JP4318166B2 - エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンに関し、詳しくは、バランサ軸を備えたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、クランクギヤに動弁カムギヤを噛合させたエンジンがある。この種のエンジンでは、シリンダヘッド側を上、クランク室の張り出し側を横と見て、バランサ軸に取り付けたバランサギヤを動弁カムギヤまたはクランクギヤにその横側方または下方から噛合させ、上記バランサ軸をクランク室内に配置している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術には、次の問題がある。
《問題》 バランサ軸の配置によりエンジンが大型化する。
バランサ軸をクランク室内に配置しているため、バランサ軸とクランク軸との干渉を避ける必要上、バランサ軸をクランク軸の横側方または下方に大きく離す必要がある。このため、クランク室が横側方や下方に拡張され、クランク室が大型化し、これがエンジン大型化の要因となっている。
【0004】
本発明の課題は、上記問題点を解決できるエンジンを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
主要な請求項1の発明特定事項は、次の通りである(図1及び図2参照)。
クランクギヤ(1a)に動弁カムギヤ(2a)を噛合させたエンジンであって、
シリンダヘッド(3)側を上、クランク室(11)の張り出し側を横と見て、バランサ軸(4)に取り付けたバランサギヤ(4a)を動弁カムギヤ(2a)にその上方から噛合させ、上記バランサ軸(4)をシリンダ(5)の横側方に配置し、上記シリンダ(5)と上記バランサ軸(4)との間に動弁装置のプッシュロッド(6)を挿通させたエンジン。
【0006】
【発明の効果】
(請求項1の発明)
請求項1の発明は、次の効果を奏する(図1参照)。
《効果1》 バランサ軸の配置に起因するエンジンの大型化を抑制することができる。
バランサ軸(4)をシリンダ(5)の横側方に配置するため、クランク軸(1)との干渉を避けながら、バランサ軸(4)をクランク室(11)の上方のデッドスペースを利用して配置することができる。このため、クランク室(11)を横側方や下方に拡張する必要がなく、バランサ軸(4)の配置に起因するエンジンの大型化を抑制することができる。
【0007】
《効果2》 エンジンの横幅を小さくすることができる。
図6に示すように、本発明では、巻き掛け伝動装置(20)とギヤトレイン(22)とを前後に大きく離すため、図8と図9に示すように、巻き掛け伝動装置(20)のテンショナ(47)とギヤトレイン(22)とが横に並ぶことがなく、エンジンの横幅を小さくすることできる。
【0008】
(請求項7の発明)
《効果3》 エンジンの横幅を小さくすることができる。
図6に示すように、本発明では、テンショナ(47)とポンプ(23)とを前後に大きく離すため、図8と図9に示すように、これら部品が横に並ぶことがなく、エンジンの横幅を小さくすることができる。
【0009】
《効果4》 搭載機種の制約を少なくすることができる。
図6に示すように、本発明では、メンテナンス頻度が高いテンショナ(47)とポンプ(23)とを、シリンダブロック(41)の横一側方に集めて配置するため、片側からしかメンテナンスが行えない機械であっても、搭載を可能とし、搭載機種の制約を少なくすることができる。
【0010】
《効果5》 メンテナンスの作業能率を高くすることができる。
本発明では、上記のように、メンテナンス頻度が高いテンショナ(47)とポンプ(23)とを、シリンダブロック(41)の横一側方に集めて配置するため、メンテナンスの作業能率を高くすることができる。
【0011】
(請求項3の発明)
《効果6》 部品の横の張り出しを小さくすることができる。
図6に示すように、横幅が比較的大きい発電機(48)とポンプ(23)とを、クランク室(11)の横張り出しがないシリンダブロック(41)の上寄り部分(46a)の横一側方に配置するため、図8と図9に示すように、部品の横の張り出しを小さくすることができる。
【0012】
(請求項4の発明)
《効果7》 バランサ軸等の配列によるエンジンの小型化を促進することができる。
図1に示すように、バランサ軸(4)と脇水路(7)と動弁カム軸(2)とをシリンダジャケット(8)とシリンダ(5)の壁とに沿って上下に並べたため、これらがコンパクトに配列され、バランサ軸(4)等の配列によるエンジンの小型化を促進することができる。
