JP4321035B2 - スライドドア車の車体側部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライドドア車の車体側部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のスライドドア車は、一般的にリアドアを車体後方にスライドさせて開閉するようになっており、そのスライドドアの上下端部は、車体側部の上下に設けたアッパー,ロアーガイドレールに支持されるとともに、上下中央部がサイドウインドウ(クォータウインドウ)下方のボディサイドアウター(クォータアウタパネル)に設けたリアガイドレール(センターレール)に支持される。
【0003】
前記リアガイドレールは、ボディサイドアウターに形成した車体前後方向の浅溝状の凹設部分に装着して出っ張りを無くし、かつ、その凹設部分はレールを転動するローラの支持ブラケットが走行する部分を除いてカバーで覆うようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、ボディサイドアウターの凹設部分よりも上方部分内側には、リアピラーインナー(クォータインナパネル)をスポット溶接により結合して閉断面部を形成し、サイドウインドウ下部の捻り剛性を確保するようになっている。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−145116号公報(第3頁、第1,4図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる従来のスライドドア車の車体側部構造にあっては、リアガイドレールの取付位置は略ホイールハウスの上方となり、このホイールハウスの上方には、前記ボディサイドアウターと車室内方を隔成する室内トリムとの間に空間部が設けられるようになっており、この空間部にパワースライドアクチュエータが格納される。
【0007】
このとき、室内トリムを車室内方に張り出すことなく前記空間部をより広くとるためには、ボディサイドアウターにリアピラーを結合して形成した閉断面部を、より上方に配置することが望まれる。
【0008】
ところが、前記特許文献1に示した車体側部構造では、閉断面部を形成するリアピラーインナーとボディサイドアウターとの結合位置は、スポット溶接の打痕が表面に現れないために、リアピラーインナーの下端部の溶接位置をカバーで隠れる凹設部分に設定せざるを得ない。
【0009】
一方、リアガイドレールの上下取付位置は、アッパーガイドレールとロアーガイドレールの略中間に配置するのが理想的であり、必然的に前記凹設部分の形成位置が決定されることになる。
【0010】
このため、通常の車体構造では、凹設部分がサイドウインドウ下部からある程度下方に下がった位置に設定されるため、前記閉断面部も前記空間部の下方に大きく迫り出すことになる。
【0011】
尚、前記閉断面部は、サイドウインドウ下部の捻り剛性を確保するために必須構造となっている。
【0012】
従って、パワースライドアクチュエータの格納スペースを確保するためには、室内トリムを車室内側に張り出す必要が生ずるため、その分、車室スペースが狭くなってしまう。
【0013】
そこで、本発明はサイドウインドウ下部の捻り剛性の確保、および、パワースライドアクチュエータ等の格納スペースの確保を図りつつ、車室スペースの拡大化を達成することができるスライドドア車の車体側部構造を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、サイドウインドウ下方のボディサイドアウターに車体前後方向にリアガイドレールを装着し、このリアガイドレールに沿ってスライドドアの上下方向中央部を移動案内するようになっており、ボディサイドアウターのリアガイドレール装着部分からサイドウインドウに至る上方部分を車体内方に凹設し、この凹設部分の上下方向中央部分よりも上側に、断面コ字状のクォータインナパネルを結合して閉断面部を形成するとともに、該閉断面部の下方にパワースライドアクチュエータの収納スペースを設け、前記凹設部分の外側を略全体的にカバーで覆ったことを特徴としている。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、ボディサイドアウターのリアガイドレール装着部分からサイドウインドウに至る上方部分を車体内方に凹設し、この凹設部分の上端部分に、断面コ字状のクォータインナパネルを結合して閉断面部を形成したので、この閉断面部によってサイドウインドウ下部の捻り剛性を確保することができる。
