JP4316163B2 - 建屋の構築方法 - Google Patents
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- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は例えば原子力発電所における原子力建屋、タービン建屋、あるいは焼却設備建屋などの構築方法に関するもので、特に鋼板コンクリート構造の建屋壁内への埋設管の埋設施工手段に改良を施した建屋の構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば原子力発電所内に建設される原子力建屋、タービン建屋、あるいは焼却設備建屋などの各種建屋の構造においては、大きな地震などに対しても充分耐えうるような耐震設計のために多量のコンクリートを使った建屋が採用されている。そのような耐震設計の建屋として従来鋼板コンクリート構造の建屋がある。この鋼板コンクリート構造の建屋は鉄筋コンクリート構造に比べて配筋作業やコンクリート打設の型枠の設置や撤去が必要無いため工期を大幅に短縮できるメリットがある。このような鋼板コンクリート構造の建屋における建屋壁について、特に埋設管施工方法も併せて図5を参照して説明する。
【0003】
図5において、例えば原子力発電所内に建設される建屋の壁構造に採用されている鋼板コンクリート構造の建屋壁1は、まず図5(A)に示すように2枚の鋼板2C、2Dを間隔を置いて並べ、この間を格子状、あるいは千鳥格子状に配置され、両端を鋼板2C、2Dの内面に溶接などの手段で固定された間隔部材である複数本のタイバー3で両鋼板間に所定の間隔があくようにサンドイッチ状に組み立てられている。このようにしてあらかじめ工場で組み立て製作された複数の単位パネル4A、4B、4C…を個々に原子力発電所の構築現場に搬入し、所定の場所に隣接して据付設置する。その後に互いに隣り合う単位パネル4A、4B、4c…の縦方向に沿った縁5A、5B…(パネル取合部)を溶接して一体的に組み立て、鋼板コンクリート構造の建屋壁1の据付を行う。鋼板2C、2Dの内側には鋼板とコンクリートとの剥離を防ぐ目的で複数本のスタッド6が植設されている。その後同図(B)に示すように原子力発電所内の電力用、計装用ケーブル、その他ケーブルなどを収納した埋設管7を前記建屋壁1の内側にあらかじめ設計された通りのレイアウトで配管するための埋設管の埋設施工作業を行う。そして最後に建屋壁1の内側にコンクリートを打設し、強度確保のための期間を経て同図(C)に示す通り建屋壁1の構築を完了する。
【0004】
しかし、このような鋼板コンクリート構造の建屋壁1であると、埋設管7を単位パネル4A、4B、4C…からなる建屋壁1内に埋設施工するためには鋼板2C、2Dの開口縁より作業員の手が届く範囲においては埋設管取合い等の施工作業が行えるが、それより奥の方の壁中央部分、例えば単位パネル4B部分になると作業員の手が届かず、鋼板2C、2Dの開口部からの施工作業が不可能となる。このため同図(B)に示すように、埋設施工位置に対応した中央部分の単位パネル4Bの一部に作業開口8をあけ、ここから作業員がパネル内に手を差し込んで埋設施工作業を行っていた。
また、鋼板2C、2Dの間隔が800mm以上の幅広の場合には作業員が単位パネル4A、4B、4C…内に入り込み施工作業を行う場合もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来の鋼板コンクリート構造の建屋壁1の構造ならびに埋設管施工手段であると、パネル奥の手の届かない部分への埋設施工作業のためにパネルに作業開口8をあけなくてはならず余計な工程が必要となる。またこの工程において埋設管取合い位置と施工作業から考慮して最適な位置への作業開口8の穴あけ加工が必要となり、この穴あけ加工が面倒であると共に事前に充分な穴あけ位置の検討が必要となる。たとえ作業開口8をあけたとしても狭い作業開口8から手を突っ込んでの埋設施工作業は作業能率が悪く、充分な作業が行えず、時間も大幅にかかる。さらに埋設施工作業終了後は同図(C)に示すように作業開口8を再び塞いで元の状態に復旧させる作業が必要となり余計な作業工程が生じる。
【0006】
