JP4319108B2 - 半導体用接着フィルムおよび半導体装置 - Google Patents
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このような要求に対応するため、例えば半導体素子の上にリードを接着するリード・オン・チップ(LOC)構造が採用されている。
しかし、ホットメルト型の接着剤フィルムは、高温で接着する必要があるため、高密度化した半導体素子、リードフレームに熱損傷を与える場合があった。
(1)半導体素子と、支持部材とを接合するために用いる半導体用接着フィルムであって
、前記半導体用接着フィルムはアクリル系樹脂と、エポキシ樹脂とを、含む樹脂組成物であり、前記アクリル系樹脂の含有量が、前記エポキシ樹脂100重量部に対して50〜300重量部であり、前記半導体用接着フィルムを、150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度が、500[Pa・s]以上5000[Pa・s]以下であることを特徴とする半導体用接着フィルム。
(2)前記半導体用接着フィルムを、150℃で1時間熱処理したあと、さらに175℃で2時間熱処理した後の240℃での弾性率が1から50MPaである(1)に記載の半導体用接着フィルム。
(3)アクリル系樹脂が、アクリル酸共重合体である(1)または(2)に記載の半導体用接着フィルム。
(4)アクリル酸共重合体が、エポキシ基を含有する(3)に記載の半導体用接着フィルム。
(5)アクリル酸共重合体の分子量が、10万以上である(3)または(4)に記載の半導体用接着フィルム。
(6)(1)ないし(5)の何れかに記載の半導体用接着フィルムを用いて、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを接合していることを特徴とする半導体装置。
前記融点は、例えば示差走査熱量計を用いて、常温から昇温速度5℃/分で昇温した結晶融解の吸熱ピークの頂点温度で評価することができる。
前記硬化剤としては、例えばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m−フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物等のアミン系硬化剤、ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物(液状酸無水物)、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)等の芳香族酸無水物等の酸無水物系硬化剤、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤が挙げられる。これらの中でもフェノール系硬化剤が好ましく、具体的にはビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン(通称テトラメチルビスフェノールF)、4,4’−スルホニルジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(通称ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンおよびこれらの内ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタンの3種の混合物(例えば、本州化学工業(株)製、ビスフェノールF−D)等のビスフェノール類、1,2−ベンゼンジオール、1,3−ベンゼンジオール、1,4−ベンゼンジオール等のジヒドロキシベンゼン類、1,2,4−ベンゼントリオール等のトリヒドロキシベンゼン類、1,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類の各種異性体、2,2’−ビフェノール、4,4’−ビフェノール等のビフェノール類の各種異性体等の化合物が挙げられる。
これらの中でもアクリル系樹脂が好ましい。これにより、ガラス転移温度が低いため初期密着性を向上することができる。
前記カップリング剤としてはシラン系、チタン系、アルミニウム系などが挙げられるが中でもシラン系カップリング剤が好ましい。
前記半導体用接着フィルムの厚さは、特に限定されないが、3〜100μmが好ましく、特に5〜70μmが好ましい。厚さが前記範囲内であると、特に厚さ精度の制御を容易にできる。
得られた半導体用接着フィルムを用いて半導体素子と金属製のリードフレーム、ガラス繊維にエポキシ樹脂を含浸した基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン樹脂基板等の有機基板の接合に用いることができる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
1.半導体用接着フィルム樹脂ワニスの調製
熱可塑性樹脂としてアクリル酸共重合体(エチルアクリレート−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−80H、Tg:15℃、重量平均分子量:350,000)100重量部と、熱硬化性樹脂として結晶性のクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、エポキシ当量200g/eq、日本化薬(株)製)30重量部と、エポキシ樹脂(NC6000、エポキシ当量197g/eq、日本化薬(株)製)50重量部、フェノール硬化剤(MEH7500、明和化成(株)製)40重量部、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(2PHZ−PW、四国化成(株)製、平均粒径約2μm)0.2重量部、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)0.2重量部、とをメチルエチルケトン(MEK)に溶解して樹脂固形分40%の樹脂ワニスを得た。
コンマコーターを用いて上述の樹脂ワニスを、キャリアフィルムであるポリエチレンテレフタレートフィルム(王子製紙社製、品番RL−07、厚さ38μm)に塗布した後、70℃、10分間乾燥して、キャリアフィルム付き厚さ25μmの半導体用接着フィルムを得た。
