JP4319746B2 - フォトレジスト用感光性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents

フォトレジスト用感光性樹脂組成物及びレジストパターン形成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はフォトレジストに用いうる感光性樹脂組成物に関し、さらに詳しくは、銅などの金属、ITOなどの導電性金属酸化物により形成される導電回路や電極パターン基板を製造するために用いうる感光性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及びその課題】
感光性樹脂組成物は、フォトレジスト、平板ないし凸版用製版材、オフセット印刷用PS版、情報記録材料、レリーフ像作製材料など多種の用途に広く使われている。
【0003】
従来、プリント配線板などの導体回路を形成するため、感光性レジストを塗布した基板に、露光/現像によりレジストパターンを形成した後、エッチングにより不要部分を除去することが行われている。この様な感光性レジスト組成物としては、例えば、カルボキシル基を有する不飽和樹脂を用いて、希アルカリ現像できる感光性レジスト組成物(例えば特開平3-223759号公報参照)が公知である。
【0004】
上記したカルボキシル基含有不飽和樹脂は、通常、該広報にも記載されているようにアクリル酸のようなカルボキシル基含有不飽和モノマーを(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとラジカル重合反応させてポリカルボン酸樹脂を製造した後、該樹脂とグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有不飽和モノマーとを付加反応させることにより製造されている。
【0005】
しかしながら該感光性レジスト組成物により形成されたレジストパターン被膜は柔軟性や耐衝撃性などの機械的な塗膜物性が劣る、このために例えば、基板をローラー等により搬送して現像している間にレジストパターン被膜がローラーにより破損したり、また、銅張積層板の厚さが0.3mm以下の薄い基板に従来の感光性樹脂組成物を塗装すると、輸送中に膜折れなどの不良品が多くなるなどの問題があった。
【0006】
また、感光性樹脂組成物として特開平7-41708号公報に水溶性または水分散性の酸基及びエチレン性不飽和基含有ウレタン樹脂及び非水溶性光重合開始剤を含有する電着塗料組成物が開示されている。この組成物で形成されるレジストパターンは上記した問題点はほぼ改良されるが、該樹脂中の光反応性基は分子末端にしかないため、光に対する感度が低下すること、また未硬化膜をタックレスにするため高分子量化させて使用する場合、樹脂中の不飽和基濃度がさらに低くなり感度が低下するという問題が生じた。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記した問題点のない、感光性樹脂組成物を得るために鋭意研究を重ねた結果、特定の合成法により合成されたカルボキシル基含有不飽和ウレタン樹脂と光重合開始剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて得られる感光性樹脂被膜は、柔軟性、耐衝撃性の機械的性能が良好でローラーによるパターンの破損、及び輸送中の膜折れなどの問題がなく、しかも高感度であるということを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明に従えば、
1、下記成分
(A)(a)ジカルボン酸化合物のカルボキシル基1個に対して1分子中に平均1個のエポキシ基と平均1個のエチレン性不飽和基を含有する数平均分子量128〜2000のエポキシ基含有エチレン性不飽和基モノマー0.8〜1.2モル反応させてなる水酸基含有不飽和化合物、
(b)カルボキシル基含有ジオール、
(c)ジイソシアネート化合物、
(d)必要に応じてポリオール化合物
を反応させてなる酸価20〜300mgKOH/g、不飽和度0.2〜5.0モル/kg、及び数平均分子量400〜100,000の不飽和基含有ウレタン樹脂及び
(B)光重合開始剤
を含有することを特徴とするフォトレジスト用感光性樹脂組成物。
【0009】
2、(1)基材上に上記のフォトレジスト用感光性樹脂被膜を形成する工程、
(2)基材上に形成されたフォトレジスト用感光性樹脂被膜表面に所望のレジスト被膜(画像)が得られるようにレーザー光線で直接もしくは光線でネガマスクを通して感光して硬化させる工程、
(3)上記(2)工程で形成されたレジスト被膜をアルカリ現像処理して基板上にレジストパターンを形成する工程及び
を含むレジストパターン形成方法
に係わる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明の感光性樹脂組成物において、不飽和基含有ウレタン樹脂(A)を製造するための水酸基含有不飽和樹脂(a)は、ジカルボン酸化合物のカルボキシル基1個に対して1分子中に平均1個のエポキシ基と平均1個のエチレン性不飽和基を含有する数平均分子量128〜2000、好ましくは128〜1000のエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー0.8〜1.2モル、好ましくは0.9〜1.0モルを反応させてなる水酸基含有不飽和化合物(a)である。エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーの数平均分子量が128未満になると入手しがたく、一方2000を越えると化合物(a)中の不飽和基濃度が小さくなりレジストの感度が低下するので好ましくない。また、反応させるエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーの割合が0.8モル未満になると未反応の水酸基と不飽和基を含有しないジカルボン酸化合物が感光性レジスト組成物中に残ったり、ジイソシアネートと反応するためレジストの感度が低下する。一方、1.2モルを越えると未反応の該エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーが被膜中に残るため好ましくない。
【0011】
水酸基含有不飽和化合物(a)で使用されるジカルボン酸化合物はカルボキシル基を1分子中に平均2個有するものである。該ジカルボン酸化合物としては数平均分子量が104〜1000、特に104〜500のものが好ましい。数平均分子量が104未満のものは入手しがたく、一方1000を越えるものは化合物(a)中の不飽和基濃度が小さくなりレジストの感度が低下するので好ましくない。上記したジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、フェニルマロン酸、フェニルコハク酸などを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独もしくは2種以上を併用することができる。
【0012】
また、ジカルボン酸化合物と反応させるエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーは1分子中に平均1個のエポキシ基と平均1個のエチレン性不飽和基を有し、数平均分子量が128〜2000、特に128〜1000が好ましい。数平均分子量が128未満になると入手しがたく、一方2000を越えると化合物(a)中の不飽和基濃度が小さくなりレジストの感度が低下するので好ましくない。
