ダイのリップ部の内外の温度を、±1゜C以内に保つように、環状ダイのリップ部を温度制御することを特徴とする請求項1記載の樹脂製チューブの製造方法。
- 樹脂製チューブ内における環状ダイと冷却マンドレルとの間の空間を、大気圧に保つことを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製チューブの製造方法。
- 冷却マンドレルを、その樹脂製チューブとの接触面における上流側部分が、下流側部分より高温となるように、温度制御することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂製チューブの製造方法。
- 冷却マンドレルを、その樹脂製チューブとの接触面における上流側部分の温度が、環状ダイのリップ部から吐出した直後の溶融状態の樹脂製チューブの温度となるように、温度制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂製チューブの製造方法。
- 溶融樹脂を押し出す押出機と、前記押出機より供給された溶融樹脂をチューブ形状で吐出させるリップ部を備える環状ダイと、前記環状ダイの軸線と同軸的に、かつ前記環状ダイのリップ部から3 mm 〜20 mm の間隔をもって設けられ、かつ前記環状ダイのリップ部から吐出された溶融状態の樹脂製チューブの内面と接触して、樹脂製チューブを冷却固化させる冷却マンドレルと、冷却固化された樹脂製チューブを、前記冷却マンドレルの下流側から、前記環状ダイから離れる方向に引き取る送り機構と、前記環状ダイに設けられ、環状ダイのリップ部の内外の温度を均一に保つように温度制御する温度制御手段とを備えることを特徴とする樹脂製チューブの製造装置。
- 温度制御手段が、環状ダイのリップ部の内外に設けられた温度センサと、前記環状ダイのリップ部の少なくとも内側に設けられたヒータと、前記両温度センサの検出温度に基づいて、その検出温度の差が予め定めた値を越えたとき、前記ヒータを作動させるように制御する制御手段とを備えるものとした請求項6記載の樹脂製チューブの製造装置。
- 冷却マンドレルまたはその支持手段に、樹脂製チューブ内における環状ダイと冷却マンドレルとの間の空間を大気に連通させる連通路を設けた請求項6または7記載の樹脂製チューブの製造装置。
- 冷却マンドレルに、その樹脂製チューブとの接触面における上流側部分が、下流側部分より高温となるように、温度制御する温度制御手段を設けた請求項6〜8のいずれかに記載の樹脂製チューブの製造装置。
- 温度制御手段を、密閉された中空円筒状の冷却マンドレル内に螺旋状の仕切板を設け、冷却媒体を、前記仕切板に沿って、下流側部分から上流側部分に向かって螺旋状に循環させるようにした手段により形成した請求項9記載の樹脂製チューブの製造装置。
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