【0013】
(請求項5の発明)
《効果8》 全シリンダの壁の暖機や冷却が均一化される。
図3に示すように、複数のシリンダ(5)の脇を通過する脇水路(7)にシリンダジャケット(8)に臨む複数の出口(7a)を設け、これら複数の出口(7a)を脇水路(7)の長手方向の両端部と中間部とに配置したため、全シリンダ(5)(5)の壁に向けて冷却水が均等に分配され、全シリンダ(5)(5)の壁の暖機や冷却が均一化される。
【0014】
(請求項6の発明)
《効果9》 エンジンの横幅を小さくすることができる。
図3に示すように、脇水路(7)の隣り合う出口(7a)(7a)間の肉壁内に動弁装置のタペットガイド孔(9)を設けたため、出口(7a)とタペットガイド孔(9)とを横幅方向に並べて配置する場合に比べ、エンジンの横幅を小さくすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図9はいずれも本発明の実施形態に係るエンジンを説明する図で、この実施形態では縦形の水冷多気筒ディーゼルエンジンを例として説明する図である。
【0016】
このエンジンの概要は、次の通りである。
このエンジンは、図1に示すように、シリンダブロック(18)の上部にシリンダヘッド(3)を、下部にオイルパン(19)を取り付けている。シリンダブロック(18)は、シリンダ(5)の下部にクランク室(11)を備えている。図5に示すように、シリンダブロック(18)の前部には巻き掛け伝動装置(20)を備え、これで冷却ファン(21)と水ポンプ(26)とを連動する。シリンダブロック(18)の後部にはギヤ伝動装置(22)とフライホイル(27)とを備え、図4に示すように、このギヤ伝動装置(22)で燃料噴射ポンプ(23)と作業装置(15)とを連動する。この作業装置(15)は、作業用油圧ポンプである。また、このギヤ伝動装置(22)で図1に示す動弁カム軸(2)、一対の二次バランサ軸(4)(13)、一次バランサ軸(14)を連動する。
【0017】
各軸の配置は、次の通りである。
図1に示すように、シリンダヘッド(3)側を上、クランク室(11)の張り出し側を横と見て、一方の二次バランサ(4)と動弁カム軸(2)とをシリンダ(5)の横一側方に配置し、シリンダ(5)の横一側領域を上下三等分した上中下の部分領域を想定し、上部分領域に一方の二次バランサ軸(4)の中心軸線(4b)を位置させ、下部分領域に動弁カム軸(2)の中心軸線(2b)を位置させている。他方の二次バランサ軸(13)はシリンダ(5)の横他側方の斜め下に位置させている。一次バランサ軸(14)は動弁カム軸(2)の横一側方の斜め下に位置させている。
【0018】
軸と他の要素の配置は、次の通りである。
図1に示すように、シリンダ(5)と上部分領域の二次バランサ軸(4)との間に動弁装置のプッシュロッド(6)を挿通させている。上記二次バランサ軸(4)と動弁カム軸(2)との間にクランク軸(1)の架設方向に沿う脇水路(7)を設け、ラジエータからの冷却水を脇水路(7)を介して多気筒シリンダブロック(18)のシリンダジャケット(8)に導入するに当たり、上記二次バランサ軸(4)と脇水路(7)と動弁カム軸(2)とをシリンダジャケット(8)とシリンダ(5)の壁とに沿って上下に並べている。
【0019】
脇水路とその周辺部分の構造は、次の通りである。
図1に示すように、動弁カム軸(2)をシリンダジャケット(8)の下方に配置し、脇水路(7)の出口(7a)をシリンダジャケット(8)の下部に臨ませている。図3に示すように、複数のシリンダ(5)の脇を通過する脇水路(7)にシリンダジャケット(8)への複数の出口(7a)を設け、これら複数の出口(7a)を脇水路(7)の両端部と中間部とに配置している。各出口(7a)は各シリンダ(5)の横一側頂部に臨ませている。脇水路(7)の隣り合う出口(7a)(7a)間の肉壁内に動弁装置のタペットガイド孔(9)を設けている。図1に示すように、動弁カム室(10)をその下方のクランク室(11)と連通させ、クランク室(11)から動弁カム室(10)を介してタペットガイド孔(9)にきのこ形タペット(12)を挿入できるようにし、ここにきのこ形タペット(12)を挿入している。
【0020】
ギヤ伝動装置の構成は、次の通りである。