【0013】
該エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンモノオキサイドや
下記一般式(I)、(II)及び(III)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0014】
【化1】
Figure 0004319746
【0015】
上記した一般式中(I)、(II)及び(III)において、R1は水素原子またはメチル基を表し、kは0〜10の整数を表し、Yは
【0016】
【化2】
Figure 0004319746
【0017】
で示される2価の基を表し、R2は炭素数1〜10の2価の脂肪族炭化水素基を表し、R3は炭素数1〜6の2価の脂肪族炭化水素基を表し、nは0〜10の整数である。
【0018】
上記した一般式中(I)、(II)及び(III)において、特にkが1のもの、nが0でR3が炭素数1〜4のもの、nが1でR2が炭素数1〜10のものが好ましい。
【0019】
上記該エポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーは、これらは単独もしくは2種以上を併用することができる。これらの中でも特にグリシジル(メタ)アクリレートを使用すると不飽和濃度が高く高感度になるのでこのものを使用することが好ましい。
【0020】
該ジカルボン酸化合物とエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマーとの反応は、両者の混合物、またはこの混合物を必要に応じて不活性な有機溶剤に溶解もしくはその分散した有機溶剤溶液に必要に応じてカルボキシル基とエポキシ基との反応触媒を配合し、公知の反応条件、例えば反応温度50〜300℃、好ましくは60〜200℃の温度範囲内で約10分間〜24時間、好ましくは20分間〜12時間の範囲内で反応させることができる。また、該反応はエチレン性不飽和がラジカル重合反応を起こさないように、例えば酸素雰囲気で行うことが好ましい。
【0021】
該反応触媒としては従来から公知のカルボキシル基とエポキシ基との反応触媒、例えばテトラブチルアンモニウムブロマイド等の触媒を使用することができる。
【0022】
該触媒は、通常、両成分の配合量100重量部に対して約0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲で使用することができる。
【0023】
また、上記した有機溶剤としては、カルボキシル基、エポキシ基、エチレン性不飽和基、イソシアネート基などの官能基と実質的に反応しない不活性なものを使用することが好ましい。このものとしては、具体的には、例えば、炭化水素系としてベンゼン、トルエン、キシレン等、ケトン系としてアセトン、メチルエチルケトン、ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、エステル系として酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ、酢酸カルビトール等をあげることができる。
【0024】
不飽和基含有ウレタン樹脂(A)の製造で使用されるカルボキシル基含有ジオール(b)は1分子中に平均約1個以上のカルボキシル基と1分子中に平均2個の水酸基を含有する化合物であり、例えば、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロール吉草酸などを挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独もしくは2種以上を併用することができる。特にジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸は有機溶剤に溶解しやすいので使用することが好ましい。
【0025】
不飽和基含有ウレタン樹脂(A)の製造で使用されるジイソシアネート化合物(c)は、1分子中に平均2個のイソシアネート基を含有する化合物である。該イソシアネート化合物としては、脂肪族系ジイソシアネート化合物、脂環族系ジイソシアネート化合物、芳香族系ジイソシアネート化合物などがあげられる。例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’一ジフエニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサンー2,4(又は2,6)一ジイソシアネート、l,3一(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、フエニルジイソシアネート、ハロゲン化フエニルジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、ブチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、オクタデシレンジイソシアネート、l,5ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート重合体、ジフェニルメタンジイソシアネートの重合体、ヘキサメチレンジイソシアネートの重合体、3一フェニル-2−エチレンジイソシアネート、クメンー2,4−ジイソシアネート、4−メトキシー1,3一フェニレンジイソシアネート、4−エトキシ-l,3−フェニレンジイソシアネート、2,4’-ジイソシアネートジフェニルエーテル、5,6−ジメチルー1,3一フエニレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートジフエニルエーテル、ベンジジンジイゾシアネート、9,10一アンスラセンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアネートベンジル、3,3’-ジメチルー4,4’一ジイソシアネートジフエニルメタン、2,6−ジメチルー4,4’-ジイソシアネートジフエニル、3,3’一ジメトキシ-4,4’−ジイソシアネートジフエニル、1,4−アンスラセンジイソシアネート、フエニレンジイソシアネート、2,4,6−トリレントリイソシアネート、2,4,4’一トリイソシアネートジフエニルエーテル、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,3一シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’-メチレンービス(シクロヘキシルイソシアネート)などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これらは単独もしくは2種以上を併用することができる。
【0026】