得られた半導体用接着フィルムを150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度は2000[Pa・s]であった。
半導体用接着フィルム樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
熱可塑性樹脂としてアクリル酸共重合体(エチルアクリレート−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−80H、Tg:15℃、重量平均分子量:350,000)100重量部と、熱硬化性樹脂としてクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、エポキシ当量200g/eq、日本化薬(株)製)30重量部、エポキシ樹脂(NC6000、エポキシ樹脂197g/eq、日本化薬(株)製)50重量部、フェノール硬化剤(MEH7500、明和化成(株)製)40重量部と、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(2MA−OK−PW、四国化成(株)製、融点260℃、平均粒径2μm)0.2重量部と、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)1重量部とを用いた。
得られた半導体用接着フィルムを150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度は2500[Pa・s]であった。
半導体用接着フィルム樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
熱可塑性樹脂としてアクリル酸共重合体(エチルアクリレート−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−80H、Tg:15℃、重量平均分子量:350,000)100重量部と、熱硬化性樹脂として結晶性のクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、エポキシ当量200g/eq、日本化薬(株)製)30重量部と、エポキシ樹脂(NC6000、エポキシ当量197g/eq、日本化薬(株)製)50重量部、フェノール硬化剤(MEH7500、明和化成(株)製)30重量部、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(2PHZ−PW、四国化成(株)製、平均粒径約2μm)0.1重量部、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)0.1重量部、とを用いた。
得られた半導体用接着フィルムを150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度は1000[Pa・s]であった。
半導体用接着フィルム樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
熱可塑性樹脂としてシリコーン変性ポリイミド樹脂、詳しくは、ジアミン成分として2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(0.09モル)とα,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(平均分子量837)(0.21モル)に対して、酸成分に4,4’−オキシジフタル酸二無水物(0.30モル)を用いたポリイミド樹脂(Tg:30℃、重量平均分子量:50,000)100重量部と、熱硬化性樹脂として結晶性のクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、エポキシ当量200g/eq、日本化薬(株)製)30重量部と、エポキシ樹脂(NC6000、エポキシ当量197g/eq、日本化薬(株)製)50重量部、フェノール硬化剤(MEH7500、明和化成(株)製)30重量部、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(2PHZ−PW、四国化成(株)製、平均粒径約2μm)0.1重量部、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)0.1重量部、とを用いた。
得られた半導体用接着フィルムを150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度は3000[Pa・s]であった。
半導体用接着フィルム樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
熱可塑性樹脂としてアクリル酸共重合体(エチルアクリレート−ブチルアクリレート−アクリロニトリル−アクリル酸−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−708−6DR、Tg:6℃、重量平均分子量:800,000)100重量部と、熱硬化性樹脂としてクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、エポキシ当量200g/eq、日本化薬(株)製)40重量部と、エポキシ樹脂(NC6000、エポキシ当量197g/eq、日本化薬(株)製)20重量部、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(1B2MZ、四国化成(株)製、融点50℃、液状)3重量部と、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)0.2重量部とを用いた。
得られた半導体用接着フィルムを150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度は7000[Pa・s]であった。
半導体用接着フィルム樹脂ワニスの配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