図4に示すように、作業装置(15)への動力取出し軸(16)を一対の軸受け(16a)(16a)複数個所で軸受けし、この動力取出し軸(16)に取り付けた動力取出しギヤ(16a)を動弁カムギヤ(2a)に噛合させている。図2に示すように、動弁カム軸(2)に動弁カムギヤ(2a)とこれよりも小径の出力ギヤ(2b)とを同心状に配置し、大径の動弁カムギヤ(2a)に上部分領域の二次バランサ軸(4)に取り付けた二次バランサギヤ(4a)を噛合させ、小径の出力ギヤ(2b)に一次バランサ軸(14)に取り付けた一次バランサギヤ(14a)を噛合させている。出力ギヤ(2c)にアイドルギヤ(24)を噛合させ、このアイドルギヤ(24)に上記二次バランサ軸(4)と対になる他の二次バランサ軸(13)に取り付けたバランサギヤ(13a)を噛合させ、出力ギヤ(2c)のモジュールを動弁カムギヤ(2a)のそれよりも小さくしている。また、アイドルギヤ(24)に燃料噴射ポンプ(23)の燃料噴射カム軸(25)に取り付けた噴射カムギヤ(25a)を噛合させている。
【0021】
エンジン左側面での主要な部品配置は、次の通りである。
図6に示すように、巻き掛け伝動装置(20)のテンショナ(47)と燃料噴射ポンプ(23)(コモンレール仕様の場合は、「燃料供給ポンプ」である。以下、同じ。)とを、シリンダブロック(41)の左方で前後に振り分けて配置している。テンショナ(47)が前で、燃料噴射ポンプ(23)が後である。巻き掛け伝動装置(20)にはベルト伝動装置を、テンショナ(47)には発電機(48)をそれぞれ用いている。発電機(48)と燃料噴射ポンプ(23)とは、シリンダブロック(41)の上寄り部分(46a)の左方で略同じ高さに位置させている。シリンダブロック(41)の上下方向中央部分(46b)の左方で、オイルクーラ(49)とスタータモータ(45)とを前後に振り分けて配置している。オイルクーラ(49)が前でスタータモータ(45)が後である。オイルクーラ(49)とスタータモータ(45)とは略同じ高さに位置させている。シリンダブロック(41)の左方から見て、オイルクーラ(49)の後部に取り付けたオイルフィルタ(52)とスタータモータ(45)との間に、オイルレベルゲージ(56)のハンドルを配置している。
【0022】
エンジン左側面での他の部品配置の共通点は、次の通りである。
図6に示すように、燃料噴射ポンプ(23)の前端部にガバナ(59)を組み付けている。シリンダヘッド(16)の左方で発電機(48)の上方に燃料フィルタ(60)を配置している。ガバナ(59)の下方から、シリンダブロック(41)とオイルフィルタ(52)との間の空間にかけて、オイルクーラ(49)の冷却水配管(61)を配置している。シリンダヘッド(3)の左方で、燃料フィルタ(60)の前方で、かつ発電機(48)の上方に排気還流量を制御するEGRソレノイド弁(62)を配置している。エンジン左方から見て、燃料噴射ポンプ(23)とスタータモータ(45)との間に、油圧低下を検出するオイルスイッチ(63)を配置し、シリンダヘッド(3)に取り付けた水温センサ(64)を燃料噴射ポンプ(23)の後方で露出させている。スタータモータ(45)の後方で、フライホイル収容ケース(66)にタイミング確認窓(65)を設けている。このタイミング確認窓(65)でギヤトレイン(22)のギヤの合いマークを確認する。エンジンの左方から見て、燃料噴射ポンプ(23)の下方で、スタータモータ(45)のオイルレベルゲージ(56)寄りの端部の上方に、給油口(67)を配置している。なお、燃料噴射ポンプ(23)が左方に位置するため、燃料配管も当然に左方に配置される。リザーブタンクやエアクリーナやオイルドレイン孔を設ける場合には、メンテナンス側である左方に配置する。
【0023】
エンジンの右側面での部品配置は、次の通りである。
図7に示すように、シリンダブロック(41)の上寄り部分(46a)の右方で、一対の作業装置(50)(36)を前後に振り分けて配置している。前の作業装置(50)は作業用エアコンプレッサであり、後の作業装置(36)は前述の作業用油圧ポンプである。これらは略同じ高さに配置されている。
【0024】
エンジンの正面での部品配置の共通点は、次の通りである。