不飽和基含有ウレタン樹脂(A)の製造において、必要に応じて上記した成分以外に1分子中に少なくとも2個のアルコール性やフェノール性の水酸基を含有するポリオール(d)を反応させることもできる。また該ポリオール成分には必要に応じて1分子中に1個のエチレン性不飽和基を有するエチレン性不飽和基含有ポリオールも使用することができる。ポリオール(d)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量6000以下)、トリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール(分子量6000以下)、テトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,2−ブチレングリコール、l,3−ブタンジオール、1,4一ブタンジオール、l,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ヘキシレングリコール、l,6一ヘキサンジオール、ヘプタンジオ一ル、l,10一デカンジオ一ル、シクロヘキサンジオール、2ーブテンー1,4−ジオール、3一シクロヘキセン-l,1一ジメタノール、4−メチルー3−シクロヘキセン-1,l一ジメタノール、3−メチレン-l,5一ペンタンジオ一ル、(2一ヒドロキシエトキシ)一1一プロパノール、4一(2一ヒドロキシエトキシ)一1一ブタノール、5−(2一ヒドロキシエトキシ)一ぺンタノール、3一(2一ヒドロキシプロポキシ)一l一プロパノール、4一(2ーヒドロキシプロポキシ)一l−ブタノール、5−(2一ヒドロキシプロポキシ)−l一ペンタノール、1−(2一ヒドロキシエトキシル)一2−ブタノール、1一(2−ヒドロキシエトキシ)−2一ペンタノール、水素化ビスフエノールA、グリセリン、ポリカプロラクトン、1,2,6一ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタントリオ一ル、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、3一(2−ヒドロキシエトキシ)一l,2一プロパンジオール、3一(2−ヒドロキシプロポキシ)−l.2−プロパンジオ一ル、6一(2−ヒドロキシエトキシ)−1,2一ヘキサンジオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、マニトール、グルコースなどがあげられる。
【0027】
また、上記したエチレン性不飽和基含有ポリオールとしては、例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ヒドロキシイソシアヌレートモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールジアリルエーテル等が挙げられる。
【0028】
本発明の感光性樹脂組成物で使用する不飽和基含有ウレタン樹脂(A)は、上記した成分(a)〜(c)及び、必要に応じて(d)を配合し、従来から公知のイソシアネート基と水酸基との反応条件によって製造することができる。該反応において、これらの成分を溶解もしくは分散し、かつこれらの反応を阻害しない不活性な有機溶剤を溶媒として必要に応じて使用することができる。
【0029】
該有機溶剤としては、例えば、上記した炭化水素系、ケトン系、エステル系等と同様のものを使用することができる。イソシアネート基と水酸基との反応は、反応温度は通常約20〜250℃、特に50〜200℃の範囲で約10分間〜約24時間、特に約20分間〜約12時間の範囲で反応させることが好ましい。また、該反応において必要に応じてイソシアネート基と水酸基との公知の反応触媒、例えば、テトラブチルスズ、トリフェニルアルミニウム、テトラーnーブチルー1,3ージアセチルオキシジスタノキサン、N−エチルモルホリンなどを挙げることができる。該触媒は通常、(a)〜(d)成分の総合計量固形分100重量部に対して約0.01〜10重量部、好ましくは約0.1〜5重量部の範囲で使用することが好ましい。
【0030】
また、上記した成分(a)〜(c)及び必要に応じて配合する(d)成分の配合割合は、最終的に得られる不飽和基含有ウレタン樹脂(A)が上記した酸価、不飽和度、及び数平均分子量の範囲にはいるように適宜配合すればよい。上記成分(a)〜(d)の総合計量固形分を基準として、(a)成分が約5〜50重量%、好ましくは約10〜40重量%、(b)成分が約3〜50重量%、好ましくは約5〜30重量%、(c)成分が約5〜60重量%、好ましくは約10〜50重量%、(d)成分が約0〜50重量%、好ましくは約0〜40重量%の範囲である。
【0031】
また、上記した成分(a)〜(c)及び必要に応じて(d)を反応させて得られる樹脂がイソシアネート基を有する場合には必要に応じて水酸基含有エチレン性不飽和モノマーと反応させて、該樹脂の分子鎖末端にエチレン性不飽和基を導入することができる。
【0032】
上記した水酸基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、ブタンジオールモノアクリレート、ブタンジオールモノメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、クロチルアルコール、プロピレングリコールモノアクリレートなどがあげられる。又、上記した以外にもグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートとモノカルボン酸化合物(例えば、酢酸、プロピオン酸、クロトン酸、メタクリル酸、アクリル酸など)との付加物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物(例えぱ、エピクロルヒドリンなど)との付加物なども使用することができる。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
【0033】
また、上記した成分(a)〜(c)及び必要に応じて(d)を反応させて得られる樹脂が水酸基を有する場合には、必要に応じてイソシアネート基含有エチレン性不飽和基モノマーと反応させて、該樹脂の分子鎖末端にエチレン性不飽和基を導入することができる。該イソシアネート基含有エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、イソシアン酸エチルメタクリレート、ジイソシアネート化合物の1個のイソシアネート基に水酸基とエチレン性不飽和基を有する単量体を付加させて得られる付加物(例えぱ、イソホロンジイソシアネートとヒドロキシエチルメタクリレートとのモノアダクト等)が挙げられる。
【0034】
かくして、得られた不飽和基含有ウレタン樹脂(A)は、酸価が20〜300mgKOH/g、好ましくは30〜100mgKOH/g、不飽和度が0.2〜5.0モル/kg、好ましくは、0.7〜5.0モル/kg、数平均分子量が400〜100000、好ましくは、400〜50000の範囲内にあることがである。不飽和基含有ウレタン樹脂(A)の酸価が20mgKOH/g未満になると現像性が低下し、一方、300mgKOH/gを越えると光硬化膜の水溶性が高くなるために現像時にレジストパターンが流され、形成できなくなるといった欠点がある。
【0035】
不飽和基含有ウレタン樹脂(A)の不飽和度が0.2モル/kg未満になると、感光性が悪く、塗膜が硬化するのに長時間光照射する必要があり、一方、5.0モル/kgを越えると、不飽和基含有ウレタン樹脂の熱安定性が悪くなるため、樹脂の合成時や貯蔵時にゲル化しやすくなるといった欠点がある。
【0036】