熱可塑性樹脂としてアクリル酸共重合体(エチルアクリレート−アクリロニトリル−N,Nジメチルアクリルアミド−グリシジルメタクリレート共重合体、ナガセケムテックス(株)製、SG−80H、Tg:15℃、重量平均分子量:350,000)100重量部と、熱硬化性樹脂として結晶性のクレゾールノボラックエポキシ樹脂(EOCN−1020−80、エポキシ当量200g/eq、日本化薬(株)製、融点80℃)50重量部と、硬化促進剤としてイミダゾール化合物(2MA−OK−PW、四国化成(株)製、平均粒径2μm)5重量部と、カップリング剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM403、信越化学(株)製)1重量部とをメチルエチルケトン(MEK)に溶解して樹脂固形分40%の樹脂ワニスを得た。
得られた半導体用接着フィルムを150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度は8000[Pa・s]であった。
(実施例1〜実施例4)
3.半導体装置の製造
実施例1〜4で得られたキャリアテープ付き接着フィルムを接着フィルム側に5インチ550μmウエハーの裏面を100℃で貼り付けし、キャリアテープ及び接着フィルム付きウエハーを得た。
その後ダイシングフィルムをキャリアテープ面に貼り付けた。そして、ダイシングソーを用いて、キャリアテープ付き接着フィルムが接合した半導体ウエハーをスピンドル回転数30,000rpm、切断速度50mm/secで5mm×5mm角の半導体素子のサイズにダイシング(切断)して、ダイシングフィルム及びキャリアテープが接合した半導体素子を得た。次に、ダイシングシート裏面から突上げしキャリアテープ接着フィルム層間で剥離し接着フィルムが接合した半導体素子をビスマレイミド―トリアジン基板に、130℃、1MPa、1.0秒間圧着して、ダイボンディングし、150℃1時間で加熱し、樹脂で封止し175℃2時間で封止樹脂を硬化させて10個の半導体装置を得た。
(比較例1〜比較例2)
半導体用接着フィルムとして、比較例1〜比較例2で得られたキャリアテープ付き接着フィルムを用いた以外は、実施例1と同様にした。
1.埋め込み性
ダイアタッチフィルム付きガラスチップを平均10umの凹凸のあるビスマレイミド―トリアジン基板に130℃/1MPa/1sでダイボンドし150℃1時間熱処理を行った。その後175℃/7MPa/30sの荷重で加圧し凹凸の埋め込み性を観察した。埋め込み性は元のフィルムの面積のうち埋め込まれている面積の割合を百分率で評価した。
◎:埋め込み性が、90%以上である
○:埋め込み性が、70〜90%未満である
△:埋め込み性が、50〜70%未満である
×:埋め込み性が、50%未満である
半導体ウエハーをダイシングした後に、粘着が弱いためにダイシングフィルムから剥離する半導体素子の個数により評価した。
◎:飛散しなかった半導体素子の割合が、95%以上である
○:飛散しなかった半導体素子の割合が、90〜95%未満である
△:飛散しなかった半導体素子の割合が、50〜90%未満である
×:飛散しなかった半導体素子の割合が、50%未満である
ダイアタッチフィルムが接合した半導体素子を、半導体素子を光透過性基材から取り上げること(ピックアップ)が可能であるかを評価した。
◎:ピックアップ可能な半導体素子の割合が、95%以上である
○:ピックアップ可能な半導体素子の割合が、90〜95%未満である
△:ピックアップ可能な半導体素子の割合が、50〜90%未満である
×:ピックアップ可能な半導体素子の割合が、50%未満である
ダイアタッチフィルムとビスマレイミド―トリアジン基板との接着性は、ダイアタッチフィルムが接合した半導体素子と、ビスマレイミド―トリアジン基板とを130℃、1MPa、1.0秒間の条件で接合し、そのまま未処理(硬化処理前)の状態でチップとリードフレームとの剪断強度を評価した。
◎:剪断強度が、1.0MPa以上である
○:剪断強度が、0.75以上、かつ1.0MPa未満である
△:剪断強度が、0.5以上、かつ0.75MPa未満である
×:剪断強度が、0.5MPa未満である
各実施例および比較例で得られた半導体装置を85℃/85%RH/168時間吸湿処理をした後、半導体素子とリードフレームとの剪断強度を評価した。
◎:剪断強度が、1.0MPa以上である
○:剪断強度が、0.75以上、かつ1.0MPa未満である
△:剪断強度が、0.5以上、かつ0.75MPa未満である
×:剪断強度が、0.5MPa未満である
耐クラック性は、各実施例および比較例で得られた半導体装置を85℃/60%RH/168時間吸湿処理をした後、260℃のIRリフローを3回行い走査型超音波探傷機(SAT)で評価した。各符号は、以下の通りである。
◎:クラックが全く無し
○:クラックが、7/10個以上無し
△:クラックが、9/10個以上、かつ7/10個未満有り
×:クラックが、10/10個有り
Claims (6)
- 半導体素子と、支持部材とを接合するために用いる半導体用接着フィルムであって、
前記半導体用接着フィルムは、アクリル系樹脂と、エポキシ樹脂とを、含む樹脂組成物であり、前記アクリル系樹脂の含有量が、前記エポキシ樹脂100重量部に対して50〜300重量部であり、
前記半導体用接着フィルムを、150℃で1時間熱処理した後の175℃での溶融粘度が、500[Pa・s]以上5000[Pa・s]以下であることを特徴とする半導体用接着フィルム。 - 前記半導体用接着フィルムを、150℃で1時間熱処理したあと、さらに175℃で2時間熱処理した後の240℃での弾性率が1から50MPaである請求項1に記載の半導体用接着フィルム。
- アクリル系樹脂が、アクリル酸共重合体である請求項1または2に記載の半導体用接着フィルム。
- アクリル酸共重合体が、エポキシ基を含有する請求項3に記載の半導体用接着フィルム。
- アクリル酸共重合体の分子量が、10万以上である請求項3または4に記載の半導体用接着フィルム。
- 請求項1ないし5の何れかに記載の半導体用接着フィルムを用いて、半導体素子と半導体素子搭載用支持部材とを接合していることを特徴とする半導体装置。
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