図8に示すように、冷却ファンプーリ(41a)の左方にベルトテンショナ(47)のテンションプーリ(47a)を、右方に作業装置(50)の従動プーリ(50a)を振り分けて配置し、冷却ファンプーリ(41a)の下方にクランク軸(1)に取り付けた駆動プーリ(11a)を配置している。駆動プーリ(11a)とテンションプーリ(47a)と従動プーリ(50a)とにファンベルト(41b)をその内周面が接するように巻き掛け、冷却ファンプーリ(41a)には上記ファンベルト(41b)をその外周面が接するように巻き掛けている。従動プーリ(50a)と駆動プーリ(11a)との間に水ポンプ(54)の冷却水導入パイプ(54a)を配置している。従動プーリ(50a)と駆動プーリ(11a)との間で、ファンベルト(41b)の一部を冷却ファンプーリ(41a)に向けて折り返し、この折り返し部分(41c)を冷却ファンプーリ(41a)に巻き掛けている。冷却ファンプーリ(41a)の上方には、遊転プーリ(68)を配置し、テンションプーリ(47a)と従動プーリ(50a)との間で、ファンベルト(41b)の一部を持ち上げ、その内周面が遊転プーリ(68)に接するように巻き掛け、この部分が冷却ファンプーリ(41a)に接しないようにしている。ファンベルト(41b)には、内周面に長手方向に沿う山型突条を複数本備えたポリVベルトを用いている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るエンジンの縦断正面図である。
【図2】図1のエンジンのギヤ伝動装置の正面図である。
【図3】図1のエンジンの横断平面図で、脇水路の高さ位置でのシリンダブロック横断平面と、これよりも高位置での燃料噴射ポンプ平面とを含む図である。
【図4】図1のエンジンの横断平面図で、動弁カム軸の高さでのシリンダブロック横断平面と、これよりも高位置での燃料噴射ポンプ平面及び作業装置平面とを含む図である。
【図5】図1のエンジンの縦断側面図である。
【図6】図1のエンジンの左側面図である。
【図7】図1のエンジンの右側面図である。
【図8】図1のエンジンの正面図である。
【図9】図1のエンジンの平面図である。
【符号の説明】
(1)…クランク軸、(1a)…クランクギヤ、(2a)…動弁カムギヤ、 (3)…シリンダヘッド、(4)…バランサ軸(二次バランサ軸)、 (5)…シリンダ、 (7)…脇水路、(7a)…出口、(8)…シリンダジャケット、 (11)…クランク室、(20)…巻き掛け伝動装置、(23)…燃料噴射ポンプ、(41)…シリンダブロック、(46a)…上寄り部分、(47)…テンショナ、(48)…発電機。
Claims (6)
- クランクギヤ(1a)に動弁カムギヤ(2a)を噛合させたエンジンであって、
シリンダヘッド(3)側を上、クランク室(11)の張り出し側を横と見て、バランサ軸(4)に取り付けたバランサギヤ(4a)を動弁カムギヤ(2a)にその上方から噛合させ、上記バランサ軸(4)をシリンダ(5)の横側方に配置し、
巻き掛け伝動装置(20)を設けるに当たり、
シリンダブロック(41)の前後端部に、巻き掛け伝動装置(20)とギヤトレイン(22)とを振り分けて配置し、
上記シリンダ(5)と上記バランサ軸(4)との間に動弁装置のプッシュロッド(6)を挿通させたエンジン。 - 請求項1に記載したエンジンであって、
巻き掛け伝動装置(20)のテンショナ(47)と、燃料を圧送するためのポンプ(23)とを、シリンダブロック(41)の横一側方で、前後に振り分けて配置したエンジン。 - 請求項2に記載したエンジンであって、
テンショナ(47)に発電機(48)を用いるに当たり、
発電機(48)と前記ポンプ(23)とを、同じ高さで、シリンダブロック(41)の上寄り部分(46a)の横一側方に配置したエンジン。 - 請求項1から請求項3のいずれかに記載したエンジンであって、バランサ軸(4)と動弁カム軸(2)との間にクランク軸(1)の架設方向に沿う脇水路(7)を設け、ラジエータからの冷却水を脇水路(7)を介して多気筒シリンダブロックのシリンダジャケット(8)に導入するに当たり、
バランサ軸(4)と脇水路(7)と動弁カム軸(2)とをシリンダジャケット(8)とシリンダ(5)の壁とに沿って上下に並べたエンジン。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載したエンジンであって、クランク軸(1)の架設方向に沿う脇水路(7)を設け、ラジエータからの冷却水を脇水路(7)を介して多気筒シリンダブロックのシリンダジャケット(8)に導入するに当たり、
複数のシリンダ(5)の脇を通過する脇水路(7)にシリンダジャケット(8)に臨む複数の出口(7a)を設け、これら複数の出口(7a)を脇水路(7)の長手方向の両端部と中間部とに配置したエンジン。 - 請求項5に記載したエンジンであって、
脇水路(7)の隣り合う出口(7a)(7a)間の肉壁内に動弁装置のタペットガイド孔(9)を設けたエンジン。
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