不飽和基含有ウレタン樹脂(A)の数平均分子量が400未満になると塗装した塗膜が脆くなり、一方、数平均分子量が100000を越えると、現像時に膜残りなどが生じるといった欠点がある。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物で使用される光重合開始剤(B)は従来から公知のものを特に制限なく使用することができる。具体的には、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、2ーヒドロキシー2ーメチルー1ーフェニルプロパンー1ーオン、ベンジルジメチルケタール、1ーヒドロキシシクロヘキシルーフェニルケトン、2ーメチルー2ーモルフォリノ(4ーチオメチルフェニル)プロパンー1ーオン、2ーベンジルー2ージメチルアミノー1ー(4ーモルホリノフェニル)ーブタノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルエトキシフォスフィンオキサイド、ベンゾフェノン、O−ベンゾイル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノン、2ーイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)ーS−トリアジン、2ーメチルー4,6−ビス(トリクロロ)−S−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)ー4、6ービス(トリクロロメチル)ーS−トリアジン、鉄-アレン錯体、チタノセン化合物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
これらの光重合開始剤は単独もしくは2種類以上を混合して使用できる。その配合量は前記した不飽和基含有ウレタン樹脂(A)100重量部(固形分)に対して0.1〜10重量部、特に0.2〜約8重量部の範囲が好ましい。
【0038】
本発明の感光性樹脂組成物において、光重合開始剤(B)による光重合反応を促進させるため、必要に応じて光増感促進剤を光重合開始剤(B)と併用してもよい。併用し得る光増感促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4ージメチルアミノ安息香酸メチル、4ージメチルアミノ安息香酸エチル、4ージメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2ージメチルアミノ)エチル、ミヒラーケトン、4,4’ージエチルアミノベンゾフェノン等の3級アミン系、トリフェニルホスフィン等のアルキルフォスフィン系、βーチオジグリコール等のチオエーテル系、などが挙げられる。これらの光増感促進剤はそれぞれ単独もしくは2種類以上を混合して使用できる。光増感促進剤の配合量は前記した不飽和基含有ウレタン樹脂(A)100重量部に対して約0.1〜10重量部、特に0.2〜約8重量部の範囲が好ましい。
【0039】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物において、光重合開始剤(B)と組み合わせて増感色素を併用することもできる。具体例としては、例えば、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3-置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系などの色素が挙げられる。これらはそれぞれ単独もしくは2種類以上を混合して使用できる。増感色素の配合量は前記した不飽和基含有ウレタン樹脂(A)100重量部に対して約0.1〜10重量部、特に0.2〜約8重量部の範囲が好ましい。
【0040】
本発明の感光性樹脂組成物において、光硬化性や硬化膜の機械強度などの性能を向上させるために不飽和基含有ウレタン樹脂(A)以外の従来から公知の重合性不飽和基含有樹脂や重合性不飽和モノマーなどを必要に応じて使用することができる。
【0041】
上記した重合性不飽和基含有樹脂としては、例えば、ポリエステルに(メタ)アクリル酸を縮合させた樹脂、不飽和基含有エポキシ樹脂、不飽和基含有アクリル樹脂、などが挙げられる。
【0042】
上記した重合性不飽和基含有モノマーとしては、例えば、下記した1分子中に1〜3個の重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが挙げられる。
【0043】
また、1分子中に1個の重合性不飽和基を含有するモノマーとしては、例えば、スチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2ーエチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキセニル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、εーカプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、εーカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシー3ーフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシー3ーブトキシプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、アロニックスM110(東亞合成(株)社製、商品名)、Nーメチロール(メタ)アクリルアミド、Nーメチロール(メタ)アクリルアミドブチルエーテル、アクリロイルモルロリン、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルー2ーピロリドンなどが挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0044】
1分子中に2個の重合性不飽和基を含有するモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、2ーヒドロキシ1ーアクリロキシ3ーメタクリロキシプロパン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、カヤラッドHX−220,620,R−604,MANDA(以上、日本化薬(株)社製、商品名)などが挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0045】
1分子中に3個の重合性不飽和基を含有するモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0046】
上記したその他の樹脂やモノマーは不飽和基含有ウレタン樹脂(A)100重量部に対して約100重量部以下の範囲で配合することができる。
【0047】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、上記以外にも必要に応じて染料、顔料、各種添加剤(重合禁止剤、レベリング剤、消泡剤、タレ止め剤、付着向上剤、塗面改質剤、可塑剤、含窒素化合物など)、金属錯体形成剤(ベンゾトリアゾール、ベンゾイルアセトンなど)、架橋剤(例えば、エポキシ樹脂など)、その他の樹脂あるいは塗布を容易にするための有機溶剤などの溶媒などを添加することができる。
【0048】