一方パネル間隔が比較的広く、余裕があって作業員が単位パネル内に入って作業する場合もパネル内部の作業環境は多数のタイバー3やスタッド6が植設されているので作業性、安全性において非常に悪い環境で、作業能率はきわめて低い。またこのようなことから作業員がパネル内に入って埋設管の埋設施工作業を行うという条件としてパネル間隔が800mm以上ある壁のみが埋設管設定のための前提条件になっており、この条件に合わない一部電線管などは露出電線管の施工を取らざるを得ず、建屋内の配置設計上合理的でない設計となっていた。
【0007】
本発明は以上の課題を解決し、建屋壁内への埋設管の埋設施工作業が簡単に且つ安全に行え、合理的な配置設計が採れ、短期間で施工が行える鋼板コンクリート構造の建屋壁を有する建屋の構築方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は以上の目的を達成するために、請求項1記載の発明では、埋設管の埋設施工作業を必要としない部分に組み立てられ、互いに間隔を置いた一対の鋼板と、この鋼板間を連結する間隔部材とを有する単位パネルを据付配置する工程と、埋設管の埋設施工作業を必要とする部分に組み立てられ、互いに間隔を置いた一対の鋼板と、この鋼板間を連結する間隔部材とを有し、少なくとも一方の鋼板が着脱自在に取り付けられた単位パネルを一方の鋼板を間隔部材から外した状態で据付設置する工程と、互いに隣接する単位パネル同士を接合する工程と、埋設管の埋設施工作業を必要とする部分に埋設管の埋設作業をする工程と、埋設施工作業終了後に取外しておいた鋼板を間隔部材に取付け、隣接する単位パネルと接合する工程と、単位パネルの一対の鋼板の間にコンクリートを打設する工程とを有することを特徴とする。
【0013】
このようにすることにより、埋設管の埋設施工作業時には一方の鋼板パネルを取外した状態で行うことにより作業者が単位パネル内に入って作業する必要もなく、短時間に安全且つ容易に配管埋設を伴う建屋の構築方法を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の第1の実施の形態を図1及び図2を参照して説明する。図1の(A)は本発明の鋼板コンクリート構造の建屋壁の正面図、同図(B)は側面図を示す。図1において、建屋壁1の単位パネルは2枚の鋼板2C、2Dを間隔を置いて並べ、この間を格子状あるいは千鳥格子状に配置され、両端を鋼板2C、2Dの内面に溶接などの手段で固定された補強間隔部材である複数本のタイバー3で両パネル間に所定の間隔が空くようにサンドイッチ状に組み立てられている。この単位パネル4A、4B、4C…は工場においてあらかじめ製作され、複数個用意されている。この単位パネル4A、4B、4C…の内、内側に埋設管の埋設施工作業を必要とする部分に組み立てられる単位パネル4Bについては同図(B)に示すように複数本のタイバー3の一端3Aは一方の鋼板2Aの内側にネジ込み式に着脱自在に取り付けられる。またタイバー3の他端3Bも他方の鋼板2Bに形成された孔を貫通し、鋼板2B両面より締め付けナット9で同様に鋼板2Bに対して着脱自在に取り付けられている。
【0017】
一方埋設管の埋設施工作業を必要としない部分に組み立てられる単位パネル4A、4Cについては図5に示すような従来のあらかじめ溶接により一体的に組み立てられた単位パネルを用意しておく。鋼板2A、2B、2C、2Dの内側には鋼板とコンクリートとの剥離を防ぐ目的で複数本のスタッド6が植設されている。
【0018】
次に上記のように用意された複数の単位パネルを使った建屋の構築方法と埋設管の埋設施工の手段について図2を参照して説明する。
(1)まず図には示さないが原子力発電所建屋内の建屋の構築現場周囲に壁組み立てに必要な足場を組み立てる。
(2)次に埋設施工作業を必要としない部分に組み立てられる単位パネル4A、4Cをクレーンなどを使って吊り上げ構築現場に搬入し、所定の場所に従来工法で据付配置する。
【0019】
(3)次に埋設施工作業を必要とする部分に組み立てられる単位パネル4Bは図1(B)に示される単位パネルの締め付けナット9を外してタイバー3から一方の鋼板2Bを取外した状態にしておく。そしてまず鋼板2Aを構築現場に搬入し、先に据付配置されている単位パネル4A、4Cと並べて据付配置する。その際埋設管施工の多様化に応じては必要に応じて更にタイバー3を鋼板2Aからネジ込みを緩めて外しておいても良い。鋼板2Aを埋設施工作業を必要としない単位パネル4Aまたは4Cと工場において金具などを用いて一体化して構築現場に搬入据付配置するようにしても良い。この時、タイバー3は鋼板2Aに取り付けておいても、あるいは取外しておいても良い。
