JP4321603B2 - 抗菌化粧シート - Google Patents
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このような環境問題の観点から塩化ビニルの持つ柔軟性、耐摩耗性、耐薬品性、耐候性などを備えた代替化粧シートが要求されつつあり、脱塩化ビニルが定着しつつある。
内装用化粧シートは、ドア、窓枠、家具といった箇所に使用されるが、日常接触する機会の多い部分であり、やはり抗菌性が望まれる(特許文献1参照)。
さらに、上記化粧シートを構成するエンボスの施されたオレフィン樹脂系フィルム中の樹脂に添加された抗菌剤の作用効果により、化粧シートの抗菌性がさらに向上する。したがって、本発明によって、実用上の優れた抗菌性を有するオレフィン樹脂系化粧シートが提供できる。
図1は、本発明による化粧シートの一例を示したものである。基材フィルム1に、インキ絵柄層2、接着剤層3をこの順に順次設け、押出機を用いて溶融押出しで、オレフィン系樹脂層4に施されたエンボス凹部6にウレタン系のインキ7を充填し、最外表面に抗菌剤を添加したトップコート層8を設け、さらに基材1の裏面にプライマー層5を設けた構成の化粧シートである。
図2は、本発明による化粧シートの他の例を示したものである。押出機を用いて溶融押出しで、オレフィン樹脂系フィルム4を成形すると同時にエンボス凹部6を施し、ウレタン系のインキ7を充填し、最外表面に抗菌剤を添加したトップコート層8を設け、裏面にインキ絵柄層2およびプライマー層5を施した構成の化粧シートである。
抗菌剤を添加した場合には、トップコート層の塗工面の平滑性が損なわれたり、透明度が低下したりすることがあるので注意が必要である。
また、化粧シートとしての隠蔽性を確保するために、無機顔料などにより任意に着色を行う必要がある。さらに、耐候性向上のために酸化防止剤、紫外線吸収剤・光安定剤が適宜加えられる。これらの添加剤の種類、量に関してはとくに限定されるものではなく、フィルムの樹脂に一般的に使用されているものを添加すればよい。
その効果から、酸化防止剤にはフェノール系を、紫外線吸収剤にはベンゾフェノン系を、光安定剤にはヒンダードアミン系をそれぞれ組み合わせて用いるのが最適である。ただし、ヒンダードアミン系添加剤は一部のフェノール系添加剤と反応し、キノイド結合を生成するため、シートが色変化を起こすことがあるので注意は必要である。
さらに、インキの凝集力を向上させるために、イソシアネートを添加する場合もある。
これらの添加によって、化粧シートを合板・中質繊維板(以下MDF)等の木質材料に接着後、Vカット加工することによって加工箇所が白化することもなく、表面の耐傷つき性も向上する。また、耐候性を考慮し、基材フィルムと同様、耐候性処方剤を添加する。
ただし、抗菌剤によっては上記樹脂の透明度が低下する場合もあるので注意が必要である。また、抗菌剤のオレフィン系樹脂からのブリードによって、前述のトップコートの密着性が阻害されないよう注意が必要である。
トップコート樹脂として、ウレタン系樹脂(URV283グロスワニス:東洋インキ製造(株)製)に硬化剤(UR150Bワニス:東洋インキ製造(株)製)を10重量部添加したものに対して、有機系抗菌剤(ラサップ QB−2500G:ラサ工業(株)製)を樹脂重量に対して1重量部および2重量部添加したものをエンボス面へ、バーで5g/m2コートした。
また比較に、抗菌剤無添加のトップコートをバーで5g/m2 コートした。
これらのシートを、大腸菌(Escherichia coli)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の2種類の菌で抗菌性をテストした。テスト方法は公知のフィルム密着法を用いた。試験体に菌懸濁液1mlを接種し、滅菌済みの5cm×5cmのフィルムを気泡が入らないように被せ、35℃で24h放置後菌数を測定した。
この方法で、シートへトップコート塗工後のものと、それに耐候性テスト(メタルウェザ100h後)を経たものとの両方で抗菌性を評価した。
表1に示すように、その結果、抗菌の効果が確認された。
トップコート樹脂として、ウレタン系樹脂( UCクリヤーW−184V:大日本インキ工業(株)製)に硬化剤(W−325N:大日本インキ工業(株)製)を10重量部添加したものに対して、有機系抗菌剤(ラサップQB−2500G:ラサ工業(株)製)を樹脂重量に対して1重量部添加したものを上記で作製した化粧シートのエンボス面へ、バーで5g/m2 コートした。
また比較に、抗菌剤無添加のトップコートを同様に上記シートへ塗工した。
これらのシートを、大腸菌(Escherichia coli)および黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の2種類の菌で抗菌性をテストした。テスト方法は公知のフィルム密着法を用いた。試験体に菌懸濁液1mlを接種し、滅菌済みの5cm×5cmのフィルムを被せ、35℃で24h放置後菌数を測定した。
この方法で、シートへトップコート塗工後のものと、それに耐候性テスト(アイスーパーUVテスター100h後)を経たものとの両方で抗菌性を評価した。
表2に示すように、その結果、抗菌剤の添加による抗菌性の効果が確認された。
また、耐候性テストの面から、樹脂層に抗菌剤を添加しておくことでさらに抗菌性を高められることが確認された。
さらに、上記化粧シートを構成するエンボスの施されたオレフィン樹脂系フィルム中の樹脂に添加された抗菌剤の作用効果により、化粧シートの抗菌性がさらに向上する。
したがって、本発明によって、実用上の優れた抗菌性を有するオレフィン樹脂系化粧シートが提供できる。
2 インキ絵柄層
3 接着層
4 オレフィン樹脂系フィルム層
5 プライマート層
6 エンボス凹部
7 充填インキ
8 トップコート層
Claims (2)
- 基材フィルムにインキ絵柄層、接着層を順次設け、さらにエンボスの施したオレフィン樹脂系フィルムを積層した化粧シートの最外表面にトップコート層を有する化粧シートにおいて、
前記エンボスは、オレフィン系樹脂を押出機を用いて溶融押出した後にエンボス冷却ロールにて加圧・冷却する方法により施され、
前記オレフィン樹脂系フィルムに銀系抗菌剤が添加され、
前記トップコート層に有機系抗菌剤が、トップコート樹脂に対して1重量部以上2重量部以下添加されたこと
を特徴とする抗菌化粧シート。 - エンボスの施されたオレフィン樹脂系フィルムの表面にトップコート層を設け、裏面にインキ絵柄層が施された化粧シートにおいて、
前記エンボスは、オレフィン系樹脂を押出機を用いて溶融押出した後にエンボス冷却ロールにて加圧・冷却する方法により施され、
前記オレフィン樹脂系フィルムに銀系抗菌剤が添加され、
前記トップコート層に有機系抗菌剤が、トップコート樹脂に対して1重量部以上2重量部以下添加されたこと
を特徴とする抗菌化粧シート。
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