本発明の感光性樹脂組成物は、有機溶剤系感光性樹脂組成物、無溶媒系(低溶剤系)感光性樹脂組成物及び水系感光性樹脂組成物として使用することができる。該有機溶剤系感光性樹脂組成物は、上記した成分(A)及び(B)を有機溶剤に溶解もしくは分散することによって得られる。また、無溶媒系感光性樹脂組成物は、上記した成分(a)の製造時に有機溶剤を使用しないで製造することにより製造できる。また、有機溶剤を使用して成分(a)を製造した場合には、このものを真空ポンプ等で減圧して有機溶剤の一部または全部を除去することにより、または有機溶剤を使用して成分(a)を製造し次いで水性化した樹脂組成物を真空ポンプ等で減圧して有機溶剤の一部または全部を除去することにより得られる。
【0049】
上記した水系感光性樹脂組成物は、有機溶剤を含有もしくは含有しない不飽和基含有ウレタン樹脂(A)に塩基性中和剤で中和し、次いで水に溶解もしくは分散することにより得られる。該水系感光性樹脂組成物において、有機溶剤を使用した場合には中和、水希釈した後、真空ポンプ等で減圧して有機溶剤の一部または全部を除去することにより低溶剤もしくは無溶剤の水系感光性樹脂組成物を製造することができる。上記した塩基性中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、モノメチルジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等を挙げることができる。これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。該塩基性中和剤の配合割合は、樹脂(A)の酸基に対して、約0.3〜約2当量、特に約0.5〜1.5当量の範囲内が好ましい。
【0050】
この水系感光性樹脂組成物は、通常の下記塗装方法で塗装する以外に被塗物が導電性(銅張り基板等)の場合にはアニオン電着塗装方法により塗装することができる。該アニオン電着塗装で使用されるアニオン電着塗料は、上記した水系感光性樹脂組成物を濃度(固形分濃度)3〜25重量%、特に5〜15重量%の範囲及びPH7〜9の範囲に調整したものを浴塗料として使用することができる。
【0051】
アニオン電着塗料は、例えば、次のようにして被塗物である導体表面に塗装することができる。即ち、まず、浴のPHと浴濃度を上記の範囲に調整し、浴温度を約15℃〜約40℃、好ましくは約15℃〜約30℃に管理する。次いで、このように管理された電着塗装浴に、塗装される導体を陽極とし、浸漬、約5V〜約200Vの直流電流を陰極との間で通電する。通電時間は約10秒間〜約5分間が適当である。
【0052】
また、 本発明の有機溶剤系感光性樹脂組成物、低溶剤系感光性樹脂組成物及び水系感光性樹脂組成物を支持基材に塗布して乾燥したものをドライフィルムとして使用することができる。ドライフィルム表面の感光性樹脂被膜は、巻き付けて貯蔵した際に該被膜と被膜もしくは被膜と支持基材とが粘着しない樹脂により形成されることが好ましい。このものとしては、樹脂の軟化温度が約10〜200℃、特に15〜100℃の範囲内が好ましい。
【0053】
本発明で使用する支持基材は、例えば、感光性樹脂層を支持基材に固定化するとともに被着物(例えば、プリント基板等)表面に対する貼り付けを容易に行うことができるように設けられる基材である。該基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、アラミド、カプトン、ポリメチルペンテン、ポリエチレン、ポリプロピレン等のフィルムの何れも使用できるが、特にポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが、コストおよび感光性ドライフィルムとしての良好な特性を得る上で最も最適であると言える。支持基材の膜厚は、通常約10μm〜約5mm、特に約15μm〜約500μmの範囲内が好ましい。
【0054】
また、これら支持基材上に上記した感光性樹脂組成物をローラー法、スプレー法、シルクスクリーン法等にて塗布もしくは印刷することによって、感光性樹脂ドライフィルムを製造することができる。勿論、該感光性樹脂組成物の被膜の基材からの剥離性を高める為に基材に予め離型剤(シリコーン、ワックス等)を支持基材に塗布しておいても構わない。感光性樹脂層の膜厚は、通常0.5μm〜200μm、特に15μm〜150μmの範囲内が好ましい。
【0055】
支持基材表面に塗布もしくは印刷した樹脂組成物は、基板等に熱ラミネートして貼り付けることができる。ドライフィルムを基板に貼付けした後、該基材を剥離して現像される。
【0056】
本発明の感光性樹脂組成物は、一般に用いられている公知の感光性材料、例えば、塗料、インキ、接着剤、エッチングレジスト材、ソルダーレジスト材、メッキレジスト材、フォトビアビルドアップ絶縁材、刷板材(平板や凸版用製版材、オフセット印刷用PS板)情報記録材料、レリーフ像作製材料、光ファイバー用被覆材等幅広い用途への使用が可能である。
【0057】
次に、本発明の感光性樹脂組成物を使用してレジストパターンを形成した1つの例示について説明する。
該レジストパターンは、
(1)基材上に本発明のフォトレジスト感光性樹脂組成物を塗装し被膜を形成する工程、
(2)基材上に形成されたフォトレジスト用感光性樹脂被膜表面に所望のレジスト被膜(画像)が得られるようにレーザー光線で直接もしくは光線でネガマスクを通して感光して硬化させる工程、
(3)上記(2)工程で形成されたレジスト被膜をアルカリ現像処理して基板上にレジストパターンを形成する工程
により形成することができる。
【0058】
上記した基材としては、電気絶縁性のガラスーエポキシ板、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリイミドフィルム等のプラスチックフィルムやプラスチック板;これらのプラスチック板やプラスチックフィルムの表面に銅、アルミニウム等の金属箔を接着することによって、もしくは銅、ニッケル、銀等の金属又は酸化インジウムー錫(ITO)に代表される導電性酸化物等の化合物を真空蒸着、化学蒸着、メッキ等の方法で導電性被膜を形成したもの:スルーホール部を設けたプラスチック板やプラスチックフィルムの表面及びスルーホール部に導電性被膜を形成したもの:銅板等の金属板:パターン形成されている銅スルーホールプリント配線基板等が挙げられる。
【0059】
上記塗装(1)工程において感光性樹脂組成物が、有機溶剤系、水系の場合は、基板の表面にスプレー塗装、静電塗装、スピン塗装、浸漬塗装、ローラー塗装、カーテンフロー塗装、シルク印刷等の手段により塗装し、必要に応じてセッテング等を行って、約50〜130℃の範囲の温度で乾燥を行うことにより感光性樹脂被膜を形成することができる。このようにして形成された被膜は次いで工程(2)で露光されるが、必要に応じて該被膜表面に酸素を遮断し露光による感光性被膜の硬化の阻害を防止するために従来から公知の非感光性のカバーコート層を設けることができる。
【0060】
露光は、パターンを描いたフィルム(フォトマスク)を介して紫外線などの活性光線を照射することで画像を形成するフォトマスク法、あるいはレーザー光などにより、直接描画することにより画像を形成するLDI法によりレジストパターンを形成させることができる。
【0061】
また、感光性樹脂組成物が、電着塗料の場合は、電着塗装した後、水切り、エアーブロー等を行って、必要に応じて約50から130℃の範囲の温度で乾燥を行うことにより感光性樹脂被膜を形成することができる。
【0062】