【0020】
(4)次に搬入された単位パネル4A、4Cと鋼板2Aとの互いに隣り合う縦方向に沿った縁5A、5B…(パネル取合部)を溶接して一体的に組み立てる。…(図2(A)の状態)
(5)その後原子力発電所内の電力用、計装用ケーブルなどを収納した埋設管7を前記単位パネル4Bの内側にあらかじめ設計された通りのレイアウトに配管する埋設施工作業を行う。…(図2(B)の状態)
(6)鋼板2Aからタイバー3を取外していた場合には再びタイバー3を鋼板2Aにネジ込んで取付ける。
【0021】
(7)次にあらかじめ取外しておいた後付けの鋼板2Bを構築現場に搬入し、クレーンなどで吊り上げ、バランスをとりながらタイバー3と鋼板2Bの孔位置とを合わせ、タイバー3先端3Bを鋼板2Bの孔に貫通させ締め付けナット9で締め付けて一体化させ、単位パネル4Bを完成させる。
(8)この後、後付けの鋼板2Bとその両端に据付配置されている単位パネル4A、4Cとの取合い部を位置決め調整した後溶接で接合する。…(図2(C)の状態)
(9)最後に組み立てられた単位パネル4A、4B、4C…の内側にコンクリートを打設する。
【0022】
(10)コンクリートの強度確保の期間経過後タイバー3の先端部分が鋼板2Bの外側に飛び出した状態になって危険なためタイバー3の突出部分をグラインダーなどで切断し切断個所の表面を整えた後再塗装を施す。
(11)このようにして鋼板コンクリート構造の建屋壁1の組立施工と埋設管の埋設施工が完了した後足場を解体して建屋の構築が完了する。
【0023】
このように本発明による鋼板コンクリート構造の建屋壁1であると、埋設管の埋設施工を必要とする部分に組み立てられる単位パネル4Bをタイバー3から後付けの一方の鋼板2Bが取外し可能とし、埋設管の埋設施工後に再び組立一体化できるようなセパレータ式としたので埋設管の埋設施工作業が短時間の内に容易且つ安全に行え作業の効率が大幅に向上する。また作業員が狭いパネルの間に入って埋設施工作業する必要もないのでパネル幅によって埋設施工作業の条件が決められることもなく一部電線管の埋設も可能となり、建屋内の配置設計が効率的に行える。更にタイバー3が先行して取付けられる鋼板2Aに対してネジ式で着脱自在に構成されているので埋設管7の埋設施工作業時に邪魔にならず作業の効率が上がる。
【0024】
次に本発明の第2の実施の形態について図3及び図4を参照して説明する。 図3において、鋼板コンクリート構造の建屋壁1の単位パネル4A、4B、4C…は2枚の鋼板2A、2B、あるいは2C、2Dを並べ、この間を格子状あるいは千鳥格子状に配置され、両端を鋼板2A、2B、あるいは2C、2Dの内面に溶接などの手段で固定された補強間隔部材である複数本のタイバー3で各単位パネルの一対の鋼板間に所定の間隔が空くようにサンドイッチ状に組み立てられている。この単位パネルの内、埋設管の埋設施工作業を必要とする部分に組み立てられる単位パネル4Bについては図示するように鋼板2Aに接合されたパネル10Aとパネル10Bとによりパネル面に沿って空間11を形成し、この空間11に埋設管7を収納するトレイ12を配置固定する。あるいは図4に示すように単位パネルの内一方の鋼板2Bの一部を凹ませてパネル面に沿ってポケット状の空間13を形成する。そしてこの空間11に配置されたトレイ12内、あるいはポケット状の空間13に埋設管7を収納する。埋設管7の埋設施工作業が終了した後で空間11または13の開口部をパネルあるいは化粧板等のパネルカバー14で蓋をして開口部を閉塞する。その他の構造は第1の実施の形態と同じであり詳細な説明は省略する。
【0025】
次に本発明の第2の実施の形態における鋼板コンクリート構造の建屋の構築方法と埋設管の埋設施工の手段について説明する。
(1)まず原子力発電所建屋内の建屋の構築現場周囲に壁組み立てに必要な足場を組み立てる。
(2)次に埋設施工作業を必要としない部分に組み立てられる単位パネル4A、4Cをクレーンなどを使って吊り上げ構築現場に搬入し、所定の場所に従来工法で据付配置する。
【0026】
(3)次に埋設施工作業を必要とする部分に組み立てられる単位パネル4Bは図3に示されるようにあらかじめ空間11を有するように形成され、この単位パネル4Bを同じく構築現場に搬入し、あらかじめ据付配置されている単位パネル4A、4Cと位置合わせをした上で据付配置する。これと同じ段階で図4に示すポケット状空間13を形成した単位パネル4Bの場合も構築現場に搬入し、あらかじめ据付配置されている単位パネル4A、4Cと位置合わせをした上で据付配置する。