【0016】
また、前記凹設部分の外側を略全体的にカバーで覆ったので、クォータインナパネルをボディサイドアウターにスポット溶接した際の打痕をカバーによって隠すことができるため、クォータインナパネルの結合位置の選定自由度が広がり、クォータインナパネルの下端部の結合位置をサイドウインドウに近づく方向、つまり上方に設定して、前記閉断面部の下方の空間部を拡大してパワースライドアクチュエータの格納スペースを確保することができる。
【0017】
更に、前記閉断面部の下方の空間部を拡大できることにより、この空間部の車室内方を隔成する室内トリムをボディサイドアウター側に近づけることが可能、つまり、室内トリムが車内側に迫り出すのを防止できるようになり、車室スペースを拡大することができる。
【0018】
更にまた、クォータインナパネルの下端部の結合位置とリアガイドレールの装着位置との関連が無くなることから、このリアガイドレールの装着位置の設計自由度を広げることができる。
【0019】
また、クォータインナパネルをボディサイドアウターにスポット溶接した際の打痕をカバーによって隠すことができるため、車体側部の外観を向上することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0021】
図1,図2は本発明にかかるスライドドア車の車体側部構造の一実施形態を示し、図1はスライドドア車の概略側面図、図2は図1中A−A線に沿った拡大断面図である。
【0022】
この実施形態の車体側部構造は図1に示すスライドドア車1に適用され、このスライドドア車1は、フロントドア2とリアドアとなるスライドドア3とを備え、このスライドドア3の開放時には、サイドウインドウ4およびボディサイドアウター5の外側に沿って車体後方にスライドするようになっている。
【0023】
スライドドア3は、その上端部がルーフサイドレール6に沿って車体前後方向に結合したアッパーガイドレール7に移動案内されるとともに、下端部がサイドシル8に沿って車体前後方向に結合したロアーガイドレール9に移動案内されるようになっており、更には、スライドドア3の上下方向中央部が、ボディサイドアウター5に車体前後方向に装着したリアガイドレール10に移動案内されるようになっている。
【0024】
リアガイドレール10は、図1に示すようにアッパーガイドレール7とロアーガイドレール9との間の間隔Lの略1/2となる位置に配置され、サイドウインドウ4の下方に所定寸法hだけ下がった位置に装着するようになっている。
【0025】
ここで、本実施形態の車体側部構造では、図2に示すようにリアガイドレール10を装着するボディサイドアウター5を、リアガイドレール10の装着部分からサイドウインドウ4に至る上方部分で車体内方(図中右方)に凹設し、この凹設部分11の上端部分11aに、断面コ字状のクォータインナパネル12をスポット溶接(図2中×印で示す)により結合して閉断面部13を形成するとともに、前記凹設部分11の外側を略全体的にカバー14で覆っている。
【0026】
前記凹設部分11の下端部分11bにリアガイドレール10を装着してあり、このリアガイドレール10を装着した下端部分11bは、リアガイドレール10を収納できる程度の深さd1となり、この下端部分11bから上方に向かって除々に浅くなり、上端部分11aではサイドウインドウ4のウインドウパネル4aの内側に配置される深さd2となっている。
【0027】
そして、凹設部分11の上端部分11aはサイドウインドウ4の下側枠となって、上端部分11aの外側面にシール材15を介してウインドウパネル4aが密接する。
【0028】
前記リアガイドレール10は、図2に示すように断面が略コ字状のチャンネル材で形成され、その底部10aを凹設部分11の下端部分11bに図外のボルトを介して装着してある。
【0029】
また、リアガイドレール10の上側フランジ10bには、その先端を下方に延設して垂設部10cを形成し、この垂設部10cとチャンネル材の底部10aとの間にガイドローラ16を挟んで転動自在に支持するとともに、このガイドローラ16の中心部を回転自在に支持するスライドブラケット16aをスライドドア3に結合している。
【0030】
前記クォータインナパネル12は、断面コ字状となった上下両端部にフランジ12a,12bを設け、上方のフランジ12aを前記凹設部分11の上端部分11aの先端部にスポット溶接するとともに、下方のフランジ12bを凹設部分11の上下方向中央部分よりも若干上方に位置する部分にスポット溶接し、閉断面部13を凹設部分11の上端部分11aで構成している。
【0031】