上記した感光性樹脂被膜の膜厚は約0.5〜100μm、特に約1〜50μmの範囲が好ましい。
【0063】
露光工程(2)で使用する光線としては、本発明の感光性樹脂組成物を硬化させるものであれば特に制限なしに従来から公知のものを使用することができる。光線としては、例えば紫外線、可視光線、レーザー光(近赤外線、可視光レーザー、紫外線レーザー等)が挙げられる。その照射量は、通常0.5〜2000mj/cm2、好ましくは1〜1000mj/cm2の範囲内が好ましい。
【0064】
また、光線の照射源としては、従来から使用されているもの、例えば、超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等の各光源により得られる光源や紫外カットフィルターによりカットした可視領域の光線や、可視領域に発振線を持つ各種レーザー等が使用できる。高出力で安定なレーザー光源として、アルゴンイオンレーザー(488nm)、あるいはYAGレーザーの第二高調波(532nm)が好ましい。
【0065】
現像処理(3)は、未硬化被膜の洗い出しは、通常、カセイソーダー、炭酸ソーダー、カセイカリ、アンモニア、アミン等を水に希釈した弱アルカリ水溶液が使用される。カバーコートが設けられている場合には現像処理前にこのカバーコートを取り除いておくことが好ましい。
【0066】
また、銅張り基材を使用した場合には、露出した銅層(非回路部分)を塩化第2鉄や塩化第2銅の水溶液でエッチングすることにより除去される。また、レジスト被膜の除去はカセイソーダ等の強アルカリや塩化メチレン等の溶剤により除去される。
【0067】
【発明の効果】
本発明の感光性樹脂組成物は各種塗装方法で塗装でき、塗装膜を加熱乾燥し、均一な感光膜を形成する。この感光膜はフォトマスク法、または、LDI法で露光すると、未露光部は弱アルカリによって現像され、また、露光部も強アルカリによって除去することができるので、従来の感光性樹脂組成物と置き換えることができる。
【0068】
また、本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成される露光部のレジスト膜の柔軟性、耐衝撃性、感度が従来のフォトレジストより大きく向上しているために、レジスト膜の欠け等が低減し、製品であるプリント基板の不良率を小さくすることができる。
【0069】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する本発明は下記した実施例に限定されるものではない。なお、合成例及び実施例において「部」及び「%」は重量基準である。
【0070】
合成例1(実施例)
4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン500部、マロン酸239部、ハイドロキノン0.5部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド1部を入れて撹拌し、空気を吹き込みながらグリシジルメタクリレート653部を115℃で3時間かけて滴下し、さらに8時間その温度を保持し反応させ、不飽和基含有ジオールの溶液を得た。さらに空気を吹き込みながらこの溶液にジメチロールブタン酸340部、イソホロンジイソシアネート766部を添加して撹拌し、80℃で8時間保持し反応させる。イソシアネート基の残存がほとんど認められなくなったのを確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル832部を入れ冷却し、不飽和基含有ウレタン樹脂(酸価64.4mgKOH/g;不飽和度2.3モル/kg;数平均分子量1800)の溶液を得た。
【0071】
合成例2(実施例)
4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン550部、コハク酸236部、ハイドロキノン0.5部及びテトラエチルアンモニウムブロマイド2.6部を入れて撹拌し、空気を吹き込みながらグリシジルメタクリレート284部を100℃で3時間かけて滴下し、さらに8時間その温度を保持し反応させ、不飽和基含有ジオールの溶液を得た。さらに空気を吹き込みながらこの溶液にジメチロールブタン酸296部、トリレンジイソシアネート348部を添加して撹拌し、80℃で3時間反応させた後、その温度で2-ヒドロキシエチルアクリレート232部を添加し、5時間反応させる。イソシアネート基の残存がほとんど認められなくなったのを確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル918部を入れ冷却し、不飽和基含有ウレタン樹脂(酸価51;不飽和度2.7モル/kg;数平均分子量3200)の溶液を得た。
【0072】
合成例3(実施例)
4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン504部、1,12-ドデカンジカルボン酸276部、ハイドロキノン0.5部及びN-エチルモルホリン0.7部を入れて撹拌し、空気を吹き込みながら3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート437部を100℃で3時間かけて滴下し、さらに8時間その温度を保持し反応させ、不飽和基含有ジオールの溶液を得た。さらに空気を吹き込みながらこの溶液にジメチロールブタン酸178部、トリレンジイソシアネート626部、ポリエチレングリコール(分子量600)を360部添加して撹拌し、80℃で3時間反応させた後、その温度で2-ヒドロキシエチルアクリレート139部を添加し、5時間反応させる。イソシアネート基の残存がほとんど認められなくなったのを確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル840部を入れ冷却し、不飽和基含有ウレタン樹脂(酸価33.3;不飽和度1.8モル/kg;数平均分子量3400)の溶液を得た。
【0073】
合成例4(実施例)
4つ口フラスコにメチルイソブチルケトン495部、シクロヘキサンジカルボン酸299部、ハイドロキノン0.5部及びN-エチルモルホリン4.7部を入れて撹拌し、空気を吹き込みながら3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート633部を100℃で3時間かけて滴下し、さらに8時間その温度を保持し反応させ、不飽和基含有ジオールの溶液を得た。さらに空気を吹き込みながらこの溶液にジメチロールブタン酸257部、イソホロンジイソシアネート644部を添加して撹拌し、80℃で3時間反応させた後、その温度でイソシアン酸エチルメタクリレート145部を添加し、5時間反応させる。イソシアネート基の残存がほとんど認められなくなったのを確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル824部を入れ冷却し、不飽和基含有ウレタン樹脂(酸価49.2;不飽和度2.34モル/kg;数平均分子量3400)の溶液を得た。
【0074】
合成例5(比較例)