【0027】
(4)次に単位パネル4A、4B、4C同士の互いに隣り合う縦方向に沿った縁5A、5B…(パネル取合部)を溶接して一体的に組み立てる。
(5)そして前記単位パネル4Bの空間11に鋼板2Aの壁に沿わせてトレイ12を配置し、固定する。
【0028】
(6)その後原子力発電所内の電力用、計装用ケーブルなどを収納する埋設管7を前記トレイ12の内側に収納し施工作業を行い、作業終了後にパネルカバー14を取付けて空間11を閉塞する。
同じくこの段階で図4に示す単位パネル4Bの場合はポケット状の空間13に直接埋設管7を収納し、作業終了後にパネルカバー14を取付けてポケット状空間13を閉塞する。
【0029】
(7)最後に組み立てられた単位パネル4A、4B、4C…の内側及び図4に示すパネルの場合にはポケット状空間13内部にもコンクリートを打設し、強度確保のための期間を経て鋼板コンクリート構造の建屋の施工を完了する。
(8)このようにして鋼板コンクリート構造の建屋の組立施工と埋設管の埋設施工が完了した後足場を解体して建屋の構築が完了する。
【0030】
このように本発明の第2の実施の形態による鋼板コンクリート構造の建屋壁1であると、埋設管7の埋設施工作業終了後に空間閉塞用のパネルカバー14を取付ける時パネル内にはタイバー3やスタッド6などが植立されていないのでパネルカバーとタイバー3との細かい位置合わせが必要なくなるので組立がより短時間に容易に行える。またスタッド6の植立もないことから組立作業はきわめて容易となる。
【0031】
また図4に示す構造の場合は鋼板パネル2Bの一部をポケット状として空間13を形成しているため図3に示す構造のものより空間が小さくなるが、埋設管を収納する分には充分な空間が得られ問題はない。
【0032】
なお、上記実施の形態の説明において一例として原子力発電所における建屋の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、鋼板コンクリート構造の建屋であれば他の一般的な建屋にも適宜実施し得るものである。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、埋設管の埋設施工作業時には作業者が単位パネル内に入って作業する必要もなく、短時間に安全且つ容易に配管埋設を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における単位パネルを示す図で、(A)は正面図、(B)は側面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態における建屋壁の構造と構築方法を示す図で、(A)〜(C)はその構築状態の変化を示す斜視図。
【図3】本発明の第2の実施の形態における単位パネルを示す斜視図。
【図4】本発明の第2の実施の形態の他の実施例を示す単位パネルの一部斜視図。
【図5】従来の建屋壁の構造ならびにその構築方法を示す図で、(A)〜(C)はその構築状態の変化を示す斜視図。
【符号の説明】
1…建屋壁、2A,2B,2C,2D…鋼板、3…間隔部材、4A,4B,4C…単位パネル、5A,5B…パネル取合い部、7…埋設管、8…作業開口、9…締め付けナット、11,13…空間、12…トレイ、14…パネルカバー。
Claims (1)
- 埋設管の埋設施工作業を必要としない部分に組み立てられ、互いに間隔を置いた一対の鋼板と、この鋼板間を連結する間隔部材とを有する単位パネルを据付配置する工程と、埋設管の埋設施工作業を必要とする部分に組み立てられ、互いに間隔を置いた一対の鋼板と、この鋼板間を連結する間隔部材とを有し、少なくとも一方の鋼板が着脱自在に取り付けられた単位パネルを一方の鋼板を間隔部材から外した状態で据付設置する工程と、互いに隣接する単位パネル同士を接合する工程と、埋設管の埋設施工作業を必要とする部分に埋設管の埋設作業をする工程と、埋設施工作業終了後に取外しておいた鋼板を間隔部材に取付け、隣接する単位パネルと接合する工程と、単位パネルの一対の鋼板の間にコンクリートを打設する工程とを有することを特徴とする建屋の構築方法。
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