前記ボディサイドアウター5の車体内方には、図2に示すようにこのボディサイドアウター5から適宜間隔Wをおいて室内トリム17を設けてあり、この室内トリム17の上端部は車外方向に湾曲して前記凹設部分11の上端を覆うとともに、下端部はリアホイールハウス18の車内側に沿って湾曲形成してある。
【0032】
また、ボディサイドアウター5と室内トリム17との間には、リアホイールハウス18の上方に空間部Sが形成され、この空間部Sにパワースライドアクチュエータ30を格納するようになっている。
【0033】
前記カバー14は、アウターパネル14aとインナーパネル14bの2重構造として所要の剛性を持たせており、アウターパネル14aの周縁部をインナーパネル14bの周縁部に巻き締め結合している。
【0034】
カバー14の上端縁を、サイドウインドウ4のウインドウパネル4aの下端に設けた前記シール材15の外側に押し当てるとともに、図1にも示すようにカバー14の下端縁には、前記スライドブラケット16aの移動部分に切欠部14cを形成し、スライドドア3の開閉に伴ってスライドブラケット16aが切欠部14cを移動するようになっている。
【0035】
以上の構成により本実施形態の車体側部構造にあっては、ボディサイドアウター5のリアガイドレール10の装着部分からサイドウインドウ4に至る上方部分を車体内方に凹設し、この凹設部分11の上端部分11aに、断面コ字状のクォータインナパネル12を結合して閉断面部13を形成したので、この閉断面部13によってサイドウインドウ4下部の捻り剛性を確保することができる。
【0036】
また、前記凹設部分11の外側を略全体的にカバー14で覆ったので、クォータインナパネル12をボディサイドアウター5の凹設部分11にスポット溶接した際の打痕をカバー14によって隠すことができる。
【0037】
このため、クォータインナパネル12の結合位置は前記凹設部分11の範囲内で自由に選定することができ、クォータインナパネル12の下方のフランジ12bの結合位置をサイドウインドウ4に近づく方向、つまり上方に設定して前記閉断面部13を全体的に上方に配置することが可能となる。
【0038】
従って、前記閉断面部13の下方に形成される空間部Sを拡大できるようになり、パワースライドアクチュエータ30の格納スペースを確保することができる。
【0039】
更に、前記閉断面部13の下方の空間部Sを拡大できることにより、この空間部Sの車室内方を隔成する室内トリム17をボディサイドアウター5側に近づけて配置することが可能となって、車室スペースを拡大することができる。
【0040】
更にまた、クォータインナパネル12の結合位置は凹設部分11の範囲で任意に設定できるため、従来のようにクォータインナパネル12の下端部をリアガイドレール10の装着部分に結合する必要が無くなる。
【0041】
このため、クォータインナパネル12の下方のフランジ12bの結合位置と、リアガイドレール10の装着位置との関連が無くなることから、このリアガイドレール10の上下方向の装着位置の設計自由度を広げることができる。
【0042】
また、このことはクォータインナパネル12をボディサイドアウター5にスポット溶接した際の打痕をカバー14によって隠すことができるため、車体側部の外観を向上することができる。
【0043】
ところで、本発明の車体側部構造は前記実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるスライドドア車の側面図。
【図2】図1中A−A線に沿った拡大断面図。
【符号の説明】
1 スライドドア車
3 スライドドア
4 サイドウインドウ
5 ボディサイドアウター
10 リアガイドレール
11 凹設部分
12 クォータインナパネル
13 閉断面部
14 カバー
17 室内トリム
30 パワースライドアクチュエータ
Claims (1)
- サイドウインドウ下方のボディサイドアウターに車体前後方向にリアガイドレールを装着し、このリアガイドレールに沿ってスライドドアの上下方向中央部を移動案内するようにしたスライドドア車であって、
ボディサイドアウターのリアガイドレール装着部分からサイドウインドウに至る上方部分を車体内方に凹設し、この凹設部分の上下方向中央部分よりも上側に、断面コ字状のクォータインナパネルを結合して閉断面部を形成するとともに、該閉断面部の下方にパワースライドアクチュエータの収納スペースを設け、前記凹設部分の外側を略全体的にカバーで覆ったことを特徴とするスライドドア車の車体側部構造。
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