メチルメタクリレート40部、ブチルアクリレート21部、アクリル酸39部及びアゾビスイソブチロニトリル2部からなる混合液を、窒素ガス雰囲気下において、110℃に保持したプロピレングリコールモノメチルエーテル90部中に3時間を要して滴下した.滴下後、 時間熟成させ、アゾビスジメチルバレロニトリル1部およびプロピレングリコールモノメチルエ一テル12部からなる混合液をl時間要して滴下し、さらに5時間熟成させて高酸価アクリル樹脂(酸価155)溶液を得た。次に、この溶夜にグリシジルメタクリレート50部、ハイドロキノン0.12部及ぴテトラエチルアンモニウムブロマイド0.6部を加え、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させて光硬化性樹脂(酸価約69mgKOH/g;不飽和度2.3モル/k g;ガラス転位温度(Tg点)20℃;数平均分子量約20,000)の溶液を得た。
【0075】
合成例6(比較例)
メチルイソブチルケトン506部、トリレンジイソシアネート626部、ポリエチレングリコール(分子量600)1080部及ぴジメチロールブタン酸178部を4つロフラスコに入れて撹拌し、100℃で2時間保った後、冷却して80℃にする。80℃でハイドロキノン0.5部及び2一ヒドロキシエチルメタクリレート139部を入れ、空気を吹き込みながら撹拝して5時間保つ。イソシアネート基の残存がほとんど認められなくなつたのを確認した後、プロピレングリコールモノメチルエーテル843部を入れて冷却し、不飽和基含有ポリウレタン樹脂(酸価33.2;不飽和度0.59モル/k g;平均分子量約3400)の溶液を得た。
【0076】
実施例1(液状レジスト)
合成例1で製造した樹脂溶液167部にイルガキュアー907(チバガイギー社製、商品名)5部及びジエチルチオキサントン2部をプロピレングリコールモノメチルエーテル10部に溶解した溶液を添加し、固形分含有率が55%になるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルを加え、液状レジストを得た。
【0077】
この液状レジストを用いて厚さ0.27mm(ガラスエポキシ厚0.20mm、銅厚0.035mm×2)の銅張積層板に乾燥膜厚15μmになるようにバーコーターで塗装し、80℃で10分間乾燥した。この未硬化膜はタック性(指で膜を押さえて粘着するかしないかを調べた。以下同様の意味を示す。)はなかった。ついで、プリント基板パターン用ネガフィルムを真空装置でこの塗板と密着させ、3kwの超高圧水銀灯を用いて、150mJ/cm2照射した。次に、未露光部を30℃、1重量%炭酸ソーダ溶液で30秒間洗いだし現像を行った。ローラー搬送によるパターンの破損(現像ローラー搬送破損性、搬送後の膜状態を調べた。以下、同様の意味を示す。)はなかった。さらに、この板を腕曲状に90度折り曲げレジスト画線(折曲げ性、以下同様の意味を示す)の状態を調べたところ、膜折れや剥がれなどがなく、付着が良く、良好な状態を保っていた。また、デュポン式衝撃試験(デュポン式衝撃試験:直径15mmの半球形の300gの重りを10cmの高さから板の上に落下させ、衝撃による膜の状態を調べる。以下、同様の意味をしめす。)で衝撃に対する強さを調べたところ、レジスト画線には折れ、剥がれがなく、良好な状態を保っていた。その後板を平らに戻し、塩化第2銅によるエッチング処理、レジスト膜を50℃、5重量%カセイソーダ液で脱膜し(脱膜パターン状態、以下同様の意味を示す)、プリント配線板を得た。
また、150mJ/cm2照射したときの21段ステップタブレットフィルムによる露光感度は8段であり、感度も良好であった。
【0078】
実施例2〜5及び比較例1、2(液状レジスト)
表1の配合で実施例1と同様にして液状レジストを作成し、バーコーター塗装したレジスト膜厚15μmの塗板を実施例1と同様にしてネガフィルムを介して露光、現像した後、実施例1と同様の試験で評価した。結果をまとめて表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 0004319746
【0080】
実施例6(ドライフィルム)
実施例1で使用した液状レジストをポリエチレンテレフタレート(厚さ100μm)表面にバーコーターで乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、80℃で10分間乾燥し、タックのないドライフィルムを得た。
次いで100℃に加熱した厚さ0.27mm(ガラスエポキシ厚0.2mm、銅厚0.035mm×2)の銅張積層板にラミネートし、ポリエチレンテレフタレートを剥離し、銅張積層板表面に感光性被膜を形成した。
更に、3kwの超高圧水銀灯を用いて、150mJ/cm2照射した。次に、未露光部を30℃、1重量%炭酸ソーダ溶液で30秒間洗いだし現像を行った。ローラー搬送によるパターンの破損はなかった。さらに、この板を腕曲状に90度折り曲げレジスト画線の状態を調べたところ、膜折れや剥がれなどがなく、付着が良く、良好な状態を保っていた。また、デュポン式衝撃試験で衝撃に対する強さを調べたところ、レジスト画線には折れ、剥がれがなく、良好な状態を保っていた。その後板を平らに戻し、塩化第2銅によるエッチング処理、レジスト膜を50℃、5重量%カセイソーダ液で脱膜し、プリント配線板を得た。
また、150mJ/cm2照射したときの21段ステップタブレットフィルムによる露光感度は8段であり、感度も良好であった。
【0081】
実施例7(ドライフィルム)
実施例2で使用した液状レジストをポリエチレンテレフタレート(厚さ100μm)表面にバーコーターで乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、80℃で10分間乾燥し、タックのないドライフィルムを得た。
次いで100℃に加熱した厚さ0.27mm(ガラスエポキシ厚0.2mm、銅厚0.035mm×2)の銅張積層板にラミネートし、ポリエチレンテレフタレートを剥離し、銅張積層板表面に感光性被膜を形成した。
更に、3kwの超高圧水銀灯を用いて、150mJ/cm2照射した。次に、未露光部を30℃、1重量%炭酸ソーダ溶液で30秒間洗いだし現像を行った。ローラー搬送によるパターンの破損はなかった。さらに、この板を腕曲状に90度折り曲げレジスト画線の状態を調べたところ、膜折れや剥がれなどがなく、付着が良く、良好な状態を保っていた。また、デュポン式衝撃試験で衝撃に対する強さを調べたところ、レジスト画線には折れ、剥がれがなく、良好な状態を保っていた。その後板を平らに戻し、塩化第2銅によるエッチング処理、レジスト膜を50℃、5重量%カセイソーダ液で脱膜し、プリント配線板を得た。
また、150mJ/cm2照射したときの21段ステップタブレットフィルムによる露光感度は8段であり、感度も良好であった。
【0082】
実施例8(ドライフィルム)
実施例3で使用した液状レジストをポリエチレンテレフタレート(厚さ100μm)表面にバーコーターで乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、80℃で10分間乾燥し、タックのないドライフィルムを得た。
次いで100℃に加熱した厚さ0.27mm(ガラスエポキシ厚0.2mm、銅厚0.035mm×2)の銅張積層板にラミネートし、ポリエチレンテレフタレートを剥離し、銅張積層板表面に感光性被膜を形成した。
更に、3kwの超高圧水銀灯を用いて、150mJ/cm2照射した。次に、未露光部を30℃、1重量%炭酸ソーダ溶液で30秒間洗いだし現像を行った。ローラー搬送によるパターンの破損はなかった。さらに、この板を腕曲状に90度折り曲げレジスト画線の状態を調べたところ、膜折れや剥がれなどがなく、付着が良く、良好な状態を保っていた。また、デュポン式衝撃試験で衝撃に対する強さを調べたところ、レジスト画線には折れ、剥がれがなく、良好な状態を保っていた。その後板を平らに戻し、塩化第2銅によるエッチング処理、レジスト膜を50℃、5重量%カセイソーダ液で脱膜し、プリント配線板を得た。
また、150mJ/cm2照射したときの21段ステップタブレットフィルムによる露光感度は7段であり、感度も良好であった。
【0083】
実施例9(ドライフィルム)
実施例4で使用した液状レジストをポリエチレンテレフタレート(厚さ100μm)表面にバーコーターで乾燥膜厚が15μmになるように塗装し、80℃で10分間乾燥し、タックのないドライフィルムを得た。
次いで100℃に加熱した厚さ0.27mm(ガラスエポキシ厚0.2mm、銅厚0.035mm×2)の銅張積層板にラミネートし、ポリエチレンテレフタレートを剥離し、銅張積層板表面に感光性被膜を形成した。
更に、3kwの超高圧水銀灯を用いて、150mJ/cm2照射した。次に、未露光部を30℃、1重量%炭酸ソーダ溶液で30秒間洗いだし現像を行った。ローラー搬送によるパターンの破損はなかった。さらに、この板を腕曲状に90度折り曲げレジスト画線の状態を調べたところ、膜折れや剥がれなどがなく、付着が良く、良好な状態を保っていた。また、デュポン式衝撃試験で衝撃に対する強さを調べたところ、レジスト画線には折れ、剥がれがなく、良好な状態を保っていた。その後板を平らに戻し、塩化第2銅によるエッチング処理、レジスト膜を50℃、5重量%カセイソーダ液で脱膜し、プリント配線板を得た。
また、150mJ/cm2照射したときの21段ステップタブレットフィルムによる露光感度は8段であり、感度も良好であった。
【0084】
実施例10
合成例1で得た不飽和基含有ウレタン167部に、光重合開始剤イルカキュアー907(チバガイギー社製、商品名)5部及びジエチルチオキサントン2部をプロピレングリコールモノメチルエーテル20部に溶解した溶液と中和剤のトリエチルアミン5部を添加しこれら混合物を均一に溶解せしめた後、1398部の脱イオノ水中で1000〜3000rpmで撹拌しながら徐々に加え添加終了後、さらに500rpmで20分間攪拌して水分散液を得た(固形分11%)。この水分散液をケミカルポンプを用い、25℃において循環速度0.5〜1/分循環安定性試験を行った。循環時間24時間、120時間、240時間いずれの場合も開始剤の沈降はなく良好であった。また水分散液をそのまま静置して静置貯蔵安定性試験を行ったところ、5〜30℃の広い温度範囲で6ヶ月間安定で開始剤の沈降が認められなかった。
更に上記水分散液作成直後のもの、上記循環試験実施後(240時間循環後)のもの、及び静置貯蔵安定性試験後の水分散液を用いて、厚さ0.27mm(ガラスエポキシ厚0.20mm、銅厚O.035mm×2)の銅張積層板を陽極として電流密度100mA/cm2で60秒間通電した。基板は電着塗装後に水洗し、80℃で10分間水切り乾燥し、乾燥膜厚5〜8μmでタックのないレジスト膜を得た。いずれのサンプルも試験前後で電着浴特性の変化は認められず良好であった。
次いでプリント基板パターン用ネガフィルムを真空装置でこの塗板
と密着させ、3kw超高圧水銀灯で200mJ/cm2の露光量で照射を行い、1%の炭酸ソーダ水溶液に浸漬し現像した。ローラー搬送によるパターンの破損はなかった。この板を腕曲状に90度折曲げ画像の状態を調べたところ腰折れやはがれなどがなく、付着がよく、良好な状態を保っていた。またデュポン式衝撃試験で衝撃に対する強さを調べたところレジスト画線には折れ、はがれなどがなく、良好な状態を保っていた。その後板を平らにし塩化第二銅によるエッチング処理、レジスト膜を50℃の1%苛性ソーダ液で脱膜しプリント配線板を得た。
また、200mJ/cm2の露光量で照射したときの21段ステットタブレットフィルムによる露光感度は8段で良好であった。
【0085】
実施例11
合成例2で得た不飽和基含有ウレタン167部に、光重合開始剤イルカキュアー907(チバガイギー社製、商品名)5部及びジエチルチオキサントン2部をプロピレングリコールモノメチルエーテル20部に溶解した溶液と中和剤のトリエチルアミンを4部添加し、それら混合物を均一に溶解せしめた後、1398部の脱イオン水中で1000〜3000rpmで攪拌しながら徐々に加え添加終了後、さらに500rpmで20分間攪拌して水分散液を得た(固形分11%)。この水分散液をケミカルポンプを用い、25℃において循環速度O.5〜1/分循環試験を行った。循環時間24時間、120時間、240時間いずれの場合も開始剤の沈降はなく良好であった。また水分散液をそのまま静置して静置貯蔵安定性試験を行ったところ、5〜30℃の広い温度範囲で6ヶ月間安定で開始剤の沈降が認められなかった。
更に上記水分散液作成直後のもの、上記循環試験実施後(240時間循環後)のもの、及び静置貯蔵安定性試験後の水分散液を用いて、厚さO.27mm(ガラスエポキシ厚O.20mm、銅厚O-035mm×2)の銅張積層板を陽極として電流密度100mA/cm2で60秒間通電した。基板は電着塗装後に水洗し、80℃で10分間水切り乾燥し、乾燥膜厚5〜8μmでタックのないレジスト膜を得た。いずれのサンプルも試験前後で電着浴特性の変化は認められず良好であった。次いでプリント基板パターン用ネガフィルムを真空装置でこの塗板と密着させ、3kw超高圧水銀灯で200mJ/cm2の露光量で照射を行い、1%の炭酸ソーダ水溶液に浸漬し現像した。ローラー搬送によるパターンの破損はなかった。この板を腕曲状に90度折曲げ画像の状態を調べたところ腰折れやはがれなどがなく、付着がよく、良好な状態を保っていた。またデュポン式衝撃試験で衝撃に対する強さを調べたところレジスト画線には折れ、はがれなどがなく、良好な状態を保っていた。その後板を平らにし塩化第二銅によるエッチング処理、レジスト膜を50℃の1%苛性ソーダ液で脱膜しプリント配線板を得た。
また、200mJ/cm2の露光量で照射したときの21段ステットタブレットフィルムによる露光感度は8段で良好であった。

Claims (2)

  1. 下記成分
    (A)(a)ジカルボン酸化合物のカルボキシル基1個に対して1分子中に平均1個のエポキシ基と平均1個のエチレン性不飽和基を含有する数平均分子量128〜2000のエポキシ基含有エチレン性不飽和モノマー0.8〜1.2モル反応させてなる水酸基含有不飽和化合物、
    (b)カルボキシル基含有ジオール、
    (c)ジイソシアネート化合物、
    (d)必要に応じてポリオール化合物
    を反応させてなる酸価20〜300mgKOH/g、不飽和度0.2〜5.0モル/kg、及び数平均分子量400〜100,000の不飽和基含有ウレタン樹脂及び
    (B)光重合開始剤
    を含有することを特徴とするフォトレジスト用感光性樹脂組成物。
  2. (1)基材上に請求項1に記載のフォトレジスト用感光性樹脂被膜を形成する工程、
    (2)基材上に形成されたフォトレジスト用感光性樹脂被膜表面に所望のレジスト被膜(画像)が得られるようにレーザー光線で直接もしくは光線でネガマスクを通して感光して硬化させる工程及び
    (3)上記(2)工程で形成されたレジスト被膜をアルカリ現像処理して基板上にレジストパターンを形成する工程、
    を含むレジストパターン形成方法。
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